JP7085337B2 - カラー撮像素子 - Google Patents

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本発明は、垂直色分離型のカラー撮像素子に関する。
テレビジョン(TV)カメラやデジタルカメラ等に使用されているカラー撮像素子(イメージセンサ)には、単板式と多板式が存在する。単板式は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の微小なカラーフィルタを1枚の固体撮像素子上にモザイク状に配列して備え、カラーフィルタ毎に透過した光を電気信号に変換する。固体撮像素子(以下、撮像素子)には、例えば、可視領域を含む広い分光感度を有するシリコン(Si)からなるフォトダイオードが光電変換素子に適用され、電気信号の読出回路のトランジスタと共にSi基板に形成することができる(例えば、特許文献1,2)。単板式は、撮像素子が1枚で足りるため、比較的小型で、民生用のビデオカメラやデジタルカメラ等に主に採用される(非特許文献1)。しかし、単板式は、1色で1画素が構成されるので画素サイズに対して解像度が低く、また、カラーフィルタにその色以外の光を吸収されるので入射光の利用効率が低い。これに対して、多板式(3板式)は、レンズを通してカメラに入射された光を色分解プリズムで赤、緑、青の単色光に分解して、各色の光を別々の撮像素子に入射させる。多板式は、高解像度と高感度が要求されるTVカメラ等に採用されるが、3枚の撮像素子が色分解プリズムの各色の光の取出し面に配置されるため、カメラ等の小型化、軽量化が困難である。
そこで、高解像度、高感度および小型化を両立させるべく、光電変換素子を光の進入方向に3層に配置した垂直色分離型のカラー撮像素子が開発されている。例えば、光電変換素子として、SiフォトダイオードをSi基板に3層に積層したカラー撮像素子が開示されている(例えば、特許文献3)。これは、シリコンにおける光の進入深さが長波長ほど深いことを利用するものであり、各層のSiフォトダイオードは、光の入射側から順に、青色光、緑色光、赤色光を吸収して電荷に変換する。
また、固有の波長域の光を吸収して電荷に変換し、それ以外の光を透過する光電変換材料を備えた撮像素子を積層したカラー撮像素子が開示されている。このような光電変換材料としては、色選択性および光電変換効率に優れた有機材料からなるものが多く適用されている。具体的には、光電変換材料からなる光電変換膜を上下から対向電極と画素毎に区画された画素電極とで挟み、電気信号の読出回路を画素電極に接続した撮像素子を、光電変換材料の異なる3層で積層したものである。電気信号の読出回路および配線、電極は、光を透過するように、薄膜トランジスタ(TFT)や透明電極材料で形成される(例えば、特許文献4~7)。あるいは、Si基板に形成したトランジスタで読出回路を構成し、その上に画素電極と対向電極で挟まれた光電変換膜を3組積層したカラー撮像素子や、下層側(光の入射側の反対側)の1、2層を同じくSi基板に形成したSiフォトダイオードに置き換えたカラー撮像素子が開示されている(例えば、特許文献8,9)。
特許第3759435号公報 特開2015-56518号公報 特表2002-513145号公報 特開2005-51115号公報 特許第5102692号公報 特開2002-217474号公報 特許第5572108号公報 特開2007-311647号公報 特開2017-174936号公報
木内雄二,"イメージセンサの基礎と応用" ,日刊工業新聞社,1991年12月25日,p.145
しかしながら、特許文献3に記載されたSiフォトダイオードを積層した撮像素子は、例えば青色光の光電変換用Siフォトダイオードが緑色光や赤色光もある程度吸収するため、色分解特性が不十分である。また、3層分の読出回路のトランジスタがSiフォトダイオードと共にSi基板の同じ層に形成されるため、受光部(Siフォトダイオード)の面積比(開口率)が低く、光の利用効率が十分ではない。
特許文献4,5に記載された撮像素子は、3枚のガラス基板のそれぞれに薄膜トランジスタや光電変換膜を形成して、これらを貼り合わせて得られる。そのため、各層の光電変換膜同士の間隔がガラス基板の板厚で広くなるので、すべての光電変換膜に入射光の焦点を合わせて到達させることが困難であり、改良の余地がある。一方、特許文献6,7に記載された撮像素子は、1枚のガラス基板上に交互に薄膜トランジスタと光電変換膜が形成されるので、入射光の焦点のずれは小さい。しかし、有機材料からなる光電変換膜は耐熱温度150℃程度で熱に弱いため、その上に形成される薄膜トランジスタは室温等の低温で成膜可能な半導体材料に限られる。このような薄膜トランジスタは、300~400℃程度で成膜された半導体材料で構成されるものと比較して、電子移動度が低い等、特性が劣る。一方、耐熱性を有する無機材料からなる光電変換膜は、光電変換の対象となる波長域よりも短波長の光も吸収するため、光の入射側でより短波長の波長域の光を変換するように、B,G,Rの順に制約される。
特許文献8,9に記載された2~3層の光電変換膜をSi基板上に積層した撮像素子は、最上層(光の入射側)の光電変換膜の画素電極を読出回路のトランジスタに接続するために、画素電極からSi基板まで到達するビア(貫通電極)を形成する必要がある。しかし、最上層よりも下の有機材料からなる光電変換膜を加工してビアを通すスルーホール(ビアホール)を形成することは困難である。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、色選択性および光電変換効率に優れ、信号の読出し特性が良好で、さらに煩雑な工程によらずに製造することのできる垂直色分離型のカラー撮像素子を提供することを課題とする。
本発明に係るカラー撮像素子は、第1の波長域の光を吸収して電荷に変換し、かつ第2の波長域第3の波長域、および第4の波長域の光を透過する第1の光電変換層と、前記第2の波長域の光を吸収して電荷に変換し、かつ前記第3の波長域および前記第4の波長域の光を透過する第2の光電変換層と、前記第4の波長域の光を吸収して電荷に変換し、かつ前記第3の波長域の光を透過する第4の光電変換層と、少なくとも一部の領域において前記第3の波長域の光を吸収して電荷に変換する第3の光電変換層と、を上から順に備え、複数の波長域を含む光を上から入射されるものである。そして、前記カラー撮像素子はさらに、薄膜トランジスタを備えて前記第1の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第1の読出回路を、前記第1の光電変換層よりも上に備え、薄膜トランジスタを備えて前記第2の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第2の読出回路を、前記第2の光電変換層よりも下かつ前記第4の光電変換層よりも上に備え、前記第4の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第4の読出回路を、前記第2の読出回路よりも下に備え、前記第3の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第3の読出回路を、前記第の光電変換層よりも下に備え、前記第1の光電変換層および前記第2の光電変換層のそれぞれは、有機材料を含有し、両面を透明電極膜で挟まれ、前記第3の光電変換層および前記第4の光電変換層は無機材料からなることを特徴とする。
かかる構成により、カラー撮像素子は、高温で形成した読出回路と有機材料からなる光電変換層とを短い間隔で繰り返し積層して備えることができる。
本発明に係るカラー撮像素子によれば、色選択性および光電変換効率に優れ、信号の読出し特性が良好な垂直色分離型のカラー撮像素子が得られる
本発明に係るカラー撮像素子の概念を説明する模式図である。 本発明の第1実施形態に係るカラー撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 カラー撮像素子を構成する撮像素子の1画素の等価回路図である。 カラー撮像素子を構成する撮像素子の1画素の等価回路図である。 カラー撮像素子を構成する撮像素子の1画素の等価回路図である。 本発明に係るカラー撮像素子を構成する第1撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明に係るカラー撮像素子の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明に係るカラー撮像素子の製造方法における上部撮像手段形成工程を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るカラー撮像素子の製造方法における撮像手段積層体形成工程を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態の変形例に係るカラー撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例に係るカラー撮像素子の製造方法における撮像手段積層体形成工程を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るカラー撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明の第2実施形態に係るカラー撮像素子の製造方法における撮像手段積層体形成工程を説明するフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係るカラー撮像素子の構造を模式的に説明する部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係るカラー撮像素子の製造方法における撮像手段積層体形成工程を説明するフローチャートである。
本発明に係るカラー撮像素子およびその製造方法を実施するための形態について、図を参照して説明する。図面に示すカラー撮像素子およびその要素は、説明を明確にするために、大きさや位置関係等を誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。
〔カラー撮像素子〕
カラー撮像素子は、所望の数の画素を平面に2次元配列し、上方から入射する光(可視光を含む光を指す)に含まれる3つの波長域の光L1,L2,L3を、各画素において、それぞれ電気信号IS1,IS2,IS3に個別に変換して出力する。そのために、図1に示すように、カラー撮像素子10は、上から順に、第1の波長域の光L1を吸収して電荷に変換し、かつ第2、第3の波長域の光L2,L3を透過する第1の光電変換層41と、第2の波長域の光L2を吸収して電荷に変換し、かつ第3の波長域の光L3を透過する第2の光電変換層42と、第3の波長域の光L3を吸収して電荷に変換する第3の光電変換層23と、を備え、さらに、光L1,L2,L3から変換された電荷をそれぞれ電気信号IS1,IS2,IS3として出力する読出回路61,62,63を備える。以下、本発明に係るカラー撮像素子の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るカラー撮像素子10は、第1有機光電変換膜(第1の光電変換層)41と、第2有機光電変換膜(第2の光電変換層)42と、フォトダイオード(第3の光電変換層)23と、を上から順に備え、さらに、第1回路層(第1の読出回路)61を第1有機光電変換膜41の上に、第2回路層(第2の読出回路)62を第2有機光電変換膜42の下かつフォトダイオード23を形成されたSi基板20の上に、第3回路部(第3の読出回路)63をSi基板20とその下に形成された配線31に、それぞれ備える。カラー撮像素子10はさらに、第1回路層61の上に入射光を透過する透明基板91を、Si基板20の下に配線31間を絶縁する絶縁膜83を、Si基板20の上に層間膜84を、それぞれ備える。また、第1有機光電変換膜41が上下面を画素電極51と対向電極52に挟まれ、第2有機光電変換膜42が上下面を対向電極54と画素電極53に挟まれている。なお、図2に、カラー撮像素子10の画素間の境界を一点鎖線で表す。本実施形態では、第1、第2、第3の波長域の光L1,L2,L3を、それぞれ緑色光LG(ピーク波長500~540nm)、青色光LB(ピーク波長450nm)、赤色光LR(ピーク波長650nm)に設定して説明する。
カラー撮像素子10は、透明基板91上に、画素毎のマイクロレンズを備えることができる(図示省略)。カラー撮像素子10はさらに、透明基板91とマイクロレンズの間に、赤外線等の可視領域外の光を吸収するフィルタを備えることが好ましい(図示省略)。
カラー撮像素子10は、第1有機光電変換膜41の上面(光の入射側の面、受光面)からフォトダイオード23の受光面までの距離(厚さ方向長)が短いことが好ましい。前記距離が短いほど、第1有機光電変換膜41、第2有機光電変換膜42、およびフォトダイオード23のいずれにおいても、入射光の焦点のずれが抑制される。具体的には、第1有機光電変換膜41の上面からフォトダイオード23の上面(Si基板20の上面から所定深さの位置)までの距離(以下、受光面差)が10μm以下であることが好ましく、第1有機光電変換膜41の上面からフォトダイオード23の下面までの距離が10μm以下であることがさらに好ましい。
また、カラー撮像素子10において、第1有機光電変換膜41および第1回路層61を備える部分を第1撮像素子11、第2有機光電変換膜42および第2回路層62を備える部分を第2撮像素子12、フォトダイオード23および第3回路部63を備える部分を第3撮像素子13、とそれぞれ称する。すなわち、撮像素子11,12,13は、それぞれ1つの波長域の光(単色光)の撮像素子である。第1撮像素子11および第2撮像素子12は、1画素が、例えば図3または図4に示す等価回路図で表される。第3撮像素子13は、1画素が、例えば図5に示す等価回路図で表される。
図3は、フォトダイオードPDおよび選択トランジスタT1を備える最も簡易な構成の画素を示す。フォトダイオードPDは、第1撮像素子11における一対の電極51,52に挟まれた1画素分の第1有機光電変換膜41、第2撮像素子12における一対の電極53,54に挟まれた1画素分の第2有機光電変換膜42である。そして、電極51,52、電極53,54は、フォトダイオードPDの端子である。そして、フォトダイオードPDの画素電極51,53に接続する側が選択トランジスタT1のソースまたはドレインに接続される。フォトダイオードPDは、逆バイアスに接続されてコンデンサとして機能し、受光により電荷を蓄積する。図3では、アノードが選択トランジスタT1に接続され、カソードが共通の外部の電源PSに接続されている。選択トランジスタT1が画素選択線SLで選択されると、蓄積した電荷が選択トランジスタT1を経由して読出線OLに電気信号として出力される。
図4は、3つのトランジスタT1,T2,T3を備える1画素3T型のイメージセンサの画素を示し、選択トランジスタT1には増幅トランジスタT2が接続され、フォトダイオードPDが増幅トランジスタT2のゲートに接続されている。このような構成により、ドレイン電源VDDから増幅トランジスタT2と選択トランジスタT1を経由して、フォトダイオードPDの電気信号が電圧として出力される。リセットトランジスタT3は、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を、リセット選択線RLで選択されたときに初期化する。なお、リセット電源VRSTはドレイン電源VDDと共通でもよい。
図5は、4つのトランジスタT1,T2,T3,T4を備える1画素4T型の、埋込みフォトダイオードを備える相補型金属-酸化物半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:CMOS)イメージセンサの画素の一例を示し、フォトダイオードPDは、第3撮像素子13におけるフォトダイオード23である。第3撮像素子13は、図4に示す1画素3T型の第1撮像素子11のフォトダイオードPDと増幅トランジスタT2のゲートとの間に、転送トランジスタT4を挿入し、フォトダイオードPDのアノードとカソードを入れ替えてアノードをGNDに接続した構成である。転送トランジスタT4は、フォトダイオードPDの浮遊拡散層(FD)に蓄積された電荷を、転送選択線TLで選択されたときに完全に転送し、これによって残留電荷による残像とノイズの発生をなくす。なお、第1撮像素子11および第2撮像素子12についても、1画素4T型の画素としてもよく、この場合、図4のフォトダイオードPDと増幅トランジスタT2のゲートとの間に転送トランジスタT4を挿入する。
第1撮像素子11は、下から順に、保護膜81、対向電極52、第1有機光電変換膜41、画素電極51、第1回路層61を積層してなり、さらにその上に透明基板91が設けられている。第2撮像素子12は、下から順に、第2回路層62、画素電極53、第2有機光電変換膜42、対向電極54、保護膜82を積層してなる。第1撮像素子11と第2撮像素子12は、積層順が逆である以外、ほぼ同じ積層構造を有する。これは、後記製造方法で説明するように、第1撮像素子11が、透明基板91を土台として、光の入射側から順に形成されるからであり、図6に、透明基板91を下に向けた断面図を示す。一方、第3撮像素子13は裏面照射型CMOSイメージセンサ(例えば、特許文献1,2)であり、下から順に、絶縁膜83と配線31、フォトダイオード23を形成されたSi基板20、層間膜84を積層してなる。以下、カラー撮像素子10の各要素について詳細に説明する。
(透明基板)
透明基板91は、前記したように第1撮像素子11を形成するための土台であり、光の入射側と反対側の面(下面)上に第1撮像素子11が形成される。透明基板91は、カラー撮像素子10において最上層に設けられるため、光(可視光)を透過し、さらに第1回路層61を形成するための耐熱温度を有する絶縁材料で形成される。具体的には、SiO2(酸化ケイ素、ガラス)、MgO(酸化マグネシウム)、サファイア、GGG(ガドリニウムガリウムガーネット)等が挙げられる。
(第1有機光電変換膜、第2有機光電変換膜)
第1有機光電変換膜41および第2有機光電変換膜42は、それぞれ固有の波長域の光に感度を有してこれを吸収して電荷に変換し、その余の光は透過させる有機材料からなる。最下層(フォトダイオード23)以外の光電変換層にこのような材料を適用することにより、光の入射側からR,G,Bの各色の光を任意の順序で受光することができる。本実施形態においては、最も入射側寄りに配置される第1有機光電変換膜41に、視感度の高い緑色光LGに感度を有する有機材料を適用し、第2有機光電変換膜42に青色光LBに感度を有する有機材料を適用する。有機光電変換膜41,42は、膜厚が50nm以上であることが好ましく、光吸収極大波長での吸収率が90%以上、すなわち吸光度A(A=-log(I/I0)、(I/I0:透過率))が1.0以上であることが好ましい。一方で、カラー撮像素子10において第1有機光電変換膜41からフォトダイオード23までの距離が長くなるため、有機光電変換膜41,42は、それぞれの膜厚が1μm以下であることが好ましい。
青色光のみに感度を有する有機材料としてはクマリン誘導体やポルフィリン誘導体が、緑色光のみに感度を有する有機材料としてはキナクリドン誘導体やペリレン誘導体が、赤色光のみに感度を有する有機材料としてはフタロシアニン誘導体やナフタロシアニン誘導体が挙げられる。その他に、アクリジン、シアニン、スクエアリリウム、オキサジン、キサンテントリフェニルアミン、ベンジジン、ピラゾリン、スチリルアミン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、カルバゾール、ポリシラン、チオフェン、ポリアミン、オキサジアゾール、トリアゾール、トリアジン、キノキサリン、フェナンスロリン、フラーレン、アルミニウムキノリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリチオール、ポリピロール、ポリチオフェン、およびこれらの誘導体等を単独で、もしくはこれらに代表される有機材料を2種類以上混合ないし積層することで、青色光、緑色光、または赤色光のみに感度を有する有機材料を調製することが可能である。
第1有機光電変換膜41および第2有機光電変換膜42は、暗電流(光が入射されていない時に出力される電流)の低減や当該有機光電変換膜41,42の量子効率向上のために、電子輸送材料、正孔輸送材料、電子注入阻止(電子ブロッキング)材料、正孔注入阻止(正孔ブロッキング)材料等を、前記有機材料(有機光電変換材料)に混合または積層して備えてもよい。電子注入阻止材料としては、トリフェニルアミン系化合物、スチリルアミン系化合物、カルバゾール系化合物等が挙げられ、正孔注入阻止材料としては、フェナンスロリン系化合物、アルミニウムキノリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等が挙げられ、一般に有機デバイスで扱われている材料を適用することができる。電子注入阻止材料、正孔注入阻止材料についてはさらに、無機材料を用いることもできる。これらの材料を備える場合、有機光電変換層の片面に電子注入阻止層または正孔注入阻止層を、あるいは上下から挟むように電子注入阻止層と正孔注入阻止層をそれぞれの面に積層することが好ましい。
(画素電極、対向電極)
画素電極51と対向電極52は第1有機光電変換膜41の両面に接続され、画素電極53と対向電極54は第2有機光電変換膜42の両面に接続され、それぞれ一対の電極である。画素電極51,53は、カラー撮像素子10の画素毎に区画、離間したパターンに形成され、回路層61,62のトランジスタに電気的に接続する(図3、図4参照)。対向電極52,54は、全面に形成され、外部の電源やGNDに接続する。画素電極51,53および対向電極52,54は、必要な導電性が得られる膜厚以上に形成され、具体的には、それぞれの膜厚が1~100nmであることが好ましい。
画素電極51,53は、有機光電変換膜41,42およびフォトダイオード23に光を到達させるために、透明電極材料で形成される。透明電極材料としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等が挙げられ、また、これらの膜を2種類以上積層してもよい。対向電極52,54は、画素電極51,53と同様に、光を透過するように前記の透明電極材料で形成することができる。ただし、対向電極52,54は、有機光電変換膜41,42の上に成膜されるため、無加熱(室温等)成膜でも比較的良好な導電性が得られるITO,IZO等が好適である。また、対向電極52,54は、ポリアセチレン系、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系に代表される導電性高分子を用いることもできる。また、対向電極52,54は、後記の第1回路層61および第2回路層62のゲート電極71等に挙げた金属電極材料からなる半透明電極としてもよい。
第1有機光電変換膜41と対向電極52の間、第2有機光電変換膜42と対向電極54の間に、バッファ層を備えてもよい(図示せず)。バッファ層が設けられていることによって、対向電極52,54が成膜される際に、有機光電変換膜41,42へのダメージを低減することができる。バッファ層は、膜厚が10~500nmであることが好ましい。バッファ層としては、ジピラジノ[2,3-f:2',3'-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)や、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)等を適用することができる。
(第1回路層、第2回路層)
第1回路層61および第2回路層62は、薄膜トランジスタ(TFT)構造を有し、積層順が上下入れ替わる以外は同じ積層構造である。さらに図2に示すように、第1回路層61と第2回路層62は、平面視で重複するように、それぞれの形成時におけるレイアウトが互いに鏡像に設計されているが、異なるレイアウト、さらには異なる回路であってもよい。図6に示すように、第1回路層61は、一例として、半導体層6と、ゲート絶縁膜86と、絶縁膜87と、ゲート電極71と、ソース・ドレイン電極72と、水平信号線(図3および図4に示す画素選択線SL、リセット選択線RL)および垂直信号線(図3および図4に示す読出線OL、VDD電源配線、VRST電源配線)と、保護膜88と、を備える。第1回路層61は、これらの各要素について、後記製造方法で説明するように、材料を成膜し、エッチングでパターニングして形成される。第2回路層62も同様である。回路層61,62は、画素毎に少なくとも一部の領域が光を透過する構造とし、より高い面積率で光を透過することが好ましい。また、第2回路層62は、厚さが最大1μm以下であることが好ましい。そのために、保護膜88等は、必要な絶縁性等を確保できる程度の膜厚として、過剰に厚く形成しないことが好ましい。
半導体層6は、TFTに適用される半導体材料を適用することができ、高い電子移動度を有する材料が好ましい。半導体層6の電子移動度は、5cm2/V・s以上が好ましく、10cm2/V・s以上がさらに好ましい。半導体層6は、材料等によるが、成膜温度やアニール温度が300~450℃程度でこのような高い電子移動度を示すものが形成される。また、半導体層6は、可視光(光LR,LG,LB)を吸収して半導体のスイッチング応答が変化することを防止するために、3.0eV以上のバンドギャップを有する材料が好ましく、透明度の高い材料が好ましい。このような半導体材料として、酸化亜鉛(ZnO)やアモルファス酸化物半導体(インジウム・ガリウム・酸化亜鉛:InGaZnO4)等が挙げられる。第2回路層62に設けられる半導体層6はさらに、第3撮像素子13(Si基板20、配線31)の耐熱温度以下で形成される材料を適用する。具体的には、配線31の材料等によるが、半導体層6は、成膜温度またはアニール温度が400℃以上で形成されるものが好ましく、より好ましくは350℃以上で、さらに好ましくは300℃以上である。
ゲート電極71、ソース・ドレイン電極72、ならびに水平信号線および垂直信号線は、Al,Cu,Au,Ag,Pt,Pd,Fe,Co,Ni,Cr,Ti,W,Mo,V,Mn,Ta,Ru等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料やC(炭素)等で形成することができる。これらの電極71,72や信号線等は、必要な導電性を確保できる程度に幅を小さく設計したり、隣り合う画素の間隙に設ける等、光を多く遮らない形状、レイアウトとすることが好ましい。あるいは、電極71,72や信号線等は、前記の画素電極51,53と同様の透明電極材料で形成することもできる。電極71,72や信号線等は、光を遮らない透明電極材料を適用することにより、レイアウトを自由に設計することができる。ただし、ITOは、大気中等の酸化雰囲気で300℃を超えると、導電性が低下する。そのため、特に半導体層6の前に形成されるゲート電極71等は、金属電極材料か、透明電極材料の中でも耐熱性に優れたSnO2,FTO等を適用することが好ましい。
ゲート絶縁膜86は、ゲート電極71を被覆して半導体層6との間に形成される。絶縁膜87は、チャネル保護膜として半導体層6を被覆する。保護膜88は、回路層61,62の最上層に設けられる絶縁膜であり、回路層61,62とその上の画素電極51,53とを電気的に接続するために、所定の領域にコンタクトホールが形成されている。ゲート絶縁膜86、絶縁膜87、および保護膜88は、TFTに適用される絶縁材料のうち、前記の半導体層6と同様、透明基板91や第3撮像素子13の耐熱温度以下で成膜される材料を適用することができる。具体的には、シリコン窒化物(Si34等、SiNと表す)、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン酸窒化物(SiON)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル、窒化アルミニウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化亜鉛やアモルファス酸化物(インジウム・ガリウム・酸化亜鉛)等の無機材料が挙げられる。
(保護膜)
保護膜81,82は、これらの積層された2層膜で第1撮像素子11と第2撮像素子12の間の層間膜を構成する絶縁膜である。さらに、保護膜81,82は、カラー撮像素子10の製造過程において互いに貼り合わされて接合される際に、それぞれ第1撮像素子11と第2、第3撮像素子12,13、特に第1回路層61と第2回路層62への衝撃を抑制する等、保護するために設けられる。また、保護膜81,82は、当該保護膜81,82のそれぞれの表面を平坦かつ水平、さらに平滑な接合面とするための平坦化膜である。本実施形態に係るカラー撮像素子10においては、有機光電変換膜41,42およびその上の対向電極52,54が均一な膜厚で形成されているため、回路層61,62および画素電極51,53の表面(有機光電変換膜41,42に対面する側の面)の凹凸が対向電極52,54の表面に持ち越されている。そのため、保護膜81,82は、この凹凸に対応して厚さが不均一に形成される。保護膜81,82は、有機光電変換膜41,42の対向電極52,54を挟んだ上に成膜されるため、対向電極52,54と同様、150℃以下の低温で成膜可能な絶縁材料で形成される。具体的には、SiO2,SiN,Al23,TiO2等の無機材料が挙げられ、これらの材料を2種以上積層してもよい。あるいは、ポリシラン、ポリビニルカルバゾール、ポリイミド、ポリパラキシレンビニレン等の光を透過する樹脂材料で形成することができる。保護膜81,82は、保護膜として作用するために厚いことが好ましく、具体的には、膜厚が0.1μm以上であることが好ましい。さらに、保護膜81,82は、成膜後にCMP(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)法で表面を平滑に加工されて形成される場合には、最小で1μm以上であることが好ましい。一方で、カラー撮像素子10の受光面差を抑えるために、最大で3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
(Si基板)
Si基板20は、第3回路部63のトランジスタT1,T2,T3,T4を構成するトランジスタ21、およびフォトダイオード23の材料であり、これらを形成するための土台である。本実施形態では、トランジスタ21がMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)で形成されるため、Si基板20は、単結晶シリコン基板を材料とすることが好ましく、ここでは、フォトダイオード23の構成に対応して、p型Si基板(p-sub)を適用する。また、第3撮像素子13が裏面照射型CMOSイメージセンサであることから、Si基板20は、下側(光の入射側の反対側)の表層にトランジスタ21が形成され、裏面からの研削により厚さが数μm~数十μmに薄化され、研削された裏面が上に向けられている。
(フォトダイオード)
フォトダイオード23は、Si基板20に形成された埋込みフォトダイオード(Pinned Photodiode)である。Siは、可視領域を含む広い分光感度を有するので、第3撮像素子13は、いずれの波長域の光(LB,LG,LR)も光電変換することができる。カラー撮像素子10においては、緑色光LGおよび青色光LBが有機光電変換膜41,42に吸収されているので、フォトダイオード23は赤色光LRを入射されて受光する。赤色光LRを受光するために、フォトダイオード23は、Si基板20の上面(層間膜84との界面)から少なくとも3μm程度の深さの領域に形成される。本実施形態では、p型のSi基板20において下から順に、n-エピタキシャル層(図中、「n-epi」)20n、p-エピタキシャル層(図中、「p-epi」)20pが積層されたnp二重エピタキシャル基板でフォトダイオード23が形成される。また、Si基板20は、n-エピタキシャル層20n内に、画素毎に当該画素を囲うようにpウェル(図中、「p-well」)21pが形成されている。フォトダイオード23はさらに、Si基板20の下側表層に、n-エピタキシャル層20nのpウェル21pに囲われた領域を覆うn+拡散層(図中、「n+」)23n、およびn+拡散層23nに積層されたp+拡散層(図中、「p+」)23pを備える。また、Si基板20のp+層(図中、「p-sub」)20sは、フォトダイオード23のアノードとして、GNDに接続されるため、カラー撮像素子10の周縁部において、Si基板20の上面に接続する電極(図示省略)が形成されている。
(第3回路部)
トランジスタ21は、Si基板20に形成されたpウェル21p、pウェル21p内に形成されたn+拡散層(図中、「n+」)21n、およびSi基板20の下面に薄い酸化膜(ゲート酸化膜)を挟んで形成されたpoly-Si膜からなるゲート21gからなる。さらに、pウェル21p内には、pウェル21pをGND(0V)に電気的に接続するためのp+拡散層(図示省略)が形成されている。そして、ゲート21g、n+拡散層21n、およびp+拡散層には、配線31が接続される。なお、図2においては、第3回路部63の一部の、n型MOS(NMOS)からなるトランジスタを示す。p型MOS(PMOS)は、pウェル21p内にnウェル(n-well)を形成し、このnウェル内にさらにp+拡散層を形成して、トランジスタのソース、ドレインとする。
配線31は、トランジスタ21に接続するゲート電極およびソース・ドレイン電極、ならびに第3回路部63の水平信号線および垂直信号線(図5に示す画素選択線SL、読出線OL、リセット選択線RL、転送選択線TL、VDD電源配線、VRST電源配線)を構成し、Si基板20の下側に形成される。すなわち、配線31は、カラー撮像素子10の最下層に設けられるので、光を透過しなくてよい。したがって、配線31は、幅および厚さならびに層数に制約なく、所望の領域に配置することができる。このような配線31は、Al,Cu,Au,Ag,Pt,Pd,Fe,Co,Ni,Cr,Ti,W,Mo,V,Mn,Ta,Ru等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料で形成することができる。特に、半導体素子の配線に一般に適用されるAlやCuが好ましく、さらに必要に応じてTi,W等からなるバリア膜(バリアメタル膜)が設けられる。ここでは、配線31は、耐熱性に比較的優れ、加工の容易なAlまたはAl合金で形成される。このような構成により、第3撮像素子13の耐熱温度は450℃程度となり、第2撮像素子12の第2回路層62(半導体層6)を高温プロセスで形成することができる。
絶縁膜83は、Si基板20の下面を被覆し、配線31、トランジスタ21間や配線31同士等を絶縁する。絶縁膜83は、半導体装置の層間絶縁膜に適用される絶縁材料を適用することができる。具体的には、SiO2,SiN,SiON,Al23,MgO,MgF2,SiC(シリコンカーバイド)等の無機材料が挙げられる。SiO2には、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)、PSG(Phosphorus Silicon Glass)も含まれる。絶縁膜83は、単一の材料でなくてよく、層や領域によって異なる材料で形成されてもよい。
(層間膜)
層間膜84は、第2撮像素子12と第3撮像素子13の間、すなわち第2回路層62とSi基板20の間に設けられる絶縁膜である。層間膜84は、上に半導体層6を形成されるための耐熱性を有するように、絶縁膜83等と同様の無機絶縁材料で形成することができる。層間膜84は、膜厚が2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。
〔カラー撮像素子の製造方法〕
本発明の第1実施形態に係るカラー撮像素子の製造方法について、図7~図9、図2および図6を参照して説明する。本実施形態に係るカラー撮像素子10は、透明基板91上に第1撮像素子11(図6参照)を製造する第1撮像素子製造工程(上部撮像手段形成工程)S1と、Si基板20に第3撮像素子13および第2撮像素子12を製造する撮像素子積層体製造工程(撮像手段積層体形成工程)S2と、を順不同で行った後に、これらの基板20,91を接合する基板接合工程S3を行って得られる。
(第1撮像素子製造工程)
第1撮像素子製造工程S1は、透明基板91上に薄膜トランジスタで第1回路層61を形成する第1薄膜トランジスタ形成工程S11と、透明電極膜で所定の領域に画素電極51を形成する第1画素電極形成工程S12と、第1有機光電変換膜41を形成する第1光電変換膜形成工程S13と、第1有機光電変換膜41に透明電極膜を積層して対向電極52を形成する第1対向電極成膜工程S14と、を行い、さらに対向電極52上に保護膜81を成膜して、平坦な表面とする保護膜形成工程S16を行う。
第1薄膜トランジスタ形成工程S11を行う。透明基板91上に電極材料を成膜し、この電極膜を加工して、ゲート電極71および画素選択線SL等の水平信号線を形成する。この上にSiN等の絶縁膜を成膜して、ゲート絶縁膜86とする。ゲート絶縁膜86上に酸化物半導体材料を成膜、加工して、半導体層6を形成する。さらに絶縁膜87を構成するSiO2等の絶縁膜を成膜し、この絶縁膜87およびゲート絶縁膜86を加工する。この上に電極材料を成膜、加工して、ソース・ドレイン電極72および読出線OL等の垂直信号線を形成する。さらに、保護膜88を構成する絶縁膜を成膜し、コンタクトホールを形成する。各材料の成膜方法はスパッタ法等、その材料に対応した方法を適用し、加工はフォトリソグラフィとエッチングまたはリフトオフ法で行うことができる。また、半導体層6を構成する酸化物半導体材料は、300℃以上で成膜するか、成膜後に300℃以上でのアニール処理を行う。半導体層6のアニール処理は、第1光電変換膜形成工程S13よりも前であればどの段階でも行うことができるが、処理温度が画素電極51の耐熱温度を超える場合には第1画素電極形成工程S12よりも前に行う。さらに、ソース・ドレイン電極72等に耐熱温度の低い透明電極材料を適用する場合には、この透明電極材料の成膜よりも前にアニール処理を行う。
第1画素電極形成工程S12を行う。第1回路層61の上に透明電極材料を成膜し、この透明電極膜を加工して画素電極51とする。透明電極材料は、スパッタ法、真空蒸着法、または塗布法等の公知の方法により成膜される。さらに、ITO等の結晶性の透明電極材料の場合には、室温等の低温(無加熱)にて成膜後に、ポストアニールを施して結晶化させてもよい。また、透明電極膜の加工はフォトリソグラフィとエッチングで行うことができる。
次に、第1有機光電変換膜41を、真空蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、ディップ法等の公知の方法で成膜する(第1光電変換膜形成工程S13)。さらに、第1有機光電変換膜41上に透明電極材料を成膜して、対向電極52とする(第1対向電極成膜工程S14)。透明電極材料は、第1画素電極形成工程S12と同様にスパッタ法等で成膜することができるが、室温等、第1有機光電変換膜41の耐熱温度を超えない低温(無加熱)で行う。
最後に、保護膜形成工程S16を行う。対向電極52上にSiO2等の絶縁膜をプラズマ化学気相成長(PECVD)法やスパッタ法等で成膜し、CMP(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)法等により平坦な、さらに基板接合工程S3での接合方法に対応した平滑な表面に加工して、保護膜81を形成する。あるいは、樹脂材料をスピンコート法等により塗布して、平坦な表面の保護膜81とすることもできる。
(撮像素子積層体製造工程)
撮像素子積層体製造工程S2は、Si基板20にトランジスタ21およびフォトダイオード23を形成し、その上に配線31および配線31間の絶縁膜83を形成するシリコン処理工程S21と、透明電極膜で所定の領域に画素電極53を形成する第2画素電極形成工程S42と、第2有機光電変換膜42を形成する第2光電変換膜形成工程S43と、第2有機光電変換膜42に透明電極膜を積層して対向電極54を形成する第2対向電極成膜工程S44と、を行う。ここで、本実施形態に係るカラー撮像素子10は、第2撮像素子12と第3撮像素子13とが層間膜84に隔てられて上下に分断された構造であり、また、第3撮像素子13は裏面照射型CMOSイメージセンサである。したがって、言い換えると、撮像素子積層体製造工程S2は、第3撮像素子13を製造する第3撮像素子製造工程(下部撮像手段形成工程)S20と、第2撮像素子12を製造する第2撮像素子製造工程S40を行う。第3撮像素子製造工程S20は、シリコン処理工程S21を行い、さらにその次に、Si基板20の裏面を研削して薄化する裏面研削工程S25と、Si基板20の裏面上に層間膜84を成膜する層間膜成膜工程S26を行う。第2撮像素子製造工程S40は、まず、層間膜84上に薄膜トランジスタで第2回路層62を形成する第2薄膜トランジスタ形成工程S41を行った後に、第2画素電極形成工程S42と、第2光電変換膜形成工程S43と、対向電極54を形成する第2対向電極成膜工程S44と、を行い、さらに対向電極54上に保護膜82を成膜して、平坦な表面とする保護膜形成工程S46を行う。
(第3撮像素子製造工程)
第3撮像素子製造工程S20は、裏面照射型CMOSイメージセンサの公知の製造方法を適用することができる(例えば、特許文献2参照)。まず、シリコン処理工程S21を行って、Si基板20にトランジスタ21およびフォトダイオード23を形成し、Si基板20の上にトランジスタ21に接続する配線31を形成する。シリコン処理工程S21においては、図2における下側を上として各工程を行う。p型Si基板であるSi基板20に、p-エピタキシャル層20p、n-エピタキシャル層20nを順次形成して、np二重エピタキシャル基板とする。次に、Si基板20の表面(n-エピタキシャル層20nの側)から不純物を注入し、熱拡散して所定の領域にpウェル21pを形成する。Si基板20の表面に薄いSiO2膜(ゲート酸化膜)を成膜し、その上にpoly-Si膜を成膜して、トランジスタ21のゲート21gを形成する。さらに不純物を注入して、n+拡散層21n,23nおよびp+拡散層23pを形成する。トランジスタ21およびフォトダイオード23を形成したSi基板20の上に、絶縁膜83を構成する絶縁膜を成膜してこの絶縁膜にコンタクトホールを形成し、トランジスタ21に接続する配線31をAl等の金属電極材料で形成する。同様に、絶縁膜と金属電極材料の成膜および加工を繰り返して、配線31および絶縁膜83を形成する。
次に、Si基板20の表側(絶縁膜83上)に支持基板(図示省略)を貼り合わせ、Si基板20の裏面を研削して所定の厚さとする(裏面研削工程S25)。Si基板20の研削された裏面上に、絶縁膜を成膜して層間膜84とする(層間膜成膜工程S26)。
(第2撮像素子製造工程)
第2撮像素子製造工程S40は、第1撮像素子製造工程S1と同様に行う。すなわち、第2撮像素子製造工程S40の工程S41,S42,S43,S44,S46は、第1撮像素子製造工程S1の工程S11,S12,S13,S14,S16とそれぞれ同様である。ただし、第2撮像素子製造工程S40、特に第2薄膜トランジスタ形成工程S41は、第3撮像素子13の耐熱温度(例えば450℃)を超えない処理条件で行う。
(基板接合工程)
基板接合工程S3は、第1撮像素子11が形成された透明基板91と、撮像素子12,13が形成されたSi基板20と、をそれぞれの対向電極52,54が形成された側、すなわち保護膜81,82を対面させて接合する。接合方法は、保護膜81,82の材料に対応し、有機光電変換膜41,42の耐熱温度を超えない低温で、かつ低加圧で、好ましくは無加圧で接合する。このような接合方法として、半導体素子基板同士を常温接合する公知の方法を適用することができ、具体的には、原子間力、分子間力による接合、表面活性化接合等が挙げられる。あるいは、カラー撮像素子10は、上下面の周縁や側面に枠体(図示せず)等を設けて、保護膜81と保護膜82とを接触させた状態で固定されていてもよい。
第1撮像素子11の第1有機光電変換膜41および対向電極52の少なくとも一方、第2撮像素子12の第2有機光電変換膜42および対向電極54の少なくとも一方が、それぞれスピンコート法等で成膜されて表面が平坦に形成されている場合には、保護膜81,82で接合面を平坦化する必要がない。また、カラー撮像素子10は、受光面差が10μm以下に抑えられているのであれば、保護膜81,82間に3μm程度以下の空隙を有していてもよい。このようなカラー撮像素子10は、基板接合工程S3で、透明基板91とSi基板20とを、周縁や側面に枠体(図示せず)等を設けて固定する。あるいは、保護膜81,82間を充填するように、光を透過する接着剤で貼り合わせてもよい。これらの場合には、保護膜81と保護膜82は、基板接合工程S3で互いに接触しないので、膜厚を薄く形成されても回路層61,62等へのダメージが防止され、また、表面が平坦でなくてもよい。
画素電極51,53は、回路層61,62のソース・ドレイン電極72と一体に形成されてもよい。この場合には、これらの電極上に形成される保護膜88が、画素電極51,53として有機光電変換膜41,42に接続する領域を空けるように加工される。
画素の微細化のために、撮像素子11,12,13のそれぞれは、隣り合う2以上の所定数の画素で、トランジスタT1,T2,T3,T4(図4、図5参照)の一部または全部を共有してもよい。また、第3撮像素子13は、電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)イメージセンサであってもよい。
以上のように、本発明の第1実施形態に係るカラー撮像素子によれば、最下層の第3撮像素子以外の第1、第2撮像素子が、色選択性および光電変換効率に優れた有機光電変換膜を備え、さらにTFT構造を有する読出回路を有機光電変換膜の形成前に形成することができ、信号の読出し特性が良好となる上、各撮像素子同士の間隔が短いので入射光の焦点のずれが抑制される。また、光の入射側から所望の順序で各波長域の光を受光することができる。そして、有機光電変換膜を備える第1、第2撮像素子により、第3撮像素子には1つの波長域の光のみが入射されるので、光電変換層が少なくともこの波長域に感度を有するものであればよく、例えば可視光全域に感度を有するSiを適用することができる。また、第3撮像素子は、読出回路に単結晶シリコン基板に形成されたMOSFETを備えることで、信号の読出し特性に特に優れる。さらに、本実施形態に係るカラー撮像素子によれば、第3撮像素子を裏面照射型CMOSイメージセンサとすることで、画素の開口率が第1、第2撮像素子と同様に高くなる。
〔第1実施形態の変形例〕
第3撮像素子13は、表面照射型CMOSイメージセンサであってもよい。この場合には、Si基板20の表層に形成されるトランジスタ21が、フォトダイオード23に対して同じ高さ位置または光の入射側寄りに配置される。したがって、画素に占めるフォトダイオード23の面積(開口率)が大きくなるように、フォトダイオード23およびトランジスタ21のレイアウトを設計されることが好ましい。また、フォトダイオード23(Si基板20)と第2撮像素子12との間に配線31が設けられるため、配線31は、フォトダイオード23の直上を避けて配置され、かつ層数を少なく設計されることが好ましい。配線31は一方で、トランジスタ21に光が到達しないように、平面視で、ダミー配線等も含めて、トランジスタ21が形成された領域全体に配置されるように設計される。そのために、配線31は、導電性に特に優れたCuで形成されることが好ましい。ただし、第3撮像素子13の耐熱温度は350℃程度となるので、第2撮像素子製造工程S40はこの温度を超えない処理条件で行う。一方、第3撮像素子製造工程S20で、裏面研削工程S25および層間膜成膜工程S26を行わなくてよく、工程を削減することができる。
第1実施形態に係るカラー撮像素子10は、第2撮像素子12の第2回路層62が薄膜トランジスタで形成されて第3撮像素子13の上に設けられ、第2撮像素子12と第3撮像素子13が層間膜84で分断された構造であるが、第2回路層62を、第3撮像素子13の第3回路部63と同様にSi基板に形成することもできる。以下、第1実施形態の変形例に係るカラー撮像素子について説明する。第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
図10に示すように、第1実施形態の変形例に係るカラー撮像素子10Aは、上から順に、透明基板91、第1回路層(第1の読出回路)61および第1有機光電変換膜(第1の光電変換層)41を備える第1撮像素子11、対向電極54と画素電極53に両面を挟まれた第2有機光電変換膜(第2の光電変換層)42、配線31A,32および配線31A,32の間を絶縁する絶縁膜83、フォトダイオード(第3の光電変換層)23Aを形成されたSi基板20Aを備える。カラー撮像素子10Aはさらに、第3回路部(第3の読出回路)63、および第2回路部(第2の読出回路)62Aを、Si基板20Aおよび配線31A,32に備える。図10では、透明基板91の上部を省略して示す。また、図10に、カラー撮像素子10Aの画素間の境界を一点鎖線で表す。なお、カラー撮像素子10Aにおいて、第2有機光電変換膜42および第2回路部62Aを備える部分を第2撮像素子12A、フォトダイオード23Aおよび第3回路部63を備える部分を第3撮像素子13A、とそれぞれ称する。本変形例では、第1、第2、第3の波長域の光L1,L2,L3を、それぞれ緑色光LG、赤色光LR、青色光LBに設定する。第2撮像素子12Aおよび第3撮像素子13Aは、それぞれ第1実施形態の第2撮像素子12および第3撮像素子13と同じ等価回路図(図3、図4、図5参照)で表される。
第1撮像素子11の構成は、第1実施形態に説明した通りである。第2撮像素子12Aは、下から順に、画素電極53、第2有機光電変換膜42、対向電極54、保護膜82を積層して備え、さらに画素電極53の下に第2回路部62Aを備える。第3撮像素子13Aは表面照射型CMOSイメージセンサであり、フォトダイオード23Aおよび第3回路部63のトランジスタ21を表層に形成されたSi基板20Aと、Si基板20Aの上に形成された配線31Aおよび絶縁膜83を備える。ここで、第2撮像素子12Aは、第2回路部62Aのトランジスタ22がSi基板20Aの表層に形成され、配線32がSi基板20A上に形成されて画素電極53に接続する。したがって、本変形例に係るカラー撮像素子10Aは、第2撮像素子12Aと第3撮像素子13Aとが完全には分断されていない構造である。
第2有機光電変換膜42は、赤色光LRに感度を有する有機材料が適用されること以外は、第1実施形態に説明した通りである。第2回路部62Aは、トランジスタ22が第3回路部63のトランジスタ21と同様にMOSFETでSi基板20Aに形成されているので、後記の第3撮像素子13Aの構成と共に説明する。
(Si基板)
Si基板20Aは、フォトダイオード23Aおよび第3回路部63のトランジスタ21に加え、第2回路部62Aのトランジスタ22の材料であり、これらを形成するための土台である。本変形例では、フォトダイオード23Aの構成に対応して、n型Si基板(n-sub)を適用する。
(フォトダイオード)
フォトダイオード23Aは、Si基板20Aに形成された埋込みフォトダイオードであり、Si基板20Aのpウェル21p内に形成されたn+拡散層(図中、「n+」)、およびこのn+拡散層に積層したp+拡散層(図中、「p+」)を備える。カラー撮像素子10Aにおいては、緑色光LGおよび赤色光LRが有機光電変換膜41,42に吸収されているので、フォトダイオード23Aには青色光LBが受光される。そのため、フォトダイオード23Aは、Si基板20Aの上面から300nm程度の深さの領域に形成される。また、第3撮像素子13Aが表面照射型CMOSイメージセンサで、Si基板20Aの光の入射側寄りの表層にトランジスタ21,22を形成されているので、画素に占めるフォトダイオード23Aの面積(開口率)が大きくなるように、フォトダイオード23Aおよびトランジスタ21,22のレイアウトを設計されることが好ましい。なお、図10においては、フォトダイオード23Aおよびトランジスタ21,22を同程度の大きさで表す。
(第2回路部、第3回路部)
第3回路部63のトランジスタ21は、第1実施形態で説明した通り、Si基板20Aに形成されたpウェル21p、pウェル21p内に形成されたn+拡散層21n、およびSi基板20Aの上面にゲート酸化膜を挟んで形成されたゲート21gからなる。そして、ゲート21gおよびn+拡散層21nには、配線31Aが接続される。第2回路部62Aのトランジスタ22は、Si基板20Aに形成されたpウェル22p、pウェル22p内に形成されたn+拡散層22n、およびSi基板20Aの上面にゲート酸化膜を挟んで形成されたゲート22gからなる。そして、ゲート22gおよびn+拡散層22nには、配線32が接続される。さらに、配線32の一部は、絶縁膜83を厚さ方向に貫通して画素電極53に接続する。また、pウェル21p,22p内に、それぞれを個別のGNDに配線31A,32で電気的に接続するためのp+拡散層(図示省略)が形成されている。なお、図10においては、第2回路部62Aおよび第3回路部63の一部のトランジスタおよび配線を示す。
配線31Aは、第1実施形態の配線31と同様に、トランジスタ21に接続する電極、ならびに第3回路部63の水平信号線および垂直信号線を構成する。配線32は、トランジスタ22に接続する電極、ならびに第2回路部62Aの水平信号線および垂直信号線を構成する。配線31Aおよび配線32は、配線31と同様に金属電極材料で形成することができる。ただし、配線31A,32は、フォトダイオード23Aの上側、すなわち光の入射側に配置される。そのため、配線31A,32は、フォトダイオード23Aに入射される光を遮らないように、フォトダイオード23Aの直上を避けて配置される。かつ、配線31A,32は、フォトダイオード23Aと第2有機光電変換膜42との距離が大きく空かないように、すなわち受光面差が大きくならないように、層数を少なく設計されることが好ましい。そのために、配線31A,32は、導電性に特に優れたCuで形成されることが好ましい。配線31A,32は一方で、トランジスタ21,22に光が到達しないように、平面視で、ダミー配線等も含めて、トランジスタ21,22が形成された領域全体に配置されるように設計される。
(カラー撮像素子の製造方法)
本発明の第1実施形態の変形例に係るカラー撮像素子の製造方法について、図7、図8、図11、および図10を参照して説明する。本変形例に係るカラー撮像素子10Aは、第1実施形態と同様に、透明基板91上に第1撮像素子11(図6参照)を製造する第1撮像素子製造工程S1と、Si基板20Aに第3撮像素子13Aおよび第2撮像素子12Aを製造する撮像素子積層体製造工程S2と、を順不同で行った後に、これらの基板20A,91を接合する基板接合工程S3を行って得られる。第1撮像素子製造工程S1は、第1実施形態で説明した通りである。以下、撮像素子積層体製造工程S2について、第1実施形態と異なる工程について詳細に説明する。
撮像素子積層体製造工程S2は、図11に示すように、シリコン処理工程S21Aと、第2画素電極形成工程S42と、第2光電変換膜形成工程S43と、第2対向電極成膜工程S44と、保護膜形成工程S46と、を行う。シリコン処理工程S21Aは、第1実施形態のシリコン処理工程S21(図9参照)と同様に、Si基板20Aに第3回路部63のトランジスタ21およびフォトダイオード23Aを形成し、その上に配線31Aを形成するが、本変形例ではさらに、第2回路部62Aのトランジスタ22および配線32を形成する。また、配線32の画素電極53に接続する部分を表面に露出させる。したがって、シリコン処理工程S21Aが第3撮像素子13Aを製造する第3撮像素子製造工程(下部撮像手段形成工程)S20Aであり、工程S21A,S42,S43,S44,S46すなわち撮像素子積層体製造工程S2の全工程が第2撮像素子12Aを製造する第2撮像素子製造工程S40Aである。言い換えると、第2撮像素子製造工程S40Aは、第1実施形態の第2撮像素子製造工程S40において第2薄膜トランジスタ形成工程S41に代えて、シリコン処理工程S21Aを行う。
第2画素電極形成工程S42は、画素毎に配線32が露出した絶縁膜83上に、透明電極材料を成膜すること以外は、第1実施形態と同様であり、以降の工程S43,S44,S46もそれぞれ第1実施形態と同様に行う。
基板接合工程S3は、第1実施形態と同様であり、本変形例では、Si基板20Aの表側が接合面となる。
以上のように、本発明の第1実施形態の変形例に係るカラー撮像素子によれば、第1実施形態と同様に、信号の読出し特性が良好となる上、入射光の焦点のずれが抑制され、また、光の入射側から所望の順序で各波長域の光を受光することができる。本変形例に係るカラー撮像素子によれば、さらに、第2撮像素子が、第3撮像素子と同様に、読出回路に単結晶シリコン基板に形成されたMOSFETを備えることで、信号の読出し特性に特に優れる。一方、第1撮像素子は透明基板に直接に高温プロセスで形成された読出回路を有するので、良好な信号の読出し特性となる。また、第3撮像素子を表面照射型CMOSイメージセンサとすることで、より簡易に製造することができる。
〔第2実施形態〕
第1実施形態で説明したように、本発明に係るカラー撮像素子は、最上層の第1撮像素子とそれ以外の第2、第3撮像素子とを別々に製造した後にこれらを接合することで、それぞれの接合面側に形成された第1撮像素子と第2撮像素子が、有機光電変換膜と高温プロセスで形成された薄膜トランジスタの両方を備えるものである。一方、最下層の第3撮像素子は、その上に第2撮像素子の読出回路の薄膜トランジスタを形成されるために、光電変換層としてSiフォトダイオードを備える。このことから、第2撮像素子の下側に耐熱性を有する光電変換層を追加することにより、可視光の3つの波長域の光に加え、例えば赤外線(IR)にも対応したカラー撮像素子が得られる。以下、第2実施形態に係るカラー撮像素子について説明する。第1実施形態およびその変形例と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
図12に示すように、第2実施形態に係るカラー撮像素子10Bは、上から順に、透明基板91、第1撮像素子11、第2撮像素子12、第4の波長域の光L4を電気信号に変換して出力する第4撮像素子14、第3撮像素子13を備える。したがって、カラー撮像素子10Bは、図2に示す第1実施形態に係るカラー撮像素子10の第2撮像素子12と第3撮像素子13の間に、第4撮像素子14を挿入した構成である。第4撮像素子14は、第4の波長域の光L4を吸収して電荷に変換し、かつ第3の波長域の光L3を透過する無機光電変換膜(第4の光電変換層)44、および前記電荷を電気信号として出力する第4回路層(第4の読出回路)64を備える。また、本実施形態においては、撮像素子11,12の有機光電変換膜41,42は、第4の波長域の光L4をさらに透過する。本実施形態では、第1、第2、第4、第3の波長域の光L1,L2,L4,L3を、それぞれ近赤外線LIR(波長750~900nm)、緑色光LG、青色光LB、赤色光LRに設定する。なお、図12では、カラー撮像素子10Bの下部(第3撮像素子13の一部)を省略して示す。また、図12に、カラー撮像素子10Bの画素間の境界を一点鎖線で表す。
カラー撮像素子10Bは、第1実施形態に係るカラー撮像素子10と同様に、透明基板91上に、フィルタおよびマイクロレンズを備えることができる(図示省略)。ただし、フィルタは、近赤外線LIRを透過するものとする。また、カラー撮像素子10Bは、第1有機光電変換膜41の上面(光の入射側の面、受光面)からフォトダイオード23の受光面までの距離(厚さ方向長)が短いことが好ましい。特に、可視光(光LR,LG,LB)を受光する第2有機光電変換膜42、無機光電変換膜44、およびフォトダイオード23について、第2有機光電変換膜42の上面からフォトダイオード23の上面までの距離が10μm以下であることが好ましい。さらに、第1有機光電変換膜41の上面からフォトダイオード23の上面までの距離が10μm以下であることがより好ましい。
撮像素子11,12,13の各構成は、第1実施形態に説明した通りである。ただし本実施形態では、第1撮像素子11の第1有機光電変換膜41は、赤外線LIRに感度を有し、可視光(LB,LG,LR)を透過させる有機材料が適用される。このような有機材料としては、フェニレンビニレン誘導体、スクエアリリウム誘導体等が挙げられる。また、第2撮像素子12の第2有機光電変換膜42は、緑色光LGに感度を有する有機材料が適用される。
(第4撮像素子)
第4撮像素子14は、下から順に、対向電極58、無機光電変換膜44、画素電極57、絶縁膜89、第4回路層64、層間膜85を積層して備える。したがって、第4撮像素子14は、第2撮像素子12に対して、第4回路層64と無機光電変換膜44の積層順を入れ替えた構成である。第4撮像素子14を構成するこれらの要素はいずれも、第3撮像素子13の耐熱温度(例えば450℃)を超えない処理条件で形成可能であり、かつ、耐熱温度が、第2撮像素子12、特に第2回路層62の形成温度以上で、具体的には300℃超、好ましくは350℃以上とする。第4撮像素子14は、第1実施形態の第1、第2撮像素子11,12と同じ等価回路図(図3、図4参照)で表される。
(無機光電変換膜)
無機光電変換膜44は、第1、第2撮像素子11,12の有機光電変換膜41,42に相当する光電変換層として、画素におけるフォトダイオードPD(図3、図4参照)を構成する。無機光電変換膜44は、前記したように、耐熱温度が300℃超、好ましくは350℃以上とする。そのため、無機光電変換膜44は無機材料からなるが、有機材料と異なり、そのバンドギャップ(吸収端)に対応する波長の光よりも高エネルギーの光はすべて吸収する。すなわち、無機光電変換膜44は、固有の波長域の光に感度を有してこれを吸収して電荷に変換し、これよりも長波長域の光のみを透過させる。したがって、第4撮像素子14は、第3撮像素子13が変換する第3の波長域の光L3(赤色光LR)よりも短波長域の光を変換するように無機光電変換膜44の材料を選択し、ここでは青色光LBに感度を有するものを選択する。無機光電変換膜44は、有機光電変換膜41,42と同様に、膜厚が50nm以上1μm以下であることが好ましい。
このような無機材料としては、太陽電池等に適用される、Cd,Se,S,Zn,As,In,P,Ga,Te,Si等の元素から選択される2種以上で構成される量子ドットが挙げられ、ドット径を変化させて、吸収端を青色光、緑色光、赤色光の任意の波長域に調整される。
また、青色光~緑色光に感度を有する、数~20原子%程度の水素原子を含有する非晶質シリコン(水素化アモルファスシリコン、a-Si:H)を適用することができる。カラー撮像素子10Bにおいては、上側2層の有機光電変換膜41,42によって、無機光電変換膜44には青色光LBと赤色光LRのみが入射するので、このような材料によれば、無機光電変換膜44は青色光LBを吸収、光電変換し、赤色光LRを透過する。また、赤色光に感度を有する無機材料として、非晶質シリコンゲルマニウム(a-SiGe)が挙げられる。
画素電極57と対向電極58は、無機光電変換膜44の両面に接続する一対の電極であり、第1、第2撮像素子11,12の画素電極51,53と対向電極52,54と同様の構成である。したがって、画素電極57および対向電極58は、画素電極51,53と同様の透明電極材料で形成することができる。さらに、画素電極57および対向電極58のいずれとも、高温(無機光電変換膜44および第3撮像素子13の耐熱温度以下)プロセスで成膜することができる。なお、ITOは、大気中等の酸化雰囲気で300℃を超えると、温度が高くなるにしたがい導電性が低下し、350℃を超えると十分な導電性が得られない。そのため、画素電極57および対向電極58は、表面が露出した状態やSiO2等の酸化膜に接触して、350℃を超える温度で第4回路層64、第2回路層62の半導体層6のアニール処理等を行う場合には、耐熱性に優れたSnO2,FTO等を適用する、またはFTO膜を導電性の高いITO膜に積層することが好ましい。
絶縁膜89は第4回路層64の下に設けられ、さらにその下の画素電極57と第4回路層64とを、コンタクトホールを通じて接続させる。絶縁膜89は、回路層61,62の保護膜88に挙げた無機材料を適用することができる。
第4回路層64は、回路層61,62と同様の構成である(図6参照)。ただし、第4回路層64は、無機光電変換膜44の上側に設けられる。そのため、第4回路層64は、下側の画素電極57に絶縁膜89のコンタクトホールを通じて接続するように、ソース・ドレイン電極72のパターンが設計され、一方、最上層の保護膜88にはコンタクトホールが形成されない。
層間膜85は、第2撮像素子12と第4撮像素子14の間、すなわち第2回路層62と第4回路層64の間に設けられる絶縁膜である。さらに層間膜85は、上に形成される第2回路層62の形成面を平坦にするための平坦化膜である。したがって、層間膜85は、第1、第2撮像素子11,12の保護膜81,82と同様に、第4回路層64の表面の凹凸に対応して厚さが不均一に形成される。層間膜85は、無機光電変換膜44および第3撮像素子13の耐熱温度以下で成膜可能であればよく、一方、無機光電変換膜44と同様の耐熱温度を有するように、絶縁膜89と同様に無機材料を適用され、2種以上を積層してもよい。あるいは、層間膜85は、第4回路層64の保護膜88と一体に形成されてもよい。層間膜85は、膜厚が保護膜88との合計で最大で3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。層間膜85は、膜厚の下限は特に規定されないが、成膜後にCMP法で表面を平滑に加工されて形成される場合には、最小で1μm以上であることが好ましい。
〔カラー撮像素子の製造方法〕
本発明の第2実施形態に係るカラー撮像素子の製造方法について、図7、図8、図13、および図12を参照して説明する。本実施形態に係るカラー撮像素子10Bは、透明基板91上に第1撮像素子11(図6参照)を製造する第1撮像素子製造工程S1と、Si基板20に第3撮像素子13、第4撮像素子14、および第2撮像素子12を製造する撮像素子積層体製造工程S2と、を順不同で行った後に、これらの基板20,91を接合する基板接合工程S3を行って得られる。第1撮像素子製造工程S1および基板接合工程S3は、第1実施形態で説明した通りである。撮像素子積層体製造工程S2は、図13に示すように、第3撮像素子13を製造する第3撮像素子製造工程S20と、第4撮像素子14を製造する第4撮像素子製造工程S30と、第2撮像素子12を製造する第2撮像素子製造工程S40を行う。すなわち、本実施形態では、図9に示す第1実施形態の撮像素子積層体製造工程S2の第3撮像素子製造工程S20の次に第4撮像素子製造工程S30を行って、その後に第2撮像素子製造工程S40を行う。第3撮像素子製造工程S20は、第1実施形態で説明した通りである。以下、第4撮像素子製造工程S30について説明する。
(第4撮像素子製造工程)
第4撮像素子製造工程S30は、第3撮像素子13の層間膜84上に透明電極膜を成膜して対向電極58を形成する第4対向電極成膜工程S31と、無機光電変換膜44を形成する第4光電変換膜形成工程S32と、透明電極膜で所定の領域に画素電極51を形成する第4画素電極形成工程S33と、絶縁膜89を成膜する絶縁膜成膜工程S34と、薄膜トランジスタで第4回路層64を形成する第4薄膜トランジスタ形成工程S35と、を行い、さらに第4回路層64上に層間膜85を成膜して、平坦な表面とする平坦化工程S36を行う。
層間膜84の上に透明電極材料を成膜して対向電極58とする(第4対向電極成膜工程S31)。次に、対向電極58の上に無機光電変換膜44を成膜する(第4光電変換膜形成工程S32)。無機光電変換膜44は、量子ドットであればスピンキャスト法等の溶液薄膜堆積法でコロイド分散液を堆積させて、a-Si:HであればプラズマCVD法等で、それぞれ公知の方法により成膜する。さらに、無機光電変換膜44の上に透明電極材料を成膜し、この透明電極膜を加工して画素電極57とする(第4画素電極形成工程S33)。工程S31,S33の透明電極膜の成膜、加工方法は、第1画素電極形成工程S12と同様である。
次に、絶縁膜89を構成するSiN等を成膜し(絶縁膜成膜工程S34)、この絶縁膜89の上に第4回路層64を形成する(第4薄膜トランジスタ形成工程S35)。第4薄膜トランジスタ形成工程S35は、第1、第2薄膜トランジスタ形成工程S11,S41と同様である。ただし、第3撮像素子13、無機光電変換膜44、および電極57,58の耐熱温度を超えない処理条件で行う。また、絶縁膜87およびゲート絶縁膜86と共に絶縁膜89を加工して、画素電極57上にコンタクトホールを形成する。一方、保護膜88の加工は不要である。
最後に、平坦化工程S36を行う。平坦化工程S36は、保護膜形成工程S16と同様に行うことができる。すなわち保護膜88上にSiO2等の絶縁膜をプラズマ化学気相成長(PECVD)法やスパッタ法等で成膜し、CMP法等により平坦、平滑な表面に加工して、層間膜85を形成する。または、Si化合物を塗布してSiO2に転化して層間膜85とする。
(第2撮像素子製造工程)
第2撮像素子製造工程S40は、第2薄膜トランジスタ形成工程S41で第2回路層62を第4撮像素子14の層間膜85上に形成する以外は、第1実施形態で説明した通りである。ただし、第3撮像素子13および第4撮像素子14の耐熱温度を超えない処理条件で行う。
本実施形態に係るカラー撮像素子10Bは、第2撮像素子12が近赤外線LIRを変換してもよい。また、第1撮像素子11または第2撮像素子12が青色光LBを変換してもよく、この場合には、第4撮像素子14が緑色光LGを変換する。あるいは、第1撮像素子11または第2撮像素子12が赤色光LRを変換してもよく、この場合には、第4撮像素子14が青色光LBを、第3撮像素子13が緑色光LGを、それぞれ変換する。
第4撮像素子14は、第2撮像素子12と同様に、無機光電変換膜44の下に第4回路層64を備えてもよい。この場合、第4撮像素子製造工程S30は、第2撮像素子製造工程S40と同様の手順となり、第2光電変換膜形成工程S43に代えて第4光電変換膜形成工程S32を行う。
本実施形態に係るカラー撮像素子10Bは、第3撮像素子13と第4撮像素子14が、それぞれ、第1実施形態の変形例に係るカラー撮像素子10A(図10参照)の第3撮像素子13Aと第2撮像素子12Aと同様の構造であってもよい。このようなカラー撮像素子10Bは、撮像素子積層体製造工程S2において、図11に示す手順で、第2撮像素子製造工程S40Aの第2光電変換膜形成工程S43に代えて第4光電変換膜形成工程S32を行って、第3撮像素子13Aおよび第4撮像素子14を形成する。その後、さらに第2撮像素子製造工程S40を行って、第2撮像素子12を第4撮像素子14の上に形成する。
以上のように、本発明の第2実施形態に係るカラー撮像素子によれば、第1実施形態と同様に、信号の読出し特性が良好となる上、入射光の焦点のずれが抑制され、さらに、赤外線撮像素子を搭載したものとなる。
〔第3実施形態〕
第1、第2実施形態では、最下層の第3撮像素子が光電変換層としてSiフォトダイオードを備えるが、耐熱性を有する材料であればよく、例えば、第2実施形態の第4撮像素子の無機光電変換膜を適用することもできる。以下、第3実施形態に係るカラー撮像素子について説明する。第1、第2実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
図14に示すように、第3実施形態に係るカラー撮像素子10Cは、透明基板91と、第1撮像素子11と、第2撮像素子12と、第3の波長域の光L3を吸収して電荷に変換する無機光電変換膜(第3の光電変換層)43および第3回路層(第3の読出回路)63Aを備える第3撮像素子13Bと、基板92と、を上から順に備え、無機光電変換膜43が上下面を対向電極56と画素電極33に挟まれている。すなわち、カラー撮像素子10Cは、図2に示す第1実施形態に係るカラー撮像素子10の第3撮像素子13を第3撮像素子13Bに置き換えた構成であり、第1、第2撮像素子11,12の構成は第1実施形態に説明した通りである。なお、図14に、カラー撮像素子10Cの画素間の境界を一点鎖線で表す。本実施形態では、第1、第2、第3の波長域の光L1,L2,L3を、それぞれ緑色光LG、赤色光LR、青色光LBに設定する。
(基板)
基板92は、第3撮像素子13B、さらにその上の第2撮像素子12を形成するための土台であり、上(光の入射側)に第3撮像素子13Bが形成される。基板92は、第3撮像素子13B、特に第3回路層63Aを形成するための耐熱温度を有する絶縁材料で形成される。具体的には、透明基板91と同様の透明基板材料や、表面に熱酸化膜を形成されたSi基板等が挙げられる。
(第3撮像素子)
第3撮像素子13Bは、下から順に、第3回路層63A、画素電極33、無機光電変換膜43、対向電極56、層間膜84Aを備える。第3撮像素子13Bを構成するこれらの要素はいずれも、耐熱温度が、第2撮像素子12、特に第2回路層62の形成温度以上で、具体的には300℃超、好ましくは350℃以上とする。第3撮像素子13Bは、第2実施形態に係るカラー撮像素子10Bの第4撮像素子14の積層順を第1、第2撮像素子11,12のように入れ替えた構成であり、第1、第2撮像素子11,12と同じ等価回路図(図3、図4参照)で表される。
無機光電変換膜43は、第2実施形態に係るカラー撮像素子10Bの無機光電変換膜44と同様の無機材料から、少なくとも第3の波長域の光L3(青色光LB)を吸収、変換するものを選択され、一方、光を透過しなくてよい。
画素電極33と対向電極56は、無機光電変換膜43の両面に接続する一対の電極である。画素電極33は、第1、第2撮像素子11,12の画素電極51,53と同様に、カラー撮像素子10Cの画素毎に区画、離間したパターンに形成される。ただし、画素電極33は、無機光電変換膜43の下面に接続するので、光を透過しなくてよく、第1実施形態に係るカラー撮像素子10の配線31等のように、金属電極材料で形成することができる。対向電極56は、第2実施形態に係るカラー撮像素子10Bの対向電極58と同様の構成で、全面に形成された透明電極膜であり、耐熱性を有し、高温(無機光電変換膜43の耐熱温度以下)プロセスで成膜することができる。
第3回路層63Aは、第1、第2撮像素子11,12の回路層61,62と同様に、薄膜トランジスタ(TFT)構造を有する。ただし、第3回路層63Aは、すべての光電変換層(有機光電変換膜41,42、無機光電変換膜43)の下側に設けられるので、光が入射せず、光を透過しなくてよい。したがって、第3回路層63Aは、第1実施形態の第3回路部63と同様にSi系材料を適用することができ、一例として、高い電子移動度を示す多結晶シリコン(poly-Si)からなる半導体層6Aを備える。このような第3回路層63Aは、半導体層6Aの上にゲート絶縁膜86を挟んでゲート電極71が設けられ、さらにその上に絶縁膜87が設けられる。また、ゲート電極71、ソース・ドレイン電極72、ならびに水平信号線および垂直信号線は、画素電極33と同様に、金属電極材料で形成されることが好ましい。
層間膜84Aは、第2撮像素子12と第3撮像素子13Bの間、すなわち第2回路層62と対向電極56の間に設けられる絶縁膜である。さらに層間膜84Aは、上に形成される第2回路層62の形成面を平坦にするための平坦化膜である。したがって、層間膜84Aは、第2実施形態に係るカラー撮像素子10Bの層間膜85と同様の構成とする。
〔カラー撮像素子の製造方法〕
本発明の第3実施形態に係るカラー撮像素子の製造方法について、図7、図8、図15、および図14を参照して説明する。本実施形態に係るカラー撮像素子10Cは、透明基板91上に第1撮像素子11(図6参照)を製造する第1撮像素子製造工程S1と、基板(下側基板)92上に第3撮像素子13Bおよび第2撮像素子12を製造する撮像素子積層体製造工程S2と、を順不同で行った後に、これらの基板91,92を接合する基板接合工程S3を行って得られる。第1撮像素子製造工程S1および基板接合工程S3は、第1実施形態で説明した通りである。撮像素子積層体製造工程S2は、図15に示すように、第3撮像素子13Bを製造する第3撮像素子製造工程(下部撮像手段形成工程)S20Bと、第2撮像素子12を製造する第2撮像素子製造工程S40を行う。第2撮像素子製造工程S40は、第1実施形態で説明した通りである。以下、第3撮像素子製造工程S20Bについて説明する。
(第3撮像素子製造工程)
第3撮像素子製造工程S20Bは、基板92上に薄膜トランジスタで第3回路層63Aを形成する第3薄膜トランジスタ形成工程S21Bと、金属電極材料で所定の領域に画素電極33を形成する第3画素電極形成工程S22と、無機光電変換膜43を形成する第3光電変換膜形成工程S23と、無機光電変換膜43に透明電極膜を積層して対向電極56を形成する第3対向電極成膜工程S24と、を行い、さらに対向電極56上に層間膜84Aを成膜して、平坦な表面とする平坦化工程S26Aを行う。
第3薄膜トランジスタ形成工程S21Bを行う。基板92上に非晶質Si(a-Si)をCVD法等で成膜し、600℃程度のアニール処理でa-Si膜をpoly-Siに結晶化する。poly-Si膜を加工して、半導体層6Aを形成する。この上にゲート絶縁膜86を成膜する。ゲート絶縁膜86上に、金属電極材料を成膜、加工して、ゲート電極71および画素選択線SL等の水平信号線を形成する。この上から半導体層6Aに不純物を注入する。次に、絶縁膜87を構成する絶縁膜を成膜し、この絶縁膜87あるいはさらにゲート絶縁膜86にコンタクトホールを形成する。この上に金属電極材料を成膜、加工して、ソース・ドレイン電極72および読出線OL等の垂直信号線を形成する。さらに、保護膜88を構成する絶縁膜を成膜し、コンタクトホールを形成する。
第3回路層63Aの上に、金属電極材料を成膜、加工して、画素電極33を形成する(第3画素電極形成工程S22)。そして、無機光電変換膜43を成膜し(第3光電変換膜形成工程S23)、さらにその上に透明電極膜を積層して対向電極56を形成する(第3対向電極成膜工程S24)。最後に、対向電極56の上に層間膜84Aを形成する(平坦化工程S26A)。これらの工程S23,S24,S26Aは、それぞれ第2実施形態の第4撮像素子製造工程S30の第4光電変換膜形成工程S32、第4対向電極成膜工程S31、平坦化工程S36(図13参照)と同様に行うことができる。
(変形例)
第3撮像素子13Bは、無機光電変換膜43の形成前に平坦化処理されてもよく、第3回路層63Aの保護膜88を平坦化膜とすることができる。詳しくは、第3薄膜トランジスタ形成工程S21Bにおいて、保護膜88を構成するSiO2等を第3回路層63Aの段差に対して十分な厚さ(例えば膜厚1μm超)に成膜し、CMP法で表面を研削して所定の厚さとし、かつ平坦な表面とした後に、コンタクトホールを形成する。この上に画素電極33を形成することで、第3撮像素子13Bの表面の段差が、隣り合う画素の間隙における画素電極33の膜厚によるものと、保護膜88のコンタクトホールによるもののみとなる。したがって、層間膜84Aは、その表面が平坦化されなくてよく、膜厚を小さく成膜して、カラー撮像素子10Cの受光面差を小さくすることができる。なお、第2撮像素子12の第2回路層62のトランジスタ(半導体層6)は、段差のない領域に配置されることが好ましい。
第3回路層63Aは、回路層61,62と同様に、酸化物半導体からなる半導体層6を備える光を透過するTFT構造(図6参照)としてもよく、この場合には、第3回路層63Aが無機光電変換膜43の上に設けられてもよい。このような第3撮像素子13Bは、第2実施形態に係るカラー撮像素子10B(図12参照)の第4撮像素子14と同様の構造となり、無機光電変換膜43の上面に透明電極膜で画素電極33を形成される。一方、無機光電変換膜43の下面に接続する対向電極56は、金属電極膜で形成することができる。
さらに、前記のように第3回路層63Aが無機光電変換膜43の上に設けられる場合、無機光電変換膜43に高温(例えば500℃以上)で形成される材料を適用することができる。具体的には、Cuと、In,Gaの少なくとも1種と、S,Seの少なくとも1種とを含有する組成CuIn1-xGax(Se1-yy)のカルコパイライト構造の化合物半導体(CIGS)膜が挙げられ、可視領域全体および近赤外線に感度を有する。さらに、無機光電変換膜43は、CIGS膜の上に、正孔注入阻止層として酸化ガリウム(Ga23)を積層して備えることが好ましい。また、無機光電変換膜43の下面に接続する対向電極56に、Mo等の高融点金属を適用する。
第3撮像素子13Bは、第1、第2実施形態と同様に、Si基板に形成されたMOSFETからなるトランジスタ21を有する第3回路部63を備える構成とすることもできる。この場合、第3撮像素子13Bは、第1実施形態の変形例に係るカラー撮像素子10A(図10参照)の第2撮像素子12Aと同様の構造となり、Si基板20A上に形成された配線31Aでトランジスタ21に画素電極33が接続される。
カラー撮像素子10Cは、第2実施形態と同様に、第2撮像素子12と第3撮像素子13Bの間に第4撮像素子14を挿入して、赤外線撮像素子を搭載したものとすることができる。さらにこのとき、無機光電変換膜43にCIGS膜を適用して、第3の波長域の光L3を近赤外線LIRに設定し、第1、第2、第4の波長域の光L1,L2,L4を、可視光(LB,LG,LR)に設定することもできる。
以上のように、本発明の第3実施形態に係るカラー撮像素子によれば、第1実施形態と同様に、信号の読出し特性が良好となる上、入射光の焦点のずれが抑制され、さらに、最下層の第3撮像素子が、第1、第2撮像素子と同様に画素の開口率が高くなり、また、光電変換層に結晶シリコンよりも吸収効率の高い非晶質シリコン等を適用することで薄型化される。また、第3撮像素子の読出回路にTFT構造を適用することで、いっそう薄型化されたものとなる。
以上、本発明に係るカラー撮像素子およびその製造方法を実施するための各実施形態について述べてきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
10,10A,10B,10C カラー撮像素子
11 第1撮像素子
12,12A 第2撮像素子
13,13A,13B 第3撮像素子
20,20A Si基板(下側基板)
21,22 トランジスタ
23,23A フォトダイオード(第3の光電変換層)
31,31A 配線
32 配線
33 画素電極
41 第1有機光電変換膜(第1の光電変換層)
42 第2有機光電変換膜(第2の光電変換層)
43 無機光電変換膜(第3の光電変換層)
44 無機光電変換膜(第4の光電変換層)
51,53,57 画素電極
52,54,56,58 対向電極
61 第1回路層(第1の読出回路)
62 第2回路層(第2の読出回路)
62A 第2回路部(第2の読出回路)
63 第3回路部(第3の読出回路)
63A 第3回路層(第3の読出回路)
64 第4回路層(第4の読出回路)
6 半導体層
71 ゲート電極
72 ソース電極、ドレイン電極
81,82 保護膜
83 絶縁膜
84,84A 層間膜
85 層間膜
86 ゲート絶縁膜
87 絶縁膜
88 保護膜
89 絶縁膜
91 透明基板
92 基板(下側基板)
S1 第1撮像素子製造工程(上部撮像手段形成工程)
S2 撮像素子積層体製造工程(撮像手段積層体形成工程)
S3 基板接合工程
S11 第1薄膜トランジスタ形成工程
S12 第1画素電極形成工程
S13 第1光電変換層形成工程
S14 第1対向電極成膜工程
S20,S20A,S20B 第3撮像素子製造工程(下部撮像手段形成工程)
S21,S21A シリコン処理工程
S21B 第3薄膜トランジスタ形成工程
S22 第3画素電極形成工程
S23 第3光電変換層形成工程
S24 第3対向電極成膜工程
S25 裏面研削工程
S30 第4撮像素子製造工程
S31 第4対向電極成膜工程
S32 第4光電変換層形成工程
S33 第4画素電極形成工程
S35 第4薄膜トランジスタ形成工程
S40,S40A 第2撮像素子製造工程
S41 第2薄膜トランジスタ形成工程
S42 第2画素電極形成工程
S43 第2光電変換層形成工程
S44 第2対向電極成膜工程

Claims (7)

  1. 第1の波長域の光を吸収して電荷に変換し、かつ第2の波長域第3の波長域、および第4の波長域の光を透過する第1の光電変換層と、前記第2の波長域の光を吸収して電荷に変換し、かつ前記第3の波長域および前記第4の波長域の光を透過する第2の光電変換層と、前記第4の波長域の光を吸収して電荷に変換し、かつ前記第3の波長域の光を透過する第4の光電変換層と、少なくとも一部の領域において前記第3の波長域の光を吸収して電荷に変換する第3の光電変換層と、を上から順に備え、複数の波長域を含む光を上から入射されるカラー撮像素子であって、
    薄膜トランジスタを備えて前記第1の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第1の読出回路を、前記第1の光電変換層よりも上に備え、
    薄膜トランジスタを備えて前記第2の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第2の読出回路を、前記第2の光電変換層よりも下かつ前記第4の光電変換層よりも上に備え、
    前記第4の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第4の読出回路を、前記第2の読出回路よりも下に備え、
    前記第3の光電変換層が変換した電荷を電気信号として出力させる第3の読出回路を、前記第の光電変換層よりも下に備え、
    前記第1の光電変換層および前記第2の光電変換層のそれぞれは、有機材料を含有し、両面を透明電極膜で挟まれ
    前記第3の光電変換層および前記第4の光電変換層は無機材料からなることを特徴とするカラー撮像素子。
  2. 前記第4の読出回路は、薄膜トランジスタを備え、前記第3の光電変換層および前記第3の読出回路よりも上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカラー撮像素子。
  3. 前記第3の読出回路は、結晶シリコンを含む金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを備え、前記第3の光電変換層よりも下に設けられていることを特徴とする請求項に記載のカラー撮像素子。
  4. 前記第3の光電変換層は、結晶シリコンで形成された埋込みフォトダイオードを備え、
    前記第3の読出回路は、前記第3の光電変換層に設けられた結晶シリコンを含む金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを備えることを特徴とする請求項2に記載のカラー撮像素子。
  5. 前記第3の光電変換層は、結晶シリコンで形成された埋込みフォトダイオードを備え、
    前記第3の読出回路および前記第4の読出回路は、前記第3の光電変換層に設けられた結晶シリコンを含む金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを備えることを特徴とする請求項1に記載のカラー撮像素子。
  6. 前記第1の光電変換層の上面から前記第3の光電変換層の上面までの距離が10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のカラー撮像素子。
  7. 前記第2の波長域の光と、前記第4の波長域の光と、前記第1の波長域または前記第3の波長域の光の一方と、が可視光で、他方が可視領域外の光であって、
    可視光を吸収する前記第1の光電変換層の上面から前記第4の光電変換層の上面までの距離、または前記第2の光電変換層の上面から可視光を吸収する前記第3の光電変換層の上面までの距離が、10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のカラー撮像素子。
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