[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の一例を示す外観図である。この電動アシスト自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、バッテリパック101と、モータ制御装置102と、トルクセンサ103と、ペダル回転センサ104と、モータ105と、操作パネル106とを有する。なお、電動アシスト自転車1は、ブレーキセンサ107を有する場合もあるが、本実施の形態では用いない。
また、電動アシスト自転車1は、前輪、後輪、前照灯、フリーホイール、変速機等も有している。
バッテリパック101は、例えばリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであってもよい。そして、バッテリパック101は、モータ制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。
トルクセンサ103は、クランク軸周辺に設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ制御装置102に出力する。また、ペダル回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸周辺に設けられており、回転に応じた信号をモータ制御装置102に出力する。
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ制御装置102に出力する。なお、ここでは前輪にモータ105が装着されているが、後輪にモータ105が装着されていても、本実施の形態は有効に機能する。
モータ制御装置102は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の駆動を制御し、モータ105による回生の制御も行う。
操作パネル106は、例えばアシストの有無に関する指示入力(すなわち、電源スイッチのオン及びオフ)、アシスト有りの場合には希望アシスト比等の入力をユーザから受け付けて、当該指示入力等をモータ制御装置102に出力する。また、本実施の形態における操作パネル106は、利用制限が発動されている場合に表示を行ったり、利用制限の種別を表示するような表示部を有する場合もある。また、本実施の形態における操作パネル106は、利用制限条件を設定入力するための入力部を有する場合もある。
本実施の形態に係るモータ制御装置102に関連する構成を図2に示す。モータ制御装置102は、制御器1020と、FET(Field Effect Transistor)ブリッジ1030とを有する。FETブリッジ1030は、モータ105のU相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Suh)及びローサイドFET(Sul)と、モータ105のV相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Svh)及びローサイドFET(Svl)と、モータ105のW相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Swh)及びローサイドFET(Swl)とを含む。このFETブリッジ1030は、モータの駆動部であり、コンプリメンタリ型スイッチングアンプの一部を構成している。
また、制御器1020は、演算部1021と、ペダル回転入力部1022と、測位部1023と、モータ回転入力部1024と、可変遅延回路1025と、モータ駆動タイミング生成部1026と、トルク入力部1027と、無線通信部1028と、AD(Analog-Digital)入力部1029とを有する。
演算部1021は、操作パネル106からの入力(例えば利用制限条件の入力、アシストのオン/オフなど)、ペダル回転入力部1022からの入力、測位部1023からの入力、モータ回転入力部1024からの入力、トルク入力部1027からの入力、無線通信部1028からの入力、AD入力部1029からの入力を用いて所定の演算を行って、モータ駆動タイミング生成部1026及び可変遅延回路1025に対して出力を行う。なお、演算部1021は、メモリ10211を有しており、メモリ10211は、演算に用いる各種データ及び処理途中のデータ等を格納する。本実施の形態では、利用制限条件に係るデータについてもメモリ10211に格納される。さらに、演算部1021は、プログラムをプロセッサが実行することによって実現される場合もあり、この場合には当該プログラムがメモリ10211に記録されている場合もある。また、メモリ10211は、演算部1021とは別に設けられる場合もある。
ペダル回転入力部1022は、ペダル回転センサ104からの、ペダル回転位相角(単にペダル回転角度、又はクランク回転位相角とも呼ぶ。なお、回転方向を表す信号を含む場合もある。)を、ディジタル化して演算部1021に出力する。モータ回転入力部1024は、モータ105が出力するホール信号からモータ105の回転(本実施の形態においては前輪の回転)に関する信号(例えば回転位相角、回転方向など)を、ディジタル化して演算部1021に出力する。トルク入力部1027は、トルクセンサ103からの踏力に相当する信号をディジタル化して演算部1021に出力する。AD入力部1029は、二次電池からの出力電圧をディジタル化して演算部1021に出力する。
測位部1023は、例えばGPS(Global Positioning System)の受信機であり、位置データを、演算部1021に出力する。また、無線通信部1028は、例えば携帯電話などのデータ通信機能を提供するものである。例えば、予め用意されたサーバなどを介して、ユーザが有するスマートフォンなどの端末から利用制限条件のデータを受信して、演算部1021に出力するようになっている。無線通信部1028は、Bluetooth(登録商標)のような近距離無線通信を行う通信部であってもよい。この場合、スマートフォンなどの端末から直接利用制限条件のデータを受信する。なお、無線通信部1028を有していない場合には、操作パネル106等を経由して利用制限条件のデータを入力する。なお、USB(Universal Serial Bus)端子等を有するモータ制御装置102又はバッテリパック101で外部とデータ通信を行うことができる場合には、当該USB端子等を介して外部の端末から利用制限条件のデータを入力するようにしてもよい。
演算部1021は、演算結果として進角値を可変遅延回路1025に出力する。可変遅延回路1025は、演算部1021から受け取った進角値に基づきホール信号の位相を調整してモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。演算部1021は、演算結果として例えばPWM(Pulse Width Modulation)のデューティー比に相当するPWMコードをモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。モータ駆動タイミング生成部1026は、可変遅延回路1025からの調整後のホール信号と演算部1021からのPWMコードとに基づいて、FETブリッジ1030に含まれる各FETに対するスイッチング信号を生成して出力する。演算部1021の演算結果によって、モータ105は、力行駆動される場合もあれば、回生制動される場合もある。なお、モータの基本動作については、国際公開第2012/086459号パンフレット等に記載されており、本実施の形態の主要部ではないので、ここでは説明を省略する。
次に、図3に、演算部1021における制御部3000に関連する機能ブロック構成例(本実施の形態に係る部分)を示す。制御部3000は、設定部3100と、利用制限条件格納部3200と、判定部3300と、利用制限制御部3400とを有する。なお、演算部1021は、モータ回転入力部1024からのモータ回転入力から、電動アシスト自転車1の速度(=車速。走行速度とも呼ぶ)、加速度(速度の時間変化量)、走行距離等を算出するモータ回転処理部2000を有している。
設定部3100は、操作パネル106や無線通信部1028から利用制限条件のデータを受信し、利用制限条件格納部3200に格納する。判定部3300は、利用制限条件格納部3200に格納されている利用制限条件が満たされているか否かを判定し、利用制限条件が満たされていると判定した場合には、利用制限制御部3400に指示を行う。判定部3300は、測位部1023が出力する位置データ、モータ回転処理部2000が出力する速度、走行距離、自らが測定する走行時間から、利用制限条件が満たされているか否かを判断する。利用制限制御部3400は、判定部3300から指示されると、強制的に回生制動を行うように、又は設定速度と走行速度との差に基づく回生制動(以下、速度一定回生制御とも呼ぶ)を行うように、FETブリッジ1030を制御する。判定部3300から指示がなされない場合には、制御部3000は、通常の力行制御又は回生制御を実施するが、本実施の形態の主旨ではないので、説明は省略する。
また、判定部3300は、利用制限条件が満たされていると判定した場合には、操作パネル106に、当該利用制限状態が満たされている状態であることを示す表示を行わせる。
ここで、本実施の形態における利用制限条件について図4を用いて説明しておく。図4の例では、4種類の利用制限条件、すなわち走行速度と走行距離と走行時間と走行エリア(地理的条件の一例)とが示されており、各々閾値が設定されている。この例では、走行速度については20km/hを超えると利用制限条件を満たすことになる。また、走行距離については10kmを超えると利用制限条件を満たすことになる。さらに、走行時間については2時間を超えると利用制限条件を満たすことになる。例えば、走行開始時刻から現在時刻までの差で判断する。実際に走行している時間を計測するようにしてもよい。なお、走行時間として、走行時間帯(例えば夜間22時-翌5時など)についての条件を設定してもよい。
また、走行エリアについてはエリアAを出ると利用制限条件を満たすことになる。エリアAについては、例えば自宅などの拠点を中心に所定半径内をエリアAとして設定する場合や、具体的に市町村などの住所で指定するようにしてもよい。その他の指定方法であってもよい。
さらに、利用制限条件を、利用許可条件を設定することで規定するようにしてもよい。
また、本実施の形態における操作パネル106の表示部の一例を図5に示しておく。図5の例では、操作パネル106は、ライト点灯消灯ボタン1061と、電源及びアシストモード設定ボタン1062と、LED1063と、2つの7セグメントLED1064と、設定ボタン1065とを含む。例えば、利用制限条件が満たされている場合には、搭乗者にその旨伝えるために、LED1063及び7セグメントLED1064の少なくともいずれかで表示する。例えば、LED1063が「赤」点灯している場合には、走行速度の利用制限条件を満たしており、「青」点灯している場合には、走行距離の利用制限条件を満たしており、「緑」点灯している場合には、走行時間の利用制限条件を満たしており、「黄」点灯している場合には、エリアの利用制限条件を満たしている、といった表示がなされる。また、2つの7セグメントLED1064を用いる場合、E1、E2、E3、及びE4といったように利用制限条件の種別を示すようにしてもよい。なお、利用制限条件の種別を示さずに、単に利用制限条件を満たすことだけを表示するようにしてもよい。
なお、予め利用制限条件のパターンを登録しておき、設定ボタン1062等を用いて、パターンを示すコードを2つの7セグメントLED1064で順番に表示し、選択することで利用制限条件を設定するようにしてもよい。また、このような利用制限条件の設定については、予め許可された人又は権限を有する者からの入力しか受け付けないようにすることが好ましい。例えば、パスワードを設定しておき、7セグメントLED1064で順次表示される数字の組み合わせなどによってパスワード認証を行うようにしてもよいし、特定のボタンを押す順番などによってパスワードを規定しておき、それによって認証するようにしてもよい。
次に、図6及び図7を用いて、本実施の形態における処理の内容を説明する。
まず、制御部3000の設定部3100は、無線通信部1028又は操作パネル106から利用制限条件の設定を受け付け、利用制限条件格納部3200に格納する(図6:ステップS1)。上でも述べたように、利用制限条件の設定は、予め許可された人又は権限を有する者からの入力しか受け付けないようにすることが好ましい。例えば、電動アシスト自転車1の購入者が権限を有するようにしてもよいし、購入者に電動アシスト自転車1の管理を委託された者等が権限を有するようにしてもよい。そして、上で述べたようにパスワードなどの認証を行った後に、利用制限条件の設定を受け付ける。なお、購入者が搭乗者であって自ら利用制限条件を設定することを除外するものではない。
そうすると、制御部3000の判定部3300及び利用制限制御部3400は、利用制限条件に基づく制御処理を実行する(ステップS3)。この制御処理の詳細については、後に説明する。
本実施の形態では、動的に利用制限条件を変更することができることを想定しており、走行中又は停車中に、例えば無線通信部1028を介して利用制限条件変更が指示されれば(ステップS5:Yesルート)、処理はステップS1に戻り、利用制限条件の設定を行うようになる。
一方、利用制限変更ではなく(ステップS5:Noルート)、利用制限解除である場合もある(ステップS7:Yesルート)。利用制限解除である場合には、本実施の形態の処理は行われなくなり、判定部3300及び利用制限制御部3400の処理は終了する。
これに対して、利用制限解除ではない場合には(ステップS7:Noルート)、処理はステップS3に戻り、判定部3300及び利用制限制御部3400による制御処理が行われる。
図6においては、動的に利用制限条件を変更できる場合を説明したが、停車時など所定の状態でなければ利用制限条件を設定したり変更したりできないようにしてもよい。
なお、図6の処理は、処理終了となるまで例えば単位時間毎に繰り返されるものである。
次に、本実施の形態に係る制御処理Aについて図7を用いて説明する。判定部3300は、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件に関するデータを取得する(ステップS11)。走行速度及び走行距離については、モータ回転処理部2000から取得し、位置データについては測位部1023から取得し、走行時間については自ら電源オンからの時間を計測したり、モータ回転処理部2000からの入力に応じて走行中の時間を計測することで取得する。なお、走行距離については、位置データの履歴から距離を算出するようにしてもよい。
そして、判定部3300は、取得したデータから、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件を満たしているか否かを判定する(ステップS13)。走行速度について利用制限条件が設定されているのであれば、走行速度が閾値を超えているか否かを判定する。走行距離については利用制限条件が設定されているのであれば、例えば電源がオンになってからの累積の走行距離が閾値を超えているか否かを判定する。走行時間についての利用制限条件が設定されているのであれば、例えば電源がオンになってからの走行時間が超えているか否かを判定する。また、走行エリアについての利用制限条件が設定されているのであれば、現在位置が、設定されたエリア外になっているか否かを判断する。なお、走行距離及び走行時間については、計測開始(又は計測中となる)の条件は、電源オンだけではない場合もある。そのような条件も利用制限条件に含むように設定するようにしてもよい。
利用制限条件を満たすと判定された場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に利用制限の指示を行い、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を行わせる。利用制限条件の種別を表示できる操作パネル106であれば、利用制限条件の種別を示す表示も行わせる。
利用制限制御部3400は、判定部3300からの利用制限の指示に従い、強制的に回生制動を行わせる強制回生制御、又は設定速度と走行速度との差に基づく回生制動を行わせる速度一定回生制御を実行する(ステップS15)。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
なお、強制回生制御の場合には、例えば所定の回生量を生じるように回生制動を行わせる制御である。通常では、搭乗者がペダルを漕いでトルクセンサ103がトルクを検出している場合には、回生制動を行わせることはないが、本実施の形態では強制回生制御を行う場合には、搭乗者がペダルを漕いでいるか否かなど搭乗者の操作に拘わらず、回生制動を行わせる。これによって、搭乗者に、走行の困難性を感じさせることができるようになる。
速度一定回生制御の場合には、設定速度(例えば走行速度の閾値と同じ値。但し、より低い閾値を設定してもよい)と現在の走行速度との差に基づき回生量を決定して、当該回生量を生じさせるように回生制動を行わせる制御である。より具体的には、現在の走行速度が設定速度を超えている場合には、その差に比例した回生量を設定するものであり、設定速度以下での走行を強制させるものである。
強制回生制御と速度一定回生制御とのいずれかを実行するかについても、利用制限条件と共に予め設定するようにしてもよい。すなわち、走行速度についての利用制限条件については速度一定回生制御を設定し、走行時間についての利用制限条件については強制回生制御を設定するようにしてもよい。
一方、利用制限条件を満たしていないと判定された場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に、利用制限の解除を指示する。また、判定部3300は、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を停止させる。
そして、利用制限制御部3400は、判定部3300から利用制限の解除の指示を受け付けると自らは制御を行わず、制御部3000による通常の制御(力行制御及び回生制御)を行うようにする(ステップS17)。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
なお、通常の制御を行っている場合には、特段処理の切替は行われない。一方、強制回生制御を行っていれば強制回生制御を解除し、速度一定回生制御を行っている場合には、設定速度が別の方法で動的に決定されるようになる場合もある。
以上のような処理を行うことで、回生制動を積極的に活用することで利用制限を実現できるようになる。
例えば、子供などが交通量等が多い危険なエリアや帰宅困難になりそうな遠方エリアに行くと、例えば強制回生制御が行われるので、子供などが当該エリアに侵入することが抑止される。
また、高齢者などが例えば下り坂を走行する場合に、あまりに走行速度が速くならないように速度一定回生制御を行うことで、安全性が確保されるようになる。
なお、複数種類の利用制限条件を設定することで、様々な利用制限態様を実現できるようになる。
[実施の形態2]
走行速度及び走行エリアについての利用制限条件には、強制回生制御又は速度一定回生制御を行うのに猶予を与えるようにしてもよい。例えば、現在位置がエリア外となっていても、一定時間内にエリア内に戻れば、強制回生制御等を実施しないというものである。
すなわち、図8に示すように、走行速度に対して猶予時間(例えば0.5分)と、走行エリアについて猶予時間(例えば5分)とが追加で設定される。なお、猶予については、判定回数を設定するようにしてもよい。例えば、1回走行速度が閾値を超えても強制回生制御等を行わずに、2度目には強制回生制御等を行うようにしてもよい。
図9に、図7の制御処理Aの代わりに実行すべき制御処理Bの処理フローを示す。
判定部3300は、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件に関するデータを取得する(ステップS21)。このステップはステップS11と同様である。
そして、判定部3300は、取得したデータから、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件を満たしているか否かを判定する(ステップS23)。この判定もステップS13と同じである。
利用制限条件を満たす場合には、判定部3300は、時間計測開始済みであるか否かを判断する(ステップS25)。時間計測開始済みでなければ、判定部3300は、時間計測を開始する(ステップS27)。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
一方、時間計測開始済みであれば、判定部3300は、計測時間が閾値(すなわち猶予時間)を超えたか否か判定する(ステップS29)。計測時間が閾値を超えていない場合には、処理は呼び出し元の処理に戻る。
一方、計測時間が閾値を超えている場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に利用制限の指示を行い、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を行わせる。利用制限条件の種別を表示できる操作パネル106であれば、利用制限条件の種別を示す表示も行わせる。
利用制限制御部3400は、判定部3300からの利用制限の指示に従い、強制回生制御又は速度一定回生制御を実行する(ステップS31)。このステップはステップS15と同じである。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
一方、利用制限条件を満たしていないと判定された場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に、利用制限の解除を指示する。また、判定部3300は、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を停止させる。
そして、利用制限制御部3400は、判定部3300から利用制限の解除の指示を受け付けると自らは制御を行わず、制御部3000による通常の制御(力行制御及び回生制御)を行うようにする(ステップS33)。このステップはステップS17と同じである。また、判定部3300は、ステップS27で開始した時間計測を停止し、計測時間をクリアする(ステップS35)。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
このような処理を実行することで、強制回生制御等の発動を一定時間猶予することができるようになる。
なお、ステップS27で時間計測を開始すると、例えば操作パネル106のLED1063を点滅させるなど、強制回生制御等の発動が猶予されていることを搭乗者に提示するようにしてもよい。
また、時間又は回数だけではなく、時間と回数とを組み合わせた猶予条件を設定するようにしてもよい。例えば、走行速度が閾値を超えた時間が一定時間以上となったことを検出した回数がN回(Nは2以上の整数)以上となると、強制回生制御等を発動させるようにしてもよい。
[実施の形態3]
第1の実施の形態では、利用制限条件が満たされなくなると、すぐさま強制回生制御等が解除されるが、搭乗者は閾値を超える走行速度で繰り返し走行するなどの行為を繰り返す場合もある。このような搭乗者には、ペナルティを与えることが好ましい場合がある。
本実施の形態では、利用制限条件として有効期間(又は解除条件)を含めるようにする。図10に、利用制限条件の一例を示す。図10では、走行速度に対して有効期間(例えば「15分」)を設定し、走行距離に対して有効期間(例えば「翌5時まで」)を設定し、走行時間に対して有効期間(例えば「無制限」)を設定する例を示す。なお、有効期限を無制限にすると、通常の走行ができなくなるので、例えば権限を有する者によりクリアできるようにする。
なお、一定期間の場合、電源がオフにされている時間を考慮する場合もあれば、考慮しない場合もある。考慮する場合には、メモリ10221等に電源オフ前の計測値を保持しておき、再度電源オンにされた場合には再度計測を開始するようにしてもよい。考慮しない場合には、例えば計測開始時刻と現在時刻との差が有効期間を超えていれば、利用制限を解除する。
なお、走行エリアについては、単純に、設定されているエリア外になっているか否かを判基準に判定して、有効期間を適用しないようにしてもよい。
次に、走行期間中に有効期間を経過するか否かを判断する制御処理Cを図11及び図12を用いて説明する。
判定部3300は、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件に関するデータを取得する(ステップS41)。このステップはステップS11と同様である。
そして、判定部3300は、取得したデータから、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件を満たしているか否かを判定する(ステップS43)。この判定もステップS13と同じである。
利用制限条件を満たす場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に利用制限の指示を行い、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を行わせる。利用制限条件の種別を表示できる操作パネル106であれば、利用制限条件の種別を示す表示も行わせる。
利用制限制御部3400は、判定部3300からの利用制限の指示に従い、強制回生制御又は速度一定回生制御を実行する(ステップS45)。このステップはステップS15と同じである。
そして、判定部3300は、時間計測開始済みであるか否かを判断する(ステップS47)。時間計測開始済みでなければ、判定部3300は、時間計測を開始する(ステップS49)。判定部3300は、後の判断のために強制フラグをONにセットする(ステップS51)。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。一方、時間計測開始済みである場合も、処理は呼び出し元の処理に戻る。
一方、利用制限条件を満たしていないと判定された場合には、処理は端子Aを介して図12の処理に移行する。
図12の処理に移行して、判定部3300は、強制フラグがONになっているか否かを判断する(ステップS53)。強制フラグがONになっている場合には、判定部3300は、計測時間が閾値(すなわち有効期間)を超えたか否かを判断する(ステップS55)。計測時間が閾値を超えていない場合には、処理は端子Bを介して図11の処理に戻り、呼び出し元の処理に戻る。一方、計測時間が閾値を超えている場合には、処理はステップS57に移行する。
強制フラグがONになっていない場合又は計測時間が閾値を超えている場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に、利用制限の解除を指示する。また、判定部3300は、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を停止させる。
そして、利用制限制御部3400は、判定部3300から利用制限の解除の指示を受け付けると自らは制御を行わず、制御部3000による通常の制御(力行制御及び回生制御)を行うようにする(ステップS57)。このステップはステップS17と同じである。また、判定部3300は、ステップS49で時間計測を開始している場合には時間計測を停止し、計測時間をクリアする(ステップS59)。また、判定部3300は、強制フラグがONであれば強制フラグをOFFにセットする(ステップS61)。そして処理は端子Bを介して図11の処理に戻り、さらに処理は呼び出し元の処理に戻る。
このように有効期間を超えるまで、たとえ利用制限条件を満たさなくなっても強制回生制御等が維持されるようになる。
[実施の形態4]
走行速度を利用制限条件に設定する場合、有効期間とは別に、より安全方向にペナルティを与えるようにしてもよい。
例えば、図13に示すような利用制限条件を設定するようにしてもよい。図13の例では、走行速度に対してペナルティ条件(例えば「15km/h」)が設定されている。本実施の形態では、一度でも走行速度についての利用制限条件の閾値を超える走行速度で走行すると、次からはペナルティ条件を閾値にして判定を行うものである。
具体的には、図14に示すような制御処理Dを実行する。
判定部3300は、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件に関するデータ(現在の走行速度)を取得する(ステップS71)。このステップはステップS11と同様である。
そして、判定部3300は、取得したデータから、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件(走行速度の閾値)を満たしているか否かを判定する(ステップS73)。この判定もステップS13と同じである。
利用制限条件を満たす場合には、判定部3300は、既に利用制限条件の閾値が既にペナルティ条件に変更済みであるか否かを判断する(ステップS75)。まだ利用制限条件の閾値がペナルティ条件と同じになっていなければ、判定部3300は、利用制限条件の閾値をペナルティ条件に変更する(ステップS76)。これによって次のステップS73では、閾値が下がっているので利用制限条件を満たしやすくなる。
利用制限条件の閾値が既にペナルティ条件に変更されている場合又はステップS76の後に、判定部3300は、利用制限制御部3400に利用制限の指示を行い、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を行わせる。利用制限条件の種別を表示できる操作パネル106であれば、利用制限条件の種別を示す表示も行わせる。
利用制限制御部3400は、判定部3300からの利用制限の指示に従い、強制回生制御又は速度一定回生制御を実行する(ステップS77)。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
速度一定回生制御を行う場合の設定速度は、任意に設定できるが、例えば利用制限条件の閾値と同じ値を採用する。ステップS77では、例えばステップS73で利用した閾値を使用するものとする。すなわち、20km/hを閾値とした場合には、20km/hを設定速度とする。また、ペナルティ条件の15km/hを閾値として用いた場合には、15km/hを設定速度とする。
一方、利用制限条件を満たしていないと判定された場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に、利用制限の解除を指示する。また、判定部3300は、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を停止させる。
そして、利用制限制御部3400は、判定部3300から利用制限の解除の指示を受け付けると自らは制御を行わず、制御部3000による通常の制御(力行制御及び回生制御)を行うようにする(ステップS79)。このステップはステップS17と同じである。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
以上のような処理を行うことで、利用制限に反する走行を行うと以後より利用制限が行われやすくなるので、より安全な走行を搭乗者に行わせることができるようになる。
[実施の形態5]
第1乃至第3の実施の形態では、利用制限に反する走行をどれだけ行っても、強制回生制御や速度一定回生制御において設定される回生量は同じであったが、利用制限に反する走行の抑止効果を高めるために、所定の条件を満たすような場合にはより走行しにくくなるように回生量を変化させるようにしてもよい。
例えば、図15に示すような利用制限条件を設定するようにしてもよい。図15の例では、走行速度に対してペナルティ回生強度(例えば「強」)と、走行距離に対してペナルティ回生強度(例えば「強」)と、走行時間に対するペナルティ回生強度(例えば「強」)と、走行エリアに対するペナルティ回生強度(例えば「強」)とが追加で設定される。これは、ペナルティとならない回生強度が「中」であることを前提としている。但し、ペナルティとならない回生強度を条件種別毎にさらに設定しておいてもよい。
次に、利用制限条件を満たしている時間が一定時間を超えるとペナルティ回生強度に回生制動の度合いを変更する制御処理Eを図16を用いて説明する。
判定部3300は、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件に関するデータを取得する(ステップS81)。このステップはステップS11と同様である。
そして、判定部3300は、取得したデータから、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件を満たしているか否かを判定する(ステップS83)。この判定もステップS13と同じである。
利用制限条件を満たす場合には、判定部3300は、時間計測開始済みであるか否かを判断する(ステップS85)。時間計測開始済みでなければ、判定部3300は、時間計測を開始する(ステップS87)。そして処理はステップS95に移行する。
そして、判定部3300は、利用制限制御部3400に利用制限の指示を行い、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を行わせる。利用制限条件の種別を表示できる操作パネル106であれば、利用制限条件の種別を示す表示も行わせる。
利用制限制御部3400は、判定部3300からの利用制限の指示に従い、強制回生制御又は速度一定回生制御を実行する(ステップS95)。このステップはステップS15と同じである。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
一方、時間計測開始済みである場合には、判定部3300は、計測時間が閾値(一定時間)を超えたか否かを判断する(ステップS89)。計測時間が閾値を超えていない場合には、処理はステップS95に移行する。
一方、計測時間が閾値を超えている場合には、判定部3300は、利用制限条件に含まれるペナルティ回生強度に基づき、利用制限制御部3400に回生量の増加を設定する(ステップS91)。なお、強制回生制御を実行する場合には、所定の回生量を、ペナルティ回生強度に対応する回生量に増加させる。速度一定回生制御を実行する場合には、設定速度を、ペナルティ回生強度に対応する速度に下げる。設定速度が下げられれば現在速度との差が大きくなって回生量が多くなる。また、判定部3300は、時間計測を停止させ、計測時間をクリアする(ステップS93)。そして、処理はステップS95に移行する。
すなわち、利用制限条件を満たす状態が一定時間以下であれば、通常の強制回生制御等が実行されるが、一定時間を超える場合には、回生量が増加するように設定される。
一方、利用制限条件を満たしていないと判定された場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に、利用制限の解除を指示する。また、判定部3300は、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を停止させる。
そして、利用制限制御部3400は、判定部3300から利用制限の解除の指示を受け付けると自らは制御を行わず、制御部3000による通常の制御(力行制御及び回生制御)を行うようにする(ステップS97)。このステップはステップS17と同じである。また、判定部3300は、時間計測を停止させ、計測時間をクリアする(ステップS99)。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
以上のようにすれば、利用制限に反する走行を長く行うと、より走行しにくくなることを搭乗者が認識できるようになるため、そのような事態になることを抑制できるようになる。
なお、上ではペナルティ回生強度に変更する条件は時間であったが、利用制限条件を満たした回数が閾値を超えた場合に、ペナルティ回生強度に変更するようにしてもよい。
また、ペナルティ回生強度に変更する条件は、利用制限条件が走行距離について規定している場合には、走行距離を採用するようにしてもよい。例えば、利用制限条件の閾値が10kmである場合に、さらに5km以上走行すると、ペナルティ回生強度に変更するようにしてもよい。
また、利用制限条件の閾値が2時間である場合に、さらに30分以上走行すると、ペナルティ回生強度に変更するようにしてもよい。
さらに、条件を多段的に設定するようにしてもよい。利用制限条件の閾値が10kmである場合に、さらに5km以上走行すると、第1のペナルティ回生強度に変更し、さらに5km以上走行すると、第2のペナルティ回生強度に変更してもよい。利用制限条件の閾値が2時間である場合に、さらに30分以上走行すると、第1のペナルティ回生強度に変更し、さらに30分以上走行すると、第2のペナルティ回生強度に変更するようにしてもよい。
上で述べた時間や回数も利用制限条件に含めるようにしてもよい。
[実施の形態6]
例えば第3の実施の形態のように、利用制限条件として有効期間(又は解除条件)を含めるような場合に、少し利用制限に反する走行をすると、強制回生制御等が継続されるようになる。しかし、その後に利用制限に反する走行をほとんど行わない場合であっても強制回生制御等が継続されると、搭乗者に過度に制限を与えることになる。そこで、所定の条件を満たす場合には利用制限の緩和を行う制御を行うものとする。
このような場合には、例えば、図17に示すような利用制限条件を設定する。図17の例では、走行速度に対して有効期間(例えば「60分」)及び緩和回生強度(例えば「無し」)が設定されている。この例では、走行速度が一度閾値を超えると60分間は強制回生制御等が継続されるが、その60分の中で一定時間(例えば30分)走行速度が閾値以下で走行し続けると、強制回生制御等を行わないようにするものである。但し、「無し」という設定ではなく回生強度を「弱」といったように設定してもよい。
次に、本実施の形態に係る制御処理Fを図18及び図19に示す。
判定部3300は、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件に関するデータ(ここでは走行速度)を取得する(ステップS101)。このステップはステップS11と同様である。
そして、判定部3300は、取得したデータから、利用制限条件格納部3200に格納されている現在の利用制限条件(ここでは走行速度についての利用制限条件)を満たしているか否かを判定する(ステップS103)。この判定もステップS13と同じである。
一方、利用制限条件を満たす場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に利用制限の指示を行い、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を行わせる。利用制限条件の種別を表示できる操作パネル106であれば、利用制限条件の種別を示す表示も行わせる。
利用制限制御部3400は、判定部3300からの利用制限の指示に従い、強制回生制御又は速度一定回生制御を実行する(ステップS105)。このステップはステップS15と同じである。
そして、判定部3300は、第1時間の計測開始済みであるか否かを判断する(ステップS107)。第1時間の計測開始済みでなければ、判定部3300は、第1時間の計測を開始する(ステップS109)。第1時間の計測は、有効期間の計測に相当する。判定部3300は、後の判断のために強制フラグをONにセットする(ステップS111)。
第1時間の計測開始済みである場合又はステップS111の後に、判定部3300は、緩和フラグをOFFにセットする(ステップS113)。緩和フラグは、回生強度を弱める状態でONにセットされるフラグである。また、判定部3300は、第2時間の計測を停止し、第2時間をクリアする(ステップS115)。第2時間の計測は、利用制限に反する走行を行っていない時間の計測に相当する。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
一方、利用制限条件を満たしていないと判定された場合には、処理は端子Eを介して図19の処理に移行する。
図19の処理に移行して、判定部3300は、第2時間の計測開始済みであるか否かを判断する(ステップS117)。第2時間の計測開始済みでなければ、判定部3300は、第2時間の計測を開始する(ステップS119)。そして処理はステップS125に移行する。
一方、第2時間の計測開始済みである場合には、判定部3300は、第2時間が閾値を超えたか否かを判断する(ステップS121)。第2時間が閾値を超えていない場合には、ステップS125に移行する。一方、第2時間が閾値を超えた場合には、判定部3300は、緩和フラグをONにセットする(ステップS123)。これによって強制フラグがオンになっていても、回生強度を弱めることができるようになる。
その後、判定部3300は、強制フラグがONになっているか否かを判断する(ステップS125)。強制フラグがONになっている場合には、判定部3300は、第1時間が閾値(すなわち有効期間)を超えたか否かを判断する(ステップS127)。第1時間が閾値を超えていない場合には、判定部3300は、緩和フラグがONになっているか否かを判断し、緩和フラグがONになっている場合には、利用制限条件に従って回生量を減少するように設定する(ステップS129)。なお、強制回生制御を実行する場合には、所定の回生量を、緩和回生強度に対応する回生量に減少させる。速度一定回生制御を実行する場合には、設定速度を、緩和回生強度に対応する速度に上げる。そして、処理は端子Fを介して図18の処理に戻り、呼び出し元の処理に戻る。
強制フラグがONになっていない場合又は第1時間が閾値を超えている場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に、利用制限の解除を指示する。また、判定部3300は、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を停止させる。
そして、利用制限制御部3400は、判定部3300から利用制限の解除の指示を受け付けると自らは制御を行わず、制御部3000による通常の制御(力行制御及び回生制御)を行うようにする(ステップS131)。また、判定部3300は、ステップS109で時間計測を開始している場合には時間計測を停止し、第1時間をクリアする(ステップS133)。また、判定部3300は、強制フラグがONであれば強制フラグをOFFにセットする(ステップS135)。さらに、判定部3300は、ステップS129で回生量を減少設定している場合には回生量を元に戻す設定を行う(ステップS137)。そして処理は端子Fを介して図18の処理に戻り、さらに処理は呼び出し元の処理に戻る。
このような処理を行うことで、強制回生制御等を実施している間でも、十分な時間利用制限に反する走行を行っていないのであれば、強制回生制御等の回生強度を下げて、運転しやすくすることができる。
なお、第2時間についての閾値についても、利用制限条件に含めるようにしてもよい。
[実施の形態7]
走行エリアについて利用制限条件を設定する場合には、設定されている走行エリア外を走行している場合には、強制回生制御等を実行する実施の形態を説明した。但し、一旦、走行エリア外に出てしまっても、走行エリア内に戻ろうとする場合には、強制回生制御等を行っていると、走行しにくいので走行エリアに戻りにくい、という現象が生ずる。
本実施の形態では、このような事態に対処すべく、走行エリア外で走行中でも走行エリアに向かって走行している場合には、強制回生制御等の回生強度を緩和させるものとする。
このための制御処理Gを図20を用いて説明する。
まず、判定部3300は、現在位置のデータを取得する(ステップS141)。位置データについては、ある程度の時間分メモリ10221等に蓄積しておく。そして、判定部3300は、現在位置が、利用制限条件格納部3200に格納されている利用制限条件に含まれる走行エリア外であるか否かを判断する(ステップS143)。
設定されている走行エリア外である場合には、判定部3300は、現在位置と走行エリアについての基準位置との距離と、所定時間前の位置と基準位置との距離を算出する(ステップS145)。走行エリアについての基準位置は、走行エリアが自宅などを中心とする円などで規定されている場合には、自宅などである。なお、利用制限条件に、任意の基準位置のデータを含めるようにしてもよい。また、走行エリアの境界線のうち現在位置又は所定時間前の位置に最も近い位置を、基準位置として採用するようにしてもよい。
そして、判定部3300は、距離が短くなったか否かを判断する(ステップS147)。すなわち、現在位置と走行エリアについての基準位置との距離<所定時間前の位置と基準位置との距離となっているか否かを判断する。この条件を満たす場合には、判定部3300は、利用制限条件(例えば図17)に従って回生量を減少するように設定する(ステップS151)。なお、強制回生制御を実行する場合には、所定の回生量を、緩和回生強度に対応する回生量に減少させる。速度一定回生制御を実行する場合には、設定速度を、緩和回生強度に対応する速度に上げる。
距離が短くなっていない場合又はステップS151の後に、判定部3300は、利用制限制御部3400に利用制限の指示を行い、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を行わせる。利用制限条件の種別を表示できる操作パネル106であれば、利用制限条件の種別を示す表示も行わせる。
利用制限制御部3400は、判定部3300からの利用制限の指示に従い、強制回生制御又は速度一定回生制御を実行する(ステップS149)。ステップS151で設定が行われている場合には、その設定に従って強制回生制御等を実行する。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
一方、利用制限条件を満たしていないと判定された場合には、判定部3300は、利用制限制御部3400に、利用制限の解除を指示する。また、判定部3300は、操作パネル106に利用制限条件を満たしたことを表す表示を停止させる。
そして、利用制限制御部3400は、判定部3300から利用制限の解除の指示を受け付けると自らは制御を行わず、制御部3000による通常の制御(力行制御及び回生制御)を行うようにする(ステップS153)。このステップはステップS17と同じである。そして処理は呼び出し元の処理に戻る。
このような処理を実行することで、走行エリア外から走行エリア内へ向かって走行している場合には、強制回生制御等の回生強度が緩和されて、走行エリア内に戻りやすくなる。
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目的に応じて、上で述べた各実施の形態における任意の技術的特徴を削除するようにしても良いし、他の実施の形態で述べた任意の技術的特徴を追加するようにしても良い。また、
さらに、上で述べた機能ブロック図は一例であって、1の機能ブロックを複数の機能ブロックに分けても良いし、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックに統合しても良い。処理フローについても、処理内容が変わらない限り、ステップの順番を入れ替えたり、複数のステップを並列に実行するようにしても良い。
演算部1021は、一部又は全部を専用の回路にて実装しても良いし、予め用意したプログラムを実行することで、上で述べたような機能を実現させるようにしても良い。
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
本実施の形態に係るモータ制御装置は、(A)モータを駆動する駆動部と、B)設定されている利用制限条件が満たされるか否かを判断し、利用制限条件が満たされる場合には、強制的にモータに回生制動させるように、又は設定速度と現在速度との差に基づき決定される回生量に基づき回生制動させるように駆動部を制御する制御部とを有する。
このように利用制限条件に対して上記のような回生制動を対応付けることで、利用制限を効果的に実施できるようになる。
上で述べた利用制限条件は、走行時間、走行距離、走行速度、及び地理的条件のうち少なくともいずれかであってもよい。走行時間については、単純な走行時間だけではなく、走行時間帯である場合もある。地理的条件については、平面的なエリアだけではなく、高度情報が得られる場合には高度情報を含むようにしてもよい。
さらに、上で述べた利用制限条件が、閾値以上の走行速度を所定時間以上継続するという条件、閾値以上の走行速度の走行を所定回数以上実行するという条件、閾値以上の走行速度を所定時間以上継続する回数が所定回数以上となるという条件、地理的条件を満たしている時間が所定時間以上継続するという条件、地理的条件を満たした回数が所定回数以上であるという条件の少なくともいずれかを含むようにしてもよい。様々な利用制限条件を設定可能である。
また、上で述べた制御部が、利用制限条件が満たされたと判断した後、一定時間、上で述べた回生制動を継続させるようにしてもよい。利用制限に反する走行を行ったことに対するペナルティである。
また、上で述べた制御部が、利用制限条件が満たされたと判断した場合、利用制限条件より充足しやすい条件を上記利用制限条件として用いるようにしてもよい。例えば走行速度についての閾値を下げることで、走行速度があまり上がっていなくても利用制限条件を満たすようになる。
さらに、上で述べた制御部は、利用制限条件を満している時間と利用制限を満たす回数とのうち少なくともいずれかが所定の条件を満たしているか否かを判断し、上記所定の条件を満たしている場合には、上で述べた回生制動の回生量を増加させるように駆動部を制御するようにしてもよい。利用制限に反する走行を頻繁又は長く行う搭乗者に対してペナルティを与えるものである。
なお、設定速度と現在速度との差に基づき決定される回生量に基づき回生制動の場合には、この設定速度を下げるようにすればよい。現在速度との差が大きくなるので結果として回生量が多くなる。
また、上で述べた制御部は、上で述べた回生制動を継続中、利用制限条件を満たさない状態が所定の条件を満たす場合には、上で述べた回生制動の回生量を減少させるように駆動部を制御するようにしてもよい。所定の条件は例えば時間や回数で規定される。若干の利用制限違反でも長期にわたって強制回生制御等を行うと搭乗者には負担が大きいためである。
なお、上で述べた利用制限条件が、設定エリア外を走行しているという条件である場合、上で述べた制御部は、設定エリア外を走行していると判断した場合に、設定エリアに向けて走行しているか否かを判断し、設定エリアに向けて走行していると判断した場合、上で述べた回生制動の回生量を減少させるように駆動部を制御するようにしてもよい。設定エリアに戻りやすくなる。
なお、本モータ制御装置は、利用制限条件を設定するための操作パネルをさらに有するようにしてもよい。また、本モータ制御装置は、上で述べた回生制動が行われていることを表す表示部を有する操作パネルをさらに有するようにしてもよい。設定については、モータ制御装置の管理者等によって行われる。
さらに、本モータ制御装置は、利用制限条件のデータを無線にて受信し、上記制御部に出力する無線通信部をさらに有するようにしてもよい。動的に利用制限条件を変更させることができるようになる。
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。