JP2014029044A - 溶解クラフトパルプの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、α−セルロース含有量の高い溶解クラフトパルプを効率的に製造する技術を提供することである。
【手段】本発明によって、前加水分解処理を行った木材チップをクラフト蒸解する工程、蒸解したパルプに酸素脱リグニン処理を施す工程、酸素脱リグニン処理したパルプをアルカリ精製する工程、を含む、溶解クラフトパルプを製造する方法であって、アルカリ精製工程において、水酸化ナトリウム濃度3〜25質量%、温度20〜50℃、処理時間10分〜60分でパルプを処理する方法が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶解クラフトパルプの製造方法に関する。特に本発明は、α−セルロース含有量が95%以上と高い溶解クラフトパルプの製造方法に関する。
セルロースアセテートの製造に用いられる溶解パルプは、一般に92%以上の高α−セルロース含有率を有する。α−セルロースは、パルプを17.5%の水酸化ナトリウムで処理した際に溶解しない部分であり、セルロースが主成分である。この程度のα−セルロース含有率を得るためには、かなりの量のヘミセルロースを、例えば、クラフトパルプの蒸解前の蒸気予備加水分解、または漂白プロセスにおけるアルカリ抽出によって、除去しなければならず、それによりかなりの製造コストがかかる。セルロースアセテートの製造においてアセチル化を十分に行うためには、高含有率のペントサンおよび他のヘミセルロースは好ましくない。
特許文献1には、リグノセルロース材料を前加水分解して、続いて140〜160℃でアルカリ中和処理を行い、中和された前加水分解されたリグノセルロース材料をクラフト蒸解して、溶解クラフトパルプをバッチ様式で製造する方法が開示されている。
特表平9−507697号公報
しかしながら、特許文献1の方法ではヘミセルロースを十分に除去することができず、セルロースアセテート用途に適した溶解クラフトパルプを製造することはできなかった。
本発明の課題は、セルロースアセテート用途に有用である、α−セルロース含有量の高い溶解クラフトパルプを効率的に製造する技術を提供することである。
上記課題について鋭意検討した結果、前加水分解(予備加水分解)を行ってクラフト蒸解により得られた溶解パルプに対して、比較的低温にて、高いアルカリ濃度で処理することによって、難溶解性のヘミセルロースが効率的に除去され、α−セルロース含有量の高い溶解クラフトパルプが製造できることを見出し、本発明を完成させた。
これに限定されるものではないが、本発明は、以下の態様を包含する。
(1) 前加水分解処理を行った木材チップをクラフト蒸解する工程、蒸解したパルプに酸素脱リグニン処理を施す工程、酸素脱リグニン処理したパルプをアルカリ精製する工程、を含む、溶解クラフトパルプを製造する方法であって、アルカリ精製工程において、水酸化ナトリウム濃度3〜25質量%、温度20〜50℃、処理時間10分〜60分でパルプを処理する、上記方法。
(2) 溶解クラフトパルプのα−セルロース含有量が95%以上である、(1)に記載の方法。
(3) 溶解クラフトパルプのヘミセルロース含有量が2.5%以下である、(1)または(2)に記載の方法。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の方法によって製造した溶解クラフトパルプ。
(5) (1)〜(3)のいずれかに記載の方法で溶解クラフトパルプを製造し、その溶解クラフトパルプを原料としてセルロースアセテートを製造することを含む、セルロースアセテートの製造方法。
(6) (5)に記載の方法で製造したセルロースアセテート。
本発明によれば、α−セルロース含有量が高く、ヘミセルロース含有量が低い溶解クラフトパルプを効率的に製造することができる。本発明によって得られる溶解クラフトパルプは、セルロースアセテート用途など、高いαセルロース含有量が要求される用途に好適である。
本発明において溶解クラフトパルプ(DKP)とは、クラフト蒸解法(KP法)によって製造される溶解パルプである。溶解パルプとは、化学的に精製されたセルロース純度の高いパルプを意味し、好ましい態様においてα−セルロース含有率が90%以上である。一般に木材はセルロース、リグニン、ヘミセルロースの三大成分と少量の樹脂分、灰分などを含んでいるが、溶解パルプはセルロース純度が高く、化学繊維、セロハン、プラスチック、合成糊料、その他いろいろなセルロース系誘導体の原料として広く利用されている。
本発明の溶解クラフトパルプは、前加水分解処理を行った木材チップをクラフト蒸解し、得られた未漂白クラフトパルプを酸素脱リグニン処理し、さらに少なくとも1つのアルカリ精製工程で処理して溶解クラフトパルプを製造する。アルカリ精製工程において、水酸化ナトリウム濃度3〜25質量%、温度20〜50℃、時間10分〜60分で処理する。
本発明に溶解クラフトパルプをセルロースアセテートの原料に使用する場合は、α−セルロース含有量が95%以上、ヘミセルロース含有量が2.5%以下であることが好ましい。セルロースアセテートは液晶表示装置の光学材料、例えば、ハードコートフィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム等の原料とするので、特にセルロース純度の高いことが求められる。溶解クラフトパルプはアルカリ条件で蒸解するので、アルカリに対して溶解し難いヘミセルロース分が残存している。本発明においては、高アルカリ濃度でかつ低温条件、すなわち、水酸化ナトリウム濃度3〜25質量%、温度20〜50℃、時間10分〜60分でパルプを処理することによってパルプからヘミセルロースを効率的に除去することができた。
本発明の原料は木材チップである。本発明の木材チップは、針葉樹材、広葉樹材のいずれのチップを含んでいれば、そのサイズや樹種は特に制限されず、単一種類の木材のチップでも2種以上の木材が混合されたチップでもよい。本発明においては、針葉樹などの比較的、蒸解や漂白が難しいとされる樹種であっても、高品質な溶解パルプを効率良く製造することができる。
本発明において使用される針葉樹材のチップとしては、例えば、カラマツ属やマツ属の木材チップを好適に使用することができる。カラマツ属に関しては、例えば、Larix(以下、L.と略す)leptolepis(カラマツ)、L.laricina(タマラック)、L.occidentalis(セイブカラマツ)、L.decidua(ヨーロッパカラマツ)、L.gmelinii(グイマツ)などが挙げられる。また、カラマツ属以外の針葉樹としては、例えば、マツ属に関しては、Pinus radiata(ラジアータマツ)など、トガサワラ属に関しては、Pseudotsuga(以下、P.と略す)menziesii(ダクラスファー)、P.japonica(トガサワラ)など、スギ属に関しては、Cryptomeria japonicaなどを挙げることができる。
本発明において広葉樹材のチップとしては、例えば、ユーカリ属木材チップを好適に使用することができる。ユーカリ属に関しては、キノ成分を多く含む樹種としては、Eucalyptus(以下、E.と略す) calophylla、E.citriodora、E.diversicolor、E.globulus、E.grandis、E.gummifera、E.marginata、E.nesophila、E.nitensなどの老齢木、エラグタンニン酸を多く含む樹種としては、E.amygdalina、E.camaldulensis、E.delegatensis、E.gigantea、E.muelleriana、E.obliqua、E.regnans、E.sieberiana、E.viminalisなどの老齢木、ロイコアントシアニジンを多く含む樹種としては、E.camaldulensis、E.marginataなどの老齢木を挙げることができる。
前加水分解工程
本発明ではクラフト蒸解を行う前の前処理として、チップに対して加水分解処理を行って、木材チップ中のヘミセルロース分を水溶性の糖に分解して、除去する。前処理としての加水分解処理(前加水分解)は、木材チップを高温の水で処理することによって実施される。添加する水は、熱水でも水蒸気の状態でもよい。加水分解の進行によって有機酸等が生成するので、処理液のpHは2〜5となるのが一般的である。
前加水分解処理は、150〜180℃の温度範囲で行うことが好ましい。温度が150℃未満であれば、ヘミセルロースの除去が不十分となり、180℃を超えると加水分解が過剰となりα−セルロース分も低下してしまう。処理時間は特に制限されないが、30〜400分が好ましく、35〜250分がより好ましく、40〜150分がさらに好ましい。処理時間が短すぎると、ヘミセルロースの除去が不十分となり、ヘミセルロースを除去したことによる脱リグニン性の向上効果も少なくなる。一方、処理時間が長すぎると、加水分解が過剰となりα−セルロース分が減少してパルプ収率の低下を招くとともに、リグニンの縮合により、後に続くクラフト蒸解工程における蒸解性の悪化を招いてしまう。
また、本発明における前加水分解処理は、P−ファクター(PF)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。P−ファクターとは、前加水分解処理で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、本発明では下記式によって表わされ、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。
PF=∫ln−1(40.48−15106/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明における前加水分解処理は、Pファクター(Pf)が350〜800となる範囲で行うことが好ましい。Pf350未満であれば、ヘミセルロースの除去が不十分となり、ヘミセルロースを除去したことによる脱リグニン性の向上効果も少なくなる。また、Pf800を超えると、加水分解が過剰となりα−セルロース分が減少してパルプ収率の低下を招くとともに、リグニンの縮合により、後に続くクラフト蒸解工程における蒸解性の悪化を招いてしまう。
前加水分解工程は、木材チップと水を耐圧性容器(前加水分解釜)に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。
前加水分解釜に木材チップと水を供給する際の比率は1〜2.3L/kgとすることが好ましい。前加水分解釜に供給する木材チップと水の比率は動的液比とも呼ばれ、木材チップ1kgあたりの水の量として示される。動的液比が1.0L/kg未満であると、木材チップに対して水が少なすぎるために加水分解が不十分となり、液比が2.3L/kgを超えると前加水分解釜の頂部において気相部が十分に確保できないので好ましくない。なお、水には木材チップと共に供給する水だけではなく、木材チップに含まれる水分、ドレン水等も含まれる。
また、前加水分解工程において木材チップと水の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。液比が1.0L/kg未満であると、木材チップに対して水が少なすぎるために加水分解が不十分となり、液比が5.0L/kgを超えると容器の大きさが過大となるので好ましくない。また、必要に応じて、少量の鉱酸を添加してもよい。
次いで、前加水分解処理後の木材チップは、前加水分解液を除去し、チップを十分に水で洗浄して回収する。不十分な洗浄では、後続の蒸解工程において悪影響が生じる場合がある。
加水分解液の洗浄、除去は、一般的な固液分離装置などを用いることによって行うことができる。例えば、前加水分解に用いる容器に抽出スクリーンを設け、容器下部から洗浄水を導入してスクリーンから抽出して向流洗浄することができる。
クラフト蒸解工程
洗浄後のチップは、蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、一般的な条件でクラフト蒸解に供する。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法の蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置で洗浄する。洗浄後の未晒パルプのカッパー価は、針葉樹の場合、10〜22にすることが好ましく、12〜20としてもよい。広葉樹の場合、5〜20にすることが好ましく、6〜16としてもよい。
クラフト蒸解工程は、前加水分解処理した木材チップをクラフト蒸解液とともに耐圧性容器に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。木材チップと薬液の液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。
クラフト蒸解は、120〜220℃の温度範囲で行うことが好ましく、150〜180℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロースの重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、120分以上10時間が好ましく、60分以上240分以下が好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、240分を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好ましくない。
また、本発明におけるクラフト蒸解は、H−ファクター(HF)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。H−ファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。H−ファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。
HF=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
本発明においては、蒸解後得られた未漂白パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。
酸素脱リグニン工程
本発明においては、クラフト蒸解で得られたパルプに酸素脱リグニン処理を行う。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法を好適に適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm、より好ましくは4〜7kg/cm、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、温度は80〜140℃、処理時間は20〜180分、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。
本発明においては、クラフト蒸解で得られた溶解パルプに酸素脱リグニン処理を施すことによって、パルプから効率的にリグニンを除去することができる。特に、塩素処理による脱リグニンと比較して、酸素脱リグニン処理は環境上好ましいものであり、リグニンを除去する上で好適である。
アルカリ精製工程
本発明においては、酸素脱リグニン処理したパルプをアルカリで精製し、パルプに残存するヘミセルロースを除去する。上述したように、溶解クラフトパルプはアルカリ条件で蒸解するため、アルカリに対して溶解し難いヘミセルロース分がパルプ中に残存している。そこで本発明では、高アルカリ濃度かつ低温にてパルプを処理し、パルプに含まれるヘミセルロースを除去する。具体的には、水酸化ナトリウム濃度3〜25質量%、温度20〜50℃、時間10分〜60分でパルプに対してアルカリ処理を行う。
このアルカリ精製工程は、多段漂白工程の一環として行うことも可能である。ある態様において酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
次に実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、本発明において、%などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとする。
実施例1
ユーカリ・グロブラスを原料とする木材チップを、篩い分け器(ジャイロシフター)を使用して篩い分けし、サイズが9.5〜25.4mmの木材チップを得た。
回転型オートクレーブ(容積:約2.5L)を用い、この木材チップに液比3.2L/kgとなるように水を加え、170℃にて約50分間(Pファクター:約500)、前加水分解を行った。
前加水分解終了後、チップと前加水分解液とを300メッシュ濾布で分離し、チップの15倍量の60℃温水で30秒間手もみ洗浄を行った。
続いて、再び回転型オートクレーブを用い、150℃で85分間、クラフト蒸解薬液の浸透を行った後、蒸解温度160℃で60分間(Hファクター:約600)、クラフト蒸解を行った。クラフト蒸解薬液は、活性アルカリ105g/L(NaO換算値)、NaOH75.6g/L(NaO換算値)、NaS29.4g/L(NaO換算値)、硫化度28%の組成であり、木材チップと蒸解薬液との液比は3.2L/kgとした。
蒸解終了後、得られた未漂白パルプについて酸素脱リグニン処理を行い、続いて、二酸化塩素処理(D)−アルカリ抽出/過酸化水素処理(Ep)−二酸化塩素処理(D)を行って漂白溶解クラフトパルプを得た。処理条件は以下のとおりであり、薬品の添加量は対絶乾パルプ重量に対するものである。
・酸素脱リグニン処理:パルプ濃度23質量%、酸素添加量2.9質量%、水酸化ナトリウム添加量2.2%、温度98℃、60分間
・二酸化塩素処理(D):パルプ濃度10質量%、二酸化塩素添加量1.2質量%、温度55℃、60分間
・アルカリ抽出/過酸化水素処理(Ep):パルプ濃度10質量%、水酸化ナトリウム添加量0.93質量%、過酸化水素添加量1.03質量%、温度70℃、90分間
・二酸化塩素処理(D):パルプ濃度10質量%、二酸化塩素添加量0.33質量%、温度75℃、240分間
得られた漂白溶解クラフトパルプについて、パルプ濃度が10質量%となるようにスラリーを調製し、水酸化ナトリウムを対絶乾パルプ重量に対して40質量%(水酸化ナトリウム濃度4質量%)添加し、温度30℃、処理時間30分間でアルカリ精製を行った。
得られた溶解パルプを水で十分に洗浄した後、溶解パルプのヘミセルロース含有量、α−セルロース含有量を以下の方法にて測定した。
・ヘミセルロース含有量:NREL/TP510−42618に従い、測定した。
・α−セルロース含有量:TAPPI T203に従い、測定した。
実施例2
アルカリ精製において、水酸化ナトリウム添加量を80質量%(水酸化ナトリウム濃度8質量%)した以外は、実施例1と同様にして漂白溶解クラフトパルプを調製した。
実施例3
アルカリ精製において、温度を40℃にした以外は、実施例2と同様にして漂白溶解クラフトパルプを調製した。
実施例4
アルカリ精製において、温度を50℃にした以外は、実施例2と同様にして漂白溶解クラフトパルプを調製した。
比較例1
アルカリ精製を行わなかった以外は、実施例1に記載したように漂白溶解クラフトパルプを調製した。
Figure 2014029044
表1に結果を示す。表1から明らかなように、実施例1〜4の漂白溶解クラフトパルプは、ヘミセルロース含有量が2.5%未満で、α−セルロース含有量が95%以上であり、セルロースアセテートの原料として好適であった。

Claims (6)

  1. 前加水分解処理を行った木材チップをクラフト蒸解する工程、
    蒸解したパルプに酸素脱リグニン処理を施す工程、
    酸素脱リグニン処理したパルプをアルカリ精製する工程、
    を含む、溶解クラフトパルプを製造する方法であって、アルカリ精製工程において、水酸化ナトリウム濃度3〜25質量%、温度20〜50℃、処理時間10分〜60分でパルプを処理する、上記方法。
  2. 溶解クラフトパルプのα−セルロース含有量が95%以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 溶解クラフトパルプのヘミセルロース含有量が2.5%以下である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法によって製造した溶解クラフトパルプ。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で溶解クラフトパルプを製造し、その溶解クラフトパルプを原料としてセルロースアセテートを製造することを含む、セルロースアセテートの製造方法。
  6. 請求項5に記載の方法で製造したセルロースアセテート。
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