JP6764847B2 - 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
耐食性を有するとともに成形性に優れた高強度鋼板として、Si添加鋼の冷延材に溶融亜鉛めっき処理又は合金化溶融亜鉛めっき処理を施しためっき鋼板が使われている。例えば、特許文献1はこのめっき鋼板が次の製造方法で得られることを開示している。
まず、Siを0.5〜2.5質量%含有する鋼素材を熱間圧延して600℃以上の温度で巻取り、次いで酸洗及び冷間圧延を施す。そして、得られた冷延材(即ち、焼鈍素材)に対して、0.9〜1.4の空燃比で酸化させてAc3点〜Ac3点+100℃の範囲の焼鈍温度で還元させる酸化還元焼鈍を施す。その後、焼鈍材を溶融亜鉛めっき浴に浸漬してめっき層を形成し、必要に応じてめっき層を合金化させる。これにより、上記めっき鋼板が得られる。
特開2015−34334号公報
特許文献1に開示された製造方法では、焼鈍加熱時に焼鈍素材の板幅方向端部の昇温速度が当該焼鈍素材の板幅方向中央部の昇温速度よりも小さく、目標温度である焼鈍温度に到達するまでの時間が板幅方向中央部よりも板幅方向端部で長くなることがある。この現象は、特許文献1に開示された製造方法に限らず、Siを0.8質量%以上含有する鋼素材を熱間圧延して600℃以上の温度で巻取った熱延材を用いて酸化還元焼鈍を行った場合に発生する。この現象が生じると、板幅方向の焼鈍温度不均一の問題が生じるため、めっき鋼板の製造上好ましくない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、焼鈍加熱時に焼鈍素材の板幅方向端部と板幅方向中央部の昇温速度が同程度になる溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、Siを0.8〜2.7質量%含有する鋼素材を熱間圧延して600℃以上で巻取ることで熱延材を得て、前記熱延材を酸洗することで焼鈍素材を得て、前記焼鈍素材の幅端部を酸化させ、次いで当該焼鈍素材の全幅を酸化させることで酸化膜を形成して、前記酸化膜を還元し、次いで溶融亜鉛めっきを施すことで溶融亜鉛めっき鋼板を得る、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
本発明の他の一局面は、上記製造方法で得られた溶融亜鉛めっき鋼板が有するめっき層を合金化させることで合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
本発明によれば、溶融亜鉛めっき鋼板の製造及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造に際して、焼鈍加熱時に焼鈍素材の板幅方向端部と板幅方向中央部の昇温速度を同程度にすることができる。ひいては、溶融亜鉛めっき層形成時の不めっきを抑制することができる。
Si添加鋼の熱延材の板厚方向における、固溶Siの分布状態を表す断面模式図である。(a)は熱間圧延直後の巻取り温度が低温である場合を表し、(b)は熱間圧延直後の巻取り温度が高温である場合を表す。 熱間圧延直後に高温で巻取ったSi添加鋼の焼鈍素材の、酸化工程、還元工程及び溶融めっき工程の断面模式図である。 本発明の実施形態で用いられる連続式溶融亜鉛めっきラインの模式図である。 本発明の実施例1における加熱時間に対する試験片温度のグラフである。 本発明の実施例2における加熱時間に対する試験片温度のグラフである。
はじめに、本発明に到達した経緯の概要を説明する。
Si添加鋼を用いて溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合、めっき素材を得るべく酸化還元焼鈍が行われる。酸化還元焼鈍とは、焼鈍素材を酸化雰囲気で加熱することで焼鈍素材の表面に酸化Fe皮膜を形成する酸化工程と、酸化Fe皮膜が形成された焼鈍素材を還元雰囲気で加熱することで酸化Fe皮膜を還元させて還元Fe層を形成する還元工程と、還元Fe層が形成された焼鈍素材を冷却することで焼鈍材を得る冷却工程とを有する熱処理である。
Si添加鋼の焼鈍素材に対して酸化還元焼鈍を行うと、還元工程にて酸化Fe皮膜のバリアー作用によって、焼鈍素材内部のSiが焼鈍素材表面で選択酸化されることが防止される。そのため、酸化還元焼鈍が施されたSi添加鋼の焼鈍材を溶融亜鉛めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっき層を形成した場合には、不めっきの発生が抑制される。
又、熱延材を軟らかくして、後の冷間圧延設備などへの負荷を低減させるために、熱間圧延後の巻取り温度は高温(例えば600〜700℃)に設定される。これにより、焼鈍素材の表層部の結晶粒界にSiの酸化物が形成される。その理由を、図1、2を参照して説明する。
図1は、Si添加鋼の熱延材の板厚方向における、固溶Siの分布状態を表す断面模式図である。図1中、(a)は熱間圧延直後の巻取り温度が低温である場合を表し、(b)は熱間圧延直後の巻取り温度が高温である場合を表す。
巻取り温度が低温(例えば500℃以下)に設定されると、巻取り後の冷却過程では鋼板表面に形成されたFe酸化物(いわゆる熱延スケール)中の酸素が拡散しない。そのため、表層部にSi酸化物が形成されず、図1(a)に示すように、固溶Siが板厚方向中央部から表層部に至るまで均一に分布した熱延材が得られる。
これに対して、巻取り温度が高温(例えば600〜700℃)に設定されると、巻取り後の冷却過程では鋼板表面に形成されたFe酸化物(いわゆる熱延スケール)中の酸素が拡散する。これにより、表層部にSi酸化物が形成され、板厚方向内質側に粒界酸化が進行する。その結果、室温まで冷却された熱延材では、図1(b)に示すように、固溶Siは板厚方向中央部と比べて、表層部において相対的に少なくなる。これが焼鈍素材として用いられる。
図2は、熱間圧延後に高温で巻取ったSi添加鋼の焼鈍素材の、酸化工程、還元工程及び溶融めっき工程の断面模式図である。図2中、符号Siは固溶Siの分布状態を模式的に表している。図2の焼鈍素材が示すように、表層部には固溶Siが殆ど分布してしない。
上記焼鈍素材に対して酸化還元焼鈍を施すと、図2の酸化工程が示すように、まず表層部のFeが酸化されて十分な酸化Fe皮膜が形成される。次に、図2の還元工程が示すように、表層側からこの酸化Fe皮膜が還元されて、還元Fe層が形成される。その際、前述の通り、酸化Fe皮膜のバリアー作用により、Siの選択酸化が抑制される。還元工程では、酸化Fe皮膜が完全に還元されるまで還元反応が継続して、焼鈍材が得られる。
そして、この焼鈍材を溶融亜鉛めっき浴に浸漬すると、図2の溶融亜鉛めっき過程が示すように、めっき層が均一に形成された溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。この焼鈍材の表面には、Siの酸化物が形成されていないからである。又、この溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を合金化させると、合金層が均一に形成された合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
しかし、本発明者らがSi添加鋼を熱間圧延直後に高温で巻取った熱延材に対して、酸洗及び冷間圧延を施し、次いで酸化還元焼鈍を施したところ、部分的に不めっきや合金化むらが生じた。その原因を調べたところ、室温から焼鈍温度に到達するまでの時間が板幅方向中央部よりも板幅方向端部で長くなっていることにより、酸化還元焼鈍において板幅方向端部で酸化Fe皮膜が十分に形成されていないことが判明した。このような現象は以下の理由によって起きたものと推察された。
すなわち、Si添加鋼を熱間圧延直後に高温で巻取った熱延コイルは、大気雰囲気下で冷却される。このとき、当該熱延コイルの板幅方向中央部は徐々に冷却されるため、Si酸化物は粒界に沿って板厚方向内質側深くまで成長する。これに対して、当該熱延コイルの板幅方向端部は相対的に速く冷却されるため、Si酸化物の粒界に沿った成長は板厚方向表層側の浅い箇所に留まる。その結果、板幅方向中央部と板幅方向端部とでSiの粒界酸化の程度に差が生じる。そして、このSiの粒界酸化のばらつきに応じて鋼板の昇温速度にも差が生じているものと推察された。
本発明者らは、焼鈍加熱時において、板幅方向端部の昇温速度が板幅方向中央部の昇温速度と同程度になるように鋭意検討した。そして、板幅方向端部の放射率が板幅方向中央部の放射率よりも小さいことに着目して、板幅方向端部の放射率が板幅方向中央部の放射率に近付くように、板幅方向端部をまず酸化させ、次に板幅方向全体に亘って酸化させた。その結果、板幅方向端部の昇温速度が板幅方向中央部の昇温速度と同程度になることを見出し、本発明を完成させた。
尚、本明細書において、昇温速度とは、加熱目標温度と加熱開始温度の温度差を、加熱開始の時刻から加熱目標温度に到達した時刻までの時間で割った値をいう。例えば、室温20℃から目標温度900℃まで加熱するのに40秒を要した場合には、昇温速度は22℃/秒である。
次に、本発明の一局面である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について、説明する。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、Siを0.8〜2.7質量%含有する鋼素材を熱間圧延して600℃以上で巻取ることで熱延材が得られ、前記熱延材を酸洗することで焼鈍素材が得られ、前記焼鈍素材の幅端部を酸化させ、次いで当該焼鈍素材の全幅を酸化させることで酸化膜が形成され、前記酸化膜を還元し、次いで溶融亜鉛めっきを施すことによって、溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
以下、このように規定した理由について説明する。
1.鋼素材
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法で用いられる鋼素材とは、熱間圧延に供される鋼片をいう。例えば、転炉で溶製された溶鋼を鋳造することにより得られた鋼スラブを鋼素材として挙げることができる。この鋼素材は、Feを主成分として含有するとともに、Siを0.8〜2.7質量%含有する。又、この鋼素材は不可避的不純物も含有する。この鋼素材がSiを0.8〜2.7質量%含有する理由を次に記す。
Siは、固溶強化能が大きく、鋼板の延性を低下させずに強度を高める元素である。機械的特性を確保する観点から、Si含有量は0.8質量%以上、好ましくは0.9質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上とする。しかし、Si含有量が過剰になると、強度が高くなりすぎて圧延負荷が増大する。そして、熱間圧延の際にSiスケールを形成して熱延材の表面性状を悪化させる。そのため、Si含有量は2.7質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.3質量%以下とする。
上記鋼素材は、優れた機械的特性を確保する観点から、C及びMnの含有量を次のようにしてもよい。
C:0.05質量%〜0.5質量%
Cは、鋼板の強度を高める元素である。高強度鋼板として用いる場合には、C含有量は0.05質量%以上であることが好ましい。一方、C含有量が過剰になると溶接性が低下する。そのため、C含有量は0.5質量%以下であることが好ましい。
Mn:1.6質量%〜4.0質量%
Mnは、鋼板の強度を高めるとともに、残留オーステナイトの生成を促進して加工性を高める元素である。高強度鋼板として用いる場合には、Mn含有量は1.6質量%以上であることが好ましい。一方、Mn含有量が過剰になると延性や溶接性が劣化する。そのため、Mn含有量は4.0質量%以下であることが好ましい。
又、上記鋼素材は、例えば、以下の1種以上の元素をさらに含有してもよい。
Al:0質量%超0.5質量%以下
Alは、鋼素材を溶製する際に脱酸剤として作用する元素である。Alで脱酸する場合には、その効果を有効に発揮させるために、Al含有量は0.010質量%以上であることが好ましい。一方、Al含有量が過剰になると鋼板中にアルミナなどの介在物が多く生成し、加工性を劣化させることがある。そのため、Al含有量は0.5質量%以下であることが好ましい。
Ti:0質量%超0.2質量%以下
Tiは、炭化物や窒化物を形成して鋼板の強度を向上させる元素である。又、Ti窒化物を形成することで、鋼中N含有量を低減させてB窒化物の形成を抑制し、固溶Bの焼入れ性を有効に活用するための元素でもある。このような効果を有効に発揮させるために、Ti含有量は0.005質量%以上であることが好ましい。一方、Ti含有量が過剰になると、Ti炭化物やTi窒化物が過剰となり、延性、伸びフランジ性及び伸び加工性を劣化させる。そのため、Ti含有量は0.2質量%以下であることが好ましい。
Nb:0質量%超0.1質量%以下
Nbは、組織を微細化して鋼板の強度と靭性を向上させる元素である。この効果を有効に発揮させるために、Nb含有量は0.005質量%以上であることが好ましい。一方、Nb含有量が過剰になると、加工性を劣化させる。そのため、Nb含有量は0.1質量%以下であることが好ましい。
V:0質量%超0.3質量%以下
Vは、組織を微細化して鋼板の強度と靭性を向上させる元素である。この効果を有効に発揮させるために、V含有量は0.005質量%以上であることが好ましい。一方、V含有量が過剰になると、上記効果が飽和してコストが増加するだけである。そのため、V含有量は0.3質量%以下であることが好ましい。
B:0質量%超0.01質量%以下
Bは、焼入れ性を向上させて鋼板の高強度化に寄与する元素である。この効果を有効に発揮させるために、B含有量は0.0005質量%以上であることが好ましい。一方、B含有量が過剰になると、上記効果が飽和してコストが増加するだけである。そのため、B含有量は0.01質量%以下であることが好ましい。
Mo:0質量%超0.5質量%以下
Moは、高温域からの冷却中に生成するフェライトを抑制する元素である。この効果を有効に発揮させるために、Mo含有量は0.01質量%以上であることが好ましい。一方、Mo含有量が過剰になると、上記効果が飽和してコストが増加するだけである。そのため、Mo含有量は0.5質量%以下であることが好ましい。
Ca:0質量%超0.005質量%以下
Caは、鋼中の硫化物を球状化して伸びフランジ性を高めることに有効な元素である。この効果を有効に発揮させるために、Ca含有量は0.0005質量%以上であることが好ましい。一方、Ca含有量が過剰になると、上記効果が飽和してコストが増加するだけである。そのため、Ca含有量は0.005質量%以下であることが好ましい。
Cu:0質量%超1.0質量%以下
Cuは、鋼板の耐食性向上に有効な元素である。この効果を有効に発揮させるために、Cu含有量は0.01質量%以上であることが好ましい。一方、Cu含有量が過剰になると、上記効果が飽和してコストが増加するだけである。そのため、Cu含有量は1.0質量%以下であることが好ましい。
Ni:0質量%超1.0質量%以下
Niは、鋼板の耐食性向上に有効な元素である。この効果を有効に発揮させるために、Ni含有量は0.01質量%以上であることが好ましい。一方、Ni含有量が過剰になると、上記効果が飽和してコストが増加するだけである。そのため、Ni含有量は1.0質量%以下であることが好ましい。
Cr:0質量%超0.3質量%以下
Crは、酸化を抑制する元素である。鋼素材がCrを含有することによって、粒界に生成するSi酸化物量が低減して、固溶Si量が増加する。固溶SiとCrはともに酸化抑制元素として作用して、酸化工程において急速な酸化の進行を防止する。こうした効果を発揮させるために、Cr含有量は0.1質量%以上であることが好ましい。一方、鋼素材がCrを過剰に含有すると、酸化の進行が大幅に抑制されて酸化不足を引き起こす。そのため、Cr含有量は0.3質量%以下であることが好ましい。
上記不可避的不純物とは、鋼中に原料、資材、製造設備などの状況によって持ち込まれる元素をいい、以下に示すP及びSの他、例えば、N、O、Pb、Bi、Sb、Snなどが挙げられる。
P:0質量%超0.03質量%以下 Pは、鋼素材が不可避的不純物として含有する元素である。Pは、粒界に偏析して粒界脆化を助長するだけでなく、穴広げ性を劣化させる。そのため、P含有量はできるだけ低く、例えば0.03質量%以下であることが好ましい。
S:0質量%超0.01質量%以下
SもPと同様に、鋼素材が不可避的不純物として含有する元素である。Sは鋼板中に介在物を生成して、加工性を劣化させる。そのため、S含有量はできるだけ低く、例えば0.01質量%以下であることが好ましい。
2.熱延材
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、上記化学組成を満足する鋼素材を熱間圧延して600℃以上で巻取ることで、熱延材が得られる。
熱間圧延方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、鋼素材を1100℃以上に加熱して、Ar点以上の温度で熱間圧延を完了させればよい。
熱間圧延完了後の巻取り温度は600℃以上に設定する。600℃以上で巻取ることにより、熱延材が相対的に軟らかくなり、冷間圧延を施す場合には、冷間圧延設備への負荷を低減させることができる。巻取り温度の上限値は特に限定されないが、設備上の制約などから例えば750℃以下が好ましい。
上記温度で巻取られた熱延材は、公知の方法で自然冷却される。例えば、大気雰囲気下で放冷すればよい。これにより、熱圧材の表層部に形成されたFe酸化物(即ち熱延スケール)から熱延材の内質側に酸素が供給されて、当該Fe酸化物の下層にてSiの粒界酸化が進行する。
3.焼鈍素材
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、上記熱延材を酸洗することで、酸洗材が得られる。
酸洗方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、塩酸を用いて、熱延材表層部のFe酸化物(即ち熱延スケール)を完全に除去すればよい。
溶融亜鉛めっき鋼板の原板が熱延鋼板である場合には、上記酸洗材が焼鈍素材として用いられる。一方、溶融亜鉛めっき鋼板の原板が冷延鋼板である場合には、上記酸洗材に対して冷間圧延を施して得られた冷延材が、焼鈍素材として用いられる。
冷間圧延方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば冷延率30〜80%で行えばよい。
4.酸化還元焼鈍
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、上記焼鈍素材に対して酸化還元焼鈍を行うことで、焼鈍材が得られる。より具体的には、上記焼鈍素材に対して、当該焼鈍素材の幅端部を酸化させ、次いで当該焼鈍素材の全幅を酸化させることで酸化膜を形成する工程(酸化工程)と、この酸化膜を還元させて還元Fe層を形成する工程(還元工程)と、還元反応完了後の焼鈍素材を冷却して所望の金属組織を得る工程(冷却工程)とを有する焼鈍処理を行うことで、溶融亜鉛めっき浴に浸漬するための焼鈍材(即ちめっき素材)が得られる。
酸化還元焼鈍は、上記酸化工程、還元工程及び冷却工程を行うことができる単数又は複数の設備を用いるのであれば、設備上、連続式及びバッチ式を含めて特に限定されない。しかし、生産効率及び製品品質を確保する観点から、例えば連続式溶融亜鉛めっきライン(CGL:Continuous Galvanizing Line)にて行うことが好ましい。
連続式溶融亜鉛めっきラインの模式図を図3に示す。このラインは、焼鈍素材の通板方向順に予熱帯、酸化帯、還元帯、めっき浴及び合金化炉を備えており、酸化還元焼鈍と、溶融亜鉛めっきと、必要に応じてめっき層の合金化とを連続して行うことができる。
以下、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法における酸化還元焼鈍を、上記連続式溶融亜鉛めっきラインを用いて行う場合について、酸化工程、還元工程及び冷却工程に分けて説明する。
4−1.酸化工程
酸化工程では、まず、加熱下で上記焼鈍素材の板幅方向端部(即ち幅端部)を酸化させて、当該板幅方向端部の鋼板表面に酸化物を形成する(以下、プレ酸化ともいう)。この際、板幅方向中央部を酸化しない(すなわち、板幅方向端部のみを酸化する)構成とすることが好ましいが、板幅方向中央部よりも板幅方向端部の方が多く酸化するような構成であれば、板幅中央部が少し酸化されても構わない。プレ酸化により、加熱中の焼鈍素材における板幅方向端部の放射率を板幅方向中央部の放射率に近づけて、板幅方向端部の昇温速度を向上させる。そして、プレ酸化によって焼鈍素材の板幅方向端部に酸化物を形成した後、加熱下で当該焼鈍素材の板幅方向全体において酸化反応を進行させて全幅に亘って酸化膜を形成する(以下、全体酸化ともいう)。全体酸化により、焼鈍素材の板幅方向各所で形成される酸化膜の厚さを均一にさせる。
板幅方向端部とは、Siの粒界酸化が殆ど形成されなかった部位をいい、熱延材の冷却状況によって異なるが、例えば板幅方向両端からそれぞれ最長で約100mmまでの範囲に位置する。
プレ酸化によって形成される酸化物の形態は特に限らず、板幅方向端部の放射率が板幅方向中央部の放射率に近くなり、板幅方向端部の昇温速度が向上する酸化物であればよい。そのため、プレ酸化によって形成される酸化物は、熱延材の巻取り及び冷却過程で生成する酸化物と異なっていてもよい。プレ酸化では、放射率を大きくするためにウスタイト、マグネタイト、ヘマタイトなどのFe酸化物を鋼板表面に形成する。その際、Fe酸化物とともに、ファイアライトなどのFe−Si複合酸化物やSi酸化物などが同時に形成されてもよい。
プレ酸化の加熱雰囲気は、上記のFe酸化物が鋼板表面に形成される酸化雰囲気であれば、特に限定されない。プレ酸化の加熱雰囲気として、例えば、バーナーの排ガス(CO、CO、HO、Nなど)とOの混合ガスや、20体積%HO−80体積%Nを挙げることができる。或いは、後述するように大気雰囲気であってもよい。
一方、全体酸化の加熱雰囲気は、焼鈍素材の板幅方向全域でFe酸化物の酸化膜が形成される酸化雰囲気であれば、特に限定されない。例えば、プレ酸化の加熱雰囲気と同一の雰囲気でもよい。
プレ酸化及び全体酸化の進行に際して、それぞれ雰囲気ガスを対流循環させることで、焼鈍素材の長手方向における酸化物形成のばらつきを抑制することができる。
プレ酸化では、焼鈍素材の板幅方向端部を500℃以上に、好ましくは550℃以上に、より好ましくは600℃以上に設定すればよい。但し、プレ酸化時の温度があまり高くなり過ぎると、過酸化により高放射率となるので、800℃以下であることが好ましい。より好ましくは、750℃以下である。
一方、全体酸化では、焼鈍素材全体をAc点以上に、好ましくは800℃以上に、より好ましくは850℃以上に設定すればよい。
プレ酸化の時間は、板幅方向端部の放射率が板幅方向中央部の放射率に近づくまでに酸化が進行する時間であり、例えば、150秒以下が好ましく、15〜30秒がより好ましい。
一方、全体酸化の時間は、板幅方向全体に亘って酸化膜の厚さがほぼ均一に成長するまでの時間であり、例えば、120秒以下が好ましく、15〜30秒がより好ましい。
プレ酸化は、例えば、上記連続式溶融亜鉛めっきラインの予熱帯で行うことができる。
予熱帯でプレ酸化を行う場合、例えば、板幅方向端部のみをエッジバーナーを用いて加熱して約600℃に設定すればよい。このとき、バーナーで加熱されていない板幅方向中央部の温度は例えば約400℃である。この温度差により、板幅方向端部の酸化反応が優先的に進行して酸化物が形成される。予熱帯でのエッジバーナーの空気比を1.0よりも大きい値に設定することで、上記加熱雰囲気を実現することができる。予熱帯でプレ酸化を行い、その後、板幅方向端部と板幅方向中央部を、おおよそ同じ温度(例えば摂氏温度で15%以内の差)にしてから、酸化帯で全体酸化を行う。このとき、酸化帯でバーナーの空気比を1.0よりも大きい値に設定することで、予熱帯と同一の加熱雰囲気を実現することができる。
尚、プレ酸化を予熱帯で行う代わりに、酸化帯の先端側で行ってもよいし、予熱帯と酸化帯の先端側の双方で行ってもよい。或いは、予熱帯の上流側に、大気加熱酸化設備を別途設けておき、焼鈍素材を連続式溶融亜鉛めっきラインに導入する前に、大気加熱酸化設備で板幅方向端部のみをエッジヒーターを用いて加熱して約800℃に設定してもよい。このときのプレ酸化の加熱雰囲気は、大気雰囲気となる。
以上のようにプレ酸化を行うことにより、全体酸化の際の昇温速度が板幅方向端部と中央部とでおおよそ同じになり、板幅方向全体でおおよそ均一な酸化膜を形成させることが可能となる。
4−2.還元工程
還元工程では、酸化工程にて焼鈍素材の全幅に形成された酸化膜を加熱下で還元させて、還元Fe層を形成する。これにより、Siが表層に露出していない焼鈍材を得ることができる。
還元工程の加熱雰囲気は、酸化工程で形成された酸化膜を還元させて還元Fe層が形成される還元雰囲気であれば、特に限定されない。例えば、Hガスを15〜25体積%含み、残部がNなどの不活性ガスである混合ガスを挙げることができる。その際、露点は−50〜0℃に制御する。
還元工程では、焼鈍素材をAc点以上に、好ましくはAc点以上に設定すればよく、鋼素材の化学組成に応じて、例えば850〜970℃の均熱温度に適宜設定すればよい。その際、均熱温度における保持する時間を例えば30〜70秒に設定して、還元反応を進行させればよい。
4−3.冷却工程
冷却工程では、還元反応完了後の焼鈍素材を目標冷却パターンに従って、適宜冷却する。これにより、所望の金属組織を得ることができる。
冷却パターンは所望とする金属組織によって、それぞれ異なる。例えば、焼戻しマルテンサイトとベイナイトを主体として、残部がフェライトと残留オーステナイトとからなる金属組織を得る場合には、均熱温度から460〜550℃の冷却停止温度まで1〜50℃/sの冷却速度で冷却して、当該冷却停止温度で20〜100秒間保持し、続いてめっき処理を行う。
5.溶融亜鉛めっき
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、上記焼鈍材に対して溶融亜鉛めっきを施すことで、溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
溶融亜鉛めっき方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、溶融亜鉛めっき浴中のAl含有量が0.08〜0.12質量%である場合には、浴温を460〜480℃に調整すればよい。又、溶融亜鉛めっき層の付着量は、所望の付着量とすればよく、例えばガスワイピングを用いて45〜65g/m程度に制御すればよい。
次に、本発明の他の一局面である合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について、説明する。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、上記溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に従って溶融亜鉛めっき鋼板が得られた後、当該溶融亜鉛めっき鋼板が有するめっき層を合金化させることによって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
以下、めっき層の合金化について説明する。
めっき層の合金化方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、合金化炉での合金化温度を450〜600℃程度に制御すればよい。合金化温度が450℃未満では、合金化速度が極めて遅く、生産性を確保できない場合がある。一方、合金化温度が600℃を超えると合金化が進みすぎて、めっき層と素地鋼板の界面にΓ相が形成され、耐パウダリング性が劣化する場合がある。
上述したように、本発明の一局面は、Siを0.8〜2.7質量%含有する鋼素材を熱間圧延して600℃以上で巻取ることで熱延材を得て、前記熱延材を酸洗することで焼鈍素材を得て、前記焼鈍素材の幅端部を酸化させ、次いで当該焼鈍素材の全幅を酸化させることで酸化膜を形成して、前記酸化膜を還元し、次いで溶融亜鉛めっきを施すことで溶融亜鉛めっき鋼板を得る、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
この構成によれば、焼鈍素材の幅方向端部がまず酸化されて酸化物が形成され、幅方向端部の放射率が大きくなって、幅方向中央部と幅方向端部の放射率が近くなる。この状態で加熱することにより幅方向中央部と幅方向端部とがほぼ均一に昇温する。これにより、焼鈍素材の全幅でほぼ均一に酸化反応が進行して、酸化物が幅方向全体に亘ってほぼ均一に成長する。酸化Fe皮膜が全幅でほぼ均一になっているため、その後の還元反応も全幅に亘ってほぼ均一に進行する。それ故、板幅方向におけるめっき品質が安定化し、不めっきの発生が防止される。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、前記焼鈍素材の幅端部を酸化させる前に、当該焼鈍素材に冷間圧延を施すことができる。この構成により、冷延鋼板を原板とする溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、予熱帯のエッジバーナーを用いて前記焼鈍素材の幅端部を酸化させることができる。この構成により、連続式溶融亜鉛めっきラインの予熱帯でプレ酸化を行うことができるようになり、生産効率を向上させるとともに、溶融亜鉛めっき鋼板の板幅方向における品質を安定化させることができる。
本発明の他の一局面は、上記製造方法で得られた溶融亜鉛めっき鋼板が有するめっき層を合金化させることで合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
この構成によれば、上記溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法と同様に、酸化還元焼鈍の酸化工程において、焼鈍素材の板幅方向端部と板幅方向中央部の昇温速度が同程度になる。その結果、板幅方向におけるめっき品質が安定化し、不めっきや合金むらの発生が防止された合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することは可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
板幅方向両端からそれぞれ70mmまでのエッジ部ではSiの粒界酸化が存在せず、板幅方向においてエッジ部を除いた部分であるセンター部ではSiの粒界酸化が存在する熱延鋼板を供試材として、次のラボ加熱試験を行い、昇温速度を評価した。
尚、この供試材は、C:0.095質量%、Si:1.8質量%及びMn:2.1質量%を含有するとともに残部がFe及び不可避的不純物からなる化学組成を有する鋼スラブを熱間圧延して650℃で巻取り、そして、大気雰囲気下で放冷した後、酸洗して冷間圧延した焼鈍素材である。この供試材の板厚は1.4mmである。又、この供試材の酸化還元焼鈍における均熱目標温度は900℃である。
[ラボ加熱試験]
まず、供試材のエッジ部及びセンター部から、長さ140mmで幅70mmである供試片をそれぞれ採取した。
そして、供試材のセンター部から採取した供試片に熱電対を取り付けた加熱試験片1個(試験No.1)と、供試材のエッジ部から採取した供試片に熱電対を取り付けた加熱試験片3個(試験No.2−1〜2−3)とを、雰囲気調整加熱炉に入れて、目標温度950℃まで加熱し、加熱開始から10秒毎の加熱試験片の温度を測定した。測定結果を表1に示す。尚、加熱雰囲気は連続式溶融亜鉛めっきラインの酸化帯を模擬した20体積%HO−80体積%Nである。又、いずれの加熱試験片においても、加熱過程で酸化物が形成されたことを確認した。
一方、供試材のエッジ部から採取した供試片に熱電対を取り付けた他の加熱試験片3個(試験No.3−1〜3−3)については、まず、連続式溶融亜鉛めっきラインの予熱帯でエッジバーナーを用いてプレ酸化を行う場合を模擬した加熱を行った。この加熱では、炉温を600℃に設定して、加熱試験片を150秒間炉内で保持した。加熱雰囲気は20体積%HO−80体積%Nである。この加熱によって、酸化物が形成されたことを確認した。続いて、プレ酸化を模擬した加熱がなされた加熱試験片3個(試験No.3−1〜3−3)に対して、試験No.1及び試験No.2−1〜2−3と同一の条件で、連続式溶融亜鉛めっきラインの酸化帯での全体酸化を模擬した加熱を行った。そして、全体酸化を模擬した加熱の開始から10秒毎の加熱試験片の温度を測定した。この測定結果も表1に示す。尚、この加熱によって、酸化被膜が成長したことを確認した。
[昇温速度の評価]
センター部の昇温速度に対するエッジ部の昇温速度の乖離の程度から、エッジ部の昇温速度がセンター部の昇温速度と同程度か否かを評価した。具体的には次の方法で評価した。
上記供試材の均熱目標温度が900℃であることから、センター部(試験No.1)が904℃に到達した時点(即ち、加熱開始から60秒が経過した時点)における各エッジ部(試験No.2−1〜3−3)とセンター部の温度差Δtの、センター部の温度904℃の百分率Rを算出した。各エッジ部(試験No.2−1〜3−3)の温度差Δt及び百分率Rを表1に示す。百分率Rが±5%以内である場合を合格とし、±5%を超える場合を不合格とした。
試験No.3−1〜3−3は、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法で規定する各条件を満足する例である。これらは、いずれも上記百分率Rが±5%以内にあり、エッジ部の昇温速度がセンター部の昇温速度と同程度であることを示した。
一方、試験No.2−1〜2−3は、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法で規定するエッジ部を先に酸化させる条件(即ち、プレ酸化)を満たさない例である。これらは、いずれも上記百分率Rが±5%を超えており、エッジ部の昇温速度がセンター部の昇温速度よりも小さいことを示した。
昇温速度の他の評価方法として用いられる、各加熱試験片(試験No.1、2−1〜3−3)の加熱時間に対する温度をプロットしたグラフを図4に示す。図4の各加熱時間において、試験No.3−1〜3−3が試験No.1に近接し或いは一部重複しているのに対して、試験No.2−1〜2−3は試験No.1から大幅に乖離していることが示されている。図4からも、プレ酸化を行うことで、エッジ部の昇温速度がセンター部の昇温速度と同程度になることが明白である。
Figure 0006764847
(実施例2)
供試材のエッジ部から採取した供試片に対して、大気雰囲気でエッジヒータを用いてプレ酸化する場合を模擬した加熱を行うこと以外は、実施例1と同様にしてラボ加熱試験を行い、昇温速度を評価した。
実施例1と同様に、供試材のエッジ部から採取した供試片に熱電対を取り付けた他の加熱試験片3個(試験No.4−1〜4−3)について、大気雰囲気でエッジヒータを用いてプレ酸化する場合を模擬した加熱を行った。この加熱では、供試材のエッジ部から採取した供試片に対して、大気雰囲気で800℃まで昇温し、800℃まで昇温した直度(保持時間は0秒)に冷却を開始する条件とした。この加熱によって、酸化物が形成されたことを確認した。
続いて、プレ酸化を模擬した加熱がなされた加熱試験片3個(試験No.4−1〜4−3)に対して、実施例1で示した試験No.1及び試験No.2−1〜2−3と同一の条件で、連続式溶融亜鉛めっきラインの酸化帯での全体酸化を模擬した加熱を行った。
そして、全体酸化を模擬した加熱の開始から10秒毎の加熱試験片の温度を測定し、実施例1と同様に評価した。この測定結果を、前記表1に示した試験No.1及び試験No.2−1〜2−3の結果とともに、表2に示す。尚、この加熱によって、酸化被膜が成長したことを確認した。
試験No.4−1〜4−3は、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法で規定する各条件を満足する例である。これらは、いずれも上記百分率Rが±5%以内にあり、エッジ部の昇温速度がセンター部の昇温速度と同程度であることを示した。特に、試験No.4−1〜4−3は、加熱開始から60秒が経過した時点における各エッジ部とセンター部の温度差Δtが−12℃〜3℃の範囲にあり、プレ酸化を行うことによる効果が顕著になって
いる。
昇温速度の他の評価方法として用いられる、各加熱試験片(試験No.1、2−1〜2−3、4−1〜4−3)の加熱時間に対する温度をプロットしたグラフを図5に示す。図5の各加熱時間において、試験No.4−1〜4−3が試験No.1に近接し或いは一部重複していることが分かる。図5からも、プレ酸化を行うことで、エッジ部の昇温速度がセンター部の昇温速度と同程度になることが明白である。
Figure 0006764847

Claims (5)

  1. Siを0.8〜2.7質量%含有する鋼素材を熱間圧延して600℃以上で巻取ることで熱延材を得て、
    前記熱延材を酸洗することで焼鈍素材を得て、
    前記焼鈍素材の幅端部を酸化させ、次いで当該焼鈍素材の全幅を酸化させることで酸化膜を形成して、
    前記酸化膜を還元し、次いで溶融亜鉛めっきを施すことで溶融亜鉛めっき鋼板を得る、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記焼鈍素材の幅端部を酸化させる前に、当該焼鈍素材に冷間圧延を施す、請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 予熱帯のエッジバーナーを用いて前記焼鈍素材の幅端部を酸化させる、請求項1又は2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 大気雰囲気でエッジヒータを用いて前記焼鈍素材の幅端部を酸化させる、請求項1又は2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法で得られた溶融亜鉛めっき鋼板が有するめっき層を合金化させることで合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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