JP3671694B2 - ロボットのティーチング方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボット本体の基準座標に対する作業台表面の傾きを測定してティーチングするロボットのティーチング方法およびその装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
ロボットの姿勢、すなわちロボットアームの先端のハンド部分の姿勢は、例えば、手首の先端に設けられているフランジの端面の中心から垂直方向に延びるアプローチベクトルと、同じくフランジの端面の中心から上記アプローチベクトルと直交する方向に延びるオリエントベクトルとを設定し、これら両ベクトルをその交点がロボットの基準座標の原点に一致するように平行移動させたとき、アプローチベクトルとオリエントベクトルとがそれぞれロボットの基準座標上でどの方向を向いているかによって示されるようになっている。
【0003】
ロボットに作業をティーチングする場合、作業の内容によっては、フランジの端面を作業台の表面と平行となるようにティーチングすることが必要となることがある。その一例を図7に示すが、これは、ロボット本体の先端であるフランジFの先端面fを作業台Dと平行に保持したまま、ハンドHをフランジFの先端面fの法線(鉛直線)に沿って真っ直ぐ下方に降ろして、該ハンドHに把持したワークW1 を作業台D上のワークW2 に組み付けるという作業を示している。
【0004】
ところが、作業台Dの表面とロボットの基準座標系のX−Y座標面(水平面)とは、作業台D、或いはロボット本体の据え付けの状態から、必ずしも平行になっているとは限らない。そこで、作業台Dの表面が基準座標系のX−Y座標面に対して傾いている場合には、上記のようなロボット作業のティーチング時に、ロボット本体の各関節を微妙に動かして、フランジFの先端面fが作業台Dの表面と平行となるようにしている。しかしながら、例えば6軸の多関節型ロボット等、関節が多いと、各関節をどのように動作させたらフランジFの先端面fが作業台Dの表面と平行になるのかを推定することが難しく、ティーチング作業に多くの時間がかかるという問題があった。
【0005】
この問題を解消するものとして、特開昭59−182076号公報に開示された技術がある。これは、ロボットの基準座標と作業台表面の座標との間の空間的な相対誤差は、両座標の原点間の変位と座標軸間の回転変位とを用いて表すことができることから、ロボット本体と作業台表面との距離を6地点以上で測定し、その測定距離から両座標の原点間の変位を表す3つの座標軸方向のベクトルを演算すると共に、座標軸間の回転変位を表すオイラー角等の3成分を演算するというものである。
【0006】
この特開昭59−182076号公報の開示技術では、ロボットの基準座標と作業台表面の座標との位置関係を、両座標の原点間変位と座標軸間回転変位とで表現する必要があるため、ロボット先端部分から作業台表面の座標系までの距離を正確に測定する距離測定装置が別に必要で、システムが複雑化するという問題がある。このため、ロボットの基準座標と作業台表面との相対的な傾きだけを検出できれば良いような場合には、過剰システムとなってしまう。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ロボットの基準座標と作業台表面との相対的な傾きを特別な距離測定装置を用いることなく、容易に求めることができ、ティーチング作業も容易に行うことができるロボットのティーチング方法およびその装置を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、
ロボット本体の先端の関節をフランジによって構成し、そのフランジの先端面にハンドを取り付けた多関節型のロボット本体にあって、前記フランジに設定された固定の2つのベクトルの向きが前記ロボット本体の基準座標上で同じ向きを保つように関節を動かすことにより、前記フランジがその先端面を作業台表面と平行にした姿勢を保ったまま、当該フランジを作業台表面に真っ直ぐに降ろすロボット作業をティーチングする方法において、
前記ハンドの先端部分を、前記作業台表面のうち、前記ロボット本体が作業を行う部位の周りに存在する互いに離れた少なくとも3つの測定点に当接させ、
これらの各測定点での前記フランジの先端の位置を前記基準座標上の座標で検出し、
この検出された少なくとも前記3位置の座標に基づいて前記基準座標に対する前記作業台表面の傾きを演算によって求め、
この求められた傾きに応じて前記フランジの先端面と前記作業台の表面とが平行な状態となるように前記フランジの姿勢を補正し、
前記補正された姿勢を保ったまま前記フランジを前記作業台表面に真っ直ぐに降ろすロボット作業をティーチングすることを特徴とするものである(請求項1)。
【0009】
また、本発明は、
ロボット本体の先端の関節をフランジによって構成し、そのフランジの先端面にハンドを取り付けた多関節型のロボット本体にあって、前記フランジに設定された固定の2つのベクトルの向きが前記ロボット本体の基準座標上で同じ向きを保つように関節を動かすことにより、前記フランジがその先端面を作業台表面と平行にした姿勢を保ったまま、当該フランジを作業台表面に真っ直ぐに降ろすロボット作業をティーチングするティーチング装置において、
前記ロボット本体の基準座標に対する作業台の表面の傾きを検出してその傾きに応じて前記フランジの先端面と前記作業台の表面とが平行な状態となるように前記フランジの姿勢を補正し、前記補正された姿勢を保ったまま前記フランジを作業台表面に真っ直ぐに降ろすように前記ロボット本体の関節の動きを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記ハンドの先端部分を、前記作業台表面のうち、前記ロボット本体が作業を行う部位の周りに存在する互いに離れた少なくとも3つの測定点に当接させたとき、各測定点での前記フランジの先端の位置を前記基準座標上の座標で検出する座標位置検出手段と、
この座標位置検出手段によって検出された少なくとも前記3位置の座標に基づいて前記基準座標に対する前記作業台表面の傾きを演算によって求める演算手段とを具備してなるものである(請求項3)。
【0010】
上記のロボットのティーチング方法およびその装置によれば、ハンドの先端部分を作業台表面において互いに離れた少なくとも3つの測定点に当接させたとき、それらの各測定点でのフランジの先端の座標は、ロボットの制御装置が本来的に備える座標変換のための演算機能を使用して容易に検出することができる。また、検出した少なくとも3位置の座標に基づいて作業台の表面の傾きを求める演算も、同様にロボットの制御装置の演算機能を利用して容易に行うことができる。このため、ロボットの基準座標と作業台表面との相対的な傾きを、特別な距離測定装置を用いることなく、容易に求めることができる。
また、ハンドの先端部分を当接させる少なくとも3つの測定点は、ロボット本体が作業を行う部位の周りに存在させるので、作業台表面の傾きを、ロボットが実際に作業を行う部位での傾きとして求めることができる。
しかも、求められた傾きに応じてロボット本体の先端部分の姿勢を補正し、補正された姿勢を保ったままでロボット作業をティーチングするので、ティーチング作業を容易に行うことができる。
【0011】
本発明のロボットのティーチング装置では、
前記演算手段は、前記座標位置検出手段により検出された前記少なくとも3位置の座標に基づいて、少なくとも2つのベクトルの組を求め、その2つのベクトルの外積を演算することにより、前記作業台表面の傾きを該作業台表面の法線の傾きとして求めることができる(請求項4)。
この構成によれば、複雑な計算をせずとも、容易に作業台表面の傾きを求めることができる。
【0013】
また、本発明のロボットのティーチング方法およびその装置では、
前記ロボット本体が作業を行う部位が前記作業台表面で複数ある場合、前記ロボット本体の先端部分の所定部位を当接させる前記作業台表面の少なくとも3つの測定点は、前記各作業部位についてとすることができる(請求項2、5)。
この構成によれば、作業台表面の傾きを、ロボットが実際に作業を行う複数の部位のそれぞれについて求めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1〜図6に基づいて説明する。
ロボットは、図6に示すように、ロボット本体1と、このロボット本体1を制御する制御手段としての制御装置2と、この制御装置2に接続されたティーチング手段としてのティーチペンダント3とから構成されている。
【0015】
上記ロボット本体1は、例えば6軸の垂直多関節型のものとして構成され、ベース4と、このベース4に水平方向に旋回可能に支持されたショルダ部5と、このショルダ部5に上下方向に旋回可能に支持された下アーム6と、この下アーム6に上下方向に旋回可能に且つ回転(捻り動作)可能に支持された上アーム7と、この上アーム7に上下方向に旋回可能に支持された手首8とから構成されており、手首8は先端部に回転(捻り動作)可能なフランジ9を備えている。なお、後述のように、ワークを把持するハンド10は、ロボットの先端であるフランジ9に取り付けられるようになっている。
【0016】
一方、前記制御装置2は、図5に示すように、CPU11、駆動回路12、位置検出手段としての位置検出回路13を備えている。そして、上記CPU11には、記憶手段として、ロボット全体のシステムプログラムおよび後述の作業台表面の傾きを検出するためのプログラム等を記憶するROM14、ロボット本体1の動作プログラム等を記憶するRAM15が接続されていると共に、ティーチング作業を行なう際に使用する前記ティーチングペンダント3が接続されている。このティーチングペンダント3は、図6に示すように操作手段としての各種の操作部3aおよび表示手段としての表示器3bを備えている。
【0017】
上記位置検出回路13は、各関節、すなわちショルダ部5、各アーム6,7、手首8およびフランジ9の位置を検出するためのもので、この位置検出回路13には、ショルダ部5、各アーム6,7、手首8およびフランジ9の駆動モータ16に設けられた位置センサとしてのロータリエンコーダ17が接続されている。上記位置検出回路13は、ロータリエンコーダ17の検出信号によってベース4に対するショルダ部5の回転角度、ショルダ部5に対する下アーム6の回転角度7、下アーム6に対する上アーム7の回転角度、上アーム7に対する手首8の回転角度、および手首8に対するフランジ9の回転角度を検出し、その位置検出情報はCPU11に与えられる。そして、CPU11は、動作プログラムに基づいてショルダ部5、各アーム6,7、手首8およびフランジ9を動作させる際、位置検出回路13からの入力信号をフィードバック信号としてそれらの動作を制御するようになっている。なお、図6では、駆動モータ16およびロータリエンコーダ17は1個のみ示すが、実際には、各部の動作に対して一対一の関係で複数設けられているものである。
【0018】
ここで、各関節には、それぞれ3次元の座標が固定されている。このうち、床面に据え付けられるベース4の座標系は不動で、ロボット本体1の基準座標(図3にSで示す座標)とされるものであり、他の座標系は各関節の回転によって基準座標上での位置と向きが変化する。そして、制御装置2(CPU11)は、位置検出回路13から入力されるショルダ部5、各アーム6,7、手首8およびフランジ9等の各関節の位置検出情報と予め記憶されている各関節の長さ情報に基づいて、各関節の座標の位置と向きを、座標変換の演算機能により基準座標上での位置と向きに変換して認識することができるようになっている。
【0019】
さて、上記各関節の座標系のうち、フランジ9の座標系は、図4に示すように、フランジ9の先端面の中心P0 を原点とし、フランジ9の先端面上で2つの座標軸、フランジ9の回転軸上で1つの座標軸を定めれば、Xf ,Yf ,Zf の3つの座標軸の方向は使用者において自由に設定できるようになっている。この実施例では、図4に示すように、Xf およびYf の2軸はフランジ9の先端面上に存在し、残るZf 軸はフランジ9の回転軸上に存在するように定められているものとする。
【0020】
そして、ロボットの姿勢、すなわちロボットアームの先端のフランジ9の姿勢は、図4に示すように、フランジ9の座標系の原点PoからZf 軸に沿ってその負方向に突出する単位長さ「1」のアプローチベクトルAと、原点P0 からYf 軸に沿ってその正方向に突出する単位長さ「1」のオリエントベクトルOを設定し、フランジ9の座標系をその原点P0 が基準座標系の原点に合致するように平行移動させたとき、その基準座標系上でのアプローチベクトルAとオリエントベクトルOで表される。
【0021】
ここで、ロボット作業のティーチング時において、フランジ9の先端面を基準座標系のX,Yの2つの座標軸により形成される平面に平行とするには、前記のティーチングペンダント3により、アプローチベクトルAが鉛直下向きとなるように、そのアプローチベクトルAの先端の座標(0,0,−1)を入力する。すると、制御装置2は、アプローチベクトルAが入力された座標(0,0,−1)の位置を取るように、すなわちアプローチベクトルAが鉛直下向きとなってフランジ9の先端面が基準座標系のX,Yの2つの座標軸により形成される水平面と平行となるように各関節の駆動モータ16を制御する。
【0022】
ただし、ロボット本体1の基準座標および図3に示す作業台18(これにはロボット作業を行う対象物等が載置される)の表面は、据付精度等によって必ずしも水平ではなく、従って互いに平行な面となっているとは限らない。そこで、上記のように構成されたロボットにおいて、ロボット作業のティーチングに併せて、基準座標に対する作業台18の表面の傾きを検出し、ロボット本体1のフランジ9の姿勢の補正を行う場合の作用を、図1に示すフローチャートをも参照しながら説明する。
【0023】
今、フランジ9の中心部分には、ハンド10が取り付けられているものとする。作業台18表面の傾きを検出するには、まず、ティーチングペンダント3を操作して作業台表面の傾き検出モードに設定する。そして、フランジ9の姿勢を一定に保ちながら、例えばアプローチベクトルAが基準座標のZ軸と平行(フランジ9の先端面が基準座標のX−Y平面と平行)で、且つオリエントベクトルOが基準座標のY軸と平行の状態を保ちながら、作業台18の表面において互いに離れた任意の3測定点P1 〜P3 にロボット本体1の先端部分の所定部位であるハンド10の先端を当接させる。このとき、上記のハンド10を当接させる測定点P1 〜P3 は、実際にロボット作業を行う位置(図3でPwで示す部分)の周りとする。
【0024】
そして、ハンド10を3測定点P1 〜P3 に当接させる度に、ティーチングペンダント3を操作して各位置でのフランジ9の先端面の中心P0 の位置を、基準座標上での座標位置として読み取らせる(ステップS1)。この3位置P1 〜P3 へのハンド10当接時におけるフランジ9の先端面の中心P0 の位置(以下、ロボット先端位置という)を基準座標系での座標で検出する動作は、制御装置2(CPU11)が前述のように位置検出回路13から入力されるショルダ部5、各アーム6,7、手首8およびフランジ9の位置情報に基づいて座標変換することによって行われる。従って、制御装置2は、座標位置検出手段として機能する。検出されたフランジ9の先端面の中心P0 の座標位置は、記憶手段としてのRAM15に記憶される。ここで、3測定点P1 〜P3 でのロボット先端位置の基準座標は、順に、(X1 ,Y1 ,Z1 )、(X2 ,Y2 ,Z2 )(X3 ,Y3 ,Z3 )であるとする。
【0025】
以上のようにして、作業台18の表面の3規定点に対応したロボット先端位置の座標を検出すると、次に、制御装置2は、図2に示すように、3測定点P1 〜P3 のうちの1つの測定点、例えば最初に検出した測定点P1 のロボット先端位置P1 ´から他の2つの測定点のロボット先端位置P2 ´,P3 ´まで延びるベクトルJ,Kを算出する(ステップS2)。この2つのベクトルJ,Kは、3測定点P1 〜P3 でのロボット先端位置の基準座標がそれぞれ(X1 ,Y1 ,Z1 )、(X2 ,Y2 ,Z2 )(X3 ,Y3 ,Z3 )であることから、ベクトルJ(Xj ,Yj ,Zj )は(X1 −X2 ,Y1 −Y2 ,Z1 −Z2 )で表され、ベクトルK(Xk ,Yk ,Zk )は(X1 −X3 ,Y1 −Y3 ,Z1 −Z3 )で表される。このように表されたベクトルJ,Kは、作業台18の表面と平行な平面内に存在する。
【0026】
この後、制御装置2は、ベクトルJ,Kの外積を演算する(ステップS3)。このベクトルJ,Kの外積は、図2に示すように、大きさが、ベクトルJ,Kを相隣る2辺とする平行四辺形の面積に等しく、その方向が、2つのベクトルJ,Kのいずれとも垂直で、且つベクトルJを180°以内で回転してベクトルKに重ねるとき、右ねじの進む方向の向きを持つベクトルMとなる。このように、2つのベクトルJ,Kを算出し、そして、それら2つのベクトルJ,Kの外積を算出する制御装置2は、演算手段として機能する。
【0027】
ここで、以上の説明から理解されるように、ベクトルMは、2つのベクトルJ,Kを含む平面、すなわち作業台18の表面に平行な平面の法線に合致することとなり、従って、ベクトルMの傾きが作業台18の表面の傾きとなる。
【0028】
次に、制御装置2は、ベクトルMのZ軸方向の成分が正であるか否かを判断する(ステップS4)。ベクトルMのZ軸方向の成分が正であった場合には、制御装置2は、ベクトルMのX,Y,Zの各軸方向の成分を負にして、ベクトルMの向きを180°回転させる(ステップS5)。その後、制御装置2は、ベクトルMのX,Y,Zの各軸方向の成分(Xm ,Ym ,Zm )をティーチングペンダント3のディスプレイ3bに表示する(ステップS6)。また、ベクトルMのZ軸方向の成分Zm が負であった場合には、制御装置2は、ステップS4で「NO」と判断してステップS6に移行し、ベクトルMのX,Y,Zの各軸方向の成分をティーチングペンダント3のディスプレイ3bに表示する。
【0029】
このようにして、作業台18の表面の法線に沿うベクトルMが演算されディスプレイ3bに表示されると、作業者はそのディスプレイ3bに表示されたベクトルMのX,Y,Zの各軸方向の成分(Xm ,Ym ,Zm )をティーチングペンダント3に入力する(ステップS7で「YES」)。すると、制御装置2は、フランジ9の先端面の中心P0 がどの位置を取ろうとも、フランジ9の姿勢を、該フランジ9の先端面が入力されたベクトルMと直交する状態となるように各関節の駆動モータ16を動作させる(ステップS8)。このため、フランジ9の先端面を作業台18の表面と平行の状態を保ったままで作業台18の表面に真っ直ぐ降ろすロボット作業をティーチングすることができる。
【0030】
ちなみに、上記のステップS4において、ベクトルMのZ軸方向の成分Zm の正負を判断し、正であった場合には、ベクトルMのX,Y,Zの各軸方向の成分を負にする理由は、この実施例のロボットでは、アプローチベクトルAをZ軸上の負方向の長さ「1」のベクトルと定めているので、ベクトルMのZ軸方向の成分が正であった場合には、そのベクトルMの向きをアプローチベクトルの向きに一致させて、以後の演算を行い易くするためである。
【0031】
このように本実施例では、作業台18の表面の傾きを容易に求めることができる。しかも、その作業台18の表面の傾きは、特別の距離測定装置を使用せずとも、ロボットの制御装置2自体が本来有する座標変換演算機能を利用して作業台18の表面の3位置の座標を求めることによって自動的に行われるので、簡易に作業台18の表面の傾きを求めることができる。
【0032】
また、本実施例では、作業台18の表面の傾きを法線の傾きとして求めるようにし、且つ、そのために求めた3測定点P1 〜P3 でのロボット先端位置のうち、測定点P1 に対応するロボット先端位置P1 ´から測定点P2 ,P3 に対応するロボット先端位置P1 ´,P2 ´までのベクトルJ,Kの外積を求めることによって作業台18の表面の傾きを法線の傾き(ベクトルM)を直接求めたので、演算を容易にでき、制御装置2(CPU11)の負担を軽減することができる。
【0033】
このベクトルJ,Kを求めてその外積から作業台18の表面の傾きを法線の傾きとして求める方法に対し、まず、3測定点P1 〜P3 でのロボット先端位置の座標から作業台18の表面の傾きを求め、その後、作業台18の表面の法線の傾きを求める方法がある。この方法は次の通りである。
【0034】
まず、平面は、次の(1)式で示す方程式で表される。
【数1】
【0035】
上記の3位置P1 〜P3 は、作業台18の表面と平行な一つの平面内に存在するから、各位置について、次の(2)〜(4)式が成り立つ。
【数2】
【0036】
そして、上記の定数b,c,dをaで表すために、まず、(2)および(3)式から下記の(5)式、(2)および(4)式から下記の(6)式が求まる。
【数3】
【数4】
【0037】
次に、この(5)および(6)式から次の(7)式を得、この(7)式からcを求めると、(8)式のようになる。
【数5】
【0038】
そして、上記(8)式を(5)式に代入して下記の(9)式を得、この(9)式からdを求めると、(10)式のようになる。
【数6】
【0039】
また、前記(2)および(3)式から下記の(11)式、(2)および(4)式から下記の(12)式が求まる。
【数7】
【数8】
【0040】
そして、この(11)および(12)式から次の(13)式を得、この(13)式からbを求めると、(14)式のようになる。
【数9】
【0041】
従って、作業台18の表面と平行な一つの平面を表す式は、次の(15)式となる。
【数10】
【0042】
そして、作業台18の表面と平行な一つの平面を通る法線ベクトルは、次の座標で示される。
【数11】
【0043】
このようにしても法線ベクトルMを求めることができるが、これは以上説明したような大変面倒な計算を経なければならない。これに対し、本実施例のようにベクトルJ,Kの外積を演算することによって法線のベクトルMを求める方がより簡便で、制御装置2(CPU11)の負担を軽減できることが理解されるであろう。
【0044】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
作業台の表面は、水平な面に限られず、垂直な面であっても良く、或いは水平、垂直に限らず、どの様な傾きの面であっても良い。
作業台の表面の傾きを求めるためにハンド10を当接させる位置は、3位置に限らず、4位置或いはそれ以上であっても良い。この場合、2つのベクトルの組が複数できるが、各組について外積を求めてその平均を作業台の表面の法線ベクトルとするように構成すれば良い。
作業台表面の複数箇所でロボット作業を行う場合には、各作業箇所について作業台表面の傾きを求めるようにする。このようにすれば、ロボット本体は、各構成要素の製作精度、組立て精度、或いは剛性等の影響で基準座標のX,Y,Zの各軸が曲った状態となっていることがある、という事情があっても、その基準座標側の誤差を吸収でき、各作業位置毎に作業台表面の実際の傾きを検出できる。
表示器3bに表示されたベクトルMのX,Y,Zの各軸方向の成分(Xm ,Ym ,Zm )が、ティーチングペンダント3から入力されるのを待って制御装置2がフランジ9の姿勢を、該フランジ9の先端面が入力されたベクトルMと直交する状態となるように各関節の駆動モータ16を動作させたが、これは、(Xm ,Ym ,Zm )の入力を待つことなく、ステップS6を実行した後、直接、制御装置2がフランジ9の姿勢を(Xm ,Ym ,Zm )となるように修正する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、作業台表面を傾きを求めるためのフローチャート
【図2】2つのベクトルと外積との関係を示す図
【図3】作業台表面と平行な平面の3位置の座標を検出する時の斜視図
【図4】ロボットのフランジ部分の斜視図
【図5】ロボットの電気的構成を示すブロック図
【図6】ロボットの斜視図
【図7】従来の問題点を説明するための縦断側面図
【符号の説明】
1はロボット本体、2は制御装置(座標位置検出手段、演算手段)、3はティーチングペンダント、10はハンド、11はCPU、18は作業台である。
Claims (5)
- ロボット本体の先端の関節をフランジによって構成し、そのフランジの先端面にハンドを取り付けた多関節型のロボット本体にあって、前記フランジに設定された固定の2つのベクトルの向きが前記ロボット本体の基準座標上で同じ向きを保つように関節を動かすことにより、前記フランジがその先端面を作業台表面と平行にした姿勢を保ったまま、当該フランジを作業台表面に真っ直ぐに降ろすロボット作業をティーチングする方法において、
前記ハンドの先端部分を、前記作業台表面のうち、前記ロボット本体が作業を行う部位の周りに存在する互いに離れた少なくとも3つの測定点に当接させ、
これらの各測定点での前記フランジの先端の位置を前記基準座標上の座標で検出し、
この検出された少なくとも前記3位置の座標に基づいて前記基準座標に対する前記作業台表面の傾きを演算によって求め、
この求められた傾きに応じて前記フランジの先端面と前記作業台の表面とが平行な状態となるように前記フランジの姿勢を補正し、
前記補正された姿勢を保ったまま前記フランジを前記作業台表面に真っ直ぐに降ろすロボット作業をティーチングすることを特徴とするロボットのティーチング方法。 - 前記ロボット本体が作業を行う部位が前記作業台表面で複数ある場合、前記ハンドの先端部分を当接させる前記作業台表面の少なくとも3つの測定点は、前記各作業部位についてであることを特徴とする請求項1記載のロボットのティーチング方法。
- ロボット本体の先端の関節をフランジによって構成し、そのフランジの先端面にハンドを取り付けた多関節型のロボット本体にあって、前記フランジに設定された固定の2つのベクトルの向きが前記ロボット本体の基準座標上で同じ向きを保つように関節を動かすことにより、前記フランジがその先端面を作業台表面と平行にした姿勢を保ったまま、当該フランジを作業台表面に真っ直ぐに降ろすロボット作業をティーチングするティーチング装置において、
前記ロボット本体の基準座標に対する作業台の表面の傾きを検出してその傾きに応じて前記フランジの先端面と前記作業台の表面とが平行な状態となるように前記フランジの姿勢を補正し、前記補正された姿勢を保ったまま前記フランジを作業台表面に真っ直ぐに降ろすように前記ロボット本体の関節の動きを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記ハンドの先端部分を、前記作業台表面のうち、前記ロボット本体が作業を行う部位の周りに存在する互いに離れた少なくとも3つの測定点に当接させたとき、各測定点での前記フランジの先端の位置を前記基準座標上の座標で検出する座標位置検出手段と、
この座標位置検出手段によって検出された少なくとも前記3位置の座標に基づいて前記基準座標に対する前記作業台表面の傾きを演算によって求める演算手段とを具備してなるロボットのティーチング装置。 - 前記演算手段は、前記座標位置検出手段により検出された前記少なくとも3位置の座標に基づいて、少なくとも2つのベクトルの組を求め、その2つのベクトルの外積を演算することにより、前記作業台表面の傾きを該作業台表面の法線の傾きとして求めることを特徴とする請求項3記載のロボットのティーチング装置。
- 前記ロボット本体が作業を行う部位が前記作業台表面で複数ある場合、前記ハンドの先端部分を当接させる前記作業台表面の少なくとも3つの測定点は、前記各作業部位についてであることを特徴とする請求項3または4記載のロボットのティーチング装置。
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