JP5245914B2 - 加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、家電、建材、自動車等の分野で用いられ、耐パウダリング性や加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するものである。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、合金化処理を行わない亜鉛めっき鋼板と比較して溶接性および塗装性に優れることから、自動車、家電、建材等を中心に広範な分野で広く利用されている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板に亜鉛めっきを施した後、加熱処理を行い、鋼板中のFeとめっき層中のZnが拡散する合金化反応を生させることにより、Fe−Zn合金相を形成させたものである。
一般的に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、スラブを熱延、あるいは熱延、冷延した薄鋼板を母材とし、この母材鋼板表面を前処理工程にて脱脂および/または酸洗して洗浄するか、あるいは前処理工程を省略して予熱炉内で母材鋼板表面の油分を燃焼除去した後、非酸化性雰囲気中あるいは還元性雰囲気中で焼鈍する。その後、連続溶融亜鉛めっきラインにより亜鉛めっき浴温度まで加熱して亜鉛めっきし、次に合金化炉内で合金化処理し、めっき層中にFe−Zn合金相を形成させることにより、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とする。
このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、特に近年において、薄板の高級鋼として鋳造される低炭素Alキルド鋼が大量に使用されるようになっている。この低炭素Alキルド鋼は、酸化脱炭精錬された溶鋼がAlによって脱酸され、酸化脱炭精錬により増加した溶鋼中の酸素が除去されて製造される。
ところで、このような低炭素Alキルド鋼の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、従来においてゼンジミア法や、無酸化炉方式に基づいて製造されていた。ゼンジミア法は、還元雰囲気(例えば、水素−窒素雰囲気)中で高温に加熱し、鋼板表面の酸化物を還元して活性化を図ると共に、めっき浴に入るまで鋼板表面を大気と遮断して活性な鋼板表面を維持する方法である。また、無酸化炉方式は、鋼板の表面を必要に応じて無酸化炉で直接加熱し、次に水素−窒素の混合ガス雰囲気で間接加熱により、鋼板表面の酸化膜を還元、活性処理したまま、溶融した亜鉛浴中に導入し、鋼板を亜鉛浴より引き上げた後に不活性ガス等によりめっき付着量を調整する方法である。
しかしながら、これらゼンジミア法や、無酸化炉方式は、何れも熱延後において800℃程度の高温で加熱して焼鈍を行う必要がある
一方、従来においては、Ni又はNi−Feプレめっき後、430〜500℃まで急速加熱し、亜鉛めっき後に合金化処理を行う方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の開示技術によれば、最高でも合金化温度の550℃程度までしか温度を上げる必要はなく、熱延組織を維持したまま溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる利点がある。連続溶融亜鉛めっきラインの前後の工程としては、めっき不良の原因となる形状不良を防止する観点から、亜鉛めっき前に最初の調質圧延を行うことができ、亜鉛めっき後において再度調質圧延を行っている。このめっき後の調質圧延を施す理由としては、めっき表面を整える観点からである。
特開2006−283070号公報
しかしながら、上述した特許文献1の開示技術によれば、熱延原板による合金化溶融亜鉛めっきではなく、あくまで冷延原板を用い、めっき前において焼鈍のプロセスが入る。
特に熱延した後、焼鈍のプロセスを省略することができれば、高温まで焼鈍する必要が無くなり、熱エネルギーロスを減少することが可能となる。しかしながら、この焼鈍のプロセスを省略した場合には、合金化中に時効現象が生じ、降伏強度が上昇してしまい、加工性が却って劣化してしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、焼鈍のプロセスを省略することで熱エネルギーロスを減少させつつ、加工性を向上させることが可能な合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上述した課題を解決するために、熱エネルギーロスを減少させるためには、熱延後、焼鈍することなくそのまま連続溶融亜鉛めっきラインにより亜鉛めっきし、所定温度の下で合金化加熱処理を行う製造ラインを利用することを見出した。この焼鈍を実際に行わないことにより、合金化中に時効現象が生じ、降伏強度が上昇してしまい、加工性が却って劣化してしまうという問題点が発生するため、これを解消するために、新たに連続溶融亜鉛めっきラインの前後において調質圧延を施すこととした。このとき、亜鉛めっき前において0〜0.5%の伸び率で最初の調質圧延を施すことにより、所望の形状矯正を行い、また亜鉛めっき後において1.0〜1.5%の伸び率で再度の調質圧延を施すことにより、加工性を向上させることが可能であることを見出した。
本発明に係る加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、低炭素Alキルド鋼をAr3変態点以上の温度で熱間圧延を行い、酸洗後、0.5%以下の伸び率で最初の調質圧延を施し、連続溶融亜鉛めっきラインにより加熱前にNiめっきを施し、通電加熱により亜鉛めっき浴温度まで加熱して亜鉛めっきし、460〜600℃で5〜15秒間の合金化加熱処理を行い、その後1.0〜1.5%の伸び率で再度の調質圧延を施すことを特徴とする。
また、低炭素Alキルド鋼については、質量%で、C:0.01〜0.1%、Si:0.002〜0.1%、Mn:0.05〜1.2%、P:0.03%以下、S:0.04%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成のものとしてもよいし、更に、この低炭素Alキルド鋼については、B:0.0001〜0.004%を含有するものであってもよい。
本発明に係る加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、低炭素Alキルド鋼をAr3変態点以上の温度で熱間圧延を行い、酸洗後、0〜0.5%の伸び率で最初の調質圧延を施し、連続溶融亜鉛めっきラインにより亜鉛めっき浴温度まで加熱して亜鉛めっきし、460〜600℃で5〜15秒間の合金化加熱処理を行い、その後1.0〜1.5%の伸び率で再度の調質圧延を施すことを特徴とする。
これにより、本発明では、焼鈍のプロセスを省略することで熱エネルギーロスを減少させつつ、加工性を向上させることが可能となる。
本発明を適用した合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を実現するための連続溶融亜鉛めっきラインを示す図である。 溶融亜鉛めっき後の再度の調質圧延の伸び率に対する降伏点伸び(%)の関係を示す図である。 溶融亜鉛めっき後の再度の調質圧延の伸び率に対する降伏強度の低下量を示す図である。 本発明の効果について説明するための応力歪み曲線を示す図である。
以下、本発明を適用した加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明をする。以下、組成における質量%は、単に%と記載する。
本発明を適用した合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、低炭素Alキルド鋼を対象に溶融亜鉛めっきを施す。このめっきの対象としている低炭素Alキルド鋼スラブの組成は、質量%で、C:0.01〜0.1%、Si:0.002〜0.1%、Mn:0.05〜1.2%、P:0.03%以下、S:0.04%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成のものとしてもよいし、更に、この低炭素Alキルド鋼については、B:0.0001〜0.004%を含有するものであってもよい。
C:0.01〜0.1%
Cは、鋼の強度を確保するために必須の元素であり、加工性の観点からは少ない添加量であるほど有利である。しかしながら、このC量が0.01%未満では時効劣化が大きくなり、鋼の強度を確保するという所期の目的を達成することができなくなるため、下限を0.01%とした。またC量が0.1%を超えてしまうとCにより却って過剰に硬化されてしまい、加工性が低下してしまう。このため上限を0.1%としている。
Si:0.002〜0.1%
Siは、安価で母材の強度上昇に寄与する元素であり、溶鋼の脱酸材としての役割も有する。実際にこのSiの添加量は、鋼板として狙う強度レベルに応じて変化する。なお、従来のゼンジミア法や無酸化炉方式でのめっき製造プロセスによる熱延合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、めっき密着性の低下や、合金化反応の遅延による生産性の低下などの問題から、Si量に制約が設けられることが多かった。これに対して、本発明では、対象とする溶融亜鉛めっき製造プロセスにおいて、後述するように、酸洗済みの熱延鋼板をめっき浴温度まで加熱する際の表面酸化防止などの理由でNiめっきやNi−Feめっきなどのプレめっきが付与されるため、特段の制約を設ける必要はない。しかしながら、このSiが0.002%未満では、上述した効果を発現させることができず、またSiが0.1%を超えて添加した場合には鋼材の脆化を招く場合があることから、Siの成分限定範囲を0.002〜0.1%としている。
Mn:0.05〜1.2%
Mnは、Siと同様に焼入れ性を向上させるとともに固溶強化により素材強度を上昇させる元素である。また、SをMnSとして固定し、熱延時のSによるスラブの熱間割れを防止する重要な元素である。Mnは、降伏強度をあまり増加させずに強度を増加させる有効な固溶体強化元素であるので、0.05%以上添加する。一方、Mnを1.2%添加すると、強度が向上しすぎて加工性が却って低下してしまい、また亜鉛めっきの密着性が阻害される虞もあるため、その上限を1.2%としている。
P:0.03%以下
Pは、鋼中に不可避不純物として含有する元素であり、意図的に添加する元素ではない。Pが過剰に添加されていると加工性を劣化させるので、上限値を0.03%としている。
S:0.04%以下
Sは、Pと同様に不純物として含有される元素であり、意図的に添加される元素ではない。Sは、MnSなどの硫化物系介在物を形成し、熱間割れの起点となって加工性を劣化させるため、極力低減するのが望ましい。従ってSは0.04%以下としている。
Al:0.005〜0.1%
Alは、脱酸元素として有効であり、窒化物AlNを形成して母材組織を細粒化する効果を有する。特にアルミキルド鋼は、Alにより脱酸させ、酸化精錬により増加した溶鋼中の酸素が除去されて製造されるものであることから、このAlの添加量を最適化する必要がある。このAl量が0.005%未満はその効果が不十分であり、またAl量が0.1%超になると、加工性の劣化を招く。このため、Alの添加量を、0.005〜0.1%としている。
N:0.005%以下
Nは、溶鋼処理中に空気中の窒素が取り込まれることから、鋼中に不可避的に混入する元素である。Nは、Al等と窒化物を形成して母材組織の細粒化を促進する。このNを固溶Nのまま残留させると時効現象が起きやすくなる。上述したAlを添加することにより、ある程度Nを固定することができるが、それでもNが0.005%超にも亘り過剰に含まれると、固溶Nが増大し、加工性を低下させる原因にもなる。このためNの上限を0.005%としている。
B:0.0001〜0.004%
Bは、焼入性を向上し、微量で強度を高める作用があり、2次加工脆化の防止に有効に作用する。また、鋼中の固溶NをBNとして析出させるので、固溶N低減による時効劣化を抑制するため、下限を0.0001%としている。これに対して、Bを0.004%超添加すると、粒界が脆化し、鋳造や圧延等の処理により割れが生じる等、却って材質低下を招くため、上限を0.004%としている。
次に、本発明を適用した合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法の詳細について説明をする。先ず、上述した組成からなる低炭素Alキルド鋼のスラブを製造する。このスラブの製造は、通常の高炉法で溶製されたものであってもよいし、電炉法のようにスクラップを多量に使用したものでもよい。また、スラブの形状も特に限定されるものではなく、例えば連続鋳造スラブや薄スラブキャスター等で製造されたものであればよい。また、スラブは一旦冷却し、再加熱してもよいし、鋳造後に直ちに熱間圧延を行う連続鋳造−直接圧延のようなプロセスに進んでもよい。
なお、この低炭素Alキルド鋼のスラブは、熱間圧延ラインにおいて加熱炉により加熱され、その後粗圧延機により圧延されて粗バーとされ、更に仕上圧延機により粗バーを所
定の厚みまで連続して熱間仕上圧延され、冷却水により冷却された後に巻取機によりコイル状に巻き取られる。
ちなみに本発明では、熱間圧延の仕上温度は製品板の加工性を確保するという観点からAr変態点以上としている。
また、巻取機による巻取温度は特に限定しないが、400〜750℃とすることが望ましい。これにより、低炭素Alキルド鋼としてのAlNの形成、成長が促され良好な成形性が確保される。巻取温度の上限が750℃であることは、熱延組織の粗大化を防止する観点から決定される。また、巻取温度の下限を400℃とした理由としては、冷却後の板の平坦度が劣化するからである。
本発明では、この巻取機により巻き取った熱延鋼板は、酸洗、冷延、焼鈍することなく、図1に示すような連続溶融亜鉛めっきライン1へと移行する。この連続溶融亜鉛めっきライン1の前後において、熱延鋼板に対して調質圧延を施す。このとき、連続溶融亜鉛めっきの前において、0.5%以下の伸び率で調質圧延機11により最初の調質圧延を施す。次に、連続溶融亜鉛めっきラインにより亜鉛めっき浴温度まで加熱して亜鉛めっきし、合金化加熱処理を行い、その後調質圧延機12により0.5〜1.5%の伸び率で再度の調質圧延を施す。
先の調質圧延については、所望の形状矯正のために行うものである先の調質圧延における伸び率は、降伏強度を低く維持することで、伸びを確保する観点から少ないほど望ましい。具体的には0.5%を超えてしまうと、降伏強度を低く維持することが困難となり、所望の伸びを確保することができなくなる。このため、先の調質圧延における伸び率の上限を0.5%としている。また先の調質圧延における伸び率の下限を0%超としている。
連続溶融亜鉛めっきは、先の調質圧延が行われた鋼板を焼鈍することなく、Niめっきや、Ni−Feめっき等のプレめっきを付与する。これらプレめっきを付与する理由としては、酸洗後の熱延板をめっき浴温度まで加熱する際の表面酸化防止等の観点からである。プレめっきの方法は電気めっき、浸漬めっき、スプレーめっきの何れであってもよい。
鋼板10は、プレめっきの後に、亜鉛を主成分とするめっき浴2に浸漬される。このとき鋼板10は、めっき浴2中に設けられたシンクロール3により上向きに方向転換され、更にサポートロール4により反りが矯正された後にめっき浴から出ることになる。鋼板10はその後、ガスワイピングノズル5によって表面の亜鉛付着量が所定の値となるように制御される。
鋼板10は、ガスワイピング後において合金化炉6に導入され、鋼板表面の地金と亜鉛との合金化が施される。この合金化加熱処理の条件は、460〜600℃で5〜15秒間とする。合金化加熱温度が460℃未満か、或いは合金化加熱時間が5秒未満である場合、鋼板表面の地金と亜鉛との合金化を十分に実現することができず、めっき不良部分が生じてしまう。また、合金化加熱温度が600℃超か、或いは合金化加熱時間が15秒超である場合、鋼板表面の地金と亜鉛との合金化が進展しすぎてパウダリング性が悪化してしまう。このため、合金化加熱処理の条件を上述した範囲内となるように設定している。
合金化後の鋼板10は、表面調整や形状調整のためにラインの最終段階で再度の調質圧延が施される。この再度の調質圧延の伸び率は、0.5〜1.5%としている。
以上のような熱延後の各工程、即ち、酸洗、先の調質圧延、溶融亜鉛めっき、合金化処理、再度の調質圧延は各々独立した工程であってもよいし、部分的に連続している工程であってもよい。生産効率の観点からは、これらの工程が連続していることが望ましい。
次に溶融亜鉛めっきの前後において調質圧延を施すことによる効果について説明をする。図2は、溶融亜鉛めっき後の再度の調質圧延の伸び率に対する降伏点伸び(%)の関係を示している。再度の調質圧延の伸び率が大きくなるにつれて、降伏点伸び(%)が小さくなることが分かる。また、図3は、溶融亜鉛めっき後の再度の調質圧延の伸び率に対する降伏強度の低下量を示している。この降伏強度の低下量は、溶融亜鉛めっき後の降伏強度から、再度の調質圧延後の降伏強度を引いた値である。即ち、この図3の縦軸は、再度の調質圧延を行うことにより降伏強度がどの程度低下したかを示すものである。再度の調質圧延の伸び率が0から1.0にかけて徐々に大きくなるにつれて、降伏強度の低下量が大きくなる。これに対して、再度の調質圧延の伸び率が1.0から2.0にかけて徐々に大きくなるにつれて、降伏強度の低下量が小さくなる。
その理由として、図4に示す応力歪み曲線で示すように、再度の調質圧延を加え続けると、徐々に曲線は右側にシフトする。その結果、降伏点は、最初A点にあったものが、再度の調質圧延を加え続けることにより、徐々にB点、C点と移っていく。その結果、降伏強度の低下量が一度B点で大きくなった後に再びC点で小さくなるような挙動を示すことになる。その理由として、図4に示す降伏挙動を示す応力歪み曲線では、降伏強度はA点となるが、調質圧延を施し、降伏点伸び(AC)を消滅させると、降伏強度は加工硬化曲線の延長線上のB点となり、A点からの低下量が最大となる。再度調質圧延を加え続けること、加工硬化曲線に沿って増加し、C点で低下量はゼロとなり、それ以降圧延率を高くしても降伏強度は上昇するだけとなる。
即ち、この鋼板の降伏強度があまり高くなりすぎると加工性が低下してしまうため、降伏強度はある程度低い方が望ましい。具体的には、降伏強度の低下量が30MPa以上の場合、換言すれば降伏強度の変化量が−30MPa以下の場合において、より加工性を向上させることが可能となる。即ち、この降伏強度の低下量が30MPa以上とするためには、再度の調質圧延の伸び率を0.5〜1.5%とする必要があることが分かる。
このようにして、本発明は、加工性を向上させるためには、再度の調質圧延の伸び率を最適化する点を新たに見出した。これにより、焼鈍のプロセスを省略することで熱エネルギーロスを減少させつつ、加工性を向上させることが可能となる
表1に示す組成からなる鋼を熱間圧延、酸洗後、溶融亜鉛めっきの前後において、表2に示す先の調質圧延の伸び率、並びに再度の調質圧延の伸び率でそれぞれ調質圧延を行った。
Figure 0005245914
Figure 0005245914
CやMnといった強化元素の量を調整して、引張強度が370MPa以上となる材質を有する鋼板でを例に挙げているが、本発明では、あくまで固溶元素を調整することにより、引張強さを270〜440MPaに調整することが可能であることは勿論である。
表1に示す本発明鋼を溶製し、スラブ加熱温度1200℃、仕上温度850℃、巻取温度650℃で熱間圧延し、2.0mm厚の鋼帯とした。先の調質圧延における伸び率は、何れも0.5%とし、その後この熱延鋼板を素材として上述の如きNiプレめっき後、昇温し、亜鉛を主成分とするめっき浴に浸漬し、これをワイピングした後に、550℃で10秒の合金化処理を行った。そして再度の調質圧延を表2に示すような伸び率で行った。比較のため、これらを従来のゼンジミア法で製造した熱延合金化溶融亜鉛めっき鋼板を比較例として示してある。この表2において、比較例、本発明例の降伏強度(MPa)、引張り強度(MPa)、伸び(%)を示す。
表2に示すように、溶融亜鉛めっき後の再度の調質圧延における伸び率を0.5〜1.5%とすることにより、比較例とほぼ同等の降伏強度を得ることができることが示されている。
1 連続溶融亜鉛めっきライン
2 めっき浴
3 シンクロール
4 サポートロール
5 ガスワイピングノズル
6 合金化炉
10 鋼板
11、12 調質圧延機

Claims (3)

  1. 低炭素Alキルド鋼をAr3変態点以上の温度で熱間圧延を行い
    酸洗後、0.5%以下の伸び率で最初の調質圧延を施し、
    連続溶融亜鉛めっきラインにより加熱前にNiめっきを施し、通電加熱により亜鉛めっき浴温度まで加熱して亜鉛めっきし、
    460〜600℃で5〜15秒間の合金化加熱処理を行い、
    その後1.0〜1.5%の伸び率で再度の調質圧延を施すこと
    を特徴とする加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 質量%で、
    C :0.01〜0.1%、
    Si:0.002〜0.1%、
    Mn:0.05〜1.2%、
    P :0.03%以下、
    S :0.04%以下、
    Al:0.005〜0.1%、
    N :0.005%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の低炭素Alキルド鋼スラブをAr3変態点以上の温度で熱間圧延を行うこと
    を特徴とする請求項1記載の加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 更に質量%で
    B :0.0001〜0.004%を含有する上記低炭素Alキルド鋼スラブをAr3変態点以上の温度で熱間圧延を行うこと
    を特徴とする請求項記載の加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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