JP2009213389A - リグノセルロースを原料とするバイオエタノールの製造システム - Google Patents

リグノセルロースを原料とするバイオエタノールの製造システム Download PDF

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Abstract

【課題】エタノール発酵法、クラフト法、サルファイト法を併用することによる、三者が有機的に結合し協働的に作用する、効率的なリグノセルロース利用システムの提供。
【解決手段】第1のリグノセルロース原料をクラフト蒸解してクラフトパルプとクラフト黒液を得るクラフト蒸解装置と;第2のリグノセルロース原料をナトリウムベースでサルファイト蒸解してサルファイトパルプとサルファイトパルプを得るサルファイト蒸解装置と;サルファイト黒液をエタノール発酵してエタノールと発酵済液を得るエタノール発酵装置と;クラフト黒液と発酵済液に含まれる蒸解薬品を回収し、回収した蒸解薬品を該クラフト蒸解装置へ送る蒸解薬品回収装置とを備える、バイオエタノール等を極めて効率的に製造することが可能なシステム。
【選択図】なし

Description

本発明は、リグノセルロースを原料としてバイオエタノールを製造するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、クラフト法とサルファイト法でパルプを併産する設備およびバイオエタノール製造設備を備えるパルプ工場で、回収熱エネルギーなどを最大限有効利用したバイオエタノールの生産システムに関する。
近年、環境意識の高まりなどによりバイオマスの有効利用に関する検討が盛んに行われている。バイオマスを原料として製造されるバイオエタノールは、例えば、ガソリン代替物質としてのさらなる普及が期待されることもあり、バイオマス原料としてリグノセルロースを利用して糖を製造し、エタノール発酵によりエタノールを得る技術に対する関心は極めて高い。
リグノセルロースを原料とするバイオエタノール
一般に、リグノセルロースを原料としたバイオエタノールの製造は、リグノセルロース中のセルロースやヘミセルロースなどの多糖類を発酵に利用可能な糖に分解し、得られた糖を微生物や酵母などの働きによりエタノールに変換することによって行われる。セルロースやヘミセルロースなどの多糖類を糖に分解する方法は、(1)鉱酸を用いて加水分解する酸糖化法、(2)酵素または酵素を生産する微生物を用いて加水分解する酵素糖化法に大別される。さらに、酸糖化法では、鉱酸として濃硫酸または希硫酸が用いられることが多く、それぞれ、濃硫酸法、希硫酸法と呼ばれている。
濃硫酸法では、リグノセルロースの加水分解は比較的容易に進行し、得られた木糖由来のグルコースがエタノール発酵に供される。しかし、工業的に濃硫酸法を適用する場合、濃硫酸とグルコースとを分離し、濃硫酸を回収・再利用する必要がある。また、一見すると生産コストは低いように思われるが、硫酸に起因する装置の腐食が激しいために、硫酸腐食に耐え得る特殊な材質や装置の使用は避けられず、設備投資が莫大となる。これに加えて、設備の保守・管理に要する労力やコストも極めて高く、また、操業には大きな危険を伴う。さらに、高収率で糖を得るためにはリグノセルロースを粉末状にする、あるいは、十分に乾燥するなどの前処理が必要であるため、更なる動力・熱エネルギーコストを要する。さらにまた、残渣であるリグニンの処理が必要になるが、リグニンが水に不溶性であるため取り扱いが非常に困難である。例えば、リグニンを燃料としてとして使用する場合、リグニンが水に不溶性であるため、後述するパルプ製造設備で使用されている回収ボイラー中で噴霧・燃焼するような処理は適用できない。このため、残渣リグニンを分離、回収、洗浄、中和、乾燥、ペレット化して燃焼する方法などが提案されているものの、乾燥コストがかかるばかりか、洗浄廃液である希硫酸の中和処理に更なる費用と手間を必要とする。また、ペレット化には二軸押出し機などが必要となるため、バイオマスを総合的に有効利用するためには、製造工程が複雑になってしまう。リグニンをその他の用途に使用できる可能性はあるが、具体的な応用分野は見出されてないのが現状である。
また、希硫酸法も、濃硫酸法と同様の問題を抱えている。さらに、希硫酸法の場合、加水分解には複数の工程が必要となる。また、加水分解に使用された希硫酸は、回収・再利用されることはなく、使用後に中和処理されて石膏として処理する必要がある。また、糖化率についても十分なレベルであるとは言い難く、ヘミセルロースや比較的低分子のセルロースが分解されているにすぎない。糖化率を向上させる方法として、処理条件の強化や濃硫酸の併用などが検討されているが、過度の処理を施した場合、糖が発酵阻害物質などに変性するなどの問題が新たに生じる。
これらの課題を解決するため、プロセスを簡略化した方法(特許文献1)、濃硫酸を用いた方法(特許文献2)、硫酸法、希硫酸法の課題を解決するための技術として加圧熱水を用いた方法(特許文献3)などが提案されているが、いずれも従来の課題を十分に解決しているとは言い難く、また、残渣として残るリグニンの有効利用に関する検討が全くなされていない。
一方、酵素糖化法では、原料であるリグノセルロースを前処理して酵素処理するのが一般的である。前処理としては、希酸や高温水による前加水分解、アルカリ処理などが挙げられ、これは主として酵素反応を阻害するリグニン成分を除去するために実施される。なお、前処理廃液中にはリグニンやヘミセルロースなどが含まれているが、有効利用されずに廃棄されている。前処理に続いて、リグノセルロースは分解酵素の作用により糖化されるが、残留リグニンなどの阻害要因により糖化効率が高いとは言い難い。このため、高価な酵素を大量に使用する必要があるためにコストアップが避けられず、工業化した場合には採算性が合わないなどの問題がある。これらの課題の解決策として、糖化に用いた酵素を限外濾過などにより回収する方法が考えられているが、リグノセルロース残渣などに吸着し、十分に酵素が回収されていないのが現状である。また、連続糖化槽を設けて酵素の損失を抑える方法(特許文献4)が提案されているが、処理に長時間を要すなどの問題を抱えている。また、酵素処理の前処理として酸処理する方法(特許文献5、6)、熱水処理する方法(特許文献7、8)が提案されているが、いずれも課題の解決には至ってない。
以上のように、酸糖化法や酵素糖化法によるリグノセルロースからのバイオエタノールの製造は、非常に非効率・高コストであるばかりでなく、バイオマスの有効利用の観点からも有効なシステムとは言い難い。また、従来の技術は、テストプラントや小規模試験製造設備で実施・検討されているにすぎず、商業的に大量生産が可能な有効なシステムは未だ確立されていない。このため、近年、バイオエタノールがエネルギー問題の重要な解決手段として取り上げられ、ガソリンを代替するエネルギー源として普及しつつあるが、使用されているバイオエタノールは、もっぱら、単糖に分解し易いとうもろこし、小麦、廃糖蜜などの穀物原料から製造されているのが現状である。
パルプ製造工程
リグノセルロースを取り扱う大規模な設備として、パルプの製造設備がある。一般に、木材パルプ製造工程は、商業規模での実施方法が確立されており、極めて効率的なシステムであることが知られている。
リグノセルロースを原料とするバイオエタノールの製造方法として、木材パルプ製造工程で副産されるパルプ黒液(特に、サルファイト法による黒液)を利用する方法が知られている。黒液とは、薬液を用いて高温、高圧下で木材チップを蒸解することにより副産される溶液であり、薬液および繊維素以外の木材からの溶出成分を含む。
クラフト(KP)法
パルプの製造方法は、クラフト(KP)法とサルファイト(SP)法に大別される。クラフト法は、パルプ収率、パルプ強度の点で優れており、木材チップ中のリグニンを可溶化・除去することを特徴とする。パルプ収率、パルプ強度に優れるため、現在、製紙用パルプの多くはクラフト法により製造されている。
苛性ソーダと硫化ソーダを水に溶解して蒸解液を調製し、アルカリ条件下でリグニンを可溶化・除去してヘミセルロースを高含有するセルロース繊維(クラフトパルプ)を取り出す。クラフト黒液にはリグニンなどの有機成分や蒸解薬品などの無機成分が含まれているが、エタノール発酵に利用可能な単糖成分はあまり含まれていない。このためクラフト黒液は通常、濃縮された後に回収ボイラー中に霧状に噴射・燃焼され、リグニンなどの有機物は熱エネルギーとして、無機物は蒸解薬品として回収・再利用されるのが一般的である。その際、一連の過程で失われたナトリウム分と硫黄分を補給するために硫酸ナトリウムを添加する等のことも行なわれる。無機物は主として炭酸ナトリウムおよび硫化ナトリウムとして回収されるが、これらの無機物はスメルトと呼ばれる溶融状態で回収ボイラー底から取り出される。回収ボイラーから取り出されたスメルトは、水または弱液(炭酸カルシウムを水洗浄した後に得られる、白液成分を微量含んだ液)で溶解されて緑液となる。さらに、後続する苛性化工程によって、緑液中の炭酸ナトリウムが蒸解薬品である水酸化ナトリウムに変換される。苛性化工程は、(1)生石灰を消石灰に変える消和反応と、(2)消石灰と緑液とを混合し水酸化ナトリウムと軽質炭酸カルシウムを生成する苛性化反応によりなる。得られた液は白液と呼ばれ、軽質炭酸カルシウムと分離・清澄化されて蒸解工程へ送られる。
Figure 2009213389
Figure 2009213389
しかし、クラフト法における回収工程の課題として、ナトリウム分や硫黄分の回収率バランスが変動し、系全体のバランスを最適に保つことが困難になることが挙げられる。例えば、硫化度が高くなりすぎた場合には、硫黄分を系外に放出する必要がある。また、アルカリ回収率が極度に高く、硫酸ナトリウムの補給量が少ない工場では、ナトリウム分の回収量を調節する、あるいは、硫黄分を添加・補給するなどの調整が必要となる。
また、クラフト法でパルプ中のセルロース含量を高くするための方法として、蒸解の前処理として加水分解を行う前加水分解クラフト(PHKP)法がある。PHKP法ではクラフト蒸解の前処理として前加水分解が実施され、前加水分解工程では一般に170〜240℃の条件下で木材チップを処理し、水または希酸の作用によりヘミセルロースとセルロースの結合を破壊する。前加水分解で発生する黒液中には、セルロースから分離したキシラン、グルコマンナンなどのヘミセルロースや、これらヘミセルロースの分解により生成した単糖が含まれている。しかし、単糖の量が十分でないため、前加水分解で発生した黒液をエタノール発酵に利用するためには、黒液中のヘミセルロースを再度加水分解するなどの処理が必要となる(特許文献9)。また、前加水分解処理が過度な場合、生成した糖がフルフラールやタールなどのエタノール発酵阻害物質に変化するため、処理条件の最適化が必須となる(非特許分文献1)。また、前加水分解によって木材中のリグニンもある程度分離されるが、これらのリグニンは水に対して不溶性であり、酸の作用によって縮合・沈殿して機械的トラブルを発生させることがある。また、再縮合したリグニンは繊維表面へ再吸着されやすく、後続するクラフト蒸解で脱リグニンが促進され難くなる。これらの問題は特に針葉樹で顕著であるため、前加水分解法が針葉樹材に適用されることはほとんどなく、使用できる樹種にも制限がある。以上の理由により、前加水分解で発生するクラフト黒液をエタノール発酵に使用することはほとんどない。
サルファイト(SP)法
サルファイト法は、セルロース含有量の高いパルプを製造できる点で優れており、木材中のリグニンを可溶化・除去することを特徴としている。亜硫酸ガスを吸収させた薬液を用いて、多くは酸性条件下で木材チップを蒸解する。リグニンはリグニンスルホン酸に変化させて可溶化し、ヘミセルロースは加水分解により除去することによってセルロース繊維(サルファイトパルプ)を取り出す。蒸解ベースとしては、カルシウムベース、マグネシウムベース、アンモニアベース、ナトリウムベースなどが挙げられる。カルシウムベースのサルファイト法では、フェノール成分やタンニン類を高含有する樹種の蒸解が困難であるため、使用できる樹種が限られていたが、可溶性ベースを使用する技術の進歩に伴って使用可能な樹種が増え、特にナトリウムベースは応用範囲が広く従来サルファイト法では使用困難とされていた竹等も使用可能となった。
また、サルファイト法により副産される黒液は、リグニンスルホン酸、蒸解薬品などの無機成分、ヘミセルロースやセルロースが加水分解されて生成した糖分が豊富に含まれており、有用な木質系バイオマス資源として利用されている。例えば、黒液中のリグニンスルホン酸は酸性から中性領域で水可溶性であり取り扱いやすく、粘結性、分散性に優れるため、液体または粉末品としてコンクリート混和剤、染料分散剤、凝結剤、砂塵飛散防止剤などの用途で使用されている。
また、前述のごとく、黒液中には糖分が豊富に含まれているため、アンモニア、リン酸アンモニア、尿素などの栄養源を添加し、飼料用酵母の培養やエタノール発酵用の栄養源として供されてきた。一般に、飼料用酵母の培養にはTolula酵母などが使用され、エタノール発酵の場合にはSaccharomyces酵母が使用されてきた。しかし、Saccharomyces酵母は黒液中のヘキソースのみを消費するため、サルファイト黒液を用いてエタノール発酵するには、糖成分としてグルコース、マンノース、アラビノースなどのヘキソースを豊富に含む針葉樹のサルファイト黒液が主として使用され、キシロースなどのペントースを多く含む広葉樹のサルファイト黒液は、エタノールの生産効率が悪いので不適とされていた。このように、サルファイト黒液を利用したエタノール発酵は、針葉樹をサルファイト蒸解するパルプ工場でしか実施できないため、減少の一途をたどり、現在では事業化している工場は非常に少ないのが現状である。しかし、近年になってペントースを利用してエタノールを生成する遺伝子組換え菌が発明されており、針葉樹・広葉樹を問わずサルファイト黒液の更なる有効利用が期待されている。
また、サルファイト黒液を回収ボイラーで燃焼して熱エネルギーと無機薬品として回収する方法も、クラフト黒液と同様に従来から行われている。しかし、サルファイト法では、蒸解に使用するベースによって異なる薬品回収工程が必要になるという問題がある。マグネシウムベースを使用する場合、マグネシウム分は酸化マグネシウム、硫黄分は亜硫酸ガスを経て回収され、蒸解薬品として再利用される。一方、ナトリウムベースを使用する場合、クラフト黒液の場合と同じプロセスで、サルファイト黒液中のナトリウム分は炭酸ソーダとして、硫黄分は硫化ソーダとして回収されるが、硫化ソーダはそのままではサルファイト法で使用できないため、更なる工程を経て使用可能な薬品に変換する必要があり、薬品の回収に複数の工程が必要になることが大きな課題である。そして、ベースによって異なる薬品回収工程が必要になることから、サルファイト設備においてはベースの変更は容易でない。例えば、マグネシウムベースのサルファイト蒸解を実施している製造設備においてベースをナトリウムに変更する場合、現行使用しているマグネシウム蒸解の回収ボイラーの転用ができないため、ナトリウムベースサルファイト黒液を燃焼する専用の回収ボイラーが新たに必要となり、大きな設備投資が避けられない。
KP法とSP法との併用
上記のようなサルファイト法の薬品回収工程の問題点を解決する方法として、製紙原料向けパルプの技術移行期(SP法からKP法への転換時期)に、SP設備にKP設備を並設し、サルファイト黒液から回収された炭酸ソーダと硫化ソーダをクラフト蒸解の補充薬品とすることが提案された(いわゆるクロスリカバリー方式)。しかし、商業レベルでの普及には至ることはなく、また、サルファイト黒液を燃焼により熱エネルギーとして回収利用することしか検討されなかった。このように、従来のクロスリカバリー方式においては、サルファイト黒液に含まれるリグニンスルホン酸や糖などの成分が有効に利用されていなかった。
特開平2005−229821号公報 特開平2005−229822号公報 特開平2007−20555号公報 特開平2006−87319号公報 特開平2006−24671号公報 特開平2007−104983号公報 特開平2007−74992号公報 特開平2006−141244号公報 米国特許第5424417号 Wood and Fiber Science, April, 1986, Vol.18 (2) P248-263
本発明の課題は、エタノール発酵法、クラフト法、サルファイト法を利用した効率的システムを提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、エタノール発酵法、クラフト法、サルファイト法を併用することにより、三者が有機的に結合し協働的に作用する、極めて効率的なリグノセルロース利用システムが構築できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、種々の観点から多面的に評価することができ、本発明のシステムから得られる産物に着目すれば、バイオエタノールを製造するためのシステム(装置)および方法、クラフトパルプを製造するためのシステムおよび方法、サルファイトパルプを製造するためのシステムおよび方法、リグニンスルホン酸を製造するためのシステムおよび方法、炭酸カルシウムを製造するためのシステムおよび方法、熱エネルギーを回収するためのシステムおよび方法と評価することができる。
1つの観点からは、本発明は、リグノセルロースを有効利用するためのシステム(装置)であって、第1のリグノセルロース原料をクラフト蒸解してクラフトパルプとクラフト黒液を得るクラフト蒸解装置と;第2のリグノセルロース原料をナトリウムベースでサルファイト蒸解してサルファイトパルプとサルファイト黒液を得るサルファイト蒸解装置と;サルファイト黒液をエタノール発酵してエタノールと発酵済液を得るエタノール発酵装置と;クラフト黒液と発酵済液に含まれる蒸解薬品を回収し、回収した蒸解薬品を該クラフト蒸解装置へ送る蒸解薬品回収装置とを備える。
また他の観点からは、本発明は、リグノセルロースを有効利用するためのプロセス(方法)であって、第1のリグノセルロース原料をクラフト蒸解し、クラフトパルプおよびクラフト黒液を得る工程と;第2のリグノセルロース原料をナトリウムベースでサルファイト蒸解し、サルファイトパルプおよびサルファイト黒液を得る工程と;サルファイト黒液をエタノール発酵し、エタノールと発酵済液を得る工程と;発酵済液とクラフト黒液から蒸解薬品を回収し、回収した蒸解薬品を該クラフト蒸解工程に送る工程とを含んでなる。
本発明においてリグノセルロース原料とは、リグニンとセルロースとを含む原料であって、主に、リグニン、ヘミセルロースおよびセルロースから構成される。本発明においては、リグノセルロースを原料として、エタノール、パルプ、リグニンスルホン酸、エネルギーなどを得ることができる。
リグノセルロース原料としては、例えば、広葉樹や針葉樹などの木材、麦わらやとうもろこし残渣などの農業残渣などを挙げることができる。原料の形態は、特に制限はなく、例えば、そのままの形状で使用することもでき、また、チップ状、粉体状、板状等に加工したものを使用することもできる。取り扱いの容易さや利用効率の高さから、チップ状が好ましい。また、リグノセルロース原料として、林地残材、竹、間伐材、建築廃材などから調製された材料を使用することも可能である。また、本発明においては、1種類のリグノセルロース原料を使用することもでき、また、複数のリグノセルロース原料を併用することもできる。
本発明においてリグノセルロース原料は、クラフト蒸解およびサルファイト蒸解の両方で使用される。クラフト蒸解で使用されるリグノセルロース原料とサルファイト蒸解で使用されるリグノセルロース原料とは、同じでも異なっていてもよく、事業目的に応じて選択することができる。本発明のサルファイト蒸解はナトリウムをベースとするため、広いpH領域で蒸解することが可能であり、結果として樹種の制限がほとんどない。したがって、本発明のサルファイト蒸解装置においては、林地残材、竹、間伐材、建築廃材などのリグノセルロース原料も好適に処理することが可能である。
本発明のシステムは、リグノセルロース原料をクラフト蒸解するクラフト蒸解装置を備える。ここで、クラフト蒸解とはクラフト法による蒸解を意味し、クラフト法とは、木材その他のリグノセルロース原料を、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとを主成分とする薬液で蒸解することをいう。本発明においては、リグノセルロース原料をクラフト蒸解装置で処理することにより、クラフトパルプとクラフト黒液が得られる。蒸解方法は、バッチ式でも連続式でもよいが、連続式であることが望ましい。蒸解条件について特に制限はなく、通常使用される条件でクラフト蒸解装置を運転することができる。蒸解設備としては通常、蒸解釜とよばれる設備が利用される。蒸解釜の種類は、特に制限されないが、例えば、カミヤ式蒸解釜などを好ましく使用することができる。
本発明のシステムは、リグノセルロース原料をサルファイト蒸解するサルファイト蒸解装置を備える。本発明において、サルファイト蒸解とはサルファイト法による蒸解を意味し、サルファイト法は亜硫酸法とも呼ばれ、亜硫酸を利用してリグノセルロース原料を蒸解することをいう。本発明においては、リグノセルロース原料をサルファイト蒸解装置で処理することにより、リグニンがスルホン化されて溶解し、サルファイトパルプとサルファイト黒液が得られる。
一般に、サルファイト法は、酸性亜硫酸法、重亜硫酸法、亜硫酸塩を使用する方法に分類することができ、これらの方法を基礎とした変法や二段蒸解法などが知られている。本発明においては、これらのサルファイト法を適用することができる。蒸解方法は、バッチ式でも連続式でもよいが、連続式であることが望ましい。蒸解条件について特に制限はないが、例えば、温度100℃〜300℃、圧力2〜10気圧などで行うことができる。
本発明においては、蒸解液のベースとしてナトリウムベースを使用する。一般に、サルファイト法におけるベースとしては、マグネシウム、ナトリウム、アンモニウムなどの可溶性ベース(soluble base)やカルシウムベースなどが知られているが、本発明においては、ナトリウムベースを使用する。本発明においては、サルファイト黒液に含まれる蒸解薬品を後述の回収装置によって回収し、クラフト蒸解設備におけるクラフト蒸解薬品として再利用するため、ナトリウムベースでサルファイト蒸解を行うと、クラフト蒸解における蒸解薬品の再生利用が容易であり、特別な設備を不要である。また、ナトリウムベース蒸解は、ほかのベースと比較して適用可能なpH領域が広く、使用できる樹種の制約が少ない点でも好ましい。
本発明のシステムは、サルファイト黒液をエタノール発酵してエタノールと発酵済液を得るエタノール発酵装置を備える。サルファイト蒸解設備により得られるサルファイト黒液には、蒸解薬品、リグニンスルホン酸、ヘミセルロースやセルロースが加水分解されて生成した糖分などが含まれる。本発明において、サルファイト黒液中の蒸解薬品は後述の回収工程で回収され再生利用されるが、サルファイト黒液中の糖分はエタノール発酵装置においてエタノール発酵される。エタノール発酵の結果得られるエタノールは、バイオマス資源から製造された、いわゆるバイオエタノールである。エタノール発酵においては、微生物や酵母の活動により黒液中の糖がエタノールに変換される。本発明で使用される酵母としては、従来からサルファイト黒液のエタノール発酵に用いられているS.cereviseaeのほか、これに遺伝子工学的にペントース資化・発酵能を持たせた株やC.kruseiのようなエタノール発酵能のある酵母が挙げられる。また微生物としては遺伝子工学でE.coliにエタノール発酵能を持たせた株、Z.mobilisやこれに遺伝子工学的にペントース資化能を持たせた株、C.glutamicum及びその変異株を例として開示することが出来るが、エタノール発酵が可能な菌であればいずれでも構わず、黒液の組成や発酵条件などに適したものを選択すればよい。エタノール発酵においては、アンモニア、リン酸アンモニア、尿素などの栄養源を添加することも好ましい。
本発明の好ましい態様において、エタノール発酵で得られたバイオエタノールを蒸留・精製することができる。すなわち、本発明のシステムは、エタノールの蒸留装置、精製装置を備えることができる。
このようにして得られたバイオエタノールは、エネルギー源として使用することができ、そのまま販売することや、また、本システム中でエネルギー源として消費することもできる。
本発明の好ましい態様において、サルファイト黒液中のリグニンスルホン酸を取り出すことができる。リグニンスルホン酸は酸性から中性領域で水可溶性であり取り扱いやすく、粘結性、分散性に優れるため、液体または粉末品としてコンクリート混和剤、セメント用AE減水剤、バニリンの発底原料、染料分散剤、凝結剤、砂塵飛散防止剤などの用途で使用することができる。
本発明の好ましい態様において、リグニンスルホン酸は、サルファイト黒液をエタノール発酵した後の発酵済液から取り出すことができる。発酵済液の主成分はリグニンスルホン酸であるが、発酵済液中のリグニンスルホン酸を取り出して製品化・出荷することもでき、また、発酵済液中のリグニンスルホン酸を回収ボイラーにより熱エネルギーとして利用することもできる。発酵済液に含まれるリグニンスルホン酸を熱エネルギーとして利用するか、リグニンスルホン酸製品として出荷するかは、本システムの操業状態や生み出される効果・付加価値を勘案して適宜変更すればよく、本システムの良好なバランスを崩さない範囲でその割合を決定する。
本発明は、さらに、クラフト黒液と発酵済液に含まれる蒸解薬品を回収し、回収した蒸解薬品を該クラフト蒸解装置へ送る蒸解薬品回収装置を備える。蒸解薬品の回収装置は、当該技術分野において一般的に使用されるもの(濾過、遠心分離など)を用いることができるが、回収ボイラーを含んでなることが好ましい。本発明においては、クラフト蒸解に使用する蒸解薬品を、クラフト蒸解からのクラフト黒液とサルファイト蒸解からの発酵済液から回収して、再生利用する。ここで、クラフト黒液に含まれる蒸解薬品と、サルファイト黒液をエタノール発酵した発酵済液に含まれる蒸解薬品は、ナトリウム分や硫黄分の組成が異なるため、クラフト黒液と発酵済液とのバランスを調整することにより、クラフト蒸解系のバランスを最適に保つことが容易になる。すなわち、一般に回収サイクルを含むクローズドシステムにおいては、系内のマスバランスを最適に保つことが困難になるという課題を有するが、本発明においては、クラフト黒液と発酵済液という組成の異なる2つのソースから蒸解薬品を回収するため、両者の比率を適宜調整することにより、システムのバランスを最適に保つことが容易である。
このようなシステムの最適化を容易にするため、本発明は、蒸解薬品回収装置へのクラフト黒液と発酵済液とのバランスを調整する制御装置を備えていてもよい。制御方法は、特に制限されないが、いわゆるフィードバック制御や、所定の濃度や数量を設定して流量を制御することなどが可能である。
蒸解薬品回収装置が回収ボイラーを含んでなる場合、クラフト黒液と発酵済液に含まれる有機分は回収ボイラーによって燃焼され、熱エネルギーとして本発明にシステムにおいて利用される。回収された熱エネルギーはいずれの工程で使用しても構わないが、例えば、回収された熱エネルギーをバイオエタノール製造工程で最もエネルギーを要する蒸留・精製工程に使用することにより、大幅なエタノール製造コストの削減が可能となる。一方、クラフト黒液と発酵済液に含まれる蒸解薬品(ナトリウム分、硫黄分)は、回収ボイラーからスメルトとして回収し、クラフト蒸解設備において再利用される。
本発明の蒸解薬品回収装置は、回収ボイラーなどの前に、黒液や発酵済液を濃縮する濃縮装置をさらに含んでいてもよい。濃縮装置により処理により、黒液や発酵済液を回収ボイラーなどで効率的に処理することが可能になる。本発明で使用する濃縮装置としては、一般的なものを使用することができる。熱効率の観点からは、多重効用エバポレーターが好ましい。
本発明の蒸解薬品回収装置は、回収ボイラー等から得られる白液を苛性化する苛性化工程を行うことができる。苛性化工程では、白液から、炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムを得ることができ、好適である。炭酸カルシウムは、白色粉末として種々の用途に使用することが可能であり、例えば、充填剤や填料などとして製紙用材料として利用することができ、また、それ自体を商品として販売することもできる。一方、水酸化ナトリウムは、蒸解薬品としてクラフト蒸解装置において利用することができる。
本発明の蒸解薬品回収装置は、苛性化工程から得られる炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムとを分離する分離装置をさらに含むことができる。
本発明のシステムは、サルファイト蒸解工程で得られたサルファイトパルプを糖化する糖化装置を備えていてもよい。糖化装置によれば、サルファイト蒸解装置よって得られたサルファイト黒液だけでなく、サルファイトパルプをも、エタノール発酵に供することができ、リグノセルロース原料から多くのバイオエタノールを製造することが可能になる。
本発明で使用される酵素はセルロースをグルコースまで分解できるセルラーゼであればいずれのものでも使用可能であるが、耐熱性がありendo-グルカナーゼ・exo-グルカナーゼ・β-グルコシダーゼのバランスの取れた分解活性の高いものが望ましい。例えばノボ社製のセルラーゼNS50013とNS50010の混合物やジェネンコア協和社のオプチマッシュBG、新日本化学工業社のスミチームAC等を好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。
本発明によれば、例えば、以下の効果が得られる。
(1)サルファイト黒液の特徴、および、本システムで回収された熱エネルギーを最大限有効利用することにより、バイオエタノールの製造が可能である。
(2)バイオマスの総合的な有効利用が可能となり、社会的貢献度が高い。
(3)国内外に点在する既存のクラフト蒸解設備を利用し、サルファイト蒸解設備の新設のみで、新たなビジネス展開・多角化が可能となる。
(4)パルプ製造において確立されたリグノセルロースの収集ルートが利用できるため、様々なリグノセルロース原料の調達が容易である。
(5)KP製造設備の回収ボイラーを用いてエタノール発酵済液の燃焼が可能であるため、サルファイト黒液用の回収ボイラーの新設が不要である。また、従来のナトリウムベースのサルファイト蒸解で必要になる複雑な薬品回収工程が不要である。
(6)エタノール発酵済液とクラフト黒液を任意の割合に混合して回収ボイラーで燃焼することにより、クラフト白液中のナトリウム分と硫黄分の最適バランスの保持が容易になる。
以下、本発明について、好ましい態様を具体的に挙げつつ、説明する。
図1は、本発明のシステムの好ましい態様の一つであって、サルファイト黒液だけをエタノール発酵に利用する態様を示す概略図である。本態様における本発明は、第1のリグノセルロース原料をクラフト蒸解してクラフトパルプとクラフト黒液を得るクラフト蒸解装置と;第2のリグノセルロース原料をナトリウムベースでサルファイト蒸解してサルファイトパルプとサルファイト黒液を得るサルファイト蒸解装置と;サルファイト黒液をエタノール発酵してエタノールと発酵済液を得るエタノール発酵装置と;クラフト黒液と発酵済液に含まれる蒸解薬品を回収し、回収した蒸解薬品を該クラフト蒸解装置へ送る蒸解薬品回収装置とを備える。
本態様においては、リグノセルロース原料をナトリウムベースのサルファイト蒸解装置で蒸解し、蒸解釜中のサルファイト黒液とサルファイトパルプを得る。また、本発明のサルファイト蒸解はナトリウムをベースとした蒸解工程でなくてはならない。ベースをナトリウムとすることで、サルファイト黒液やエタノール発酵済液をKP設備の回収工程に供することが可能となる。この結果、本発明においては、従来のナトリウムベースのサルファイト蒸解で実施されている複雑な薬品回収設工程が不要となるため、設備投資の軽減、現有設備の有効利用の観点からも、本発明のシステムは非常に優れていると言える。
本態様において、サルファイト蒸解で得られたサルファイト黒液とサルファイトパルプとは、分離装置によって分離され、分離されたサルファイト黒液はエタノール発酵装置に送られ、サルファイトパルプはパルプとして利用される。分離して得られたサルファイトパルプは、洗浄・漂白を施し、セルロース繊維として製紙用途や溶解パルプ用途に利用することができ、レイヨンやリヨセルなどの繊維原料として利用することもできる。
エタノール発酵装置に送られたサルファイト黒液は、エタノール発酵装置においてサルファイト黒液中の糖分がエタノール発酵され、粗エタノールが得られる。粗エタノールは、精製装置により精製してもよい。
また、エタノール発酵において糖が消費された発酵済液の主成分はリグニンスルホン酸であるが、発酵済液からリグニンスルホン酸を取り出して利用することもでき、また、発酵済液からリグニンスルホン酸を取り出さずに回収ボイラーにより熱エネルギーとして利用することもできる。リグニンスルホン酸を系外に取り出す場合、本システムにおける熱エネルギーの回収量が少なくなるが、例えば、クラフト黒液の燃焼により回収したバイオマスエネルギーを使用することができる。発酵済液の利用態様は、本システムの操業状態や生み出される効果・付加価値を勘案して適宜変更すればよく、本システムの良好なバランスを崩さない範囲でその割合を決定することができる。
本態様において、発酵済液は濃縮装置に送られ、50〜70重量%程度の固形分濃度に濃縮される。濃縮された発酵済液は回収ボイラーに送られ、回収ボイラー中で噴射されて熱エネルギーが回収される。回収された熱エネルギーは、本発明のいずれの工程で使用しても構わないが、例えば、回収された熱エネルギーをバイオエタノール製造工程で最もエネルギーを要する蒸留・精製工程に使用することにより、大幅なエタノール製造コストの削減が可能となる。また、発酵済液に含まれるナトリウム分、硫黄分はクラフト蒸解用薬品として回収・再利用される。
また、本態様においては、リグノセルロース原料がクラフト蒸解装置で処理され、クラフトパルプとクラフト黒液とが得られる。クラフトパルプとクラフト黒液とは、分離装置により分離し、クラフトパルプはパルプとして製紙用原料その他に利用され、クラフト黒液は、濃縮装置で濃縮した後、回収ボイラーで燃焼されて熱エネルギーが回収されるとともに、蒸解薬品が白液として回収される。白液は、苛性化装置などで処理され、炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムを得ることができる。
従来、クラフト蒸解における蒸解薬品の回収・再利用においては、ナトリウム分や硫黄分の回収率バランスの変動が大きな課題であったが、本発明によれば、KP設備とSP設備を併設することにより、サルファイト蒸解由来の発酵済液とクラフト黒液とを任意の割合に回収することができるため、KP製造系のバランスを最適に保つことが容易であり、クラフト蒸解工程に対しても操業上の大きなメリットを与える。また、回収ボイラーから得られるスメルトの一部を取り出し、サルファイト蒸解の蒸解薬品として回収・再利用することもできる。
また、本態様においては、クラフト法によりパルプを製造する設備に、ナトリウムベースサルファイト蒸解設備とバイオエタノール製造設備とが併設されていることを特徴とする。現実には、クラフト蒸解装置(蒸解釜など)、濃縮装置、回収ボイラー、苛性化装置などはクラフトパルプの製造設備に組み込まれているため、本態様においては、例えば、KP製造工場において、サルファイト蒸解装置とエタノール発酵装置を新設するだけで本発明を実施することが可能であり、設備投資上極めて有利である。
図2は、本発明の他の態様を示す概略図である。本態様においては、サルファイト蒸解により得られたパルプの一部あるいは全部を、酵素分解により発酵性糖液に変換し、得られた糖化液と単独で、あるいは、黒液と併用してエタノール発酵させることを特徴とする。
リグノセルロース原料からサルファイト蒸解により得られるサルファイトパルプについては、付加価値が見込める場合、木質系パルプ・繊維としてそれ自体を製品化し、エタノール発酵に利用したほうが好ましい場合、本態様のように、糖化処理をした後、エタノール発酵に用いることができる。例えば、従来の高品質木材チップあるいはそれと同等な品質の原料を利用してサルファイトパルプを製造する場合、サルファイトパルプ自体の品質が高く、付加価値が高いため、パルプとして使用するほうが好ましいといえる。一方、林地残材、竹、間伐材、建築廃材などから調製されたチップをリグノセルロース原料として製造されたサルファイトパルプは、繊維の強度が不十分であることが多く、パルプとしての付加価値が比較的低いため、糖化してエタノール発酵に供する方が製品の付加価値を高めることができ、好ましい。
本態様においては、サルファイトパルプを糖化して、エタノール発酵に供する。まず、サルファイトパルプを水に分散してスラリー化し、酵素が活性を示す範囲でパルプスラリーのpH、温度を調整し、酵素(セルラーゼ)でセルロースをグルコースに分解して、糖化液を調製する。本発明においては、例えば、パルプスラリーのpHを3〜10、温度を5〜80℃に調整することができる。この糖化液に、アンモニア、リン酸アンモニア、尿素などの栄養源を添加し、酵母などの微生物の働きを利用してエタノール発酵によりエタノールを製造する。エタノール発酵後、粗蒸留によりエタノールと発酵済液を分離する。分離されたエタノールは再度精留塔において蒸留・精製されバイオエタノールとなる。この工程で得られたセルロースの糖化液は単独でエタノール発酵に供しても、サルファイト黒液と混合してエタノール発酵に供してもよく、糖化液とサルファイト黒液とを併用するか否かは、両者の配合割合や設備全体の能力・バランスなどに応じて、適宜選択すればよい。また、サルファイトパルプから得られた糖化液をエタノール発酵する発酵装置と、サルファイト黒液をエタノール発酵する発酵装置は、別々であっても、同じでもよい。
本発明者は、クラフトパルプよりもサルファイトパルプの方が、糖化してエタノール発酵に供するメリットが大きいことを見出した。サルファイトパルプをエタノール発酵に使用するメリットとしては、酵素分解率が高いこと、洗浄(脱リグニン)あまり必要がない点が挙げられる。
以下に、クラフトパルプと比較して、サルファイトパルプをエタノール発酵に供することが有利であることを説明する。一般に、リグニンは、(i)酵素に吸着し、酵素の活性を阻害すること、および、(ii)酵素のセルロースへのアタックを物理的に妨害することから、酵素による分解率を低下させると言われている。このため、得られたパルプを未晒状態で酵素処理することは困難とされ、一度、含有するリグニンを除去する必要があると考えられていた。特にKPリグニンはチオリグニンであり、一般にリグニンスルホン酸より酵素阻害性が高い。したがって、クラフトパルプを酵素分解する場合には、クラフト黒液を排出後、十分洗浄してリグニンを除去しなくてはならない。また、クラフト法ではパルプ収率を高くするために、過度な処理を実施しないのが一般的であり、パルプ繊維にリグニンが比較的多く残留する傾向にある。このため、クラフトパルプをエタノール発酵用原料として使用するためには、漂白処理などを実施する必要があった。このように、クラフトパルプは、漂白工程を伴うことによって、はじめてセルロース分解酵素の活性をある程度高め、糖化液を製造できるため、クラフトパルプから糖化液を得ようとすると、製造コストが高くなってしまう。
現状のセルロース分解酵素のなかにはアルカリ領域に活性を示すものが稀にあるが、ほとんどの酵素は、酸性領域において高い活性を示す。また、クラフトパルプの洗浄が不十分でパルプスラリー中にリグニンが比較的多く含有していると、pH調整によるpH値の低下(特に酸性領域)に伴いリグニンが重縮合・不溶化してパルプ繊維表面に吸着し、酵素活性が阻害される。さらに、クラフトパルプはヘミセルロースを多く含有するため、セルロース分解酵素のみならず、ヘミセルロース分解酵素を併用する必要がある。しかし、各酵素によって至適pHや温度が異なるため、酵素の組み合わせによっては最適条件の設定が困難な場合がある。さらにまた、クラフトパルプは、パルプ繊維のダメージが少ないため、糖化に必要な酵素の量が多く、採算性が悪い。
これに対して、サルファイト蒸解によって得られたサルファイトパルプを酵素処理する場合、リグニンの洗浄・除去をそれほど強力に行わなくとも(例えば、単に黒液と分離した程度であっても)、効率的に酵素処理を行うことが可能である。その要因としては、これに拘束されるわけではないが、KPリグニンとSPリグニン(リグニンスルホン酸)の酸性溶液中での挙動の違いが考えられる。すなわち、KPリグニンはアルカリ領域では水溶性であり比較的除去しやすいが、酵素処理のためにパルプ分散液を酸性とした場合、前述の如くリグニンが重縮合し不溶化する。その結果、クラフトパルプにおいて、リグニンの洗浄・除去が不十分な場合、クラフトパルプ表面にリグニンが沈着し、酵素活性を阻害してしまう。一方、リグニンスルホン酸は蒸解工程でスルホン化されているため、高い分解活性を有するセルラーゼの多い酸性領域でも安定である。また、酵素処理が酸性条件で実施されるため、SPリグニンの親水性が失われ、セルロース表面に沈着することなく、SPリグニンはパルプスラリー中で安定分散している。結果として、SPリグニンは、酵素の立体的障害物となりにくく、また酵素自体の阻害性も少ないものと考えられる。
また、サルファイト法では、蒸解条件を最適化することにより、セルロース繊維に適度な損傷を与え、繊維間の結合を緩めることができるため、後続するセルロース分解酵素による処理を容易にすることが可能となる。結果として、酵素の使用量や処理時間を大幅に短縮することができ、セルロースの糖化に要するコストを大幅に削減することができる。
図1は、本発明のシステムの一態様であって、サルファイト黒液だけをエタノール発酵に利用する態様を示す概略図である。 図2は、本発明のシステムの一態様であって、サルファイト黒液とサルファイトパルプをエタノール発酵に利用する態様を示す概略図である。

Claims (7)

  1. 第1のリグノセルロース原料をクラフト蒸解してクラフトパルプとクラフト黒液を得るクラフト蒸解装置と、
    第2のリグノセルロース原料をナトリウムベースでサルファイト蒸解してサルファイトパルプとサルファイト黒液を得るサルファイト蒸解装置と、
    サルファイト黒液をエタノール発酵してエタノールと発酵済液を得るエタノール発酵装置と、
    クラフト黒液と発酵済液に含まれる蒸解薬品を回収し、回収した蒸解薬品を該クラフト蒸解装置へ送る蒸解薬品回収装置と、
    を備える、リグノセルロースを原料としてエタノールを製造するためのシステム。
  2. 蒸解薬品回収装置が、回収ボイラーを含んでなる、請求項1に記載のシステム。
  3. 蒸解薬液回収装置が、回収ボイラーから得られる白液を苛性化して炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムを得る苛性化装置をさらに含む、請求項1または2に記載のシステム。
  4. リグノセルロース原料が、針葉樹および/または広葉樹から調製された木材チップを含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
  5. リグノセルロース原料が、竹、林地残材、建築廃材を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
  6. 第1のリグノセルロース原料をクラフト蒸解し、クラフトパルプおよびクラフト黒液を得る工程と、
    第2のリグノセルロース原料をナトリウムベースでサルファイト蒸解し、サルファイトパルプおよびサルファイト黒液を得る工程と、
    サルファイト黒液をエタノール発酵し、エタノールと発酵済液を得る工程と、
    発酵済液とクラフト黒液から蒸解薬品を回収し、回収した蒸解薬品を該クラフト蒸解工程に送る工程と、
    を含んでなる、リグノセルロースを原料としてエタノールを製造する方法。
  7. サルファイト蒸解工程で得られたサルファイトパルプを糖化し、得られた糖化液をエタノール発酵に供することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
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