JP7086699B2 - 電力変換装置及び鉄道車両 - Google Patents
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Description
上述した冷却器は、ポンプ等を用いた強制循環液冷方式やファン等を用いた強制空冷方式、走行風を用いた走行風自然空冷式に大別される。近時では、低騒音化や省エネ化、メンテナンスフリーの観点から、走行風自然空冷式が主流である。
図1に示すように、本実施形態の鉄道車両1は、車体2と、台車3と、本実施形態の電力変換装置4と、を持つ。
なお、本実施形態では、鉄道車両1の走行想定方向X及び上下方向Zにそれぞれ直交する方向は、鉄道車両1の幅方向(直交方向)Yに一致している。電力変換装置4を車体2に取付けた場合には、走行想定方向Xは鉄道車両1の走行方向となる。走行想定方向Xは、鉄道車両1の前後方向に一致している。
走行想定方向X、幅方向Y、及び上下方向Zは、X,Y,Zの直交座標系を構成する。
なお、上方Z1、及び後述する下方Z2は、上下方向Zの一方側であり、後述する前方X1及び後方X2は、走行想定方向Xの一方側である。上方Z1、下方Z2、前方X1、及び後方X2の符号は、図中には示していない。
電力変換装置4は、車体2の床下において一対の台車3の間に位置する部分に搭載されている。
電力変換装置4は、半導体素子21と、半導体素子21を収容する筐体22と、半導体素子21を冷却する冷却器23と、を持つ。
筐体22は、直方体の箱状に形成されている。筐体22は、上部に設けられた図示しない取付け片を介して、車体2の床下に連結されている(図1参照)。
ヒートシンク31は、アルミニウム等の熱伝導率が高い材料により形成されている。ヒートシンク31は、一部が筐体22の底壁部22aから下方(配置向き)Z2に向かって突出した状態で、底壁部22aを上下方向Zに貫通している。また、ヒートシンク31は、受熱ブロック41と、受風部42と、を持つ。
本実施形態では、受熱ブロック41の上部に、3つの半導体素子21が走行想定方向Xに互いに間隔をあけて配置されている。
フィン43は、受熱ブロック41の下端面から下方Z2に向かって突設されている。各フィン43は、受熱ブロック41の下端面において、幅方向Yに互いに間隔をあけて並設されている。各フィン43は、走行想定方向Xに沿って互いに平行に延在している。
受風部42の走行想定方向Xの両端部における下端部には、上方Z1に向かって切り欠かれた切欠き44がそれぞれ形成されている。より具体的には、一対の切欠き44はフィン43に形成されている。切欠き44は、幅方向Yに見たときに矩形状を呈している。一対の切欠き44は、受風部42における走行想定方向Xの各端に達している。
幅方向Yで隣り合うフィン43同士の間には、走行風が通過する通風路Rが形成される。通風路Rは、走行想定方向Xの両側及び下方Z2に向かって開放されている。
なお、各ディフューザ32は、受風部42における走行想定方向Xの中央部を通りYZ平面に沿って延びる図示しない対称面に対して面対称に形成されている。従って、各ディフューザ32に同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、以下の説明では、走行想定方向Xにおいて、受風部42の中央部に近づく向きを走行想定方向Xの内側といい、受風部42の中央部から離間する向きを走行想定方向Xの外側という場合がある。
導風ガイド61は、受風部42に対する下方Z2であって、切欠き44内に配置されている。導風ガイド61の走行想定方向Xの内側端部は、受風部42のうち切欠き44における上方Z1の底部に、溶接やロウ付け等により接合されている。導風ガイド61の走行想定方向Xの外側端部は、受風部42のうち切欠き44における上方Z1の底部から下方Z2に離間している。
各鍔部62の走行想定方向Xの外側の端、及び受風部42の走行想定方向Xの外側の端は、走行想定方向Xにおいて互いに一致している。鍔部62の下端、及び受風部42の下端は、上下方向Zに互いに一致している。
なお、各鍔部62の走行想定方向Xの外側の端は、走行想定方向Xにおいて、受風部42の端よりも受風部42の中央部寄りの位置に配置されていてもよい。一対の鍔部62の一方の走行想定方向Xの外側の端、及び受風部42の走行想定方向Xの外側の端が、走行想定方向Xにおいて互いに一致し、一対の鍔部62の他方の走行想定方向Xの外側の端、及び受風部42の走行想定方向Xの外側の端が、走行想定方向Xにおいて互いに一致しなくてもよい。
整風部63は、切欠き44内に配置され、受風部42のうち切欠き44における上方Z1の底部に、溶接やロウ付け等により接合されている。
一対の整風部63の走行想定方向Xの内側端部同士は、走行想定方向Xに離間していて、一対の整風部63の走行想定方向Xの内側端部同士の間には、隙間Tが形成されている。
ディフューザ32の鍔部62及び受風部42は、車体2の艤装限界Lに対して上方Z1の範囲内に配置されている。艤装限界Lは、車体2に電力変換装置4等の装備を設置しけても鉄道車両1の走行に支障にならない装備の設置範囲のことを意味する。例えば、車体2の下方Z2の艤装限界Lは、鉄道車両1の台車ばね7が圧縮されて車体2が下がったときに、図示しない軌道に対して上方Z1に所定の距離離れた面として規定される。
なお、鍔部62及び受風部42は、車体2の艤装限界Lに対して下方Z2に一致していていてもよい。
なお、以下の説明では、鉄道車両1が前方X1に向かって走行する場合について説明する。
なお、半導体素子21では、電力変換時における電力損失に起因して熱が発生する。半導体素子21で発生した熱は、受熱ブロック41を介して受風部42のフィン43に伝達される。
電力変換装置4の外部から流れ込んだ走行風は、前方X1に位置するディフューザ32の導風ガイド61に導かれて走行想定方向Xに流通する。走行風は、受風部42の外表面上や通風路R内を通過する。この際、受風部42(フィン43)と走行風との間で熱交換が行われることで、半導体素子21で発生する熱が受風部42を介して放熱される。
その後、走行風は、電力変換装置4の外部に排出される。
このように、走行想定方向Xに並ぶ2つのディフューザ32は、鉄道車両1の走行方向である前方X1に対して後方X2に位置するディフューザ32が走行風の流量を増大させるために機能する。すなわち、鉄道車両1が逆向きの後方X2に走行すれば、前方X1に位置するディフューザ32が、走行風の流量を増大させるために機能する。
このように、走行風を用いない自然対流により、半導体素子21で発生する熱が受風部42を介して、電力変換装置4の外部に放熱される。
とりわけ、鉄道車両1の低速走行時は、後方X2のディフューザ32の低圧領域Qと、この低圧領域Qの周囲との差圧が小さい。しかしながら、ディフューザ32の整風部63によって、通風路R内から下方Z2へ逃げようとする走行風の流出量を極力抑制することができる。
以上のように、走行風の流量の多少によらず受風部42に対して走行風を効果的に供給し、受風部42の冷却性能及び強度を確保することができる。
例えば、受風部42のフィン43を薄くするとともにフィン43の枚数を多くして複数のフィン43による放熱面器を増加させる場合、フィン43の強度が問題になる。しかし、受風部42に導風ガイド61及び整風部63が接合されているため、複数のフィン43の強度を確保し、ディフューザ32を含めた受風部42の冷却性能を向上させることができる。
電力変換装置4が一対のディフューザ32を備えるため、鉄道車両1が前方X1に走行する場合だけでなく、後方X2に走行する場合にも、上述した作用効果が奏功される。
各鍔部62の走行想定方向Xの外側の端、及び受風部42の走行想定方向Xの外側の端は、走行想定方向Xにおいて互いに一致している。走行想定方向Xにおいて、一対の鍔部62が受風部42の外形よりも外側に突出しないため、受風部42及び一対の鍔部62全体としての走行想定方向Xの外形を小さく抑えることができる。
また、本実施形態の鉄道車両1によれば、ディフューザ32の鍔部62及び受風部42は、車体2の艤装限界Lに対して上方Z1の範囲内に配置されている。このため、車体2に電力変換装置4を取付けても、鉄道車両1の走行に支障が生じない。
電力変換装置4の冷却性能が優れているため、長期にわたって信頼性に優れた鉄道車両1を提供できる。
図3に示す電力変換装置4Aのように、受風部42に形成された切欠き44Aの下端部の幅方向Yに見た形状を、導風ガイド61及び整風部63の上面の形状に一致させてもよい。この変形例では、導風ガイド61及び整風部63は、走行想定方向Xの全範囲にわたって、受風部42のうち切欠き44Aにおける上方Z1の底部に接合されている。この変形例の電力変換装置4Aの場合、受風部42が備える複数のフィン43は、本実施形態の電力変換装置4の複数のフィン43に比べて、導風ガイド61に接合されるために面積が広がっている。
変形例の電力変換装置4Bのように構成することにより、フィン43の突出部43aにおける走行想定方向Xの長さを長くして複数のフィン43の放熱面積を増加させ、電力変換装置4Bの冷却性能を高めることができる。
受風部42が備える複数のフィン43に突出部43aが形成されていないため、一対のディフューザ32の下方Z2を走行風が通過する際の圧力損失が減少する。これにより、低圧領域Qにおける圧力がより減少し、後方X2のディフューザ32の通風路Rを通過する走行風の流量をさらに増加させることができる。
本実施形態では、配置向きは下方Z2であるとした。しかし、配置向きはこれに限定されず、幅方向Yのいずれか一方側、すなわち、例えば筐体22の右側であったり、左側であったりしてもよい。
電力変換装置は、鉄道車両1の車体2に限定されず、自動車等の種々の車両に搭載することができる。
Claims (5)
- 鉄道車両を駆動する電力を出力可能な半導体素子と、
前記半導体素子に接続された受風部と、
前記受風部に対して、前記鉄道車両の走行想定方向及び上下方向に直交する直交方向のいずれか一方側、又は下方である配置向きに前記受風部に接合した状態で配置されるとともに、前記走行想定方向の両端部のうち、前記受風部の中央部寄りの端部を第1端部とし、前記第1端部とは反対側の端部を第2端部とする一対の導風ガイドと、
前記一対の導風ガイドの前記第2端部から前記配置向きに向かってそれぞれ延びる一対の鍔部と、
を備え、
前記受風部の前記走行想定方向の両端部における前記配置向きの端部には、前記配置向きとは反対の向きに向かって切り欠かれた切欠きがそれぞれ形成され、
前記一対の導風ガイドは、前記受風部のうち前記切欠きにおける前記配置向きとは反対の向きの底部にそれぞれ接合されている電力変換装置。 - 鉄道車両を駆動する電力を出力可能な半導体素子と、
前記半導体素子に接続された受風部と、
前記受風部に対して、前記鉄道車両の走行想定方向及び上下方向に直交する直交方向のいずれか一方側、又は下方である配置向きに前記受風部に接合した状態で配置されるとともに、前記走行想定方向の両端部のうち、前記受風部の中央部寄りの端部を第1端部とし、前記第1端部とは反対側の端部を第2端部とする一対の導風ガイドと、
前記一対の導風ガイドの前記第2端部から前記配置向きに向かってそれぞれ延びる一対の鍔部と、
を備え、
前記一対の鍔部の少なくとも一方の前記走行想定方向の端は、前記走行想定方向において、前記受風部の端に一致しているか、前記受風部の端よりも前記受風部の中央部寄りの位置に配置されている電力変換装置。 - 鉄道車両を駆動する電力を出力可能な半導体素子と、
前記半導体素子に接続された受風部と、
前記受風部に対して、前記鉄道車両の走行想定方向及び上下方向に直交する直交方向のいずれか一方側、又は下方である配置向きに前記受風部に接合した状態で配置されるとともに、前記走行想定方向の両端部のうち、前記受風部の中央部寄りの端部を第1端部とし、前記第1端部とは反対側の端部を第2端部とする一対の導風ガイドと、
前記一対の導風ガイドの前記第2端部から前記配置向きに向かってそれぞれ延びる一対の鍔部と、
前記一対の導風ガイドの前記第1端部から前記走行想定方向に沿って、かつ前記一対の導風ガイドの前記第2端部とは反対側に向かってそれぞれ延びる一対の整風部と、
を備える電力変換装置。 - 前記一対の導風ガイドの前記第1端部同士は、前記走行想定方向に離間している、請求項1から3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の電力変換装置と、
前記電力変換装置が取付けられる車体と、
を備え、
前記一対の鍔部は、前記車体の艤装限界に対して前記配置向きに一致しているか、前記艤装限界に対して前記配置向きとは反対の向きの範囲内にそれぞれ配置されている、鉄道車両。
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