JP5098190B2 - 高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Si含有高強度鋼板を母材とする高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法に関し、特に不めっきのない美麗な表面外観を有し、かつめっき密着性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を、高い生産性を有して安定的に製造する方法に関するものである。なお、本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板とは、めっき被膜組成が実質的に溶融亜鉛とみなせるめっき鋼板のことであり、本発明の目的を逸脱しない範囲で亜鉛以外の成分が含まれていても良い。但し、溶融亜鉛系めっき鋼板とは単に「(非合金化)溶融亜鉛めっき鋼板」と呼称される物、あるいは「合金化溶融亜鉛めっき鋼板」と呼称される物が代表的であるため、以下では特に記さない限り、「溶融亜鉛めっき鋼板」と称して説明する。
近年、地球温暖化の観点から自動車の燃費向上が叫ばれ、車体軽量化と安全性確保の観点から、素材の高強度・薄物化が強く求められている。一方で、車体寿命延長の観点から、車体用素材として溶融亜鉛めっき(合金化溶融亜鉛めっきおよび非合金化溶融亜鉛めっきを含む)鋼板が使用される部分が多い。従って、これら両特性を満足させるため、高強度鋼による溶融亜鉛めっき鋼板の開発が行われている。
一般的に鋼板の強度向上には、Si、Mn、P等の固溶強化元素の添加が行われる。中でもSiは鋼の延性を損なわずに高強度化できる利点があり、Si含有鋼(特に、鋼中Si濃度が1mass%以上の物)は高強度鋼として有望である。しかしながら、Si含有鋼をめっき原板として使用する場合には、めっき前焼鈍時にSiが表面に濃化して酸化物を形成することにより、以下のような問題点を引き起こす。
(1)めっき濡れ性阻害
Si系酸化物は溶融亜鉛を弾くため溶融亜鉛と鋼板の濡れを阻害し、目視で認識できる不めっきを引き起こすことがある。また、不めっきに至らなかった場合でも、Fe-Zn初期合金化の不均一な反応により皮膜の均一性が損なわれる他、めっき密着性にも悪影響を及ぼす。
(2)合金化遅延
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合、鋼の表面に存在するSi系酸化物が、Fe-Zn合金化反応のためのFe、Znの拡散を阻害することで、合金化が進み難くなる。これにより、合金化ムラやライン速度低下による生産性の低下が生じる。また、生産性低下を避けるために合金化処理温度を高くした場合には、合金化制御の困難さによる過合金化、および脆弱な合金相が高温で生成するため、耐パウダリング性が劣化する。
これまで、めっき濡れ性を改善、あるいは合金化反応を促進するためにSi系酸化物等の表面濃化を抑制する方法として、例えば、特許文献1の開示されているように、予め表面に酸化鉄を形成した後、非酸化性雰囲気中で焼鈍を行うことにより、Si、Mn、Al、P等の酸化物が鋼板表面に濃化することを抑制する技術が広く知られている。また、別の技術として特許文献2に開示されているように、めっき前の冷延鋼板に対し、強酸洗処理を施してから非酸化性雰囲気で焼鈍することで、Si酸化物の表面濃化の状態を制御および抑制する技術が開示されている。
特開平04−202630号公報 特開2003−328099号公報
しかしながら、特許文献1の技術を鋼中にSiを1mass%以上含有する鋼に適用した場合、酸化鉄を形成するための熱処理時にSiが内部酸化する影響で酸化鉄の形成が抑制されるため、鋼中Si量が多くなるほど有効な鉄酸化量を得るのが困難になってくる。また、鋼種により酸化温度等の条件を変更する必要もある。よって、操業効率の低下を引き起こしたり、新たな設備改造が必要となるため、実施は容易ではない。
一方、特許文献2の技術の場合、Si系酸化物の表面への濃化を十分に防ぐことはできない。特に、鋼中Si濃度が1mass%以上となると、Si系酸化物の表面濃化の制御は不安定となる。そうなると、溶融亜鉛めっき浴に長時間浸漬する必要があり、実ラインにおける2秒程度浸漬時間では、不めっきの無い外観を鋼板全体に実現するのは、非常に難しくなる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、Siを高濃度(1mass%以上)含有した高強度鋼板でも、効果的にSi系酸化物の表面濃化(この表面濃化とは、Si系酸化物が表面に高い濃度で存在していることを意味し、その生成過程は問わない)が抑制され、不めっきの無い表面外観と優れためっき密着性を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板を、高い生産性で安定的に製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)本発明に係る溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法は、Siを1mass%以上、3mass%以下含有する鋼の表面に、局部山頂の平均間隔Sが20μm以下、算術平均粗さRaが0.2μm以上の粗さを付与するステップと、前記粗さが付与された鋼を圧延するステップと、前記圧延された鋼を酸化熱処理してから還元焼鈍熱処理を行うステップと、前記熱処理された鋼に溶融亜鉛めっきを行うステップとを備えることを特徴とする。
(2)上記(1)において、粗さを付与するステップを、熱間圧延工程、酸洗工程もしくは冷間圧延工程の少なくとも何れか一つの工程に備えることを特徴とする。
(3)上記(1)または(2)において、粗さが付与された鋼を圧延する工程を、冷間圧延工程にて行うことを特徴とする。
(4)上記(1)から(3)において、溶融亜鉛めっきを行う工程は、溶融亜鉛をめっきした後に鋼と亜鉛とを合金化させる工程を備え、該合金化させる工程において、460℃以上、560℃以下の温度範囲で合金化熱処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、所定の粗さを付与するステップとその粗さを潰すステップを備えたことにより、効果的にSi系酸化物の鋼表面への濃化を抑制することができ、不めっきの無い表面外観、優れためっき密着性および優れた耐パウダリング性を有する、Si含有高強度鋼による溶融亜鉛系めっき鋼板を得ることができる。同時に、新たな設備改造や熱処理条件の大きな変更の必要も無いので、高い生産性で安定的に製造する方法を提供することができる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、溶融亜鉛層浸漬ステップ前のSi含有高強度鋼の表面について種々検討した結果、溶融亜鉛めっき工程前に当該鋼表面の形状を制御することが効果的であることを見出した。その原理について、以下に詳細に説明する。
図1に、本発明に係る実施の形態の一例を、フロー図にて示す。目的の組成に調整された鋼は、先ずスラブに加工される。その後、当該スラブは、110の熱間圧延工程を経て熱間圧延材となり、次に、当該熱間圧延材は120の酸洗工程により表面の酸化物(スケールと呼ばれる)が除去された後、130の冷間圧延工程にて、冷間圧延鋼帯となる。その後、この冷間圧延鋼帯が140の溶融亜鉛めっき工程を経て、最終製品である、合金化溶融亜鉛めっき鋼板または溶融亜鉛めっき鋼板となる。なお、110から140までの各工程の間に、前後処理(クリーニング、表面調整処理等)工程が入る場合もあるが、本発明には影響が無いので省略してある。
110、130および140までの各工程は、さらに複数のステップからなっている。
熱間圧延工程110は主として、スラブを再結晶温度以上に加熱するスラブ加熱ステップS1101、次に再結晶温度以上で圧延を行う熱間圧延ステップS1102、さらに圧延が終了した鋼を冷やす冷却巻取りステップS1103、からなる。
冷間圧延工程130は主として、再結晶温度以下で圧延を行う冷間圧延ステップS1301と、その後に表面外観を調整する仕上げ圧延ステップS1302と、からなる。また、各ステップは、複数段のロールからなる。通常、冷間圧延ステップS1301が3段から4段、仕上げ圧延ステップS1302が1段から2段のロールからなる。
溶融亜鉛めっき工程140は主として、酸化雰囲気下にて加熱する酸化ステップS1401、次に還元雰囲気下にて焼鈍する還元焼鈍ステップS1402、その次に溶融亜鉛浴浸漬ステップS1403、さらにめっき量を制御するワイピングステップS1404、そして合金化ステップS1405、からなる。但し、合金化加熱を行わない非合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以降、GIとも呼ぶ)の場合は、合金化ステップS1405は無い。
図2は、上記製造工程における鋼材の表面状態の変化の様子を、模式的に示した図である。(a)は酸洗工程120の後、(b)は仕上げ圧延ステップS1302の後、(c)は酸化ステップS1401の後、および(d)は還元焼鈍ステップS1402の後である。また、上段は上面図、下段は断面図を示している。
先ず図2(a)のように、仕上げ圧延ステップS1302に供される前の段階で、高強度鋼1の表面に凸部2を形成しておく。すると、冷間圧延工程130の内の何れかのステップS1301かS1302で、これら凸部2が潰される。凸部2は、谷部に比べて変形に対する拘束が少ない。その為、鋼板が圧延されると、図2(b)に示すように、凸部が拘束の無い谷部側に張り出すような形状となる。この時、張り出した形状は、元の谷側に端部3を有する。
このような表面形状の鋼に、めっき浴に浸漬する前に酸化ステップS1401を経ると、図2(c)のように、潰された凸部2の端部3で優先的に酸化する。即ち、鉄酸化物が、端部3では厚くそれ以外の箇所では薄く生成する。図2(c)においては、黒く塗りつぶした符号4にて示した領域が、鉄酸化物の厚みが厚い領域、一方、白色で塗りつぶした符号41にて示した領域が、鉄酸化物の厚みが薄い領域である。端部3が優先的に酸化する理由は、酸化雰囲気に接触する面積が広く相対的に酸化量が多くなった為、と考えている。この優先的に酸化した鉄酸化物の厚い部分4では、引き続き還元焼鈍ステップS1402を行っても、図2(d)のようにその他の部分と比較してSi系酸化物6の表面濃化が少なくなる。
つまり、このSi系酸化物の表面濃化が抑制された部分(図2(d)で符号5にて示した部分)は、局所的にめっき性に優れる部分と言え、この領域の面積率を増やすことが、全体としてのめっき性向上に効果的と想到した。従って、予め鋼表面に多くの凸部2を付与して圧延を行い、酸化しやすい端部3の面密度を上げることで酸化物の厚い領域4を増やし、Si系酸化物の表面濃化を抑制できる。また、凸部の有無と凸部の上面視における面密度は、鋼板の表面粗さ、中でも局部山頂の平均間隔Sと算術平均粗さRa、で規定が可能である。なお、局部山頂の平均間隔Sと算術平均粗さRaの定義は、JIS B0601 1994に従う。以上の知見に基づいて、本発明はなされたものである。
以下に、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。製造工程については、図1の製造フローに沿って説明し、同じものは同じ符号を付与して詳細な説明は省略する。
1)成分:本発明で取り扱う高強度鋼の成分限定理由について説明する。
Si:1mass%以上、3mass%以下
本発明が対象とする鋼板は、Siを1mass%以上、3mass%以下含有する鋼板である。下限1mass%としたのは、これ未満であれば酸化時の酸化抑制効果が顕著でなく、酸化を利用した従来技術の範囲で対策が可能であるためである。上限を3mass%としたのは、3mass%を超えてSiを含有させた場合、鋼自体が硬くなり過ぎ、これ以下で成分設計を行うことが現実的であるからである。よって、本発明では、製造する高強度鋼のSi含有量を1mass%以上、3mass%以下と規定した。
なお、本発明では、Si以外の元素について特に限定されることはなく、従来から公知の成分系を利用することができる。代表組成について述べると、次のとおりである。
C:0.002mass%以上、0.5mass%以下
Cは、高強度化に対して有用なだけでなく、強度−延性バランスを向上させるために残留オーステナイトを生成させる等、組織制御を行う場合に有用な元素である。これらの作用を発現させるには、0.002mass%以上含有されていることが好ましい。しかしながら、含有量が0.5mass%を超えると、溶接性が劣化するため、0.5mass%を上限とすることが好ましい。より好ましくは、0.05mass%以上、0.25mass%以下の範囲である。
Mn:0.3mass%以上、4.5mass%以下
Mnは、鋼の高強度化に有用な元素であり、0.3mass%以上含有させることによってその効果を発揮することができる。しかしながら、Mnも、Siと同様に、焼鈍時に酸化膜を形成する元素であり、その含有量が4.5mass%を超えて多量に含有されると、めっき密着性が劣化する傾向がある。また、溶接性や強度−延性バランスの確保にも悪影響を及ぼす。このため、Mn含有量は4.5mass%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.5mass%以上、3mass%以下の範囲である。
Al:0.01mass%以上、3mass%以下
Alは、Siと補完的に添加される元素であり、0.01mass%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Al量が3mass%を超えると、めっき密着性が劣化する傾向がある。また、溶接性や強度−延性バランスの確保にも悪影響を及ぼす。従って、Alは3mass%以下とすることが好ましい。
P:0.1mass%以下
Pは高強度鋼板を得るには安価で有効な元素であるが、0.1mass%を超えて含有させるとスポット溶接性が著しく損なわれるだけでなく、還元焼鈍直前の酸洗の後にP系の酸化物が生成し、めっき性が阻害される。よって、Pの添加量の上限を0.1mass%とすることが好ましい。
S:0.01mass%以下
SはMnSとなり有害介在物となるため、極力添加を避けた方がよい。そのため、0.01mass%以下とするのが好ましい。
残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、製鋼工程までに混入が予想されるMg、Caなどの元素が挙げられる。さらに、本発明では、Ti,Nb,V,Cr,Mo,Cu,Ni,B,N,およびSb等の元素を少なくとも1種、高強度化を図るため等、必要に応じて含有させることができる。
2)鋼表面に付与する粗さ:本発明における付与する粗さの規定理由と高強度鋼の表面に凸部を形成する方法について説明する。
本発明では、鋼の表面に局部山頂の平均間隔Sが20μm以下、算術平均粗さRaが0.2μm以上の粗さを付与した後に圧延してから、溶融亜鉛めっきを行うことが必要である。Sが小さければ、圧延後の潰された凸部の端部領域の平面における面密度が高くなり、結果としてSi系酸化物の表面濃化抑制領域を広くでき、めっき性に有利になる。発明者らが検討した結果、本発明では、Sが20μm以下とすることで十分な効果が得られることが分かった。一方、Raが0.2μm以下であると、凸部が潰された際に形成される端部3が明瞭でなくなるため、本発明の効果が十分に得られない。また、Sには下限およびRaには上限は設けていないが、これは、実際の製造設備の性能と設備投資コストより、適宜決定すれば良い。Raが3μm以上では、Si系酸化物の表面濃化が抑制された領域における平面の面密度が高くなるという効果が飽和する上、粗さ付与が実製造設備において困難にる。よって、Sが20μm以下、および、Raが0.2μm以上、3μm以下とするのがより好ましい。
当該所定の粗さを付与する方法は、現状においては、(A)圧延ロールによる転写、(B)微粒子投射、(C)酸洗によるエッチングがある。(A)は、圧延ロール表面にレーザー等で微細な溝を彫って凹凸を作り、この圧延ロールを使用した圧延の際に、その凹凸を転写する方法である。ステップとしては、図1に示した冷間圧延工程130の中段圧延ステップS1302にて行うのが好ましい。この場合、表面に形成された凸部を潰す為の圧延は、ステップS1302以降に行う。(B)は、例えば、一般的なショットブラスト方法が適用できる。投射する微粒子の形状と大きさ、投射量ならびに投射速度を制御することで、所定の粗さを得ることができる。ステップとしては、酸洗工程120の後から仕上げ圧延ステップS1302の前までなら、何処に備えても良い。製造設備のレイアウトや製造工程により、適宜決定する。酸洗工程120直後か冷間圧延工程130の直前に投射設備を設置、もしくは、両工程(120と130)の間に投射設備を備えた別ステップ(例えばリコイルライン)を備える方法が、最も現実的で好ましい。(C)は、図1の酸洗工程120にて行う方法で、新たな設備投資が必要ないという効果がある。通常の酸洗工程の後に粗さ付与用の酸洗条件にて、あるいは酸洗工程における酸洗条件を変更して、表面に所定の粗さを付与する。そしてその後、通常の冷間圧延条件にて冷間圧延工程130を行う。粗さ付与に用いる酸は、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、もしくはこれらの酸を混合した物が使用可能である。
3)圧延ステップ:本発明における凸部を潰すためのステップについて説明する。
2)で説明した所定の粗さを付与した後の圧延ステップでは、鋼表面の凸部を平均的かつ十分に潰す必要がある。その為には、圧延用ロールとして、ブライトロールを使用するのが良い。即ち、ステップとしては、ブライトロールを使用する状況が多い仕上げ圧延ステップS1302で代用するのが最も効果的である。ブライトロールを利用すると、均一に潰すことができる上に、潰し方や粗度調整がし易い。その他のステップ、例えば冷間圧延ステップS1301でも、当該ステップで使用される圧延ロールの粗さが、付与された鋼板表面の粗さと比較して、十分低い粗さであれば、同様に代用しても良い。また、圧延ステップは1回のみでも、2回以上でも良い。つまり、例えば、冷間圧延ステップS1301で所定の粗さを鋼表面に付与し、その後仕上げ圧延ステップS1302で圧延する、または、熱間圧延工程110や酸洗工程120で所定の粗さを鋼表面に付与し、その後、冷間圧延ステップS1301および仕上げ圧延ステップS1302で圧延する、としても良い。圧延ステップを複数回繰り返しても、図2(b)の端部3の面密度が減少することは無いためである。
4)酸化ステップと還元焼鈍ステップ:本発明における酸化ステップS1401と還元焼鈍ステップS1402について説明する。
図1の溶融亜鉛めっき工程140の酸化ステップS1401にて、所定の粗さを付与した後圧延した鋼の、表層の鉄を酸化させる。この酸化の方法については特に制限はないが、無酸化炉や直火炉方式が一般的である。酸化条件は、Si非含有鋼の場合で酸化鉄付着量として少なくとも1.4g/m2以上酸化させる条件であれば良い。
酸化ステップS1401の後に、引き続き還元焼鈍ステップS1402を行うが、還元焼鈍方法についても特に制限はなく、従来から行われている方法をそのまま用いれば良い。その前の酸化ステップS1401で形成された酸化鉄が残存した場合には、最終製品におけるめっき密着性に悪影響を及ぼすため、酸化鉄は全て還元する必要がある。
これらステップの後の、溶融亜鉛浴浸漬ステップS1403およびワイピングステップS1404における各条件は、溶融亜鉛めっき工程で通常に行われている一般的な条件で良く、めっき厚さやその調整方法についても特に制限はない。
また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以降、GAとも呼ぶ)の製造のために、必要があって合金化ステップS1405を行う場合でも、溶融亜鉛めっき製造で通常に行われている一般的な条件で良く、合金化方法の違いが本発明の効果を妨げるものではない。この場合、合金化溶融亜鉛めっき層中のFeの濃度が、7mass%以上、15mass%以下となるように、より望ましくは9mass%以上、11mass%以下となるように、上記合金化熱処理温度を設定する。7mass%未満だと、表層に軟質の純亜鉛(η相)や鉄割合が低い合金相(ζ相)が残るので、プレス成形時の摺動性が悪化する。15mass%を越えると、亜鉛めっきと鉄母材との界面に硬質の合金相(Γ相)ができ耐パウダリング性が悪化する。具体的には、460℃以上、560℃以下の温度範囲で合金化熱処理を行えば、上記Fe濃度を実現できるので好ましい。460℃より低いとFe濃度が低くなり、560℃より高いとFe濃度が高くなり易い。
以上説明した2)から4)の製造方法を用いることで、高Si含有鋼で問題となる、目視で認識できる不めっきを防止した溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
特に合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合、著しい合金化遅延が解消されるので、合金化温度を従来品と同じにすればライン速度を上げることで生産性を向上できると共に、ライン速度を従来品と同じにすれば合金化温度を低くして耐パウダリング性を向上できる。
なお、本実施の形態に示したステップは一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。粗さを付与するステップと圧延するステップは、ステップ同士(即ち、S1101とS1102、S1102とS1103、S1103と120、120とS1301、S1301とS1302)の間に備えても良い。
C:0.13mass%、Si:1.4mass%、Mn:1.9mass%、P:0.02mass%、S:0.0016mass%、Al:0.03mass%を成分とする高Si含有鋼を供試鋼とした。製造工程は図1と同様に行った。1100℃でのスラブ加熱後、950℃で熱間圧延を行い、巻き取り温度を500〜600℃に制御した。その後、熱延スケール除去の為の酸洗は、液温が85℃の10mass%塩酸に数10秒浸漬して行った。
所定の粗さを付与するのは、全3段を備えた冷間圧延ステップS1301で、その表面に溝を彫って凹凸を付けた圧延ロールを、入側より2段目に用いることで行った。圧延ロールは、浅い溝が高い面密度に彫られたものと、深い溝が低い面密度で彫られたものとの2種類を用いた。また、比較例として、凹凸を設けていない、通常の圧延ロールを用いて圧延した試料も作成した。ステップS1301全体での圧化率は30%とした。
引き続いて、冷間圧延工程130の仕上げ圧延ステップS1302で、ブライトロールによりRaが冷間圧延工程130前の半分程度になるよう、鋼表面の凸部を潰した。ステップS1302終了後の、冷間圧延工程130全体での圧化率は50%とした。このステップで、端部3を有する谷部側に張り出した、図2(b)に示すような表面形状を得た。
上記表面形状を制御した供試鋼に、めっき前処理として、酸化性雰囲気の加熱炉による最終板温度550℃の酸化処理と、竪型めっき装置にて5vol%H2−N2雰囲気中にて830℃で20秒の還元焼鈍を行った。引き続いて、浴温460℃で、Alを0.14mass%含有した溶融Zn浴に、進入板温460℃で2秒間浸漬することで溶融亜鉛めっきを行った。めっき後、製造された合金化溶融亜鉛めっき層中のFeの濃度が約10mass%となるように、直接通電過熱炉を使用して550℃で20秒間の合金化処理を行った。
上記工程が終了した合金化溶融亜鉛めっき鋼板を試料として、めっき性に関し2種類の評価を行った。めっき後の表面外観およびめっき密着性は、めっき濡れ性で評価した。めっき濡れ性は、目視で不めっきの無いものを良好(○)、有るものを不良(×)と判定した。一方、合金化ムラ性は、合金化速度で評価した。合金化速度の指標として、めっき中に含まれるFeの濃度を測定した。Feの濃度は、先ず、切り出した鋼板の質量を測定した後、5倍希釈の塩酸に当該鋼板を浸漬してめっき層を溶解し、めっき層を含んだ溶液を作成した。この時の溶解の終点判定は、浸漬した後半表面の色が、目視で変化した時点とした。次に、溶解されずに残った鋼板の質量を再度測定し、減分、即ち溶解量を算出する。その次に、溶解しためっき層を含んだ溶液中の、Al、ZnおよびFeの濃度を誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES装置)により求めた。評価は、Feの濃度が10mass%以上のものを良好(○)とし、10mass%未満のものを不良(×)と判定した。
以上の評価結果を、付与した粗さと共に表1に示す。めっき前に付与する粗さが不十分な場合、良好なめっき性を得ることができない(No.1とNo.2参照)。対して、めっき前に十分に粗度を付与することにより、良好なめっき性を得ることができる(No.3とNo.4参照)。即ち、本発明を適用することで、1mass%以上のSiを含有した高強度鋼を用いても、めっき性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
Figure 0005098190
一般的な溶融亜鉛めっき鋼板の製造工程のフロー図を示す。 鋼の表面状態の変化を模式図で示す。a)は酸洗工程120の後、(b)は仕上げ圧延ステップS1302の後、(c)は酸化ステップS1401の後、および(d)は還元焼鈍ステップS1402の後である。また、上段は上面図、下段は断面図を示している。
符号の説明
1 高強度鋼
2 凸部
3 端部
4 鉄酸化物の厚みが厚い領域
41 鉄酸化物の厚みが薄い領域
5 Si系酸化物の濃化が抑制された部分
6 Si系酸化物
110 熱間圧延工程
120 酸洗工程
130 冷間圧延工程
140 溶融亜鉛めっき工程
S1101 スラブ加熱ステップ
S1102 熱間圧延ステップ
S1103 冷却巻取りステップ
S1301 冷間圧延ステップ
S1302 仕上げ圧延ステップ
S1401 酸化ステップ
S1402 還元焼鈍ステップ
S1403 溶融亜鉛浸漬浴ステップ
S1404 ワイピングステップ
S1405 合金化ステップ

Claims (4)

  1. Siを1mass%以上、3mass%以下含有する鋼の表面に、局部山頂の平均間隔Sが20μm以下、算術平均粗さRaが0.2μm以上の粗さを付与するステップと、
    前記粗さが付与された鋼を前記粗さを潰すために圧延するステップと、
    前記圧延された鋼を酸化熱処理してから還元焼鈍熱処理を行うステップと、
    前記熱処理された鋼に溶融亜鉛めっきを行うステップとを備えることを特徴とする高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  2. 粗さを付与するステップを、熱間圧延工程、酸洗工程もしくは冷間圧延工程の少なくとも何れか一つの工程に備えることを特徴とする請求項1に記載の高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  3. 粗さが付与された鋼を圧延する工程を、冷間圧延工程にて行うことを特徴とする請求項1または2に記載の高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  4. 溶融亜鉛めっきを行う工程は、溶融亜鉛をめっきした後に鋼と亜鉛とを合金化させる工程を備え、
    該合金化させる工程において、460℃以上、560℃以下の温度範囲で合金化熱処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3に記載の高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
JP2006062335A 2006-03-08 2006-03-08 高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法 Active JP5098190B2 (ja)

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