JP7087575B2 - 6軸ロボットの姿勢調整方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の6軸ロボットは、ロボット設置面から順に第1軸~第6軸を有し、第1軸の回転軸がロボット設置面と直交し、第2軸の回転軸が第1軸の回転軸と直交し、第2軸の回転軸と第3軸の回転軸と第5軸の回転軸とが平行で、第5軸の回転軸が第4軸の回転軸及び第6軸の回転軸と同一点で直交し、第1軸の回転軸を含み第2軸の回転軸に直交する平面上に測定点が存在するように構成されている。そして、特許文献1の較正方法では、第4軸を180度回転させる工程と、第5軸を所定角度の2倍回転させる工程と、第5軸をさらに回転させて誤差角度を導出する工程と、誤差角度に上記所定角度を加算して第5軸の原点位置を較正する工程と、を順次行うことにより、6軸ロボットの第5軸の原点位置を較正している。
本発明は、上記した課題を解決するものであり、その目的は、6軸ロボットの姿勢を調整するための調整量を簡単な手法で決定することができる方法を提供することである。
図1は、本発明の実施の形態にかかるロボット1の斜視図である。説明の便宜上、図1の上方向をZ方向と称し、左方向をY方向と称し、手前方向をX方向と称する。Z方向は、ロボット1の高さ方向である。また、Z方向と反対の方向を下方と称し、Z方向と同じ方向を上方と称する。図2は、図1に示すロボット1の左側面図である。
第1アーム3A及び第2アーム3Bは、細長い円筒状に形成されている。第2アーム3Bの外径は、第1アーム3Aの外径よりも小さい。また、第2アーム3Bの長さは、第1アーム3Aの長さよりも短い。
ただし、第1回転関節部2A、第2回転関節部2Bおよび第3回転関節部2Cと、第4回転関節部2D、第5回転関節部2Eおよび第6回転関節部2Fとは、大きさが相違する点を除けば同様な構成を有している。
第1回転関節部2A~第6回転関節部2Fのそれぞれは、モータ(図示せず)と、モータに連結される減速機(図示せず)と、モータの回転位置を検出するための位置検出機構(図示せず)と、モータおよび位置検出機構が電気的に接続される回路基板(図示せず)と、モータと減速機と位置検出機構と回路基板とが収容されるケース体6A~6Fとを備えている。各モータは、モータを制御するコントローラ(図示せず)に無線または有線で接続されいる。
支持部材5と第1回転関節部2Aとは、第1回転関節部2Aの出力側部材(図示せず)が支持部材5に固定されることで連結されている。第1回転関節部2Aの中心軸10Aと支持部材5の中心軸とが一致するように支持部材5と第1回転関節部2Aとが連結されている。
第1回転関節部2Aと第2回転関節部2Bとは、第1回転関節部2Aの中心軸10Aと第2回転関節部2Bの中心軸10Bとが直交するように連結されている。また、第1回転関節部2Aのケース体6Aと第2回転関節部2Bのフランジ部11Bとが直接固定されている。
このように、第1回転関節部2Aの中心軸10Aと第2回転関節部2Bの中心軸10Bとが直交するように、第1回転関節部2Aと第2回転関節部2Bのフランジ部11Bとが直接固定される。また、支持部材5に対して、第1回転関節部2Aの中心軸10Aを回動軸として、第1回転関節部2Aと第2回転関節部2Bが回動できる。
第1アーム3Aと第3回転関節部2Cとは、第1アーム3Aの長手方向の中心軸と第3回転関節部2Cの中心軸10Cとが直交するように連結されている。また、第3回転関節部2Cのケース体6Cに第1アーム3Aの先端が固定されている。中心軸10Cは、中心軸10Bに平行である。
第4回転関節部2Dと第2アーム3Bとは、第4回転関節部2Dの中心軸10Dと第2アーム3Bの長手方向の中心軸とが一致するように連結されている。また、第4回転関節部2Dのフランジ部11Dに第2アーム3Bの下端が固定されている。
よって、第1アーム3Aに対して、第3回転関節部2Cの中心軸10Cを回動軸として第2アーム3Bが回動できる。
第5回転関節部2Eと第6回転関節部2Fとは、第5回転関節部2Eの中心軸10Eと第6回転関節部2Fの中心軸10Fとが直交するように連結されている。また、第6回転関節部2Fのケース体6Fの取付面9Fと第5回転関節部2Eのフランジ部11Eとが直接固定されている。
ロボットは作業者により組み立てられて、初期姿勢(理想的には、例えば、図4に示すような直立の姿勢)にされる。そして、初期姿勢の状態から、所謂、キャリブレーションが行われる。本明細書では、初期姿勢を補正(調整)することを初期誤差の補正と称し、初期姿勢が確定した後に行われる補正をキャリブレーションと称する。
一般的に、ロボット組み立て直後の初期姿勢は、ある程度の誤差(初期誤差)を含む。特に、ロボットの回転関節部は回転しやすいので、ロボットの初期姿勢において、回転関節部の中心軸回りの角度が設計値とは異なってしまう場合(角度誤差)が生ずる。また、組み立て後に、作業者の目視や冶具により、ロボットの初期姿勢を調整することもあるが、ロボットの初期姿勢を調整した後においても、ロボットの初期姿勢は誤差(初期誤差)を有している場合がある。
本実施形態では、初期誤差を無くすまたは小さくする方法を説明する。初期誤差を小さくすれば、その後に行われるキャリブレーション演算がスムースに進む。つまり、キャリブレーションの演算時間を短くすることができる。なお、初期誤差の理解を容易にするために、図3の初期誤差は誇張して描かれている。
本実施形態では、ロボットの初期姿勢において、図3のような初期誤差がある場合に、ロボットの初期姿勢を調整して、図4のような初期姿勢にする。以下、ロボットの初期姿勢を調整する方法を図5を用いて説明する。
図5は組み立て直後のロボット1の概略正面図であり、図5において、点P2は中心軸10Bの位置であり、点P3は中心軸10Cの位置(軸中心位置)であり、点P5は中心軸10Eの位置である。図5の左方向がY軸のプラス方向で、右方向がY軸のマイナス方向である。本実施形態では、位置計測器としてレーザトラッカを使用する。レーザトラッカから発せられるレーザを反射するミラーは、エンドエフェクタ取付部7上の位置Mに取り付けられているとする。位置Mはロボットの頂部の位置であり、点P6とも表す場合もある。なお、図5はロボット1の初期姿勢を調整する方法の原理を説明するための図であり、初期誤差は極小に描かれている。
点P2の位置を算出する際に、点P3及び点P5を固定しているので、点P3及び点P5に初期誤差があっても、位置Mまたは点P6の軌道は常に円になる。従って、点P2の位置(Z軸座標位置)の算出は、点P3及び点P5の初期誤差の影響を受けず、点P2の理想の位置(設計値)と比較するのに十分に正確な値となる。
次に、ロボット1の初期姿勢を調整する方法について説明する。ロボット1を正面から見た場合、図3のように初期誤差を有するロボット1が図4のような姿勢になれば、その後に行われるキャリブレーションが短時間でできる。よって、ロボット1が図3から図4のような姿勢になることを「ロボットの初期姿勢の調整」と称する。点P2、P3及びP5の理想の位置(設計座標)は、予め分かっているとする。
ロボット1の組み立て時における回転関節部2B、2C及び2Eの角度誤差をそれぞれdth2、dth3及びdth5と表すと、回転関節部2B、2C及び2Eの角度誤差は、以下の(式1)~(式5)により求められる。角度誤差dth2、dth3及びdth5は、ロボット1を正面から見た場合の、垂直方向から角度ずれである。
なお、第1回転関節部2A及び第6回転関節部2Fの角度誤差は、ロボット1を図4のような姿勢にする際には無関係であるので、本実施形態では考慮しない。
初期誤差が無くなると、図4に示すように、第1アーム3Aと第2アーム3Bは設置面から垂直に延びるようになり、第1アーム3Aと第2アーム3Bの角度(正面視)は略180度になる。
本実施形態によれば、(式1)~(式5)に基づいてdth2~dth5を決定することができる。よって、6軸ロボットの初期姿勢を調整するための角度調整量を簡単な手法で決定することができる。
上記した本実施形態では点P2、P3、P5の位置を算出する際に、円弧上の3点(例えば、P21、P22及びP23)の位置を計測・取得したが、本実施形態はこのような計測に限定されない。例えば、点P2を中心とした円弧上の5点の位置を計測し、当該5点の位置に基づいて、点P2の位置を算出してもよい。
また、位置計測器としてレーザトラッカを使用したが、その他の位置計測器を使用してもよい。
上記した実施形態では、ロボットが組み立てられた直後の姿勢(初期姿勢)は図3(図4)のような直立姿勢であるとしたが、直立姿勢以外の姿勢を初期姿勢としてもよい。
Claims (10)
- ロボット設置面に略垂直な方向に起立する6軸ロボットの姿勢を調整する方法であって、
前記6軸ロボットのうち、前記略垂直な方向において異なる高さにある3軸の軸中心位置を特定するステップと、
前記3軸のうちの前記ロボット設置面から遠い2軸を回転中心としてそれぞれ描いた2つの円弧を含む2つの面を特定するステップと、
前記2つの円弧のうち、前記ロボット設置面から前記軸中心位置が遠い方の円弧上の前記6軸ロボットの頂部である所定点の位置を特定するステップと、
特定された前記3軸の軸中心位置と、前記2つの面と、前記6軸ロボットの頂部である前記所定点の位置とに基づいて、前記3軸の回転方向の角度調整量と、前記2軸の間に延びる軸の回転方向の角度調整量とを決定するステップと、
を有する方法。 - 前記角度調整量を決定するステップは、前記6軸ロボットのキャリブレーションを行う前に行う請求項1に記載の方法。
- 前記6軸ロボットは、
前記ロボット設置面から順に第1、第2、第3、第4、第5及び第6回転関節部を有し、
前記3軸は、
前記第2回転関節部の回転軸と、
前記第3回転関節部の回転軸と、
前記第5回転関節部の回転軸である請求項1または2に記載の方法。 - 前記角度調整量は、
前記垂直な方向と、前記第2回転関節部から前記第3回転関節部に延びる第1アームとの角度差をゼロにする量である請求項3に記載の方法。 - 前記角度調整量は、
前記垂直な方向と、前記第4回転関節部から前記第5回転関節部に延びる第2アームとの角度差をゼロにする量である請求項3または4に記載の方法。 - 前記第2回転関節部の回転軸の軸中心位置を特定するステップは、
前記第3回転関節部と前記第5回転関節部とを固定した状態で、前記第2回転関節部の回転軸の現在の軸中心位置を中心にして前記6軸ロボットの先端が描く円弧上の少なくとも3点から前記第2回転関節部の回転軸の軸中心位置を算出するステップを含む、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。 - 前記第3回転関節部の回転軸の軸中心位置を特定するステップは、
前記第2回転関節部と前記第5回転関節部とを固定した状態で、前記第3回転関節部の回転軸の現在の軸中心位置を中心にして前記6軸ロボットの先端が描く円弧上の少なくとも3点から前記第3回転関節部の回転軸の軸中心位置を算出するステップを含む、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。 - 前記第5回転関節部の回転軸の軸中心位置を特定するステップは、
前記第2回転関節部と前記第3回転関節部とを固定した状態で、前記第5回転関節部の回転軸の現在の軸中心位置を中心にして前記6軸ロボットの先端が描く円弧上の少なくとも3点から前記第5回転関節部の回転軸の軸中心位置を算出するステップを含む、請求項3~7のいずれか1項に記載の方法。 - 前記円弧上の少なくとも3点を、レーザトラッカを使用して取得するステップをさらに有する請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
- ロボット設置面に略垂直な方向に起立する6軸ロボットの姿勢を調整する装置であって、
前記6軸ロボットのうち、前記略垂直な方向において異なる高さにある3軸の軸中心位置を特定する第1特定部と、
前記3軸のうちの前記ロボット設置面から遠い2軸を回転中心としてそれぞれ描いた2つの円弧を含む2つの面を特定する第2特定部と、
前記2つの円弧のうち、前記ロボット設置面から前記軸中心位置が遠い方の円弧上の前記6軸ロボットの頂部である所定点の位置を特定する第3特定部と、
特定された前記3軸の軸中心位置と、前記2つの面と、前記6軸ロボットの頂部である前記所定点の位置とに基づいて、前記3軸の回転方向の角度調整量と、前記2軸の間に延びる軸の回転方向の角度調整量とを決定する決定部と、
を備える装置。
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