JP7083294B2 - パルプ用洗浄剤 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、従来の非イオン性界面活性剤に比して、パルプに付着しているリグニン分解物及び樹脂等の有機物(汚れ成分)を取り除く機能に優れた界面活性剤を含有するパルプ洗浄剤を提供することを目的とする。
R1O[(C2H4O)p/(C3H6O)q]H (1)
[一般式(1)中、R1は炭素数8~9の分岐のアルキル基を表し;pはエチレンオキシ基の数平均付加モル数で、1~5の数であり;qはプロピレンオキシ基の数平均付加モル数で、1~10の数であり;[(C2H4O)p/(C3H6O)q]はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加形式がランダム状又はブロック状であることを表す。]
なお、非イオン性界面活性剤(X)は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
R1O[(C2H4O)p/(C3H6O)q]H (1)
炭素数8~9の分岐のアルキル基としては、炭素数8~9の分岐のアルキル基であって、メチル基を2個有するアルキル基(r1)、メチル基を3個有するアルキル基(r2)、メチル基を4個有するアルキル基(r3)及びメチル基を5個以上有するアルキル基(r4)等が挙げられる。
pが1未満であるとリグニン等に対する洗浄性が悪化する。
pが5を超えるとリグニン等に対する洗浄性が悪化する。
また、pは、リグニン等に対する洗浄性の観点から1~3の数であることが好ましい。
qが1未満であるとリグニン等に対する洗浄性が悪化する。
qが10を超えるとリグニン等に対する洗浄性が悪化する。
また、qは、リグニン等に対する洗浄性の観点から2~8の数であることが好ましく、3~7の数であることが更に好ましい。
なお、p又はqで表される数平均付加モル数は、非イオン性界面活性剤(X)の分子集団における各付加モル数の分子当たりの数平均値である。
p及びqは、非イオン性界面活性剤(X)が後に詳述する通り、「R1に水酸基が結合したアルコール」に、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを付加反応させて製造した場合には、反応原料の仕込みモル数に基づいて算出することもできる。
また、pとqの関係としては、リグニン等に対する洗浄性の観点からq≧pであることが好ましい。
[(C2H4O)p/(C3H6O)q]はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加形式がランダム状又はブロック状であることを表す。
ここで、[(C2H4O)p/(C3H6O)q]のエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加形式は、リグニン等に対する洗浄性の観点からブロック状であることが好ましく、その場合、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基のブロック付加形式はエチレンオキシ基ブロック-プロピレンオキシブロックの順とその逆の場合もあり得るが、なかでも[(C3H6O)q-(C2H4O)p]であること[即ち、「R1O」に(C3H6O)qが結合し、続いて(C2H4O)pがブロック状に結合する付加形式]が更に好ましい。
前記のキレート剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記のビルダーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
パルプの洗浄工程は、向流多段洗浄が一般的である。真空型フィルターや加圧型フィルター、プレスフィルター等様々な洗浄装置を2台~6台連結してパルプを洗浄する方法である。最後段の洗浄装置にのみ、ボイラー回収温水を使用し、その洗浄ろ液を一段前の洗浄装置の洗浄水として用い、その洗浄ろ液を更にもう一段前の洗浄装置の洗浄水として用いるので、向流洗浄と呼ぶ。この場合、リグニン等の汚れ成分有機物は、最前段のろ液に濃縮される事となり、回収が容易になる。また、洗浄装置の中間に、酸素脱リグニン反応塔を設置し、リグニンの脱離を促進する例もある。
パルプ洗浄剤はこの洗浄工程に添加する。具体的には、パルプ移送ライン及びろ液循環ライン等への添加であり、上記の向流多段洗浄では、最後段の洗浄機入口に添加する事が効率的である。ただし、最後段の洗浄機への添加に限定するものではなく、パルプの滞留時間及び洗浄機形式等の因子によっては、すべての洗浄機入口への添加が効率的な場合もある。パルプ洗浄剤の添加量は、0.1~1.5kg/パルプt(この場合のパルプは乾燥パルプを指す)であることが好ましい。
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中に3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144重量部(1モル部)、水酸化カリウム0.5重量部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でプロピレンオキサイド232重量部(4モル部)を5時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した(1段階目)。次いでエチレンオキサイド88重量部(2モル部)を3時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した(2段階目)。その後60℃に冷却し、酢酸0.5重量部で中和し、非イオン性界面活性剤(X-1)を得た。
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中に3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144重量部(1モル部)、水酸化カリウム0.5重量部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でエチレンオキサイド88重量部(2モル部)を3時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した(1段階目)。次いでプロピレンオキサイド232重量部(4モル部)を5時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した(2段階目)。その後60℃に冷却し、酢酸0.5重量部で中和し、非イオン性界面活性剤(X-2)を得た。
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中に3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144重量部(1モル部)、水酸化カリウム0.5重量部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でエチレンオキサイド88重量部(2モル部)及びプロピレンオキサイド232重量部(4モル部)を同時に5時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した。その後60℃に冷却し、酢酸0.5重量部で中和し、非イオン性界面活性剤(X-3)を得た。
製造例1において、プロピレンオキサイド232重量部(4モル)を174重量部(3モル部)に、エチレンオキサイド88重量部(2モル部)を132重量部(3モル部)に変更した以外は製造例1と同様に製造し、非イオン性界面活性剤(X-4)を得た。
製造例1において、プロピレンオキサイド232重量部(4モル)を58重量部(1モル部)に、エチレンオキサイド88重量部(2モル部)を220重量部(5モル部)に変更した以外は製造例1と同様に製造し、非イオン性界面活性剤(X-5)を得た。
製造例1において、プロピレンオキサイド232重量部(4モル)を174重量部(3モル部)に、エチレンオキサイド88重量部(2モル部)を44重量部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様に製造し、非イオン性界面活性剤(X-6)を得た。
製造例1において、プロピレンオキサイド232重量部(4モル)を580重量部(10モル部)に、エチレンオキサイド88重量部(2モル部)を44重量部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様に製造し、非イオン性界面活性剤(X-7)を得た。
製造例1において、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144重量部(1モル部)を2-エチル-1-ヘキサノール130重量部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様に製造し、非イオン性界面活性剤(X-8)を得た。
製造例1において、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144重量部(1モル部)を2-デカノール158重量部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様に製造し、比較用の非イオン性界面活性剤(X’-1)を得た。
製造例1において、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144重量部(1モル部)を4-メチル-1-ペンタノール102重量部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様に製造し、比較用の非イオン性界面活性剤(X’-2)を得た。
製造例1において、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール144重量部(1モル部)を1-オクタノール130重量部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様に製造し、比較用の非イオン性界面活性剤(X’-3)を得た。
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中に2-エチル-1-ヘキサノール130重量部(1モル部)、水酸化カリウム0.5重量部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でプロピレンオキサイド232重量部(4モル部)を5時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した。その後60℃に冷却し、酢酸0.5重量部で中和し、比較用の非イオン性界面活性剤(X’-4)を得た。
製造例8において、エチレンオキサイド88重量部(2モル部)を264重量部(6モル部)に変更した以外は製造例8と同様に製造し、比較用の非イオン性界面活性剤(X’-5)を得た。
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中に2-エチル-1-ヘキサノール130重量部(1モル部)、水酸化カリウム0.5重量部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でエチレンオキサイド88重量部(2モル部)を5時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した。その後60℃に冷却し、酢酸0.5重量部で中和し、比較用の非イオン性界面活性剤(X’-6)を得た。
製造例8において、プロピレンオキサイド232重量部(2モル部)を638重量部(11モル部)に変更した以外は製造例8と同様に製造し、比較用の非イオン性界面活性剤(X’-7)を得た。
表1に記載の非イオン界面活性剤(X-1)~(X-8)及び比較用の非イオン界面活性剤(X’-1)~(X’-7)をパルプ用洗浄剤として用いて、以下の方法により、白色度及び溶剤抽出量を評価した。
なお、表1においてのみ、「(EO)」と「(PO)」との間の「-」は、「(EO)」及び「(PO)」がブロック状に結合していることを示し、また、「(EO)」と「(PO)」との間の「/」は、「(EO)」及び「(PO)」がランダム状に結合していることを示す。
針葉樹未晒しパルプ製造工場提供の洗浄工程出口パルプを純水で2%濃度に希釈し、試験スラリーとした。試験スラリー500部を恒温水槽で70℃に加温後、対パルプとして100ppmとなるよう0.001部のパルプ用洗浄剤を添加し、ブレンダー(ブラウン社製MR5555MCA 撹拌強度10)で1分間撹拌した。このスラリーを-30kPaで吸引ろ過してシートを作成した。次にシートをろ紙で挟み、シートマシン用プレス[熊谷理機工業(株)製]を用いて、圧力0.35MPaで3分間プレスした後、23℃、湿度20%の恒温恒湿室で24時間静置し、白色度測定装置(TECHNIDYNE社製 カラータッチ2ISOモデル)で白色度を測定した。
前記の白色度測定後のシートの重量を秤量し、ソックスレー抽出用円筒ろ紙に投入した。これを連続ソックスレー抽出装置[柴田科学(株)製B811型LSVタイプ]にセットし、溶媒(体積比ヘキサン:エタノール=1:1)で抽出した。抽出条件は加熱時間4時間10分、リンス時間は1時間とした。ヒーター設定は16でエタノールの沸点以上を維持した。抽出液の溶媒を除去し、抽出物の重量を秤量した。溶剤抽出量はシート10gに対する抽出物の固形分重量をmgで示した。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(X)を含むパルプ用洗浄剤であって、一般式(1)において、R 1 が3,5,5-トリメチルヘキサン-1-イルである、パルプ用洗浄剤。
R1O[(C2H4O)p/(C3H6O)q]H (1)
[一般式(1)中、R1は炭素数8~9の分岐のアルキル基を表し;pはエチレンオキシ基の数平均付加モル数で、1~5の数であり;qはプロピレンオキシ基の数平均付加モル数で、1~10の数であり;[(C2H4O)p/(C3H6O)q]はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加形式がランダム状又はブロック状であることを表す。] - 一般式(1)において、p+qが3~10の数である請求項1に記載のパルプ用洗浄剤。
- 一般式(1)において、q≧pである請求項1又は2に記載のパルプ用洗浄剤。
- 一般式(1)において、[(C2H4O)p/(C3H6O)q]のエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加形式が、ブロック状である請求項1~3のいずれか1項に記載のパルプ用洗浄剤。
- エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基のブロック状である付加形式が、[(C3H6O)q-(C2H4O)p]である請求項4に記載のパルプ用洗浄剤。
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