以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、この実施形態では、遮蔽装置を横型ブラインドとし、コード制動装置によって移動が規制されるコードを昇降コードとして説明する。
図1から図30にコード制動装置の一実施形態を示している。
図1は、本発明に係るコード制動装置1を各部品に分解して示す分解斜視図であり、昇降コードの移動を案内するコードガイド9を併記している。このコード制動装置1は、ベース2とスライダ3、キャリア4、遊星歯車5、スライダワッシャ6、ウェイトホルダ7、ウェイト7a、キャップ8とを主体として構成されている。さらに、コード制動装置1のベース2には、該ベース2を覆う状態に配されてコードガイド9が組み付けられる。また、スライダ3は、スライダブラケット31にドライブローラー32とアイドルローラー33とが回転自在に支持されている。
図2は、コード制動装置1にコードガイド9が組み付けられた状態を示す前方側から見た状態を示す斜視図で、昇降コードCDを併記している。図2において矢標Pで示す方向に昇降コードCDが移動する場合をこのコード制動装置1により制動される作用側Poへの移動とし、矢標Qで示す方向への移動を操作側Qiへの移動とする。図3は、コード制動装置1にコードガイド9が組み付けられた状態を示す後方側(すなわち操作側Qi)から見た状態を示す斜視図で、昇降コードCDを併記している。
また、各図において、矢標Pで示す方向へ昇降コードCDが移動する際に、コード制動装置1から出る側を作用側Poとし、コード制動装置1へ入る側を操作側Qiとする。また、コードガイド9においては、昇降コードCDの出入は、作用側案内口91と操作側案内口92とを通過することで行われる。なお、作用側案内口91と操作側案内口92とについての説明は後述する。
(スライダ3)
図4と図5、図6を参照してスライダ3の構造を説明する。
スライダ3は、スライダブラケット31にコード捕捉部を構成するドライブローラー32とアイドルローラー33とが回転自在に支持されて構成されている。なお、図4はスライダ3の分解斜視図であり、図5は作用側Po、すなわち前方からスライダ3を見た状態を示す斜視図である。また、図6は操作側Qi、すなわち後方からスライダ3を見た状態を示す斜視図である。スライダブラケット31の作用側Poとなる前壁31aには、図4と図5に示すように、昇降コードCDが挿通される作用側開口31bが形成されている。また、図6に示すように、操作側Qiとなる後壁31cには昇降コードCDが挿通される操作側開口31dが形成されている。これら作用側開口31bと操作側開口31dとは対向した位置に設けられている。また、後壁31cには、操作側開口31dを挟む位置に一対のバネ収容部31eが後壁31cを切り欠く状態に形成されており、このバネ収容部31eに圧縮コイルバネ34が収容される。スライダブラケット31の天井壁31fと底壁31gには、作用側Poから見た場合の左右の縁部から中央部に向かって伸長させて切り込まれた長孔状の保持透孔31f1、31f2、31g1、31g2が形成されている。また、天井壁31fの同じく左右の縁部には、それぞれ適宜な2カ所ずつに外側に突出した位置決め突起31hが設けられている。
ドライブローラー32は、図1と図4に示すように、ローラー部32aとドライブ軸32b、ローラー部32aの端面をそれぞれ覆うワッシャ32c、ドライブ軸32bの下端部に嵌入される動力伝達部材の一つであり第1歯車となる駆動歯車35とを有している。ローラー部32aの外周面は、例えば、金属よりも摩擦係数の高い樹脂製であるが、その外周面にはローレット目等のような摩擦力を高める加工が施されてもよい。このような外周面は、後述するように、昇降コードCDとの間で比較的大きな摩擦力を生じさせている。また、このローラー部32aはドライブ軸32bに嵌合されて、ローラー部32aとドライブ軸32b、駆動歯車35とは一体となってドライブ軸32bを中心として回転することが可能となっている。
アイドルローラー33は、図1と図4に示すように、ローラー部33aとアイドル軸33bとを有している。ローラー部33aの外周面は、金属よりも摩擦係数の高い樹脂製が好ましいが、昇降コードCDとの間で滑りが生じても構わず、金属製とすることもできる。また、ローラー部33aはアイドル軸33bと一体となって回転することも要しない。このアイドルローラー33は、後述するように、ローラー部33aとドライブローラー32のローラー部32aとで昇降コードCDを挟持させることができるものであれば、どのようなものでもよい。
そして、図5と図6に示すように、スライダブラケット31の保持透孔31f1と保持透孔31g1とにドライブローラー32のドライブ軸32bがそれぞれ遊挿される。このとき、ワッシャ32cはローラー部32aの端面とスライダブラケット31の内側面との間に介在する。また、駆動歯車35はスライダブラケット31の底壁31gの下方に位置している。また、スライダブラケット31の保持透孔31f2と保持透孔31g2とにアイドルローラー33のアイドル軸33bが遊挿される。
(ベース2)
図7から図10を参照してベース2の構造を説明する。
図7は作用側Po、すなわち前方からベース2を見た状態を示す斜視図であり、図8は操作側Qi、すなわち後方からベース2を見た状態を示す斜視図である。また、図9は底面からベース2を見た斜視図であり、図10は図7における4-4線に沿って切断して示す断面図である。図9と図10に示すように、このベース2は、スライダ3とキャリア4、遊星歯車5、スライダワッシャ6、ウェイトホルダ7、ウェイト7aを収容できる形状の筐体で形成されている。ベース2は、スライダ収容部21と、キャリア収容部22と、固定内歯車23と、キャップ保持部25と、ウェイトホルダ収容部26とを有している。スライダ収容部21は、上部の平面形状がほぼ方形の筒状に形成されている。このスライダ収容部21の下部には、キャリア収容部22が一体的に形成されていて、そのキャリア収容部22は内面がキャリア4の外周面を案内する円筒面に形成されている。このキャリア収容部22の下部には、固定内歯車23が一体的に形成されていて、その固定内歯車23は動力伝達部材の一つとなっている。また、固定内歯車23の下部には、円筒状のウェイトホルダ収容部26が一体的に設けられている。
スライダ収容部21の前壁21aには作用側開口21bが形成されており、後壁21cには作用側開口21bと対向する位置に操作側開口21dが形成されている。また、スライダ収容部21にスライダ3が収容された状態では、作用側開口21bはスライダ3の作用側開口31bが対向する位置に配され、操作側開口21dはスライダ3の操作側開口31dが対向する位置に配されている。スライダ収容部21の天井壁21eには、カム孔24aとカム孔24bとが設けられている。これらカム孔24a、24bは、作用側開口21bと操作側開口21dとの間の昇降コードCDを挟む位置に設けられている。これらのカム孔24a、24bのそれぞれには、ドライブローラー32のドライブ軸32bとアイドルローラー33のアイドル軸33bの上部が遊挿される。すなわち、ドライブローラー32とアイドルローラー33とは、これらのカム孔24aとカム孔24bとに案内されて移動自在となっている。また、これらのカム孔24aとカム孔24bは、作用側Poで互いに接近し操作側Qiで互いに離隔する方向に延伸していて、これらがなす形状はほぼV字形に近い形状となっている。なお、これらカム孔24aとカム孔24bの縁部であって右側壁21fと左側壁21gの側には、それぞれ補強リブカム24cと補強リブカム24dとが天井壁21eに突設されている。補強リブカム24cのカム孔24a側の面(摺動面)は、該カム孔24aの内面と連続するように設けられており、これらの面がドライブ軸32bを案内するカム面24eを形成している。また、補強リブカム24dのカム孔24b側の面(摺動面)は、該カム孔24b内面と連続するように設けられており、これらの面がアイドル軸33bを案内するカム面24fを形成している。なお、後述するように、ドライブ軸32bとアイドル軸33bとがこれらのカム面24e、24fに押圧される方向にスライダ3を移動させるよう、圧縮コイルバネ34の復元力が作用している。なお、この実施の形態では、スライダ3への付勢手段に圧縮コイルバネ34を用いた構造を例示しているが、例えば、ねじりコイルバネや、その他のスライダ3を捕捉位置の方向へ移動するように付勢するものであれば、圧縮コイルバネ34に限らない。
スライダ収容部21には、右側壁21fと左側壁21gとが対向するように設けられている。これらのうち、右側壁21fには係止孔21hが形成され、左側壁21gには係止孔21iが形成されている。また、側壁21fと天井壁21eとにかけて切欠窓部21jが形成されると共に、左側壁21gと天井壁21eにかけて切欠窓部21kが形成されている。左右の側壁21f、21gのそれぞれの内側面には、図7と図8に示すように、上下方向にスライダ収容部21の下端部から切欠窓部21j、21kにかけて凹状の案内溝21mがそれぞれ一対形成されており、これらの案内溝21m内をスライダブラケット31の位置決め突起31hが移動可能となっている。さらに、位置決め突起31hが切欠窓部21j、21kに位置した状態では、この位置決め突起31hが切欠窓部21j、21kの下側の端縁に沿って移動可能となっているが、その移動方向は案内溝21mの方向と直交する方向となっている。
ベース2のスライダ収容部21の下部に配されているキャリア収容部22は、外形が円筒形に形成されており、キャリア4を回転自在な状態で収納している。キャリア4は、キャリア収容部22の円筒部分の内面に、回転が案内されている。ベース2の外形であってこのキャリア収容部22の下部には、キャップ8が係合状態で保持されるキャップ保持部25が設けられている。このキャップ保持部25の4つの角部のそれぞれには、キャリア4の回転中心Oを中心とした円弧状の係止孔25aが形成されている。また、キャップ保持部25の作用側Poには外周側に突出するように脚保持部25bが設けられ、同様にキャップ保持部25の操作側Qiには外周側に突出するように脚保持部25cが設けられている。脚保持部25b、25cの左右の端部のそれぞれには、係合堰部25dが設けられている。また、脚保持部25bの中途部には合計2つの係止突起(係止突起部25e、25f)が設けられ、脚保持部25cの中途部には1つの係止突起(係止突起部25g)が設けられている。
なお、キャリア収容部22の下部に形成された固定内歯車23の中心は、キャリア4の回転中心Oと一致する。
ベース2のキャップ保持部25の下部に設けられた円筒状のウェイトホルダ収容部26の下端部には切欠部26aが設けられていて、その切欠部26aの上方側には上述した係止孔25aが設けられている。
(キャリア4)
図11と図12にキャリア4の一の実施形態を示してあり、図11はキャリア4を上方から見た状態を示す斜視図であり、図12はキャリア4を下方から見た状態を示す斜視図である。このキャリア4は、内歯車41が形成された環状支持部42とこの環状支持部42の下部に設けられたフランジ部43とを有している。内歯車41は、ドライブローラー32のドライブ軸32bに嵌入させた駆動歯車35と噛合する。フランジ部43には、下面側のフランジ面43aから適宜な深さで上方に向かうように適宜数の支持孔44が形成されている。なお、この支持孔44の一部は、図11に示すように、環状支持部42と重なっている。
この支持孔44に遊星歯車5の支持軸51が遊挿されることで、遊星歯車5が回転自在とされている。また、それぞれの遊星歯車5の回転中心軸は、キャリア4の回転中心Oを中心とした同一の円周上に配されており、キャリア4の回転により、遊星歯車5はキャリア4の回転中心Oを中心として公転する。この遊星歯車5は、ベース2のキャリア収容部22の下部に形成された固定内歯車23と噛合する。
図13から図15にキャリア4の他の実施形態を示してあり、図13はキャリア4を上方から見た状態を示す斜視図であり、図14はキャリア4を下方から見た状態を示す斜視図である。また、図15は、図13に示すキャリアの底面図である。このキャリア4は、内歯車41が形成された環状支持部42とこの環状支持部42の下部に、該環状支持部42よりも大径のフランジ部43とを有している。また、環状支持部42の上部は円錐形の一部によるテーパー部42aが設けられている。このテーパー部42aにより、キャリア4をベース2に収容させる際の作業性が良好となり、また、キャリア4の回転による摩擦が低減される。内歯車41は、ドライブローラー32のドライブ軸32bに嵌入させた駆動歯車35と噛合する。フランジ部43には、下面側のフランジ面43aから適宜な深さで上方に向かうように適宜数の支持孔44が形成されており、この支持孔44に遊星歯車5の支持軸51が遊挿されて、遊星歯車5を支持する。また、この支持孔44の一部は、図13から図15に示すように、環状支持部42と重なって、内歯車41の直下に位置している。このため、フランジ部43に支持軸を設けてこの支持軸に遊星歯車を支持させる構造と比較すると、支持孔44が配された円の直径を小さくでき、遊星歯車5の公転円の直径を小さくでき、遊星歯車5を配するスペースを小さくできる。
また、フランジ部43の下方にはほぼ円弧状で中空状のガイド突起43bが設けられており、該ガイド突起43bの外周面がフランジ部43の外周面と一致している。このガイド突起43bは、フランジ面43aの周方向に沿って等間隔に設けられており、隣接するガイド突起43bの間部分に支持孔44が形成されている。なお、この実施形態では6個のガイド突起43bが設けられており、他方、周方向に等間隔に3個の支持孔44が形成されているため、支持孔44はガイド突起43b同士が隣接する間の部分に1つおきに形成されている。
上述の支持孔44に遊星歯車5の支持軸51が遊挿されることで、遊星歯車5が回転自在とされている。なお、ガイド突起43bの突出高さを、遊星歯車5の下端面の高さよりも小さくしている。また、それぞれの遊星歯車5の回転中心軸は、キャリア4の回転中心Oを中心とした同一の円周上に配されており、キャリア4の回転により、遊星歯車5はキャリア4の回転中心Oを中心として公転する。この遊星歯車5は、ベース2のキャリア収容部22の下部に形成された固定内歯車23と噛合する。また、遊星歯車5の支持軸51を支持孔44に遊挿させる際には、隣接するガイド突起43bの間に遊星歯車5を位置させながら行えるので、これらガイド突起43bに案内されて、支持軸51を支持孔44に容易に挿入することができる。
(ウェイトホルダ7)
図16と図17と図18には、ウェイトホルダ7が示されている。図16はウェイトホルダ7を上方から見た状態を示す斜視図であり、制動部材としてのウェイト7aを分離した状態を示している。また、図17はウェイト7aをウェイトホルダ7に保持させた状態を示している。さらに、図18はウェイト7aを保持させた状態のウェイトホルダ7を、下方から見た状態を示す斜視図である。ウェイトホルダ7は、その外周面に太陽歯車71が形成されている。また、この太陽歯車71は円環状の太陽歯車部72の外周面に形成されていて、この太陽歯車部72の下端面に重ねられるように複数の保持脚部73が設けられている。それぞれの保持脚部73は、太陽歯車部72の径方向に向かって延伸しているが、それらの保持脚部73は周方向に等間隔で配置されている。この太陽歯車71の回転中心は、キャリア4の回転中心Oと一致している。また、この太陽歯車71には遊星歯車5が噛合する。すなわち、遊星歯車5は固定内歯車23と噛合すると共に、太陽歯車71に噛合する。
この実施形態では、ウェイトホルダ7は、合計8本の保持脚部73を備えている。そして、隣接する2本の保持脚部73の間には、ウェイト7aが配置されていて、そのウェイトホルダ7は保持脚部73との間に適宜に遊びが形成された状態で保持される。しかも、保持脚部73の基端側が太陽歯車部72の下端面に重ねられるように設けられているため、図18に示すように、ウェイト7aは太陽歯車部72の内径側に至るまで配置されている。このため、ウェイトホルダ7の小型化を図れると共に、太陽歯車71のピッチ円直径を小さくできる。しかも、前述したように遊星歯車5の公転円の直径も小さくできるから、太陽歯車71のピッチ円直径を小さくすることは可能となる。また、ウェイト7aの厚さと保持脚部73の軸方向の長さ(高さ)とは等しくしても、あるいはウェイト7aの厚さを大きくしても構わない。なお、ウェイト7aは一対の保持脚部73の間に配置されていて、これら保持脚部73によって姿勢等が制限されるものではない。このため、ウェイト7aは保持脚部73に対して太陽歯車71の軸方向に移動可能となっている。このため、ウェイト7aの公転時には、該ウェイト7aの軸方向の面が、後述するように、ガイド部材と接触することになる。このとき、保持脚部73がこのガイド部材と接触してしまうと、ウェイト7aの公転の抵抗となってしまうおそれがあるので、ウェイト7aをガイド部材に接触させるようにしている(詳細は後述)。
太陽歯車71の回転中心は、キャリア4の回転中心Oと一致している。また、この太陽歯車71には遊星歯車5が噛合する。すなわち、遊星歯車5は固定内歯車23と噛合すると共に、太陽歯車71に噛合する。
そして、太陽歯車71の回転によって、ウェイト7aは回転中心Oを中心として公転するが、その公転の際の遠心力が径方向に作用することにより、ウェイト7aは保持脚部73に対して摺動することができるようにしてある。また、保持脚部73の太陽歯車部72側の端部は、この太陽歯車部72の円環状の内周面と一致させている。この保持脚部73の下面は、図16から図18に示すように、先端部から適宜な位置まで肉厚を小さくして段部73aが形成されている。このため、ウェイト7aを保持脚部73に保持させた状態では、保持脚部73の下側面よりもウェイト7aの下面の方が下方に突出しており、上述したように、ウェイト7aを確実にガイド部材に接触させることができる。
(キャップ8)
図19と図20にキャップ8を示しており、図19はキャップ8を上部から見た状態を示す斜視図であり、図20はキャップ8を下部から見た状態を示す斜視図である。キャップ8は円盤状の蓋体部81と蓋体部81の上面の中央部に突設された支持柱部82、蓋体部81の周縁部に等間隔に上方を指向して突設させた係止脚部83とを備えている。なお、蓋体部81の外径は、ウェイトホルダ収容部26の内径に遊挿できる大きさとされている。また、蓋体部81を矩形に形成することもできるが、ウェイトホルダ収容部26に遊挿できる部分を備えていることが好ましい。
蓋体部81の上面側からは一対のレール81a,81bが突出するように形成されているが、これら一対のレール81a,81bは、回転中心Oを中心としつつも、これらの半径が異なるように設けられている。そのため、レール81aとレール81bの間には、適宜な間隔が存在している。支持柱部82の外周側にはキャリア4のフランジ部43とウェイトホルダ7が遊嵌され、キャリア4とウェイトホルダ7がこの支持柱部82を中心として回転可能とされている。このため、支持柱部82の中心は回転中心Oと一致している。ウェイトホルダ7が支持柱部82の外周側に遊嵌された状態では、上記のレール81a,81bには、ウェイトホルダ7の保持脚部73に形成された段部73aが位置する構成となっている。なお、後述するように、これらのレール81a、81bはいずれか1本でも構わない。
支持柱部82は円筒形に形成されていて、その底部は蓋体部81によって閉塞されている。また、支持柱部82の円筒の内側には、肉厚の枠状部82aを立設することによってカム溝84a,84bが形成されている。キャップ8をベース2と連結した際に、カム溝84aはベース2のカム孔24aと対向し、カム溝84bはカム孔24bと対向するように、それぞれの位置が規定されている。そして、ドライブ軸32bの上部がカム孔24aを挿通し、下部がこのカム溝84aに挿入される。また、アイドル軸33bの上部がカム孔24bを挿通し、下部がこのカム溝84bに挿入される。また、これらカム溝84a、84bは、挿入されたドライブ軸32bとアイドル軸33bとを確実に案内できると共に、ドライブ軸32bとアイドル軸33bの移動によっても容易に破損しない深さであり、またこれらは十分な肉厚の枠状部82aで形成されている。なお、支持柱部82の底部を蓋体部81によって閉塞せずに解放させた構造としても構わない。しかし、支持柱部82の底部が閉塞されている場合には、ドライブ軸32bとアイドル軸33bの下部が露呈することがない。したがって、これらドライブ軸32bとアイドル軸33bの部分に塵埃等が入り込むことが阻止される。
係止脚部83の断面形状は、ベース2の係止孔25aに対応した形状に設けられており、係止脚部83のうち支持柱部82と対向する側の先端部(上方側の部分)には支持柱部82側に突出する係止爪83aが設けられている。また、この係止脚部83の基端部には透孔83bが形成され、それによって係止脚部83に可撓性が具備されている。なお、この実施形態では、4本の係止脚部83が設けられている構成を例示したが、該係止脚部83は、少なくとも対角上に2本あればよい。
(コードガイド9)
図21と図22にコードガイド9が示されており、図21が作用側Po、すなわちコードガイド9を前方から見た状態を示す斜視図であり、図22が操作側Qi、すなわちコードガイド9を後方から見た状態を示す斜視図である。コードガイド9を構成する右側壁93と左側壁94とは、ほぼ台形に形成されており、それら上縁には屋根板95が掛け渡されている。なお、右側壁93と左側壁94の形状は台形に限らず他の形状であっても構わず、また屋根板95は平板であっても構わない。また、右側壁93の内側面には係止爪部93aが設けられており、左側壁94の内側面には係止爪部94aが設けられている。これらの係止爪部93a、94aは、ベース2に設けられた係止孔21h、21iにそれぞれ係合して、コードガイド9をベース2に連結させる。屋根板95の左右の端部からは左右に突出する状態で、肩部95aが設けられている。すなわち、この肩部95aは側壁93、94よりもさらに側方に突出している。
作用側案内口91は、上部板91a、下部板91b、および側壁93に囲まれて形成される一方、操作側案内口92は、上部板92a、下部板92b、および側壁94に囲まれて形成されている。上部板91a、92aはいずれも側壁93、94の高さ方向の中間部に掛け渡されており、下部板91b、92bはいずれも側壁93、94の下部に掛け渡されている。なお、側壁93、94の下端部であって下部板91b、92bに挟まれた部分には、矩形状に切り欠かれた切欠部93b、94bが設けられている。また、下部板91bの下面には一対の係合脚部91cが設けられていると共に、下部板92bの下面には一対の一対の係合脚部92cが設けられている。一対の係合脚部91cが互いに非対向となる側(外側)の面の間の距離(面間距離)と、一対の係合脚部92cが互いに非対向となる側(外側)の面の間の距離(面間距離)とは、上述した係合堰部25dが互いに対向する側(内側)の面の間の距離(面間距離)とほぼ等しく設けられている。
作用側案内口91と操作側案内口92とのそれぞれの高さ方向の中間部には、横方向区画部材としてのガイド板91d、92dが側壁93、94に掛け渡されて設けられている。そして、作用側案内口91には、縦方向区画部材としての一対のガイドピン96a、96bが上部板91aと下部板91bとの間に跨るように設けられている。また、操作側案内口92には、縦方向区画部材としてのガイドピン97が上部板91aと下部板91bの中央部において、両者に跨るように設けられている。なお、これらガイドピン96a、96b、97の長手方向を、ドライブローラー32のドライブ軸32bの方向と平行としてある。
(コード制動装置1の組み立て)
以上のように構成されるコード制動装置1の組み立てについて、以下に説明する。
まず、スライダ3を組み立てる。図1と図5、図6とに示すように、ローラー部32aが取り付けられたドライブ軸32bに、ローラー部32aの端部に密着させてワッシャ32cを遊嵌し、ドライブ軸32bの下部にワッシャ32cに臨ませて駆動歯車35を取り付けて、ドライブローラー32を組み立てる。それより、ローラー部32aとドライブ軸32b、駆動歯車35とが一体となって回転する。他方、ローラー部33aにアイドル軸33bを挿入して、アイドルローラー33を組み立てる。なお、ローラー部33aとアイドル軸33bとは一体となって回転する構造であっても、ローラー部33aがアイドル軸33bに対して回転する構造であっても構わない。
また、ドライブローラー32のドライブ軸32bを、スライダブラケット31の保持透孔31f1と保持透孔31g1のそれぞれに、側方から挿入する。このとき、図5に示すように、ワッシャ32cが天井壁31fおよび底壁31gのそれぞれの内側面とローラー部32aの端面との間に位置するとともに、駆動歯車35が底壁31gの下側に位置する。また、アイドルローラー33のドライブ軸32bを、天井壁31fに形成された保持透孔31f2と底壁31gに形成された保持透孔31g2のそれぞれに側方から挿入する。また、バネ収容部31eに圧縮コイルバネ34を収容させる。
次に、組み立てられたスライダ3をベース2に組み込む。スライダ3の天井壁31fの外側面がベース2の天井壁21eの内側面に対向する状態で、スライダ3をスライダ収容部21に挿入する。このとき、スライダブラケット31に形成された位置決め突起31hを、スライダ収容部21の内側面に形成された案内溝21mの下端部から差し込み、圧縮コイルバネ34を圧縮した状態とする。その状態で、位置決め突起31hを案内溝21m内で摺動させながら、天井壁21eの方向へ移動させる。このとき、圧縮コイルバネ34はスライダ収容部21の後壁21cに接触した状態となり、後壁21cの内側面とスライダ3とを離隔する方向に復元力が作用する。そして、天井壁31fから突出したドライブ軸32bとアイドル軸33bとのそれぞれが、カム孔24aとカム孔24bのそれぞれに挿入されるように、スライダ3をスライダ収容部21に対して移動させる。そして、位置決め突起31hが案内溝21m内を摺動して切欠窓部21j、21kに達すると、位置決め突起31hと案内溝21mとの間の嵌まり込みが解除されるから、スライダ3は圧縮コイルバネ34の復元力を受けて、前壁21a側へ移動する。このとき、位置決め突起31hは、切欠窓部21j、21kの縁部を摺動しながら移動し、以後は切欠窓部21j、21kの縁部によってスライダ3はスライダ収容部21から脱落することがない。しかも、圧縮コイルバネ34の復元力を受けて、スライダ3は前壁21a側に移動する方向へ押圧される。このため、圧縮コイルバネ34の復元力に抗してスライダ3を移動させなければ、スライダ3をスライダ収容部21から外すことができない。また、ドライブ軸32bはカム孔24aに挿入され、アイドル軸33bはカム孔24bに挿入された状態となることで、ドライブローラー32とアイドルローラー33とは、これらカム孔24aとカム孔24bとで規制されることになる。
スライダ3がスライダ収容部21に収容された後、キャリア収容部22にキャリア4の環状支持部42を収容させる。このときには、駆動歯車35に内歯車41を噛合させる。また、フランジ面43aの支持孔44に支持軸51を挿入して遊星歯車5を回転可能に支持させる。この状態で、遊星歯車5はベース2に形成された固定内歯車23と噛合する。そして、スライダワッシャ6が遊星歯車5を覆うように配置する。このスライダワッシャ6の外径はキャリア4の外径よりも大きく、内径は遊星歯車5の歯先が内周の内側に露呈する大きさとされている。
次いで、スライダワッシャ6の内側にウェイトホルダ7を配置する。この状態で、遊星歯車5とウェイトホルダ7の太陽歯車71とを噛合させる。そして、ウェイトホルダ7の保持脚部73にウェイト7aを保持させて、キャップ8でベース2の底部を閉じる。
キャップ8でベース2の底部を閉じる際には、キャップ保持部25に形成された係止孔25aにキャップ8の係止脚部83を挿入する。このとき、係止脚部83の弾性と係止脚部83の透孔83b付近の可撓性により、係止脚部83は外側に撓んで、ウェイトホルダ収容部26の外周面を係止爪83aが摺動しながら係止脚部83が係止孔25aに挿入される。この係止爪83aが係止孔25aを通過すると、係止脚部83が撓んだ状態から原形状に復帰するから、係止爪83aが係止孔25aの上側縁部に係合する。また、このとき、キャップ8はウェイトホルダ収容部26に挿入される。また、係止脚部83の透孔83bが形成された部分は、ウェイトホルダ収容部26の下端部に形成された切欠部26aに位置して、ウェイトホルダ収容部26の下端と蓋体部81の底面とがほぼ等しい高さとなる。この状態でキャップ8がベース2から脱落しなくなり、ベース2に収容されたスライダ3とキャリア4、遊星歯車5、スライダワッシャ6、ウェイトホルダ7、ウェイト7aがベース2の所定の位置に位置決めされる。また、キャリア4とウェイトホルダ7は、キャップ8の支持柱部82に遊嵌されて、これらキャリア4とウェイトホルダ7はこの支持柱部82を軸として回転可能となる。したがって、この支持柱部82は、キャリア4とウェイトホルダ7とを遊嵌させることができる高さとされている。
また、キャップ8でベース2を閉じる際には、スライダ3の底壁31gから下方に突出したドライブ軸32bとアイドル軸33bのそれぞれが、このキャップ8に形成されたカム溝84aとカム溝84bの挿入されるように、キャップ8の方向を定める。これにより、ドライブ軸32bがベース2のカム孔24aとキャップ8のカム溝84aにより支持され、アイドル軸33bがカム孔24bとカム溝84bに支持された状態となる。
上述のように、ベース2の底部がキャップ8によって閉じられた状態で、図23と図24に示すように、コード制動装置1が組み立てられる。そして、このコード制動装置1にコードガイド9が組み付けられる。
(コードガイド9の組み付け)
コードガイド9は、作用側案内口91がベース2の作用側開口21bと対向する向きとなる状態でベース2の上方から被せる。この姿勢でコードガイド9をベース2に押し込むと、コードガイド9の係止爪部93a、94aのそれぞれが、ベース2の係止孔21h、21iのそれぞれに係合して、コードガイド9がベース2から離脱してしまうことが防止される。また、コードガイド9の係合脚部91c、91cが、脚保持部25bの係合堰部25d、25dの内側面と対向して、これら係合脚部91c、91cと脚保持部25bの係合堰部25d、25dとが当接する。また、係合脚部92c、92cが脚保持部25cの係合堰部25d、25dの内側面と対向してこれら係合脚部92c、92cと脚保持部25cの係合堰部25d、25dとが当接する。また、コードガイド9の作用側案内口91に存在するガイドピン96a、96bの端面が、係止突起部25e、25fと対向する。コードガイド9の操作側案内口92に存在するガイドピン97の端面が、脚保持部25cに設けられた係止突起部25gに対向する。なお、コードガイド9の係合脚部91c、91cをキャップ保持部25の脚保持部25bと脚保持部25cとに位置させたことで、コードガイド9に加えられた不測の外力がベース2に収容された制動のための部材にこの外力が影響することを抑制でき、円滑な制動動作を維持できることになる。
コードガイド9が組み付けられた状態が、図2と図3に示されている。図2と図3に示すように、コードガイド9が組み付けられた状態で、昇降コードCDが通される。この昇降コードCDは、コードガイド9の作用側案内口91から、ベース2の作用側開口21bを通され、さらにドライブローラー32とアイドルローラー33との間を通され、さらにベース2の操作側開口21dおよびコードガイド9の操作側案内口92を通される。このようにコード制動装置1とコードガイド9とに通された昇降コードCDは、図2と図3の矢標Pと矢標Qとに示す方向に移動可能とされる。なお、前述したように、矢標Pで示す方向が昇降コードCDの作用側Poへの移動であり、この方向への移動を前進とする。また、矢標Qで示す方向が昇降コードCDの操作側Qiへの移動であり、この方向への移動を後退とする。
(制動用のウェイト7aへの動力伝達)
図23と図24、図25は、コード制動装置1を示しており、図23はコード制動装置1を作用側Poから見た状態を示す斜視図、図24はコード制動装置1を操作側Qiから見た状態を示す斜視図、図25はコード制動装置1の平面図である。
前述したように、スライダ収容部21に収容されたスライダ3には圧縮コイルバネ34により作用側Poに移動するよう復元力が付勢されている。このため、ドライブ軸32bは、カム孔24aの内面および補強リブカム24cの摺動面によるカム面24eに押圧され、またアイドル軸33bはカム孔24bの内面および補強リブカム24dの摺動面によるカム面24fに押圧されている。したがって、これらドライブ軸32bとアイドル軸33bとは、このカム面24e、24fに案内されて移動することになる。なお、これらドライブ軸32bとアイドル軸33bの移動に伴って、スライダ3がベース2に対して移動する。
また、コード制動装置1に通された昇降コードCDは、ドライブローラー32とアイドルローラー33に挟持される。昇降コードCDが作用側Poへ移動すると(すなわち前進すると)、ドライブローラー32とアイドルローラー33とがそれぞれ回転する。しかも、昇降コードCDの前進に伴って、ドライブローラー32とアイドルローラー33が前進して、昇降コードCDの移動を規制する規制位置に位置する。ドライブ軸32bとアイドル軸33bとは前進時にカム孔24aとカム孔24bとのそれぞれに案内されるから、ドライブローラー32とアイドルローラー33が接近する。このため、この規制位置では、これらドライブローラー32とアイドルローラー33とによる昇降コードCDを挟持する力が増加する。しかも、昇降コードCDの移動に伴って、ドライブローラー32とアイドルローラー33のうちの少なくともドライブローラー32は回転するが、それは昇降コードCDとドライブローラー32との間の摩擦力が大きいためである。この回転によってドライブ軸32bも回転する。すなわち、規制位置に位置した状態でドライブ軸32bは回転を継続する。そして、昇降コードCDの前進により、図25の平面図において矢標Uで示すように、ドライブローラー32は図25において反時計回りへ回転する。他方、アイドルローラー33は図25上で矢標Cで示すように図25において時計回り方向へ回転する。なお、アイドルローラー33の外周面と昇降コードCDとの間に滑りが生じても構わない。すなわち、アイドルローラー33がドライブローラー32と協働して昇降コードCDを挟持している状態を維持できればよい。また、必ずしもアイドルローラー33が回転することを要せず、したがって、アイドル軸33bが回転することも要しない。
ドライブローラー32が矢標U方向へ回転すると、該ドライブローラー32のドライブ軸32bに嵌入されている駆動歯車35も同方向に回転する。この駆動歯車35には、図26と図27に示すように、キャリア4の内歯車41が噛合している。このため、駆動歯車35の回転によって内歯車41が、この内歯車41の回転中心Oを中心として図26および図27において反時計回り方向に回転する。なお、図27は図2における1-1線に沿って切断した断面の斜視図である。
ところで、駆動歯車35の回転中心はドライブ軸32bの軸心であり、該軸心と回転中心Oとは一致していない。しかも、昇降コードCDの前進によって、ドライブローラー32は昇降コードCDとの間の摩擦力と圧縮コイルバネ34の復元力を受けて移動する。このため、駆動歯車35の回転中心と回転中心Oとの位置関係が変化する。これに対し、カム孔24aは、この位置関係の変化によっても駆動歯車35と内歯車41との噛合関係を維持させることができる形状となっている。しかも、ドライブローラー32が作用側Poに移動した場合であっても、アイドルローラー33と協働して昇降コードCDの挟持状態を維持できるようにする必要がある。そのため、カム孔24aとカム孔24bとは操作側Qiよりも作用側Poで互いに接近するように形成され、ほぼV字形に近い状態に設けられている。アイドル軸33bが挿入されているカム孔24bの形状により、アイドルローラー33がドライブローラー32と協働して昇降コードCDの挟持状態を維持できるように移動する。このため、昇降コードCDの前進が継続すると、該昇降コードCDとドライブローラー32とアイドルローラー33の間の摩擦力と圧縮コイルバネ34の復元力により、ドライブ軸32bとアイドル軸33bとがカム孔24a、24bに案内されて、スライダ3と共に作用側Poに移動する。
駆動歯車35の回転により内歯車41が矢標U方向と等しい方向、すなわち回転中心Oを中心として図26および図27において反時計回り方向へ回転すると、キャリア4に支持された遊星歯車5が回転中心Oを中心として図26および図27において反時計回り方向へ公転する。この遊星歯車5は、図28に示すように、ベース2の内側面に形成された固定内歯車23と噛合している。このため、遊星歯車5は公転すると共に、この固定内歯車23との噛合関係により支持軸51を軸として自転する。なお、図28は図2における2-2線に沿って切断した断面の斜視図である。
遊星歯車5は固定内歯車23と噛合すると共に、図28と図29に示すように、ウェイトホルダ7の外周面に形成された太陽歯車71とも噛合している。遊星歯車5の自転により太陽歯車71が、遊星歯車5の自転の方向とは反対の方向、すなわち、図28および図29において反時計回り方向に回転中心Oを中心として回転する。
ところで、遊星歯車5の支持軸51は内歯車41よりも下部にあるフランジ部43の支持孔44に支持されており、この支持孔44の一部の位置は環状支持部42と重なっている。このため、図30に示すように、遊星歯車5の一部は内歯車41の一部に対して、回転中心Oと平行な方向(上下方向)で重なっている。なお、図30は図2における3-3線に沿って切断した断面の斜視図である。
他方、遊星歯車5を、上記とは異なり、環状支持部42の外周面よりも外側に支持させ、それによって遊星歯車5の一部が内歯車41の一部に対し、上下方向で重ならない構造とした場合には、駆動歯車35、内歯車41、遊星歯車5、固定内歯車23は平面上に投影した場合に重畳しない位置に配置される。これに対して、図30に示すように、遊星歯車5の一部が内歯車41の一部に対し、回転中心Oと平行な方向(上下方向)で重なるように配置した場合、その配置を平面上に投影すると、該配置の一部が重畳することになる。このため、これら駆動歯車35、内歯車41、遊星歯車5の配置スペースを小さくすることができ、遊星歯車5と噛合する固定内歯車23の径も小さくなって、コード制動装置1の前後左右の大きさを小さくできる。このため、このコード制動装置1を保持させるヘッドボックスの幅員を小さくすることができる。
遊星歯車5とウェイトホルダ7のウェイト7aの間の位置には、図29に示すように、スライダワッシャ6が介在している。太陽歯車71はこのスライダワッシャ6の内周側を通過して該スライダワッシャ6の上方に突出して遊星歯車5と噛合する。また、スライダワッシャ6の外径はキャリア4の外径よりも大きいから、遊星歯車5とウェイト7aとの干渉が防止される。また、遊星歯車5は、その支持軸51が支持孔44に挿入されて回転可能とされているから、支持軸51が支持孔44から脱落してしまうおそれがある。しかしながら、支持軸51が脱落しようとしても、スライダワッシャ6に阻止される。なお、遊星歯車5は、このスライダワッシャ6に接触した状態で公転し、回転することは許容される。
太陽歯車71はウェイトホルダ7の外周面に形成されているから、太陽歯車71の回転と共にウェイトホルダ7が回転中心Oを中心として回転する。このウェイトホルダ7の保持脚部73に保持されたウェイト7aは、回転中心Oを中心として公転し、遠心力を受けて保持脚部73から外周方向へ離脱しようとする。このとき、保持脚部73は周方向に等間隔で配置されていると共に、保持脚部73は外周側が拡開した状態となっている。このため、ウェイト7aは遠心力によって容易に外周方向へ離脱できる。そして、ウェイトホルダ7は円筒状のウェイトホルダ収容部26に配置されているから、遠心力が作用しているウェイト7aはこのウェイトホルダ収容部26の内周面に当接し、該ウェイト7aはウェイトホルダ収容部26の内周面を摺動する。これがウェイトホルダ7の回転抵抗となって、ウェイトホルダ7の回転に制動力が働くことになる。なお、ウェイト7aによる制動が確実に作用するためには、ウェイト7aに発生する遠心力が大きいことが好ましく、そのためには、ウェイトホルダ7の回転数が大きいことが好ましい。このため、駆動歯車35からウェイトホルダ7に回転が伝達される際に極力増速することが好ましい。さらに、ウェイト7aは極力大きな重量とすることが好ましい。
すなわち、昇降コードCDの前進により駆動歯車35が回転し、この駆動歯車35から内歯車41、遊星歯車5、固定内歯車23、太陽歯車71の順に駆動力が伝達され、制動部材であるウェイト7aに遠心力を付与することにより制動力が発生する。この制動力によって、ウェイトホルダ7の回転が減速され、太陽歯車71と噛合する遊星歯車5の公転を減速させてキャリア4の回転を減速させる。このキャリア4の減速が、駆動歯車35の回転抵抗となる。したがって、駆動歯車35が取り付けられたドライブローラー32が減速される。このドライブローラー32にはアイドルローラー33と協働して昇降コードCDが挟持されているから、ドライブローラー32の回転の減速は昇降コードCDの移動を阻止する方向に作用して、昇降コードCDの移動を規制する制動力として働く。しかも、昇降コードCDの移動が継続している間は、ドライブローラー32とアイドルローラー33とは回転を継続するから、ウェイト7aには遠心力が継続して作用して、制動力も継続して発生する。したがって、昇降コードCDの移動に継続して制動力が作用する。
ところで、制動力を円滑に発生させるためには、ウェイト7aが確実にウェイトホルダ収容部26の内周面と当接することが必要であり、ウェイト7aが遠心力を受けて円滑に外周方向に移動することが好ましい。このため、ウェイト7aの円滑な移動を阻止しないようにする。例えば、キャップ8の蓋体部81はウェイト7aが対向している部分であり、ウェイト7aの旋回時に蓋体部81に接触すると抵抗となってしまい、ウェイト7aの円滑な移動が阻止される。また、場合によってはウェイト7aが外周方向に移動せずに、制動力が発生しなくなってしまうおそれがある。このため、蓋体部81の上面に形成したレール81a、81bに案内されてウェイト7aが旋回することにより、ウェイト7aが円滑に外周方向へ移動することができる。この場合、レール81a、81bとウェイト7aとの接触面積は極力小さくして、これらレール81a、81bとウェイト7aとの間の摩擦が生じないようにすることが好ましい。これにより、ウェイト7aは円滑に旋回できると共に、外周方向への移動も円滑に行える。なお、レール81a、81bはいずれか1本であっても構わないが、ウェイト7aが外周方向へ移動した場合に、ウェイト7aがレールから外れてしまうことがないようにする。また、ウェイト7aの旋回時の挙動によってはウェイト7aの姿勢が変化して1本のレールから外れてしまうおそれがある。このため、2本のレール81a、81bを設けることが好ましい。なお、保持脚部73の段部73aにこれらレール81a、81bが対向して位置することになる。すなわち、段部73aが形成されることにより、保持脚部73がレール81a、81bに接触しない構成とされている。
また、前述したように、ウェイト7aと遊星歯車5との間にはスライダワッシャ6が介在しているから、ウェイト7aと遊星歯車5とが接触することがなく、ウェイト7aの外周方向への移動の円滑化が損なわれることがない。
(ブラインドとコード制動装置1の作用)
次に、上述したコード制動装置1が組み込まれた遮蔽装置としての横型ブラインドの実施形態について以下に説明し、コード制動装置1の作用を併せて説明する。
図31と図32に、本発明の実施形態に係るコード制動装置1が組み込まれるブラインド100を示す。図31はブラインドの斜視図であり、図32はヘッドボックスの内部を示すヘッドボックスを水平面で切断して示す平面の断面図である。なお、このブラインド100はワンポール式と称されるブラインド100である。また、図32(A)は製品幅が小さいブラインドのヘッドボックスの場合に、図32(B)は製品幅が大きいブラインドのヘッドボックスの場合に、それぞれ対応する構造を示している。
このブラインド100は、下側に配置された遮蔽材としてのボトムレール101と上側に配置されたヘッドボックス102との間に複数枚のスラット103が配置されており、ヘッドボックス102は取付ブラケット104を介して取り付けられるが、その取付ブラケット104は天井壁や側壁に固定されている。ボトムレール101は昇降コードCDによって昇降自在に吊下されている。なお、このブラインド100では適宜な間隔で配置された2本の昇降コードCDによって、ボトムレール101が吊下されている。また、ボトムレール101とヘッドボックス102とに掛け渡されたラダーコードRCに連繋させて、それぞれのスラット103が所定の高さに設定されている。
昇降コードCDはヘッドボックス102内に引き込まれ、図示しない案内手段によって案内され、またヘッドボックス102内で長手方向に沿って張設されている。ヘッドボックス102内にはロック装置105とコード制動装置1が配設されており、2本の昇降コードCDはこれらロック装置105とコード制動装置1とに通されている。そして、コード制動装置1は2本の昇降コードCDよりも外側に、2本の昇降コードCDを臨む側が作用側Poとなる方向で配置されている。また、ヘッドボックス102内には長手方向にチルト軸107が回動可能に支持されている。このチルト軸107は、図31および図32に示すように、チルトギヤ108aとチルトジョイント108bを介してヘッドボックス102の端部に配された中空のチルトポール108と連動する。すなわち、チルトポール108を回転させると、チルトジョイント108bとチルトギヤ108aとを介してチルト軸107が回転する。また、ロック装置105とコード制動装置1とに通された昇降コードCDは、ヘッドボックス102の端部から中空のチルトポール108の内部に挿通されている。なお、チルト軸107は支持部107aによって支持されている。
図31に示すように、チルトポール108の下部にはグリップ108cがチルトポール108と一体的に設けられており、このグリップ108cを把持してチルトポール108を回転させることができる。チルトポール108に挿通された昇降コードCDは、チルトポール108の下端に存在するイコライザー108dに接続されて、このイコライザー108dを引くことによって昇降コードCDが引かれ、それによってボトムレール101が上昇する。
ラダーコードRCはスラット103の幅方向の両端部を通って、ボトムレール101とヘッドボックス102との間に掛け渡されている。また、ラダーコードRCは、ヘッドボックス102内に長手方向に配置されたチルト軸107と連動する。そして、チルトポール108の回転によりチルト軸107が回転すると、一対のラダーコードRC間で上下方向の移動が異なり、それによってスラット103の傾斜角度が変更される。
このブラインド100は窓等の内側に設けられる。ボトムレール101を上昇させるとスラット103も上方に畳み上げられて、それによって窓等から採光することができる。ボトムレール101を上昇位置から下降させた下降状態とすると、スラット103を窓等に対して対向配置することができる。また、スラット103の傾斜角度を変更することにより、下降状態であっても光量を調節して採光することができる。
ブラインド100の下降状態において、ブラインド100を上昇させて畳み上げるには、ユーザがイコライザー108dを把持し、その後に引き下げる。これにより、昇降コードCDを介してボトムレール101が引き上げられるから、スラット103も引き上げられて、窓等が開放される。このとき、昇降コードCDはコード制動装置1の作用側Poから操作側Qiへ移動する。この昇降コードのCDの移動により、ドライブローラー32はカム孔24aのカム面24eとカム溝84aに案内され、アイドルローラー33はカム孔24bのカム面24fとカム溝84bに案内される。それにより、ドライブローラー32およびアイドルローラー33は、圧縮コイルバネ34の復元力に抗してスライダ3と共に操作側Qiへ移動する。操作側Qiへの移動によって、これらドライブローラー32とアイドルローラー33が離間するから、イコライザー108dの引き下げ時には、これらドライブローラー32とアイドルローラー33は昇降コードCDに対して制動力を与えず、昇降コードCDを円滑に引くことができる。したがって、ボトムレール101は円滑に上昇することになる。また、例えば、日射角度によってボトムレール101を途中で停止させて下部を開放した状態に維持させたい場合、ボトムレール101が所望の位置となったときにイコライザー108dを引く力を緩める。すると、ロック装置105が作動して昇降コードCDの移動を阻止する。これにより、ボトムレール101が当該位置で停止して下部が開放された状態となる。この状態から改めて開放させたい場合には、イコライザー108dを僅かに引き下げればロック装置105が作動を解除して、ボトムレール101を引き上げることができる。
このブラインド100が畳み上げられた場合には、ボトムレール101が上昇してヘッドボックス102に接近している。ボトムレール101を下降させるためには、この状態で、イコライザー108dを僅かに引き下げてロック装置105の作動を解除する。イコライザー108dから手を離すと昇降コードCDが自由となるから、ボトムレール101はその自重により落下することになる。ボトムレール101の落下に伴って、昇降コードCDが操作側Qiから作用側Poに移動する。
また、スライダ3は圧縮コイルバネ34の復元力を受けて作用側Poに移動するよう付勢されており、ドライブローラー32とアイドルローラー33は昇降コードCDを挟持している。このときには、昇降コードCDを挟持する力は小さく、昇降コードCDの移動が規制されることがない。この小さい力で昇降コードCDを挟持しているドライブローラー32とアイドルローラー33の位置が解放位置となる。この状態で、昇降コードCDが操作側Qiから作用側Poへ移動すると、ドライブローラー32とアイドルローラー33は、スライダ3と共にさらに作用側Poに移動して捕捉位置に位置する。ドライブローラー32とアイドルローター33の作用側Poへの移動は、カム孔24aとカム溝84aに案内されながら移動する。なお、アイドルローラー33はカム孔24bとカム溝84bに案内されながら昇降コードCDの挟持状態を維持して作用側Poの方向へ移動する。
この昇降コードCDの操作側Qiから作用側Poへの移動により、前述したように、ドライブローラー32が図30において反時計回り方向(矢標Uで示す方向)に回転する。しかも、ドライブローラー32は捕捉位置に移動しているため、昇降コードCDは大きな力でドライブローラー32とアイドルローラー33に挟持されている。したがって、ドライブローラー32は確実に回転する。そして、前述のように、ドライブローラー32の回転が駆動歯車35から太陽歯車71に伝達されて、該太陽歯車71を回転させる。これにより、ウェイト7aに遠心力が付与され制動動作を行って制動力が発生する。この制動力を受けてドライブローラー32の回転が制動され、昇降コードCDの移動が制限される。このため、昇降コードCDに吊下されているボトムレール101の落下速度が減じられて、該ボトムレール101が低速で下降する。しかも、ボトムレール101の下降が継続しているときには、制動作用が継続する。
ボトムレール101の下降途中で、イコライザー108dを把持して昇降コードCDの移動を停止させると、ロック装置105が作動する。これにより、昇降コードCDが保持されて、ボトムレール101が当該位置に維持された状態となり、ブラインド100の下部を開放した状態とすることができる。このとき、ボトムレール101の下降速度が小さいため、容易に所望の位置で停止させることができ、所望の開度で停止させることが容易となる。
図33と図34を参照して、ポール式と称されるブラインド110にこのコード制動装置1を組み込んだ実施例を説明する。図33はブラインド110の斜視図であり、図34はヘッドボックスの内部を示すヘッドボックスを水平面で切断して示す平面の断面図である。また、図34(A)は製品幅が小さいブラインドのヘッドボックス102の場合に、図34(B)は製品幅が大きいブラインドのヘッドボックス102の場合に、それぞれ対応する構造を示している。また、なお、図31と図32に示す実施例に係る構造と同一の部位には同一の符号を付してある。
ロック装置105とコード制動装置1とを通された昇降コードCDは、ヘッドボックス102の適宜部位に設けられたコード出口102aから垂下している。垂下した2本の昇降コードCDはコードイコライザー111の一方から導入され、このコードイコライザー111の他方から操作用コードHCが垂下している。この操作用コードHCの先端部がボトムレール101の端部に接続されている。
チルト軸107はチルトギヤ112aとチルトジョイント112bを介してチルトポール112と連動するため、チルトポール112を把持して回転させるとチルト軸107が回転する。チルト軸107の回転によりラダーコードRCが操作されてスラット103の傾斜角度が変更される。また、操作用コードHCまたはコードイコライザー111を把持して昇降コードCDを引くと、ボトムレール101が上昇する。
このブラインド110においても、ブラインド100の場合と同様に、遮光のためにボトムレール101がその自重によって落下すると、コード制動装置1の作動によって、落下速度が減じられて低速で下降する。
図35および図36に示すブラインド120においては、ヘッドボックス102の中央部にてスラット103の幅員を挟んで一対の昇降コードCDが配置されている。また、一対の昇降コードCDに沿って、一対のラダーコードRCが配置されている。また、ヘッドボックス102の両端部には、昇降コードCDとラダーコードRCが配置されている。さらに、ヘッドボックス102の中央部と両端部の中間位置には、ラダーコードRCが配置されている。このブラインド120はワンポール式と呼ばれるものであり、チルト軸107はチルトギヤ121aとチルトジョイント121bを介して中空のチルトポール121と連動する。また、チルトポール121の下部に設けられたグリップ121cを把持して回転させると、チルト軸107が回転してラダーコードRCが操作される。また、昇降コードCDはチルトポール121の内部を通って、チルトポール121の下端部に配置されたイコライザー121dと連動し、このイコライザー121dを引くと、昇降コードCDが引かれて、ボトムレール101が上昇する。
このブラインド120においても、ブラインド100の場合と同様に、遮光のためにボトムレール101がその自重によって落下すると、コード制動装置1の作動によって、落下速度が減じられて低速で下降する。
また、図37および図38に示すブラインド130においては、上述したブラインド120と同様に、ヘッドボックス102の中央部にてスラット103の幅員を挟んで一対の昇降コードCDが配置されている。また、一対の昇降コードCDに沿って、一対のラダーコードRCが配置されている。また、ヘッドボックス102の両端部には、昇降コードCDとラダーコードRCが配置されている。さらに、ヘッドボックス102の中央部と両端部の中間位置には、ラダーコードRCが配置されている。このブラインド120はポール式と呼ばれるものであり、ロック装置105とコード制動装置1とを通された4本の昇降コードCDは、ヘッドボックス102の適宜部位に設けられたコード出口102aから垂下している。垂下した昇降コードCDはコードイコライザー131の一方から導入され、このコードイコライザー131の他方から操作用コードHCが垂下している。この操作用コードHCの先端部がボトムレール101の端部に接続されている。
チルト軸107はチルトギヤ132aとチルトジョイント132bを介してチルトポール132と連動する。チルトポール112を把持して回転させるとチルト軸107が回転する。チルト軸107の回転によりラダーコードRCが操作されてスラット103の傾斜角度が変更される。また、操作用コードHCまたはコードイコライザー131を把持して昇降コードCDを引くと、ボトムレール101が上昇する。
このブラインド130においても、ブラインド100の場合と同様に、遮光のためにボトムレール101がその自重によって落下すると、コード制動装置1の作動によって、落下速度が減じられて低速で下降する。
(コード制動装置1のヘッドボックス102への取付)
コード制動装置1においては、図39および図40に示すように、ヘッドボックス102の底板102bに形成された視認部となる保持孔に、コード制動装置1の下部を挿入する。保持孔は、ウェイトホルダ収容部26の円形の4カ所に、係止脚部83の外形に対応させて膨出部が形成された形状に形成されている。図39は保持孔にコード制動装置1のウェイトホルダ収容部26等が挿入された状態を示すものである。したがって、図39には保持孔が図示されていない。
図39および図40に示すように、保持孔に保持された状態では、ウェイトホルダ収容部26と係止脚部83とが、ヘッドボックス102の底板102bから、下方に突出した状態となる。この状態で、蓋体部81の外側面がヘッドボックス102の下方から視認される。蓋体部81の内側にはウェイト7aが配置されており、コード制動装置1の制動動作時にはウェイト7aに遠心力を生じさせるために旋回運動が行われる。このとき、蓋体部81が光透過性の素材や厚さが薄い素材から形成されている場合には、ウェイト7aの旋回運動を視認できるので、コード制動装置1の制動動作がなされているか否かを目視によって確認できる。また、ウェイト7aを保持している保持脚部73の旋回を視認可能な構成としても、上記の制動動作を視認することができる。
制動動作は、ウェイト7aの旋回運動以外にも目視によって確認できる部分がある。制動動作の初期には昇降コードCDを挟持するドライブローラー32とアイドルローラー33のそれぞれのドライブ軸32bとアイドル軸33bは、カム孔24a、24bに案内されて規制位置に位置する。この規制位置への移動を視認することで制動動作の適否を確認できる。また、規制位置に位置した後には、ドライブ軸32bは回転を継続するから、この回転を視認することによって制動動作を確認できる。
また、制動動作時には、駆動歯車35と内歯車41、遊星歯車5、固定内歯車23、太陽歯車71のいずれもが自転または公転するから、これらの動作によっても制動動作を確認できる。
例えば、図41に示すように、コード制動装置1を図40に示す状態とは逆さにしてヘッドボックス102に保持させると、ドライブ軸32bとアイドル軸33bとを底板102bから露呈(突出)させることができる。このため、上記の制動動作を視認することができる。なお、図41に示すように、コード制動装置1を逆さにした場合には、コードガイド9の屋根板95は設けられない。
さらに、ヘッドボックス102の底面以外であっても、制動動作の適否を確認できるようにすることが可能である。すなわち、図42と図43とに示すように、ヘッドボックス102の側板102cに保持孔を設けてコード制動装置1を保持させれば、ヘッドボックス102の側方から制動動作を確認することができる。
また、制動動作の視認性が良好となるように、コード制動装置1のベース2とキャップ8の一部または全部を、光透過性を有する素材により形成して、コード制動装置1の内部を視認できるようにすることもできる。
以上の説明では、視認部としてコード制動装置1を保持する保持孔を例示して説明したが、保持孔に限らず、制動動作を視認できる構造であれば構わず、ヘッドボックス102に開口を設けた構造とすることもできる。
(ヘッドボックス102からの制動部材1の脱落防止)
前述したように、コード制動装置1はヘッドボックス102に保持孔を介して保持されている。ところで、例えば、図32(A)と図34(B)、図38に示すコード制動装置1の設置の構造では、チルト軸107のうち、コード制動装置1の配置位置よりも端部側には、該チルト軸107の支持部107aが存在していない。このため、チルト軸107の端部側が外力を受けた場合に撓んだりしてしまうおそれがある。一方、図40に示すように、チルト軸107はコード制動装置1の上方に配置されている。コード制動装置1に不測の外力が加えられた場合に、コード制動装置1が保持孔から離脱しながらチルト軸107に衝突すると、チルト軸107が撓んでコード制動装置1が保持孔から離脱してしまうおそれがある。
しかし、図40から図43に示すように、ヘッドボックス102には、その側壁の一部を内側に突出させた係合突出部102dが設けられている。このため、コード制動装置1が保持孔から離脱しようとした場合に、この係合突出部102dにコード制動装置1に組み付けられるコードガイド9の屋根板95の肩部95aが当接して、保持孔から離脱することが防止される。
また、コードガイド9に不測の外力が作用することで、コードガイド9が振動する等の挙動が生じる場合がある。この挙動による力がコード制動装置1に組み込まれている歯車やウェイト7a等の部品に作用すると、これらの部品の円滑な動作を阻害してしまい、制動動作に支障が生じるおそれがある。
しかし、コードガイド9とコード制動装置1においては、図2および図3と図29および図30に示すように、コードガイド9の係合脚部92cが、キャップ保持部25の係合堰部25dによって移動するのが規制されている。そのため、不測の外力によるコードガイド9の振動等の挙動がコード制動装置1に伝達されることが防止される。したがって、コード制動装置1の制動動作に支障が生じることを極力防止できる。
また、コードガイド9の不測の挙動は、コードガイド9の作用側案内口91に設けられているガイドピン96a、96bと操作側案内口92に設けられているガイドピン97を離脱させてしまうおそれがある。すなわち、これらガイドピン96a、96b、97は上部板91a、92aに圧入されているが、その圧入のために、下部板91b、92bの圧入位置に対向した部分には、ガイドピン96a、96b、97を通過させることができる大きさの透孔が形成されている。このため、ガイドピン96a、96b、97が上部板91a、92aから離脱した場合には、透孔を通過してコードガイド9から脱落してしまうおそれがある。
しかし、これらガイドピン96a、96b、97のそれぞれに対応して、係止突起部25e、25f、25gが配設されているから、上部板91a、92aからガイドピン96a、96b、97が離脱した場合でも、ガイドピン96a、96b、97が係止突起部25e、25f、25gに当接する。そのため、上部板91a、92aからガイドピン96a、96b、97が離脱することが阻止される。
(昇降コードCDへの負荷の均等化と絡まりの防止)
図31と図33、図35、図37に示すように、昇降コードCDのそれぞれはコード制動装置1からボトムレール101に至るまでの長さが異なっている。このため、それぞれの昇降コードCDにかかる負荷の大きさが異なり、コード制動装置1による制動力が均一に作用しないおそれがある。制動力が不均一となると、所望の制動作用が発揮されなくなって、十分に減速されずにボトムレール101が落下してしまったり、傾きながら下降したりするおそれがある。
ところで、コードガイド9の作用側案内口91と操作側案内口92とは、それぞれ区画されている。この区画は、図21と図22に示すように、ガイド板91d、92dと、ガイドピン96a、96b、97とにより行われている。そして、図21と図44に示すように、作用側案内口91は、6区画に分割されている。なお、ぞれぞれの区画には、図44に示すように、(1)~(6)の符号を付している。また、図22と図45に示すように、操作側案内口92は、4区画に分割されている。なお、それぞれの区画には、図41に示すように、(A)~(D)の符号を付してある。また、図46に示すように、複数本の昇降コードCDを通す場合、適宜な本数ずつがガイド板91d、92dによって上下に振り分けられるようにすることが望ましい。
図47には、コード制動装置1からボトムレール101を吊下する部位までの距離(L)が異なる、昇降コードCD1と昇降コードCD2とをコード制動装置1に通す状態の一実施例が示されている。昇降コードCD1はいずれのガイド板91d、92dに対しても上側を通過させると共に、作用側案内口91では図44における区画(3)と操作側案内口92の区画(B)を通過させている。この昇降コードCD1が移動する場合には、張力が生じた状態でガイドピン96aとガイドピン97の間を通過するが、その通過においては、昇降コードCD1に負荷を生じさせる。一方、昇降コードCD2はいずれのガイド板91d、92dに対しても下側を通過させると共に、作用側案内口91では図44における区画(5)と操作側案内口92の区画(C)を通過させている。このため、この昇降コードCD2が移動する場合には、作用側案内口91では負荷が付与されることがない。すなわち、コード制動装置1を通過することにより昇降コードCD1に生じる負荷の値をS1、昇降コードCD2に生じる負荷の値をS2とすると、S1>S2となる。
一方、昇降コードCDのそれぞれの距離をL1、L2とし、距離の大きさがL1>L2であるとすると、大きい距離L1にかかる負荷の方が小さい距離L2にかかる負荷よりも大きくなる。このため、コード制動装置1を通過する際に生じる負荷の小さい昇降コードCD2を大きい距離L1となる昇降コードCDに用い、負荷の大きい昇降コードCD1を小さい距離L2となる昇降コードCDに用いる。これにより、昇降コードCD1と昇降コードCD2のそれぞれにかかる負荷の差が小さくなり、コード制動装置1による制動動作の安定を図ることができる。
また、ドライブローラー32とアイドルローラー33とで昇降コードCDを挟持することで制動力を付与するコード捕捉部では、昇降コードCDの通過時の挙動によって、上下が入れ替わってしまうおそれがある。この入れ替わりが生じると、これら昇降コードCDが絡まってしまう原因となる。昇降コードCDが絡まってしまうと、コード制動装置1の正常な作動を阻害してしまい、制動機能が損なわれてしまう。
このため、図47に示すように、2本の昇降コードCD1、CD2がコード捕捉部を通過する前後において交差するようにし、それぞれの昇降コードCD1、CD2に生じる張力の方向が異なるようにしている。これによって、昇降コードCD1と昇降コードCD2との上下の位置関係が入れ替わってしまうことが防止される。
図31と図33には、2本の昇降コードCDでボトムレール101が吊下されている場合が示されているが、ボトムレール101、ヘッドボックス102およびスラット103の幅員が大きくなると、図35と図37に示すように、必要な昇降コードCDの本数が増加する。図48は、3本の昇降コードCD1、CD2、CD3がコード制動装置1を通る場合の一実施例を示している。昇降コードCD1は、いずれのガイド板91d、92dに対しても上側を通過していて、作用側案内口91では図44に示す区画(2)を通り、操作側案内口92では図45に示す区画(B)を通過している。また、昇降コードCD2と昇降コードCD3は、いずれのガイド板91d、92dに対しても下側を通過している。また、昇降コードCD2は、作用側案内口91では図44に示す区画(6)を通り、操作側案内口92では図45に示す区画(D)を通っている。また、昇降コードCD3は、作用側案内口91では図44に示す区画(5)を通り、操作側案内口92では図45に示す区画(C)を通っている。
すなわち、ガイド板91d、92dの下側を通る昇降コードCD2と昇降コードCD2は、コード捕捉部の前後にて交差するように配置されている。また、昇降コードCD1がコード制動装置1を通過する際にかかる負荷が最も小さいから、この昇降コードCD1をコード制動装置1からボトムレール101までの距離が最も大きくなる昇降コードCDとして用いる。また、コード制動装置1を通過する際にかかる負荷は、昇降コードCD2の方が昇降コードCD3よりも大きいから、昇降コードCD2を距離が最も小さい昇降コードCDとして用い、昇降コードCD3を残りの昇降コードCDとして用いることが望ましい。しかも、これら3本の昇降コードCD1、CD2、CD3がコード制動装置1を通る場合に生じる張力の方向は異なっている。
図49は4本の昇降コードCD1、CD2、CD3、CD4がコード制動装置1を通る場合の一実施例を示している。昇降コードCD1と昇降コードCD2は、いずれのガイド板91d、92dに対しても上側を通過している。昇降コードCD1は、作用側案内口91では図44に示す区画(2)を通り、操作側案内口92では図45に示す区画(B)を通っている。昇降コードCD2は、作用側案内口91では図44に示す区画(1)を通り、操作側案内口92では図45に示す区画(A)を通っている。また、昇降コードCD3と昇降コードCD4は、いずれのガイド板91d、92dに対しても下側を通過している。また、昇降コードCD3は、作用側案内口91では図44に示す区画(6)を通り、操作側案内口92では図45に示す区画(D)を通っている。また、昇降コードCD4は、作用側案内口91では図44に示す区画(5)を通り、操作側案内口92では図45に示す区画(C)を通っている。
すなわち、ガイド板91d、92dの上側を通る昇降コードCD1と昇降コードCD2とでは、コード捕捉部の前後にて交差するように配置されている。また、ガイド板91d、92dの下側を通る昇降コードCD3と昇降コードCD4とでは、コード捕捉部の前後にて交差するように配置されている。そして、昇降コードCD1と昇降コードCD4を、コード制動装置1からボトムレール101までの距離が大きい昇降コードCDとして用い、昇降コードCD2と昇降コードCD3を、コード制動装置1からボトムレール101までの距離が小さい昇降コードCDとして用いることが望ましい。しかも、これら4本の昇降コードCD1、CD2、CD3、CD4がコード制動装置1を通る場合に生じる張力の方向は異なっている。
なお、昇降コードCDの作用側案内口91と操作側案内口92との区画を通す形態は、図47から図49に示した形態に限られず、他の区画を通す形態としても構わない。また、区画をより多数にすることで昇降コードCDを通過させる区画を選択できる範囲が多くなり、昇降コードCDの長さによる負荷の大きさに容易に対応することができる。