JP4645093B2 - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents

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本発明は、リグノセルロース物質の漂白パルプに関し、更に詳しく述べれば、広葉樹を含むリグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、多段漂白工程で元素状塩素を使用せずに漂白後、次亜塩素酸処理してなる褪色性の改善された漂白パルプに関する。
リグノセルロース物質を製紙原料として多くの用途に使用するためには、蒸解のような化学作用によってパルプ化した後、あるいはリファイナー等を用いて機械的作用によってパルプ化した後、得られるパルプを漂白薬品で漂白して白色度を高める必要がある。例えば、クラフトパルプは包装資材のように強度を必要とする用途に使う場合を除いて、通常、パルプに含まれるリグニン等が除去された後に漂白クラフトパルプとして使用されるのが一般的である。
未漂白パルプから漂白パルプを製造する場合は、パルプ繊維自体の強度をある程度維持することが必要であり、そのためパルプ繊維を構成するセルロース、ヘミセルロース等の炭水化物の分解を最小限にとどめるように過激な1段での漂白を避け、漂白薬品と漂白条件を様々に組み合わせて穏やかな条件で漂白する3〜6段の多段漂白法を採用するのが一般的である。
従来から、多段漂白法においては、パルプを最初に塩素で処理し、パルプ中に含まれるリグニンを塩素化し、リグニンに可溶性を付加した後、次にアルカリで塩素化リグニンを溶解抽出して、パルプ中からリグニンを分離除去し、更に次亜塩素酸塩、二酸化塩素等を使用し、残留する少量のリグニンを分解除去し、白色度の高いパルプを得る方法が採られてきた。しかしながら、近年、パルプの塩素化段からの漂白排水に含まれる有機塩素化合物(以下、AOXと略す)の環境への影響が懸念され、パルプ漂白に塩素を用いない動きが高まってきている。又、次亜塩素酸塩を用いた場合も、パルプの漂白時にクロロホルムが生成し、環境に悪影響を及ぼす可能性があることから、次亜塩素酸塩をパルプ漂白に使用しない漂白シーケンスが求められてきている。
現在、塩素や次亜塩素酸塩の代替として、オゾン、二酸化塩素、過酸化水素及び過酢酸、過硫酸等の過酸が注目されている。実際には、薬品コストが比較的低く、取り扱いも比較的容易な二酸化塩素や過酸化水素が代替として使用されるケースが多くなっている。しかしながら、二酸化塩素や過酸化水素は、塩素や次亜塩素酸塩と漂白機構が異なることから、漂白薬品を替えた後、漂白パルプの褪色性が悪化するという問題点があった。
漂白パルプの褪色性を改善する方法として、キシラナーゼ前処理を行う方法が例えば、特開平6−101185号公報(特許文献1参照)、酸前処理を行なう方法が例えば、特表平10−508346号公報(特許文献2参照)等が提案されているが、これらの方法を用いてもなおかつ、褪色性が悪化する場合があり、いずれの方法も、処理後のパルプ収率の低下、排水CODの増加、設備コストがかかるなど実際的ではない。また、特開2002−266271号公報(特許文献3参照)には漂白パルプの褪色性を改善する方法が記載されているが、薬品を多く消費するといった問題があった。
また、多段漂白の最後に次亜塩素酸塩にてパルプを処理する方法が例えば特開2001−192991号公報(特許文献4参照)が提案されているが、白色度は上昇するものの褪色性は改善されない。
特開平6−101185号公報 特表平10−508346号公報 特開2002−266271号公報 特開2001−192991号公報
本発明の目的は、元素状塩素を使用せずに漂白処理したパルプについて所望の白色度で褪色性を改善する漂白パルプの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、かかる現状に鑑み、リグノセルロース物質を原料として、元素状塩素を用いずに所望の実用的な白色度まで漂白し、かつ漂白したパルプの褪色性を悪化させない方法について種々検討を重ねた結果、漂白パルプの過マンガン酸カリウム価が1.5以下となるように漂白すれば、漂白パルプの褪色性が大幅に改善されることを見出した。さらに、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸の量をパルプ絶乾1kg当たり10mmol以にすることにより、漂白パルプの褪色性がより一層改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成することができる本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)リグノセルロ−ス物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白工程で処理した後、次いで元素塩素を使用せず多段漂白を行った後、さらに次亜塩素酸にて処理する漂白パルプの製造方法。
(2)次亜塩素酸で処理される多段漂白後のパルプは白色度79〜89%であり、かつ過マンガン酸カリウム価(JIS P 8206)が1.5よりも大きい(1)記載の漂白パルプの製造方法。
(3)前記次亜塩素酸が次亜塩素酸水製造装置により生成される(1)記載の漂白パルプの製造方法。
(4)前記次亜塩素酸が次亜塩素酸塩と酸により生成される(1)記載の漂白パルプの製造方法。
(5)(4)項記載の酸が塩酸であることを特徴とする(4)記載の漂白パルプの製造方法。
リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、塩素、次亜塩素酸塩を共に用いない多段漂白工程後に次亜塩素酸にて処理してなる漂白完成パルプの、過マンガン酸カリウム価(JIS P 8206)を1.5以下とすることで、特に酸性紙用の漂白パルプとして、褪色性が著しく改善されている漂白パルプを提供することが可能となった。また、前記漂白パルプを用いたパルプシートを作製し、80℃、相対湿度65%の恒温度かつ恒湿度条件で48時間処理したものはPC価が10.0以下という褪色性の改善されたものとなった。
本発明で用いられるリグノセルロース物質は、特に限定されるものではない。広葉樹材、針葉樹材、非木材でも良いが広葉樹材を含むことが好ましい。広葉樹材には漂白パルプの褪色性の原因物質と考えられるヘキセンウロン酸が多く含まれるため、本発明の効果が大きく、好ましい。また、本発明で使用される未漂白パルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、又は、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。
例えば、木材をクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃で、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキ
ノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、あるいは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種あるいは2種以上が添加されてもよく、その添加率は木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
本発明では、公知の蒸解法により得られた未漂白化学パルプは、洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法或いは高濃度法がそのまま適用できるが、現在、汎用的に用いられているパルプ濃度が8〜15%で行われる中濃度法が好ましい。
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。
酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい実施形態である。アルカリ酸素漂白が施されたパルプは次いで洗浄工程へ送られる。パルプは洗浄後、酵素処理工程、酸処理工程、あるいは多段漂白工程へ送られる。
本発明においては、アルカリ酸素漂白工程後、酵素処理工程を設けることが可能である。前記酵素処理工程で使用される酵素は、パルプと反応させることにより、JIS P 8206で測定されるパルプの過マンガン酸カリウム価が低下するものであればいかなる酵素でも良い。たとえば、キシラナーゼ、リグニンパーオキシダーゼ、マンガンパーオキシダーゼ、ラッカーゼ等が知られいるが、勿論これらの酵素でも良く、未だ知られていない酵素でも該当する酵素であれば良いことは言うまでもない。また、これらの酵素は単独で用いてもよく、あるいは複合、混合して、さらには複数回に分けて使用することもできる。これらの酵素のうち、キシラナーゼと呼ばれるキシラン分解酵素は、漂白促進効果も同時に有しており、好適に用いられる。
本発明の多段漂白処理工程では、塩素を用いない漂泊方法の組み合わせであればいずれでもよいが、初段は二酸化塩素漂白段(D)が用いられ、二段目にはアルカリ抽出段(E)が用いられ、三段目以降には、二酸化塩素、過酸化水素等の組み合わせが好適に用いられる。本発明の多段漂白処理工程の初段の二酸化塩素漂白段に用いられる二酸化塩素は、当業者にとって公知の多くの二酸化塩素発生法より得られる二酸化塩素から選ぶことができるが、好適には、塩素を副生しない発生法から得られる二酸化塩素が用いられる。二酸化塩素段でのpHは2〜6、好ましくは2.5〜4であり、pHを調整するために任意の酸又はアルカリを補助的に添加することも可能である。また、二酸化塩素処理時間、処理温度、パルプ濃度等のその他の二酸化塩素漂白条件は、全て公知の条件を使用することができる。
本発明の多段漂白工程における二酸化塩素漂白段に続くアルカリ抽出段では、当業者にとって公知の多くのアルカリ化合物から選ぶことができるが、苛性ソーダが最も使用しやすく、好適に使用される。本発明のアルカリ抽出段では、酸素及び/又は過酸化水素を併用することもできる。その他、本発明のアルカリ抽出段は、公知の条件で行うことができる。
本発明の多段漂白工程で用いられる二酸化塩素段、アルカリ抽出段に続く三段目以降の漂白段では、塩素及び次亜塩素酸塩以外の漂白薬品であれば如何なる漂白薬品を用いても良いが、二酸化塩素、過酸化水素、オゾン、過酸等の一般的な漂白薬品が好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。
本発明の多段漂白工程で用いられる漂白薬品としては、塩素及び次亜塩素酸塩を除く、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、有機過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を挙げることができる。また、本発明における多段漂白処理工程での漂白シーケンスとして、例えば、D−E/O−D、D−E/O−P−D、D−E/O−D−D、D−E/O−D−P、D−E/OP−D等を挙げることができる。また、多段漂白工程中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
本発明では前記多段漂白後のパルプを更に次亜塩素酸により処理する事によりパルプをいためる事なくパルプの過マンガン酸カリウム価を1.5以下にすることができる。
本発明では次亜塩素酸水製造装置で製造された次亜塩素酸を使用することが好ましい。次亜塩素酸水製造装置としては、塩酸を電気分解するタイプのものや、塩化ナトリウムを電気分解するタイプのもなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
一方、次亜塩素酸の製造方法として、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムなどの次亜塩素酸塩を酸性化する方法も好ましい。用いる次亜塩素酸塩はコストやハンドリング面から次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。該次亜塩素酸塩を次亜塩素酸とする場合に用いる酸は、硫酸、塩酸、ギ酸等が挙げられる。また、緩衝作用の有るりん酸、フタル酸を使用することも可能である。特に塩酸を用いる場合には溶液のpH調整が容易となるために、次亜塩素酸ナトリウムと塩酸から次亜塩素酸を製造する装置も開発されている。この製造装置で製造された次亜塩素酸を使用することも好ましい。
次亜塩素酸処理での次亜塩素酸の添加率は絶乾パルプ質量当たり0.05〜1.5質量%(有効塩素換算)であり、好ましくは0.1〜1.0質量%である。0.05質量%未満では未反応のヘキセウロン酸が残り、褪色性が悪くなる。また1.5質量%より多く添加しても未反応の次亜塩素酸が残り経済的ではない。次亜塩素酸の反応温度は室温〜70℃で、特に、温度が低いと反応時間を要するため30℃以上であることが好ましい。反応時間としては反応温度によるが5〜100分が好ましい。パルプ濃度としては次亜塩素酸とパルプが均一に混合する濃度であれば時に限定はないが0.5〜15質量%が好ましい。0.5質量%未満では未反応の次亜塩素酸が残り、15質量%を越えると混合効率が悪くなり反応時間がかかるため好ましくない。
本発明では前記多段漂白後のパルプを更に次亜塩素酸により処理する事によりパルプをいためる事なくパルプの過マンガン酸カリウム価を1.5以下にすることができる。パルプの過マンガン酸カリウム価を1.5以下にすれば、褪色性が改善される理由の詳細については今後の研究を待たなければならないが、過マンガン酸カリウム価として評価されるヘキセンウロン酸の存在がパルプの褪色に関与しているものと推測している。したがって、ヘキセンウロン酸の含有量を一定量以下に制御する漂白方法が漂白パルプの褪色性を改善する上で非常に効果的である。
ヘキセンウロン酸を除去する方法については、オゾン、過酢酸等の強力な酸化剤を用いる方法、酸性下で過酸化水素とモリブデン酸塩を組合せる方法等が最近知られてきたが、漂白コストが大幅に高くなる上、設備コストもかなり高くなる。次亜塩素酸処理は設備コスト、薬品費も安く、漂白パルプ中に残存するヘキセンウロン酸を低減し、褪色性に効果が大きいので好ましい。
本発明の漂白パルプの用途に付いて時に限定はされないが、褪色性が問題になる酸性抄紙に用いる場合に特に効果的である。酸性紙の抄紙に際しては、本発明の漂白パルプによる酸性紙が有する優れた特性を損なわない範囲で他の漂白パルプを混合使用することもむろん可能である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
国内広葉樹30%とユーカリ材70%からなる広葉樹混合木材チップ900g(絶乾)を液比5、絶乾チップ質量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度160℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してハンター白色度34.5%、カッパー価21.2、パルプ粘度28.4mPa・sの広葉樹未漂白クラフトパルプを446g(絶乾)得た。
前記広葉樹未漂白クラフトパルプのうちの70g(絶乾)を採取し、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを2.0%添加し、次いでイオン交換水で希釈してパルプ濃度10%に調整し、間接加熱式オートクレーブでゲージ圧力0.5MPaとなるように純度が99.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、100℃で60分間反応させ、アルカリ酸素漂白を行なった。得られたパルプはイオン交換水で洗浄後脱水、ハンター白色度47.2%、カッパー価9.9のパルプを得た。
実施施例1〜3は、前記アルカリ酸素漂白後広葉樹漂白クラフトパルプをD−EP−Dシーケンスで漂白を行なった後、次亜塩素酸にて処理したものであり、比較例1は、D−EP−Dシーケンスで漂白を行なった後、次亜塩素酸塩にて処理をしたものである。また、特に示さない限り、カッパー価の測定、過マンガン酸カリウム価の測定、パルプ中のヘキセンウロン酸量の測定、パルプ白色度の測定、パルプの褪色性の評価はそれぞれ以下の方法で行った結果を示している。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質量%示す。
パルプのカッパー価の測定
JIS P 8211に準じて行なった。
パルプの過マンガン酸カリウム価の測定
JIS P 8206に準じて行なった。
3.パルプ中のヘキセンウロン酸量の定量
500mlのSUS製容器に、十分にイオン交換水で洗浄したパルプを絶乾パルプ5g量り取って入れ、蟻酸−蟻酸ナトリウムバッファー10mmol/l溶液を用いてトータル300mlとした。その後、SUS製容器内を窒素ガスで置換し、油恒温槽内で110℃、5時間処理した。SUS容器を流水冷却後、処理後のパルプ懸濁液を洗浄液を含めて500mlにメスアップした後、ろ過して、液をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて分析し、2−furoicacidと5―carboxy−2−furaldehydeを定量した。定量に際し、算出式、参考文献は、以下のものを使用した。
測定サンプル中の2−furoic acidの定量値をa(ng/μl)、5−carboxy−2−furaldehydeの定量値をbとした。
1)2−furoic acid量(mmol/kg)=a×(500/1000)/(10×10-3)/112.08
2)5−carboxy−2−furaldehyde量(mmol/kg)=b×(500/1000)/(10×10-3)/140.1
3)ヘキセンウロン酸量(mmol/l)=2−furoic acid量+5−carboxy−2−furaldehyde量
参考文献:著者 Vuorinen,T.
Selective hydrolysis of hexenuronic acid groups and its application in ECF and TCF bleaching of kraft pulpsInternational Pulp Bleaching Conference,April 14-18,1996,P43-51
4.白色度測定用パルプシートの作成方法
漂白パルプを離解後、パルプスラリーに硫酸バンドを対パルプ3.0%加え、Tappi試験法T205os−71(JIS P 8209)に従って坪量60g/mのシートを作製した。
5.パルプ白色度の測定
JIS P 8123に従ってパルプの白色度を測定した。
6.パルプの褪色性評価
白色度測定用パルプシートを80℃、相対湿度65%の条件下で、48時間褪色させ、褪色前後のパルプ白色度から下式に従いPC価を算出し、評価した。
PC価=(100−褪色後白色度)/(2×褪色後白色度)−(100−褪色前白色度)/(2×褪色前白色度)
(実施例1)
前記アルカリ酸素漂白後クラフトパルプ(白色度47.2%、カッパー価9.9)の絶乾質量80.0gをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.6%添加し、温度が80℃の恒温水槽に60分間浸漬して初段の二酸化塩素段(以下、D段と略す)の漂白を行なった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。D段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、苛性ソーダ、過酸化水素を各々絶乾パルプ質量当たり1.0%、0.5%加え、温度80℃で90分間処理し、アルカリ抽出段及び過酸化水素漂白(以下、EP段と略す)を行なった。得られたパルプをイオン交換水で希釈してパルプ濃度を3%に調整した後、ブフナーロートを用いてパルプマットを形成し、シリンダープレス機で脱水し、EP段後パルプを得た。脱水後のパルプ濃度は30.0%であった。
続いて、EP段後パルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.2%添加し、D段と同様にして温度70℃で180分間処理し、二段目のD段の漂白を行なった。このパルプの過マンガン酸カリウム価は3.4であった。続いて、二段目のD段後パルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度5%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり次亜塩素酸を0.3%添加し、D段と同様にして温度30℃20分処理し、次亜塩素酸漂白を行った。次亜塩素酸は森永エンジニアリング(株)製ピュアスターMp−10000C(電解質タイプ)にて製造して使用した。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈し、ブフナーロートを用いて洗浄、脱水し、白色度が86.9%の漂白パルプを得た。得られた漂白パルプの過マンガン酸カリウム価、ヘキセンウロン酸量及びこの漂白パルプから製造した漂白パルプシートの48時間後のPC価を測定し、表1に示した。
(実施例2)
次亜塩素酸を次亜塩素酸ナトリウムと硫酸から調整した以外は実施例1と同様の操作を行なった。多段漂白後のパルプ白色度は87.0%であった。得られた漂白パルプの過マンガン酸カリウム価、ヘキセンウロン酸量及びこの漂白パルプから製造した漂白パルプシートの48時間後のPC価を測定し、表1に示した。
(実施例3)
次亜塩素酸を次亜塩素酸ナトリウムと塩酸から調整した以外は実施例1と同様の操作を行なった。多段漂白後のパルプ白色度は87.0%であった。得られた漂白パルプの過マンガン酸カリウム価、ヘキセンウロン酸量及びこの漂白パルプから製造した漂白パルプシートの48時間後のPC価を測定し、表1に示した。
(比較例1)
次亜塩素酸を次亜塩素酸ナトリウムとした以外は実施例1と同様の操作を行なった。次亜塩素酸ナトリウム処理後のパルプ白色度は92.0%であった。得られた漂白パルプの過マンガン酸カリウム価、ヘキセンウロン酸量、48時間後の漂白パルプシートのPC価を測定し、表1に示した。
(比較例2)
次亜塩素酸処理を施さないこと以外は実施例1と同様の操作を行なった。二段目のD段処理後のパルプ白色度は86.6%であった。得られた漂白パルプの過マンガン酸カリウム価、ヘキセンウロン酸量、48時間後の漂白パルプシートのPC価を測定し、表1に示した。
Figure 0004645093
表1の実施例1、2と比較例1、2を比較することから明らかなように、白色度が高いレベルでも過マンガン酸カリウム価が高い場合は、ヘキセンウロン酸含有量が多く、その結果PC価も高く、パルプの褪色性が悪い。
本発明の褪色性の改善された漂白パルプは中性抄紙、酸性抄紙等の抄紙法にかかわらず、優れた褪色性を備えた紙を製造する事が可能であるため、非塗工、塗工用印刷用紙、フォーム用紙、PPC用紙、、感熱記録紙、感圧記録紙、インクジェット用紙等の情報用紙、各種包装用紙等いろいろな褪色性の優れた紙を得ることが可能となる。

Claims (5)

  1. リグノセルロ−ス物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白工程で処理した後、次いで元素状塩素を使用せず多段漂白を行なった後、さらに次亜塩素酸にて処理することを特徴とする漂白パルプの製造方法。
  2. 次亜塩素酸で処理される多段漂白後のパルプは白色度79〜89%であり、かつ過マンガン酸カリウム価(JIS P8206)が1.5よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の漂白パルプの製造方法。
  3. 前記次亜塩素酸が次亜塩素酸水製造装置により生成されることを特徴とする請求項1記載の漂白パルプの製造方法。
  4. 前記次亜塩素酸が次亜塩素酸塩と酸により生成されることを特徴とする請求項1又は2記載の漂白パルプの製造方法。
  5. 請求項4記載の酸が塩酸であることを特徴とする請求項4記載の漂白パルプの製造方法。

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