前述のようにサンプリング部と内部品質計測装置を設ける穀粒計測装置をコンバインに設けると、収穫した穀粒に含まれる水分、タンパク質、アミロース等の成分量をサンプリングしながら即座に計測することができるので、得られたデータによって穀粒の乾燥状態や食味を知ることができ、それによって販売促進の手段としたり、翌年の肥料設計や生産計画に生かしたりすることができる。
そして、この場合、特許文献1では、穀粒タンク(グレンタンク)の前側壁の上部寄り内側に内部品質計測装置とサンプリング部を設け、これにより内部品質計測装置は穀粒タンクの前側壁よりも穀粒タンクの内側に入り込んでおり、内部品質計測装置に塵埃が付着し難くなる、また、サンプリング部の供給口に揚穀装置の回転羽根が跳ね飛ばした穀粒を漏れなく供給することができる、としている。
しかし、一般的に、揚穀装置の回転羽根が跳ね飛ばす穀粒の量は、回転羽根の回転方向上手側となる穀粒タンクの後側壁側が多く、回転羽根の回転方向下手側となる前側壁側が少なくなる。また、回転羽根が跳ね飛ばす穀粒は、その跳ね出し速度によっても異なるが回転羽根の周囲から穀粒タンクの側壁に亘って略均等に放物線を描いて落下する。
そのため、穀粒タンクの前側壁から多少後方側に離して設けるサンプリング部の供給口は、回転羽根の回転方向下手側に臨み、この供給口に受け入れられる穀粒量は、穀粒タンクの後側壁側に供給口を設けるものより少なくなる。また、回転羽根の回転方向下手側に跳ね飛ばされた穀粒はその全てがサンプリング部の供給口に受け入れられるものでもない。
従って、特許文献1のように穀粒タンクの前側壁の上部寄り内側に内部品質計測装置とサンプリング部を設けると、揚穀装置の回転羽根が跳ね飛ばす穀粒の流量が少なくなると、サンプリング部における堆積量がどうしても少なくなって試料の採取時間がかかり、それに伴ってサンプリング周期が長くなって、高い計測精度で正確なデータをリアルタイムに提供することができない虞がある。
また、揚穀装置の回転羽根が跳ね飛ばす穀粒は、回転羽根によって略水平に跳ね飛ばされた後、放物線を描いて落下してサンプリング部の供給口に至るから、内部品質計測装置とサンプリング部を穀粒タンクの前側壁の上部寄り内側に設けたとしても、サンプリング部の供給口は穀粒タンクの前側壁の上部から下方にかなり下げて設けなければならない。
しかし、サンプリング部の供給口を穀粒タンクの前側壁の上部から下方に向けて下げて設けると、サンプリングを終えて開閉板を開いて排出しようとする穀粒が、穀粒タンクに徐々に堆積する穀粒の上面に至って排出されずにその場に残るから、新たな試料の計測を行うことが出来なくなる。そのため、穀粒タンクに穀粒が満杯になるかなり以前に計測を中止しなければならず、計測不能時間帯が多くなるという虞がある。
さらに、特許文献1のように穀粒タンクの前側壁の内側に内部品質計測装置とサンプリング部を設けると、少なからぬ重量を備える内部品質計測装置、サンプリング部、及び試料を片持ち状態で前側壁が支え受け持つことになって、最悪の場合はその曲げ荷重によって前側壁を変形させる虞がある。そのため、前側壁を補強したり板厚を上げる等の対策が必要となりコストアップが懸念される。
そこで、本発明は、前述のような問題点に鑑み、穀粒計測装置(サンプリング部と内部品質計測装置)をコンバインに設けるに際し、その穀粒計測装置の配置位置を見直し、そのサンプリング周期を短く、また、計測不能時間帯を少なく、更にはコストダウンを図ることができるコンバインを提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため第1に、脱穀部の揚穀装置がグレンタンク内に放出する穀粒の一部を試料として取り込み、この試料を破壊することなく内部品質の計測を行った後、グレンタンク内に排出する穀粒計測装置を備えるコンバインにおいて、前記穀粒計測装置は、計測機器を設ける機器室と、上部寄りに設ける受入口から取り込んだ穀粒を試料としてその内部空間に溜め置くサンプリング室と、サンプリング室の下部寄りに設けるシャッタを開閉作動させる電動モータと、サンプリング室の穀粒貯留量を検出する試料検出センサと、グレンタンクの穀粒貯留量を検出して穀粒の内部品質の計測を中止する穀粒検出センサとを備え、この穀粒計測装置をグレンタンクの天板に取付けてグレンタンク内に垂下させて設けるために、前記機器室とサンプリング室の上方側を閉鎖するプレートの張り出し部をグレンタンクの天板に設ける通し穴の周縁に載置させた状態で取付けることを特徴とする。
本発明は、第2に、前記機器室とサンプリング室を仕切る隔壁の中央寄りに計測口を設け、この計測口に内部品質の計測を行うプローブを機器室側から望ませると共に、この機器室とサンプリング室の一方の側壁に電動モータを、また、他方の側壁に試料検出センサを設けることを特徴とする。
本発明は、第3に、前記シャッタをサンプリング室の両側壁に亘って回動自在に架設すると共に、電動モータの出力軸をシャッタに直結して、試料をサンプリング室に溜め置く閉姿勢と、グレンタンク内に排出する開姿勢に切換え可能になすことを特徴とする。
本発明は、第4に、前記シャッタを、一方の側壁に軸支させる支持部と他方の側壁に設ける電動モータの出力軸に連結する結合部をその両端部に備える回動軸と、この回動軸の外周縁に沿って一方側に延出して一体的に設ける開閉板によって構成すると共に、この回動軸のサンプリング室内に臨む開閉板の下方側寄りを切り欠いて、シャッタを開いた際に係る切欠部からも試料をグレンタンク内に排出することを特徴とする。
本発明は、第5に、前記シャッタを、その両端部に一方の側壁に軸支させる支持体と電動モータの出力軸に連結する結合体を一体的に設ける開閉板によって構成することを特徴とする。また、本発明は、第6に、前記一方の側壁に軸支させる支持体と電動モータの出力軸に連結する結合体を、開閉板の両端部の中央寄りに一体的に設けることを特徴とする。
本発明のコンバインによれば、脱穀部の揚穀装置がグレンタンク内に放出する穀粒の一部を試料として取り込み、この試料を破壊することなく内部品質の計測を行った後、グレンタンク内に排出する穀粒計測装置を備えるコンバインにおいて、前記穀粒計測装置は、計測機器を設ける機器室と、上部寄りに設ける受入口から取り込んだ穀粒を試料としてその内部空間に溜め置くサンプリング室と、サンプリング室の下部寄りに設けるシャッタを開閉作動させる電動モータと、サンプリング室の穀粒貯留量を検出する試料検出センサと、グレンタンクの穀粒貯留量を検出して穀粒の内部品質の計測を中止する穀粒検出センサとを備え、この穀粒計測装置をグレンタンクの天板に取付けてグレンタンク内に垂下させて設けるために、前記機器室とサンプリング室の上方側を閉鎖するプレートの張り出し部をグレンタンクの天板に設ける通し穴の周縁に載置させた状態で取付ける。
そのため、穀粒計測装置は、脱穀部の揚穀装置がグレンタンク内に放出する穀粒の一部をサンプリング室の上部寄りに設ける受入口から取り込む。そして、この場合に穀粒計測装置は、グレンタンクの天板における試料として必要となる穀粒量が得られる位置に、その受入口を臨ませて設けることが比較的容易にできる。従って、これにより試料の採取時間を短くしてサンプリング周期を短く、また、計測回数を多くして高い計測精度で正確なデータをリアルタイムに提供することができる。
また、穀粒計測装置をグレンタンクの天板に取付けてグレンタンク内に垂下させて設けるから、穀粒計測装置の上部寄りに設ける受入口をグレンタンクの天板の下面に近づけてグレンタンクの穀粒の満杯状態の高さに設けることができ、それに伴って試料の排出高さも高くすることができるから、試料の内部品質の計測を行った後、グレンタンク内に穀粒を排出する際に、その穀粒がグレンタンクに徐々に堆積する穀粒の上面に至って排出されずに残り、計測の中断を余儀なくされる機会を減らしたり遅らすことができる。
さらに、穀粒計測装置をグレンタンク内に垂下するように天板に取付けると、穀粒計測装置を取付ける天板に、例えば、側壁に片持ち状態で取付けるもののように曲げ荷重が加わらないように取付けることができ、殊更、天板を強固に補強することなくコストダウンを図ることができる。また、穀粒計測装置の上面に揚穀装置がグレンタンク内に放出する穀粒が堆積しないから、これを取り除いたり、或いは堆積していた穀粒が受入口に落下して古い試料を計測する虞を無くすことができる。
また、機器室とサンプリング室を仕切る隔壁の中央寄りに計測口を設け、この計測口に内部品質の計測を行うプローブを機器室側から望ませると共に、この機器室とサンプリング室の一方の側壁に電動モータを、また、他方の側壁に試料検出センサを設けると、機器室とサンプリング室を隔壁を挟んで併設することができ、また、機器室とサンプリング室の側壁に電動モータや試料検出センサを取付けることで、側壁の剛性が増して側壁の強度を過剰に持たせることなく、穀粒計測装置の必要な部品を確実に取付けることができる。
しかも、これらの部品を左右の側壁に振り分けて設けることによって、穀粒計測装置の前後左右バランスを偏ることなく取ることができ、従って、穀粒計測装置をグレンタンクの天板に取付けてグレンタンク内に垂下させて設ける際に、例えば、穀粒計測装置を天板に設ける通し穴に上方側から嵌めて天板の通し穴の周囲に取付けると、この天板の通し穴の周囲に穀粒計測装置の重量を均等に分散させて取付け支持することができるから、天板をより一層強固に補強する必要がなくなる。
また、シャッタをサンプリング室の両側壁に亘って回動自在に架設すると共に、電動モータの出力軸をシャッタに直結して、試料をサンプリング室に溜め置く閉姿勢と、グレンタンク内に排出する開姿勢に切換え可能になすと、先行特許文献のように電動モータとシャッタとの間にカム等の仲介部材を設ける必要がなく、電動モータの出力軸をシャッタに直結してシャッタを容易に開閉作動させることができる。
そして、先行特許文献のように、シャッタの回動支持部やカム等の仲介部材、或いは電動モータをサンプリング室に設ける案内体によって覆うと、試料の実質的な受け止め保持する空間を確保するために、サンプリング室を拡張させる必要があったり、案内体等の余分な部材が必要となる。
その点、シャッタをサンプリング室の両側壁に亘って回動自在に架設し、同じく側壁に設ける電動モータの出力軸をシャッタに直結してシャッタを作動させれば、サンプリング室を試料の実質的な受け止め保持する空間のみで形成することができ、従って、全体的に穀粒計測装置をコンパクトに、また、余分な部材を廃止してコストダウンを図ることができる。
また、シャッタを、一方の側壁に軸支させる支持部と他方の側壁に設ける電動モータの出力軸に連結する結合部をその両端部に備える回動軸と、この回動軸の外周縁に沿って一方側に延出して一体的に設ける開閉板によって構成すると共に、この回動軸のサンプリング室内に臨む開閉板の下方側寄りを切り欠いて、シャッタを開いた際に係る切欠部からも試料をグレンタンク内に排出すると、試料をサンプリング室内に保持する際に、試料を回動軸と開閉板の上面によって保持することができる。
そのため、開閉板の試料の受け面積を減らしてこれを軽量化することができ、また、電動モータの作動負荷も少なくすることができる。さらに、回動軸の上面に保持した試料は排出時の回動軸の回動によって大半が排出される。しかし、サンプリング室の壁と回動軸との間に挟まった試料は回動軸の回動によってもその場に残る。
そこで、この回動軸のサンプリング室内に臨む開閉板の下方側寄りを切り欠いて、シャッタを開いた際に係る切欠部からも試料をグレンタンク内に排出すると、試料の排出の際に回動軸が回動すると、サンプリング室の壁と回動軸との間に切欠部に相当する隙間が生じ、この隙間からも試料をグレンタンク内に余すことなく排出することができる。そのため、それ以降の計測を行う際に前回残った試料が混ざって計測精度を落としたり、試料の取り除き作業を不要にすることができる。
また、シャッタを、その両端部に一方の側壁に軸支させる支持体と電動モータの出力軸に連結する結合体を一体的に設ける開閉板によって構成すると、サンプリング室内に設ける開閉板の上面のみで試料を受け止めてこれに試料を堆積させるから、試料の排出のために開閉板を回動させると、サンプリング室内の試料を余すことなくグレンタンク内に排出することができる。そのため、それ以降の計測を行う際に前回残った試料が混ざって計測精度を落としたり、試料の取り除き作業を不要にすることができる。また、開閉板を固定する回動軸をサンプリング室の両側壁に亘って回動自在に架設するものより、軽量化することができる。
さらに、一方の側壁に軸支させる支持体と電動モータの出力軸に連結する結合体を、開閉板の両端部の中央寄りに一体的に設けると、支持体と結合体によって構成される開閉板の回動支点が開閉板の中央寄りに位置することになって、この回動支点を中心に開閉板を天秤の梃となるように回動させることができる。従って、それにより回動支点の前後に開閉板の重量や試料の重量を分散させて、回動モーメントの相殺を図ることができるから、開閉板の開閉作動時の電動モータの負荷を軽減することができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように稲や麦を刈取りながら脱穀する自脱型のコンバイン1は、矩形状になす機体フレーム(機体)2の下方に走行レーム3を介して左右のクローラ走行装置4を設ける。なお、左右のクローラ走行装置4は、トランスミッションケース5の左右から突出する駆動軸に取付ける駆動スプロケット6と、走行レーム3に軸支するアイドルホイール7及びトラックローラ8と、これらに巻回するゴムクローラ9を備える。
また、機体フレーム2の機体前進方向の右側前部には、矩形状になす運転フレーム10を一体的に連結し、この運転フレーム10及びその後方の機体フレーム2にかけて操縦部を設ける。なお、操縦部はフロアの後方に運転席11を設け、また、フロアの前部にフロントコンソール(前部操作盤)12を、フロアと運転席11の左側にはサイドコンソール(側部操作盤)13を設け、さらに、操縦部をキャビン14で覆っている。
また、機体フレーム2の左側前方から操縦部の前方にかけて刈取部を図示しない油圧シリンダによって昇降自在に設ける。そして、刈取部は、その前端下部に設ける分草板15とナローガイド16によって、圃場の立毛穀稈を刈取穀稈と未刈取穀稈とに区分けし、左右の分草板15の間に入った刈取穀稈を引起装置17によって引起し、その後、掻込み装置18で掻込みながら穀稈の株元を刈刃19によって切断する。
さらに、刈取部は、掻込み装置18によって後方に掻込んだ穀稈を、揚上搬送装置20を構成する左右及び中央の掻込み搬送チェン及び穂先搬送チェンによって合流させ、また、合流させた穀稈を扱深さ搬送チェン21によって扱深さを調節しながら後方に設ける脱穀部に搬送する。
また、脱穀部は、刈取部後方の機体フレーム2の左側に設け、図3に示すように上方を覆うシリンダーカバー22の下方に第1と第2の扱室を設ける。この内、第1扱室には刈取部から搬送されてきた穀稈を扱口に沿って搬送する脱穀フイードチェン23とその挟持レール、扱歯を備える第1扱胴24とその受網25等を設ける。また、第2扱室(不図示)は第1扱胴24の後端穂先側より機体の後方に向かうように第1扱室に併設し、第1扱室で脱粒処理しきれなかった穀粒の混ざった藁屑等を処理する第2扱胴とその受網を設ける。
一方、第1と第2の扱室の下方には選別室を設ける。この選別室には揺動運動する揺動流板26、1番螺旋27及び2番螺旋28、唐箕ファン29及び吸引ファン30等を設け、扱室の受網より漏下した穀粒等を揺動流板26上において選別し、選別した穀粒は1番螺旋27から揚穀装置31を介して後述するグレンタンク32に移送し、藁屑等が混じった2番物は2番螺旋28から2番還元装置33を介して揺動流板26上に戻す。
また、揺動流板26の終端に至った藁屑、吸引ファン30に捕捉された藁屑、或いは第2扱胴の終端から排出された藁屑は、脱穀部後方の機外に排出する。さらに、脱穀処理を完了して扱室より排出される排稈は、排藁搬送装置34によってディスク型カッター35に向けて搬送し、さらに、ディスク型カッター35は、排藁搬送装置34で搬送されてきた排稈を細断して刈取跡地に切藁として放出する。
そして、前記グレンタンク32は、操縦部の後方に設けるディーゼルエンジン等から構成する原動部36のさらに後方に設け、揚穀装置31によって移送された穀粒を一時的に貯留する。即ち、グレンタンク32は図4及び図5に示すように前壁37aと後壁37bと右側壁37cと左側壁37dと天井壁(天板)37eで略直方体状に形成する上部側の貯留部37と、この貯留部37の下方にあって前壁38aと後壁38bと傾斜底壁38c、38dで漏斗状に形成する下部側の樋部38を一体に連結して穀粒を貯留する箱状のタンクに構成する。
なお、上記貯留部37の左側壁37dの後部寄りは、左側方に張り出させて拡張部39に形成し、また、貯留部37の左側壁37dの前寄りの上部には投入口37fを設ける。そして、この投入口37fは、揚穀装置31を構成する揚穀螺旋筒31aの上部に設ける排出ケース31bと接合し、排出ケース31b内に収容する揚穀螺旋の跳出板31cは穀粒を排出ケース31bの内壁に沿って掻き出し、その排出口31dから投入口37fを介してグレンタンク32内に穀粒を排出する。
また、グレンタンク32内に穀粒が満杯になると、グレンタンク32から穀粒を排出して機外のコンテナ等に放出すべく排出オーガを作動させる。なお、排出オーガは、図4、図1、及び図2に示すように、グレンタンク32の底部に設ける横螺旋40と縦螺旋(不図示)を内装する縦パイプを備え、この縦パイプはグレンタンク32の後方にオーガ旋回モータによって回動可能に立設する第1縦パイプ41と、第1縦パイプ41の上部にギヤケース42を介して油圧シリンダによって昇降可能になす第2縦パイプ43によって構成する。
そして、エンジン動力によって横螺旋40と縦螺旋を駆動すると、グレンタンク32に貯留する穀粒は第2縦パイプ43の先端に設ける排出口44から機外のコンテナ等に排出することができる。なお、横螺旋40上方には山形状の流板45を樋部38の前壁38aと後壁38bに亘って架設し、この流板45によって横螺旋40に大きな穀粒圧が加わることを防止する。
次に、脱穀部の揚穀装置31がグレンタンク32内に放出する穀粒の一部を試料として取り込み、この試料を破壊することなく穀粒の内部品質の計測を行った後、グレンタンク32内に試料(穀粒)を排出する穀粒計測装置46について説明する。
即ち、穀粒計測装置46は、図6及び図7に示すようにボックス状の枠体47を備え、この枠体47は平面視略コ字状に折り曲げて形成する第1プレート48と、第1プレート48の右側開放側を閉鎖する略矩形状の第2プレート49と、第1プレート48と第2プレート49の上方側を閉鎖する略矩形状の第3プレート50をボルトで相互に締結して構成する。
また、ボックス状の枠体47の中に略L字状に折り曲げて形成する第4プレート51を装着し、この第4プレート51をボルトで枠体47に固定する。従って、これにより枠体47の中に第4プレート51の垂直部51aが隔壁となる2つの空間が形成され、この内、前方側の直方体状の空間をサンプリング室52に、また、後方側の直方体状の空間を機器室53となす。
そして、この内、前方側のサンプリング室52は、第1プレート48、第2プレート49、及び第4プレート51の垂直部51aによって周囲を囲み、上方側を第3プレート50で閉鎖して下方側のみを開放する。また、第1プレート48の前面部48aの上部寄りに矩形状の開口を穿設し、この開口をサンプリング室52に穀粒を取り込む受入口54となす。
さらに、サンプリング室52の下部寄りにシャッタ55を設け、このシャッタ55を閉じた際には、受入口54から取り込んだ穀粒(試料)がサンプリング室52に徐々に堆積してシャッタ55上に溜め置かれる。また、シャッタ55は試料が計測されて開いた際には、試料をサンプリング室52の下部の開口からグレンタンク32内にそのまま落下させて排出する。
ここで、前記シャッタ55の構造を説明すると、シャッタ55はサンプリング室52の一方の側壁となる第1プレート48の左面部48bに軸支させる支持部55aと、他方の側壁となる第2プレート49に設ける電動モータ56の出力軸56aに連結する結合部55bをその両端部に備える回動軸55cと、この回動軸55cの外周縁に沿って前方側に延出して一体的に設ける開閉板55dによって構成する。
そして、係るシャッタ55をサンプリング室52に装着すると、シャッタ55の一方の支持部55aが第1プレート48の左面部48bの外側面にボルトで取付ける受金具57に回動自在に軸支され、また、他方の結合部55bが電動モータ56の出力軸56aに第2プレート49の外側面において嵌合して一体的に回転可能に結合する。
なお、前記電動モータ56は直交軸タイプの減速機を備えるギヤードモータによって構成し、このギヤードモータ56は第2プレート49の外側面に複数のボルトで取付ける。また、第2プレート49の外側面側にカバー58を着脱自在に取付け、ギヤードモータ56をこのカバー58によって覆う。
従って、シャッタ55は、穀粒計測装置46の枠体47の左右側壁48、49に受金具57とギヤードモータ56を介して回転可能に軸支され、その回動軸55cと開閉板55dはサンプリング室内の下部寄りに設けることになる。また、サンプリング室52にはシャッタ55の他に穀粒の貯留量を検出する試料検出センサ58を設ける。
この試料検出センサ58は、サンプリング室内52に穀粒が所定量以上に堆積したことを検出し、その検出結果に基づいて穀粒の内部品質の計測を開始させるものであり、例えば、穀粒を非接触で検出する近接センサで構成する。そして、この試料検出センサ58は、第1プレート48の左面部48bの受金具57を取付ける位置より上方に設ける検出口48cに嵌合させて、外側面側からビスで取付ける。
なお、第1プレート48の左面部48bには、試料検出センサ58の検出口48cの外にグレンタンク32の穀粒貯留量を検出する穀粒検出センサ59の取付口48dを設け、この取付口48dに穀粒検出センサ59を嵌合して位置決めした後、穀粒検出センサ59を取付口48dの内側から左面部48bにビスで取付ける。
因みに、この穀粒検出センサ59は、グレンタンク32に貯留する穀粒の堆積圧によってダイヤフラムがマイクロスイッチを入りにするレベルスイッチで構成し、上記第1プレート48の左面部48bに取付ける他、グレンタンク32内にその取付高さを異にして複数設け、これ等によってグレンタンク32内の穀粒の貯留量をモニタに表示したり、満杯になったことを報知することができる。
以上、サンプリング室52の構成について説明したが、次にサンプリング室52の後方に設ける機器室53に設ける穀粒の内部品質計測装置(計測機器)について説明する。即ち、内部品質計測装置は、図7に示すように直方体状の計測ケース60に纏めて収める。また、この計測ケース60は、略L字状に折り曲げて形成する第4プレート51の水平な載置部51bに載せた状態で垂直部51aにボルトで取付け、これによって内部品質計測装置を機器室53に設ける。
なお、穀粒の内部品質計測装置は、周知の近赤外線分光法(NIRS)によって穀粒の非破壊品質評価を行うものであり、図8に示すように例えば、ハロゲンランプ等の光源61から光ファイバーケーブル62を介してプローブ(測定部)63に導いた光を照射口から試料に向けて照射し、また、試料からの反射光をプローブ63の受光口から受け取り、さらに、プローブ63の受光口から同じく光ファイバーケーブル64を介してフーリエ変換方式等の近赤外分光分析器65に導くように構成する。
また、機器室53に内部品質計測装置を収めた計測ケース60を設置した際には、上記プローブ63は第4プレート51の垂直部51aに穿設する計測口51cに嵌合し、サンプリング室52に堆積する穀粒に近赤外線を照射し、さらに、その反射光を受光するように構成する。なお、プローブ63の先端にはガラス等の透明板63aを装着して穀粒が直接プローブ63に接触しないようになす。
そして、以上のように構成する穀粒計測装置46は、グレンタンク32の天板37eに取付けてグレンタンク32内に垂下させて設ける。即ち、図2、図4、図5、及び図9に示すようにグレンタンク32の天板37eに設ける開閉自在なカバーで蓋をする点検口37gの右外側寄りに通し穴37hを設け、この通し穴37hの上方からサンプリング室52の受入口54が揚穀装置31の排出ケース31b側を向くように穀粒計測装置46を横向きにして降ろし、また、その第3プレート50の張り出し部を通し穴37hの周縁に載置させた状態で穀粒計測装置46をボルトで天板37eに取付ける。
そのため、穀粒計測装置46は、脱穀部の揚穀装置31がグレンタンク32内に放出する穀粒の一部をサンプリング室52の上部寄りに設ける受入口54から必要となる穀粒量を十分に取り込むことができる。そして、この場合に穀粒計測装置46は、揚穀装置31のグレンタンク32内への穀粒の排出方向が、例えば汎用型のコンバインのように機体の後方側となるものであれば、これに合わせて点検口37gの後方や斜め後方等の適宜な位置に設けることができ、穀粒計測装置46の配置場所の自由度が増す。
次に、以上説明した穀粒計測装置46を用いて穀粒の内部品質計測を行う計測システムの概要について説明すると、図8に示すように計測システムは、マイクロコンピューターユニット等から構成する電子制御装置66とユーザーインターフェースとなる計測指令ボタン等を備える液晶モニタ67を備え、この内、電子制御装置66は穀粒計測装置46の電動モータ56、センサ58,59、光源61、及び近赤外分光分析器65を制御し、液晶モニタ67は近赤外分光分析器65の分析結果を表示する。
そして、コンバイン1の各部を駆動して刈取作業を行っている際、脱穀した穀粒の内部品質計測を行う場合は、液晶モニタ67に設ける計測指令ボタンを押すと、電子制御装置66は穀粒計測装置46を作動状態になして穀粒の内部品質計測を開始させる。即ち、電子制御装置66は計測開始に当たり、先ず、電動モータ56を駆動させてサンプリング室52のシャッタ55を閉じる。
次に、揚穀装置31が放出する穀粒の一部がサンプリング室52の受入口54から取り込まれて、シャッタ55上に計測に必要となる穀粒量が堆積して試料検出センサ58がオンとなると、電子制御装置66は光源61に備えるシャッタを開くように指令し、これに基づきプローブ63から試料に向けてハロゲンランプ光(近赤外線)が照射される。また、その反射光はプローブ63を介して近赤外分光分析器65に導かれ、ここで、近赤外分光分析器65は反射光を分析して検量線に基づいて例えば、試料の含水率等を操縦部に設ける液晶モニタ67に表示する。
また、近赤外分光分析器65によって試料の計測が終了すると、電子制御装置66は光源61のシャッタを閉じるように指令すると共に、電動モータ56を駆動させてサンプリング室52のシャッタ55を開く。そして、試料検出センサ58がオフとなり、且つサンプリング室52から試料が完全に排出されるインターバル時間をおいて、上記手順を繰り返して連続的に計測を行う。
なお、前記穀粒の計測中に穀粒検出センサ59がグレンタンク32の満杯状態を検出すると、サンプリング室52のシャッタ55を開いても、サンプリング室52から試料を排出できず、新しい試料の計測ができない虞があるので、その場合、電子制御装置66は穀粒の内部品質の計測を中止する。
また、前述のようにサンプリング室52に設けるシャッタ55は、穀粒計測装置46の枠体47の左右側壁48、49に受金具57とギヤードモータ56を介して回転可能に軸支する。そして、シャッタ55を閉じた際には、図9に示すように、その回動軸55cと開閉板55dの上面によって試料を保持する。
そのため、開閉板55dに対する試料の受け面積は、回動軸55cによる受け面積だけ減らすことができるから、開閉板55dの短辺の長さを少なくして開閉板55d自体を軽量化することができ、また、それに伴って電動モータ56の作動負荷も少なくすることができる。さらに、シャッタ55を開いた際には、回動軸55cの上面に保持した試料は、その回動によって大半が開閉板55d側から滑落して排出される。
しかし、サンプリング室52の壁(第4プレート51の垂直部51a)と回動軸55cとの間に挟まった試料は、回動軸55cの回動によってもその場に残る可能性がある。そこで、回動軸55cのサンプリング室内に臨む開閉板55dの下方側寄りを半月状に切り欠いて、シャッタ55を開いた際に回動軸と壁との間に隙間55eを生じさせ、この隙間55eからも試料をグレンタンク32内に排出するようになす。
従って、このようにシャッタ55を構成すると、シャッタ55を開いた際にサンプリング室52から試料を余すことなく排出することができるから、それ以降の計測を行う際にサンプリング室52に残った試料が新たな試料と混ざって計測精度を落としたり、試料の取り除き作業を不要にすることができる。
また、シャッタ55を閉じた際に、開閉板55dの前端はサンプリング室52の壁(第1プレート48の前面部48a)に当接して、シャッタ55は閉姿勢となる。また、シャッタ55を開いた際に、開閉板55dはサンプリング室52の壁(第4プレート51の垂直部51a)に設けるボルトb(計測ケース60の取付け用ボルト)の頭部に当接して、シャッタ55は開姿勢となる。
そして、このようにシャッタ55の閉姿勢と開姿勢においてその位置規制を行うと、電動モータ56はその回動位置で過負荷を生じる。そこで、電子制御装置66は電動モータ56に流れる過電流を検出して電動モータ56の作動を停止させる。そのため、電子制御装置66は電動モータ56の電源を遮断してこれを保護することができると共に、シャッタ55の開閉位置制御用のポテンショメータ等を設けることなく、シャッタ55の開閉制御を行うことができる。
さらに、図11乃至図13はサンプリング室52に設けるシャッタの第2の実施形態を示し、この場合、シャッタ68は前述する第1の実施形態のシャッタ55と同様に、サンプリング室52の一方の側壁となる第1プレート48の左面部48bに軸支させる支持体68aと、他方の側壁となる第2プレート49に設ける電動モータ56の出力軸56aに連結する結合体68bをその両端部に一体的に固着する開閉板68cによって構成する。
そして、係るシャッタ68もサンプリング室52に装着すると、シャッタ68の一方の支持体68aが第1プレート48の左面部48bの外側面にボルトで取付ける受金具57に回動自在に軸支され、また、他方の結合体68bが電動モータ56の出力軸56aに第2プレート49の外側面において嵌合して一体的に回転可能に結合する。
そのため、第1の実施形態のシャッタ66のように、その回動軸55c上に試料を堆積させることから、回動軸55cに切り欠き部55eを設けて、試料の排出を切り欠き部55eから促す等の工夫を施す必要が無くなり、第2の実施形態のシャッタ68は、サンプリング室内において試料を全面的に開閉板68c上に堆積させて、また、その回動によって試料をグレンタンク32内に余すことなく排出することができる。
なお、シャッタ68の開閉板68cは短辺方向の2箇所で折り曲げて前後の平面に段差を設けることによって剛性を高めている。そのため、支持体68aと結合体68bとを繋ぐ回動軸を設けてこの回動軸に開閉板68cを固着してシャッタ68の強度アップを図る必要が無くなり、シャッタ68を軽量化してコストダウンを図ることができる。
さらに、一方の側壁に軸支させる支持体68aと電動モータ56の出力軸56aに連結する結合体68bを、開閉板68cの長辺方向の両端部にその短辺方向の中央寄りに一体的に固着するから、支持体68aと結合体68bによって構成される回動支点が開閉板68cの中央寄りに位置することになって、この回動支点を中心に開閉板68cを天秤の梃となるように回動させることができ、それにより電動モータ56の作動負荷を少なくすることができる。
なお、前記実施形態においては、計測ケース60に光源61とプローブ63と近赤外分光分析器65等の内部品質計測装置の計測機器を設けるが、光源から発する熱を除去するファンを計測ケース60に設けたり、これを回避すべく光源61のみをグレンタンク32外の適所に別途配置したり、或いは、光源61と共に近赤外分光分析器65をグレンタンク32外に設けてもよい。
また、穀粒の内部品質計測装置として近赤外線分光装置を用いたが、例えば、穀粒の水分による誘電率(高周波容量)の変化を検出して、水分を測定する高周波容量式水分計を用いて、穀粒の含水率を計測するように構成してもよく、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。