上記のように、特許文献1の装飾部品駆動装置によれば、装飾部品が昇降するだけであり、装飾部品の動作態様のバリエーションが比較的少ない。そのため、装飾部品の動きが単調に感じられる虞がある。
本発明の目的は、遊技機の装飾部品の動作態様のバリエーションを従来より増加させることができる装飾部品駆動装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、上方へ延びる上昇路(SR1)と、前記上昇路の上端部から上方且つ遊技者側へ斜めに延びる上側傾斜路(SR2)と、前記上側傾斜路における遊技者側の端部から見て上方に位置する地点から下方へ延び、その延設方向における中間部にて前記上側傾斜路に連通した下降路(SR3)と、前記下降路の下端部から下方且つ遊技者とは反対側へ斜めに延び、前記上昇路の下端部に連通した下側傾斜路(SR4)と、上下方向にスライド可能に支持されたブラケット(24)であって、左右方向に延びる軸(S)を有するブラケットと、前記ブラケットを上下方向に移動させるアクチュエータ(23)と、遊技機(PM)の装飾部品(DP)を支持する支持部材であって、前記ブラケットの前記軸のまわりに回動可能に支持されるとともに、前記上昇路、前記上側傾斜路、前記下降路及び前記下側傾斜路に沿って移動する係合部(32)を有する支持部材(30)と、前記上側傾斜路と前記下降路との境界部に設けられた第1ゲートであって、前記下降路から前記上側傾斜路への前記係合部の進入を規制し、前記係合部によって前記上側傾斜路側から前記下降路側へ押圧されることにより弾性変形して、前記上側傾斜路から前記下降路への前記係合部の進入を許容する第1ゲート(123)と、前記下側傾斜路と前記上昇路との境界部に設けられた第2ゲートであって、前記上昇路から前記下側傾斜路への前記係合部の進入を規制し、前記係合部によって前記下側傾斜路側から前記上昇路側へ押圧されることにより弾性変形して、前記下側傾斜路から前記上昇路への前記係合部の進入を許容する第2ゲート(124)と、を備えた、装飾部品駆動装置(1)としたことにある。
この場合、前記第1ゲート及び前記第2ゲートのうちのいずれか一方又は両方が、長尺状に形成され且つ弾性変形不能な本体部と、前記本体部が前記係合部によって押圧されることにより弾性変形して、前記本体部を移動させ、前記係合部の通過を許容する付勢部材と、を備えるとよい。また、前記第1ゲート及び前記第2ゲートのうちのいずれか一方又は両方が、長尺状に形成され、その一端部が固定され、他端部側が弾性変形可能であってもよい。
本発明に係る装飾部品駆動装置によれば、アクチュエータにより、ブラケットが上下方向にスライド(昇降)される。支持部材は、ブラケットに支持されている。したがって、ブラケットが昇降することより、支持部材も昇降する。なお、支持部材は、ブラケットの軸のまわりに回動可能に支持されている。また、支持部材の係合部は、上昇路、上側傾斜路、下降路及び下側傾斜路に沿って移動する。上昇路は上下方向に延びている。そのため、係合部が上昇路に沿って上昇するとき、支持部材の係合部とブラケットの軸との位置関係(相対位置)は変化しない。したがって、この過程では、支持部材の姿勢は変化しない。
やがて、係合部が上昇路の上端に至る。この状態から、ブラケットがさらに上昇すると、係合部が上側傾斜路に進入する。すなわち、係合部は、上側傾斜路に沿って斜め上方へ移動する。これに対し、ブラケットの軸部は上方へ移動するだけである。したがって、支持部材がブラケットの軸のまわりに回動(傾動)する。つまり、支持部材が上昇しつつ、支持部材の傾斜角度が増大する。
係合部により、第1ゲートが上側傾斜路側から下降路側へ押圧されて、第1ゲートが開き、係合部が下降路へ進入する。このとき、支持部材の傾斜角度が最大になり、傾動が停止する。また、係合部が第1ゲートから離脱し、第1ゲートが閉じる。この状態からブラケットが下降すると、係合部は下降路に沿って下降する。このとき、支持部材の係合部とブラケットの軸との位置関係は変化しない。したがって、この過程では、支持部材の姿勢は変化しない。すなわち、支持部材の傾斜角度が最大値に保たれた状態で、支持部材が下降する。
やがて、係合部が下降路の下端に至る。この状態から、ブラケットがさらに下降すると、係合部が下側傾斜路に進入する。すなわち、係合部は、下側傾斜路に沿って斜め下方へ移動する。これに対し、ブラケットの軸部は下方へ移動するだけである。したがって、支持部材がブラケットの軸の回りに回動する。つまり、支持部材が下降しつつ、支持部材の傾斜角度が減少する。
係合部により、第2ゲートが下側傾斜路側から上昇路側へ押圧されて、第2ゲートが開き、係合部が上昇路へ進入する。このとき、支持部材の傾斜角度が最小になり、傾動が停止する。また、係合部が第2ゲートから離脱し、第2ゲートが閉じる。
上記のように、本発明に係る装飾部品駆動装置によれば、ブラケット(軸)を昇降させるだけで、装飾部品を昇降させつつ、装飾部品を傾動させることができる。また、第1ゲートにより、係合部が下降路から上側傾斜路へ進入することが規制される。また、第2ゲートにより、係合部が上昇路から下側傾斜路へ進入することが規制される。すなわち、係合部を、常に、上昇路、上側傾斜路、下降路、下側傾斜路の順に移動させることができる。これにより、装飾部品の上昇時の傾斜角度と下降時の傾斜角度を異ならせることができる。よって、従来の装飾部品駆動装置に比べて、装飾部品の動作態様のバリエーションを増加させることができる。
本発明の一実施形態に係る装飾部品駆動装置1について説明する。まず、装飾部品駆動装置1が適用される遊技機としてのパチンコ機PMの概略について説明しておく。パチンコ機PMは、図1に示すように、鉛直方向に延びる略直方体状の装置である。以下の説明において、パチンコ機PMの高さ方向(鉛直方向)を上下方向と呼ぶ。また、パチンコ機PMの幅方向を左右方向と呼び、パチンコ機PMの奥行き方向を前後方向と呼ぶ。
パチンコ機PMは、同図に示すように、遊技球発射装置BS、遊技盤PBなどを備える。遊技盤PBは、上下方向に延びる略長方形の板状部材である。遊技盤PBは、遊技者に対向するように配置されている。すなわち、遊技盤PBの板厚方向が前後方向に一致している。遊技盤PBは、遊技球発射装置BSの上方に配置されている。遊技球発射装置BSは、図示しない遊技球を1球ずつ遊技盤PBへ向けて発射する。
遊技盤PBの略中央部に、開口部OPが設けられている。開口部OPの後方には、表示装置DD及び装飾部品駆動装置1が収容されたケースCAが配置されている。ケースCAは、前方(遊技者側)へ開放された箱状部材である。ケースCAの中央部に表示装置DDが配置されている。表示装置DDとして、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが用いられる。表示装置DDは、図示しない制御装置に接続されており、制御装置から供給された制御信号に従って画像を表示する。また、表示装置DDの側方(例えば左側)に装飾部品駆動装置1が配置されている。詳しくは後述するように、装飾部品駆動装置1に装飾部品DPが取り付けられる。装飾部品DPが、装飾部品駆動装置1によって上下方向へ移動されるとともに、その可動範囲における上端側の所定の領域にて、遊技者側へ傾けられる。なお、開口部OPの周縁部には枠状の縁飾りEPが取り付けられている。縁飾りEPによって装飾部品駆動装置1の大部分が覆われ、装飾部品DPのみが露出している。すなわち、装飾部品駆動装置1はほとんど視認されない。
つぎに、装飾部品駆動装置1の構成について説明する。装飾部品駆動装置1は、図2及び図3に示すように、ガイド溝10、昇降装置20及び支持部材30を備える。
ガイド溝10は、図4に示すように、第1基部11及び第2基部12を備える。第1基部11及び第2基部12は、上下方向に延設されている。
第1基部11は、図5及び図6に示すように、基板111を有する。基板111は、上下方向に延びる略平板部である。基板111の板厚方向が左右方向に一致している。基板111の上半部の幅(前後方向の寸法)が下半部の幅よりも大きい。第1基部11は、基板111の外周部に沿って延びる帯状の周壁部112,113を有する。周壁部112は、基板111の右面に形成され、周壁部112は、基板111の左面に形成されている。周壁部112,113は、基板111の右面及び左面に対してそれぞれ垂直である。
基板111には、開口部OPが設けられている。開口部OPは、第1開口部OP1と第2開口部OP2とを有する。第1開口部OP1は、基板111の下端部から上方へ直線状に延設されている。第1開口部OP1の上端は、基板111の上下方向における中央部より少し上方に位置している。第2開口部OP2は第1開口部OP1の上端部に連通している。第2開口部OP2は、第1開口部OP1の上端部から前方且つ上方へ斜めに延設されている。装飾部品駆動装置1の側面視において、第2開口部OP2は、略平行四辺形を呈する(図8参照)。第2開口部OP2の短辺部は上下方向に平行である。前側の短辺部の下端部が、後側の短辺部の下端よりも上方且つ上端よりも下方に位置している。なお、第2開口部OP2の前側且つ上側の角部は、少し上方へ入り込んでいる。開口部OPの各辺の交差部は湾曲形成されている。
また、第1基部11は、開口部OPに沿って延びる帯状の周壁部114,115を有する(図5及び図6参照)。周壁部114は、基板111の右面に形成され、周壁部115は、基板111の左面に形成されている。周壁部114,115は、基板111の右面及び左面に対してそれぞれ垂直である。周壁部114の内周面は、開口部OPの内周面と一致しているのに対し。周壁部115の内周面は、開口部OPの内周面から少し離れている。周壁部114のうち、第1開口部OP1を取り囲む部分によって、上下方向に延びる通路が構成されている。詳しくは後述するように、当該部分に沿って、支持部材30の係合ピン32が昇降する。以下、当該部分を昇降路UDRと呼ぶ。
また、第1基部11は、フランジ部116及びフランジ部117を有する。フランジ部116は、基板111の上側且つ後側の角部から右方へ延設されている。フランジ部116は、前後方向に垂直な板状部である。フランジ部117は、基板111の下側且つ後側の角部から左方及び右方へそれぞれ延設されたフランジ部117a及びフランジ部117bからなる。フランジ部117a及びフランジ部117bは、前後方向に垂直な板状部である。
第2基部12は、図7及び図8に示すように、基板121を有する。基板121は、上下方向に延びる略平板部である。基板121の板厚方向が左右方向に一致している。基板121の外形は、基板111の上半部の外形と略同一である。
また、第2基部12は、ゲート支持部122を有する。詳しくは後述するように、第1基部11と第2基部12とが組み付けられた状態において、ゲート支持部122は、第2開口部OP2内に配置される。ゲート支持部122は、後述するゲート123及びゲート124を支持する。ゲート支持部122は、基板121の右面の略中央部に形成されている。ゲート支持部122は、台座部122a、支持板部122b、周壁部122c及び軸部122d,122eを有する。台座部122aは、基板121の右面から右方へ少し突出している。台座部122aの右面(天面)は、左右方向に垂直な平面状である。支持板部122bは、台座部122aの右面(天面)に形成された板状部である。支持板部122bの周縁部は、台座部122aの外側へ迫り出している(図9参照)。支持板部122bの右面は略平面状である。装飾部品駆動装置1の側面視において、支持板部122bは、略平行四辺形を呈する。支持板部122bの短辺部は上下方向に平行である。前側の短辺部が後側の短辺部よりも上方に位置している。支持板部122bの角部(短辺部と長辺部との交点)は湾曲形成されている。
周壁部122cは、支持板部122bの周縁部に沿って延設されている(図7参照)。周壁部122cは、支持板部122bの右面に形成されている。周壁部122cは、支持板部122bの右面に対して垂直である。ただし、支持板部122bの上側の角部(上側の長辺部と前側の短辺部の交差部)及び下側の角部(下側の長辺部と後側の短辺部との交差部)において、周壁部122cが切り欠かれている。
軸部122d,122eは、支持板部122bの上側の角部及び下側の角部に形成されている。軸部122d,122eは、支持板部122bの右面から右方に延設されている。
また、第2基部12は、楔状のゲート123,124を有する。ゲート123,124の基端部には、左右方向に貫通する貫通孔H123及び貫通孔H124がそれぞれ形成されている。貫通孔H123及び貫通孔H124に軸部122d及び軸部122eがそれぞれ挿入される。すなわち、ゲート123及びゲート124は、軸部122d及び軸部122eのまわりに回動可能にそれぞれ支持される。
また、ゲート123及びゲート124の基端部の外周面には、貫通孔H123及び貫通孔H124の径方向に突出したフランジ部F123,F124がそれぞれ形成されている。フランジ部F123,F124には、凸部P123,P124がそれぞれ形成されている。凸部P123及び凸部P124にコイルばねSPの両端部が接続されている(図8参照)。コイルばねSPは、引っ張りばねである。凸部P123及び凸部P124がコイルばねSPによって引っ張られることにより、ゲート123及びゲート124が、軸部122d及び軸部122eをそれぞれ回動軸として、図8において時計方向に回動するように付勢される。なお、ゲート123及びゲート124が本発明の本体部に相当し、コイルばねSPが本発明の付勢部材に相当する。
また、第2基部12は、支持板125を有する(図7参照)。支持板125は、支持板部122bと同様の略平行四辺形の板部材である。支持板125と支持板部122bとの間にゲート123及びゲート124が挟み込まれるように、支持板125がゲート支持部122に取り付けられる。これにより、ゲート123及びゲート124がゲート支持部122から脱落することが防止される。
また、第2基部12は、フランジ部126を有する。フランジ部126は、基板121の上側且つ後側の角部から左方へ延設されている。フランジ部126は、前後方向に垂直な板状部である。
また、第2基部12は、ゲート支持部122から見て後側且つ上側の領域を取り囲むように環状に延びる壁部127を有する。また、第2基部12は、ゲート支持部122から見て前側且つ下側の領域を取り囲むように環状に延びる壁部128を有する。壁部127及び壁部128は、基板121の右面に垂直である。
第2基部12は、第1基部11の左面の上半部に組み付けられる。第2基部12が第1基部11に組み付けられた状態では、ゲート支持部122は、第2開口部OP2内に位置する(図8参照)。この状態において、支持板部122bの右面と基板111の右面とが略同一平面内に位置している(図9参照)。また、支持板部122bの左面と基板111の左面とが略同一平面内に位置している。なお、基板111と基板121との間には隙間が形成されている。また、周壁部114のうち、第2開口部OP2を取り囲む部分と、ゲート支持部122の周壁部122cとが対面している。すなわち、ゲート支持部122の周囲に、略平行四辺形の環状の通路SR(溝部)が構成されている(図8参照)。詳しくは後述するように、支持部材30の係合ピン32が通路SRに沿って移動する。通路SRは、上昇路SR1、上側傾斜路SR2、下降路SR3及び下側傾斜路SR4から構成されている。上昇路SR1は、昇降路UDRの上端に連通している。上昇路SR1は、昇降路UDRの上端から上方に延設されている。上側傾斜路SR2は、上昇路SR1の上端から上方且つ前方へ斜めに延設されている。下降路SR3は、上側傾斜路SR2の先端部の上方に位置する地点から下方へ延設されている。下降路SR3の延設方向における中間部が上側傾斜路SR2に連通している。下側傾斜路SR4は、下降路SR3の下端から下方且つ後方へ斜めに延設され、上昇路SR1の下端部に連通している。なお、昇降路UDR、上昇路SR1、上側傾斜路SR2、下降路SR3及び下側傾斜路SR4の通路幅(対面する周壁部の距離)は略同一である。
また、上記のように、コイルばねSPにより、ゲート123及びゲート124が、軸部122d及び軸部122eをそれぞれ回動軸として、図8において時計方向に回動するように付勢される。これにより、ゲート123の先端部が上側傾斜路SR2の上側の壁面(周壁部114)に当接して静止している。また、ゲート124の先端部が下側傾斜路SR4の下側の壁面(周壁部114)に当接して静止している。
つぎに、昇降装置20について説明する。昇降装置20は、図10に示すように、フレーム21、ガイドシャフト22、アクチュエータ23及びブラケット24を備える。フレーム21は、基部21a、軸支持部21b及び軸支持部21cを備える。基部21aは、上下方向に延びる略長方形の板状部である。基部21aの板厚方向が前後方向に一致している。軸支持部21b及び軸支持部21cは、基部21aの上端部及び下端部からそれぞれ前方へ突出している。軸支持部21b及び軸支持部21cは、次に説明するガイドシャフト22及びアクチュエータ23のねじ軸231aを支持する。
ガイドシャフト22は、上下方向に延びる丸棒である。ガイドシャフト22の上端部及び下端部が軸支持部21b及び軸支持部21cにそれぞれ支持されている。ガイドシャフト22には、ブッシュB,Bが挿通されている。ブッシュBはフランジ部Fを有する。
アクチュエータ23は、ボールねじ231及び電動モーター232を備える。ボールねじ231は、上下方向に延びるねじ軸231a及びナット231bを備える。ねじ軸231aは、略丸棒状部材であり、その外周面には、螺旋状の溝G231aが形成されている。ねじ軸231aの上端部及び下端部が軸支持部21b及び軸支持部21cにそれぞれ支持されている。ナット231bは、ねじ軸231aに螺合されている。すなわち、ナット231bの内周面には、図示しない複数の鋼球が組み付けられており、これらの鋼球が溝G231aに嵌合している。なお、ねじ軸231aが軸支持部21cに支持された状態では、ねじ軸231aの下端部は、フレーム21の下端面から下方へ突出している。
電動モーター232は、周知のステッピングモーターである。電動モーター232は、フレーム21の下端面に取り付けられている。電動モーター232の駆動軸が、ねじ軸231aの下端部に接続されている。また、電動モーター232は、図示しない制御装置に接続されており、この制御装置により電動モーター232の駆動軸の回転が制御される。
ブラケット24は、上下方向に延びる略長方形の板状部材である。ブラケット24は、上下方向に貫通する貫通孔HL,HRを有する(図3参照)。
ブラケット24は、薄い板状にそれぞれ形成された前半部24aと後半部24bから構成されている(図10参照)。前半部24aの後面には、上下方向に延びる凹部RL24a,RR24aが形成されている。また、後半部24bの前面には、上下方向に延びる凹部RL24b,RR24bが形成されている。凹部RL24aは、貫通孔HLの前半部に相当し、凹部RL24bは、貫通孔HLの後半部に相当する。また、凹部RR24aは、貫通孔HRの前半部に相当し、凹部RR24bは、貫通孔HRの後半部に相当する。貫通孔HRの内径は上下方向に略一定である。一方、貫通孔HRの上下方向における中間部HRMの内径は、上端部及び下端部の内径よりも大きく設定されている。また、貫通孔HLの上端部及び下端部には、ブッシュB,Bのフランジ部F,Fが嵌め込まれる溝GHL,GHLが形成されている。
また、前半部24aの前面には、アーム部241が形成されている。アーム部241は、前半部24aの前面の右下の角部から前方へ突出するとともに下方へ延設されている。アーム部241は、左右方方向に垂直な板状部である。アーム部241の下端部には、左右方向に延びる軸部Sが形成されている。
同図に示すように、前半部24aと後半部24bとの間にガイドシャフト22とねじ軸231aとが挟み込まれる。つまり、ねじ軸231a及びガイドシャフト22が、貫通孔HR及び貫通孔HLにそれぞれ挿通される。また、ブッシュB,Bのフランジ部F,Fが、溝GHL,GHLに嵌め込まれる。これにより、ブッシュB,Bがブラケット24に固定される。また、中間部HRMにナット231bが収容される。ねじ軸231aは、貫通孔HR内において、その中心軸回りに回動可能である。一方、ナット231bが中間部HRMに収容された状態では、ブラケット24に対するナット231bの上下方向の移動及び回動が規制されている。よって、ねじ軸231aが回転駆動されることにより、ナット231bとブラケット24とが一体となって上下方向にスライドする。
つぎに、支持部材30の構成について説明する。支持部材30は、装飾部品DPを支持する(図1参照)。支持部材30は、図11に示すように、本体部31及び係合ピン32を有する。本体部31は、左右方向に延びる略長方形の板部材である。本体部31の左端部の上部及び下部には、前方へ突出した凸部PU及び凸部PLがそれぞれ形成されている。凸部PU及び凸部PLには、左右方向に延びる貫通孔HPU及び貫通孔HPLがそれぞれ形成されている(図3参照)。
係合ピン32は、凸部PUの左端面に組み付けられる。係合ピン32は、左半部321、右半部322及び軸部323を有する。左半部321は、左右方向に延びる円筒部材である。右半部322は、左右方向に延びる円筒部材である。左半部321及び右半部322の外径は、昇降路UDR、上昇路SR1、上側傾斜路SR2、下降路SR3及び下側傾斜路SR4の通路幅と略同一である。左半部321及び右半部322の内径は同一である。左半部321の左端部には、フランジ部F321が形成されている。また、右半部322の右端部には、フランジ部F322が形成されている。軸部323は、左半部321及び右半部322に挿入されて、左半部321と右半部322とを結合する。
つぎに、装飾部品駆動装置1の組み立て手順について説明する。まず、昇降装置20が組み立てられる(図10参照)。具体的には、アクチュエータ23にブラケット24が取り付けられる。つぎに、ガイドシャフト22及びアクチュエータ23がフレーム21に取り付けられる。
つぎに、フレーム21に第1基部11が取り付けられる。すなわち、フレーム21の軸支持部21bの前面に、フランジ部116が固定され、軸支持部21cの前面にフランジ部117a及びフランジ部117bが固定される。なお、第1基部11は、アーム部241の左方に位置している(図12参照)。
つぎに、支持部材30が第1基部11に取り付けられる。具体的には、まず、係合ピン32の右半部322に軸部323が挿入される。この状態では、右半部322の両端面(左端面及び右端面)から軸部323が突出している。そして、その軸部323の右端部(右半部322の右端面から突出した部分)が本体部31の貫通孔HPUに嵌め込まれて、右半部322が本体部31に固定される。つぎに、図12に示すように、第1基部11の昇降路UDRの右側から、貫通孔HPLに、ブラケット24の軸部Sが挿入されるとともに、昇降路UDR内に係合ピン32の右半部322が挿入される。これにより、支持部材30が軸部Sのまわりに回動可能に支持される。つぎに、同図に示すように、昇降路UDRの左側から、左半部321が軸部323の左端部(右半部322の左端面から突出した部分)に嵌め込まれる。
最後に、第1基部11の左面に第2基部12が固定されるとともに、フレーム21の軸支持部21bの前面に、第2基部12のフランジ部126が固定される。
つぎに、装飾部品駆動装置1の動作(支持部材30の昇降及び姿勢の変化)について説明する。図13に示すように、昇降装置20のブラケット24が最下点に位置する状態では、係合ピン32は、昇降路UDR内に位置している。また、係合ピン32は、ブラケット24の軸部Sの上方に位置している。したがって、支持部材30の本体部31は、前後方向に略垂直である。すなわち、上下方向に対する本体部31の傾斜角度θは最小値θmin(例えば「0°」)である。ねじ軸231aが正転駆動されて、ブラケット24が上昇することにより、支持部材30が押し上げられる。これにより、係合ピン32は、昇降路UDRに沿って上昇する。この過程において、係合ピン32は、ブラケット24の軸部Sの上方に位置している。したがって、本体部31の傾斜角度θは、最小値θminのままである。なお、係合ピン32の左半部321のフランジ部F321は、基板111の左面に当接している(図21参照)。また、右半部322のフランジ部F322は、周壁部114の右端面に当接している。よって、支持部材30は、昇降路UDRから脱落することなく、昇降路UDRに沿って移動可能である。
上記のように、ゲート124が、軸部122eを回動軸として、図8において時計方向に回動するように付勢され、ゲート124の先端部が下側傾斜路SR4の下側の壁面(周壁部114)に当接して静止している。すなわち、上昇路SR1と下側傾斜路SR4とが隔絶されている。一方、昇降路UDRと上昇路SR1とは連通している。したがって、ブラケット24が上昇することにより、係合ピン32は、昇降路UDRの上端から上昇路SR1に進入して、さらに上昇する。この過程においても、係合ピン32は、ブラケット24の軸部Sの上方に位置している。したがって、本体部31の傾斜角度θは、最小値θminのままである。なお、係合ピン32の左半部321のフランジ部F321は、基板111の左面及び支持板部122bの周縁部(台座部から迫り出した部分)の左面に当接している(図22参照)。また、右半部322のフランジ部F322は、周壁部114の右端面に当接している。よって、支持部材30は、昇降路UDRから脱落することなく、上昇路SR1に沿って移動可能である。また、以下説明するように、上側傾斜路SR2、下降路SR3及び下側傾斜路SR4に沿って移動するが、その際にも、フランジ部F321及びフランジ部F322の作用により、支持部材30が各通路から脱落することなく移動する。
やがて、図14に示すように、係合ピン32が、上昇路SR1の上端に至る。この状態から、ブラケット24がさらに上昇すると、係合ピン32は、図15に示すように、上側傾斜路SR2に進入し、上側傾斜路SR2に沿って前方且つ上方へ移動する。この過程において、本体部31は軸部Sを回動軸として、同図において反時計方向に回動する。すなわち、本体部31の上端側が前側へ倒れこむように、本体部31が傾斜しはじめ、その傾斜角度θが徐々に増大する。
やがて、係合ピン32がゲート123に当接する。ゲート123が係合ピン32により、上側傾斜路SR2側から下降路SR3側へ押圧される。これにより、ゲート123が、軸部122dを回動軸として、図19において反時計方向へ回動し、コイルばねSPが引き伸ばされる。そして、係合ピン32が上側傾斜路SR2から下降路SR3へ進入する。このとき、本体部31の傾斜角度θが最大値θmaxに至る。ブラケット24がさらに上昇すると、図16に示すように、係合ピン32が下降路SR3に沿って少し上昇して、下降路SR3の上端に至る。その際、係合ピン32は、ゲート123から離脱する。コイルばねSPの復元力により、ゲート123が、図19において時計方向へ回動し、ゲート123の先端部が、上側傾斜路SR2の上側の壁面(周壁部114)に当接して静止する(図8参照)。すなわち、上側傾斜路SR2と下降路SR3とが隔絶される。なお、電動モーター232の制御装置は、ブラケット24(又は支持部材30)の位置を検出するセンサを備えている。前記制御装置は、ブラケット24(又は支持部材30)が、その可動範囲の上端に至ったことを検出すると、ねじ軸231aの回転方向を逆転方向に切り替える。
ねじ軸231aの回転方向が逆転方向に切り替えられることにより、ブラケット24が下降し始める。これにより、支持部材30も下降し始める。係合ピン32は、下降路SR3に沿って下降し、図17に示すように、下降路SR3の下端に至る。この過程において、軸部Sと係合ピン32との位置関係は、図16の状態に保たれたままである。すなわち、この過程において、本体部31の傾斜角度θは、最大値θmaxに保たれる。
係合ピン32が下降路SR3の下端に至った状態から、ブラケット24がさらに下降すると、係合ピン32は、図18に示すように、下側傾斜路SR4に進入し、下側傾斜路SR4に沿って後方且つ下方へ移動する。この過程において、本体部31は軸部Sを回動軸として、図18において時計方向に回動する。すなわち、傾斜角度θが徐々に減少する。
やがて、係合ピン32がゲート124に当接する。ゲート124が係合ピン32により、下側傾斜路SR4側から上昇路SR1側へ押圧される。これにより、ゲート124が、軸部122eを回動軸として、図20において反時計方向へ回動し、コイルばねSPが引き伸ばされる。係合ピン32が下側傾斜路SR4から上昇路SR1へ進入する。このとき、本体部31の傾斜角度θが最小値θminに至る。ブラケット24がさらに下降すると、係合ピン32が昇降路UDRに進入する。その際、係合ピン32は、ゲート124から離脱する。コイルばねSPの復元力により、ゲート124が、図20において時計方向へ回動し、ゲート124の先端部が、下側傾斜路SR4の下側の壁面(周壁部114)に当接して静止する(図8参照)。すなわち、下側傾斜路SR4と上昇路SR1とが隔絶される。
ブラケット24がさらに下降すると、係合ピン32が昇降路UDRに沿って下降し、装飾部品駆動装置1は、図13の状態に戻る。
上記のように、本実施形態によれば、ブラケット24(軸部S)を昇降させるだけで、装飾部品DPを昇降させつつ、装飾部品DPを傾動させることができる。また、ゲート123により、係合ピン32が下降路SR3から上側傾斜路SR2へ進入することが規制される。また、ゲート124により、係合ピン32が上昇路SR1から下側傾斜路SR4へ進入することが規制される。すなわち、係合ピン32を、常に、上昇路、上側傾斜路、下降路、下側傾斜路の順に移動させることができる。これにより、装飾部品DPの昇降範囲の上部において、上昇時の傾斜角度θと下降時の傾斜角度θを異ならせることができる。よって、本実施形態によれば、従来の装飾部品駆動装置に比べて、装飾部品DPの動作態様のバリエーションを増加させることができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、ゲート123及びゲート124のうちのいずれか一方又は両方を、弾性材(例えば、金属板、ゴムなど)で構成し、その基端部をゲート支持部122に固定しても良い。この場合、コイルバネSPを省略できる。また、例えば、上記実施形態では、ゲート123及びゲート124は、両者に共通のコイルばねSPによって付勢されているが、ゲート123及びゲート124が、それぞれ個別のばねによって付勢されてもよい。