JP7089929B2 - 基礎およびその構築方法 - Google Patents
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Description
すなわち、簡易基礎は、基礎用治具と、この基礎用治具に固定されて地中に差し込まれた4本の杭部材と、を備える。
また、スパイラル杭は、押し込み抵抗力および引抜き抵抗力が大きいため、スパイラル杭を設けることで、支持力を確保できるので、鋼管の長さを短くできる。よって、硬質地盤であっても、鋼管を地中に容易に打ち込むことができ、基礎を短時間で構築できる。なお、スパイラル杭は水平抵抗力が小さいが、水平力に対しては鋼管が抵抗するため、本発明の基礎は、力学的バランスに優れた構造となっている。
スパイラル杭は、ねじり平鋼であるので、スパイラル杭の水平断面は、どの高さ位置においても常に直線状である。よって、この発明によれば、スパイラル杭打設用定規を所定位置にセットし、このスパイラル杭打設用定規のスリットにスパイラル杭の先端を嵌め込んで下方に押し込むだけで、スパイラル杭を精度良く地盤に打ち込むことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る基礎1が適用された構造物の支持構造2の平面図である。図2は、基礎1の斜視図であり、図3は、基礎1の平面図である。図4は、基礎1の上部の斜視図である。
構造物の支持構造2は、5つずつ2列に配置された合計10個の基礎1と、これら基礎1の上部で支持された構造物3と、を備える。
各基礎1は、基礎用治具10と、この基礎用治具10に固定された4本の鋼管20および1本のスパイラル杭30と、を備える。
基礎用治具10は、ダクタイル鋳鉄による鋳造物であり、椀状の本体11と、この本体11に設けられて鋼管20が挿通される4つの筒状の筒部12と、これら筒部12に鋼管20を固定するボルト13およびナット14と、を備える。
なお、本実施形態では、基礎用治具10を鋳造としたが、これに限らず、基礎用治具をコンクリート製としてもよい。
また、本体11の中央部には、スパイラル杭30を本体11に連結するための貫通孔16が形成されている。
筒部12の上端側には、この筒部12を貫通する貫通孔17A、17Bが形成されている。また、鋼管20には、この鋼管20を貫通する貫通孔21A、21Bが形成されている。
これら貫通孔17A、17B、21A、21Bには、ボルト13が挿通されて、このボルト13の先端側には、ナット14が螺合されている。これにより、鋼管20が筒部12に固定されている。
スパイラル杭30は、平鋼をねじったねじり平鋼である。したがって、このスパイラル杭30の水平断面は、どの高さ位置においても常に直線状となっている。このスパイラル杭30の頂部には、ボルト31が溶接固定されている。
以上の基礎用治具10では、スパイラル杭30のボルト31が本体11の貫通孔16に挿通されており、ボルト31に螺合された下側ナット32と2つの上側ナット33とで本体11を挟み込むことで、基礎用治具10がスパイラル杭30に固定される。
図10は、スパイラル杭打設用定規40の平面図である。スパイラル杭打設用定規40は、互いに略平行に延びる一対の定規本体41と、これら定規本体41同士を所定間隔おきに連結する連結部材42と、定規本体41の所定箇所に取り付けられた10個のスリット定規43と、を備える。これら定規本体41、連結部材42、およびスリット定規43は、山形鋼で形成されている。
図11は、スパイラル杭打設用定規40を構成するスリット定規43の拡大平面図である。
スリット定規43は、略水平に延びる矩形状の水平部44と、この水平部44に立設された鉛直部45と、を備える。スリット定規43の水平部の先端側の辺には、スリット46が形成されている。スリット定規43の鉛直部45は、定規本体41にボルト47およびナット48で固定されている。図10にも示すように、スリット定規43は、定規本体41に10個取り付けられているが、各スリット定規43のスリット46の向きは、全て同じになっている。
ステップS3では、図11および図12に示すように、スパイラル杭打設用定規40を用いて、10本のスパイラル杭30を打ち込む。
すなわち、まず、図12に示すように、ボルト保護治具50を用意する。ボルト保護治具50は円柱形状であり、下端面にボルト31が挿入される保護穴51が形成され、上端面に、油圧ハンマーのハンマー先端が挿入される打撃穴52が形成されている。
次に、スパイラル杭打設用定規40のスリット46にスパイラル杭30の先端を嵌め込んで、このスパイラル杭30上端のボルト31にボルト保護治具50を取り付ける。
次に、図示しない油圧ハンマーのハンマー先端をボルト保護治具50の打撃穴52に差し込み、スパイラル杭30を下方つまり図12中白抜き矢印方向に押し込む。すると、スパイラル杭30は、先端面で地盤を切って回転しながら下方に移動し、地盤に打ち込まれる。
ステップS7では、基礎用治具10の筒部12に鋼管20を固定する。すなわち、まず、基礎用治具10の筒部12の一方の貫通孔17Aに図示しないドリルを差し込んで、他方の貫通孔17Bに向かって前進させ、鋼管20に貫通孔21A、21Bを形成する。次に、これら貫通孔17A、17B、21A、21Bにボルト13を挿通して、このボルト13の先端側にナット14を螺合して締め付ける。
(1)スパイラル杭30を地中に打ち込んでおき、このスパイラル杭30の頂部に基礎用治具10を固定することで、基礎用治具10を位置決めする。この状態で、基礎用治具10の筒部12に鋼管20を挿通して地中に打ち込んで、杭として機能させる。よって、鋼管20を基礎用治具10の中心軸に対して斜めに打ち込んでも、基礎用治具10の位置ずれを防止できるので、基礎1を容易に高精度で構築できる。
従来では、スパイラル杭を設けず、4本の鋼管のみで基礎用治具を支持していたので、鋼管の長さを3m~4m程度とする必要があった。この場合、地盤が硬質になると、鋼管の打ち込みに時間がかかる場合があった。
しかしながら、本発明によれば、スパイラル杭を設けることで、鋼管の長さを従来に比べて60%~70%程度に短くできる。例えば、スパイラル杭は、幅100mm厚さ6mmの平鋼を加工したものであり、杭長が1.0m~1.8mである。また、鋼管は、外径が42.7mmあるいは48.6mmであり、杭長が2.0m~3.0mである。
例えば、上述の実施形態では、ボルト13を用いて鋼管20を固定したが、これに限らず、ねじあるいは芋ねじを用いてもよい。
また、鋼管20には、腐食防止のため、溶融亜鉛めっき、溶融アルミめっき、その他耐塩基性金属による溶融めっきを施してもよい。
また、鋼管20の厚みは、鋼管の腐食速度を考慮して、適宜設定されてもよい。
10…基礎用治具 11…本体 12…筒部 13…ボルト 14…脚部
15…脚部 16…貫通孔 17A、17B…貫通孔
20…鋼管 21A、21B…貫通孔
30…スパイラル杭 31…ボルト 32…下側ナット 33…上側ナット
40…スパイラル杭打設用定規 41…定規本体 42…連結部材
43…スリット定規 44…水平部 45…鉛直部 46…スリット
47…ボルト 48…ナット
50…ボルト保護治具 51…保護穴 52…打撃穴
Claims (2)
- 地表面に設けられた基礎用治具と、当該基礎用治具から地中に直線状に延びる4本の鋼管および1本のスパイラル杭と、を備え、
前記基礎用治具は、平面視で矩形状であり、
前記スパイラル杭は、前記基礎用治具から鉛直方向下方に延びてかつ平面視で右ねじ状の螺旋形状であり、
前記4本の鋼管は、前記基礎用治具から前記スパイラル杭に対して傾斜してかつ互いに干渉することなく下方に延びるとともに、平面視で前記基礎用治具の4つの出隅部から下方に向かうに従って右側の出隅部に向かって延びることを特徴とする基礎。 - 4つの筒部が設けられた基礎用治具と、当該基礎用治具の筒部に挿通されて固定された4本の鋼管と、前記基礎用治具の中心部に固定された1本のスパイラル杭と、を備える基礎の構築方法であって、
前記基礎用治具は、平面視で矩形状であり、
前記スパイラル杭は、前記基礎用治具から鉛直方向下方に延びてかつ右ねじ状の螺旋形状であり、
前記4本の鋼管は、前記基礎用治具から前記スパイラル杭に対して傾斜してかつ互いに干渉することなく下方に延びるとともに、平面視で前記基礎用治具の4つの出隅部から下方に向かうに従って右側の出隅部に向かって延びており、
前記スパイラル杭を地中に打ち込む工程と、
前記基礎用治具を地表面に配置するとともに前記スパイラル杭の頂部に固定する工程と、
前記基礎用治具の筒部に鋼管を挿通して、当該鋼管の少なくとも先端部を地中に打ち込む工程と、を備えることを特徴とする基礎構築方法。
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