JP2017106160A - 溶解クラフトパルプの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、広葉樹材を原料として、高品質の溶解パルプをクラフト蒸解法により製造する技術を提供することにある。
【解決手段】本発明によって、(a)広葉樹のチップを含む木材チップに水を添加し、温度150〜180℃で30〜400分間処理し、木材チップに含まれるヘミセルロース分の分解または溶出を行う工程、(b)処理後の木材チップを洗浄し、木材チップを回収する工程、(c)回収した木材チップをクラフト蒸解してパルプを製造する工程、を含む、広葉樹材から溶解パルプを製造する方法が提供される。
【選択図】なし

Description

発明の属する技術分野
本発明は広葉樹から溶解パルプを製造する方法に関する。特に本発明は、難蒸解性かつ難漂白性のユーカリ属の材などから高品質の溶解クラフトパルプを製造する方法に関するものである。
従来の技術
広葉樹は、溶解クラフトパルプの主要原料の一つである。ユーカリ材や南方材が広葉樹クラフトパルプの主要原料になってきている。このユーカリ材は種類が多く、樹種、樹齢、産地などの違いにより、その蒸解性や漂白性が異なっている。
ユーカリ材はashタイプとblood woodタイプに大別され、ashタイプは抽出成分量が少ないのでパルプ材として工業的に利用する場合には比較的問題がないとされている。
一方、blood woodタイプでは酸性の抽出成分に起因する様々な問題が発生するので、その軽減策が必要である。
ユーカリ材には、キノと称されるポリフェノール類およびエラグ酸などの酸性の抽出成分が含まれている。キノ成分は縮合型タンニンを主成分とする樹木分泌物であり、淡黄色から濃紅色にいたる色調を持ち、樹種により特徴を異にしている。エラグ酸は木材中に遊離の状態でも存在するが、没食子酸とエラグ酸から形成されるエラグタンニン酸の形で主に存在する。このエラグタンニン酸は蒸解中に加水分解されて、エラグ酸になる。エラグ酸は強い酸性を示すと同時にアルカリ性条件下で容易に酸化され、キノン型となりパルプセルロースに強く吸着し、パルプ白色度に悪影響を及ぼす。更に、高温、高圧下では、そのフェノール性のために重合しやすく、粘着性物質となる。
ユーカリ材に含まれる前記の酸性の抽出成分は、その含有量が多ければパルプ収率を低下させる。また、アルカリ蒸解やクラフト蒸解のアルカリ性薬剤を無駄に消費する。この消費は、リグニンの溶出によるアルカリ消費よりも反応が速い。このため、チップに対するアルカリ性薬剤の添加率を一定とした場合には、酸性抽出成分を多く含むユーカリ材では、未晒パルプの高カッパー価(換言すれば、白色度の低下)の問題を引き起こし、後続の漂白工程の負荷を増大させ、漂白薬品の使用量増加あるいは漂白パルプの白色度低下といった問題も引き起こす。あるいは、蒸解後のパルプのカッパー価を一定とした場合には、チップに対するアルカリ添加率を高めなければならず、パルプ化のコストが増大するという問題を引き起こす。
また、ウォッシャーやディフューザーなどで抽出成分由来のスケールが発生したり、濃縮黒液の粘度が著しく上昇し真空蒸発が不良になることで、回収ボイラーでの黒液の燃焼性が悪化するなどの問題を引き起こす。
以上のような難蒸解性の材の種々な問題に関しては、その対策が検討されている。
蒸解性や漂白性の改善を目的とした技術としては、例えば、アルカリ蒸解の場合、リグニン、炭水化物がアルカリを消費するが、酸性抽出成分はこれらより迅速にアルカリと反応するので、酸性抽出成分を黒液中の残アルカリとまず反応させ、次いで白液を添加して蒸解を行う二段蒸解法が考案されている(非特許文献1参照)。
また、実験蒸解釜を用いた研究で、ユーカリ材を熱水で4〜24時間抽出することにより、同一カッパー価で比較して、クラフトパルプの白色度が向上し、活性アルカリ添加量を削減できること、およびパルプ収率と塩素消費量には差がないことが報告されている(非特許文献2参照)。
さらに、非特許文献3には、ユーカリ材に含まれる酸性抽出成分はアルカリ条件下の酸素による酸化処理で容易に淡色化すること、および黒液の燃焼性を改善できることが明らかなことから、クラフト蒸解に先立つアルカリ酸化前処理により、パルプの白色度が改善できることが記載されている。
また、特許文献1には、キノ物質を含む木材のアルカリ蒸解によるパルプ製造法に関し、特にキノ物質を含む木材チップを、30℃以上でアルカリリグニンの溶出温度以下でアルカリ性蒸解液を用いて予め処理してキノ物質を滲出し、次いで蒸解を行うパルプ製造法が示されている。
特許文献2には、ユーカリチップから滲出する多量の滲出液の酸性度を合理的に中和して対金属腐食性を低減するとともにチップの蒸解性の向上と蒸解薬品および漂白薬品の節減を目的として、ユーカリチップにアルカリ性溶液を噴霧し、対チップ0.3〜1.5重量%となるように前記アルカリを付着させた後、少なくとも2週間堆積する方法が示されている。
特許文献3には、ユーカリ材チップのようなアルカリ可溶性抽出成分の多い木材チップの蒸解に際し、アルカリ可溶性抽出成分を最も効果的有利に抽出することを目的として、木材チップを、該木材の平均厚さの20〜50%間隙を有し、対向して互いに反対方向に、かつ周速比1:1.1〜1.5で回転する2本の金属ロール間に通した後、アルカリ蒸解する方法が示されている。
特許文献4には、パルプ蒸解後の黒液の濃縮性、燃焼性を改善する技術に関して、例えば、ユーカリ材のような南方材等、ポリフェノール類あるいはタンニン類等を多く含む材のクラフトパルプ廃液の溶存物質の5〜35%を必要量の加圧空気等により酸化分解し、クラフト法における薬品回収を可能とする技術が開示されている。
特許文献5には、ユーカリ材を主体としたパルプ蒸解液を濃縮、燃焼して得られる緑液を苛性化して蒸解液を再生する処理工程において、濃縮前の希廃液に緑液又は緑液を苛性化して得られる白液を添加、混合し、空気酸化した後、あるいは空気酸化後ある程度濃縮した後、苛性ソーダを添加して廃液のpHを高め、次いで所定濃度まで濃縮してから燃焼する方法が示されている。
特許文献6には、リグノセルロース材料を前加水分解して、続いて140〜160℃でアルカリ中和処理を行い、中和された前加水分解されたリグノセルロース材料をクラフト蒸解して、溶解パルプをバッチ様式で製造する方法が開示されている。
特公昭47−24162号公報 特開昭53−134903号公報 特許第1506085号 特公昭48−42242号公報 特許第1021680号 特許第2984798号公報
Sloman, A. R., Appita, 14(2), 57 (1960) Nelson, P. F., et al., Appita, 24(2), 101 (1970) Hemingway, R. W., et al., Appita, 25(6), 445 (1972)
上述したように、木材に含まれるキノ成分などは、難蒸解性や難漂白性の原因物質の一つと考えられる。このようなキノ成分は、アルカリ性の蒸解液を用いるクラフト蒸解において着色物質が生成する原因となるし、蒸解後の漂白においても着色物質が生成する原因となる。
このような状況に鑑み、本発明者らは、ユーカリ属の広葉樹材からパルプを製造する際に、キノ成分を積極的に除去することによって蒸解性や漂白性の改善を図る技術について検討した。本発明が解決しようとする課題は、広葉樹材を原料として、高品質の溶解パルプをクラフト蒸解法により製造する技術を提供することにある。
これに限定されるものではないが、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)(a)広葉樹のチップを含む木材チップに水を添加し、温度150〜180℃で30〜400分間処理し、木材チップに含まれるヘミセルロース分の分解または溶出を行う工程、(b)処理後の木材チップを洗浄し、木材チップを回収する工程、(c)回収した木材チップをクラフト蒸解してパルプを製造する工程、を含む、広葉樹材から溶解パルプを製造する方法。
(2) 前記a工程において、下式:
Pファクター=∫exp(40.48−15106/T)dt
[式中、Tは絶対温度であり、木材チップに水を添加した時点から蒸解終了時点まで時間積分される]
で表されるPファクターが350〜800となるように処理を行う、(1)に記載の方法。
(3) 前記木材チップがユーカリ属(Eucalyptus)の木材チップを含む、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記広葉樹チップが、blood woodタイプのユーカリ属の広葉樹チップを含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) クラフト蒸解したパルプを漂白する工程をさらに含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、広葉樹材を原料として、クラフト蒸解法により溶解パルプを効率よく製造することができる。
発明の実施するための形態
本発明は、クラフト蒸解法によって溶解パルプを製造する方法に関する。本発明において溶解クラフトパルプ(DKP)とは、クラフト蒸解法(KP法)によって製造される溶解パルプである。溶解パルプとは、化学的に精製されたセルロース純度の高いパルプを意味し、好ましい態様においてセルロース含有量が90%以上である。一般に木材はセルロース、リグニン、ヘミセルロースの三大成分と少量の樹脂分、灰分などを含んでいるが、溶解パルプはセルロース純度が高く、化学繊維、セロハン、プラスチック、合成糊料、その他いろいろなセルロース系誘導体の原料として広く利用されている。
本発明の原料は、広葉樹のチップを含む木材チップである。本発明の木材チップは、広葉樹材のチップを含んでいれば、そのサイズや樹種は特に制限されず、単一種類の木材のチップでも2種以上の木材が混合されたチップでもよい。本発明においては、広葉樹のう
ち、蒸解や漂白が比較的難しいとされる樹種であっても、高品質な溶解パルプを効率良く製造することができる。本発明において広葉樹材のチップとしては、例えば、ユーカリ属木材チップを好適に使用することができる。ユーカリ属に関しては、キノ成分を多く含む樹種としては、Eucalyptus(以下、E.と略す) calophylla、E. citriodora、E. diversicolor、E. globulus、E. grandis、E. gummifera、E. marginata、E. nesophila、E. nitensなどの老齢木、エラグタンニン酸を多く含む樹種としては、E. amygdalina、E. camaldulensis、E. delegatensis、E. gigantea、E. muelleriana、E. obliqua、E. regnans、E. sieberiana、E. viminalisなどの老齢木、ロイコアントシアニジンを多く含む樹種
としては、E. camaldulensis、E. marginataなどの老齢木を挙げることができる。
前加水分解工程
本発明ではクラフト蒸解を行う前の前処理として、チップに対して加水分解処理を行って、木材チップ中のヘミセルロース分を水溶性の糖に分解して、除去する。前処理としての加水分解処理(前加水分解)は、木材チップを高温の水で処理することによって実施される。添加する水は、熱水でも水蒸気の状態でもよい。加水分解の進行によって有機酸等が生成するので、処理液のpHは2〜55となるのが一般的である。
前加水分解処理は、150〜180℃の温度範囲で行うことが好ましい。温度が150℃未満であれば、ヘミセルロースの除去が不十分となり、180℃を超えると加水分解が過剰となりα−セルロース分も低下してしまう。処理時間は特に制限されないが、30〜400分が好ましく、35〜250分がより好ましく、40〜150分がさらに好ましい。処理時間が短すぎると、ヘミセルロースの除去が不十分となり、ヘミセルロースを除去したことによる脱リグニン性の向上効果も少なくなる。一方、処理時間が長すぎると、加水分解が過剰となりα−セルロース分が減少してパルプ収率の低下を招くとともに、リグニンの縮合により、後に続くクラフト蒸解工程における蒸解性の悪化を招いてしまう。
また、本発明における前加水分解処理は、P−ファクター(PF)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。P−ファクターとは、前加水分解処理で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、本発明では下記式によって表わされ、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。
PF=∫ln−1(40.48−15106/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明における前加水分解処理は、Pファクター(Pf)が350〜800となる範囲で行うことが好ましい。Pf350未満であれば、ヘミセルロースの除去が不十分となり、ヘミセルロースを除去したことによる脱リグニン性の向上効果も少なくなる。また、Pf800を超えると、加水分解が過剰となりα−セルロース分が減少してパルプ収率の低下を招くとともに、リグニンの縮合により、後に続くクラフト蒸解工程における蒸解性の悪化を招いてしまう。
前加水分解工程は、木材チップと水を耐圧性容器に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。木材チップと水の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。液比が1.0L/kg未満であると、木材チップに対して水が少なすぎるために加水分解が不十分となり、液比が5.0L/kgを超えると容器の大きさが過大となるので好ましくない。また、必要に応じて、少量の鉱酸を添加してもよい。必要に応じて、少量の鉱酸を添加してもよい。
チップの洗浄・回収工程
次いで、前加水分解処理後の木材チップは、前加水分解液を除去し、チップを十分に水
で洗浄して回収する。不十分な洗浄では、後続の蒸解工程において悪影響が生じる場合がある。
加水分解液の洗浄、除去は、一般的な固液分離装置などを用いることによって行うことができる。例えば、前加水分解に用いる容器に抽出スクリーンを設け、容器下部から洗浄水を導入してスクリーンから抽出して向流洗浄することができる。
クラフト蒸解工程
洗浄後のチップは、蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、一般的な条件(活性アルカリ添加量、硫化度、液比、最高温度、保持時間、Hファクターなど)でクラフト蒸解に供する。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法の蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの装置で洗浄する。洗浄後の未晒パルプのカッパー価は5〜20にす
ることが好ましく、6〜16としてもよい。
クラフト蒸解工程は、前加水分解処理した木材チップをクラフト蒸解液とともに耐圧性容器に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。木材チップと水の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。
クラフト蒸解は、120〜220℃の温度範囲で行うことが好ましく、140〜170℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロースの重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上320分以下が好ましく、60分以上240分以下が好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、320分を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好
ましくない。
また、本発明におけるクラフト蒸解は、H−ファクター(HF)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。H−ファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。H−ファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。
HF=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。
一つの態様において、クラフト蒸解で得られたパルプに酸素脱リグニン処理を行うことができる。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm、よ
り好ましくは4〜7kg/cm、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、温度は80〜140℃、処
理時間は20〜180分、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、
酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。
酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
本発明によって製造された溶解クラフトパルプ(DKP)は、ヘミセルロースやキノ成分が除去されているため、通常の酸素脱リグニン処理や漂白処理により高品質の溶解クラフトパルプを容易に製造できる。広葉樹はヘミセルロース分が針葉樹に比べて多く含まれているが、本発明によって、ヘミセルロース分が針葉樹と同等の高品質の溶解パルプが得られる。
次に実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、本発明において、%などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとする。
実施例1
ユーカリ・グロブラスを原料とする木材チップを、篩い分け器(ジャイロシフター)を使用して篩い分けし、サイズが9.5〜25.4mmの木材チップを得た。
回転型オートクレーブを用い、この木材チップに液比3.2(L/kg)となるように水を
加え、前加水分解温度170℃にて50分間(Pファクター:約500)、前加水分解を行っ
た。
前加水分解終了後、チップと前加水分解液とを300メッシュ濾布で分離し、チップの15倍量の60℃温水で30秒間手もみ洗浄を行った。
続いて、再び回転型オートクレーブを用い、150℃、85分間、クラフト蒸解薬液の浸透
を行った後、蒸解温度160℃で60分間、H−ファクター(HF)=600で蒸解を行った。薬液は、活性アルカリ添加率(AA)16〜20%で変化させ、活性アルカリ105g/L(Na
O換算値)、NaOH75.6g/L(NaO換算値)、NaS29.4g/L(NaO換算値)、硫化度28%の組成で、木材チップと蒸解薬液との液比は3.2(L/kg)とした。
蒸解終了後、得られた未漂白パルプのカッパー価(KN)、総収率、ヘミセルロース量を以下の方法にて測定し、結果を表1に示した。
・未漂白パルプのカッパー価:JIS P 8221に従って、測定した。
・総収率:蒸解前の木材チップの絶乾重量と蒸解後に得られた未漂白パルプの絶乾重量より算出した。
・ヘミセルロース量(ヘミセル量): NREL/TP510−42618に従い、測定
した。
実施例2
原料を国産の広葉樹(国内L材のミックスチップ)とした以外は実施例1と同様に蒸解を行い、得られた未漂白パルプのカッパー価、総収率、ヘミセルロース量を以下の方法にて測定し、結果を表1に示した。
比較例1
前加水分解を約30分行った(Pf:約300)以外は、実施例1と同様にしてクラフト蒸解を行い、溶解パルプを得た。得られた未漂白パルプのカッパー価、総収率、ヘミセルロース量を測定し、結果を表1に示した。
比較例2
前加水分解を約90分行った(Pf:約900)以外は、実施例1と同様にしてクラフト蒸解を行い、溶解パルプを得た。得られた未漂白パルプのカッパー価、総収率、ヘミセルロース量を測定し、結果を表1に示した。
比較例3
前加水分解を約30分行った(Pf:約300)以外は、実施例2と同様にしてクラフト蒸解を行い、溶解パルプを得た。得られた未漂白パルプのカッパー価、総収率、ヘミセルロース量を測定し、結果を表1に示した。
比較例4
前加水分解を約90分行った(Pf:900)以外は、実施例2と同様にしてクラフト蒸解を行い、溶解パルプを得た。得られた未漂白パルプのカッパー価、総収率、ヘミセルロース量を測定し、結果を表1に示した。
Figure 2017106160

Claims (5)

  1. (a)広葉樹のチップを含む木材チップに水を添加し、温度150〜180℃で30〜400分間処理し、木材チップに含まれるヘミセルロース分の分解または溶出を行う工程、(b)処理後の木材チップを洗浄し、木材チップを回収する工程、
    (c)回収した木材チップをクラフト蒸解してパルプを製造する工程、
    を含む、広葉樹材から溶解パルプを製造する方法。
  2. 前記a工程において、下式:
    Pファクター=∫exp(40.48−15106/T)dt
    [式中、Tは絶対温度であり、木材チップに水を添加した時点から蒸解終了時点まで時間積分される]
    で表されるPファクターが350〜800となるように処理を行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記広葉樹チップが、ユーカリ属(Eucalyptus)の広葉樹チップである、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記広葉樹チップが、blood woodタイプのユーカリ属の広葉樹チップを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. クラフト蒸解したパルプを漂白する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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