JP2013207242A - 発熱素子放熱装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望される耐電圧を簡易かつ適切に確保することができる発熱素子放熱装置を実現する。
【解決手段】発熱素子10を含む発熱ユニットUと、絶縁性の接着シート30を介して発熱ユニットUに接着される放熱部材40と、を備えた発熱素子放熱装置1。接着シート30は、熱硬化性樹脂Rを主成分として構成されていると共に、発熱ユニットUと放熱部材40との接着前に熱硬化された予備硬化部32と、発熱ユニットUと放熱部材40との接着時に熱硬化された主硬化部34とを有する。予備硬化部32は、発熱ユニットUと放熱部材40とに挟まれる接着領域の一部に形成されている。
【選択図】図8

Description

本発明は、発熱素子を含む発熱ユニットと、電気的絶縁性及び伝熱性を有する接着シートを介して発熱ユニットに接着される放熱部材と、を備えた発熱素子放熱装置に関する。
上記のような発熱素子放熱装置として、特開2003−153554号公報(特許文献1)に記載された装置〔インバータ装置〕が知られている。この特許文献1では、発熱素子放熱装置は、以下のようにして製造されている。まず、発熱素子〔半導体チップであるIGBT191及びダイオード201〕が伝熱部材〔導体22〕にはんだ接合されて、発熱ユニットが形成される。その後、放熱部材〔冷却器24〕と発熱ユニットの伝熱部材との間に接着シート〔絶縁樹脂シート25〕を介在させた状態で、放熱部材と発熱ユニットとが熱圧着される。このようにして、放熱部材、接着シート、及び発熱ユニットが記載の順に積層された発熱素子放熱装置が得られる。
特許文献1の発熱素子放熱装置において、接着シートは、発熱ユニットと放熱部材とを接着させると共に、これらの間の電気的絶縁性を確保するための役割を担っている。しかし、熱圧着の際に過剰な圧力が接着シートに加わると、当該接着シートが部分的に薄くなる等して、発熱ユニットと放熱部材との間の電気的絶縁性が低下してしまう可能性がある。特に、特許文献1のように発熱ユニットが半導体チップ等の発熱素子を含み、発熱素子への直接的な加圧を避けながら熱圧着を行うような場合には、発熱素子が設けられていない領域に対応する部分に応力が集中しやすく、上記の課題が生じやすい。また、特許文献1の接着シートは伝熱性向上のために無機粒子を含んでいるが、過剰な圧力が接着シートに加わると、無機粒子と接着シートを構成する樹脂成分との界面部分に空隙が生じる可能性もある。このような空隙が生じると、当該空隙を通って電流が流れやすくなるため、発熱ユニットと放熱部材との間の電気的絶縁性が低下してしまう可能性がある。その結果、耐電圧(機器に対して印加可能な電圧の限界値)が低下する可能性がある。
特開2003−153554号公報
そこで、所望される耐電圧を簡易かつ適切に確保することができる発熱素子放熱装置の実現が望まれる。
本発明に係る、発熱素子を含む発熱ユニットと、電気的絶縁性及び伝熱性を有する接着シートを介して前記発熱ユニットに接着される放熱部材と、を備えた発熱素子放熱装置の特徴構成は、前記接着シートは、熱硬化性樹脂を主成分として構成されていると共に、前記発熱ユニットと前記放熱部材との接着前の加熱により硬化された予備硬化部と、前記発熱ユニットと前記放熱部材との接着時の熱圧着により硬化された主硬化部とを有し、前記予備硬化部は、前記接着時に前記発熱ユニットと前記放熱部材とに挟まれる領域である接着領域の一部に形成されている点にある。
この特徴構成によれば、接着シートは、発熱ユニットと放熱部材とを接着させる主硬化部とは別に、両者の接着前に接着領域の一部に形成される予備硬化部を有する。この予備硬化部は、発熱ユニットと放熱部材との接着時に既に硬化されているので、両者を熱圧着して接着させる際には、両者間に所定間隔を確保させるための一種のスペーサとして機能する。よって、発熱ユニットと放熱部材との接着の際に、接着シートが薄くなり過ぎることを抑制でき、発熱ユニットと放熱部材との間の電気的絶縁性の確保が容易となる。従って、所望される耐電圧を簡易かつ適切に確保することができる発熱素子放熱装置を実現できる。
ここで、前記接着シートの厚さ方向に見て、複数の前記予備硬化部が前記接着領域内に分散配置され、複数の前記予備硬化部のそれぞれは、前記厚さ方向の全域に亘って連続するように形成されていると好適である。
この構成によれば、予備硬化部が接着シートの厚さ方向の全域に亘って形成されるので、発熱ユニットと放熱部材との間隔を所望の大きさに近づけることが容易となる。また、接着領域の複数箇所に形成される予備硬化部により、接着領域の各位置での、発熱ユニットと放熱部材との間隔のばらつきを抑制できる。
また、前記予備硬化部は、加熱されるのと同時に前記接着シートの厚さ方向に加圧されて形成され、前記予備硬化部の厚さが、前記発熱ユニットと前記放熱部材との接着後に前記主硬化部となる領域の前記接着前の厚さよりも小さいと好適である。
この構成によれば、加圧しながら加熱することで、予備硬化部の密度(強度)を高めることができ、スペーサとしての機能を確保することができる。また、接着シートにおける主硬化部に対応する領域の硬化前の厚さが予備硬化部の厚さよりも厚いので、発熱ユニットと放熱部材との熱圧着による接着力を確保できる。
また、前記予備硬化部は、加熱されるのと同時に前記接着シートの厚さ方向に加圧されて形成され、前記予備硬化部の厚さが、前記発熱ユニットと前記放熱部材との間の電気的絶縁性を確保可能な絶縁距離以上であると好適である。
この構成によれば、加圧しながら加熱することで、予備硬化部の密度(強度)を高めることができ、スペーサとしての機能を確保することができる。また、予備硬化部の厚さが絶縁距離以上であるので、発熱ユニットと放熱部材との間の電気的絶縁性を確保することが容易となる。
また、前記接着シートは、前記熱硬化性樹脂よりも伝熱性の高い無機粒子を含み、前記予備硬化部は、加熱されるのと同時に前記接着シートの厚さ方向に加圧されて形成され、前記予備硬化部の厚さが、前記無機粒子の最大径よりも大きいと好適である。
この構成によれば、接着シートが無機粒子を含むので、比較的伝熱性の低い熱硬化性樹脂を主成分とする接着シートの伝熱性を向上させることができる。よって、発熱ユニット(発熱素子)で発生した熱を、接着シートを介して放熱部材へと効率的に伝達することができ、放熱効率(冷却効率)を高めることができる。また、予備硬化部の形成の際に、加圧しながら加熱することで、予備硬化部の密度(強度)を高めることができ、スペーサとしての機能を確保することができる。更に、予備硬化部の厚さが無機粒子の最大径よりも大きいので、発熱ユニットと放熱部材との熱圧着時に、無機粒子と接着シートを構成する樹脂成分との界面の状態が適正に維持される。つまり、両者の界面部分に空隙等が生じることが有効に抑制されるので、発熱ユニットと放熱部材との間の電気的絶縁性を適切に確保することができる。
また、前記発熱ユニットは、前記発熱素子が固定される伝熱部材を含み、前記伝熱部材は、前記接着シートの厚さ方向に見て前記発熱素子を取り囲む領域である周囲領域を有し、前記厚さ方向に見て、前記伝熱部材の全体が前記接着シートと重複する位置に配置されていると共に、前記予備硬化部が前記周囲領域と重複する位置に配置されていると好適である。
この構成によれば、伝熱部材の全体が接着シートと重複するので、伝熱部材の全体が接着シートを介して放熱部材に接着され、接着強度を適正に確保することができる。また、伝熱部材に設定される周囲領域に対して押圧力を作用させることで、発熱素子への直接的な加圧を避けながら、発熱ユニットと放熱部材との熱圧着を行うことができる。よって、発熱素子の性能を適正に維持しながら熱圧着を行うことができる。この場合において、予備硬化部が周囲領域と重複する位置に配置されるので、押圧力が加えられる周囲領域に対応する部分において特に、接着シートを所望の厚さ以上に維持することができる。
また、前記伝熱部材は、前記厚さ方向に見て矩形状であり、前記厚さ方向に見て、複数の前記予備硬化部が、矩形枠状の前記周囲領域における四隅部分のそれぞれと重複する位置に配置されていると好適である。
この構成によれば、加工性に優れた矩形状の伝熱部材を用い、簡易かつ低コストに発熱素子放熱装置を得ることができる。また、少なくとも4つの予備硬化部が、矩形枠状の周囲領域における四隅部分のそれぞれと重複する位置に配置されるので、周囲領域に対応する部分の全体において、接着シートの厚さを均等化することができる。
本発明に係る、発熱素子を含む発熱ユニットと、電気的絶縁性及び伝熱性を有する接着シートを介して前記発熱ユニットに接着される放熱部材と、を備えた発熱素子放熱装置の製造方法の特徴構成は、前記接着シートを前記放熱部材の載置面に載せた状態で、前記接着シートの一部を加熱すると同時に前記接着シートの厚さ方向に加圧して予備硬化部を形成する予備硬化工程と、前記予備硬化工程の後、前記接着シートにおける前記放熱部材側とは反対側の面に前記発熱ユニットを載せ、前記発熱ユニットと前記放熱部材とにより前記接着シートを挟んだ状態で熱圧着を行い、前記発熱ユニットと前記放熱部材とを接着させる熱圧着工程と、を有する点にある。
この特徴構成によれば、熱圧着工程よりも前に行われる予備硬化工程により、接着シートの一部に予備硬化部が形成される。予備硬化工程では、加圧しながら加熱することで、密度(強度)を高めながら硬化させて予備硬化部を形成することができる。その際、放熱部材に接着シートを載せた状態で、放熱部材の載置面を基準として高精度な厚さ管理を行いながら予備硬化部を形成することができる。この予備硬化部は、それ以降に行われる熱圧着工程において、発熱ユニットと放熱部材との間に所定間隔を確保させるための一種のスペーサとして機能する。よって、発熱ユニットと放熱部材との接着の際に、予備硬化部の厚さに応じて接着シートが薄くなり過ぎることを抑制でき、発熱ユニットと放熱部材との間の電気的絶縁性の確保が容易となる。従って、所望される耐電圧を簡易かつ適切に確保することができる発熱素子放熱装置を容易に製造できる。
インバータ装置の回路構成を模式的に示すブロック図 インバータ装置の部分斜視図 配置工程での状態を示す模式図 予備硬化工程での状態を示す模式図 予備硬化工程終了時の接着シートの一例を示す図 熱圧着工程での状態を示す模式図 熱圧着工程での状態を示す模式図 インバータ装置の部分断面図 図8の要部拡大図 予備硬化工程終了時の接着シートの他の例を示す図 予備硬化工程終了時の接着シートの他の例を示す図 予備硬化工程終了時の接着シートの他の例を示す図
本発明に係る発熱素子放熱装置の実施形態について、図面を参照して説明する。発熱素子放熱装置は、発熱素子と放熱部材とを備え、発熱素子からの発生熱を放熱部材により放熱することができるように構成された装置である。このような発熱素子放熱装置の一例として、本実施形態では、図1に示すような、回転電機3を制御するシステムにおけるインバータ装置1を例として説明する。なお、回転電機3は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、並びに必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
図2に示すように、インバータ装置1は、発熱素子10を含む発熱ユニットUと、電気的絶縁性を有するシート部材30を介して発熱ユニットUに接着される放熱部材40と、を備えている。本実施形態では、発熱ユニットUは発熱素子10が固定される伝熱部材20を含んでいる。すなわち、インバータ装置1は、発熱素子10と、当該発熱素子10が固定される伝熱部材20と、絶縁性のシート部材30を介して伝熱部材20に接着される放熱部材40と、を備えている。これらは、放熱部材40、シート部材30、伝熱部材20、及び発熱素子10の順に積層されている。本実施形態では、これらの積層方向をZ方向と定義する。また、本実施形態では、互いに直交し、かつ、Z方向にも直交する二方向を、それぞれX方向及びY方向と定義する。本実施形態では、Z方向が、シート部材30の厚さ方向に一致している。なお、以下では、Z方向における相対的に発熱素子10側を「上」と記載する場合がある。
1.インバータ装置の基本構成
インバータ装置1の基本構成について、図1及び図2を参照して説明する。インバータ装置1は、複数(本例では6つ)のスイッチング素子12を備えたインバータ回路を有する。インバータ回路はブリッジ回路により構成されており、直流電源としてのバッテリ6(各種の二次電池やキャパシタ等)の正極P側と負極N側(例えばグランド側)との間に2つのスイッチング素子12が直列に接続され、この直列回路が3つ並列に接続されている。各スイッチング素子12には、整流素子16がそれぞれ並列接続されている。直列接続される一対のスイッチング素子12はそれぞれ、回転電機3の各相のステータコイル4に接続されている。そして、各スイッチング素子12は、制御回路(図示せず)からの制御信号に従ってそれぞれ個別にスイッチング制御される。
本実施形態では、スイッチング素子12として、半導体素子(本例では能動素子)の一種であるIGBT(insulated gate bipolar transistor)を用いている。なお、スイッチング素子12として、バイポーラ型、電界効果型、MOS型など種々の構造のパワートランジスタを用いることも可能である。また、整流素子16として、半導体素子(本例では能動素子)の一種であるダイオードを用いている。スイッチング素子12及び整流素子16は、通電されたときに損失が熱エネルギー(ジュール熱)として発散されて発熱する。本実施形態では、スイッチング素子12及び整流素子16が、本発明における「発熱素子10」に相当する。
発熱素子10であるスイッチング素子12及び整流素子16は、伝熱部材20に固定されている。伝熱部材20は、導電性の材料により構成されている。また、伝熱部材20は、伝熱性の高い材料により構成されている。伝熱部材20は、例えば銅やアルミニウム等の金属材料からなる板状部材とすることができる。伝熱部材20は、例えば板状の金属板を用いて打ち抜き加工により形成することができる。伝熱部材20は、発熱素子10からの発生熱を放熱部材40側に拡散させるヒートスプレッダとして機能する。伝熱部材20は、Z方向視で矩形状(長方形状)に形成されている。ここで、Z方向視とは、伝熱部材20やシート部材30等の厚さ方向でもあるZ方向に見た状態である。また、矩形状とは、全体として略矩形状であることを表し、角部が円弧状とされたり面取りされたりしても良い。
本実施形態では、1つの伝熱部材20にスイッチング素子12及び整流素子16が1つずつ固定されて、1つの発熱ユニットUが構成されている(図6も参照)。そして、そのような発熱ユニットUが、複数(本例では6つ)設けられている。図2に示すように、本例では、これら6つの発熱ユニットUは、互いに所定間隔を隔てて、X方向に2つ並ぶと共にY方向に3つ並ぶように整列して配置されている。
図2に示すように、これら6つの発熱ユニットUは、本実施形態では共通の(1枚の)シート部材30を介して放熱部材40に接着されている。放熱部材40は、伝熱性の高い材料により構成されている。放熱部材40は、例えば銅やアルミニウム等の金属材料からなる板状部材とすることができる。放熱部材40は、発熱素子10からの発生熱を伝熱部材20から受け取って放熱させるヒートシンクとして機能する。放熱部材40は、Z方向視で矩形状(長方形状)に形成されている。放熱部材40は、Z方向視で6つの発熱ユニットU及び1枚のシート部材30を完全に包含する大きさの矩形状に形成されている。
伝熱部材20と放熱部材40との間に介在されるシート部材30は、熱硬化性樹脂Rを主成分として構成されている。熱硬化性樹脂Rとは、加熱により硬化する性質を有する樹脂である。熱硬化性樹脂Rを主成分として構成されるとは、主要な構成成分が熱硬化性樹脂Rであることを表し、他の成分を含有することを許容する概念である。シート部材30は、加熱されることによって熱硬化性樹脂Rが硬化して、当該シート部材30を挟んで配置される2つの部材(ここでは、伝熱部材20と放熱部材40)を接着させることが可能である。つまり、シート部材30は接着性を有する。
また、熱硬化性樹脂Rを主成分として構成されるシート部材30は、一般的な樹脂材料が有する性質に従い、電気的絶縁性を有する。これにより、伝熱部材20と放熱部材40との間が、シート部材30によって適切に絶縁されている。このように、シート部材30は、接着シートとして機能すると共に、絶縁シートとして機能する。シート部材30は、Z方向視で矩形状(長方形状)に形成されている。シート部材30は、Z方向視で6つの発熱ユニットUを完全に包含する大きさの矩形状に形成されている。つまり、シート部材30は、それぞれの伝熱部材20の接着面22(図6〜図8を参照)の外縁部よりも外側に延出した状態で、放熱部材40の載置面41に接着されている。なお、伝熱部材20の接着面22は、シート部材30を介して放熱部材40に接着される面である。これにより、シート部材30における延出部36のXY平面に沿った長さの分だけ、伝熱部材20と放熱部材40との間の沿面距離が確保されている。よって、この点からも両者間の絶縁性がより確実に確保されている。なお、シート部材30は、Z方向視で放熱部材40によって完全に包含される大きさとされている。
シート部材30を構成する熱硬化性樹脂Rとしては、公知のものを用いることができ特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、シアン酸エステル樹脂等を例示することができる。電気的絶縁性の観点からは、エポキシ樹脂やフェノール樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等を用いることができる。また、フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂等を用いることができる。これらのうちの2種類以上を混合して用いても良い。
シート部材30は、熱硬化性樹脂R以外にも他の成分を含有し得る。例えば熱硬化性樹脂Rがエポキシ樹脂やフェノール樹脂を用いて構成される場合には、硬化剤及び硬化促進剤を添加することができる。また、必要に応じて、分散剤、酸化防止剤、及び安定剤等を添加することもできる。更に、粘着性付与剤、加工助剤、消泡剤、難燃剤、増粘剤、及び顔料等の、プラスチック配合薬品として一般に用いられるものを適宜添加しても良い。熱硬化性樹脂Rに対するこれらの添加割合は、少量(微量)である。
本実施形態では、シート部材30は、熱硬化性樹脂Rよりも伝熱性の高い無機粒子Iを含んでいる(図9を参照)。熱硬化性樹脂Rを主成分として構成されるシート部材30は、本来的には、伝熱部材20や放熱部材40を構成する金属材料に対して、伝熱性が相対的に低い。そのため、発熱素子10での発生熱を伝熱部材20から放熱部材40へと効率的に伝達することを可能とするべく、熱硬化性樹脂Rよりも伝熱性の高い無機粒子Iが添加されている。このような無機粒子Iは、一般に無機フィラーと呼ばれるものである。無機粒子Iとしては、伝熱性及び電気的絶縁性の高い無機材料の粒子を好ましく用いることができる。例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ガリウム、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、及びダイヤモンド等を例示することができる。これらのうちの2種類以上を併用しても良い。
無機粒子Iとしては、所定形状の一次粒子が凝集した粒子(凝集粒子)を用いることができる。この凝集粒子には、全体として顆粒状となるように形成された凝集粒子(顆粒状粒子)や、一次粒子の形状が区別できる程度に集合して形成された凝集粒子(集合状粒子)等が含まれる。無機粒子Iの粒径は、最終的なシート部材30の厚さに応じて設定すると良い。なお、無機粒子Iの粒径は、レーザー回折・散乱法での粒度分布測定等に基づいて求めることができる。
熱硬化性樹脂Rに対する無機粒子Iの添加割合は、他の添加剤の添加割合よりも高く設定されている。シート部材30の全体における無機粒子Iの割合は、例えば50〜95重量%とすることができる。50重量%未満であれば、シート部材30の全体としての伝熱性の向上効果が薄れる可能性がある。95重量%よりも高いと、熱硬化性樹脂Rの量が相対的に少なくなり、接着性能が低下する可能性がある。そこで、上記の範囲内とすることで、シート部材30の接着性能を適正に維持させながら、全体としての伝熱性を有効に向上させることができる。
本実施形態では、放熱部材40の、発熱ユニットUが載せられる載置面41とは反対側の放熱面42(図8を参照)から、放熱部材40に伝達された熱が系外に放出される。すなわち、本実施形態に係るインバータ装置1は、発熱素子10からの発生熱が、伝熱部材20からシート部材30を介して放熱部材40に効率的に伝達されて、放熱面42から放熱されるように形成されている。なお、より広い表面積を確保して放熱性能を向上させるため、放熱面42に板状のフィン部材や柱状のピン部材等が設けられても良い。これらは、放熱部材40と一体的に設けられても良いし、放熱部材40とは別体として設けられても良い。
2.インバータ装置の製造方法
本実施形態に係るインバータ装置1の製造方法について、図3〜図9を参照して説明する。本製造方法は、本実施形態に係るインバータ装置1の製造において一般的な、接合工程、配置工程、熱圧着工程、配線工程、及び封止工程を有すると共に、これらに加えて予備硬化工程を更に有する。配置工程、予備硬化工程、熱圧着工程、配線工程、及び封止工程は、記載の順に実行される。接合工程は、熱圧着工程よりも前に実行され、本実施形態では配置工程よりも前に実行される。なお、各図においては、シート部材30の構成を視覚的に分かりやすくするため、シート部材30の厚さを実際よりも厚く描いている。
接合工程は、発熱素子10であるスイッチング素子12及び整流素子16を伝熱部材20に接合する工程である(図示せず)。本実施形態では、接合工程においてはんだリフローを行い、スイッチング素子12及び整流素子16と伝熱部材20とを接合(はんだ接合)する。はんだリフローでは、伝熱部材20の載置面21に印刷等により予めはんだを塗布しておき、その上にスイッチング素子12及び整流素子16を載せた状態でリフロー炉内に入れる。そして、これらを炉内ではんだの溶融温度以上まで加熱し、伝熱部材20の載置面21にスイッチング素子12及び整流素子16をはんだ接合して、発熱ユニットUを形成する。接合工程では、このような発熱ユニットUが複数(本例では6つ)形成される。
図2から理解できるように、各発熱ユニットUにおいて、スイッチング素子12及び整流素子16は、Z方向視で、伝熱部材20の中央領域に配置されている。言い換えれば、伝熱部材20は、スイッチング素子12及び整流素子16が載置される素子載置領域24を、当該伝熱部材20の載置面21の中央部に有する。また、伝熱部材20は、スイッチング素子12及び整流素子16(素子載置領域24)を取り囲むように枠状に形成された周囲領域25を、載置面21の周縁部に有する。本実施形態では、素子載置領域24は矩形状に形成され、それに応じて、周囲領域25は矩形枠状に形成されている。周囲領域25にはスイッチング素子12等の半導体素子は配置されておらず、周囲領域25の全体で載置面21が露出している。
配置工程は、シート部材30を構成する樹脂組成物を放熱部材40に配置する工程である。図3に示すように、配置工程では、本実施形態では、熱硬化性樹脂Rを主成分とする樹脂組成物が、印刷等により放熱部材40の載置面41に塗布される。樹脂組成物は、熱硬化性樹脂R以外に、所定割合で添加された無機粒子Iを含有する(図9を参照)。このときの塗布厚さは、最終的にシート部材30に必要とされる厚さに応じて設定される。より具体的には、伝熱部材20と放熱部材40との間の電気的絶縁性を確保可能な絶縁距離Lや、無機粒子Iの粒径等に基づいて設定される。なお、予めシート状に形成され、かつ、完全には硬化していない状態のシート部材30を別途取得し、そのシート部材30を配置工程で使用しても良い。この場合、配置工程では、放熱部材40の載置面41にシート部材30が載せられる。
予備硬化工程は、シート部材30を放熱部材40の載置面41に載せた状態(樹脂組成物を載置面41に塗布した状態)で、その一部を局所的に加熱して予備硬化を行う工程である。ここで、局所的に加熱するとは、シート部材30の厚さ方向であるZ方向視における一部の閉領域のみを加熱することを表す。この場合における閉領域は、1つだけであっても良いし、複数存在しても良い。図4に示すように、予備硬化工程では、熱圧着装置60に備えられる支持部材62に放熱部材40を載せた状態で、シート部材30(樹脂組成物)の一部をZ方向に沿って加圧すると同時に加熱する。
具体的には、支持部材62と、本実施形態ではZ方向に延びる枠状の支持部65及び複数の柱状(円柱状)の加熱押圧部66を有する第一押圧部材64とで、放熱部材40及びシート部材30(樹脂組成物)を挟持する。その状態で、支持部材62側に向かって第一押圧部材64を押し付けながら加熱押圧部65を発熱させることで、シート部材30(樹脂組成物)の一部をZ方向に沿って加圧すると同時に加熱する。これにより、熱硬化性樹脂Rのうち加熱された部分が硬化し、図4及び図5に示すように、シート部材30(樹脂組成物)の一部に、複数の予備硬化部32がZ方向視で点状に形成される。
予備硬化部32は、その後の熱圧着工程において、発熱ユニットUと放熱部材40とが接着される際に両者に挟まれることになる接着領域38の一部に形成される。このとき、複数の予備硬化部32は、Z方向視で接着領域38内に分散配置するように形成される。本実施形態では、接着領域38は、伝熱部材20の全体に対応する領域である。なお、図4及び図5では、1つの発熱ユニットUに対応する領域のみを示している。また、図5では、伝熱部材20の外縁を一点鎖線で示すと共に、素子載置領域24と周囲領域25との境界を二点鎖線で示している。これらの図に示すように、本実施形態では、1つの発熱ユニットU当たり、X方向及びY方向に3つずつ並ぶように整列して、計9つの予備硬化部32が形成される。これらの予備硬化部32は、各発熱ユニットUとの接着領域38において、対称状(本例では点対称状)に配置される。ここで、対称状とは、全体として実質的に対称であることを表す。従って、例えば製造上許容され得る誤差による多少の位置ずれを有する状態となっていても良い。
なお、6つの発熱ユニットUは、X方向に2つ並ぶと共にY方向に3つ並ぶように配置されている。これに応じて、シート部材30の全体では、X方向に6つずつ並ぶと共にY方向に9つずつ並ぶように整列して、計54個の予備硬化部32が形成される(図示せず)。また、予備硬化部32以外の領域は、未だ硬化されていない樹脂組成物が残存する未硬化領域38uであり、その後の熱圧着工程において硬化されて主硬化部34となる領域である。
図4に示すように、予備硬化部32のそれぞれは、シート部材30の厚さ方向であるZ方向の全域に亘って連続するように形成される。すなわち、予備硬化部32は、Z方向に沿った柱状(円柱状)に形成される。本実施形態では、一様な厚さを有する樹脂組成物の一部を局所的にZ方向に沿って加圧及び加熱して予備硬化部32を形成するので、予備硬化部32のZ方向に沿った厚さT1は、未硬化領域38uの厚さT2よりも小さい。例えば、未硬化領域38uの厚さT2の0.8倍以下となるように設定することができる。このような厚さであれば、その後の熱圧着工程における、未硬化領域38uでの熱圧着の確実性を適切に担保できる。
また、本実施形態では、予備硬化部32の厚さT1は、伝熱部材20と放熱部材40との間の電気的絶縁性を確保することや、無機粒子Iの粒径等を考慮して設定される。より具体的には、予備硬化部32の厚さT1は、発熱ユニットUと放熱部材40との間の電気的絶縁性を確保可能な絶縁距離(空間距離)L以上となるように設定される(図9を参照)。なお、絶縁距離Lは、絶縁性能を検証するための予備実験等に基づいて予め経験的に求めることができる。また、予備硬化部32の厚さT1は、無機粒子Iの最大径Dxよりも大きくなるように設定される。例えば、無機粒子Iの最大径Dxの1.5倍以上となるように設定することができる。ここで、無機粒子Iの最大径Dxとは、所定の粒度分布を示す無機粒子Iの粒径の最大値である。このように、本実施形態では、絶縁距離L以上であり、かつ、無機粒子Iの最大径Dxよりも大きくなるように、予備硬化部32の厚さT1が設定される。このとき、本実施形態では、全ての予備硬化部32の厚さT1が一律に設定される。
予備硬化部32の厚さ管理は、第一押圧部材64により行うことができる。本実施形態では、狙いとする予備硬化部32の厚さT1に応じて、支持部65及び加熱押圧部66のサイズを所定の関係とすることで厚さ管理を行う。具体的には、加熱押圧部66の下面66aのZ方向の位置と支持部65の下面65aのZ方向の位置との差を、狙いとする予備硬化部32の厚さT1に一致させるように第一押圧部材64を形成する。このようにすれば、予備硬化部32の厚さ管理を容易に行うことができる。
このように、本実施形態に係るシート部材30は、放熱部材40と発熱ユニットU(伝熱部材20)との接着前(熱圧着工程前)に局所的に加熱されてなる予備硬化部32を有する。そして、接着領域38内の未硬化領域38uに分散配置された複数の予備硬化部32を有するシート部材30が、放熱部材40の載置面41に載せられた状態で、熱圧着工程に提供される。
熱圧着工程は、シート部材30における放熱部材40側とは反対側の面に発熱ユニットUを載せ、放熱部材40と発熱ユニットUとによりシート部材30を挟んだ状態で熱圧着を行う工程である。なお、以下では特定の1つの発熱ユニットUに注目して説明するが、他の発熱ユニットUについても、同様の操作が行なわれるものとする。熱圧着工程では、Z方向視で、発熱ユニットU(伝熱部材20)の全体がシート部材30と重複する位置に配置される(図5も参照)。そして、放熱部材40と伝熱部材20とでシート部材30を挟んだ状態で、伝熱部材20の接着面22の全体をシート部材30に熱圧着して、放熱部材40と発熱ユニットU(伝熱部材20)とを接着させる。
具体的には、図7に示すように、支持部材62と、本実施形態ではZ方向に延びる矩形枠状の押圧部69を有する第二押圧部材68とで、放熱部材40、シート部材30(複数の予備硬化部32を有する状態の樹脂組成物)、及び発熱ユニットUを挟持する。その状態で、全体を加熱しながら、支持部材62側に向かって第二押圧部材68を押し付けることで、シート部材30(樹脂組成物)の全体をZ方向に沿って加圧すると同時に加熱する。これにより、未硬化領域38uにある熱硬化性樹脂Rが硬化し、シート部材30における接着領域38の全体に主硬化部34が形成される。なお、その際、伝熱部材20の外縁から外側にはみ出た領域にある熱硬化性樹脂Rも硬化し、延出部36が形成される。
なお、本実施形態では、熱圧着工程では、矩形枠状の押圧部69は、伝熱部材20の載置面21の中央部に設定された素子載置領域24を押圧することなく、載置面21の周縁部(素子載置領域24の外側)に設定された矩形枠状の周囲領域25のみを押圧する。これにより、発熱素子10(本例では、半導体素子であるスイッチング素子12及び整流素子16)への直接的(物理的)な加圧を避けながら、放熱部材40と発熱ユニットUとの熱圧着を行うことができる。その際、伝熱部材20の接着面22の全体に均等に加重をかけつつ熱圧着を行うことができる。よって、発熱素子10の性能を適正に維持しながら熱圧着を行うことができる。
配線工程は、スイッチング素子12と端子(図示せず)との間を電気的に接続する工程である。配線工程は、例えば公知のワイヤボンディング工程により実施することができる。封止工程は、封止材によって、発熱素子10、伝熱部材20、シート部材30、及び放熱部材40を封止する工程である。封止工程は、例えば電子工業用エポキシ樹脂等の公知の封止材を用いて、公知のモールド工程により実施することができる。以上説明した各工程を経て、インバータ装置1が製造される。なお、図2及び図8では、配線や封止材等を省略して描いている。
このように、シート部材30は、放熱部材40と発熱ユニットUとの接着前の加熱により局所的に硬化された予備硬化部32と、発熱ユニットUと放熱部材40との接着時の熱圧着により全面的に硬化された主硬化部34とを有する。すなわち、シート部材30は、図8に示すように、放熱部材40と発熱ユニットUとを接着させる主硬化部34とは別に、これらの接着前において接着領域38の一部に局所的に形成される複数の柱状の予備硬化部32を有する。予備硬化部32は、予備硬化工程において既に硬化されているので、その後の熱圧着工程において放熱部材40と発熱ユニットUとを熱圧着する際には、両者間に所定間隔を確保させるための一種のスペーサとして機能する。
本実施形態では、図9に示すように、予備硬化部32の厚さT1は、上述した絶縁距離L以上であり、かつ、無機粒子Iの最大径Dxよりも大きくなるように設定される。よって、スペーサとして機能する予備硬化部32は、放熱部材40と発熱ユニットUとの間に、絶縁距離L以上であってかつ無機粒子Iの最大径Dxよりも大きい隙間を形成させる。よって、放熱部材40と発熱ユニットUとの間の空間距離を絶縁距離L以上として、電気的絶縁性を確実に確保することができる。また、放熱部材40と発熱ユニットUとの熱圧着時に、最大径Dxを有する無機粒子Iが、放熱部材40の載置面41と伝熱部材20の接着面22との双方に接する状態となるまで押圧されることが回避される。よって、無機粒子Iとシート部材30を構成する樹脂成分(主に主硬化部34)との界面の状態が適正に維持される。つまり、両者の界面部分に空隙等が生じることが有効に抑制されるので、放熱部材40と発熱ユニットUとの間の電気的絶縁性を適切に確保することができる。
更に本実施形態では、熱圧着工程において矩形枠状の周囲領域25のみを押圧することに対応して、予備硬化部32と周囲領域25とが、Z方向視で互いに重複する位置に配置されている。このような構成は、予備硬化工程において、周囲領域25の位置を考慮して複数の予備硬化部32を形成すると共に、熱圧着工程において、複数の予備硬化部32と周囲領域25とが重なるようにシート部材30に伝熱部材20を載せることで実現できる。
ところで、周囲領域25のみを押圧する場合には、発熱素子10の性能を適正に維持しながら熱圧着を行うことができる反面、周囲領域25に対応するシート部材30の領域に応力が集中しやすい。このような点を考慮し、本実施形態では、Z方向視で周囲領域25と重複する位置に、複数の予備硬化部32を配置している。これにより、シート部材30における応力が集中しやすい部分で特に、放熱部材40と発熱ユニットUとの間隔を所定間隔以上に維持することができる。更に本実施形態では、Z方向視で、矩形枠状の周囲領域25における4つの隅部25aのそれぞれと重複する位置に、予備硬化部32が配置されている。よって、周囲領域25に対応する部分の全体において、放熱部材40と発熱ユニットUとの間隔を均等化することができる。
なお、本実施形態では、図5に示すように、Z方向視で、矩形枠状の周囲領域25における4つの辺部の各中央部のそれぞれと重複する位置や、素子載置領域24の中央部と重複する位置にも、予備硬化部32が配置されている。これにより、接着領域38の全体で、放熱部材40と発熱ユニットUとの間隔を、均等化しつつ所定間隔以上に維持することが可能となっている。
以上説明したように、本実施形態に係るインバータ装置1では、熱硬化性樹脂Rを主成分とする絶縁性のシート部材30を介して放熱部材40と発熱ユニットUとを熱圧着させる際に、両者間の距離を容易に所望の間隔以上に維持することができる。よって、放熱部材40と発熱ユニットUとの間の電気的絶縁性の確保が容易となり、所望される耐電圧を簡易かつ適切に確保することができる。
3.その他の実施形態
最後に、本発明に係る発熱素子冷却装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、予備硬化工程により、シート部材30の一部に複数の予備硬化部32がZ方向視で点状に形成される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば図10に示すように、シート部材30の一部に、連続する1つの予備硬化部32がZ方向視で枠状(図示の例では矩形枠状)に形成される構成としても良い。この場合において、矩形枠状の予備硬化部32は、上記の実施形態と同様に、Z方向視で周囲領域25と重複する位置に配置されることが好ましい。なお、周囲領域25の形状は、伝熱部材20の形状に応じたものとなる。そのため、予備硬化部32は、伝熱部材20の形状に応じて、矩形以外の形状を有する枠状に形成されても良い。なお、伝熱部材20の形状と無関係に、矩形以外の形状を有する枠状に形成されても良い。
また、例えば図11に示すように、予備硬化工程により、シート部材30の一部に複数の予備硬化部32がZ方向視で線状に形成される構成としても良い。図示の例では、Z方向視で、矩形枠状の周囲領域25における2つの短辺部のそれぞれと重複する位置に、2つの直線状の予備硬化部32が配置されている。また、これら2つの予備硬化部32の間に、素子載置領域24と周囲領域25とに跨って重複するように、もう1つの直線状の予備硬化部32が配置されている。これら3つの予備硬化部32は、Y方向に沿って互いに平行に配置されている。なお、2つの又は4つ以上の直線状の予備硬化部32が形成されても良い。また、複数の予備硬化部32が、X方向に沿って互いに平行に配置されても良いし、或いは、互いに交差(例えば直交)するように配置されても良い。更に、例えば図12に示すように、複数の予備硬化部32が、矩形枠状の周囲領域25における4つの隅部25aのそれぞれと重複する位置に、折線状に形成されても良い。
なお、複数の予備硬化部32がZ方向視で点状に形成される場合において、例えば図12に示すように、その断面形状が多角形状(図示の例では矩形状)とされても良い。この場合、予備硬化部32は、多角柱状(四角柱状)に形成されることになる。更に、Z方向視で点状の予備硬化部32、Z方向視で枠状の予備硬化部32、及びZ方向視で線状の予備硬化部32の2つ以上が並存しても良い。図12には、4つの折線状の予備硬化部32と3つの矩形点状の予備硬化部32とが混在する場合の例を示している。要するに、予備硬化部32は、シート部材30における接着領域38の一部に形成されるものであれば良く、その個数、位置、形状、及び配置関係等は任意に設定することが可能である。
(2)上記の実施形態では、複数の予備硬化部32が、Z方向視で周囲領域25における4つの隅部25a及び4つの辺部、並びに素子載置領域24の中央部とそれぞれ重複する位置に配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、複数の予備硬化部32が、Z方向視で周囲領域25と重複する位置にのみ配置された構成としても良い(図10も参照)。この場合において、複数の予備硬化部32が、Z方向視で4つの隅部25aと重複する位置にのみ配置され、又は、4つの辺部と重複する位置にのみ配置された構成としても良い。
(3)上記の実施形態では、予備硬化部32の厚さT1が、絶縁距離L以上であり、かつ、無機粒子Iの最大径Dxよりも大きくなるように設定される例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、絶縁距離L及び最大径Dxのいずれか一方のみに基づいて、予備硬化部32の厚さT1が設定されても良い。なお、最大径Dxの条件に加えて、又はこれに代えて、無機粒子Iの基準径に基づいて予備硬化部32の厚さT1が設定されても良い。ここで、無機粒子Iの基準径は、所定の粒度分布を示す無機粒子Iの平均径、モード径、又はメジアン径(例えばd50)等とすることができる。また、複数の予備硬化部32が形成される場合において、これらの厚さが、一律ではなく一部異なるように設定されても良い。例えば、複数の予備硬化部32の厚さが、形成される位置に応じて異なるように設定されても良い。一例として、Z方向視で周囲領域25と重複する位置に形成された予備硬化部32の厚さが、素子載置領域24のみと重複する位置に形成された予備硬化部32の厚さよりも大きく設定されても良い。
(4)上記の実施形態では、発熱素子10が、能動素子であるスイッチング素子12及び整流素子16である場合の例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば発熱素子10が、他の能動素子である場合や、抵抗素子やコンデンサ素子等の受動素子である場合等にも、本発明を好適に適用することができる。
(5)上記の実施形態では、接合工程が配置工程よりも前に実行される場合の想定例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。接合工程は、少なくとも熱圧着工程よりも前に実行されれば好適であり、接合工程と配置工程との間、配置工程と予備硬化工程との間、又は予備硬化工程と熱圧着工程との間に実行されても良い。或いは、接合工程、配置工程、又は予備硬化工程と同時に実行されても良い。なお、時間的及び/又は地理的に異なる場所で実行される接合工程で形成される発熱ユニットUを別途取得し、その発熱ユニットUを熱圧着工程に提供する構成としても良い。
(6)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、半導体素子等の発熱素子を含む発熱ユニットを備えた半導体装置等に利用することができる。
1 :インバータ装置(発熱素子放熱装置)
10 :発熱素子
12 :スイッチング素子
16 :整流素子
20 :伝熱部材
21 :載置面
22 :接着面
25 :周囲領域
25a :隅部
30 :シート部材(接着シート)
32 :予備硬化部
34 :主硬化部
38 :接着領域
40 :放熱部材
41 :載置面
U :発熱ユニット
R :熱硬化性樹脂
I :無機粒子
T1 :予備硬化部の厚さ
T2 :未硬化領域の厚さ
L :絶縁距離
Dx :無機粒子の最大径

Claims (8)

  1. 発熱素子を含む発熱ユニットと、電気的絶縁性及び伝熱性を有する接着シートを介して前記発熱ユニットに接着される放熱部材と、を備えた発熱素子放熱装置であって、
    前記接着シートは、熱硬化性樹脂を主成分として構成されていると共に、前記発熱ユニットと前記放熱部材との接着前の加熱により硬化された予備硬化部と、前記発熱ユニットと前記放熱部材との接着時の熱圧着により硬化された主硬化部とを有し、
    前記予備硬化部は、前記接着時に前記発熱ユニットと前記放熱部材とに挟まれる領域である接着領域の一部に形成されている発熱素子放熱装置。
  2. 前記接着シートの厚さ方向に見て、複数の前記予備硬化部が前記接着領域内に分散配置され、複数の前記予備硬化部のそれぞれは、前記厚さ方向の全域に亘って連続するように形成されている請求項1に記載の発熱素子放熱装置。
  3. 前記予備硬化部は、加熱されるのと同時に前記接着シートの厚さ方向に加圧されて形成され、
    前記予備硬化部の厚さが、前記発熱ユニットと前記放熱部材との接着後に前記主硬化部となる領域の前記接着前の厚さよりも小さい請求項1又は2に記載の発熱素子放熱装置。
  4. 前記予備硬化部は、加熱されるのと同時に前記接着シートの厚さ方向に加圧されて形成され、
    前記予備硬化部の厚さが、前記発熱ユニットと前記放熱部材との間の電気的絶縁性を確保可能な絶縁距離以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の発熱素子放熱装置。
  5. 前記接着シートは、前記熱硬化性樹脂よりも伝熱性の高い無機粒子を含み、
    前記予備硬化部は、加熱されるのと同時に前記接着シートの厚さ方向に加圧されて形成され、
    前記予備硬化部の厚さが、前記無機粒子の最大径よりも大きい請求項1から4のいずれか一項に記載の発熱素子放熱装置。
  6. 前記発熱ユニットは、前記発熱素子が固定される伝熱部材を含み、
    前記伝熱部材は、前記接着シートの厚さ方向に見て前記発熱素子を取り囲む領域である周囲領域を有し、
    前記厚さ方向に見て、前記伝熱部材の全体が前記接着シートと重複する位置に配置されていると共に、前記予備硬化部が前記周囲領域と重複する位置に配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載の発熱素子放熱装置。
  7. 前記伝熱部材は、前記厚さ方向に見て矩形状であり、
    前記厚さ方向に見て、複数の前記予備硬化部が、矩形枠状の前記周囲領域における四隅部分のそれぞれと重複する位置に配置されている請求項6に記載の発熱素子放熱装置。
  8. 発熱素子を含む発熱ユニットと、電気的絶縁性及び伝熱性を有する接着シートを介して前記発熱ユニットに接着される放熱部材と、を備えた発熱素子放熱装置の製造方法であって、
    前記接着シートを前記放熱部材の載置面に載せた状態で、前記接着シートの一部を加熱すると同時に前記接着シートの厚さ方向に加圧して予備硬化部を形成する予備硬化工程と、
    前記予備硬化工程の後、前記接着シートにおける前記放熱部材側とは反対側の面に前記発熱ユニットを載せ、前記発熱ユニットと前記放熱部材とにより前記接着シートを挟んだ状態で熱圧着を行い、前記発熱ユニットと前記放熱部材とを接着させる熱圧着工程と、
    を有する発熱素子放熱装置の製造方法。
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