JP2006274478A - 退色性が改善された製紙用化学パルプ - Google Patents
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Abstract
【課題】広葉樹材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素脱リグニンした後、元素状塩素を用いないECF漂白法を改良し、漂白薬品を過剰に使用することなく退色の原因となる物質を効率良く除去した、退色性が優れた製紙用化学パルプを提供する。
【解決手段】広葉樹材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素脱リグニンし、その後ECF漂白法による多段漂白を行った製紙用化学パルプであって、該パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が絶乾パルプkgあたり15mmol以下であり、かつ、残留リグニンに由来するカッパー価が1.5以下であることを特徴とする退色性が改善された製紙用化学パルプ。
【選択図】 なし
【解決手段】広葉樹材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素脱リグニンし、その後ECF漂白法による多段漂白を行った製紙用化学パルプであって、該パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が絶乾パルプkgあたり15mmol以下であり、かつ、残留リグニンに由来するカッパー価が1.5以下であることを特徴とする退色性が改善された製紙用化学パルプ。
【選択図】 なし
Description
本発明は、広葉樹材を原料とする製紙用化学パルプに関するものである。更に詳しくは元素状塩素を用いない漂白法(以下、ECF漂白法と称す。)を改良し、退色性が改善された製紙用化学パルプに関するものである。
従来、製紙用化学パルプは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び硫化ナトリウム等を主成分とするアルカリ性薬品を用いて蒸解した後、アルカリ酸素脱リグニンされ、その後多段漂白法によりISO白色度80〜90%のパルプとして製造される。多段漂白方法としては、大別して元素状塩素を使用する塩素漂白法、元素状塩素を用いないECF漂白法、及び、元素状塩素に加え二酸化塩素や次亜塩素酸塩等の塩素系の薬品も全く使用しない漂白方法(以下、TCF漂白法と称す。)等がある。
塩素漂白法は、通常初段が塩素段(以下C段と称す。)であり、パルプ中に含まれるリグニンを塩素化することによりリグニンをアルカリ可溶化とする。2段目にはアルカリ抽出段(以下E段と称す。)が続き、塩素化したリグニンを抽出する。その後は次亜塩素酸塩段(以下、H段と称す。)、過酸化水素段(以下、P段と称す。)、E段及び二酸化塩素段(以下D段と称す。)等を任意に組み合わせた漂白法である。H段、D段、P段では、パルプ中に残留している少量のリグニンを除去するとともに、パルプを漂白し、ISO白色度80%以上の高白色度パルプを得る。ここで、C段には二酸化塩素を併用する場合(以下、C/D段と称す。)、E段には酸素を併用する場合(以下、E/O段と称す。)や過酸化水素を併用する場合(以下、E/P段と称す。)等もある。
しかし、元素状塩素を用いたC段による漂白の際、有機塩素化合物が生成し、環境汚染の原因となることが問題となっている。有機塩素化合物の生成を低減、防止するには元素状塩素を使用しないことが効果的であり、近年ではECF漂白法が採用されてきている。ECF漂白法は主にD段、E段、P段、及びオゾン段(以下、Z段と称す。)等を組み合わせた漂白法であり、前記と同様にE/O段やE/P段処理を行う場合もある。H段は一般的に次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムが用いられ、これらの薬品は元素状塩素を有しないが、漂白中にクロロホルムが反応生成し、大気や廃水等、環境中に排出されることから、一般的にはECF漂白法には用いられない。
TCF漂白法は、主に酸素系の薬品を使用し、Z段、P段の他、過酢酸、過硫酸等の過酸も用いられる。しかしながら、過酢酸、過硫酸等の過酸は脱リグニンに対する選択性が低く、パルプ強度を低下させるおそれがあること、薬品コストが高いことや爆発性を有しており取り扱いが困難なこと等の理由から普及には至っていない。以上のことから、現在のところ世界的にはECF漂白法が主流となっており、TCF漂白法はほんの一部である。
ECF漂白法は、一般的には初段に二酸化塩素を用いて、例えば、D−E−P−D、D−E/P−DやD−E−D−D等、様々な多段漂白シーケンスが採られている。これらの漂白シーケンスによる漂白パルプの製造方法においては、塩素漂白法と比較して、環境面への影響は大幅に改善されるものの、パルプを長期間保存した場合に白色度が低下し易いという問題が発生し、特に酸性抄紙法にて製造した酸性紙における退色性が問題となってきた。
従来より、この退色の原因はパルプ中に残留するリグニンが影響すると考えられており、リグニンの残留量が多いと退色し易いことが判っている。また、このリグニン量を表す指標として過マンガン酸カリウム価(以下、K価と称す。)やカッパー価が用いられてきたが、近年の研究により、パルプ中に残留しているヘキセンウロン酸がK価やカッパー価にカウントされることや、パルプの退色性に悪影響を及ぼすことが判明してきている。
ここで、ヘキセンウロン酸とは、蒸解工程においてヘミセルロース中のメチルグルクロン酸から脱メチル化反応によって生成する物質であり、一般的に用いられるアルカリ酸素脱リグニン工程では除去されず、また、漂白薬品を消費することから漂白費用を増大させる物質であることが判明している。
パルプの退色性を改善したパルプの製造方法として、キシラン分解活性を有する酵素であるキシラナーゼで前処理し、次亜塩素酸塩や二酸化塩素を用いて漂白する方法(例えば、特許文献1参照。)があるが、処理に要する費用に対して改善効果が小さい。また、ヘキセンウロン酸含有量やK価を低減させた漂白パルプやその製造方法として、ヘキセンウロン酸含有量が10mmol/絶乾パルプkg未満である漂白パルプやその製造方法(例えば、特許文献2参照。)、酸処理を組み合わせて、ヘキセンウロン酸含有量を15mmol/絶乾パルプkg以下である漂白パルプを製造する方法(例えば、特許文献3参照。)、酸性下での過酸化水素処理を組み合わせて、ヘキセンウロン酸含有量を15mmol/絶乾パルプkg以下である漂白パルプを製造する方法(例えば、特許文献4、5参照。)、過マンガン酸カリウム価が1.5以下であり、かつISO白色度が70〜89%である漂白パルプ(例えば、特許文献6参照。)等、種々の提案がなされている。しかし、いずれも退色性にはヘキセンウロン酸含有量のみが影響していることについて言及したものであり、リグニン含有量の影響については全く述べていない。ヘキセンウロン酸含有量が小さい場合でもリグニン含有量が大きい場合には退色性の改善は十分ではなく、またリグニン含有量が小さくてもヘキセンウロン酸含有量が大きい場合には、やはり退色性の改善は十分ではないという問題点がある。
また、二酸化塩素を用いるD段を初段及び後段に設置することで、パルプ中のリグニン及びヘキセンウロン酸を低減させることができることも判明しているが、通常の製紙用化学パルプであるISO白色度80〜90%を得るために必要な二酸化塩素添加量を大幅に超える大量の二酸化塩素添加量が必要であり、漂白費用が大幅に増大する。更にその割には退色性改善効果はそれほど大きくはないという欠点があった。
特開平6−101185号公報
特開2003−96680号公報
特開2004−339628号公報
特開2003−105684号公報
特開2004−270121号公報
特開2002−266271号公報
本発明の目的は、広葉樹材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素脱リグニンした後、元素状塩素を用いないECF漂白法を改良し、漂白薬品を過剰に使用することなく退色の原因となる物質を効率良く除去した、退色性が優れた製紙用化学パルプを提供するものである。
本発明者らは、上記の課題について鋭意研究した結果、本発明の退色性が改善された製紙用化学パルプ及びその製造方法を完成するに至った。
即ち、本発明の製紙用化学パルプは、広葉樹材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素脱リグニンし、その後ECF漂白法による多段漂白を行った製紙用化学パルプであって、該パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が絶乾パルプ1kgあたり15mmol以下であり、かつ、残留リグニンに由来するカッパー価が1.5以下であることを特徴とする退色性が改善されたパルプである。
即ち、本発明の製紙用化学パルプは、広葉樹材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素脱リグニンし、その後ECF漂白法による多段漂白を行った製紙用化学パルプであって、該パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が絶乾パルプ1kgあたり15mmol以下であり、かつ、残留リグニンに由来するカッパー価が1.5以下であることを特徴とする退色性が改善されたパルプである。
広葉樹材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ脱リグニンした後、改良したECF漂白法により、漂白薬品を過剰に使用することなく退色の原因となるリグニンやヘキセンウロン酸等の物質を効率良く除去し、それらの含有量が小さく退色性が優れた性質を有する製紙化学用パルプを提供することが可能となる。
本発明において用いられる広葉樹材は、植物分類学上、広葉樹と見なされるものであれば、特に限定されるものではない。
また、本発明で使用される未漂白パルプを得るための蒸解方法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ収率、パルプ品質やエネルギー効率等を考慮するとクラフト蒸解、またはポリサルファイド蒸解等が好ましい。
例えば、木材をクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜40%、好ましくは20〜30%であり、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量あたり、5〜20質量%、好ましくは10〜15質量%である。蒸解温度は120〜170℃、好ましくは130〜160℃であり、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでも良く、連続蒸解法においては、蒸解液を分割して多点で添加する改良された修正蒸解法でも良く、その方式は特に限定されるものではない。
蒸解に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、あるいは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンの様なヒドロキノン系化合物等から選ばれた1種あるいは2種以上が添加されても良く、その添加率は木材チップ絶乾あたり0.001〜1.0質量%である。
本発明では、公知の蒸解法により得られた未漂白パルプは、洗浄、粗選、及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素脱リグニン工程においてリグニンを除去させる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は公知の中濃度法あるいは高濃度法を適用できるが、現在一般的に用いられているパルプ濃度が8〜15質量%で行われる中濃度法が好ましい。
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法は、高温高圧処理を行うが、温度、時間、アルカリ添加量、酸素添加量、圧力の条件は一般に行われている条件に準じる。例えば、温度は60〜130℃、好ましくは90〜110℃、時間は20〜150分間、好ましくは30〜90分間であり、アルカリ添加量はNaOH換算で絶乾パルプあたり0.5〜5.0質量%であり、圧力は0.25〜1.0MPa、好ましくは0.35〜0.80MPaである。
本発明では、多段漂白工程前に酸処理工程を設けることが好ましく、更にはアルカリ酸素脱リグニン工程以後が好適である。この処理工程の目的は、主としてヘキセンウロン酸を酸加水分解処理を行い除去することである。ヘキセンウロン酸は蒸解工程で生成するが、蒸解工程における操業条件の変更でヘキセンウロン酸の生成を抑制することは困難であり、生成したヘキセンウロン酸を分解除去する工程が必要である。ヘキセンウロン酸は酸処理によって分解除去されることは公知であり、ヘキセンウロン酸の効率的な除去においては酸処理が有効である。
酸処理の反応温度は70〜90℃が好ましい。70℃未満の場合には退色性は十分には改善されず、一方、90℃を超える場合には退色性は改善されるものの、使用する蒸気量が莫大となり、エネルギー費用が著しく増大し、また漂白パルプの強度が著しく低下することから好ましくない。
酸処理の反応pHは2.0〜4.0が好ましい。pHが2.0未満であると漂白パルプの強度低下が著しく、またpH調整のための薬品使用量が多量となり費用が増大するため好ましくない。一方、pH4.0を超えるとヘキセンウロン酸の分解除去効果が小さくなると同時に、工程内のシュウ酸カルシウムが析出し易くなり、配管、ポンプや洗浄機等へのスケール付着が激しくなり、生産量低下や漂白薬品費用の増大等、悪影響を及ぼす。
酸処理の反応時間は、温度やpHと関係があり、温度が高い程、またpHが低い程、短時間で行うことが可能であるが、前記の温度及びpHの条件下においては60〜180分間で行うことで、ヘキセンウロン酸分解効果を得ることが可能となる。180分を超える時間の場合、その滞留時間を満足させるためのチェスト容量が必要となり設備費用がかかるため好ましくはない。
本発明においては、酸処理工程後に酵素処理工程を設けることも可能である。使用される酵素は、酵素処理においてパルプのカッパー価が低下するものであれば、如何なる酵素でも良いが、例えば、キシラナーゼ、セルラーゼ、等がよく知られている。これらの酵素はパルプのカッパー価を低下させることによって、他の漂白薬品の使用量を低減することができる効果を持つ。
本発明におけるECF漂白法による多段漂白工程の初段は二酸化塩素を用いてD段とする。また、2段目はE段が用いられるが、アルカリ抽出を強化させるために、酸素や過酸化水素を併用し、E/O段、E/P段としても何ら構わない。3段目以降は、過酸化水素を用いるP段、二酸化塩素を再度使用するD段等の組み合わせが用いられ、段数は特に限定されるものではないが、エネルギー効率、設備費等を考慮すると3〜4段とする多段漂白が好適に用いられる。
本発明におけるアルカリ酸素漂白工程、酸処理工程に続く、ECF漂白法の多段漂白シーケンスとしては、例えば次の様なものである。D−E−P−D、D−E/O−P−D、D−E/P−P−D、D−E−D−P、D−E/O−D−P、D−E/P−D−P、D−E−D、D−E/O−D、D−E/O/P−D、D−E−D−D、D−E/O−D−D、D−E/P−D−D、等が挙げられるが、この他オゾンを用いたZ段や酵素処理段を含めても良い。
本発明における多段漂白シーケンスにおいて、初段と後段の二酸化塩素段の絶乾パルプあたりの添加率は、合計0.7〜1.3質量%であることが好ましい。合計添加率が0.7質量%未満である場合には、退色性の改善効果が乏しいばかりか、漂白が不十分となり高白色度が得られず、一方、1.3質量%を超える場合には漂白薬品費用が高くなるのに対して退色性の改善効果が小さく経済的に好ましくない。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ユーカリ材80質量%と国内産広葉樹材20質量%からなる広葉樹混合木材チップを絶乾500g採取し、液比4、絶乾木材チップあたり有効アルカリ12質量%、蒸解液の硫化度25%、蒸解最高温度160℃の条件とした。蒸解時間は最高温度までの昇温時間を60分間に設定し、蒸解時の温度と時間を一つの変数とした公知のHファクターを800にするために必要な時間を算出し決定した。尚、蒸解時間と相対反応速度(100℃における反応速度を1としている。)との曲線によって囲まれる面積がHファクターを表し、Hファクターが等しくなる温度と時間を組み合わせた場合には蒸解の程度はほぼ等しくなるという考えに基づいている。
クラフト蒸解終了後、廃液とパルプを分離し、8カットのフラットスクリーンを用いて精選し、ISO白色度32%、カッパー価18.5の広葉樹未漂白パルプを得た。
次にアルカリ酸素脱リグニンを以下の方法で行った。前記広葉樹未漂白パルプを採取し、水酸化ナトリウムを絶乾パルプあたり1.0質量%添加し、次いでイオン交換水を用いてパルプ濃度10質量%に調製した後、間接加熱式のオートクレーブに入れ、市販の圧縮酸素ガスで加圧してゲージ圧が0.58MPa、温度110℃、処理時間60分間の条件下で処理を行った。処理後、得られたパルプをイオン交換水で洗浄し、ISO白色度53%、カッパー価10.3のアルカリ酸素脱リグニン後パルプを得た。
次に酸処理を以下の方法で行った。前記アルカリ酸素脱リグニンを行って得られたパルプを採取し、イオン交換水で希釈してパルプ濃度10質量%に調整した後、ポリビニル袋に入れて、硫酸を添加してpH3.0のパルプスラリーとした。ポリビニル袋を密閉した後、80℃に調整した恒温槽内に入れ100分間処理を行った。
多段漂白はECF漂白法とし、D−E−P−Dの4段漂白とした。ここで、用いた二酸化塩素は、副生塩素をほとんど発生しない公知の製造方法で製造された9.5g/l濃度の二酸化塩素水とした。その他、漂白に使用した水酸化ナトリウム、過酸化水素等の薬品は市販の試薬を用いた。漂白薬品とパルプサンプルの混合スラリーはポリビニル袋内で行い、良く混合させた。その後、密封したポリビニル袋を処理温度に調整した恒温水温槽内に沈め、所定の処理時間静置した。各漂白段の終了後、ポリビニル袋内のスラリーはイオン交換水にてよく洗浄し、次の漂白段を実施した。
初段のD段条件は、初めにパルプスラリーpHは硫酸を用いてpH5に調整し、二酸化塩素添加率(D1)を絶乾パルプあたり0.7質量%、パルプ濃度10質量%、温度55℃、時間40分間とした。2段目のE段条件は、水酸化ナトリウム添加率を絶乾パルプあたり0.7質量%、パルプ濃度10質量%、温度55℃、時間70分間とした。3段目のP段は、過酸化水素添加率を絶乾パルプあたり0.4質量%、水酸化ナトリウム添加率を絶乾パルプあたり0.2質量%として反応初期pHを11.5に調整し、パルプ濃度10質量%、温度70℃、時間70分間とした。4段目のD段条件は、二酸化塩素添加率(D2)を絶乾パルプあたり0.3質量%、パルプ濃度10質量%、温度75℃、時間120分間とした。
酸処理条件をpH3.5、温度72℃、時間65分間とした以外は実施例1と同様の処理を行った。
酸処理条件をpH3.5、温度72℃、時間65分間とし、多段漂白における初段の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり0.5質量%、4段目の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり0.3質量%とした以外は実施例1と同様の処理を行った。
(比較例1)
酸処理を行わない以外は実施例1と同様の処理を行った。
酸処理を行わない以外は実施例1と同様の処理を行った。
(比較例2)
酸処理を行わず、多段漂白における初段の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり1.15質量%、4段目の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり0.20質量%とした以外は実施例1と同様の処理を行った。
酸処理を行わず、多段漂白における初段の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり1.15質量%、4段目の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり0.20質量%とした以外は実施例1と同様の処理を行った。
(比較例3)
多段漂白における初段の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり0.50質量%、4段目の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり0.18質量%とした以外は実施例1と同様の処理を行った。
多段漂白における初段の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり0.50質量%、4段目の二酸化塩素添加率を絶乾パルプあたり0.18質量%とした以外は実施例1と同様の処理を行った。
上記により製造した漂白後のパルプについて、下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。
<白色度測定用パルプシート作製方法>
漂白後パルプを離解後、パルプスラリーに硫酸バンドを対パルプ3.0%添加し、JIS P 8209に従って坪量60g/m2のシートを作製した。
漂白後パルプを離解後、パルプスラリーに硫酸バンドを対パルプ3.0%添加し、JIS P 8209に従って坪量60g/m2のシートを作製した。
<白色度の測定方法>
JIS P 8123に従ってISO白色度を測定した。
JIS P 8123に従ってISO白色度を測定した。
<パルプの退色性評価>
白色度測定用パルプシートを80℃、相対湿度65%の条件下で48時間退色させ、退色前後のパルプ白色度から下式に従って、ポストカラーナンバー(以下、PC価と称す。)を算出した。
PC価={(1−退色後白色度)2/(2×退色後白色度)−(1−退色前白色度)2/(2×退色前白色度)}×100
白色度測定用パルプシートを80℃、相対湿度65%の条件下で48時間退色させ、退色前後のパルプ白色度から下式に従って、ポストカラーナンバー(以下、PC価と称す。)を算出した。
PC価={(1−退色後白色度)2/(2×退色後白色度)−(1−退色前白色度)2/(2×退色前白色度)}×100
<パルプのカッパー価測定方法>
カッパー価の測定はJIS P 8211に従って行った。尚、本発明においては、パルプ中のリグニンに由来するカッパー価とは、ヘキセンウロン酸を後述の方法によって完全に分解除去した後のパルプのカッパー価と定義した。
カッパー価の測定はJIS P 8211に従って行った。尚、本発明においては、パルプ中のリグニンに由来するカッパー価とは、ヘキセンウロン酸を後述の方法によって完全に分解除去した後のパルプのカッパー価と定義した。
<パルプ中のヘキセンウロン酸の定量方法>
十分にイオン交換水で洗浄したパルプから絶乾パルプ10gを採取し、蟻酸8mmol/l、蟻酸ナトリウム2mmol/lのpH緩衝溶液を用いてパルプ濃度3.5質量%に調整し、SUS製容器に入れた。その後、SUS製容器内を窒素ガスで置換し、温度110℃の油恒温槽内で3時間、酸加水分解処理を行った。処理後、パルプスラリーを濾過し、濾過液を吸光光度計を用いて波長245nmにおける吸光度を測定した。245nmにおけるモル吸光係数は8700mol/L/cmを使用してヘキセンウロン酸の定量を行った。尚、ヘキセンウロン酸の定量に際して、以下の参考文献を使用した。
十分にイオン交換水で洗浄したパルプから絶乾パルプ10gを採取し、蟻酸8mmol/l、蟻酸ナトリウム2mmol/lのpH緩衝溶液を用いてパルプ濃度3.5質量%に調整し、SUS製容器に入れた。その後、SUS製容器内を窒素ガスで置換し、温度110℃の油恒温槽内で3時間、酸加水分解処理を行った。処理後、パルプスラリーを濾過し、濾過液を吸光光度計を用いて波長245nmにおける吸光度を測定した。245nmにおけるモル吸光係数は8700mol/L/cmを使用してヘキセンウロン酸の定量を行った。尚、ヘキセンウロン酸の定量に際して、以下の参考文献を使用した。
(参考文献)著者 T.VUORINEN。「Selective Hydrolysis of Hexenuronic Acid Groups and its Application in ECF and TCF Bleaching of Kraft Pulps」JOURNAL OF PULP AND PAPER SCIENCE:VOL.25 NO.5 MAY 1999 P155−162
評価:
上記表1より、実施例1〜3の漂白パルプは、全てヘキセンウロン酸含有量が15mmol/絶乾パルプkg以下、且つ、リグニンに由来するカッパー価が1.5以下である。それらに対して、比較例1はヘキセンウロン酸15mmol/絶乾パルプkgを超え、且つ、リグニンに由来するカッパー価が1.5よりも高いパルプであり、比較例2はヘキセンウロン酸含有量は15mmol/絶乾パルプを超えるが、リグニンに由来するカッパー価は1.5以下、比較例3は、ヘキセンウロン酸含有量は15mmol/絶乾パルプkgより低いもののリグニンに由来するカッパー価が1.5よりも高い。実施例1〜3のPC価は10未満であり、比較例に対して大幅な改善が見られる。以上の結果より、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸及びリグニンの含有量がともに低い場合に、退色性が大幅に改善されることが判る。
上記表1より、実施例1〜3の漂白パルプは、全てヘキセンウロン酸含有量が15mmol/絶乾パルプkg以下、且つ、リグニンに由来するカッパー価が1.5以下である。それらに対して、比較例1はヘキセンウロン酸15mmol/絶乾パルプkgを超え、且つ、リグニンに由来するカッパー価が1.5よりも高いパルプであり、比較例2はヘキセンウロン酸含有量は15mmol/絶乾パルプを超えるが、リグニンに由来するカッパー価は1.5以下、比較例3は、ヘキセンウロン酸含有量は15mmol/絶乾パルプkgより低いもののリグニンに由来するカッパー価が1.5よりも高い。実施例1〜3のPC価は10未満であり、比較例に対して大幅な改善が見られる。以上の結果より、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸及びリグニンの含有量がともに低い場合に、退色性が大幅に改善されることが判る。
本発明は、広葉樹材を原料とする製紙用化学パルプに関するものであり、更に詳しくはECF漂白法を改良し、退色性が改善された製紙用化学パルプに利用できる。
Claims (1)
- 広葉樹材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素脱リグニンし、その後ECF漂白法による多段漂白を行った製紙用化学パルプであって、該パルプ中のヘキセンウロン酸含有量が絶乾パルプkgあたり15mmol以下であり、かつ、残留リグニンに由来するカッパー価が1.5以下であることを特徴とする退色性が改善された製紙用化学パルプ。
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2005-03-29 JP JP2005094419A patent/JP2006274478A/ja active Pending
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