JP6197717B2 - 溶解パルプの製造方法 - Google Patents
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(1)リグノセルロース物質を原料として、前加水分解-アルカリ蒸解法により溶解パルプを製造する方法であって、該前加水分解-アルカリ蒸解後のパルプを漂白した後、酸性下で次亜塩素酸を添加して処理することを特徴とする溶解パルプの製造方法。
(2)前記前加水分解-アルカリ蒸解後のパルプを85〜92%ISOまで漂白した後、酸性下で次亜塩素酸を添加して処理することを特徴とする(1)に記載の溶解パルプの製造方法。
(3)前記アルカリ蒸解法がクラフト蒸解法であることを特徴とする(1)または(2)に記載の溶解パルプの製造方法。
(4)前記リグノセルロース物質が広葉樹材であり、前加水分解時のPファクターが200〜1000であり、さらにアルカリ蒸解後のパルプのカッパー価が6〜18であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
(5)前記溶解パルプの白色度が89〜94%ISOであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
(6)前記溶解パルプに含まれる灰分の含有量が0.2質量%以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
<式1>
Pファクターが200より低い場合には、ヘミセルロースの酸加水分解が十分でなく、その後のアルカリ蒸解を行っても、パルプのセルロース純度を十分に高められないので適さない。Pファクターが1000より高い場合には、セルロースの酸加水分解が進んでしまい、パルプのセルロース純度を十分に高められない上に、パルプ粘度が低くなり、さらにはパルプ収率も低くなるので適さない。前加水分解温度が140℃よりも低い場合には反応時間を10時間以上にする必要があり、巨大な反応容器を準備する必要があることから経済的ではないので適さない。逆に200℃よりも高くすると、場合によっては反応時間を0.1時間以下にする必要があり、反応の制御が困難となる上にそのような熱条件に耐え得る装置の材質は高価になるため、経済的にも適さない。
次亜塩素酸の反応時間は、5〜180分で行われるが、特に限定されるものではない。次亜塩素酸処理におけるパルプ濃度は特に限定されるものではないが、1〜40質量%、好ましくは8〜15質量%の範囲で行われる。パルプ濃度が1質量%未満の場合には、未反応の次亜塩素酸が多く残り経済的ではないため適さず、40質量%より高い場合には、パルプと薬品の混合が不十分となり、反応が不均一になるので適さない。次亜塩素酸の反応pHは1〜5、好ましくは2〜4、pHは、1より低い場合には反応容器が腐食しやすくなり、5より高い場合には灰分除去効果が不十分になるため適さない。
実施例
JIS P 8211に準じて測定した。
漂白パルプを離解後、パルプスラリーに硫酸バンドを対パルプ3.0%加え、Tappi試験法T205os−71 (JIS P 8209)に従って作成した坪量60g/m2のシートを用い、JIS P 8123に従ってパルプの白色度を測定した。
J TAPPI No.44に準じて測定した。
JIS P 8101に準じて測定した。
JIS P 8251に準じて測定した。
ユーカリ・ペリータ材チップを絶乾質量で300g採取し、水道水10リットルに一晩浸漬した。その後、チップを取り出して400メッシュの篩に空け、濾別した後、この脱水後のチップを2.5リットル容量のオートクレーブに入れ、液比が3になるように水道水を加えた後、165℃で60分間、前加水分解処理した。この時のPファクターは406であった。前加水分解後、オートクレーブの脱気コックから廃ガスを抜き出し、オートクレーブ内の圧力が0になったことを確認した後、処理後のチップを400メッシュの篩に空け、濾別した。濾別後のチップを絶乾質量で200g採取し、再度2.5リットル容量のオートクレーブに入れ、液比5、絶乾チップ質量当たり活性アルカリ16%、蒸解液の硫化度28%、蒸解温度165℃、蒸解時間50分の条件下でクラフト蒸解を行なった。蒸解後、黒液とパルプを分離し、パルプを8カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選して、カッパー価16.6の未晒パルプを絶乾質量で120.0gを得た。
た後、絶乾パルプ質量当たりpH5に調整した次亜塩素酸を0.3%添加し、温度が70℃の恒温水槽
に60分間浸漬し、酸性次亜塩素酸処理を行った。処理後のpHは2.9であった。得られたパルプ
をイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。白色度90.3%ISO、α−セルロース95.1%、灰分0.08%の完成パルプを得た。以上の結果を表1、2に示す。
実施例1において、前加水分解時の温度を157℃、処理時間を60分(Pファクターは214)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、次亜塩素酸処理後のpHは2.9であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、前加水分解時の温度を170℃、処理時間を100分(Pファクターは995)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、次亜塩素酸処理後のpHは2.9であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、次亜塩素酸処理時の次亜塩素酸添加率を0.2%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。表1、2に結果を示す。なお、次亜塩素酸処理後のpHは3.0であった。
実施例1において、次亜塩素酸処理時の次亜塩素酸添加率を0.5%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、次亜塩素酸処理後のpHは2.6であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、次亜塩素酸処理時の処理温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、次亜塩素酸処理後のpHは2.8であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、次亜塩素酸処理時の処理温度を90℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、次亜塩素酸処理後のpHは2.8であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、次亜塩素酸処理時の処理時間を120分に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、次亜塩素酸処理後のpHは2.8であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、クラフト蒸解時の蒸解時間を120分、活性アルカリ添加率を20%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、クラフト蒸解後のカッパー価は、10.1、漂白後の白色度は90.5%ISO、次亜塩素酸処理後のpHは2.9であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、クラフト蒸解時の蒸解時間を120分、活性アルカリ添加率を20%、次亜塩素酸処理時の次亜塩素酸添加率を0.5%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、クラフト蒸解後のカッパー価は、10.1、漂白後の白色度は90.5%ISO、次亜塩素酸処理後のpHは2.6であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、ユーカリ・ペリータ材チップをユーカリ・グロブラス材チップに変更した外は、実施例1と同様の操作を行なった。なお、クラフト蒸解後のカッパー価は、10.7、漂白後の白色度は90.0%ISO、次亜塩素酸処理後のpHは2.8であった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、次亜塩素酸処理を行わなかった以外は、全て実施例1と同様の操作を行なった。表1、2に結果を示す。
実施例9において、次亜塩素酸処理を行わなかった以外は、全て実施例9と同様の操作を行なった。表1、2に結果を示す。
実施例11において、次亜塩素酸処理を行わなかった以外は、全て実施例11と同様の操作を行なった。表1、2に結果を示す。
実施例1において、次亜塩素酸の変わりに過酸化水素を0.3%添加した以外は、全て実施例1と同様の操作を行なった。表1、2に結果を示す。
Claims (9)
- リグノセルロース物質を原料として、前加水分解-アルカリ蒸解法により溶解パルプを製造する方法であって、該前加水分解-アルカリ蒸解後のパルプを漂白する工程を行い、漂白工程が総て終了した後、酸性下で次亜塩素酸を添加して処理することを特徴とする溶解パルプの製造方法。
- 酸性下で次亜塩素酸を添加して処理する際の次亜塩素酸の添加量が、絶乾パルプ質量当たり、有効塩素換算で0.05〜1.5質量%である請求項1に記載の溶解パルプの製造方法。
- 酸性下で次亜塩素酸を添加して処理する際の温度が50〜80℃である請求項1または2に記載の溶解パルプの製造方法。
- 酸性下で次亜塩素酸を添加して処理する際のpHが1〜5である請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
- 前記前加水分解-アルカリ蒸解後のパルプを85〜92%ISOまで漂白した後、酸性下で次亜塩素酸を添加して処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
- 前記アルカリ蒸解法がクラフト蒸解法であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
- 前記リグノセルロース物質が広葉樹材であり、前加水分解時のPファクターが200〜1000であり、さらにアルカリ蒸解後のパルプのカッパー価が6〜18であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
- 前記溶解パルプの白色度が89〜94%ISOであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
- 前記溶解パルプに含まれる灰分の含有量が0.2質量%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶解パルプの製造方法。
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