JP7091030B2 - 高分子化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高分子化合物の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子等の材料としては、高分子化合物と低分子化合物が知られており、いずれも不純物であるハロゲン原子の含有量を低下させることで、発光効率が上昇したり、素子寿命が向上したりすることが知られている。
低分子化合物のハロゲン原子の含有量を低下させる方法としては、昇華精製が知られている。しかし、高分子化合物の場合は分子量が大きいためこの昇華精製法を用いることができない。そのため他の方法として、例えば、グリニャール試薬や有機リチウム試薬、ボロン酸誘導体等と反応させてハロゲン原子の含有量を低下する方法が開示されている(特許文献1)。
特開2007-220772号公報
本発明は、高分子化合物に含まれるハロゲン原子(塩素原子及び臭素原子)の含有量を十分に低減することができる高分子化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ハロゲン原子を含む高分子化合物を、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物で処理することにより、高分子化合物に含まれるハロゲン原子の含有量を十分に低減できることを見出し、さらに検討を加えることにより本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子を含む高分子化合物と、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物とを、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させることを特徴とする、当該ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物の製造方法。
[2]前記ハロゲン原子を含む高分子化合物、及び反応後に得られる前記ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量がそれぞれ、1×10~1×10の範囲である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記第四級アンモニウム化合物及び/又は前記第四級ホスホニウム化合物が、式(2)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
Figure 0007091030000001
[式中、
Yは、窒素原子又はリン原子を表す。
は、アルキル基、1価の芳香族炭化水素基、又は、1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは各々同一であっても異なっていてもよい。
Zは、OH、CO、HCO、PO、HPO、又は、HPOを表す。
mはZにより異なり、ZがOH、HCO、又は、HPOの場合は1であり、ZがCO、又は、HPOの場合は2であり、ZがPOの場合は3である。]
[4]前記ハロゲン原子を含む高分子化合物が、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物中の0.2質量ppm以上1000質量ppm以下の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲンで置換されている高分子化合物であり、前記ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物が、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物中の0.2質量ppm未満の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子で置換されている高分子化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
Figure 0007091030000002
[式中、
Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基、又は単結合を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。
Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基、又は単結合を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい。
Arは、1価の芳香族炭化水素基、又は、1価の複素環基を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい。
aは、0~2の整数を表す。]
[5]前記アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒が、いずれも炭素原子数が10以下の溶媒である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記Yが窒素原子である、[3]に記載の製造方法。
[7]前記Rが同一又は異なって、アルキル基又はアリールアルキル基である、[3]又は[6]に記載の製造方法。
[8]前記ZがOHであり、かつ、前記mが1である、[3]、[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9]前記ハロゲン原子を含む高分子化合物中に置換基としてエステル化されたカルボキシル基を有する場合、反応後に得られる前記ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物において当該基はカルボキシル基に変換されていてもよい、[1]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子を含む高分子化合物を、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物と、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させることを特徴とする、高分子化合物中のハロゲン原子の含有量を低減する方法。
本発明の製造方法によれば、ハロゲン原子を含む高分子化合物から、簡便にハロゲン原子の含有量が十分に少ない高分子化合物を製造することができる。また、本発明の製造方法の好ましい実施形態では、当該高分子化合物を収率良く製造することができる。当該製造方法で得られた高分子化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の材料として用いることができ、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率及び素子寿命を向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
1.共通する用語の説明
本明細書において使用する用語を以下に説明する。
「水素原子」は、軽水素原子であっても重水素原子であってもよい。
「アルキル基」とは、直鎖、分岐及び環状のアルキル基を意味する。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、通常1~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。分岐及び環状のアルキル基の炭素原子数は、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。
「アルキル基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アルキル基」はこれらの置換基から選択される1~20個の置換基を有していてもよい。当該置換アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-n-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基等が挙げられる。
「アリール基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた1価の基を意味する。アリール基の炭素原子数は、通常6~60であり、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~10である。当該アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基等が挙げられる。
「アリール基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アリール基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。当該置換アリール基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基、4-ヘキシルフェニル基、4-フェニルフェニル基等が挙げられる。
「アルコキシ基」とは、直鎖、分岐及び環状のアルコキシ基を意味する。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、通常1~40であり、好ましくは4~10である。分岐及び環状のアルコキシ基の炭素原子数は、通常3~40であり、好ましくは4~10である。当該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
「アルコキシ基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アリール基(当該アリール基における水素原子は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい基で置換されていてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アルコキシ基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい基で置換されていてもよい。
「アリールオキシ基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を酸素原子に置き換えた1価の基を意味する。アリールオキシ基の炭素原子数は、通常6~60であり、好ましくは7~48である。当該アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基等が挙げられる。
「アリールオキシ基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アリールオキシ基」はこれらの置換基から選択される1~10個の基で置換されていてもよい。当該置換アリールオキシ基としては、例えば、ペンタフルオロフェノキシ基、4-ヘキシルフェノキシ基、4-フェニルフェノキシ基等が挙げられる。
「置換アミノ基」は、2つの置換基を有するアミノ基を意味する。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基(当該アリール基は1~3個のアルキル基を有していてもよい)、1価の複素環基等が挙げられる。当該置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ジ(モノ又はジアルキルアリール)アミノ基が挙げられ、具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基等が挙げられる。
「エステル化されたカルボキシル基」とは、式:-COOR''(R''は、アルキル基、アリール基(当該アリール基は1~3個のアルキル基を有していてもよい)、1価の複素環基等を表す。)で表される基を意味する。当該エステル化されたカルボキシル基としては、例えば、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が挙げられ、具体的には、例えば、-COCHで表される基、-COで表される基、-COで表される基等が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、通常2~30であり、好ましくは2~20である。分岐及び環状のアルケニル基の炭素原子数は、通常3~30であり、好ましくは4~20である。当該アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテン-1-イル基、3-ブテン-1-イル基、1-シクロヘキセニル基、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基等が挙げられる。
「アルケニル基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アルケニル基」はこれらの置換基から選択される1~20個の置換基を有していてもよい。当該置換アルケニル基としては、例えば、2-フェニルエテニル基、4-オクチル-2-フェニルエテニル基等が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。直鎖のアルキニル基の炭素原子数は、通常2~30であり、好ましくは2~20である。分岐及び環状のアルキニル基の炭素原子数は、通常4~30であり、好ましくは4~20である。当該アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチン-1-イル基、3-ブチン-1-イル基等が挙げられる。
「アルキニル基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「アルキニル基」はこれらの置換基から選択される1~20個の置換基を有していてもよい。当該置換アルキニル基としては、例えば、2-フェニルエチニル基、4-オクチル-2-フェニルエチニル基等が挙げられる。
「2価の芳香族炭化水素基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数個(例えば、2~5個)が結合した2価の基を意味する。2価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、通常、6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。当該2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基等が挙げられる。
「2価の芳香族炭化水素基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「2価の芳香族炭化水素基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。当該置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、式(A-1)~式(A-20)で表される基が挙げられる。
Figure 0007091030000003
Figure 0007091030000004
Figure 0007091030000005
Figure 0007091030000006
[式中、Rは、水素原子、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。隣接するR同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表し、特に、pは1又は2である。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いたp価の基を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いたp価の基である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」としては、例えば、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物;フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物;並びにそれらの化合物が複数結合した化合物のいずれをも意味する。
「p価の複素環基」の炭素原子数は、通常、2~60であり、好ましくは3~20である。
「p価の複素環基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。「p価の複素環基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。
「1価の複素環基」としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基等が挙げられる。
「1価の複素環基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。1価の複素環基は、これらの置換基から選択される1~5個の置換基を有していてもよい。
「2価の複素環基」としては、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール等の芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数(例えば、2~4個)が結合した2価の基が挙げられる。
「2価の複素環基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、金属錯体含有基等が挙げられる。2価の複素環基は、これらの置換基から選択される1~5個の置換基を有していてもよい。当該置換基を有していてもよい2価の複素環基として好ましくは、式(A-21)~式(A-45)で表される基である。
Figure 0007091030000007
Figure 0007091030000008
Figure 0007091030000009
Figure 0007091030000010
Figure 0007091030000011
[式中、Rは、前記と同じ意味を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、又は1価の複素環基を表す。]
「2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基とが結合した基」としては、上述した2価の芳香族炭化水素基の1個又は2個以上と、上述した2価の複素環基の1個又は2個以上とが任意に結合した2価の基を意味する。2価の芳香族炭化水素基及び2価の複素環基としては、上述したものが挙げられる。
「2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基とが結合した基」は置換基を有していてもよく、その部分構造である2価の芳香族炭化水素基上には、上述した、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基及び金属錯体含有基から選択される1~10個の置換基を有していてもよく、他の部分構造である2価の複素環基上には、上述した、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基及び金属錯体含有基から選択される1~5個の置換基を有していてもよい。
「金属錯体含有基」は、金属原子(M)とそれに配位する配位子とから形成される錯体を含む基を意味し、例えば、式(C-1)~式(C-4)のいずれかで表される基が挙げられる。
Figure 0007091030000012
[式中、MはIrまたはPtである。MがIrのとき、m=2であり、MがPtのとき、m=1である。環Aは置換基を有していてもよい窒素原子を含む環状構造を表す。環Bは置換基を有していてもよい炭素原子を含む環状構造を表す。Rは、前記と同じ意味を表す。]
環Aとしては、例えば、含窒素芳香族環が挙げられ、具体的には、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール等が挙げられる。環Bとしては、例えば、芳香族環及び複素芳香族環が挙げられ、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等が挙げられる。
「環A」及び「環B」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。「環A」及び「環B」はこれらの置換基から選択される1~4個の置換基を有していてもよい。
Rとしては、アルキル基が好ましく、炭素原子数が1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
金属錯体含有基としては、例えば、式(C-11)~式(C-14)で表される基が挙げられる。
Figure 0007091030000013
「金属錯体含有基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基等が挙げられる。「金属錯体含有基」はこれらの置換基から選択される1~10個の置換基を有していてもよい。
2.本発明の製造方法
本発明の製造方法は、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子を含む高分子化合物(以下、「高分子化合物A」と表記する場合がある)と、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物とを、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させることを特徴とし、これによりハロゲン含有量が低減された(少ない)高分子化合物(以下、「高分子化合物B」と表記する場合がある)を製造することができる。
2-1.ハロゲン原子を含む高分子化合物(高分子化合物A)
本発明の製造方法で使用される原料化合物は、ハロゲン原子を含む高分子化合物(高分子化合物A)である。この高分子化合物Aは、所定のモノマーを重合して得られ、当該モノマー由来の繰り返し単位(以下、構成単位とも表記する)を2個以上有する化合物である。高分子化合物Aは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、1×10~1×10、さらに3×10~1×10、特に1×10~1×10の範囲である。高分子化合物Aは、その原料化合物、重合条件等に由来して、分子内に、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子を含有している。
具体的には、高分子化合物Aとしては、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物の0.2質量ppm以上1000質量ppm以下の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子で置換されている高分子化合物が挙げられる。
Figure 0007091030000014
[式中、
Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基、又は単結合を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除くことが好ましい)を有していてもよい。
Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、又は2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除くことが好ましい)を有していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい。
Arは、1価の芳香族炭化水素基、又は、1価の複素環基を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除くことが好ましい)を有していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい。
aは、0~2の整数を表す。]
式(1)中、Ar及びArとしては、2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環基が好ましく、2価の芳香族炭化水素基がより好ましく、これらの基は置換基(特には、アルキル基及びアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。)を有していてもよい。
Ar及びArで表される2価の芳香族炭化水素基としては、式(A-1)~式(A-3)、式(A-8)又は式(A-9)で表される基が好ましく、式(A-1)又は式(A-9)で表される基がより好ましい。
Ar及びArで表される2価の複素環基としては、式(A-35)で表される基が好ましい。
式(1)中、aは、0又は1であることが好ましい。
式(1)で表される構成単位の例として、式(1-1)~式(1-20)で表される構成単位が挙げられ、式(1-1)~式(1-4)、式(1-9)~式(1-11)、式(1-15)又は式(1-16)で表される構成単位が好ましく、式(1-1)~式(1-3)、式(1-9)、式(1-15)又は式(1-16)で表される構成単位がより好ましい。ただし、これらの例示構成単位に限定されるわけではない。
Figure 0007091030000015
Figure 0007091030000016
Figure 0007091030000017
[式中、Rは、前記と同じ意味を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物は、上記の構成単位から選ばれる1種又は2種以上の構成単位からなる高分子化合物を包含する。
高分子化合物Aは、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物中の0.2質量ppm以上1000質量ppm以下、さらに0.2質量ppm以上100質量ppm以下、特に0.2質量ppm以上10質量ppm以下の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子で置換された化合物である。上記数値は、高分子化合物Aに含まれる当該ハロゲン原子の含有量を、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物の水素原子のうち、当該ハロゲン原子で置換されている水素原子の含有量として換算したものである。具体的には、実施例に記載したように、燃焼-イオンクロマトグラフにより測定して得られる、高分子化合物中の塩素原子及び臭素原子のそれぞれの含有量を、それぞれ水素原子の含有量に換算して、その合計量で表した値である。
高分子化合物Aは、上記のように式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物中の一部の水素原子が、当該ハロゲン原子で置換されている高分子化合物である。この高分子化合物Aに含まれるハロゲン原子は、例えば、原料化合物、重合条件等に由来するものであるため、高分子化合物Aは、基本的には、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物の製造方法に基づいて製造することができる。具体的には、塩素原子又は臭素原子含有モノマーを重合することによって得られることが好ましい。重合方法として、例えば、モノマー化合物をSuzukiカップリング反応により重合する方法、Buchwaldカップリング反応により重合する方法、Stilleカップリング反応により重合する方法、Kumadaカップリング反応により重合する方法、Yamamotoカップリング反応により重合する方法等が挙げられるが、Suzukiカップリング反応により重合する方法及びBuchwaldカップリング反応により重合する方法が、構造制御のしやすさの観点から好ましい。
2-2.第四級アンモニウム化合物及び/又第四級ホスホニウム化合物
本発明の製造方法は、脱ハロゲン化剤として、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物を用いる。当該化合物を構成する対アニオンにはハロゲン原子(特に、塩素原子及び臭素原子)を含まないことが好ましい。具体的には、式(2)で表される化合物を用いる。式(2)で表される化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
Figure 0007091030000018
[式中、記号は前記に同じ。]
Yは、窒素原子又はリン原子を表す。Yは窒素原子であることが好ましい。
は、アルキル基、1価の芳香族炭化水素基、又は、1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは各々同一であっても異なっていてもよい。
は同一又は異なって、アルキル基又はアリールアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基としては、炭素原子数が1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はn-ブチル基がさらに好ましい。アリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等がより好ましく、ベンジル基がさらに好ましい。
Zは、OH、CO、HCO、PO、HPO、又は、HPOを表す。ZはOHであることが好ましい。
mはZにより異なり、ZがOH、HCO、又は、HPOの場合は1であり、ZがCO、又は、HPOの場合は2であり、ZがPOの場合は3である。
式(2)で表される化合物として例えば、以下の式(2-1)~式(2-8)で表される化合物が挙げられ、そのうち、式(2-1)~式(2-3)又は式(2-7)で表される化合物が好ましく、式(2-1)、式(2-3)又は式(2-7)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0007091030000019
[式中、Yは前記に同じ。]
上記の第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物(特に、式(2)で表される化合物)の合計使用量は、高分子化合物A 1質量部に対して、通常、0.001~1000質量部であり、好ましくは0.01~100質量部であり、より好ましくは0.1~10質量部である。
式(2)で表される化合物は、溶媒に溶解させたものを用いてもよく、水溶液で用いることが好ましい。
2-3.溶媒
本発明の製造方法では、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させることを特徴とする。反応に用いる溶媒は、上記アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を必須として含み、それ以外に反応に悪影響を与えない範囲で他の溶媒を含んでいてもよい。この場合、全溶媒の質量を100質量部とした場合、上記必須溶媒の含有量は、例えば、50~100質量部であり、好ましくは80~100質量部である。
(1)アミド系溶媒
本明細書においてアミド系溶媒とは、式(3)で表される化合物の溶媒を表す。アミド系溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
Figure 0007091030000020
[式中、R’は、前記と同じ意味を表す。複数のR’は同一でも異なっていてもよい。R’同士は互いに結合して、それぞれが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよい。]
アミド系溶媒として例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルホルムアニリド、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1-ホルミルピロリジン、1-ホルミルピペリジン、1-アセチルピロリジン、1-アセチルピペリジンが挙げられ、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドンが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドンがより好ましく、1-メチル-2-ピロリドンがさらに好ましい。
アミド系溶媒の炭素原子数は3以上が好ましく、4以上がより好ましく、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
(2)エーテル系溶媒
本明細書においてエーテル系溶媒とは、式(4)で表される化合物の溶媒を表す。エーテル系溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
Figure 0007091030000021
[式中、R’は、前記と同じ意味を表す。複数のR’は同一でも異なっていてもよい。R’同士は互いに結合して、それぞれが結合する酸素原子と共に環を形成していてもよい。]
エーテル系溶媒として例えば、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、1,2-ジメトキシエタン等の非環状エーテル溶媒や、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル溶媒が挙げられ、環状エーテル溶媒が好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
エーテル系溶媒の炭素原子数は2以上が好ましく、4以上がより好ましく、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
(3)アルコール系溶媒
本明細書においてアルコール系溶媒とは、ヒドロキシル基を有する化合物の溶媒を表す。アルコール系溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
アルコール系溶媒として例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、tert-ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂肪族アルコール溶媒や、フェノール等の芳香族アルコール溶媒が挙げられ、脂肪族アルコール溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、tert-ブタノールがより好ましく、メタノールがさらに好ましい。
アルコール系溶媒の炭素原子数は1以上が好ましく、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
(4)芳香族炭化水素系溶媒
本明細書において芳香族炭化水素系溶媒とは、芳香族炭化水素骨格を有する化合物の溶媒を表す。芳香族炭化水素系溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
芳香族炭化水素系溶媒として例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、テトラリン等が挙げられ、トルエン、エチルベンゼン、キシレンが好ましく、トルエンがより好ましい。
芳香族炭化水素系溶媒の炭素原子数は6以上が好ましく、7以上がより好ましく、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
2-4.反応条件
本発明の製造方法は、高分子化合物Aと、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物(特に、式(2)で表される化合物)とを、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させて、ハロゲンの含有量が低減された高分子化合物(高分子化合物B)を製造するものである。
反応温度は、通常、-100℃~200℃であり、好ましくは0℃~150℃であり、より好ましくは10℃~100℃である。
反応時間は、通常、1時間~100時間であり、好ましくは2時間~20時間である。
溶媒の使用量は、高分子化合物Aの1質量部に対して、通常、5質量部以上であり、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは20質量部以上であり、また、通常、1000質量部以下であり、好ましくは500質量部以下であり、より好ましくは200質量部以下である。
本発明の製造方法により、反応後の高分子化合物Bは反応前の高分子化合物Aに比べて、ハロゲン原子の含有量(即ち、水素原子がハロゲン原子に置換されている割合)が小さくなっている。つまり、本発明の製造方法により、高分子化合物中の当該ハロゲン原子の含有量を大きく低減することができる。また、本発明の製造方法は、比較的穏和な条件で実施することができ、高分子化合物の数平均分子量及びその化学的性質にほとんど影響を与えず、ほぼ定量的に高分子化合物Bを製造することができるという特徴をも有している。
2-5.ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物(高分子化合物B)
高分子化合物Bは、高分子化合物Aを前記脱ハロゲン化剤で処理して得られるハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物である。
高分子化合物Bは、例えば、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物の0.2質量ppm未満、さらに0.15質量ppm以下、特に0.1質量ppm以下の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子で置換されている高分子化合物である。上記数値は、高分子化合物Bに含まれる当該ハロゲン原子の含有量を、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物の水素原子のうち、当該ハロゲン原子で置換されている水素原子の含有量として換算したものである。具体的には、実施例に記載したように、燃焼-イオンクロマトグラフにより測定して得られる、高分子化合物中の塩素原子及び臭素原子のそれぞれの含有量を、それぞれ水素原子の含有量に換算して、その合計量で表した値である。
高分子化合物Bは、基本的には、高分子化合物Aと同じ分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、例えば、1×10~1×10、さらに3×10~1×10、特に1×10~1×10の範囲である。
なお、上記製造方法により得られる高分子化合物Bにおいて、高分子化合物A中のハロゲン原子の含有量が低減されるとともに、高分子化合物Aに含まれる置換基の一部が化学変換されている場合があり得る。その場合でも、その変換された後の置換基が高分子化合物Bの置換基の定義に含まれる場合には、本発明の製造方法に含まれるものとする。例えば、高分子化合物Aが置換基として「エステル化されたカルボキシル基」を有する場合、反応後に得られる高分子化合物Bにおいて当該基が「カルボキシル基」に変換されている場合がある。ここで、高分子化合物Aに含まれる置換基の定義に「エステル化されたカルボキシル基」を含み、高分子化合物Bに含まれる置換基の定義に「カルボキシル基」を含む場合には、当該態様も本発明の製造方法に含まれるものとする。例えば、実施例9における化合物(P-3)から化合物(P-3’)を製造する反応を参照されたい。
2-6.その他の工程
本発明の製造方法の工程の後に、さらに他の工程を設けてもよい。他の工程としては、例えば、再沈殿工程、濾過工程等が挙げられる。
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)高分子化合物の分子量の測定
高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、下記のGPC(東ソー製、商品名:HLC-8220GPC)により求めた。
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに10μL注入した。移動相はテトラヒドロフランを用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED-B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV-VIS検出器を用いた。
(2)ハロゲン原子の含有量の測定
高分子化合物に含まれるハロゲン原子の含有量は、自動燃焼-イオンクロマトグラフ法で測定した。
本実施例に用いた高分子化合物(P-1)~(P-4)は、以下に示す参考文献に記載の方法に従って合成した。
Figure 0007091030000022
<実施例1>
高分子化合物(P-1)0.2gと、1-メチル-2-ピロリドン10.0gと、2mol%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.6gとを混合し、30℃で5時間撹拌した。その後、反応液をメタノール50gに注ぎ、撹拌した。析出した高分子化合物を濾取し、乾燥させた。収率は99%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppm、Mnは7.2×10であり、反応後の塩素含量は2質量ppm未満、臭素含量は2質量ppm未満、Mnは7.2×10であった。
Figure 0007091030000023
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
<実施例2>
2mol%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.6gに代えて、2mol%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.6gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は100%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は2質量ppm未満、臭素含量は2質量ppm未満であった。反応の前後において高分子化合物の数平均分子量(Mn)に変化はなかった。
<実施例3>
2mol%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.6gに代えて、2mol%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.6gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は98%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は2質量ppm未満、臭素含量は2質量ppm未満であった。反応の前後において高分子化合物の数平均分子量(Mn)に変化はなかった。
<実施例4>
2mol%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.6gに代えて、1.5mol%テトラブチルホスホニウムヒドロキシド水溶液0.6gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は99%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は2質量ppm、臭素含量は3質量ppmであった。反応の前後において高分子化合物の数平均分子量(Mn)に変化はなかった。
<実施例5>
1-メチル-2-ピロリドン10.0gに代えて、テトラヒドロフラン10.0gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は96%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は2質量ppm、臭素含量は3質量ppmであった。反応の前後において高分子化合物の数平均分子量(Mn)に変化はなかった。
<実施例6>
1-メチル-2-ピロリドン10.0gに代えて、メタノール10.0gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は99%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は3質量ppm、臭素含量は4質量ppmであった。反応の前後において高分子化合物の数平均分子量(Mn)に変化はなかった。
<実施例7>
1-メチル-2-ピロリドン10.0gに代えて、トルエン10.0gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は98%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は3質量ppm、臭素含量は4質量ppmであった。反応の前後において高分子化合物の数平均分子量(Mn)に変化はなかった。
<実施例8>
高分子化合物(P-1)0.2gに代えて、高分子化合物(P-2)0.2gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は98%であった。
反応前の高分子化合物(P-2)中の塩素含量は9質量ppm、臭素含量は19質量ppm、Mnは5.6×10であり、反応後の塩素含量は2質量ppm未満、臭素含量は2質量ppm未満、Mnは5.6×10であった。
Figure 0007091030000024
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
<実施例9>
高分子化合物(P-3)0.2gと、1-メチル-2-ピロリドン10.0gと、2mol%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.6gとを混合し、30℃で5時間撹拌した。その後、反応液を10質量%塩酸5gとメタノール45gの混合溶媒に注ぎ、撹拌した。析出した高分子化合物(P-3’)を濾取し、乾燥させた。収率は97%であった。
反応前の高分子化合物(P-3)中の塩素含量は31質量ppm、臭素含量は94質量ppm、Mnは1.1×10であり、反応後の高分子化合物(P-3’)中の塩素含量は2質量ppm未満、臭素含量は2質量ppm未満、Mnは1.1×10であった。
Figure 0007091030000025
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
<実施例10>
高分子化合物(P-1)0.2gに代えて、高分子化合物(P-4)0.2gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は98%であった。
反応前の高分子化合物(P-4)中の塩素含量は15質量ppm、臭素含量は30質量ppm、Mnは3.2×10であり、反応後の塩素含量は2質量ppm未満、臭素含量は2質量ppm未満、Mnは3.2×10であった。
Figure 0007091030000026
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
<比較例1>
1-メチル-2-ピロリドン10.0gに代えて、アセトン10.0gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は99%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は5質量ppm、臭素含量は12質量ppmであった。
<比較例2>
1-メチル-2-ピロリドン10.0gに代えて、アセトニトリル10.0gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は99%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は5質量ppm、臭素含量は13質量ppmであった。
<比較例3>
1-メチル-2-ピロリドン10.0gに代えて、ヘプタン10.0gとした以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は100%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は5質量ppm、臭素含量は14質量ppmであった。
<比較例4>
1-メチル-2-ピロリドン10.0gを用いなかった以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は100%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであった。
<比較例5>
2mol%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液0.6gを用いなかった以外は、実施例1と同様に反応させた。収率は99%であった。
反応前の高分子化合物(P-1)中の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであり、反応後の塩素含量は6質量ppm、臭素含量は15質量ppmであった。
実施例1~10及び比較例1~5の結果を以下の表2及び表3にまとめた。塩素及び臭素の含有量のカッコ内の数値は、高分子化合物中のそれぞれのハロゲン原子を水素原子に置き換えた場合の置き換えた水素原子の含有量(質量ppm)を示す。
具体的には、塩素原子を水素原子に置き換えた場合の置き換えた水素原子の含有量は、塩素の含有量に水素の原子量(1.00794)をかけ、且つ塩素の原子量(35.453)で割った値とした。臭素原子を水素原子に置き換えた場合の置き換えた水素原子の含有量は、臭素の含有量に水素の原子量(1.00794)をかけ、且つ臭素の原子量(79.904)で割った値とした。
Figure 0007091030000027
Figure 0007091030000028
本発明の製造方法によれば、ハロゲン原子を含む高分子化合物から、簡便にハロゲン原子の含有量が十分に少ない高分子化合物を製造することができる。そのため、当該製造方法で得られた高分子化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の材料として用いることができる。

Claims (13)

  1. 塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子を含む高分子化合物と、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物とを、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させることを特徴とする、当該ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物の製造方法であって、
    前記反応では、パラジウム触媒を添加せず、
    前記ハロゲン原子を含む高分子化合物が、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物中の0.2質量ppm以上1000質量ppm以下の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲンで置換されている高分子化合物であり、
    前記ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物が、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物中の0.2質量ppm未満の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子で置換されている高分子化合物である、製造方法。
    Figure 0007091030000029
    [式中、
    Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基、又は単結合を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。
    Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基、又は単結合を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい。
    Arは、1価の芳香族炭化水素基、又は、1価の複素環基を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい。
    aは、0~2の整数を表す。
    但し、Arが単結合であり、かつ、aが0である場合を除く。Ar 及びAr がともに単結合である場合を除く。
  2. 前記ハロゲン原子を含む高分子化合物、及び反応後に得られる前記ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量がそれぞれ、1×10~1×10の範囲である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第四級アンモニウム化合物及び/又は前記第四級ホスホニウム化合物が、式(2)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
    Figure 0007091030000030
    [式中、
    Yは、窒素原子又はリン原子を表す。
    は、アルキル基、1価の芳香族炭化水素基、又は、1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Rは各々同一であっても異なっていてもよい。
    Zは、OH、CO、HCO、PO、HPO、又は、HPOを表す。
    mはZにより異なり、ZがOH、HCO、又は、HPOの場合は1であり、ZがCO、又は、HPOの場合は2であり、ZがPOの場合は3である。]
  4. 前記アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒が、いずれも炭素原子数が10以下の溶媒である、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記Yが窒素原子である、請求項3に記載の製造方法。
  6. 前記Rが同一又は異なって、アルキル基又はアリールアルキル基である、請求項3又は5に記載の製造方法。
  7. 前記ZがOHであり、かつ、前記mが1である、請求項3、5又は6に記載の製造方法。
  8. 前記ハロゲン原子を含む高分子化合物中に置換基としてエステル化されたカルボキシル基を有する場合、反応後に得られる前記ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物において当該基はカルボキシル基に変換されていてもよい、請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子を含む高分子化合物と、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物のみを、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記Ar が、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、又は2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。Ar が複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい、請求項1~9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子を含む高分子化合物を、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物と、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させることを特徴とする、高分子化合物中のハロゲン原子の含有量を低減する方法であって、
    前記反応では、パラジウム触媒を添加せず、
    前記ハロゲン原子を含む高分子化合物が、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物中の0.2質量ppm以上1000質量ppm以下の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲンで置換されている高分子化合物であり、
    前記ハロゲン原子の含有量が低減された高分子化合物が、式(1)で表される構成単位からなる高分子化合物中の0.2質量ppm未満の水素原子が、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子で置換されている高分子化合物である、方法。
    Figure 0007091030000031
    [式中、
    Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基、又は単結合を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。
    Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基、又は単結合を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい。
    Arは、1価の芳香族炭化水素基、又は、1価の複素環基を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。Arが複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい。
    aは、0~2の整数を表す。
    但し、Arが単結合であり、かつ、aが0である場合を除く。Ar 及びAr がともに単結合である場合を除く。
  12. 前記塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種のハロゲン原子を含む高分子化合物を、第四級アンモニウム化合物及び/又は第四級ホスホニウム化合物のみと、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種を含む溶媒中で反応させることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 前記Ar が、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素環基、又は2価の芳香族炭化水素基と2価の複素環基が結合した基を表し、これらの基は置換基(但し、ホウ素原子を含む置換基を除く)を有していてもよい。Ar が複数存在する場合、それらは各々同一であっても異なっていてもよい、請求項11又は12に記載の方法。
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