JP5519203B2 - クラフトパルプの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クラフトパルプ用洗浄剤及び該洗浄剤を用いたクラフトパルプの製造方法に関する。
クラフトパルプは、一般に、木材チップを苛性ソーダ及び硫化ソーダの混合液で蒸解する蒸解工程と、該蒸解工程で生成されたパルプスラリーからリグニンを含む黒液を分離する分離工程とを経て製造される。
最新のクラフトパルプ製造設備では、排水負荷を軽減することを目的として、分離工程後に、アルカリ性、高温加圧下で酸素を作用させる酸素脱リグニン反応工程が行われる。この酸素脱リグニン反応工程の後に、パルプを洗浄することにより、未漂白パルプ(未晒クラフトパルプ)を製造して、この未漂白パルプをダンボール(板紙)などに使用したり、更に、未漂白パルプを漂白して、白色度を向上させた漂白パルプを製造して、この漂白パルプを上質紙などに使用している。
漂白は多段にわたる漂白処理(多段漂白)により実施されている。この多段漂白には、漂白剤として、二酸化塩素、過酸化水素などが一般的に使用されている。また、漂白効率を高める方法として、漂白工程に漂白助剤を添加する方法が提案されており、例えば、多価アルコール、多価フェノール、又はこれらのアルキレンオキシド付加物と脂肪族1価アルコールとのエーテル化物を漂白助剤として使用する方法(特許文献1参照)、特定の水溶性高分子及び/又は過酸化物、並びに非イオン性界面活性剤の組み合わせからなる漂白助剤を用いる方法(特許文献2参照)、などが提案されている。
しかし、漂白剤として二酸化塩素を使用した場合、漂白排水中に含まれる有機塩素化合物が環境に対する汚染源となり得るため、漂白排水を活性汚泥処理などする必要があるという問題や、二酸化塩素などの漂白剤価格の高騰に伴う、製造コストの上昇などの問題があることから、その使用量の削減が求められている。
また、パルプ洗浄方法として、パルプ製造方法の各種洗浄工程にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤を添加するパルプ洗浄方法(特許文献3)、蒸解工程後の洗浄工程に界面活性剤を添加するパルプ洗浄方法(特許文献4)、などが提案されている。
特開平5−186987号公報 特開2002−180391号公報 特開平5−302284号公報 特開2005−336620号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、パルプの洗浄効率及びパルプ製造におけるエネルギー効率を向上させることができ、特に、酸素脱リグニン反応工程後に漂白剤によるパルプの漂白を行う場合、酸素脱リグニン反応工程後のパルプの白色度を向上させることができ、もって、漂白剤の添加量を削減でき、発泡を防止し、消泡剤の添加量を削減することができるクラフトパルプ用洗浄剤、及び該洗浄剤を用いたクラフトパルプ製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 蒸解されたパルプ原料に含まれるリグニン成分を酸素を用いて分解した後に、前記パルプ原料を洗浄するのに用いられる洗浄剤であって、(i)下記一般式(1)で表される高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、(ii)下記一般式(2)で表される脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体、(iii)多価アルコールにエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)をモル比でEO:PO=30:70〜0:100で付加させて得られた、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテル、及び(iv)多価アルコール脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの少なくともいずれか、から選択される少なくとも1種であって、Daviesの基数を用いて下記計算式(1)より算出されたHLBが6未満の非イオン性化合物を含有することを特徴とするクラフトパルプ用洗浄剤である。
O−(PO)n−[(EO)m・(PO)k]H・・・・一般式(1)
(前記一般式(1)中、Rは、炭素数10〜20の直鎖又は分岐のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、及びkは、平均付加モル数を表し、nは、11〜20を表し、mは、1〜8を表し、kは、1〜80を表す。EO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO)m・(PO)k]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。)
−CO−[(EO)p・(PO)q]−OR・・・・一般式(2)
(前記一般式(2)式中、Rは、炭素数10〜20の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを、Rは、炭素数1〜8の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。EO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO)p・(PO)q]における付加形態は、ブロック及びランダムのいずれであってもよく、p及びqは、平均付加モル数であり、pは、0〜20、qは、1〜10である。)
HLB=7+Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)・・・・(計算式(1))
<2> パルプ原料を蒸解する蒸解工程と、前記蒸解されたパルプ原料に含まれるリグニン成分を酸素を用いて分解する酸素脱リグニン反応工程と、前記酸素脱リグニン反応工程に続いて前記パルプ原料を洗浄する洗浄工程と、を含むクラフトパルプ製造方法であって、前記洗浄工程において、(i)下記一般式(1)で表される高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、(ii)下記一般式(2)で表される脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体、(iii)多価アルコールにエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)をモル比でEO:PO=30:70〜0:100で付加させて得られた、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテル、及び(iv)多価アルコール脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの少なくともいずれか、から選択される少なくとも1種であって、Daviesの基数を用いて下記計算式(1)より算出されたHLBが6未満の非イオン性化合物を含有するクラフトパルプ用洗浄剤を添加することを特徴とするクラフトパルプの製造方法である。
O−(PO)n−[(EO)m・(PO)k]H・・・・一般式(1)
(前記一般式(1)中、Rは、炭素数10〜20の直鎖又は分岐のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、及びkは、平均付加モル数を表し、nは、11〜20を表し、mは、1〜8を表し、kは、1〜80を表す。EO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO)m・(PO)k]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。)
−CO−[(EO)p・(PO)q]−OR・・・・一般式(2)
(前記一般式(2)式中、Rは、炭素数10〜20の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを、Rは、炭素数1〜8の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。EO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO)p・(PO)q]における付加形態は、ブロック及びランダムのいずれであってもよく、p及びqは、平均付加モル数であり、pは、0〜20、qは、1〜10である。)
HLB=7+Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)・・・・(計算式(1))
<3> 洗浄工程後に、パルプ原料を漂白する漂白工程を更に含む前記<2>に記載のクラフトパルプの製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、パルプの洗浄効率及びパルプ製造におけるエネルギー効率を向上させることができ、特に、パルプの漂白を行う場合、酸素脱リグニン反応工程後のパルプの白色度を向上させることができ、もって、漂白剤の添加量を削減でき、発泡を防止し、消泡剤の添加量を削減することができるクラフトパルプ用洗浄剤、及び該洗浄剤を用いたクラフトパルプ製造方法を提供することができる。
図1は、本発明のクラフトパルプの製造方法の一例を説明するための概略図である。 図2は、本発明のクラフトパルプの製造方法の他の一例を説明するための概略図である。 図3は、図2における洗浄機A及びBを説明するための概略図である。
(クラフトパルプ用洗浄剤)
本発明のクラフトパルプ用洗浄剤は、蒸解されたパルプ原料に含まれるリグニン成分を酸素を用いて分解した後に、前記パルプ原料を洗浄するのに用いられ、少なくとも特定の非イオン性化合物を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
<非イオン性化合物>
本発明に用いられる前記非イオン性化合物としては、(i)高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、(ii)脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体、(iii)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテル、及び(iv)多価アルコール脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの少なくともいずれか、から選択される少なくとも1種であって、Daviesの基数を用いて下記計算式(1)より算出されたHLBが6未満の非イオン性化合物である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記非イオン性化合物のDaviesの基数を用いて下記計算式(1)より算出されたHLBとしては、6未満である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5未満が好ましく、3未満がより好ましい。
前記HLBが6以上であると、着色成分との親和性が低下し白色度向上効果が低下する。一方、前記HLBがより好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が高まり、高い白色度向上効果が得られる点で有利である。
下記計算式(1)及びDaviesの基数は、例えば、油脂科学便覧(日本油化学協会編)や界面活性剤ハンドブック(日本油脂株式会社編)に記載されており、化合物の構造が分かれば、下記計算式(1)に基づいて容易に計算して求めることができる。
HLB=7+Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)・・・・(計算式(1))
−(i)高級アルコールのアルキレンオキシド付加体−
前記(i)高級アルコールのアルキレンオキシド付加体としては、下記一般式(1)で表される化合物であって、Daviesの基数を用いて前記計算式(1)より算出されたHLBが6未満である化合物を使用することができる。
O−(PO)−[(EO)・(PO)]H ・・・ 一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数10〜20の直鎖又は分岐のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、及びkは、平均付加モル数を表し、nは、11〜20を表し、mは、1〜8を表し、kは、1〜80を表す。EO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO)・(PO)]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。
なお、前記平均付加モル数とは、使用するアルコール1モルに対して反応させるエチレンオキシド、プロピレンオキシドのモル数を意味する。
前記一般式(1)中、ROで表されるアルコール残基を形成する高級アルコールにおいて、Rの炭素数としては、10〜20である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、白色度の向上効果と低温時のハンドリング性とをより両立することができる点で、12〜18が好ましい。前記炭素数が10未満であると、有色成分との親和性が低下し、白色度向上効果が低下することがある。一方、前記炭素数が20を超えると、融点が高くなりすぎて、低温時のハンドリング性が損なわれることがあり、また、有色成分との親和性が低下し白色度向上効果が低下することがある。また、原料となる高級脂肪酸が自然界に殆ど存在しないことから、経済的にも不利となる。
前記ROで表されるアルコール残基を形成する高級アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分岐を有する合成アルコールであっても、直鎖で分布を有する天然系アルコールであってもよく、例えば、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、などが挙げられる。これらの中でも、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールが、白色度の向上効果と低温時のハンドリング性とを両立することができる点で、好ましい。また、高級アルコールとしては、上記アルコールの混合物を使用することもできる。
前記高級アルコール残基ROに直接付加しているプロピレンオキサイドの付加モル数nとしては、11〜20である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、11〜15が好ましい。
前記nが、11以上とすることで疎水性と親水性のバランスがとれ、着色成分との親和性がより良好となる。一方、20を超えると、疎水性が強くなり過ぎ、着色成分との親和性が低下し白色度向上効果が低下することがある。一方、前記nが好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が高まり高い白色度向上効果が得られる点で有利である。
一般式(1)中におけるmとしては、1〜8である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜6が好ましい。
前記mが、1未満とすると疎水性が強くなり過ぎ、着色成分との親和性が低下し白色度向上効果が低下することがある。一方、8を超えると、水との親和性が高くなり着色成分との親和性が低下し十分な白色度向上効果が得られないことがある。一方、前記mが好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が高まり高い白色度向上効果を得られる点で有利である。
一般式(1)中におけるkとしては、1〜80である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜30が好ましい。
前記kが、1未満であると、着色成分との親和性が低下することがあり、80を超えると、製造に多大な時間を要するために経済的に不利となることがある。一方、前記kが好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が高まり高い白色度向上効果を得られる点で有利である。
アルキレンオキシドの付加モル総数(n+m+k)に対するエチレンオキシド付加モル数(m)の割合としては、1.5モル%〜40モル%が好ましく、2.0モル%〜25モル%がより好ましい。
前記アルキレンオキシドの付加モル総数(n+m+k)に対するエチレンオキシド付加モル数の割合が、1.5モル%未満であると、疎水性が強くなりすぎ、着色成分との親和性が低下することがあり、40モル%を超えると、親水性が強くなりすぎるために、十分な白色度効果を得られないことがある。一方、前記アルキレンオキシドの付加モル総数(n+m+k)に対するエチレンオキシド付加モル数の割合が好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が高まり十分な白色度向上効果を得られる点で有利である。
前記一般式(1)の非イオン性化合物のHLBが6未満となるように、アルコール残基を形成する高級アルコールの炭素数や、付加モル数n、m、kを決定する。
前記一般式(1)で表される化合物は、原料アルコールに触媒としてアルカリを添加し、アルキレンオキシドを一般に行われている条件下で処理することにより製造することができる。この製造において使用するアルカリとして、KOH、NaOH、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、などを挙げることができる。
−(ii)脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体−
前記(ii)脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体としては、下記一般式(2)で表される化合物であって、Daviesの基数を用いて前記計算式(1)より算出されたHLBが6未満である化合物が使用できる。
−CO−[(EO)p・(PO)q]−OR ・・・ 一般式(2)
前記一般式(2)式中、Rは、炭素数10〜20の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを、Rは、炭素数1〜8の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。EO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO)p・(PO)q]における付加形態は、ブロック及びランダムのいずれであってもよく、p及びqは、平均付加モル数であり、pは、0〜20、qは、1〜10である。
なお、前記平均付加モル数とは、使用する脂肪酸アルキルエステル1モルに対して反応させるエチレンオキシド、プロピレンオキシドのモル数を意味する。
前記一般式(2)における(R−CO−)は、対応する脂肪酸残基である。前記脂肪酸残基の炭素数としては、10〜20である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、12〜18が好ましい。前記炭素数が10未満であると、有色成分との親和性が低下し、白色度向上効果が低下することがある。一方、前記炭素数が20を超えると、融点が高なりすぎて低温時のハンドリング性が損なわれることがある。対応する脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、などが挙げられる。
前記一般式(2)におけるRは、炭素数1〜8の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜3の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
前記脂肪酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル、カプリン酸イソプロピル、カプリン酸イソブチル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソブチル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸イソブチル、オレイン酸2−エチルヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、リノール酸イソブチル、リノール酸2−エチルヘキシル、リノレン酸メチル、リノレン酸エチル、リノレン酸イソプロピル、リノレン酸イソブチル、リノレン酸2−エチルヘキシルが使用できる。このような脂肪酸エステルの市販品として、例えば、パステルM−12、パステルM−14、パステルM−16、パステルM−180、パステルM−181、パステルM−182、パステル2H−08、パステル2H−16(以上ライオン(株)製品)が使用できる。本発明においては、上記の様な脂肪酸エステルを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記一般式(2)におけるポリオキシエチレン基の付加モル数pとしては、0〜20である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜10が好ましい。
前記pが、20を超えると、着色成分との親和性が低下し白色度向上効果が十分に得られないことがある。一方、前記pが好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が十分に得られ高い白色度向上効果が得られる点で有利である。
ポリオキシプロピレン基の付加モル数qとしては、0〜10である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜7が好ましい。
前記qが、10を超えると、製造性が悪化し目的の化合物が得られないことがある。一方、前記qが好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が十分に得られ高い白色度向上効果が得られる点で有利である。
アルキレンオキシドの付加モル総数(p+q)に対するエチレンオキシド付加モル数(p)の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0モル%〜80モル%が好ましく、0モル%〜75モル%がより好ましい。
前記アルキレンオキシドの付加モル総数(p+q)に対するエチレンオキシド付加モル数(p)の割合が、80モル%を超えると、白色度向上効果が得られないことがある。一方、前記アルキレンオキシドの付加モル総数(p+q)に対するエチレンオキシド付加モル数(p)の割合が好ましい範囲内であると、着色物質との親和性が高まり高い白色度向上効果が得られる点で有利である。
脂肪酸エステルのアルキル鎖長に応じて、HLBが6未満となるように、p及びqを決定する。
前記脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにPOとEOをブロック付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)や、前記ROに相当する低級アルコールに同様に複合金属酸化物触媒を用いてブロック付加重合(特開9−262456号公報参照)した後に、対応する脂肪酸エステルとエステル交換あるいは対応する脂肪酸とエステル化を行う方法や、さらには前記低級アルコールにアルカリ触媒を用いてPOとEOのブロック付加重合を行った後、適宜未反応の低級アルコールや低付加モル数成分を蒸留除去することで所望の付加モル数分布に制御した後、対応する脂肪酸エステルとエステル交換あるいは対応する脂肪酸とエステル化を行う方法などが挙げられる。
−(iii)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテル−
前記(iii)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテル(多価アルコールのポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加体)は、多価アルコールにアルカリの存在下で、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを付加させることなどにより得ることができる。
前記多価アルコールとしては、炭素数3〜6個、水酸基2〜4個を有する多価アルコールから選択され、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、グリセリン、ペンタエリスリトールが好ましい。
前記多価アルコールのポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加体(多価アルコールのポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加体)は、多価アルコールの全ての水酸基にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基が付加した構造のものであっても、多価アルコールの水酸基の一部にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基が付加した構造のものであってもよい。または、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基ランダム付加体でもブロック付加体でもよい。
前記多価アルコールに対する前記エチレンオキシド(EO)と前記プロピレンオキシド(PO)の付加モル比としては、EO:PO=30:70〜0:100であって、Daviesの基数を用いて前記計算式(1)より算出されたHLBが6未満である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20:80〜0:100が好ましく、15:85〜0:100がより好ましく、EO:PO=10:90〜0:100が特に好ましい。
前記EO:POが、30超:70未満であると、着色成分との親和性が低下し十分な洗浄効果が得られないことがある。一方、前記EO:POが好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が高まり十分な白色度向上効果が得られる点で有利である。
ポリオキシエチレン基及びポリオキシプロピレン基の付加モル数は、前記HLBが6未満となるように決定される。
前記ポリオキシエチレン基の付加モル数としては、0〜10である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜5が好ましい。
前記ポリオキシエチレン基の付加モル数が、10を超えると、着色成分との親和性が低下し十分な洗浄効果が得られないことがある。一方、前記ポリオキシエチレン基の付加モル数が好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が高まり十分な白色度向上効果が得られる点で有利である。
また、ポリオキシプロピレン基の付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜100が好ましく、35〜90がより好ましく、50〜70が特に好ましい。
前記ポリオキシプロピレン基の付加モル数が、20未満であると、着色成分との親和性が低下し十分な洗浄効果が得られないことがあり、100を超えると、経済的に不利となることがある。一方、前記ポリオキシプロピレン基の付加モル数が好ましい範囲内であると、着色成分との親和性が高まり十分な白色度向上効果が得られる点で有利である。
−(iv)多価アルコール脂肪酸エステル/ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル−
前記(iv)多価アルコール脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルのいずれかとしては、Daviesの基数を用いて前記計算式(1)より算出されたHLBが6未満である限り、特に制限なく使用することができ、目的に応じて適宜選択することができるが、より高い白色度向上効果が得られる点で、前記多価アルコール脂肪酸エステルよりも前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルが好ましい。
前記多価アルコール脂肪酸エステル及び前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルを構成する多価アルコールとしては、炭素数3個〜6個、水酸基2〜4個を有する多価アルコールから選択され、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトールが好ましく、トリメチロールプロパン、ジグリセリンがより好ましい。
多価アルコール脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数6〜22の飽和又は不飽和脂肪酸から選択され、直鎖状脂肪酸でも分岐鎖脂肪酸のいずれであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、炭素数が6〜18の脂肪酸が好ましく、炭素数が6〜12の脂肪酸がより好ましい。
前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルは、多価アルコールのアルキレンオキシド付加体と脂肪酸メチルエステルとのエステル交換反応等によって得ることができる。
前記多価アルコールのアルキレンオキシド付加体は、前記多価アルコールにアルカリの存在下で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加させることなどにより得ることができる。
前記多価アルコールのアルキレンオキシド付加体と脂肪酸メチルエステルとのエステル交換反応の触媒としては、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムアルコラートなどが挙げられる。
前記多価アルコールのアルキレンオキシド付加体は、多価アルコールの全ての水酸基にアルキレンオキシドが付加した構造のものであっても、多価アルコールの水酸基の一部にアルキレンオキシドが付加した構造のものであってもよい。また、前記アルキレンオキシドは、1種のみが付加したものでも2種以上が付加したものでもよく、2種以上のアルキレンオキシドが付加した付加体は、ランダム付加体でもブロック付加体でもよい。
多価アルコールに付加するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが挙げられ、好ましくは、プロピレンオキシドである。
前記多価アルコールに対するアルキレンオキシドの付加重合度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多価アルコール1モル当たり、1モル〜100モルが好ましく、2モル〜10モルがより好ましい。
前記付加重合度が、1モル未満であると、十分に満足する白色度向上効果が得られないことがあり、100モルを超えると、経済的に不利となることがある。一方、前記付加重合度がより好ましい範囲内であると、より高い白色度向上効果が得られる点で有利である。
前記多価アルコール脂肪酸エステル及び前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルは、エステルを構成する多価アルコールの水酸基が全てがエステル化されたフルエステルであっても、部分的にエステル化された部分エステルであっても、フルエステルと部分エステルの混合物であってもよいが、フルエステル、フルエステルと部分エステルとの混合物、が好ましい。
前記多価アルコール脂肪酸エステル及び前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルが、フルエステルと部分エステルとの混合物である場合、フルエステルの割合を示す選択率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70%以上が好ましく、70%〜85%がより好ましい。
前記選択率が、70%未満であると、十分な白色度向上効果が得られないことがある。一方、前記選択率がより好ましい範囲内であると、より高い白色度向上効果が得られる点で有利である。
前記フルエステルの選択率は、ガスクロマトグラム又は液体高速クロマトグラムを用いて測定を行い、得られたクロマトグラムの各ピークの面積パーセントから、下記に示す計算式を用いて算出したものである。
フルエステルの選択率(%)
=フルエステルの面積パーセント/全反応生成物の面積パーセントの総和×100
−その他の成分−
前記その他の成分として、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、他の工程添加剤、例えば、消泡剤、ピッチコントロール剤、スケールコントロール剤を添加してもよい。
−クラフトパルプ用洗浄剤の剤型−
本発明のクラフトパルプ用洗浄剤の剤型としては液体であり、前記(i)〜(iv)から選択される少なくとも1種である非イオン性化合物の1種又は2種以上を直接添加しても、予め水を配合しても、添加時において水で希釈してから用いてもよい。
予め水を配合して用いる場合、本発明の非イオン性化合物は、水との均一混合が難しく分離しやすいため、任意の界面活性剤を予め配合して用いることが好ましい。任意の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられるが、ろ液の発泡性をコントロールすることが容易な非イオン性界面活性剤が好ましい。
前記クラフトパルプ用洗浄剤における水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。
前記水の含有量が、1質量%未満であると、均一安定な配合物を得られないことがあり、30質量%を超えると、ゲル化による増粘が生じハンドリングが損なわれたり、経済的に不利となることがある。一方、前記水の含有量がより好ましい範囲内であると、液安定性に優れた配合物が得られる点で有利である。
予め水を配合して用いる場合の具体的な例としては、C18−PO13−EO3−PO23−H(化合物1)/ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソトリデカノール(ライオノールTDL−50 ライオン(株)製)/水=25〜70/25〜70/5〜20質量%(合計100質量%)などが挙げられる。
−クラフトパルプ用洗浄剤中の有効成分量−
本発明のクラフトパルプ用洗浄剤としては、前記非イオン性化合物を含有するものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記非イオン性化合物は1種単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
−クラフトパルプ用洗浄剤の使用量−
本発明のクラフトパルプ用洗浄剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、絶乾パルプ当たり0.003質量%〜10質量%が好ましく、0.005質量%〜1質量%がより好ましく、0.01〜0.1質量%が特に好ましい。前記使用量が、0.003質量%未満であると、目的とする白色度の向上効果は得られないことがあり、10質量%を超えると、泡立ち性が高くなったり、添加量に見合う白色度向上効果は認められないことがあり、経済的に不利となることがある。
本発明のクラフトパルプ用洗浄剤によれば、パルプの白色度を向上させることができ、特に、クラフトパルプ製造方法が漂白工程を含む場合に、漂白前のパルプの白色度が向上し、二酸化塩素使用量が削減でき、発泡を防止し、消泡剤の添加量を削減することができる。
(クラフトパルプの製造方法)
本発明のクラフトパルプの製造方法は、少なくとも、蒸解工程と、酸素脱リグニン反応工程と、洗浄工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択した、漂白工程、その他の工程を含んでなる。
前記洗浄工程において、(i)高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、(ii)脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体、(iii)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテル、及び(iv)多価アルコール脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの少なくともいずれか、から選択される少なくとも1種であって、Daviesの基数を用いて下記計算式(1)より算出されたHLBが6未満の非イオン性化合物を含有するクラフトパルプ用洗浄剤を添加する。
HLB=7+Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)・・・・(計算式(1))
<蒸解工程>
前記蒸解工程は、パルプ原料を蒸解する工程である。前記蒸解工程において、例えば、パルプ原料(木材チップ)が水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムの混液中で加圧蒸煮され、パルプ原料中のリグニン成分、脂肪酸ナトリウム塩、ロジン酸ナトリウム塩等の非繊維部分が溶解される。アルカリ蒸解後は、パルプスラリーと黒液とに分離され、洗浄される。
<酸素脱リグニン反応工程>
前記酸素脱リグニン反応工程は、前記蒸解されたパルプ原料に含まれるリグニン成分を酸素を用いて分解する工程、即ち、前記蒸解工程で除去しきれなかったリグニン成分を分解する工程であり、蒸解処理後の初段に、アルカリ性・高温加圧下で、酸素を作用させる酸素脱リグニン法が開発され、現在広く普及するに至っている。蒸解工程後のパルプ中に残存するリグニンの40%〜50%が、酸素脱リグニン反応を実施することにより分解されるので、後段の漂白剤の使用量を下げることが可能になるのみならず、酸素脱リグニン反応工程で発生した排水を蒸解工程に循環することができるので、薬品とエネルギーを回収することができ、また、排水の負荷を軽減することができる。
<洗浄工程>
前記洗浄工程は、前記酸素脱リグニン反応工程後に、前記パルプ原料を洗浄する工程、即ち、前記酸素脱リグニン反応によって生成されたリグニン分解物や有色成分を洗浄によって除去する工程である。
後述する漂白工程が行われる場合、前記洗浄工程は、前記酸素脱リグニン反応工程と前記漂白工程との間に行われる。
前記パルプ原料の洗浄は、例えば、蒸解工程から送られてくるパルプスラリー(パルプ濃度は約10質量%)に洗浄水を添加して、パルプ濃度を約1質量%のスラリーとすることなどにより行われる。
前記洗浄工程は、向流多段洗浄方法により実施されることが一般的である。
前記向流多段洗浄方法とは、洗浄機を直列に2〜5台連結して、洗浄する方法である。最終段の洗浄機における洗浄液にのみ清水(ボイラーより回収した温水=洗浄温水)が使用される。最終段の洗浄機で回収された洗浄水を前段の洗浄機で洗浄水として使用し、更に前段の洗浄機で使用された洗浄水を回収し、もう一段前の洗浄機の洗浄水として使用する。このような向流洗浄方法を用いると、蒸解工程及び酸素脱リグニン反応工程で使用した薬品だけでなく、リグニン分解物についても高濃度で回収することができる。
前記洗浄機に導入されるパルプスラリーの温度、即ち、洗浄温度は通常65℃〜90℃であり、洗浄機のバット中のパルプスラリーの温度である。
前記洗浄機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドラム型フィルター、ディフューザー、プレッシャー型ディフューザー、加圧型ドラムフィルター、プレス型ウォッシャー、などが挙げられる。なお、前記洗浄工程としては、これらの洗浄機を複数組み合わせた多段洗浄工程が好ましい。
前記クラフトパルプ用洗浄剤の添加を行う洗浄段の後に続いて少なくとも1段、より好ましくは2段以上のすすぎ洗浄段を有する多段洗浄とすることが、添加したクラフトパルプ用洗浄剤の除去のために望ましい。洗浄機が単独である場合、添加したクラフトパルプ用洗浄剤が十分に除去されず、着色成分の再付着などにより白色度の向上が十分に得られない恐れがある。
洗浄剤効果を向上するために、2段以上の多段洗浄機を使用し、酸素脱リグニン反応工程後の直後の1段目の洗浄機にクラフトパルプ用洗浄剤を添加することが好ましい。
洗浄機でのクラフトパルプ用洗浄剤の添加位置としては、洗浄機で処理される前の酸素脱リグニン反応工程後のパルプスラリーと均一に混合できる場所であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、洗浄機にパルプスラリーを流送するポンプのサクション口、パルプスラリーの濃度を調整するための希釈水の注入口、希釈水の送液ポンプのサクション口などが好適である。これらの添加位置に比べて、例えば、ドラム型フィルターのバットにクラフトパルプ用洗浄剤を直接添加した場合には、クラフトパルプ用洗浄剤が十分にパルプスラリー中に拡散せず、十分な効果が発揮されないことがある。また、洗浄機で使用するシャワーにクラフトパルプ用洗浄剤を添加した場合には、発泡トラブルを引き起こす可能性がある。
本発明のクラフトパルプ用洗浄剤の洗浄機への添加は、酸素脱リグニン反応工程の直後の洗浄機であることが好ましい。例えば、酸素脱リグニン反応工程後、向流式二段真空ドラム式洗浄機を有する洗浄工程では、一段目の洗浄機に流送されるパルプスラリー中に添加することが好ましい。一段目の洗浄機に添加することでパルプ中の有色成分をクラフトパルプ用洗浄剤が十分に取り込み、二段目の洗浄機でクラフトパルプ用洗浄剤の除去が十分に進むからであると考えられる。二段目の洗浄機に添加した場合には、クラフトパルプ用洗浄剤の除去効果が十分に得られないことがある。
<漂白工程>
前記漂白工程は、洗浄工程後のパルプを漂白する工程であり、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、オゾン、過酸化水素、などの酸化剤が用いられる。
近年では、環境問題がクローズアップされ、有機塩素化合物やクロロホルムの発生を防止する方法として、塩素や次亜塩素酸塩を用いない、いわゆるECF(Elemental Chlorine Free)漂白方法が採用されてきており、塩素に代えて、オゾン、二酸化塩素が用いられ、次亜塩素酸塩に代えて過酸化水素、二酸化塩素、が用いられる。
本発明のクラフトパルプの製造方法では、例えば、図1に示すように、まず、パルプスラリー1が酸素脱リグニン反応塔2に投入されて、酸素脱リグニン反応後のパルプスラリー3が得られる。この酸素脱リグニン反応後のパルプスラリー3が、No.1レパルパー4を経て、No.1ウォッシャーに移されてNo.1ウォッシャーのシャワー水6により洗浄される。このNo.1ウォッシャーで洗浄されたパルプ(出口パルプシート)9が、No.2レパルパー10を経て、No.2ウォッシャーに移されてNo.2ウォッシャーのシャワー水12により洗浄される。このNo.2ウォッシャーで洗浄されたパルプ(出口パルプシート)15が、スクリーンに移される。また、No.1ウォッシャーの濾液7は、No.1ウォッシャーの濾液タンク8に移されて、No.1レパルパー希釈水5として使用され、No.2ウォッシャーの濾液13は、No.2ウォッシャーの濾液タンク14に移されて、No.1ウォッシャーのシャワー水6乃至No.2レパルパー希釈水11として使用される。
クラフトパルプ用洗浄剤の添加位置としては、例えば、図1の洗浄機の場合、多段洗浄工程の一段目の洗浄機の入口に均一に混合して供給可能な位置(酸素脱リグニン反応後のパルプスラリー3、No.1レパルパー4、又はNo.1レパルパー希釈水5)に添加することが好ましい。
また、本発明のクラフトパルプの製造方法は、例えば、蒸解工程と、図2に示すOTW(酸素脱リグニン反応塔)により実施される酸素脱リグニン反応工程と、向流式真空ドラム2段ウォッシャー(図2における洗浄機A及びB)により実施される洗浄工程と、多段漂白工程とを含む。
図3は、図2における洗浄機A及びBを説明するための概略図である。本発明のクラフトパルプ洗浄剤は図3の洗浄機概略図において希釈用ろ液(a)やパルプ(b)の供給配管中に添加することが均一混合して供給できるために好ましく、洗浄機のバット(c)やシャワー洗浄(d)部に添加した場合、混合が不十分となり効果が十分に得られないことがあり、また洗浄機において発泡することがある。図2及び図3に示すクラフトパルプの製造方法によれば、パルプの洗浄効率を向上させることができ、特に、パルプの漂白を行う場合、酸素脱リグニン反応工程後のパルプの白色度を向上させることができ、もって、漂白剤の添加量を削減でき、発泡を防止し、消泡剤の添加量を削減することができる。
また、ダンボールの製造の場合、クラフトパルプ製造方法は、前記漂白工程を含まないため、漂白剤使用量の削減という効果を奏しないが、洗浄効率が上がると、同一の洗浄効果を得るために使用される温水量を削減することができ、また、使用される温水の量を削減することができると、黒液の発生量を抑制することができ、回収ボイラーの負荷を低減することができる。更に、増産が可能である状況であれば、同じ温水量で処理することができるパルプ量を増加することができ、生産性を向上することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1) 使用試薬
(製造例1)
ステアリルアルコール(新日本理化株式会社製、コノール30S)108.2g(0.4モル)と、触媒としてのKOH(東亜合成株式会社製、フレーク苛性カリ)3.0gを、オートクレーブに仕込み、反応系内を充分窒素置換した後、125±5℃、1時間、減圧下にて充分脱水を行った後、プロピレンオキシド(旭硝子株式会社製、酸化プロピレン(PO))302.1g(5.2モル)を115±5℃、0.1MPa〜0.3MPa(ゲージ圧)を保つように徐々に添加した。添加終了後、2時間熟成を行った後、未反応のPOを減圧下にて除去した。引き続いて、エチレンオキシド(三菱化学社製、酸化エチレン(EO))58.1g(1.3モル)を115±5℃、0.1MPa〜0.3MPa(ゲージ圧)を保つように徐々に添加した。添加終了後、1時間熟成を行った後、未反応のEOを減圧下にて除去した。更に、プロピレンオキシド(旭硝子株式会社製、酸化プロピレン(PO))534.5g(9.2モル)を115±5℃、0.1MPa〜0.3MPa(ゲージ圧)を保つように徐々に添加した。3時間熟成を行い、未反応のプロピレンオキシドを減圧下で除去を行った後、冷却を行い、酢酸(日本合成化学工業社製、99%工業用酢酸)にてpH=7に調製することにより、前記一般式(1)で表され、n=13、m=3、k=23の非イオン性化合物を得て、後述する実施例1に使用した。
表2に示した製造例18は、所定の付加モル数となるように、製造例1と同様にして合成した。なお、製造例18については、ステアリルアルコールのプロピレンオキシド付加物に対し、エチレンオキシド、プロピレンオキシドの混合物を供給し、ランダム付加体とし、前記一般式(1)で表され、n=6、m=35、k=10の非イオン性化合物を得て、後述する比較例2に使用した。
なお、得られた非イオン性化合物が、所定の平均付加モル数となっていることを後述のH−NMRを用いた分析により確認した。
(製造例2)
4Lオートクレーブに、メタノール(純正化学製)387gと、触媒としてNaOHを1g仕込み、反応器内の窒素置換を2度行った。その後、90℃まで昇温して、POを1,405g(メタノール1モルに対して2モル相当)導入して付加反応を行った。
反応終了後、常圧で75℃から100℃まで段階的に昇温し、残存メタノールが1%以下となるまで蒸留を行い、中間体2A1(メタノール−2.4PO体)を得た。さらに、EOを1,031g(MeO―3PO―Hの1モルに対して4モル相当)を導入して付加反応を行った。反応終了後、175℃から220℃まで段階的に昇温しつつ、10Torrまで減圧し再度蒸留を行った。得られた中間体2A2(メタノール−3PO−5EO付加体)中の未反応メタノールPO体の量は、1.5質量%であった。さらに、中間体2A2を668g、オレイン酸メチル(パステルM182、ヨウ素価91)を1,012g(中間体2A2に対して1.03モル)、重炭酸ソーダ8.4gを攪拌翼付の反応器に仕込み、攪拌下、常圧から10Torrまで段階的に減圧しながら、60℃から210℃まで昇温してエステル交換反応を行った。反応により得られた化合物2A中の未反応脂肪酸メチルが1.6質量%であった。
以上より、前記一般式(2)で表され、p=3、q=5の非イオン性化合物を得て、後述する実施例2に使用した。
なお、得られた中間体及び非イオン性化合物が、所定の平均付加モル数となっていることを後述のH−NMRを用いた分析により確認した。
(製造例3)
2.5MgO・Al・nHOなる化学式を持つ水酸化アルミニウム・マグネシウム(協和化学工業製キョーワード300)を窒素気流下、750℃で3時間焼成し、焼成水酸化アルミニウム・マグネシウム(Al/Mgモル比=0.44/0.56)触媒を得た。4Lオートクレーブに、ラウリン酸メチル(パーム油由来の炭素数12留分由来の脂肪酸メチルエステル、商品名パステルM12、ライオン株式会社製)617gと、得られた触媒14.4gを仕込み、窒素置換を行った。次いで、原料に含まれる水分を除去するため、100℃まで昇温し、0.4kPaで1h脱水処理を行った。その後、180℃まで昇温して、窒素により反応缶内を常圧に戻し、プロピレンオキシド(PO)1,169g(ラウリン酸メチル1モルに対して7モル相当)を徐々に容器内へ導入した。導入終了直後、0.34MPaであった圧力が反応進行とともに低下し、2時間後に圧力0.29MPaで一定となるまでPO付加反応を継続して行い粗製物を得た。次いで、粗製物1,350gにハイフロスーパーセル(セライト社製:珪藻土)20.25g(粗製物に対し1.5%)を添加し、均一に分散させた後、80℃で加圧ろ過を行い、目的の精製物を得た。
以上より、前記一般式(2)で表され、p=7、q=0の非イオン性化合物を得て、後述する実施例3に使用した。
なお、得られた中間体及び非イオン性化合物が、所定の平均付加モル数となっていることを後述のH−NMRを用いた分析により確認した。
(製造例4)
冷却管を取り付けたフラスコに、カプリル酸メチル1582.4g、トリメチロールプロパン268.4g、及び触媒として重曹(炭酸水素ナトリウム、関東化学(株)製)5.5g(原料である脂肪酸エステル、多価アルコールの合計重量に対して0.45%)を加え、常圧条件下、220℃まで徐々に昇温し生成するメタノールを除去しながら15時間反応させた。その後、残留するカプリル酸メチルを単蒸留にて除去した。触媒を濾別後、濾液100質量部に対し無機吸着剤(キョーワード500SH、キョーワード700SL:協和化学工業(株)社製)を1質量部添加し、90℃で1時間吸着処理をした後に、更に4kPaの減圧下で1時間脱気処理を行いろ過により無機吸着剤を除去した。ガスクロマトグラフィー(HP−5890、ヒューレットパッカード製)で反応液を測定した結果、トリメチロールプロパンカプリル酸フルエステルが選択率98%で得られ、これを実施例6に使用した。前記フルエステルとは、多価アルコールの水酸基が全てエステル化された生成物を示す。
(製造例5〜17)
表1に従い、前記製造例4と同様の方法で合成し、生成物を実施例7〜19に使用した。
なお、製造例10及び11で得られた生成物の選択率は、後述の液体クラマトグラフィ−法により測定した。
なお、表1中、「TMP」は、トリメチロールプロパン(三菱ガス化学(株)製)を表し、「TMP−PO6」は、レオコンTP480T(ライオン(株)製)を表し、「PET」は、ペンタエリスリトール(関東化学(株)製)を表し、「NP」は、ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学(株)製)を表し、「M−6」は、カプロン酸メチル(パステルM−6、ライオン(株)製)を表し、「M−8」は、カプリル酸メチル(パステルM−8、ライオン(株)製)を表し、「M−10」は、カプリン酸メチル(パステルM−10、ライオン(株)製)を表し、「M−12」は、ラウリン酸メチル(パステルM−12、ライオン(株)製)を表し、「M−181」は、オレイン酸メチル(パステルM−181、ライオン(株)製)を表し、「M−182」は、パームオレイン酸メチル(パステルM−182、ライオン(株)製)を表す。
(2)分析方法
(i)H−NMRによるEO、POの平均付加モル数の測定方法
試料30mgを4mLの重クロロホルムに溶解し、H−NMR(300MHz、日本電子株式会社製 FT NMR SYSTEM JNM−LA300)にて測定した。重クロロホルムのケミカルシフト7.30ppmを基準として、ケミカルシフト0.87ppm(脂肪酸の末端メチル)、1.13ppm〜1.15ppm(POの側鎖メチル)、3.32ppm〜3.66ppm(POのメチンとメチレン)、3.52ppm〜3.71ppm(EOのメチレン)の各ピークの積分値比率から計算で求めた。
(ii)未反応脂肪酸メチルの定量
内部標準としてラウリン酸メチルを0.06gと試料を2g採り、アセトン4gに溶解し、2μL注入した。ラウリン酸メチルの濃度を変更した際のピーク面積と内部標準物質のピーク面積から検量線を作成し、試料中に含まれる未反応物の定量を行った。
装置:ガスクロマトグラム(島津GC−14A)
カラム:ガラス製、直径3mm×長さ1m
充填剤:2%silicon OV−1(60/80mesh)
Injection:320℃
Detecter:320℃
:50mL/min
:0.75kg/cm
Air:0.5kg/cm
初期温度:50℃
到達温度:320℃(20分間保持)
昇温速度:20℃/min
(iii) 未反応メタノールの定量
溶媒による希釈をせずに、試料をそのまま1μL注入し、得られたクロマトグラムの面積%から、未反応メタノール量を算出した。
装置:ガスクロマトグラム(島津GC−14A)
カラム:ガラス製、直径3mm×長さ1m
充填剤:2%silicon OV−1(60/80mesh)
Injection:320℃
Detecter:320℃
:50mL/min
:0.75kg/cm
Air:0.5kg/cm
初期温度:50℃
到達温度:320℃(20分間保持)
昇温速度:20℃/min
(iv) 表1中の選択率
ガスクロマトグラム又は液体高速クロマトグラムを用いて測定を行い、得られたクロマトグラムの各ピークの面積パーセントから、下記式に基づいて、フルエステルの選択率を算出した。
フルエステルの選択率(%)=フルエステルの面積パーセント/全反応生成物の面積パーセントの総和×100
トリメチロールプロパンエステル、ネオペンチルグリコールエステル、ペンタエリスリトールエステル及びジグリセリンエステルについては、以下の装置及び分析条件で測定して、フルエステルの面積パーセント及び全反応生成物の面積パーセントを得た。
装置:ガスクロマトグラム(HP−5890)
カラム:DB−1HT、直径0.25mm×長さ15m、膜厚0.1μm
Injection:390℃
Detecter:390℃
初期温度:80℃
到達温度:390℃(10分間)
昇温速度:10℃/min
キャリアガス:He
スプリット比:10対1
試料約10gを無水酢酸0.5mL、ピリジン0.5mL、70℃で30分アセチル化させ測定した。
ポリオキシアルキレントリメチロールプロパンエステルについては、以下の装置及び分析条件で測定して、フルエステルの面積パーセント及び全反応生成物の面積パーセントを得た。
装置:液体クロマトグラム(HPLC)
カラム:GLSciences社製 Inertsil HPLC COLUMN、SIL 100A 5μm、4.6×250mm、C/N 5020−01712、S/N 8II17516
カラム温度:37℃
移動相:ヘキサン/2−プロパノール(=20:1)混合溶離液
ポンプ圧:27mgf/cm
検出器:RI−8000
試料10mgをヘキサン/2−プロパノール(=20:1)混合溶離液5mLで溶解させ測定した。
(3)実験
(実施例1〜19及び比較例1〜13)
蒸解工程と、酸素脱リグニン反応工程と、多段フィルター洗浄工程と、二酸化塩素及び過酸化水素による多段晒漂白工程よりなるセルロースパルプの製造装置の酸素脱リグニン反応工程後の多段フィルタ洗浄工程の1段目のウォッシャーから、多段晒漂白工程前の広葉樹セルロースパルプを採取した。次に、採取したセルロースパルプを乾燥重量として5.6gを、500mLビーカーに計り取り、パルプ濃度が1質量%になるように65℃の温水を加えた後、表2に示すクラフトパルプ洗浄剤をパルプに対し固形分で1質量%添加し、10質量%水酸化ナトリウムをパルプに対し固形分で4質量%となるようにそれぞれ加え、温浴中で65℃に保った状態で10分間攪拌し、パルプスラリーを調整した。調整後のパルプスラリーを直ちに桐山ロート(直径95mm)を用いて吸引ろ過を行い、抄紙を行った。抄紙の際、パルプスラリーを坪量250g/mとなるように取り分け、計3枚の評価用シートを作成した。抄紙した評価用シートは、プレスした後、約24時間、通風乾燥し、白色度測定用試料とした。
なお、実施例4には、洗浄剤として、(iii)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテルとしてのユニオールTG−4000R(日油(株)製)を使用した場合、実施例5には、洗浄剤として、(iii)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテルとしてのユニルーブ5TP−300KB(日油(株)製)を使用した場合を示す。
また、比較のために、比較例1には洗浄剤無添加の場合、比較例3には、洗浄剤としてパステルM−12(ライオン(株)製)を使用した場合、比較例4には、洗浄剤としてグリセリン(坂本薬品工業(株)製)を使用した場合、比較例5には、洗浄剤としてエマレックスBHA−5(日本エマルション(株)製)を使用した場合、比較例6には、洗浄剤として2−エチルヘキシルジグリコール(日本乳化剤(株)製)を使用した場合、比較例7には、洗浄剤としてレオコールSC−120(ライオン(株)製)を使用した場合、比較例8には、洗浄剤としてユニルーブ50TG(日油(株)製)を使用した場合、比較例9には、洗浄剤としてユニルーブDGP−700(日油(株)製)を使用した場合、比較例10には、洗浄剤としてユニオックスG−1200(日油(株)製)を使用した場合、比較例11には、洗浄剤としてユニオールSGP−65(日油(株)製)を使用した場合、比較例12には、洗浄剤としてユニオールTG−1000(日油(株)製)を使用した場合、比較例13には、洗浄剤としてユニオールHS−1600D(日油(株)製)を使用した場合を示す。
なお、比較例2は、(i)一般式(1)で表せる高級アルコールのアルキレンオキサイド付加体に対応する比較例であり、比較例8〜13は、(iii)多価アルコールにエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)をモル比でEO:PO=30:70〜0:100で付加させて得られた、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテルに対応する比較例である。
<白色度の測定>
表3における白色度は、分光色彩・白度計PF−10(日本電色工業株式会社製)を用いて、作製した評価用シート1枚につき3箇所の白色度を測定し、3枚のシートの平均値を求めた。表の評価結果中、白色度は値が大きいほど良好となる。白色度の向上効果(Δ白色度)は、クラフトパルプ用洗浄剤としての非イオン性化合物を全く添加しなかった場合(比較例1)の白色度との差により求めた。本実験条件で白色度の向上効果が1.5%以上であれば二酸化塩素の削減効果へ寄与するものとなる。
<HLBの測定>
以下の表2に評価に使用した非イオン性化合物及びそのHLBを、表3に評価結果を示す。なお、以下の表におけるHLBの値はDaviesの下記計算式(1)により求めた値である。
HLB=7+Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)・・・・(計算式(1))
(実施例20)
クラフトパルプ製造工場(針葉樹クラフトパルプ生産量350トン/日)において、蒸解工程と、酵素脱リグニン反応工程と、酵素脱リグニン反応工程の後に、真空ドラムウォッシャー3台(一段目:No.1ウォッシャー、二段目:No.2ウォッシャー、三段目:No.3ウォッシャー)を用いてパルプを洗浄する洗浄工程と、漂白工程とを含むクラフトパルプ製造方法を下記のように実施した。
真空ドラムウォッシャーのNo.1ウォッシャー(バット温度(洗浄温度):80℃)に導入されるパルプ濃度調整用ろ液に、実施例1で用いた非イオン性化合物をパルプに対して200ppmとなるように添加した。
次に、No.3ウォッシャーから排出された洗浄後のパルプを採取し、白色度を、以下のようにして測定したところ、非イオン性化合物(洗浄剤)未添加時と比較して2.0%向上した。
<白色度>
TAPPI抄紙機を用いて、坪量250g/mの評価シートを作製し、JIS P8148に準じて白色度の測定を行った。非イオン性化合物(洗浄剤)をまったく添加しなかった場合の白色度との差(Δ)を評価の指標とした。通常、化学パルプの晒漂白工程における二酸化塩素の添加量は、スラリー中のパルプの白色度を連続的に感知して調整するため、白色度の向上効果が0.5%以上であれば二酸化塩素の削減効果へ寄与するものとなる。
本発明のクラフトパルプ用洗浄剤は、例えば上質紙、ダンボール、などの製造に用いられるクラフトパルプの洗浄に用いられる洗浄剤として、好適に利用可能である。
1 パルプスラリー
2 酸素脱リグニン反応塔
3 パルプスラリー
4 No.1レパルパー
5 No.1レパルパー希釈水
6 シャワー水
7 濾液
8 濾液タンク
9 パルプ(出口パルプシート)
10 No.2レパルパー
11 No.2レパルパー希釈水
12 シャワー水
13 濾液
14 濾液タンク
15 パルプ(出口パルプシート)

Claims (3)

  1. パルプ原料を蒸解する蒸解工程と、前記蒸解されたパルプ原料に含まれるリグニン成分を酸素を用いて分解する酸素脱リグニン反応工程と、前記酸素脱リグニン反応工程に続いて前記パルプ原料を洗浄する洗浄工程と、を含み、
    前記洗浄工程が洗浄機を複数組み合わせた多段洗浄工程であり、洗浄剤を前記酸素脱リグニン反応工程後の直後の1段目の洗浄機に添加するクラフトパルプの製造方法であって、
    前記洗浄工程において、(i)下記一般式(1)で表される高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、(ii)下記一般式(2)で表される脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体、及び(iv)多価アルコール脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの少なくともいずれか、から選択される少なくとも1種であって、Daviesの基数を用いて下記計算式(1)より算出されたHLBが6未満の非イオン性化合物を含有するクラフトパルプ用洗浄剤を添加することを特徴とするクラフトパルプの製造方法。
    O−(PO)n−[(EO)m・(PO)k]H・・・・一般式(1)
    (前記一般式(1)中、Rは、炭素数10〜20の直鎖又は分岐のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。n、m、及びkは、平均付加モル数を表し、nは、11〜20を表し、mは、1〜8を表し、kは、1〜80を表す。EO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO)m・(PO)k]におけるEO及びPOの付加形態は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。)
    −CO−[(EO)p・(PO)q]−OR・・・・一般式(2)
    (前記一般式(2)式中、Rは、炭素数10〜20の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを、Rは、炭素数1〜8の直鎖のアルキル基及びアルケニル基のいずれかを表す。EO及びPOは、それぞれ、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位を表し、[(EO)p・(PO)q]における付加形態は、ブロック及びランダムのいずれであってもよく、p及びqは、平均付加モル数であり、pは、0〜20、qは、1〜10である。)
    HLB=7+Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)・・・・(計算式(1))
  2. 洗浄剤を洗浄工程で処理される前の酸素脱リグニン反応工程後のパルプスラリーと均一に混合できる場所に添加する請求項1に記載のクラフトパルプの製造方法。
  3. 洗浄工程後に、パルプ原料を漂白する漂白工程を更に含む請求項1から2のいずれかに記載のクラフトパルプの製造方法。
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