JP7086666B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7086666B2
JP7086666B2 JP2018055645A JP2018055645A JP7086666B2 JP 7086666 B2 JP7086666 B2 JP 7086666B2 JP 2018055645 A JP2018055645 A JP 2018055645A JP 2018055645 A JP2018055645 A JP 2018055645A JP 7086666 B2 JP7086666 B2 JP 7086666B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
hot
alloying
cold
width direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018055645A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019167576A (ja
Inventor
崇之 前田
広司 入江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2018055645A priority Critical patent/JP7086666B2/ja
Publication of JP2019167576A publication Critical patent/JP2019167576A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7086666B2 publication Critical patent/JP7086666B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は、めっき原板表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するための方法に関する。
自動車の構造用部材に用いられる鋼板には、燃費改善を実現するため、より高強度であることが求められる。また自動車の構造用部材に適用する場合、自動車車体の耐久性を改善するという観点から、めっき原板表面に合金化溶融亜鉛めっき層を形成することも行われている。
合金化溶融亜鉛めっき層が形成されるめっき原板には、Si等の合金元素の含有量を高めて強度を高めた高張力鋼板が用いられるのが一般的である。しかしながら、酸化物形成元素であるSiの含有量を1.0質量%以上に高めると、冷延鋼板の焼鈍時に鋼板表面に酸化物層(Si含有酸化物層)が形成されやすくなり、この酸化物層はめっき濡れ性を阻害するため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するときに、「不めっき」や「合金化ムラ」が発生する。
一方、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板に対して、熱間圧延の巻取り温度を600℃以上にすると、鋼板表面近傍に粒界酸化層が形成されることも知られている。この粒界酸化層は、鋼板内部でSiが酸化されることによって形成される。粒界酸化層が形成されると、冷間圧延した後の冷延鋼板に対する焼鈍時に、Siが鋼板内部の結晶粒界に沿って酸化物を形成し、鋼板表面での酸化物層の形成が抑制される。その結果、酸化物層の存在に起因する「不めっき」や「合金化ムラ」の発生が抑制される。
熱間圧延巻取り時に生成する粒界酸化層は、鋼板の幅方向(圧延方向に対して垂直な方向:以下同じ)の端部から50mmまでの領域(以下、「幅方向エッジ部近傍」と呼ぶことがある)と、鋼板の幅方向中央部(以下、「幅方向センター部」と呼ぶことがある)で、厚さに差が生じることになる。この粒界酸化層の厚さ(鋼板表面からの深さ:以下同じ)は、幅方向センター部から幅方向両端部になるにつれて徐々に薄くなるのであるが、熱間圧延後の熱延鋼板を酸洗および冷間圧延した後の冷延鋼板においても、鋼板の幅方向センター部で4μm以上となり、鋼板の幅方向エッジ部近傍で4μm未満で残存するのが通常である。鋼板の幅方向センター部と、鋼板の幅方向エッジ部近傍の間で生じる粒界酸化層の厚みの差を、以下では、「エッジ・センター差」と呼ぶことがある。
上記のような現象が生じるのは、熱間圧延巻取り時の冷却速度が幅方向エッジ部近傍と幅方向センター部とで異なり、この冷却速度の差が上記のようなエッジ・センター差となって現れるものと推定される。
粒界酸化層の厚みにエッジ・センター差があれば、めっき層を合金化した後に、鋼板の幅方向エッジ部近傍と、鋼板の幅方向センター部との間で合金化の進行度合いが異なり、鋼板の幅方向全体で見たときに合金化ムラが発生することになる。特に、粒界酸化層の厚さが、4μm未満となる領域では合金化ムラが発生しやすくなる。
こうしたことから、鋼板の幅方向全体で適正な合金化を行うことは困難になる。例えば、鋼板のセンター部を適正に合金化させた場合には、鋼板の幅方向エッジ部近傍が合金化不足(めっき層中のFe含有量が低くなる)となり、合金化ムラが発生する。また鋼板の幅方向エッジ部を適正に合金化させた場合には、鋼板の幅方向センター部が過度に合金化(めっき層中のΓ相形成量が増加してFe含有量が高くなる)し、合金化溶融亜鉛めっき層での耐パウダリング性が低下するという問題が発生する。
上記のようなエッジ・センター差による不都合を是正する方法としては、熱間圧延巻取り後の段階で、合金化ムラが発生しやすい幅方向エッジ部近傍を切除する方法があるが、この方法では鋼板製品の歩留りが低下する。
粒界酸化層の生成を抑制する方法として、熱間圧延での巻取り温度を600℃未満とすることも考えられるが、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板では、めっき時に不めっきや合金化ムラ等が生じ、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の外観不良を招くことになる。また、熱延鋼板コイル全長で強度が増加し、特にコイル先尾端部で強度が非常に高くなるため、先尾端部の切り落しが必要となり、歩留りが低下する。
こうした状況の下、Si含有量が1.0質量%以上であって、粒界酸化層の厚さにエッジ・センター差がある鋼板をめっき原板として用いると、合金化ムラのない適正な合金化処理を行うことは困難である。
合金化ムラのない適正な合金化処理をする技術として、これまでにも様々提案されている。こうした技術として、例えば特許文献1には、「所定の成分組成満足する熱延スラブ加熱温度:1170℃以下、熱延巻取り温度:600℃以下の条件で熱間圧延し、必要に応じて冷間圧延した後、連続溶融亜鉛めっきラインにおいて、Ac1変態点以上、Ac3変態点以下の温度で焼鈍した後めっきし、次いで、誘導加熱方式の合金化炉において炉出側板温が450~550℃となるよう合金化処理を行い、表層の溶融亜鉛層が消滅後、300℃の温度までを10℃/sec以上の冷却速度で冷却する高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法」が提案されている。
この技術では、合金化処理時の加熱を誘導加熱方式で行うことにより、めっき原板表層の局所加熱を利用して、連続溶融亜鉛めっきラインでの焼鈍後冷却途中でのオーステナイトのパーライトへの変態を極力抑えるとともに、耐パウダリング性、合金相の均質性にも優れた皮膜を得るようにしたものである。そして、上記のような条件で製造することによって、強度-延性バランスおよび皮膜特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られている。
一方、特許文献2には、「Si含有量[%Si]との関係で熱間スラブ加熱温度Tsを、Ts(℃)≦1190-67[%Si]と規定するとともに、熱延巻取り温度600℃以下の条件で熱間圧延し、該熱延鋼板を酸洗後、必要に応じて冷間圧延した後、連続溶融亜鉛めっきラインにおいて、浴中Al量が0.15wt%以下の亜鉛浴でめっきを施した後、誘導加熱方式の合金化炉において炉出側板温が450~550℃となるよう合金化加熱処理を行い、表層の溶融亜鉛層が消滅後300℃の温度までを10℃/sec以上の冷却速度で冷却する高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法」が提案されている。
この技術は、優れた強度-延性バランスを有し、表面外観および耐パウダリング性にも優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を既存の連続溶融亜鉛めっきライン設備で製造することを可能にするという観点からなされたものである。そして、上記のような条件で製造することによって、所望の効果が得られている。
特許第2565038号公報 特許第3097232号公報
上記特許文献1、2の技術はいずれも、誘導加熱方式の合金化炉において、Si含有量が1.0質量%未満である鋼板をめっき原板として用いること想定したものであり、しかも粒界酸化層が形成されにくい600℃以下の巻取り温度で製造するものである。したがって、これらの技術では、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板をめっき原板として用いることを想定しておらず、また本来粒界酸化層厚さのエッジ・センター差が生じることがない技術である。
こうしたことから、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板をめっき原板として用い、粒界酸化層の厚さにエッジ・センター差が生じるような状況の下であっても、合金化ムラの発生を抑制できる技術の確立が望まれているのが実情である。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板をめっき原板として用い、粒界酸化層の厚さにエッジ・センター差が生じるような状況下であっても、合金化ムラの発生を防止して良好な外観を得ることのできる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の製造方法は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、
Si含有量が1.0質量%以上である鋼板をめっき原板として用い、下記(a)~(d)の工程を順次含み、下記(b)の工程で得られた冷延鋼板における粒界酸化層の厚さが、冷延鋼板の幅方向中央部で4μm以上であり、冷延鋼板の幅方向端部から50mmまでの領域で4μm未満であることを特徴とする。
(a)Si含有量が1.0質量%以上である鋼板を、巻取り温度を600℃以上として熱間圧延する工程、
(b)熱延鋼板を酸洗して表面酸化物層を除去した後、冷間圧延する工程、
(c)冷延鋼板に対して、焼鈍および溶融亜鉛めっき処理を行う工程、
(d)誘導加熱方式の加熱炉で溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う工程。
本発明の実施形態として、前記(c)の焼鈍および溶融めっき処理、並びに前記(d)の合金化処理を、連続溶融亜鉛めっきラインにて行うことが好ましい。
また本発明の製造方法において、前記(d)の合金化処理を実施するときの前記冷延鋼鈑の表面温度を450℃未満とすることが好ましい。
本発明は上記のように構成されており、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板を用い、粒界酸化層の厚さにエッジ・センター差が生じるような状況の下であっても、合金化ムラの発生を防止して良好な外観を得ることのできる合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造できる。
Si含有量が1.0質量%以上である鋼板において、巻取り温度が600℃以上となるようにして熱間圧延した場合に粒界酸化層が生成し、また粒界酸化層の厚さに上記のようなエッジ・センター差が生じやすくなる。このようなエッジ・センター差を生じないようにするためには、別の工程が必要となり、また設備上の制約があり、製造コストの増大を招くことになる。
本発明者らは、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板をめっき原板として用い、粒界酸化層の厚さにエッジ・センター差が生じるような状況下であっても、合金化ムラの発生を防止して良好な外観を得ることのできる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るするための製造条件について、様々な角度から検討した。
その結果、下記(a)~(d)の工程を順次含んで合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造すれば、合金化ムラの発生を防止して良好な外観を得ることのできる合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られることを見出し、本発明を完成した。
(a)Si含有量が1.0質量%以上である鋼板を、巻取り温度を600℃以上として熱間圧延する工程、
(b)熱延鋼板を酸洗して表面酸化物層を除去した後、冷間圧延する工程、
(c)冷延鋼板に対して、焼鈍および溶融亜鉛めっき処理を行う工程、
(d)誘導加熱方式の加熱炉で溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う工程。
上記(a)~(d)の夫々の工程について説明する。
[(a)の工程]
(a)の工程では、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板を、巻取り温度を600℃以上として熱間圧延する。Si含有量が1.0質量%以上である鋼板に対して、巻取り温度を600℃以上として熱間圧延すれば、粒界酸化層が生成し、また粒界酸化層の厚さに上記のようなエッジ・センター差が生じやすくなる。
すなわち(a)の工程は、上記のようなエッジ・センター差が生じやすい状況下で熱間圧延を行う。そのためには、巻取り温度を600℃以上として熱間圧延する必要があるが、巻取り温度があまり高くなると、設備寿命が短くなることが予想されるので、その上限は熱間圧延温度以下である。
[(b)の工程]
(b)の工程では、上記(a)の工程で得られた熱延鋼板を、酸洗して表面酸化物層を除去した後、冷間圧延する。上記(a)の工程で形成される粒界酸化層の厚さは、(b)の工程で冷間圧延して得られた冷延鋼板の段階で、冷延鋼板の幅方向センター部で4μm以上であり、冷延鋼板の幅方向エッジ部近傍で4μm未満となり、エッジ・センター差が生じている。
[(c)の工程]
(c)の工程では、上記のようなエッジ・センター差が生じている冷延鋼板に対して、焼鈍および溶融亜鉛めっき処理を施す。冷延鋼板を焼鈍すると、粒界酸化層の存在によって、Siが鋼板内部の結晶粒界に沿って酸化物を形成し、鋼板表面での酸化物層の形成が抑制される。その結果、酸化物層の存在に起因する「不めっき」や「合金化ムラ」の発生が抑制される。しかしながら、その後の溶融亜鉛めっき層の合金化に際して、通常の加熱炉で加熱すれば、エッジ・センター差に起因する「合金化ムラ」が発生することになる。
[(d)の工程]
(d)の工程では、誘導加熱方式の加熱炉で溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う。溶融亜鉛めっき層の合金化に際し、誘導加熱方式の加熱炉で加熱することによって、エッジ・センター差に起因する「合金化ムラ」の発生を防止できる。誘導加熱方式の加熱炉を、以下では「IH(Induction Heating)ヒータ」と呼ぶことがある。
ここで「合金化ムラ」とは、幅方向センター部と幅方向エッジ部近傍で、めっき層中におけるFe濃度の差が3.0質量%よりも大きくなることである。なお、幅方向エッジ部近傍とは、前述のごとく、鋼板の幅方向(圧延方向に対して垂直な方向)の端部から50mmまでの領域を意味するが、このように規定したのは、次の通りである。すなわち、端部から50mmまでの領域が合金化ムラの発生しやすい領域(すなわち、粒界酸化層の厚さが4μm未満となる領域)であること、および端部から50mmの位置よりも端部の方が粒界酸化層の厚さ薄くなる(すなわち、「エッジ・センター差」が大きくなる)のであるが、この領域内と幅方向センター部とを比較することによって、合金化ムラの発生状況を把握できるからである。
また幅方向センター部とは、上記鋼板幅方向の中心から両エッジ部に向かって夫々200mmまでの領域を意味する。或いは、板幅が狭い場合には、鋼板幅方向の中心から両エッジ部に向かって板幅の40%位置までの領域であっても良い。要するに、鋼板の幅の長さの範囲内で、幅方向エッジ部近傍と幅方向センター部とが領域的に重複しない状態となっていればよい。
本発明において、溶融亜鉛めっき層の合金化に際してIHヒータを用いれば[前記(d)の工程]、上記のような合金化ムラが解消される理由についてはその全てを明らかした訳ではないが、おそらく次のように考えることができた。すなわち、IHヒータで加熱することにより、めっき原板(冷延鋼板)と溶融亜鉛めっき層との界面が効率的に加熱され、鋼板表面温度よりも溶融亜鉛めっき層の温度が高くなり、これまで合金化が進行しにくいとされていたエッジ部近傍においても、合金化が効果的に進行するためと推察される。
これに対して、溶融亜鉛めっき層の合金化に際して、赤外線加熱方式の加熱炉(以下、「赤外線ヒータ」と呼ぶことがある)を用いた場合は、鋼板の幅方向センター部が過剰に合金化してしまい、めっき品質が悪化することになる。赤外線ヒータでは、めっき表面からの輻射によって合金化を進行させるものであり、特に加熱されやすく、粒界酸化層が厚くなる幅方向センター部で合金化が過剰に進行することになる。
前記(d)の工程において、溶融亜鉛めっき層の合金化処理を実施するときの冷延鋼板の表面温度(以下、「板温」と呼ぶことがある)については特に限定するものではないが、粒界酸化層が特に厚い場合での過度の合金化進行を抑制するという観点からすれば、板温は450℃未満とすることが好ましい。より好ましくは430℃以下であり、更に好ましくは410℃以下である。
上記板温が450℃以上では、粒界酸化層が厚い場合に、合金化処理時の潜熱により、IHヒータと、その後の冷却帯の間でも合金化が進行するため、めっき層中におけるFe濃度が高くなりすぎ、耐パウダリング性が悪化することがある。但し、合金化処理を行うときの板温が、あまり低くなり過ぎると合金化の進行が遅くなって生産性が低下するので、概ね300℃以上であることが好ましい。
本発明でめっき原板として用いる鋼板は、通常の高張力鋼板であればよいが、より高強度を達成する鋼板として、少なくともSi含有量は1.0質量%以上とする必要がある。Si含有量の上限は、概ね2.7質量%以下である。またCやMn等の成分については、何ら限定するものではなく、通常C:0.05~0.5質量%程度、Mn:1.6~4.0質量%程度で含有していればよい。また、P,S,N,O等の不可避不純物も含有することも許容できる。
めっき原板表面に形成される溶融亜鉛めっきの種類については、めっき層中に合金元素を含むものであってもよい。また亜鉛めっき層は、鋼板の片面または両面に被覆される。溶融亜鉛めっきの付着量は、片面あたりで例えば30~120g/m2程度である。
上記のように本発明では、Si含有量が1.0質量%以上である鋼板をめっき原板として用い、冷延鋼板における粒界酸化層の厚さが、冷延鋼板の幅方向センター部で4μm以上であり、冷延鋼板の幅方向エッジ部から50mmまでの領域で4μm未満であるような鋼板を用い、前記Si含有量が1.0質量%以上である鋼板を、巻取り温度を600℃以上として熱間圧延する工程[前記(a)]の工程」、熱延鋼板を酸洗して表面酸化物層を除去した後冷間圧延する工程[前記(b)の工程]、冷延鋼板に対して、焼鈍および溶融亜鉛めっき処理を行う工程[前記(c)の工程]、誘導加熱方式の加熱炉で溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う工程[前記(d)の工程]、を順次含むことによって、粒界酸化層の厚さで生じるエッジ・センター差による不都合が是正され、合金化ムラの抑制された合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
なお、本発明において、前記(c)の焼鈍および溶融めっき処理、並びに前記(d)の合金化処理は、夫々独立した別の工程で行ってもよいが、これらの処理を連続溶融亜鉛めっきラインにて、一連の工程で連続的に行うことが好ましい。連続溶融亜鉛めっきラインにて、焼鈍、溶融めっき処理および合金化処理を連続的に行うことによって、生産性の向上や製造コストの低減が図れる。
またいずれにしても、冷延鋼板への焼鈍は、例えば1~30%程度の水素を含む還元性雰囲気(残部は窒素)とし、鋼板のAc1変態点~970℃程度の温度範囲とし、10~54000秒間程度保持することが好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明の作用効果をより具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前記および後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)供試材
以下に示す冷延鋼板を、めっき原板として使用した。
鋼板の成分組成:C0.22質量%、Si1.15質量%、Mn2.23質量%(残部:鉄、およびP,S,N,O等の不可避不純物)
鋼板の形状:板厚1.4mm、板幅70mm、長さ150mm(板幅1000mmのコイルより、幅方向センター部用鋼板:幅中央を中心として前記形状で切りだした。幅方向エッジ部用鋼板:エッジ部より前記形状で切りだした。)
熱間圧延の巻取り温度:650℃
粒界酸化層の厚さ:冷延鋼板の幅方向センター部で11.0μm、冷延鋼板の幅方向エッジ部から50mmの位置で1.1μm(鋼鈑断面のSEMを用いて撮影した写真にて測定)
(2)実験手順
鋼板を溶融亜鉛めっきシミュレーターにセットし、還元焼鈍、溶融亜鉛めっき処理および合金化処理を実施した。条件は以下に示す通りである。
[還元焼鈍条件]
焼鈍雰囲気:N2-5%H2
焼鈍温度:630℃
保持時間:200秒
[溶融亜鉛めっき処理条件]
浴中Al濃度:0.13質量%
浴温度:460℃
侵入板温:460℃
浸漬時間:4秒
溶融亜鉛めっき付着量(片面だけ):70g/m2
[合金化条件]
雰囲気:大気雰囲気
合金化温度(板温):(A)IHヒータによる加熱時400-460℃、(B)赤外線ヒータによる加熱時670-700℃
合金化時間:14秒
(3)評価方法
合金化後のめっき層を、JIS K 8847に規定するヘキサメチレンテトラミン(インヒビター)を添加した塩酸にて溶解し、高周波誘導結合プラズマ(Inductively Cupled Plasma:ICP)に基づき、溶解前後の質量変化から、めっき付着量とFe付着量を求め、質量比からめっき層中のFe濃度(質量%)を求めた。
なお、幅方向エッジ部近傍におけるFe濃度(質量%)を測定するに際しては、測定精度を高めるために、上記で切り出した幅方向エッジ部用鋼板から、幅方向端部から50mmまでの領域を含むように、幅50mm×長さ50mmの試験片を更に切り出して用いた。また幅方向センター部におけるFe濃度(質量%)を測定するに際しては、上記で切り出した幅方向センター部用鋼板から幅50mm×長さ50mmの試験片を更に切り出して用いた。したがって、上記のようにして求めためっき層中のFe濃度(質量%)は、各試験片での平均的な値となる。
めっき層中のFe濃度において、幅方向センター部と幅方向エッジ部近傍での差(質量%差)が3.0%以下であり、且つFe濃度(質量%)が5%以上15%以下である場合を「○」と評価した。また幅方向センター部と幅方向エッジ部近傍でのFe濃度の差が3.0%以下であり、且つFe濃度が15%より多く20%以下となる場合を「△」と評価した。
いずれの場合においても、幅方向センター部と幅方向エッジ部近傍のFe濃度の差が3.0%よりも大きくなる場合には、「×」として評価した。幅方向センター部と幅方向エッジ部近傍のFe濃度の差が3.0%よりも大きくなると、それだけで合金化ムラが発生する。
一方、めっき層中のFe濃度は、5~15%の範囲であることが、めっき外観上最も好ましい。めっき層中のFe濃度が5%未満では、合金化が不十分となり、耐食性に劣る。めっき層中のFe濃度が15%よりも多く、且つ20%以下となる場合には、耐パウダリング性が若干低下するが、幅方向センター部と幅方向エッジ部近傍のFe濃度の差が3.0%以下となっていれば、合金化ムラが発生しないので、製品としては合格となる(「△」と評価)。また、めっき層中のFe濃度が20%よりも多くなる場合には、過度の合金化によるΓ相形成量が増加し、耐パウダリング性が著しく悪化するので、製品としては不適である。
その結果を、表1に示す(表1の試験No.1~5)。
Figure 0007086666000001
この結果から、次のように考察できる。まずIHヒータにより合金化処理することによって(試験No.1~3)、幅方向センター部と幅方向エッジ部近傍のFe濃度の差を3.0%以下とすることができ、合金化ムラを抑制できることが明らかである(実施例1~3)。このうち、特に合金化時の温度を450℃未満とした例(試験No.2、3)では、めっき層中のFe濃度が5~15%の範囲内となっており、めっき外観上最も好ましいものとなっている(実施例2、3)。
これに対し赤外線ヒータにより合金化処理した例(試験No.4、5)では、幅方向センター部と幅方向エッジ部近傍のFe濃度の差を3.0%以下とすることができず、合金化ムラが抑制できていなことが明らかである(比較例1、2)。

Claims (2)

  1. 合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、
    Si含有量が1.0質量%以上である鋼板をめっき原板として用い、下記(a)~(d)の工程を順次含み、下記(b)の工程で得られた冷延鋼板における粒界酸化層の厚さが、冷延鋼板の幅方向中央部で4μm以上であり、冷延鋼板の幅方向端部から50mmまでの領域で4μm未満であり、下記(d)の合金化処理を実施するときの前記冷延鋼板の表面温度を450℃未満とすることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
    (a)Si含有量が1.0質量%以上である鋼板を、巻取り温度を600℃以上として熱間圧延する工程、
    (b)熱延鋼板を酸洗して表面酸化物層を除去した後、冷間圧延する工程、
    (c)冷延鋼板に対して、焼鈍および溶融亜鉛めっき処理を行う工程、
    (d)誘導加熱方式の加熱炉で溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う工程。
  2. 前記(c)の焼鈍および溶融めっき処理、並びに前記(d)の合金化処理を、連続溶融亜鉛めっきラインにて行う請求項1に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP2018055645A 2018-03-23 2018-03-23 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Active JP7086666B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018055645A JP7086666B2 (ja) 2018-03-23 2018-03-23 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018055645A JP7086666B2 (ja) 2018-03-23 2018-03-23 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019167576A JP2019167576A (ja) 2019-10-03
JP7086666B2 true JP7086666B2 (ja) 2022-06-20

Family

ID=68108149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018055645A Active JP7086666B2 (ja) 2018-03-23 2018-03-23 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7086666B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114351072B (zh) * 2021-12-29 2024-03-05 北华航天工业学院 一种合金化镀层钢筋的生产工艺
CN115233132A (zh) * 2022-06-08 2022-10-25 河钢股份有限公司承德分公司 无花热基镀锌钢卷边厚控制方法
CN115216607B (zh) * 2022-06-30 2023-11-10 武汉钢铁有限公司 一种热镀锌铁合金外板合金化斑迹缺陷的控制方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003328035A (ja) 2002-05-17 2003-11-19 Nippon Steel Corp 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2004052035A (ja) 2002-07-19 2004-02-19 Jfe Steel Kk 合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP2005060742A (ja) 2003-08-19 2005-03-10 Nippon Steel Corp 密着性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP2008231493A (ja) 2007-03-20 2008-10-02 Nisshin Steel Co Ltd スポット溶接用合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2015193907A (ja) 2014-03-28 2015-11-05 株式会社神戸製鋼所 加工性、および耐遅れ破壊特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板、並びにその製造方法
WO2016038801A1 (ja) 2014-09-08 2016-03-17 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び製造設備
WO2017145329A1 (ja) 2016-02-25 2017-08-31 新日鐵住金株式会社 耐衝撃剥離性および加工部耐食性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003328035A (ja) 2002-05-17 2003-11-19 Nippon Steel Corp 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2004052035A (ja) 2002-07-19 2004-02-19 Jfe Steel Kk 合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP2005060742A (ja) 2003-08-19 2005-03-10 Nippon Steel Corp 密着性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP2008231493A (ja) 2007-03-20 2008-10-02 Nisshin Steel Co Ltd スポット溶接用合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2015193907A (ja) 2014-03-28 2015-11-05 株式会社神戸製鋼所 加工性、および耐遅れ破壊特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板、並びにその製造方法
WO2016038801A1 (ja) 2014-09-08 2016-03-17 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び製造設備
WO2017145329A1 (ja) 2016-02-25 2017-08-31 新日鐵住金株式会社 耐衝撃剥離性および加工部耐食性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019167576A (ja) 2019-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7244720B2 (ja) スポット溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
US9902135B2 (en) Galvanized steel sheet for hot forming
JP4730056B2 (ja) 伸びフランジ成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法
CN107109588A (zh) 材质不均匀性低且成型性优异的高强度冷轧钢板、热浸镀锌钢板及制造方法
JP2009270126A (ja) 冷延鋼板および溶融めっき鋼板ならびに該鋼板の製造方法
US10927441B2 (en) High-strength galvanized hot-rolled steel sheet and method for manufacturing same
JP7086666B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP5742115B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法
JP2006037141A (ja) 耐液体金属脆性に優れた熱処理用鋼板
JP5741413B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼帯およびその製造方法
JP7241283B2 (ja) 耐食性及び溶接性に優れた熱間プレス用アルミニウム-鉄系めっき鋼板及びその製造方法
JP5126848B2 (ja) 冷間圧延鋼板および表面処理鋼板ならびにそれらの製造方法
JP6168144B2 (ja) 亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP2000309824A (ja) 冷延鋼板および溶融めっき鋼板ならびにそれらの製造方法
JP5098190B2 (ja) 高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP2010121173A (ja) 鋼板および表面処理鋼板ならびにそれらの製造方法
JP6764847B2 (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
WO2019098206A1 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP5245914B2 (ja) 加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3494133B2 (ja) 溶融めっき高張力鋼板の製造方法
US11148395B2 (en) High-strength hot-dipped steel sheet having excellent coating adhesion and method for manufacturing same
CN114599810B (zh) 热冲压用钢板及热冲压成形体
KR101917442B1 (ko) 점용접성이 우수한 고망간 합금화 용융아연도금강판 및 그 제조방법
JP2023505445A (ja) 電気抵抗スポット溶接部の疲労強度に優れた亜鉛めっき鋼板、及びその製造方法
JP2023554116A (ja) 幅方向に沿って優れたスポット溶接性が均等に実現される高強度溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210816

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210824

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220502

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220502

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20220516

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20220517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220608

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7086666

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150