JP7092689B2 - 磁気ディスク用基板及び磁気ディスク - Google Patents

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Description

本発明は、磁気ディスク用基板及び磁気ディスクに関する。
従来より、磁気ディスク用基板として、ガラス基板やアルミニウム合金基板が用いられている。これらの基板には、磁性膜が基板主表面に形成されて磁気ディスクが形成される。磁気ディスクは、表面欠陥が少なく、情報の読み取り書き込みに支障が無く、大量の情報の読み取り書き込みが可能なことが望まれている。
例えば、磁気ディスク用非磁性基板としてアルミニウム合金基板を用いる場合、アルミニウム合金基板の表面にNiPめっきを行うが、このとき、めっき後の表面欠陥を抑制するために、基板表面に物理蒸着により金属皮膜を形成した磁気記録媒体用Al合金基板が知られている(特許文献1)。
特開2006-302358号公報
上記磁気記録媒体用Al合金基板では、この基板に形成するNiPめっき後の表面欠陥を低減することができる、とされている。これにより、情報の読み取り書き込みに支障が無く、大量の情報の読み取り書き込みが可能な磁気ディスクが提供され得る。
ところで、近年、ハードディスクドライブ業界では、磁気ディスクにおける磁性粒子の微細化が限界に近づいており、従来のような記録密度の向上スピードに陰りが見られている。他方、ビックデータ解析などのため、ハードディスクドライブ装置(以降、HDDともいう)に対する記憶容量の増大化の要求はますます激しくなっている。そのため、ハードディスクドライブ装置1台に搭載される磁気ディスクの枚数を増やすことが検討されている。
ハードディスクドライブ装置に組み込む磁気ディスクの枚数を増大することで記憶容量の増大化を図る場合、磁気ディスクドライブ装置内の限られた空間内で磁気ディスクの厚さのうち大部分を占める磁気ディスク用基板の厚さを薄くする必要がある。
ここで、磁気ディスク用基板の厚さを薄くすると、基板の剛性が低下して、大きな振動が発生しやすくなるとともに、その振動が収まり難い場合があることがわかってきた。例えば、クラウド向けのデータセンターでは極めて大量のハードディスクドライブ装置が用いられているため、故障にともなうハードディスクドライブ装置の交換が頻繁に行われている。このとき、新しいハードディスクドライブ装置がラックに装着される際の衝撃で故障したり、あるいは故障までの時間が短くなったりすることが判明した。さらに詳細に調査したところ、ハードディスクドライブ装置が外部から衝撃を受ける際、ハードディスクドライブ装置にはまだ電源が供給されていないため磁気ディスクは回転していないにもかかわらずダメージを受けることがわかった。
このように外部からの衝撃によって生じる振動は、回転する磁気ディスクとその周りの空気の流れによって生じる定常回転状態で生じる定常状態のフラッタ振動とは異なり、時間とともに減衰する。しかし、この振動の振幅が大きいと、磁気ヘッドが磁気ディスク上から退避するために磁気ディスクの主表面上に張り出すように設けられているランプ部材に接触してランプ部材が削れるなどしてパーティクルが発生し、さらに場合によっては磁気ディスクの表面に傷や欠陥が生じる。特に、大きな振動が減衰せず、外部部材との接触回数が多くなった場合、磁気ディスクが回転していない状況では磁気ディスク上の同じ位置において繰り返し接触が発生するため、磁気ディスク表面のパーティクル、傷や欠陥がさらにいっそう生じ易くなる。現状では、例えば公称3.5インチサイズの磁気ディスク用基板の厚さは0.8mm以上と厚いため外部からの衝撃によって生じる振動が問題になるような振幅は生じにくい。またハードディスクドライブ装置の磁気ディスクの搭載枚数は6枚以下と少ないため磁気ディスクとランプとの距離(間隙)は比較的大きい。このため、磁気ディスクとランプが接触することは少ない。しかし、今後、ハードディスクドライブ装置の記憶容量の増大化等のために、磁気ディスク用基板の厚さを薄くすると、従来問題が生じなかった外部からの衝撃による振動及びこれに伴って生じるランプ部材等の他の部材との接触、さらには接触に伴って生じるパーティクルや磁気ディスクの傷や凹みなどが無視できなくなってきた。
そこで、本発明は、外部から受ける衝撃により生じる、フラッタ振動とは異なる磁気ディスクの振動によって磁気ディスクが外部部材と接触する回数を、基板の厚さが薄くなっても効果的に低減することができる磁気ディスク用基板及び磁気ディスクを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、磁気ディスク用基板である。当該基板は、
2つの主表面を有する基板本体と、
前記主表面に設けられた、損失係数の値が0.01以上の金属材料の膜と、を備える。
前記膜を含む前記磁気ディスク用基板の厚さTは、0.700mm以下であって、
前記主表面に設けられた前記膜の厚さD[mm]と、前記膜を含む前記基板の厚さT[mm]は、下記式(1)を満足する。
D ≧ 0.0082/T-0.0015 ・・・・・(1)
前記膜の厚さD[mm]と、前記膜を含む前記基板の厚さT[mm]は、下記式(2)を満足する、ことが好ましい。
D ≧ 0.0094/T ・・・・・(2)
前記磁気ディスク用基板は円盤形状であって、
前記円盤形状の外径は90mm以上である、ことが好ましい。
本発明の他の一態様も、磁気ディスク用基板である。当該基板は、
2つの主表面を有する基板本体と、
前記主表面に設けられた膜と、を備える。
前記磁気ディスク用基板は、外径90mm以上の円盤形状であり、
前記膜を含む前記磁気ディスク用基板の厚さTは、0.700mm以下であって、
前記基板の内周部を固定した状態で2[msec]で120[G]の衝撃を前記主表面の法線方向に与えた際に、前記基板の外周端部の板厚方向(基板の主表面の法線方向)の振動による変位量が0.2mm以上となる回数が4回以下となるように前記膜が設けられている。
ここで、前記基板本体(膜がない構成の磁気ディスク用基板)については、前記磁気ディスク用基板に前記衝撃を与えた際に、前記基板の外周端部の板厚方向の振動による変位量は0.2mm以上となる回数が4回を超えるものであってもよい。
前記膜は、前記基板の全面を覆うように設けられ、
前記基板の端面における前記膜の膜厚は、前記主表面における前記膜の膜厚より厚く、
前記端面における膜厚が、前記主表面における膜厚の110%以上となるように前記膜が設けられている、ことが好ましい。
前記基板の厚さTは、0.640mm以下である、ことが好ましい。
前記基板の厚さTは、0.520mm以下である、ことが好ましい。
前記膜のビッカース硬度Hvは100[kgf/mm]以上である、ことが好ましい。
前記膜の材料は、Ni-P合金を含む、ことが好ましい。
前記膜は、前記基板本体の主表面及び外周端面に形成され、
前記基板本体の、前記膜との界面を形成する外周端面の表面粗さの最大高さRzは0.5μm以上である、ことが好ましい。
前記膜は、前記基板本体の主表面及び外周端面に形成され、
前記磁気ディスク用非磁性基板の外周端面における前記膜の表面粗さの最大高さRzは、前記基板本体の外周端面における前記基板本体の表面粗さの最大高さRzより小さい、ことが好ましい。
本発明の他の一態様は、前記磁気ディスク用基板の表面に少なくとも磁性膜を有する、磁気ディスクである。
上述の磁気ディスク用基板及び磁気ディスクによれば、外部から受ける衝撃により生じる、フラッタ振動とは異なる磁気ディスクの振動によって磁気ディスクが外部部材と接触する回数を、基板の厚さが薄くなっても効果的に低減することができる。
本実施形態の磁気ディスク用基板の外観形状の一例を示す図である。 本実施形態の磁気ディスク用基板の端部と膜の一例を説明する図である。 本実施形態の磁気ディスク用基板の振動の一例を示す図である。 本実施形態の磁気ディスク用基板の厚さT[mm]と厚さD[mm]の範囲を説明する図である。
以下、本発明の磁気ディスク用基板について詳細に説明する。なお、以降の説明では、磁気ディスク用ガラス基板を用いて説明するが、磁気ディスク用基板の基板本体は、ガラス基板の他に、非磁性の金属製基板であってもよい。すなわち、基板本体は、ガラスや金属からなる非磁性基板である。
ガラス基板の材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、必要に応じて化学強化を施すことができ、また主表面の平坦度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アモルファスのアルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
金属製基板の材料として、例えば、アルミニウム合金、チタン合金、及びSi単結晶等を用いることができる。アルミニウム合金の場合、マグネシウムを成分として含んでもよい。アルミニウム合金等の金属製基板は、一般的にガラス基板よりもヤング率が低いため、外部衝撃の影響により振動が大きくなりやすい。したがって、金属製基板は、本件発明を適用することで特に大きな改善効果が得られるため、金属製基板の適用は好ましい。
図1は、本実施形態の磁気ディスク用基板の外観形状を示す図である。図1に示すように、本実施形態における磁気ディスク用基板1(以降、単に基板1という)は、内孔2が形成された、円盤状の薄板の基板である。基板1のサイズは問わないが、基板1は、例えば、公称で直径2.5インチや3.5インチの磁気ディスク用基板に好適に適用できる。公称で直径3.5インチの磁気ディスク用基板の場合、円盤形状の外径(直径)は90mm以上であることが好ましい。具体的に、円盤形状の外径の公称値は、95mmや97mmとすることができる。このような大きな円盤形状であっても、後述する膜を主表面に形成することにより、磁気ディスクの振動に起因するパーティクルや傷や凹みの発生を低減することができる。また、円盤形状の外径(直径)の上限は、例えば100mmである。一般的な3.5インチ型HDD(一般的なPCケースの3.5インチベイに搭載できるサイズ)の幅が101.6mmであるため、100mmを超えると壁の厚みを十分取れない恐れがある。なお、フラッタ振動とは異なる外部からの衝撃により生じる磁気ディスクの振動は、基板1の外径が大きいほど大きくなるとともに、減衰はしにくくなる。したがって、基板1は外径が大きい程、後述する本実施形態の効果を発揮することができるので、好ましい。すなわち、本実施形態の磁気ディスク用基板は、特に公称3.5インチ以上のサイズの磁気ディスク用基板向けとして好ましい。
図2は、基板1の端部と膜の一例を説明する図である。図2に示すように、基板1は、基板本体3と膜4とを有する。
基板本体3は、一対の主表面3aと、一対の主表面3aに対して直交する方向に沿って配置された側壁面3bと、一対の主表面3aと側壁面3bとの間に配置された一対の面取面3cとを有する。側壁面3b及び面取面3cは、基板1の外周側の端部及び内周側の端部に形成されている。
基板本体3にガラスを用いる場合、基板本体3のガラス組成は例えば、モル%表示で、SiOを、55~78%、LiOを、0.1~1%、NaOを、2~15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを、合計で10~25%、含み、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量に対するCaOの含有量のモル比(CaO/(MgO+CaO+SrO+BaO))が0.20以下とすることができる。このガラスを、ガラス1という。
また、基板本体3のガラスは例えば、モル%表示で、SiOを45~68%、Alを5~20%、SiOとAlの合計含有量(SiO+Al)を60~80%、Bを0~5%、MgOを3~28%、CaOを0~18%を含有し、BaOおよびSrOの合計含有量(BaO+SrO)を0~2%、アルカリ土類金属酸化物の合計含有量(MgO+CaO+SrO+BaO)を12~30%、アルカリ金属酸化物の合計含有量(LiO+NaO+KO)を3.5~15%、Sn酸化物およびCe酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含み、Sn酸化物およびCe酸化物の合計含有量を0.05~2.00%とする、アモルファスの酸化物ガラスとすることもできる。このガラスを、ガラス2という。
図2に示すように、基板本体3の全面、すなわち主表面3a、側壁面3b、及び面取面3cには、膜4が設けられている。膜4は、基板1の防振特性を高くする。
膜4は、損失係数の値が0.01以上の材料の膜である。膜は、金属材料で構成される。
膜4の金属材料は、基板本体3の材料よりも損失係数の高い材料である。損失係数の値は、室温、例えば、25℃における値である。以降、損失係数は、室温における値をいう。
ここで、膜4の損失係数は、基板本体3、及び基板本体3に膜4を形成した基板1のそれぞれを試験試料として、試験試料の共振周波数及び共振周波数における半値幅を振動試験によって求めることができる。振動試験では、例えば日本テクノプラス社製の「自由共振式ヤング率、剛性率及び内部摩擦測定装置(JEシリース゛)」を用いることができる。振動試験で得られた試験試料の共振周波数と半値幅から試験試料の損失係数を求める。さらに、基板1の共振周波数及び損失係数と、基板本体3の共振周波数と、基板本体3の厚さと膜4の厚さの比と、基板本体3の材料の密度と膜4の金属材料の密度の比とから、膜4の損失係数を例えば下記に示す既知の式にしたがって算出することができる。
基板1の共振周波数及び損失係数をそれぞれf、ηとし、基板本体3の共振周波数をfとし、基板本体3の厚さに対する膜4の合計厚さの比をaとし、基板本体3の材料の密度に対する膜4の金属材料の密度の比をbとしたとき、膜4の損失係数ηは、α=(f/f・(1+a・b)として、η=α/(α-1)・ηと表すことができる。
このような膜4の特性(損失係数)を有する材料として、NiとPを含むNi-P合金を好適に用いることができる。Ni-P合金の場合、非磁性となるようにPを含有させればよい。例えば、Pの含有量を5~15質量%とすることができる。また、膜4の金属材料として、Mg合金、Al-Zn合金、Mg-Zr合金等を用いることができる。なお、成膜方法としては、例えばスパッタ法や、無電解メッキ法、電解メッキ法等を用いることができる。これらの中から適宜選択すればよい。
基板本体3と膜4を含めた基板1の厚さTは、0.700mm以下である。
さらに、主表面3aに設けられた膜4の厚さD[mm]と、膜4を含む基板1の厚さT[mm]は、下記式(1)を満足する。なお、膜4の厚さは、主表面の場所によって変化せず、主表面において一定であることが好ましい。
D ≧ 0.0082/T-0.0015 ・・・・・(1)
このような基板1は、0.700mm以下の厚さを有するので、外部からの衝撃等により基板1に振動が生じ易いが、上記振動が生じても、基板本体3の主表面3a上には、膜4が形成されているので、上記振動を早期に減衰させることができる。さらに、膜4が端面を含む金属本体1の周り全体を切れ目なく覆うことは、これにより上記振動の抑制の程度が特に高くなるので好ましい。また、この場合、膜4が基板本体3よりも硬質であることがより好ましい。また、基板本体3の両側の主表面3aに形成される膜4の厚さD1とD2が同等であることがさらに好ましい。このような場合、局部的に大きく変形するような振動モードが形成されにくく、振動の抑制の程度はより高くなる。そのため、例えばランプ部材や隣接位置のディスクとの接触回数を減らすことができる。
なお、本実施形態では、両側の主表面3aそれぞれに膜4が形成されるが、本実施形態には、一方の主表面3aにのみ膜4を形成する構成も含まれる。この場合、膜4の厚さDは、一方の主表面3aに形成された膜4の厚さである。
基板1に磁性膜を形成して作られる磁気ディスクは、ハードディスクドライブ装置内で、内孔2の近傍の主表面において、ハードディスクドライブ装置のスピンドルと固定されている。例えば、交換のために新たなハードディスクドライブ装置をラックに装着するときや、ラック内のハードディスクドライブ装置を別の場所に移動させるために取り外すときなどに、それらの動作に伴って外部からの衝撃をハードディスクドライブ装置は受ける場合がある。このような衝撃によって、基板1の主表面3aが主表面3aの法線方向(基板1の厚さ方向)に変位する振動が生じる。この変位は、主表面の外周端面に置いて最も大きくなる。また、この振動は、回転する磁気ディスクとその周りの空気の流れによって生じる定常回転状態で生じる定常状態のフラッタ振動とは異なり、図3に示すように、時間とともに減衰する振動である。図3は、基板1の外周端部における主表面の法線方向の振動の一例を示す図である。
このような振動は、磁気ディスクが回転している場合でも、静止している場合でも生じる。このため、この振動が長時間続き、基板1から形成された磁気ディスクがハードディスクドライブ装置内でランプ部材に接触して磁気ディスクの表面にパーティクル、傷や凹みを生じさせることは好ましくなく、さらに、この接触によりランプ部材が削れるなどしてパーディクルを発生させるおそれもある。特に、静止している磁気ディスクが振動してランプ部材と接触する場合、磁気ディスクの同じ場所がランプ部材と多数回接触することになるので、パーティクル、傷や凹みを生じさせる場合が多くなり易い。
しかし、基板1では、損失係数の値が0.01以上である金属材料で構成した膜4であって、膜4の厚さD(=D1+D2)[mm]と、基板本体3の厚さT[mm]とは、D ≧ 0.0082/T-0.0015の関係にある。厚さTが薄いほど振動による振幅は大きくなるとともに、振幅は減衰し難くなるが、厚さDの下限を定めて厚さDを確保することができるので、基板1の振動を早期に減衰させることができる。膜4の損失係数の値は、0.02以上であることが好ましい。他方、膜4における損失係数の値の上限については特に限定されないが、損失係数の値が大きすぎる材料は、金属材料中の結晶が壊れやすい軟らかい材料である場合がある。膜4の硬度が低すぎる場合、磁気ディスクとした後に表面が傷つきやすくなり、HDDのクラッシュを引き起こすおそれがある。このため、実用的な金属材料を用いることができる点から例えば0.3以下であることが好ましい。
厚さDが0.0082/T-0.0015未満であると、膜4の厚さDが基板本体3の厚さTに対して十分に厚くないので、基板1における振動を早期に減衰させることは難しい他、膜4が主表面3aの振動の初期の振幅を小さくすることもできない。厚さDを 0.0082/T-0.0015以上とすることにより、主表面3aを覆う膜4の厚さが十分になるので、基板1における振動を早期に減衰させるとともに、振動の初期の振幅を小さく抑えることができる。これにより、磁気ディスクの振動によって磁気ディスクがランプ部材等の外部部材と接触する回数を、基板の厚さが薄くなっても効果的に低減することができる。さらに、厚さDは0.0094/T以上であることが好ましい。厚さDを0.0094/T以上とすることにより、磁気ディスクが外部部材と接触する回数を低減する効果が一層大きくなり、HDD起動後のトラブル発生確率は低くなるので好ましい。
なお、基板1には、メディア工程において磁性膜等が成膜されるが、任意の1つの表面におけるこの磁性膜等の膜厚は合計しても0.1μm以下であるので、本明細書で問題にする振動への影響は無視できる。すなわち、磁気ディスクとした後であっても基板1と振動特性は同じである。
図4は、本実施形態の基板1の厚さT[mm]と厚さD[mm]の範囲を説明する図である。本実施形態における範囲は、図4中の実線の曲線に対して矢印で記した上方の領域である。このように、厚さTが薄くなる程、厚さDの下限は厚くなる。
膜4は、主表面3aのみに設けられ、側壁面3b及び面取面3cに設けられなくても、上記効果を奏するが、図2に示すように、膜4は、基板1の全面を覆うように設けられる、すなわち、主表面3aの他に、基板本体3の端面、すなわち、側壁面3b及び面取面3cにも連続して設けられることが好ましい。基板1で生じる振動は、主表面3aの法線方向に変位する振動であり、この振動における主表面3aの法線方向への変位に連動して基板本体3の端面でも、主表面3aの法線方向に変位する。膜4を、主表面3aの他に、基板本体3の端面、すなわち、側壁面3b及び面取面3cにも設けることにより、主表面3aの法線方向への変位量、すなわち振動の振幅を抑制することができる。これは、2つの主表面を膜4で接続したことによって、膜4の振動抑制効果が高まったためと推定される。
また、側壁面3b及び面取面3cにおける膜4の厚さは、主表面3aのそれぞれにおける厚さD1,D2に比べて厚いことが好ましい。こうすることで、2つの主表面の接続性、連結性が高まり、膜4の振動抑制効果が高まると推定される。基板1で生じる振動は、主表面3aの法線方向に変位する振動であり、この振動における主表面3aの法線方向への変位に連動して基板本体3の端面でも、主表面3aの法線方向に変位する。このような変位を抑制することで、主表面3aの法線方向への変位量、すなわち振動の振幅を抑制することができることから、主表面3aの他に、基板本体3の端面、すなわち、側壁面3b及び面取面3cにも膜4が形成されることが好ましい。
基板本体3の端面(側壁面3b及び面取面3c)における膜厚は、主表面3aにおける膜厚D1,D2(膜厚D1,D2が異なる場合、厚い方の膜厚)の110%以上となるように膜4が設けられていることが好ましい。これにより、基板1の厚さTに影響を与えることなく振動の振幅を抑制することができる。また、基板本体3の端面における膜厚は、主表面3aにおける膜厚D1,D2の150%以下であることが好ましい。基板本体3の端面における膜厚が、主表面3aにおける膜厚D1,D2の150%を超えると、基板1の外周の端部の質量増加により、基板1が磁気ディスクとして回転することにより生じる遠心力が増大し、この遠心力によりフラッタ振動が大きくなり易いので好ましくない。
磁気ディスクの厚さは薄くなればなるほど振動の振幅が大きくなるので、磁気ディスクが、ハードディスクドライブ装置内で他の部材との接触回数が増え、さらには接触に伴って生じるパーティクルや磁気ディスクの傷や凹みの欠陥が多くなる問題が生じるが、基板1の場合、厚さを0.640mm以下にしても、上記問題は生じ難い。基板1の厚さは、
0.570mm以下、さらには、0.52mm以下にしてもよく、0.400mm以下にしてもよい。また、基板1の厚さとして、例えば、0.635mm以下、0.550mm以下、0.500mm以下、0.381mm以下とすることができる。基板1の厚さの下限は機械的耐久性の観点から0.2mm以上であることが好ましい。基板1が薄くなるほど、原則としてパーティクル発生の問題、さらに場合によっては傷や凹みの欠陥の発生の問題が大きくなるが、本実施形態では、パーティクルや傷や凹みの欠陥を低減する効果は顕著になる。
基板1の厚さTを0.640mm以下とすると、一般的な3.5インチ型HDDの高さが26.1mm(一般的なPCケースの3.5インチベイに搭載できるサイズ)であって、後述するランプ部材間の磁気ディスクが入る隙間が磁気ディスクの厚み+0.4mm)において基板搭載枚数を8枚から9枚に増やすことが可能となるため好ましい。なお、HDDの高さを26.1mm以上とすれば9枚以上の搭載枚数とすることも可能である。また、基板の厚さを0.520mm以下とすると、上記と同じサイズのHDDにおいて基板搭載枚数を10枚以上にすることが可能となるためより好ましい。
これらのHDDは従来よりも多くの基板を搭載しているため、外部衝撃を受けた際にディスクとランプ部材や隣にあるディスクとの接触が多くなりやすく、当該接触に起因する障害(パーティクル、傷、凹み)が発生しやすいという問題があったが、本実施形態の基板を用いることで障害を減らすことが可能となる。
一実施形態によれば、膜4のビッカース硬度Hvは100[kgf/mm]以上であることが好ましい。ビッカース硬度Hvを高くすることにより、ハードディスクドライブ装置内のランプ部材等と接触したときに傷や凹みの欠陥が生じにくくなる。ビッカース硬度Hvは100[kgf/mm]未満の場合、ハードディスクドライブ装置内のランプ部材等と接触したときに傷や凹みの欠陥が生じ、ハードディスクドライブ装置の故障が生じやすくなる。
一実施形態によれば、円盤形状の基板本体3の、膜4との界面を形成する外周端面の表面粗さの最大高さRz(JIS B 0601:2001)は0.5μm以上である、ことが好ましい。本明細書では、基板本体3の、膜4との界面における粗さを、基板本体3の、膜4との界面を形成する外周端面の表面粗さという。基板本体3には、外周端面を含めて膜4が形成されているが、以下に示す方法で基板本体3の外周端面の断面画像を取得することができ、最大高さRzを求めることができる。具体的には、まず、膜4が設けられている基板1の外周端面を、イオンポリッシング法を用いて、基板1の中心を通り主表面に垂直な面で切出して、外周端面の断面が露出した試料を作成する。この断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて例えば5000倍の倍率の外周端面の断面画像を得る。当該画像から、基板本体3の、膜4と接する界面を形成する基板本体3の表面の凹凸曲線を、例えば断面画像の二値化処理あるいは目視によるトレース処理を行って取得し、当該凹凸曲線上の任意の場所にある幅20μmの領域を抽出して最大高さRzを求める。
膜4と接する基板本体3の界面に、ある程度の表面凹凸があることによって、膜4による振動の抑制は高まる。この振動の抑制は、基板本体3と膜4の界面においてお互いの凹部に侵入し食い込むことによって両者の密着性が高まり、膜4による振動の抑制の効果が基板本体3に影響を与えるためである、と推察される。また、膜4を厚くすることで膜剥がれを引き起こす要因となる膜応力が大きくなるが、上記最大高さRzを0.5μm以上とすることにより、膜応力による膜剥がれを防止することもできる。外周端面は主表面と比べて面積が小さい上に複雑な形状であり、さらに基板1の板厚は0.700mm以下と従来より薄いため、基板1の外周端面は膜剥がれが発生しやすい。しかし、基板本体の表面(界面)のRzを0.5μm以上とすることにより、基板本体3と膜4との密着性を高め、膜4の剥離を防止してHDDの長期信頼性を高めることができる。
なお、基板本体3の外周端面の表面粗さの最大高さRzは、上述の振動の抑制をより高めるために、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることがさらに好ましい。他方、最大高さRzが過度に大きくなると、膜4の成膜後の表面粗さ(基板1の外周端面における表面粗さ)が、基板本体3の表面粗さに倣って大きくなり、主表面研磨等の加工時に外周端面に異物が付着し易くなり、さらには、磁性膜の成膜後の磁気ディスクにおいても外周端面に異物が付着し易くなるため、基板1や、ハードディスクドライブ装置の製造時の歩留りが低下する虞れが生じる。なお、上記最大高さRzを0.5μm以上とする外周端面の場所は、少なくとも外周端面の一部であればよいが、上記振動の抑制を高め、及び膜剥がれ防止効果を高めるためには、側壁面3b及び面取面3cの両方であることが好ましい。
他方、基板本体3の主表面において最大高さRzを大きくしすぎると、膜4の形成初期に欠陥が形成されてそれが伝搬し、膜4の表面に凹部やクラック等の欠陥が発生するおそれがある。これらの欠陥はコロージョンや研磨後の表面欠陥の原因となるので取り除くことが好ましいが、根が深く、取り除くことが困難であるため、磁性膜を成膜して磁気ディスクとした後にも影響が残る。よって、基板本体3の主表面においては最大高さRzを例えば1μm以下とすることが好ましい。
また、一実施形態によれば、基板1の外周端面における膜4の表面粗さの最大高さRzは、基板本体3の外周端面(膜4と接する境界面)における基板本体3の表面粗さの最大高さRzより小さい、ことが好ましい。
基板1の外周端面における膜4の表面粗さの最大高さRzについては、例えば、触針式の表面粗さ・輪郭形状測定機を用いて、以下の条件で外周端面の複数箇所(例えば3箇所)の最大高さRzを求め、この複数箇所の平均値を、上記膜4の表面粗さの最大高さRzとする。なお、このとき触針の移動(走査)方向は非磁性基板1の厚さ方向とする。
・触針の形状:先端半径が2μm、円錐のテーパ角度が60°
・触針荷重:0.75mN
・触針移動速度:0.02mm/秒
・サンプリング長さ:0.08mm
・フィルタλc:0.08mm
・フィルタλs:0.0008mm。
基板1の外周端面における膜4の表面粗さの最大高さRzが過度に大きいと、磁性膜の成膜等の後工程の際に基板1への異物付着や外周端面の把持による傷付きの要因となり易いことから、上記最大高さRzは小さい方が好ましい。このため、基板1の外周端面における膜4の表面粗さの最大高さRzを、基板本体3の外周端面(膜4と接する境界面)における基板本体3の表面粗さの最大高さRzより小さくすることが好ましい。これにより、基板本体3と膜4との密着性を高め、膜4の剥離を防止してHDDの長期信頼性を高めつつ、基板1上に磁性膜を成膜する時などに、外周端面における異物の付着や外周端面の把持による傷付きを防止することができる。最大高さRzは1.0μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがより一層好ましい。なお、上記最大高さRzを制限する基板1の外周端面の場所は、少なくとも基板1の外周端面の一部であればよいが、上記振動の抑制効果を高め、及び膜剥がれ防止効果を高めるためには、基板1の表面であって、側壁面3b及び面取面3cの両方の表面に形成された膜4の表面部分であることが好ましい。なお、外周端面における膜4の表面粗さは、下地である基板本体3の表面粗さに倣い易い。したがって、基板本体3の表面粗さを大きくしすぎた場合は、膜4の形成後に端面研磨処理等の追加工が必要となる場合がある。
このような基板1の他の一実施形態では、基板1は、外径90mm以上の円盤形状であり、基板1の厚さは、0.700mm以下である。このとき、基板1の内周部を固定した状態で2[msec]で120[G]の衝撃を与えた際に、基板1の外周端部の板厚方向(主表面の法線方向)の振動による変位量が0.2mm以上となる回数が4回以下となる特性を有するように膜4が設けられている。例えば、膜4の損失係数及び膜厚が上記特性を実現するように設定される。
上記変位量が0.2mm以上となる回数が4回以下であれば、外部部材との同じ位置における繰り返し接触回数は2以下になるので好ましい。さらに、上記変位量が0.2mm以上となる回数が2回以下であることがより好ましい。上記回数が2回以下の場合、基板1の一方の面において複数回の接触がないことを意味する。すなわち、磁気ディスクにおいて、主表面の同じ位置における繰り返しの衝突が一切ないことになるので、上記変位量が0.2mm以上となる回数が2回以下であることがより好ましい。
ここで、基板本体3の特性は、基板本体3に上記衝撃を与えた際に、この基板本体の外周端部の板厚方向の振動による変位量が0.2mm以上となる回数が4回を超えるものであってもよい。膜の材料や膜厚を調整した膜4を設けることにより、変位量が0.2mm以上となる回数を4回以下に抑えることができる。
一般的に、基板1が外径90mm以上の円盤形状であり厚さが0.700mm以下である場合、基板1の外周端部の板厚方向の振動による変位量は大きくなる傾向にあるが、基板1は、膜4の効果により、振動による変位量が0.2mm以上となる回数を4回以下に制限される。
このような基板1は、例えば以下のように作製される。ここでは一例として、基板1としてガラス基板を用いる場合について述べる。
まず、一対の主表面を有する板状の磁気ディスク用ガラス基板の素材となるガラスブランクの成形処理が行われる。次に、このガラスブランクの粗研削が行われる。この後、ガラスブランクに形状加工及び端面研磨が施される。この後、ガラスブランクから得られたガラス基板に固定砥粒を用いた精研削が行われる。この後、第1研磨、化学強化、及び、第2研磨がガラス基板に施される。この後、膜形成、及び膜研磨が行われる。なお、本実施形態では、ガラス基板の作製を上記流れで行うが、上記処理が常にある必要はなく、これらの処理は適宜行われなくてもよい。例えば上記のうち、端面研磨、精研削、第1研磨、化学強化、第2研磨については実施されなくてもよい。以下、各処理について、説明する。
(a)ガラスブランクの成形
ガラスブランクの成形では、例えばプレス成形法を用いることができる。プレス成形法により、円形状のガラスブランクを得ることができる。さらに、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の製造方法を用いて製造することができる。これらの公知の製造方法で作られた板状ガラスブランクに対し、適宜形状加工を行うことによって磁気ディスク用ガラス基板の元となる円板状のガラス基板が得られる。
(b)粗研削
粗研削では、ガラスブランクの両側の主表面の研削が行われる。研削材として、例えば遊離砥粒が用いられる。粗研削では、ガラスブランクが目標とする板厚寸法及び主表面の平坦度に略近づくように研削される。なお、粗研削は、成形されたガラスブランクの寸法精度あるいは表面粗さに応じて行われるものであり、場合によっては行われなくてもよい。
(c)形状加工
次に、形状加工が行われる。形状加工では、ガラスブランクの成形後、公知の加工方法を用いて円孔を形成することにより、円孔があいた円盤形状のガラス基板を得る。その後、ガラス基板の端面の面取りを実施する。これにより、ガラス基板の端面には、主表面と直交している側壁面3bと、側壁面3bと両側の主表面3aとの間に、主表面3aに対して傾斜した面取面3cが形成される。
(d)端面研磨
次にガラス基板の端面研磨が行われる。端面研磨は、例えば研磨ブラシとガラス基板の端面(側壁面3bと面取面3c)との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して研磨ブラシとガラス基板とを相対的に移動させることにより研磨を行う処理である。端面研磨では、ガラス基板の内周側端面及び外周側端面を研磨対象とし、内周側端面及び外周側端面を鏡面状態にする。なお、端面研磨は、場合によっては行なわれなくてもよい。
(e)精研削
次に、ガラス基板の主表面に精研削が施される。例えば、遊星歯車機構の両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面3aに対して研削を行う。この場合、例えば固定砥粒を定盤に設けて研削する。あるいは遊離砥粒を用いた研削を行うこともできる。なお、精研削は、場合によっては行なわれなくてもよい。
(f)第1研磨
次に、ガラス基板の主表面3aに第1研磨が施される。第1研磨は、遊離砥粒を用いて、定盤に貼り付けられた研磨パッドを用いる。第1研磨は、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面3aに残留したクラックや歪みの除去をする。第1研磨では、主表面3aの端部の形状が過度に落ち込んだり突出したりすることを防止しつつ、主表面3aの表面粗さ、例えば算術平均粗さRaを低減することができる。
第1研磨に用いる遊離砥粒は特に制限されないが、例えば、酸化セリウム砥粒、あるいはジルコニア砥粒などが用いられる。なお、第1研磨は、場合によっては行なわれなくてもよい。
(g)化学強化
ガラス基板は適宜化学強化することができる。化学強化液として、例えば硝酸カリウム,硝酸ナトリウム、またはそれらの混合物を加熱して得られる溶融液を用いることができる。そして、ガラス基板を化学強化液に浸漬することによって、ガラス基板の表層にあるガラス組成中のリチウムイオンやナトリウムイオンが、それぞれ化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオンやカリウムイオンにそれぞれ置換されることで表層部分に圧縮応力層が形成され、ガラス基板が強化される。
化学強化を行うタイミングは、適宜決定することができるが、化学強化の後に研磨を行うようにすると、表面の平滑化とともに化学強化によってガラス基板の表面に固着した異物を取り除くことができるので特に好ましい。また、化学強化は、場合によっては、行われなくてもよい。
(h)第2研磨(鏡面研磨)
次に、化学強化後のガラス基板に第2研磨が施される。第2研磨は、主表面3aの鏡面研磨を目的とする。第2研磨においても、第1研磨と同様の構成の研磨装置を用いて研磨する。第2研磨では、第1研磨に対して遊離砥粒の種類及び粒子サイズを変え、樹脂ポリッシャの硬度が軟らかいものを研磨パッドとして用いて鏡面研磨を行う。こうすることで主表面3aの端部の形状が過度に落ち込んだり突出したりすることを防止しつつ、主表面3aの粗さを低減することができる。主表面3aの粗さは、算術平均粗さRa(JIS B 0601 2001)は、0.2nm以下であることが好ましい。なお、第2研磨後の基板の主表面3aは、膜4を有する基板1における最表面にはならないので、第2研磨は、場合によっては行なわれなくてもよい。
(i)膜形成
作製されたガラス基板の主表面3a、側壁面3b、及び面取面3cに膜4が形成される。膜4の形成は、電解メッキ、無電解メッキ、スパッタ法等により行われる。膜4の形成前に、膜4の密着性を向上させるための前処理や下地層の形成を必要に応じて行ってもよい。膜4は、主表面3a、側壁面3b、及び面取面3cに形成され、いずれの面においても同等の膜厚とすることができる。形成された膜4の内部応力を緩和するために膜4の形成後、膜4のアニール処理(熱処理)が必要に応じて行われる。なお膜4は、最終的に磁気ディスクとしたときにノイズの原因とならないよう、非磁性とすることが好ましい。
(j)膜研磨
膜4の形成後、膜4の表面粗さを小さくするために、基板本体3の主表面3a上の膜4の研磨が行われる。膜研磨は、鏡面研磨を目的とする。膜研磨においても、第1研磨と同様の構成の研磨装置を用いて研磨することができる。膜研磨では、第1研磨に対して遊離砥粒の種類及び粒子サイズを変え、樹脂ポリッシャの硬度が軟らかいものを研磨パッドとして用いて研磨を行う。膜研磨では、必要に応じて、複数の研磨が行われてもよい。この場合、後工程の研磨ほど、遊離吐粒の粒子サイズを細かくして精密な研磨を行う。このように主表面3aに形成される膜4を研磨し、側壁面3b及び面取面3cの膜4は研磨しないことによって、側壁面3b及び面取面3cにおける膜4の厚さを、主表面3aにおける膜4の厚さに比べて厚くすることができる。
側壁面3b及び面取面3cに形成された膜4は、上述したように、基板1の主表面3aの振動の振幅を抑制する効果を奏するので、側壁面3b及び面取面3cにおける膜4の厚さは、主表面3aの振動の振幅を抑制することができる程度の厚さになるように、膜4の厚さは設定されることが好ましい。
膜研磨後、膜4が形成されたガラス基板の洗浄が行われて、磁気ディスク用基板が作製される。
なお、基板本体3がAl合金基板である場合、例えば以下の方法で基板本体3は作製される。
まず、基板本体3となるAl合金基板を切削加工によって所要の寸法形状に機械加工する。この後、基板本体3の形状精度及び平坦度を向上させるために、加圧加熱焼鈍する。さらに、基板本体3の端面(内周端面及び外周端面)を研削及び研磨する。端面の研削では、ガラス基板の場合と同様に切削加工した基板本体3の端面に砥粒を固着させた回転工具を押しつけて両者を回転させつつ、研削液をノズルから供給して基板本体3の端面を研削する。基板本体3の面取面は、回転工具の端部の形状を予め面取形状に成形した総型砥石を用いて研削を行なうことで形成される。さらに、端面の表面粗さを低減する場合は、回転工具の表面に不織布から成るポリシャを接着し、遊離砥粒を分散させた研磨液を供給しながら基板本体3の端面を研磨する。
次に、両面研削装置を用いて基板本体3の主表面を研削加工し、さらに両面研磨装置により、発泡ポリウレタン製の樹脂ポリシャと、アルミナ砥粒あるいはコロイダルシリカ砥粒を含む研磨液とを用いて複数回研磨し、最後に洗浄する。
なお、膜4の形成の前処理として、基板本体3にジンケート処理を行ってもよい。膜4の形成後、膜4の内部応力の緩和のために適宜アニール処理が行われる。膜4のアニール処理後、さらに主表面3aの研磨が行われる。研磨は、基板の必要に応じて複数回行われる。この後、洗浄が行われて、磁気ディスク用基板1が作製される。
膜4は、上述したNi-P合金の他に、Mg合金、Al-Zn合金、Mg-Zr合金等を用いることができる。ここで、膜4の金属材料は、基板1の振動を抑制する点から、基板本体3に比べて損失係数が高く、損失係数は0.01以上の材料であるが、一実施形態によれば、膜4の金属材料の損失係数は、0.02以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましい。また、基板本体3の損失係数は、0.002以下であることが好ましく、0.001以下であることがより好ましい。基板本体3の損失係数が小さいほど、膜4による振動の抑制効果が高くなるので、基板本体3の損失係数が小さいものほど好ましい。磁気ディスク用に用いられるアモルファスのアルミノシリケートガラス基板では例えば0.001以下である。また、磁気ディスク用のAl-Mg合金基板では例えば0.002以下である。このように基板本体3の損失係数に対して膜4の損失係数の値の方が十分に大きいため、膜4を成膜することで振動の抑制効果が効果的に得られる。
また、一実施形態によれば、パーティクルや傷や凹みが生じ難い点から、膜4の材料のビッカース硬度Hvは、100[kgf/mm]以上であることが好ましいが、200[kgf/mm]以上であることがより好ましく、400[kgf/mm]以上であることがより一層好ましい。
下記表1には、基板本体3の材料及び膜4として好適に用いることができる材料の特性を示す。下記表1に示す損失係数は、上述した損失係数の算出法を用いて算出したものである。損失係数の値は室温における値である。ビッカース硬度Hvは、マイクロビッカース硬度計を用いて、膜4については薄膜のため圧子荷重10gf、基板本体3については圧子荷重300gfの条件で測定したものである。
Figure 0007092689000001
上記表1において、アルミノシリケートガラスの損失係数は、上述のガラス1やガラス2の組成を含むいくつかのガラスから求めたものである。なお、ガラス2の場合の典型的な損失係数の値は0.0006であり、ビッカース硬度は741[kgf/mm]である。
Al-Mg合金の組成は例えば、質量%で、Mg:3.5~5%、Si:0~0.05%、Fe:0~0.1%、Cu:0~0.12%、Mn:0~0.3%、Cr:0~0.1%、Zn:0~0.5%、Ti:0~0.1%、残部はAl、である。
Mg合金の組成は、質量%で、Mg:91.57%,Al:7.6%,Zn:0.7%,Mn:0.13%である。
Al-Zn合金の組成は、質量%で、Al:60%,Zn:40%、である。
Mg-Zr合金の組成は、質量%で、Mg:99.4%,Zn:0.6%である。
Ni-P合金の組成は、質量%で、Ni:90%,P:10%である。
表1からわかるように、基板本体3の材料として、アルミノシリケートガラスあるいはAl-Mg合金を用い、膜4の材料として、Ni-P合金、Mg合金、Al-Zn合金、及びMg-Zr合金を用いることが、振動の抑制の点から好ましいことがわかる。また、Ni-P合金、Al-Zn合金、及びMg-Zr合金は、ビッカース硬度Hvが100[kgf/mm]以上であって高く、膜4の材料としてより好適であり、パーティクルや傷や凹みが生じ難くなる。また、Ni-P合金はビッカース硬度Hvがとりわけ高く、膜4の材料としてより一層好適であることがわかる。
(実験例1)
磁気ディスク用基板1の効果を調べるために種々の基板を作製した(例1~21)。
磁気ディスク用基板1の基板本体の材料に、アルミニウム合金(Al-Mg合金)を用いた。膜4を形成する場合、膜4は、Ni-P合金(P:10質量%、残部Ni)を無電解メッキにより基板本体3の全表面を均一の膜厚で覆うように形成した。その後、両面研磨装置を用いて両側の主表面を研磨し、それぞれの主表面において膜4の厚さの10%を研磨除去した。最終的な膜4の厚さは、両側の主表面において同じであり、それぞれの膜4の厚さは、端面における膜4の厚さの90%とした。換言すれば、端面における膜4の厚さは、主表面における膜4の厚さの約111%とした。Ni-P合金の損失係数の値は0.01以上を満足する。
また、作製した基板1のサイズは、外径95mm、内径(円孔直径)25mmであり、外周端面及び内周端面のそれぞれにおいて両主表面との接続部に面取面が形成されている。この面取面の仕様については、Tが0.64mm以上の場合は主表面に対する角度が45°、半径方向の長さが150μm、板厚方向の長さが150μmである。また、Tが0.64mm未満の場合は主表面に対する角度が45°、半径方向の長さが100μm、板厚方向の長さが100μmである。このとき外周端面の粗さは、基板本体3の表面及び基板1の表面ともに最大高さRzが0.1μmとなるように調整した。
作製した基板1を、高速度カメラを備える評価装置に取り付けた。この評価装置では、任意の大きさの外部衝撃を加えることが可能であり、それに伴い発生する基板の外周端部の動き(振動)を動画として撮影することができる。そして、その動画を解析することで、主表面の法線方向における外周端部の変位を測定することができる。
なお、実際のHDDでは、磁気ヘッドのランプロード機構のためのランプが組み込まれており、各磁気ディスクを装着した際に、両主表面から0.2mmの隙間が空くようになっている。すなわち、ランプ間の磁気ディスクが入る隙間は磁気ディスクの厚み+0.4mmである。実際のHDDでは、基板の厚さが変化してもこの隙間が一定となるように設計される。一方、評価装置にはこのランプは設けられていない。したがって、振動による基板の変位量によって、実際のHDDにおいてランプに接触するか否かの判断は、基板の変位量で判断され、変位量が0.2mm未満であれば、ランプとの接触は起こらないと判断することができる。なお、メディア工程で成膜される磁性膜等の厚さは、任意の1つの表面において、下地膜や軟磁性層等を含めても100nm以下程度なので実質的に無視できる。本件の評価では、基板は回転しておらず静止状態で評価した。
この評価装置を用いて、2[msec]で120[G]の衝撃を、基板1の主表面の法線方向に加える衝撃試験を行い、外周端部の主表面の法線方向への振動を測定した。測定結果は図3のような波形データとして表される。この波形データから、基板の外周端部の変位量0の中心に対して法線方向のいずれかの向きへの変位量がそれぞれ0.2mm以上となった回数をカウントし、下記の評価基準に基づいて評価した。図3に示す例では、カウント回数は4である。当該カウント回数が少ないほど、基板1が外部部材と接触する回数が少ないので、この基板1を用いた磁気ディスクにおいて、HDD起動後のトラブル発生確率は低くなり、HDDの寿命が延びると推察される。
5回以上 … ×(不合格)
3~4回 … ○(良:合格)
2回以下 … ◎(優良:合格)
下記表2に評価結果を示す。
Figure 0007092689000002
表2における例1,4,7,10,13,16,19は比較例であり、それ以外の例は実施例である。
基板の厚さTが0.381~0.700mmにおいて、表2の例1~21のうち、例1,4,7,10,13,16,19を除く各例は、D ≧ 0.0082/T-0.0015であり、評価結果はいずれも合格であった。
さらに、D ≧ 0.0094/Tを満足する例3,6,9,12,15,18,21の評価結果は優良であった。
(実験例2)
ガラス材料を基板本体3に用いた基板1の効果を調べるために種々の基板を作製した(例22~30)。
ガラス材料に、上述したガラス1用いた。また、膜4は、実験例1と同様に、Ni-P合金(P:10質量%、残部Ni)を実験例1と同様に無電解メッキ法で形成し、その後、実験例1と同様に、両面研磨装置を用いて両側の主表面を研磨し、それぞれの主表面において膜4の厚さを調整した。
評価についても、実験例1と同じ評価方法を用い、カウント回数で評価した。
下記表3に評価結果を示す。
Figure 0007092689000003
表2における例22~30のうち、例22,25,28は比較例であり、例23,24,26,27,29,30はいずれも実施例である。
基板の厚さTが0.400~0.640mmにおいて、例22,25,28を除く各例は、D ≧ 0.0082/T-0.0015であり、評価結果はいずれも合格であった。
さらに、D ≧ 0.0094/Tを満足する例24,27,30の評価結果は優良であった。
以上の評価結果より、基板1の効果は明らかである。
(実験例3)
基板本体3の、膜4との界面を形成する外周端面の表面粗さの最大高さRzを種々調整した基板1を作製し剥離試験を行って、最大高さRzの効果を調べた(例31~39)。
基板本体3は、実験例1に用いたアルミニウム合金(Al-Mg合金)を用いた。膜4は、実験例1と同様の方法で、Ni-P合金(P:10質量%、残部Ni)を基板本体3の全表面を均一の膜厚で覆うように形成した。基板1の外周端面の最大高さRzは、端面研削に用いる総型砥石に含まれる砥粒のサイズや、その後の端面研磨に用いる研磨砥粒のサイズを変更して調整した。なお、基板本体3の、膜4との界面を形成する外周端面の表面粗さを種々調整すると、基板1上の外周端面における膜4の表面粗さも変化するが(例えば、基板本体3と膜4との界面の粗さを増大させると、基板1の表面側の膜4の表面粗さも増大する)、基板1上の外周端面における膜4の表面粗さの最大高さRzは0.5μm以下となるように適宜端面研磨を行って調整した。
作製した基板1の外周端面における膜4の剥離試験を行った。外周端面の膜4が剥離し易い基板1は、HDDの長期的な信頼性の点から好ましくない。すなわち、外周端面における膜4が部分的に剥がれた場合、基板1の両側の主表面上の膜4同士を接続し連携する効果が小さくなり、振動抑制効果が悪化するおそれがある。
剥離試験では、ダイヤモンドペンを用いて外周端面の側壁面に形成された膜4上に、板厚方向のスクラッチを側壁面の円周方向に1mm間隔で5本連続して設けたスクラッチ領域を形成し、このスクラッチ領域に粘着テープを押しあて、粘着テープを剥がし、剥がした跡の膜4の表面を顕微鏡で観察して、膜4の剥がれの程度を評価した。スクラッチ領域は、外周端面の周上において30°毎に12箇所設け、各場所において膜4の剥がれの程度を調べ、膜4の剥離が発生した場所をカウントした。なお、膜4が剥離しかけている場合も剥離したものとしてカウントし、以下のように分類した。
・レベル1:10箇所以上で膜4が剥離した。
・レベル2:7~9箇所で膜4が剥離した。
・レベル3:4~6箇所で膜4が剥離した。
・レベル4:0~3箇所で膜4が剥離した。
下記表4に評価結果を示す。表4に示す例6,9,12は、実験例1における例6,9,12であり、例6,9,12の基板本体3と膜4との界面の最大高さRzはいずれも0.1μmであった。また、表4に示す例6,9,12の外周端面の膜4の表面粗さ(すなわち基板1の表面粗さ)は、最大高さRz値で0.1μmであり、例31~39については最大高さRz値で0.5μmであった。
Figure 0007092689000004
表4の結果より、厚さT,Dによらず、最大高さRzを0.5μm以上とすることにより、剥離し難さが向上することがわかる。特に最大高さRzを1.0μm以上とすることで、剥離し難さがより向上し、最大高さRzを1.5μm以上とすることで、剥離し難さがよりいっそう向上することがわかる。
以上の評価結果より、最大高さRzの効果は明らかである。
以上、本発明の磁気ディスク用基板及び磁気ディスクについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例等に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 磁気ディスク用基板
2 内孔
3 基板本体
3a 主表面
3b 側壁面
3c 面取面
4 膜

Claims (11)

  1. 磁気ディスク用基板であって、
    前記磁気ディスク用基板は、
    対向する2つの主表面と、外周端面とを有し、前記外周端面は、前記主表面に対して直交する側壁面と、前記主表面と前記側壁面との間に形成された面取面とを備えた、ガラス基板あるいはアルミニウム合金基板である円盤形状の基板本体と、
    前記基板本体の表面上に形成され、前記主表面、前記面取面および前記側壁面に亘って連続して形成されたNiとPとを含む合金の膜と、を備え、
    前記円盤形状の基板本体の外径は90mm以上であり、
    前記2つの主表面に設けられた前記膜を含む前記磁気ディスク用基板の厚さTは、0.520mm以下であって、
    前記2つの主表面に設けられた前記膜の合計の厚さD[mm]と、前記厚さT[mm]は、下記式(1)を満足し、
    前記外周端面に形成された前記膜の厚さは、前記主表面に形成された前記膜の厚さより厚く、かつ、前記主表面に形成された前記膜の厚さの150%以下である、ことを特徴とする磁気ディスク用基板。
    D ≧ 0.0082/T-0.0015 ・・・・・(1)
  2. 前記外周端面に形成された前記膜の厚さは、前記主表面に形成された前記膜の厚さの110%以上である、請求項1に記載の磁気ディスク用基板。
  3. 前記外周端面に形成された前記膜の表面粗さの最大高さRzは、前記外周端面における前記基板本体の表面粗さの最大高さRzより小さい、請求項1又は2に記載の磁気ディスク用基板。
  4. 前記外周端面に形成された前記膜との界面を形成する前記外周端面における前記基板本体の表面粗さの最大高さRzは0.5μm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板。
  5. 前記厚さD[mm]と、前記厚さT[mm]は、下記式(2)を満足する、請求項1~4のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板。
    D ≧ 0.0094/T ・・・・・(2)
  6. 前記磁気ディスク用基板の内周部を固定した状態で2[msec]で120[G]の衝撃を前記主表面の法線方向に与えた際に、前記磁気ディスク用基板の外周端部の板厚方向の振動による変位量が0.2mm以上となる回数が4回以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板。
  7. 前記膜のビッカース硬度Hvは100[kgf/mm]以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板。
  8. 前記磁気ディスク用基板は、基板搭載枚数が10枚以上のハードディスクドライブ装置用である、請求項1~7のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の磁気ディスク用基板の表面に少なくとも磁性膜を有する、磁気ディスク。
  10. 請求項9に記載の磁気ディスクと、磁気ヘッドとを有する、ハードディスクドライブ装置。
  11. 前記磁気ディスクを10枚以上有する、請求項10に記載のハードディスクドライブ装置。
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