JP7087446B2 - 放熱板付絶縁回路基板、及び、放熱板付絶縁回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
上述の絶縁回路基板として、例えば特許文献1に記載された金属ベース回路基板が提案されている。
この金属ベース回路基板においては、回路層上に半導体素子が接合され、金属基板の絶縁樹脂層とは反対側の面に放熱板が配設されており、半導体素子で発生した熱を放熱板側に伝達して放熱する構造とされている。
例えば、特許文献2には、回路層に搭載した素子等から発生した熱を効率的に放散させるために、セラミックス基板の前記回路層とは反対側の面に金属層を設けるとともに、この金属層にはんだ材を介して接合された放熱板(放熱ベース)を備えた構造のものが提案されている。
さらに、特許文献3には、回路層が形成されたセラミックス基板と放熱板を、接着剤を介して接合した絶縁回路基板が開示されている。
また、絶縁樹脂層によって、放熱板と絶縁回路基板との熱膨張差に起因する熱応力を緩和することができ、放熱板と絶縁回路基板との接合信頼性を向上させることができる。
さらに、放熱板と回路層との間に、セラミックス層と絶縁樹脂層とが存在しているので、絶縁性に優れており、高電圧を負荷した場合であっても、耐電圧性が確保され、信頼性に優れている。
この場合、セラミックス層の他方の面(回路層とは反対側の面)に金属層が形成されているので、絶縁回路基板における反りの発生を抑制することができる。また、この金属層を介して熱を放熱板側へと効率的に伝達させることができる。
この場合、前記絶縁樹脂層の厚さが20μm以上とされているので、熱応力を確実に緩和することができ、確実に接合信頼性を向上させることができる。一方、前記絶縁樹脂層の厚さが250μm以下とされているので、厚さ方向の熱抵抗が高くなることを抑制できる。
この場合、前記セラミックス層の厚さが0.2mm以上とされているので、絶縁性を確保することができる。一方、前記セラミックス層の厚さが1.5mm以下とされているので、厚さ方向の熱抵抗が高くなることを抑制できる。
この場合、一つの放熱板の上に、絶縁回路基板と他の回路部材を配設することが可能となる。これにより、高電圧が負荷される領域には、セラミックス層を含む絶縁回路基板を配置し、高電圧が負荷されない領域には、絶縁樹脂層に直接回路部材を積層することで、様々な回路パターンを形成することができる。
よって、耐電圧性及び放熱性に優れるとともに、接合信頼性に優れた放熱板付絶縁回路基板を製造することが可能となる。
この場合、樹脂組成物を硬化させる際に十分に加圧することにより、樹脂組成物の厚さ中心まで確実に硬化させることができ、絶縁性に優れた絶縁樹脂層を得ることができる。
図1に、本発明の実施形態である放熱板付絶縁回路基板30、及び、この放熱板付絶縁回路基板30を用いたパワーモジュール1を示す。
半導体素子3は、半導体を備えた電子部品であり、必要とされる機能に応じて種々の半導体素子が選択される。
絶縁回路基板10は、セラミックス層11と、このセラミックス層11の一方の面(図1において上面)に配設された回路層12と、セラミックス層11の他方の面に配設された金属層13と、を備えている。
ここで、セラミックス層11の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されている。
なお、回路層12となる銅板22の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
なお、金属層13となる銅板23の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
そして、この絶縁樹脂層35は、無機フィラーを含有する絶縁性の熱硬化型樹脂で構成されている。
また、本実施形態においては、絶縁樹脂層35の厚さは、20μm以上150μm以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、この絶縁樹脂層35単体での耐電圧特性は、10kV/mmt以上とされている。
また、絶縁樹脂層35単体での熱伝導率は、3W/(m・K)以上20W/(m・K)以下の範囲内とすることが好ましい。
まず、図3で示すように、セラミックス層11となるセラミックス板21の一方の面(図3において上面)に回路層12となる銅板22を、かつ、セラミックス板21の他方の面(図3において下面)に金属層13となる銅板23を、いわゆる活性金属ろう付け法によって接合した。
本実施形態では、Ag-27.4質量%Cu-2.0質量%Tiからなる活性ろう材26を用いた。
ここで、真空加熱炉内の圧力は10-6Pa以上10-3Pa以下の範囲内、加熱温度は600℃以上650℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間は15分以上180分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
以上のようにして、上述の絶縁回路基板10が製造される。
次に、放熱板31の一面(図3において上面)に、フィラーとしてのアルミナと熱硬化型樹脂としてのエポキシ樹脂と硬化剤とを含有する樹脂組成物45を介して、絶縁回路基板10を積層する。なお、本実施形態では、樹脂組成物45は、シート状に形成されている。
ここで、フィラーの含有量は、樹脂組成物45の体積を100としたときに50vol%以上85vol%以下の範囲内とすることが好ましい。また、硬化剤は、エポキシ樹脂の重量を100としたときに0.5質量%以上40質量%以下の範囲内とすることが好ましい。
次に、放熱板31と樹脂組成物45と絶縁回路基板10とを積層方向に加圧するとともに加熱して、樹脂組成物45を硬化させて絶縁樹脂層35を形成するとともに、絶縁回路基板10(金属層13)と絶縁樹脂層35とが接着され、絶縁樹脂層35と放熱板31とが接着される。
本実施形態では、図3に示すように、押圧板51、51を介して、放熱板31と樹脂組成物45と絶縁回路基板10とを積層方向に加圧する構成とされている。
次に、絶縁回路基板10の回路層12に半導体素子3を接合する。本実施形態では、回路層12と半導体素子3とを、はんだ材を介して接合している。
以上の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製造される。
さらに、放熱板31と回路層12との間に、セラミックス層11と絶縁樹脂層35とが存在しているので、絶縁性に優れており、高電圧を負荷した場合であっても、耐電圧性が確保され、信頼性に優れている。
一方、絶縁回路基板10におけるセラミックス層11の厚さが1.5mm以下とされているので、厚さ方向の熱抵抗が高くなることを抑制でき、放熱特性に優れている。
さらに、上記実施形態では、金属層を設けるものとして説明したが、金属層をもうけなくてもよい。この場合、セラミックス層と絶縁樹脂層が接着される。
なお、従来例1においては放熱板と絶縁回路基板とを、Sn-0.7Cuはんだを介して接合した。
また、従来例2においては放熱板と絶縁回路基板とを、エポキシ系接着剤(フィラー無し)を用いて接着した。
上述の放熱板付絶縁回路基板に対して、ヒートサイクル試験を実施した。
ヒートサイクル試験は、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB-51を使用し、試験片(放熱板付絶縁回路基板)に対して、液相(フロリナート)で、-40℃×5分←→150℃×5分のヒートサイクルを4000回実施した。
そして、ヒートサイクル試験前の放熱板と絶縁回路基板との接合率(初期接合率)、及び、ヒートサイクル試験後の放熱板と絶縁回路基板との接合率(ヒートサイクル後の接合率)を、以下のようにして評価した。
接合率(%)={(初期接合面積)-(剥離面積)}/(初期接合面積)×100
半導体素子としてヒータチップを回路層の表面に半田付けし、放熱板を冷却器にろう付け接合した。次に、ヒータチップを100Wの電力で加熱し、熱電対を用いてヒータチップの温度を実測した。また、冷却器を流通する冷却媒体(エチレングリコール:水=9:1)の温度を実測した。そして、ヒータチップの温度と冷却媒体の温度差を電力で割った値を熱抵抗とした。
放熱板付絶縁回路基板を絶縁油(3M社製フロリナートFC-770)に浸漬し、金属基板及び回路層にプローブ(真鍮製φ20mm)の電極を配設した。そして、5秒間で0.5kV昇圧し、その後、30秒保持するサイクルを繰り返し、絶縁破壊を起こす電圧(絶縁破壊電圧)(kV)とした。評価結果を表2に示す。
エポキシ系接着剤を用いた比較例2においては、熱抵抗が0.61K/Wと高く、放熱特性が不十分であった。
3 半導体素子
10 絶縁回路基板
11 セラミックス層
12 回路層
13 金属層
Claims (7)
- 金属材料又は金属含有複合材料からなる放熱板を備え、この放熱板の一面に絶縁樹脂層が形成されており、
前記絶縁樹脂層の上に、セラミックス層と前記セラミックス層の一方の面に形成された回路層とを有する絶縁回路基板が、前記セラミックス層のうち前記回路層とは反対側の面が前記絶縁樹脂層を向くように積層されており、
前記絶縁樹脂層は、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂で構成されており、
前記絶縁樹脂層単体での耐電圧特性が10kV/mmt以上とされ、
絶縁破壊電圧が7.5kV以上とされていることを特徴とする放熱板付絶縁回路基板。 - 前記絶縁回路基板は、前記セラミックス層の前記回路層とは反対側の面に金属層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の放熱板付絶縁回路基板。
- 前記絶縁樹脂層の厚さが20μm以上250μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放熱板付絶縁回路基板。
- 前記セラミックス層の厚さが0.2mm以上1.5mm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放熱板付絶縁回路基板。
- 前記絶縁樹脂層の上に、前記絶縁回路基板とは別に、回路部材が配設されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放熱板付絶縁回路基板。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放熱板付絶縁回路基板の製造方法であって、
前記放熱板の一面に、無機フィラー及び熱硬化型樹脂を含有する樹脂組成物を介して前記絶縁回路基板を積層する積層工程と、
積層された前記放熱板、前記樹脂組成物、前記絶縁回路基板を、積層方向に加圧するととともに加熱し、前記樹脂組成物を硬化させて、前記絶縁樹脂層を形成するとともに、前記放熱板と前記絶縁樹脂層と前記絶縁回路基板とを接合する樹脂硬化工程と、
を備えていることを特徴とする放熱板付絶縁回路基板の製造方法。 - 前記樹脂硬化工程では、硬化前の前記樹脂組成物の厚さt0と硬化後の前記絶縁樹脂層の厚さt1との比t1/t0が0.8以下となるように、積層方向へ加圧することを特徴とする請求項6に記載の放熱板付絶縁回路基板の製造方法。
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