JP5556033B2 - 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDFInfo
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また、予め酸化性雰囲気中で鋼板を加熱して表面に酸化鉄を形成したのち、還元焼鈍を行うことにより、溶融亜鉛との濡れ性を改善することが提案されている。(例えば特許文献2)
特許文献1に記載の技術は焼鈍を2回行い、1回目の焼鈍後に表面に生成したSiの表面濃化物を酸洗除去することによって、2回目の焼鈍時に、表面濃化物の生成を抑制しようとするものである。しかしながら、Si濃度が高い場合には酸洗では表面濃化物が除去しきれないため、上述したところと同様にめっき層の性能の問題は解決できない。更に、Siの表面濃化物を除去するための酸洗設備が新たに必要なことからコストがかかるという問題もある。
[1]化学成分として、mass%で、C:0.05〜0.30%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、Al:0.01〜3.0%、S:0.001〜0.01%、P:0.001〜0.1%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼板に溶融亜鉛めっきを施すに際し、O2:0.01〜1vol%を含み露点が0℃以下の雰囲気中で鋼板を昇温し、鋼板温度が750〜900℃の範囲内の温度に加熱した後又は加熱して保持した後、冷却し、溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする表面外観とめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
Cはオーステナイト相を安定化させる元素であり、鋼板の強度を上昇させるために必要な元素である。C量が0.05%未満では、強度の確保が困難であり、また、本発明で重要なCによる還元が十分行われない。C量が0.30%を超えると、溶接性が低下する。従って、C量は0.05〜0.30%の範囲内とする。
Siは、フェライト相中の固溶Cをオーステナイト相中に濃化させ、鋼の焼戻し軟化抵抗を高めることにより鋼板の成形性を向上させる作用を有している。Siが選択酸化されて表面に濃化してめっき品質を低下させる問題はSi含有量が1.0%以上になると顕在化する。Si含有量が3.0%を超えると、後述する本発明法を適用しても、Feの酸化促進が困難であるため、めっき密着性が十分に改善されない。従って、Si量は1.0〜3.0%の範囲内とする。
Mnは、焼入れ性を高め鋼板の強度を高めるために有用な元素である。その効果は、0.5%未満では得られない。一方、含有量が3.0%を超えるとMnの偏析が生じ、加工性が低下する。従って、Mn量は0.5〜3.0%の範囲内とする。
AlはSiと補完的に添加される元素であり、0.01%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Al量が3.0%を超えると溶接性や強度延性バランスの確保に悪影響を及ぼす。従って、Al量は0.01〜3.0%の範囲が好ましい。
Sは鋼に不可避的に含有される元素であり、冷間圧延後に板状の介在物MnSを生成することにより、成形性を低下させる。S量が0.01%まではMnSは生成しないが、過度の低減は製鋼工程における脱硫コストの増加を伴う。従って、S量は0.001〜0.01%の範囲内とする。
Pは鋼に不可避的に含有される元素であり、強度向上に寄与する元素である。その反面、溶接性を低下させる元素でもあり、P量が0.1%を超えるとその影響が顕著に現れる。また一方で、過度のP低減は製鋼工程における製造コストの増加を伴う。従って、P量は0.001〜0.1%の範囲内とする。
Crは鋼の焼入れ性向上に有効な元素であり、この効果を得るためには、0.1%を超える添加を必要とする。また、Crはフェライト相を固溶強化し、マルテンサイト相とフェライト相の硬度さを低減して、成形性の向上に有効に寄与する。しかしながら、Cr量が1.0%を超えるとこの効果は飽和し、むしろ表面品質を著しく劣化させる。従って、Cr量は0.1〜1.0%の範囲内とする。
Moは、鋼の焼入れ性向上に有効な元素であると共に、焼戻し二次硬化を発現させる元素でもある。この効果を得るためには0.1%以上の添加を必要とする。しかしながら、Mo量が1.0%超えると、この効果は飽和し、コストアップの要因となる。従って、Mo量は0.1〜1.0%の範囲内とする。
Tiは鋼中でCまたはNと微細炭化物や微細窒化物を形成することにより、焼鈍後の組織の細粒化および析出強化の付与に有効に作用する。この効果を得るためには0.01%以上の添加が必要である。しかしながらTi量が0.1%を超えるとこの効果が飽和する。従って、Ti量は0.01〜0.1%の範囲内とする。
Nbは、固溶強化または析出強化により強度の向上に寄与する元素である。この効果を得るためには0.01%以上の添加を必要とする。しかしながら、0.1%を超えて含有されると、フェライトの延性を低下させ、加工性が低下する。従って、Nb量は0.01〜0.1%の範囲内とする。
Bは焼入れ性を高め、焼鈍冷却中のフェライトの生成を抑制し、所望のマルテンサイト量を得るのに必要である。この効果を得るためには、B量は0.0005%以上添加する必要があるが、0.0050%を超えるとこの効果は飽和する。従って、B量は0.0005〜0.0050%の範囲内とする。
不めっきなどの外観不良の有無を目視にて判断し、外観不良がない場合には良好(○)、外観不良がわずかにあるがおおむね良好である場合にはおおむね良好(△)、外観不良がある場合には(×)と判定した。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着性は、耐パウダリング性を評価した。具体的には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板にセロテープ(登録商標)を貼り、テープ面を90度曲げ、曲げ戻しをした時の単位長さ当りの剥離量を、蛍光X線によるZnカウント数として測定し、下記基準に照らしてランク1、2のものを各々特に良好(○)、良好(△)、3以上のものを不良(×)として評価した。
蛍光X線カウント数 ランク
0〜500未満 :1 (良)
500〜1000未満 :2
1000〜2000未満:3
2000〜3000未満:4
3000以上 :5 (劣)
合金化していない溶融亜鉛めっき鋼板については、ボールインパクト試験を行い、加工部をセロテープ(登録商標)剥離し、めっき層剥離の有無を目視判定することでめっき密着性を評価した。
○:めっき層の剥離なし
×:めっき層が剥離
Claims (4)
- 化学成分として、mass%で、C:0.05〜0.30%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、Al:0.01〜3.0%、S:0.001〜0.01%、P:0.001〜0.1%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼板に溶融亜鉛めっきを施すに際し、O2:0.01〜0.1vol%を含み露点が0℃以下の雰囲気中で鋼板を昇温し、鋼板温度が750〜900℃の範囲内の温度に加熱した後又は加熱して保持する加熱処理を行った後、冷却し、溶融亜鉛めっき処理を施し、前記加熱処理において、鋼板が750〜900℃の範囲内の温度に昇温する過程で鋼板表面にFe酸化物を形成させ、鋼板温度が750〜900℃の範囲内の温度域において鋼板表面のFe酸化物を還元させることを特徴とする表面外観とめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記冷却は、H2:1〜20%のH2−N2雰囲気、又は、O2:0.01%未満のN2雰囲気で行うことを特徴とする請求項1に記載の表面外観とめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 請求項1または2に記載の鋼板は、化学成分として、さらに、mass%で、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜1.0%、Ti:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜0.1%およびB:0.0005〜0.0050%から選ばれた1または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面外観とめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 請求項1〜3の項に記載の方法で高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造した後、更に合金化処理を行うことを特徴とする表面外観とめっき密着性に優れる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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