JP7091522B2 - 保持装置 - Google Patents
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Description
A-1.静電チャック100の構成:
図1は、本実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、本実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
次に、接着部材30の構成について、詳細に説明する。
A-2-1.接着部材30の物性:
まず、接着部材30が有する物性について説明する。
次に、接着部材30の組成について説明する。
(R1 3SiO1/2)2(R2 2SiO2/2)m(R3R4SiO2/2)n ・・・一般式(1)
(R1およびR2は互いに独立に炭素数1~12の非置換または置換の脂肪族炭化水素基であり、R3は炭素数1~12の非置換もしくは置換の脂肪族炭化水素基、または、炭素数6~10の非置換もしくは置換の芳香族炭化水素基であり、R4は炭素数6~10の非置換もしくは置換の芳香族炭化水素基であり、かつ、上記ポリオルガノシロキサンはケイ素原子(Si原子)に直接結合するアルケニル基を1分子中に少なくとも2個含んでいる。)また、接着剤組成物の柔軟性を高める観点から、ポリオルガノシロキサン構造中に、RSiO3/2単位(T単位)およびSiO4/2単位(Q単位)を含まないことが好ましい。
次に、本実施形態における静電チャック100の製造方法を説明する。はじめに、チャック電極40およびヒータ電極50等の導電性材料層が内部に配置された板状のセラミックス部材10を作製する。セラミックス部材10の作製は、例えば、公知のシート積層法やプレス成形法により行うことができる。
上述した製造方法で使用される接着剤組成物から構成される接着剤(接着ペースト、接着シート)を対象に、以下に説明する性能評価を行った。図3~図5は、性能評価の結果を示す説明図である。
図3~図5に示すように、性能評価では、サンプルS1~S8の試験片が用いられた。各試験片は、サンプル毎に定められた配合量で接着剤組成物を準備し、各接着剤組成物から構成される接着剤を用いた。
各サンプルの接着ペーストの作製方法は、次の通りである。サンプルS1~S8に記載のポリオルガノシロキサンA1~A4に、それぞれ、触媒として白金触媒、シランカップリング剤、充填材および架橋剤を添加する。これにより、接着ペーストが作製される。接着ペーストの硬化速度は、充填材の種類と量とによっても調整でき、同じ種類の充填材を使用した場合、添加量が多いほど、硬化速度が遅くなる傾向にある。熱伝導率や強度の制御のための充填材としてアルミナ(Al2O3)粒子(平均粒子径10μm)を使用する。
・A1:ビニル末端ポリジメチルシロキサン(平均分子量63,000、フェニル基含有量0mol%)
・A2:ビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(平均分子量62,000、フェニル基含有量3.3mol%)
・A3:ビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(平均分子量60,000、フェニル基含有量5.0mol%)
・A4:ビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(平均分子量55,000、フェニル基含有量16.0mol%)
なお、ポリオルガノシロキサン(シリコーン樹脂)中のフェニル基の含有量は、ケイ素原子に結合するメチル基の数とフェニル基の数との総数に占めるフェニル基の数の割合に基づき、算出した。ケイ素原子に結合するメチル基およびフェニル基の数は、NMR測定により測定した。
ジメチルジクロロシラン((CH3)2SiCl2、D単位の原料)を出発物質として、このジメチルジクロロシランを加水分解し環状シロキサンオリゴマーを作製し、触媒存在下で開環重合を行う。触媒としては酸触媒とアルカリ触媒のどちらも使用可能だが、通常は水酸化カリウムを用いることができる。ポリマーの末端基は、末端基となるM単位、すなわちトリメチルシロキシ単位として、トリメチルクロロシラン((CH3)3SiCl)やヘキサメチルジシロキサン((CH3)3SiOSi(CH3)3)を、上記ジメチルジクロロシラン(D単位)に混合しておくことにより導入することができる。末端に官能基を導入する場合は、官能基を有するM単位、例えば、ジメチルビニルクロロシラン((CH3)2(CH2=CH)SiCl)を、上記ジメチルジクロロシラン(D単位)に混合しておくことにより導入することができる。ポリマーの平均分子量は、M単位とD単位の混合割合を変更することにより制御することができる。例えば、ポリオルガノシロキサンA1の平均分子量は63,000であり、これは、M単位:D単位=2:847の割合で重合を行うことにより制御可能である。反応性の官能基は、上記化合物のメチル基を例えば脂肪族不飽和炭化水素基に変更することで導入することができ、具体的には、CH3(CH2=CH)SiCl2、または、(CH3)2(CH2=CH)SiClを添加することで導入することができる。
ポリオルガノシロキサンA1の出発物質であるジメチルジクロロシラン((CH3)2SiCl2)のメチル基がフェニル基に置き換わった((C6H5)2SiCl2)、または、((CH3)(C6H5)SiCl2)を用いて、ジメチルジクロロシラン((CH3)2SiCl2)の一部を置き換えることで、上記ポリオルガノシロキサンAの合成方法と同様の手順で合成することが可能である。ポリマーの末端基は、末端基となるM単位、すなわちトリメチルシロキシ単位として、トリメチルクロロシラン((CH3)3SiCl)やヘキサメチルジシロキサン((CH3)3SiOSi(CH3)3)を、上記ジメチルジクロロシラン(D単位)に混合しておくことにより導入することができる。末端に官能基を導入する場合は、官能基を有するM単位、例えば、ジメチルビニルクロロシラン((CH3)2(CH2=CH)SiCl)を混合しておくことにより導入することができる。ポリマーの平均分子量は、M単位とD単位の混合割合を変更することにより制御することができる。また、最終的なビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーにおけるフェニル基の含有量は((C6H5)2SiCl2)、または、((CH3)(C6H5)SiCl2)の添加量を変えることで制御可能である。例えば、ポリオルガノシロキサンA2の平均分子量は62,000であり、フェニル基の含有量が3.3mol%であるが、これは、M単位:D単位(ジメチルシロキサン):D単位(ジフェニルシロキサン)=2:764:26の割合で重合を行うことにより制御可能である。同様に、ポリオルガノシロキサンA3は、M単位:D単位(ジメチルシロキサン):D単位(ジフェニルシロキサン)=2:707:37の割合で重合を行うことにより制御可能であり、ポリオルガノシロキサンA4は、M単位:D単位(ジメチルシロキサン):D単位(ジフェニルシロキサン)=2:490:93の割合で重合を行うことにより制御可能である。
・ポリオルガノシロキサンA1~A4:100重量部
・白金触媒:白金含有量で0.003重量部
・シランカップリング剤:2重量部
・アルミナ粒子:300重量部
・架橋剤:3重量部
各サンプルの接着シートの作製方法(接着ペーストの半硬化(シート化)方法)は、次の通りである。上述のように作製した接着ペーストをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に塗り広げる。塗り広げる方法は、公知の方法を用いることができ、本性能評価では、ドクターブレードを用いる。次に、PETフィルムに塗り広げられた接着ペーストを所定の大きさに切断し、その後、切断されたPETフィルム付の接着ペーストを乾燥機によって所定の時間、所定の温度で加熱することによって接着ペーストを半硬化させる。これにより、PETフィルム付の接着シートが形成される。なお、加熱中において、埃の付着を防ぐなどの必要に応じて、各接着ペーストをカバーフィルムで覆ってもよい。
(粘度)
公知の粘度測定機(例えば、東機産業(株)製コーンプレート型粘度計TVE-22H型)を使用して、接着剤組成物の粘度を測定した。具体的には、上述のように作製した接着ペーストを用いて、シェアレート1s-1,2s-1,5s-1,10s-1,20s-1,10s-1,5s-1,2s-1,1s-1の順で粘度を測定し、最初の1s-1の値を粘度とした。
公知のゴム硬度測定機(JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータ)を使用して、接着剤組成物のゴム硬度を測定した。具体的には、上述のように作製した接着ペーストを内径18mm、長さ17mmの容器へ入れ、100℃で10時間加熱した後、さらに、150℃で50時間加熱することにより、接着ペーストを硬化させて硬化体を得た。なお、当該接着ペーストから硬化体を得るための硬化条件は、接着ペーストが硬化する条件であればよく、接着ペーストを構成する材料に依存して異なっていてもよい。当該得られた硬化体の上下面におけるゴム硬度を測定し、測定値の平均値をゴム硬度とした。
公知の引張試験機(例えば、島津製作所製オートグラフ(AG-IS))を使用し、引張試験(50mm/分で実施)での、接着剤組成物の伸び率を測定した。具体的に、測定のための試験片は、上述のように作製した接着シートを100℃で10時間硬化させた後、さらに、150℃で50時間硬化させ、幅10mm×長さ70mmの短冊状に切り出すことにより作製した。接着剤組成物の厚さは、図4では、0.35mm、図3および図5では、0.15mmとした。当該試験片の両端から長さ20mmの各部分を治具で保持し、中間の長さ30mmの部分をサンプル長とした。伸び率は、当該試験片(接着剤組成物)が破断するまで引っ張り、破断したときのサンプル長(mm)から元のサンプル長(上記サンプルでは中間の長さ30mm)を引いた後、元のサンプル長(mm)で除すことにより算出した(下式(2)参照)。
伸び率(%)=[破断したときのサンプル長(mm)-元のサンプル長(mm)]/元のサンプル長(mm) ・・・(2)
公知の引張試験機(例えば、島津製作所製オートグラフ(AG-IS))を使用し、引張試験(50mm/分で実施)での、接着剤組成物の引張弾性率を測定した。具体的に、測定のための試験片は、上述のように作製した接着シートを100℃で10時間硬化させた後、さらに、150℃で50時間硬化させ、幅10mm×長さ70mmの短冊状に切り出すことにより作製した。接着剤組成物の厚さは、図4では、0.35mm、図3および図5では、0.15mmとした。当該試験片の両端から長さ20mmの各部分を治具で保持し、中間の長さ30mmの部分で引張弾性率を測定した。当該試験片(接着剤組成物)が破断するまで引っ張りながら、サンプル長による荷重の変化を測定した。当該荷重を試験片の断面積(図4では、幅10mm×厚さ0.35mm、図3および図5では、幅10mm×厚さ0.15mm)で除すことにより引張応力を算出した。引張弾性率は、以下の式(3)により算出される歪みを横軸とし、上記引張応力を縦軸とするグラフにおいて、上記引張応力が0.2~0.5MPaとなる範囲の傾きを計算することにより算出した。
歪み(%)=[引っ張り中のサンプル長(mm)-元のサンプル長(mm)]/元のサンプル長(mm) ・・・(3)
公知の引張試験機(例えば、島津製作所製オートグラフ(AG-IS))を使用し、引張試験(50mm/分で実施)での、接着剤組成物の引張強度を測定した。測定のための試験片は、上述のように作製した接着シートを100℃で10時間硬化させた後、さらに、150℃で50時間硬化させ、幅10mm×長さ70mmの短冊状に切り出すことにより作製した。接着剤組成物の試験片の厚さは、図4では、0.35mm、図3および図5では、0.15mmとした。引張強度は、当該試験片(接着剤組成物)が破断するまで引っ張り、そのときの最大点試験力を試験片の断面積(図4では、幅10mm×厚さ0.35mm、図3および図5では、幅10mm×厚さ0.15mm)で除すことで算出した。
公知の引張試験機(例えば、島津製作所製オートグラフ(AG-IS))を使用し、引張試験(2mm/分で実施)での、接着剤組成物のせん断接着強度を測定した。まず、測定のための試験片は、具体的には、上述のように作製した接着シートを幅12.5mm×長さ100mm×厚さ1mmの2枚のアルミニウム板の端12.5mm×12.5mmの部分にそれぞれ貼り付け、2枚のアルミニウム板を互いに逆方向に引っ張ることができる向きで貼り合わせた後、100℃で10時間加熱した後、さらに、150℃で50時間加熱して接着することにより作製した。これにより、2枚のアルミニウム板にそれぞれ貼り付けられた2枚の接着シートが互いに接合し、せん断接着強度の算出対象となる接着剤組成物が構成される。2枚のアルミニウム板にそれぞれ貼り付けられた接着剤組成物の試験片の厚さの合計厚さは、図4では、0.7mm、図3および図5では、0.3mmとした。次に、上記接着剤組成物にせん断力が作用するように、2つのアルミニウム板を相対移動させた。例えば、引張試験機を用いて、試験片が破断するまで、一方のアルミニウム板1を接着面に平行な一方の方向に引張速度2mm/分で移動させながら、荷重を測定する。当該試験片が破断するまでにおける最大荷重を移動前の接着剤組成物の接着面積(12.5mm×12.5mm)で除すことによりせん断接着強度を算出した。
公知の引張試験機(例えば、島津製作所製オートグラフ(AG-IS))を使用し、引張試験での、接着剤組成物のせん断接着歪み(歪み量)を測定した。図7は、せん断接着歪みの算出方法を模式的に示す説明図である。まず、測定のための試験片は、具体的には、上述のように作製した接着シートを幅12.5mm×長さ100mm×厚さ1mmの2枚のアルミニウム板201,202の端12.5mm×12.5mmの部分にそれぞれ貼り付け、2枚のアルミニウム板を互いに逆方向に引っ張ることができる向きで貼り合わせた後、100℃で10時間加熱した後、さらに、150℃で50時間加熱して接着することにより作製した。これにより、図7のA欄およびB欄に示すように、2枚のアルミニウム板201,202にそれぞれ貼り付けられた2枚の接着シートが互いに接合し、せん断接着歪みの算出対象となる接着剤組成物SAが構成される。2枚のアルミニウム板201,202にそれぞれ貼り付けられた接着剤組成物の試験片の厚さの合計厚さtは、図4では、0.7mm、図3および図5では、0.3mmとした。次に、上記接着剤組成物SAにせん断力が作用するように、2つのアルミニウム板201,202を相対移動させた。例えば、引張試験機を用いて、一方のアルミニウム板201を接着面に平行な一方の方向(例えば、図7のC欄における上方向)に引張速度2mm/分で移動させながら、荷重と移動距離とを測定する。荷重を移動前の接着剤組成物の接着面積(12.5mm×12.5mm)で除すことによりせん断接着応力を算出した。このような2枚のアルミニウム板201,202の相対移動を接着剤組成物SAが破断するまで継続し、せん断接着応力が最大になったときの距離ΔLを測定する。最後に、以下の式(4)の通り、距離ΔLを移動前の接着剤組成物SAの合計厚さtで除すことにより、接着剤組成物SAのせん断接着歪み(%)を算出した。
せん断接着歪み(%)=(ΔL/t)×100 ・・・(4)
上記せん断接着強度を測定した際の試験片の破断面について、破断面全体の面積に対する凝集破壊(即ち、アルミニウム板と接着剤組成物の硬化物が界面剥離せずに接着剤組成物の硬化物自体が破断)した部分の面積の比率(百分率)を凝集破壊率として算出した。算出の結果、凝集破壊率が80%以上である場合に、破壊面の評価を「○」とした。
図6は、動的粘弾性測定装置(DMA)を使用し、接着剤組成物の貯蔵弾性率を測定した結果を示すグラフであり、縦軸は、貯蔵弾性率E’(GPa)を示し、横軸は温度(℃)を示す。ガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置(DMA)を使用して、貯蔵弾性率を測定し、当該貯蔵弾性率の測定結果から図6に示すグラフを得る。当該グラフにおいて、接着剤組成物の貯蔵弾性率が大きく低下し始める部分の接線交点PIにおける温度を特定し、当該温度をガラス転移温度(Tg)とした。測定のための試験片は、上述のように作製した接着シートを100℃で10時間硬化させた後、さらに、150℃で50時間硬化させ、幅4mm×長さ50mmに切り出すことにより作製した。
動的粘弾性測定装置(DMA)を使用し、接着剤組成物の貯蔵弾性率を測定した。測定条件は、負荷方法は引張とし、プリロード1g、周波数は11Hz、振幅は16μm、昇温速度は2℃/分にて実施した。測定は、温度を室温から一旦-150℃まで下げた後、上記の昇温速度で昇温しながら行い、-60℃における貯蔵弾性率を求めた。測定のための試験片は、上述のように作製した接着シートを100℃で10時間硬化させた後、さらに、150℃で50時間硬化させ、幅4mm×長さ50mmに切り出すことにより作製した。当該試験片における、中間の長さ40mmの部分で貯蔵弾性率を測定した。
カールフィッシャー水分計(平沼産業製 AQ-7)と水分気化装置(平沼産業製 EV-6)を用いて水分気化法にて、水分量を測定した。測定のための試験試料は、樹脂組成物を約0.2g用意し、水分気化装置を用いて150℃で加熱し、揮発した水分を、窒素ガスを用いてカールフィッシャー水分計に導入し、測定した。
充填材未添加の接着ペーストを作製し、容器に入れた状態で1時間静置した後、樹脂の分離や、白濁の有無を観察した。1時間後の接着ペーストに樹脂の分離や白濁が見られない場合は「分離なし」(図3および図5中において「○」)、樹脂の分離や白濁が見られる場合は「分離あり」(図3および図5中において「×」)と評価した。なお、充填材未添加の接着ペーストは、上記接着ペーストに添加される材料の内、充填材を除いた材料(ポリオルガノシロキサン、白金触媒、シランカップリング剤、架橋剤)で作製した。
ポリオルガノシロキサンの平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPS)を用いて測定し、ポリスチレン換算の平均分子量として算出した。溶媒にはトルエンを用いた。
図3には、サンプルS1~S4について、水分量、粘度、ゴム硬度、25℃での接着物性の評価としての、伸び率、引張弾性率、引張強度、せん断接着強度、せん断接着歪みの測定結果および破断面の評価結果が示されている。図3には、さらに、耐寒性の評価としてのガラス転移温度、25℃および-60℃での柔軟性の評価としての貯蔵弾性率の測定結果および接着ペーストの使用可能時間の評価が示されている。ポリオルガノシロキサン中のフェニル基の含有量が0mol%であるポリオルガノシロキサンA1を用いたサンプルS1の-60℃での貯蔵弾性率の値は、20×102MPaと、100MPaを超える値であった。この値は、同じサンプルS1の25℃での貯蔵弾性率の値である2.3MPaと比較して、非常に大きい値であった。すなわち、サンプルS1では、25℃から-60℃に温度を低下させると、貯蔵弾性率の値が非常に大きく上昇した。これに対して、ポリオルガノシロキサン中のフェニル基の含有量が、それぞれ、3.3,5.0,16.0mol%であるポリオルガノシロキサンA2~A4を用いたサンプルS2~S4の-60℃での貯蔵弾性率の値は、それぞれ、26,2.8,4.2MPaと、100MPa以下の値であった。また、同じサンプルS2~S4の25℃での貯蔵弾性率の値は、それぞれ、1.1,1.7,0.8MPaであり、これらと比較して、-60℃での貯蔵弾性率の値は、若干上昇するも大きくは上昇しなかった。これは、接着剤組成物がポリオルガノシロキサンを含み、当該ポリオルガノシロキサンが、両末端にR1 3SiO1/2単位と、m個のR2 2SiO2/2単位と、n個のR3R4SiO2/2単位とを含み(本実施形態では、各末端のR1の内の1つはビニル基であり、各末端のR1の内の残りの2つはメチル基であり、R2はともにメチル基であり、R3およびR4はともにフェニル基である)、当該ポリオルガノシロキサンにおけるフェニル基の含有量が、3mol%以上、16mol%以下であるためと考えられた。
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、セラミックス部材10と、ベース部材20と、セラミックス部材10とベース部材20との間に配置されてセラミックス部材10とベース部材20とを接合する接着部材30と、を備える。そして、接着部材30を構成する接着剤組成物(シリコーン樹脂組成物)は、-60℃における貯蔵弾性率が、100MPa以下であり、-60℃におけるせん断接着歪みが、100%以上であり、かつ、-60℃における伸び率が、40%以上である。
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
Claims (10)
- 導電性材料が内部に配置されたセラミックス部材と、前記セラミックス部材の熱膨張率と異なる熱膨張率を有するベース部材と、前記セラミックス部材と前記ベース部材との間に配置されて前記セラミックス部材と前記ベース部材とを接合する接着部材と、を備える保持装置において、
前記接着部材は、ポリオルガノシロキサンを含む接着剤組成物で構成され、
前記ポリオルガノシロキサンは、両末端にR1 3SiO1/2単位と、m個のR2 2SiO2/2単位と、n個のR3R4SiO2/2単位とを含み(ここで、R1およびR2は互いに独立に炭素数1~12の非置換または置換の脂肪族炭化水素基であり、R3は炭素数1~12の非置換もしくは置換の脂肪族炭化水素基、または、炭素数6~10の非置換もしくは置換の芳香族炭化水素基であり、R4は炭素数6~10の非置換もしくは置換の芳香族炭化水素基であり、かつ、前記ポリオルガノシロキサンはケイ素原子に直接結合するアルケニル基を1分子中に少なくとも2個含み、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数である)、
前記接着部材は、
-60℃における貯蔵弾性率が、40MPa以下であり、かつ、
-60℃における伸び率が、152%以上であり、
前記接着剤組成物のガラス転移温度は、-80℃以下である、
ことを特徴とする保持装置。 - 請求項1に記載の保持装置において、
前記接着部材は、-60℃におけるせん断接着歪みが、250%以上である、
ことを特徴とする保持装置。 - 導電性材料が内部に配置されたセラミックス部材と、前記セラミックス部材の熱膨張率と異なる熱膨張率を有するベース部材と、前記セラミックス部材と前記ベース部材との間に配置されて前記セラミックス部材と前記ベース部材とを接合する接着部材と、を備える保持装置において、
前記接着部材は、ポリオルガノシロキサンを含む接着剤組成物で構成され、
前記ポリオルガノシロキサンは、両末端にR1 3SiO1/2単位と、m個のR2 2SiO2/2単位と、n個のR3R4SiO2/2単位とを含み(ここで、R1およびR2は互いに独立に炭素数1~12の非置換または置換の脂肪族炭化水素基であり、R3は炭素数1~12の非置換もしくは置換の脂肪族炭化水素基、または、炭素数6~10の非置換もしくは置換の芳香族炭化水素基であり、R4は炭素数6~10の非置換もしくは置換の芳香族炭化水素基であり、かつ、前記ポリオルガノシロキサンはケイ素原子に直接結合するアルケニル基を1分子中に少なくとも2個含み、mは1以上の整数であり、nは1以上の整数である)、
前記接着部材は、
-60℃における貯蔵弾性率が、40MPa以下であり、かつ、
-60℃におけるせん断接着歪みが、250%以上であり、
前記接着剤組成物のガラス転移温度は、-80℃以下である、
ことを特徴とする保持装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記ポリオルガノシロキサンにおける前記芳香族炭化水素基の含有量は、3mol%以上、16mol%以下である、
ことを特徴とする保持装置。 - 請求項4に記載の保持装置において、
前記ポリオルガノシロキサンにおける前記R3R4SiO2/2単位の前記R3と前記R4とは、同一の置換基である、
ことを特徴とする保持装置。 - 請求項4または請求項5に記載の保持装置において、
前記ポリオルガノシロキサンにおける前記R3R4SiO2/2単位の前記R3と前記R4とは、ともにフェニル基である、
ことを特徴とする保持装置。 - 請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記ポリオルガノシロキサンは、単一種類のポリオルガノシロキサンからなる、
ことを特徴とする保持装置。 - 請求項4から請求項7までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記接着剤組成物中の水分量は、10ppm以上、5000ppm以下である、
ことを特徴とする保持装置。 - 請求項4から請求項8までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記接着剤組成物は、平均粒子径が5nm以上、50μm以下の充填材を含み、
前記充填材は、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素の内の少なくとも1つである、
ことを特徴とする保持装置。 - 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記接着剤組成物は、架橋剤を含み、
前記接着剤組成物における前記架橋剤の添加量は、前記架橋剤中の[Si-H]基と前記ポリオルガノシロキサン中の[CH 2 =CH-]基のmol比を「[Si-H]/[CH 2 =CH-]」と表した場合、その値が、0.5以上、1.5以下である、
ことを特徴とする保持装置。
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