JP2005076023A - 低弾性接着剤並びにこの接着剤を用いた積層物、接着剤付き放熱板、接着剤付き金属箔 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス転移温度が0℃以下で、−65℃の貯蔵弾性率が1×109Pa以下の低弾性材料であることを特徴とする電気回路、金属箔又は回路基板と放熱板とを接着するための低弾性接着剤であり、低弾性材料が、シリコーンゴム100重量部に対して、無機充填を40〜900重量部含有し、無機充填剤がアルミナである低弾性接着剤。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、(1)は具体的にシリコーンゴム硬化体とエポキシ樹脂層の多層構造であるため、両者の界面密着性に問題があり、耐湿信頼試験で界面剥離してしまう場合がある。(2)については、エポキシ樹脂硬化体の応力緩和性が不充分であり、部品実装信頼性に問題がある。さらに、エポキシ樹脂硬化体の厚みが100μm以上と厚いため、十分な放熱性が得られにくい。(3)についても(2)と同様に、シリコーンゴム微粒子の応力緩和性が不充分であり、多量に添加すると被着体との接着性の低下を招く。
(1) ガラス転移温度が0℃以下で、−65℃の貯蔵弾性率が1×109Pa以下の低弾性材料であることを特徴とする電気回路、金属箔又は回路基板と放熱板とを接着するための低弾性接着剤。
(2) 低弾性材料が、シリコーンゴムと無機充填剤からなることを特徴とする(1)に記載の低弾性接着剤。
(3) シリコーンゴム100重量部対して、無機充填剤を40〜900重量部含有する(1)又は(2)に記載の低弾性接着剤。
(4) 無機充填剤がアルミナである(2)又は(3)に記載の低弾性接着剤。
(5) 電気回路、金属箔又は回路基板が、(1)〜(4)のいずれかに記載の低弾性接着剤を介して放熱板に積層されてなる積層物。
(6) 金属箔が銅である(5)に記載の積層物。
(7) 放熱板がアルミニウム、銅、金、銀、鉄あるいはそれらのいずれかを含む合金である(5)又は(6)に記載の積層物。
(8) 放熱板に(1)〜(4)のいずれかに記載の低弾性接着剤を積層してなる接着剤付き放熱板。
(9) 金属箔に(1)〜(4)のいずれかに記載の低弾性接着剤を積層してなる接着剤付き金属箔。
本発明の放熱板とは、電気回路に搭載されている電子部品等からの放熱を目的に電子部品が搭載されるべき面と反対面の電気回路に積層される板であり、好ましくは金属板が使用される。また、上記電気回路は、エポキシプリプレグ等に形成されているもの、すなわち、回路基板上の電気回路であってもよい。
電気回路に放熱板が積層されている積層物は、金属箔が放熱板に積層されている積層物(放熱板付金属箔)の金属箔を回路加工することにより作製することができる。また、電気回路への電子部品の搭載は、ハンダ接続等の分野でよく知られた方法により行われる。
上記放熱板は、通常ヒートシンク、ヒートスラグ、ヒートスプレッダなどと称されている。放熱板は、銅、アルミ、ステンレス、ニッケル、鉄、金、銀、モリブデン、タングステンなどの金属及びこれらの金属から選ばれた金属を含む金属、すなわち、これらの金属を2種類以上用いた合金、または金属とガラス、合金、セラミックの複合材料を用いることができる。中でも、熱伝導率の高い銅、アルミニウム、金、銀、これらを用いた合金が好ましい。放熱板の厚みは特に制限はないが、価格及び加工性の点から0.1〜5mmが好ましい。
(1)放熱板に接着剤を塗布またはフィルム状の接着剤を貼り合せて接着剤付放熱板を作製する。次に接着剤付放熱板の接着剤面に銅箔等の金属箔を置いて熱プレスまたはロールラミネートにより接着して積層物を得る。
(2)銅箔等の金属箔に接着剤を塗布またはフィルム状の接着剤を貼り合せて接着剤付金属箔を作製する。次に接着剤付金属箔の接着剤面に放熱板を置いて熱プレスまたはロールラミネートにより接着して、積層物を得る。
(3)放熱板と銅箔等の金属箔の間にフィルム状の接着剤を挟み込み、熱プレスまたはロールラミネートにより接着して、積層物を得る。
1) シリコーンゴムを使用しているため、接着剤の低弾性化が図れる。
2) シリコーンゴムを使用しているため、高温時の接着性及び電気絶縁性の低下が少ない。
3)無機充填剤を接着剤に添加しているため、放熱性に優れている。
本発明おける低弾性接着剤は、前記したような電気回路、金属箔又は回路基板と放熱板とを接着するための接着剤に限らず、プリプレグ、フィルム、金属板等の回路基板と金属箔を張り合わせるための接着剤、半導体素子を基板に張り合わせるためのダイボンド剤等としても有用であり、半導体素子、電気回路、金属箔又は回路基板と回路基板又は電子部品搭載基板とを張り合わせるための接着剤としても有用である。特に、自動車のエンジンルーム内に設置される各種放熱基板(金属基板)の用途には好適に使用することができる。
(実施例1〜3)
シリコーンゴムとしてKE−1830(信越化学工業(株)製商品名)、無機充填剤としてアルミナAS−40(昭和電工(株)製商品名)を表1に示す配合量の低弾性接着剤を作製した。粘度調整としてトルエンを適量使用した。次に、小型攪拌脱泡装置の泡とり練太郎MX−201((株)シンキー製商品名)で5分攪拌・混練し、低弾性接着剤とした。この低弾性接着剤を、35μmt電解粗化銅箔GTSMP(古河サーキットフォイル製商品名)のマット面上に乾燥後の膜厚が70μmとなるように塗布し、80℃、10分間乾燥させBステージの低弾性接着剤を得た。その後、上記低弾性接着剤付き銅箔と1.0mmtアルミ板A1100P(昭和アルミニウム(株)製商品名)とを、170℃ 2MPa 60分間プレス接着し、積層物を作製した。その積層物の特性を測定し、結果を表2に示した。
(実施例4〜6)
シリコーンゴムとしてSE−1700(東レダウコーニングシリコーン(株)製商品名)、無機充填剤としてアルミナAO−509(アドマテックス(株)製商品名)を表1に示す配合量の低弾性接着剤を作製した以外は、実施例1〜3と同じ。
(実施例7〜9)
シリコーンゴムとしてTSE−322(GE東芝シリコーン(株)製商品名)、無機充填剤としてAX−116((株)マイクロン製商品名)を表1に示す配合量の低弾性接着剤を作製した以外は、実施例1〜3と同じ。
(比較例1)
低弾性接着剤として、エポキシ樹脂YD−134(東都化成(株)製商品名)、硬化促進剤として1−アミノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(キュアゾール2E4MZ−CN)(四国化成工業(株)製商品名)、無機充填剤としてアルミナAS−40(昭和電工(株)製商品名)を配合量(重量部)YD−134/2E4MZ−CN/アルミナAS−40=20/0.5/80とした以外は、実施例1と同じ。
(比較例2)
シリコーンゴムとしてKE−1830(信越化学工業(株)製商品名)、無機充填剤としてアルミナAS−40(昭和電工(株)製商品名)を低弾性接着剤とし、その配合量(重量部)をKE−1830/アルミナAS−40=10/90とした以外は、実施例1と同じ。
(比較例3)
シリコーンゴムの代わりにシリコーンレジンとしてKR−300(信越化学工業(株)製商品名)、無機充填剤としてアルミナAS−40(昭和電工(株)製商品名)を低弾性接着剤とした以外は、実施例1と同じ。
(1) ガラス転移温度、貯蔵弾性率
低弾性接着剤の動的粘弾性をDVE−V4(レオロジー(株)製商品名)を用い、下記の条件で測定した。
・治具:引張り
・チャック間距離:20mm
・昇温速度:5℃/分
・測定周波数:10Hz
・ サンプルサイズ:5mm幅×30mm長さ
(2) 耐半田クラック性
積層物の銅箔面をエッチングして銅パットを形成した。パット間にチップ抵抗を各5個ずつ半田付けし、−65℃(保持時間30分)〜125℃(保持時間30分)の条件で3000回ヒートサイクル試験を行い(楠本化成(株)製エタックNT1020型ヒートサイクル試験機)、光学顕微鏡により半田及びその周辺のクラックの有無を確認した。チップサイズは以下の通りである。
・1.6mm×0.8mm
・3.2mm×2.5mm
・5.0mm×2.5mm
(3)銅箔接着力
積層物の電解粗化銅箔に10mm幅の切れ込みを入れ、ワニス乾燥膜界面で剥がし銅箔接着力をJIS C 6481に準じて20℃で測定した。
(4)熱伝導率
100mm×50mmサイズの低弾性接着剤を熱伝導率測定機KemthermQTMD3(京都電子工業社製商品名)を用い、20℃における低弾性接着フィルムの熱伝導率を測定した。
Claims (9)
- ガラス転移温度が0℃以下で、−65℃の貯蔵弾性率が1×109Pa以下の低弾性材料であることを特徴とする電気回路、金属箔又は回路基板と放熱板とを接着するための低弾性接着剤。
- 低弾性材料が、シリコーンゴムと無機充填剤からなることを特徴とする請求項1記載の低弾性接着剤。
- シリコーンゴム100重量部に対して、無機充填剤を40〜900重量部含有する請求項1又は2記載の低弾性接着剤。
- 無機充填剤がアルミナである請求項2又は3に記載の低弾性接着剤。
- 電気回路、金属箔又は回路基板が、請求項1〜4のいずれかに記載の低弾性接着剤を介して放熱板に積層されてなる積層物。
- 金属箔が銅である請求項5記載の積層物。
- 放熱板がアルミニウム、銅、金、銀、鉄あるいはそれらのいずれかを含む合金である請求項5又は6記載の積層物。
- 放熱板に請求項1〜4のいずれかに記載の低弾性接着剤を積層してなる接着剤付き放熱板。
- 金属箔に請求項1〜4のいずれかに記載の低弾性接着剤を積層してなる接着剤付き金属箔。
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