JP7081714B2 - 車両下部構造 - Google Patents
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Description
本発明は、車両のフロア下にバッテリが搭載された、車両下部構造に関する。
電気自動車等の、駆動源として回転電機が使用される車両には、その電源としてバッテリが搭載される。例えば特許文献1では、車両後方にバッテリケースが配置される。
具体的には、車両後方の荷室スペースには、車幅方向両側に、骨格部材である一対のリアサイドメンバが車長方向に延設される。この一対のリアサイドメンバの間にバッテリケースが配置及び固定される。
より詳細には、図14に例示するように、リアサイドメンバ100は、車室後端から荷室スペースに向かって後方かつ上方にカーブを描くように湾曲しながら延設されるキックアップ部100Aと、その後端に接続され車長方向(FR軸方向)に延設される直線部100Bを備える。この直線部100Bにバッテリケース102が固定される。
ところで、リアサイドメンバの、キックアップ部から後方部分に支持固定された複数の部材同士が、車両の後面衝突(以下適宜後突と記載する)時に衝突するおそれがある。図15に例示するように、後突時には、リアサイドメンバ100の後端に、前方向きの衝突荷重が入力される。このとき、上方に湾曲するキックアップ部100Aの形状に伴い、その湾曲形状が押し縮められ、より上方に張り出すように撓められる。
このとき、リアサイドメンバ100に吊り下げ支持され、車長方向に沿って前後に設けられたバッテリケース102とリアサスペンションメンバ104は、リアサイドメンバ100の変形に伴ってともに上方に引き上げられる。さらにリアサイドメンバ100の湾曲の進行に伴って、バッテリケース102とリアサスペンションメンバ104とが近接して接触するおそれがある。
そこで本発明は、リアサイドメンバに吊り下げ支持されたバッテリの、後突時の他部品との接触を回避可能な、車両下部構造を提供することを目的とする。
本発明は、車両下部構造に関する。当該構造は、一対のフロントサイドメンバ、一対のリアサイドメンバ、リアクロスメンバ、バッテリパック、及びリアサスペンションメンバを備える。一対のフロントサイドメンバは、フロアの車幅方向両側に設けられ、車長方向に延設される。一対のリアサイドメンバは、一対のフロントサイドメンバの後端に前端が接続され、上方かつ後方に湾曲するキックアップ部を有する。リアクロスメンバは、一対のリアサイドメンバの、キックアップ部から後方部分同士を繋ぐようにして車幅方向に延設される。バッテリパックは、フロア下に搭載されるとともに、一対のフロントサイドメンバと、リアクロスメンバを介して一対のリアサイドメンバとに吊り下げ支持される。リアサスペンションメンバは、後輪を懸架するサスペンション機構を支持する支持部材であって、一対のリアサイドメンバに吊り下げ支持される。リアサスペンションメンバは、フロントクロス、及び一対のフロントボデーマウントを備える。フロントクロスは車幅方向に延設される。一対のフロントボデーマウントは、フロントクロスの車幅方向両端から車両前方かつ車幅方向外側に延設され、その前端が一対のリアサイドメンバに締結される。一対のリアサイドメンバの、一対のフロントボデーマウントとの締結部と、リアクロスメンバとは、車幅方向軸上で直線状に配置される。さらに上記車両下部構造はブラケットを備える。当該ブラケットは下部フランジ及び上部フランジを備える。下部フランジは、バッテリパックの後端に当接されるとともに、当該バッテリパックの後端に締結されるための締結部材が挿入される下部締結孔が形成される。上部フランジは、リアクロスメンバに当接されるとともに、当該リアクロスメンバに締結されるための締結部材が挿入される上部締結孔が形成される。さらにブラケットの、上部締結孔から上部フランジの端縁までの間、及び、下部締結孔から下部フランジの端縁までの間の少なくとも一方に脆弱部が形成される。
上記構成によれば、後突時にリアサイドメンバが上方に湾曲させられる際に、ブラケットに対して上下方向の引張荷重が入力される。ブラケットの上部フランジ及び下部フランジの少なくとも一方には脆弱部が設けられているため、引張荷重の入力に対して脆弱部が破断して締結孔が開放され、バッテリパックがリアクロスメンバ及びリアサイドメンバから離脱される。これにより、リアサイドメンバに吊り下げ支持され当該リアサイドメンバの湾曲とともに引き上げられるリアサスペンションメンバと、リアサイドメンバから離脱されたバッテリパックとは、上下方向にずれた位置関係となり、車長方向のすれ違いが可能となり、互いの接触が回避可能となる。
また上記発明において、下部フランジの脆弱部は、下部締結孔から下方に設けられてよい。
上記構成によれば、ブラケットに入力される引張荷重に対する応力(引張応力)の発生経路上に脆弱部が形成されているため、後突時(引張荷重入力時)には当該脆弱部が速やかに破断される。
また上記発明において、バッテリパックは、一対のリアサイドメンバのキックアップ部から後方部分に対して、ブラケットのみによって吊り下げ支持されてよい。
上記構成によれば、後突時にはブラケットの破断のみにて、バッテリパックのリアサイドメンバによる引き上げを回避可能となる。
本発明によれば、リアサイドメンバに吊り下げ支持されたバッテリの、後突時の他部品との接触を回避可能となる。
図1~図13を参照して、本実施形態に係る車両下部構造を説明する。なお図1~図13において、車両前後方向(以下適宜、車長方向と記載する)を記号FRで表される軸で示し、車両幅方向(以下適宜、車幅方向と記載する)を記号RWで表される軸で示し、鉛直方向(以下適宜、車高方向と記載する)を記号UPで表される軸で示す。記号FRはFrontの略であり、車長方向軸FRは車両前方を正方向とする。記号RWはRight Widthの略であり、車幅方向軸RWは車幅右方向を正方向とする。また車高方向軸UPは上方向を正方向とする。
図1には、本実施形態に係る車両下部構造の分解斜視図が例示されている。また図2には、本実施形態に係る車両下部構造の組立斜視図が例示されている。本実施形態に係る車両下部構造は、例えば電気自動車に搭載される。
図1、図2を参照して、本実施形態に係る車両下部構造は、フロントサイドメンバ10、リアサイドメンバ20、リアクロスメンバ30、リアサスペンションメンバ40、バッテリパック50、及びブラケット60を備える。なお図1、図2では、車室の床面(フロア面)を構成するフロアパネル70(図6参照)は図示を省略している。
本実施形態における車両下部構造には、車両の剛性を維持するための骨格部材が設けられる。具体的には骨格部材として、一対のフロントサイドメンバ10,10、一対のリアサイドメンバ20,20が設けられる。さらに一対のフロントサイドメンバ10,10より車幅方向外側に一対のロッカ71,71が設けられる。図示されているようにこれらの骨格部材はいずれも車長方向に延設される。
更なる骨格部材として、一対のロッカ71,71間を繋ぐようにして第一クロスメンバ72及び第二クロスメンバ73が設けられる。さらにその後方に、センターフロアクロスメンバ74が設けられる。加えて、一対のリアサイドメンバ20,20間を繋ぐようにしてリアクロスメンバ30が設けられる。図示されているようにこれらの骨格部材はいずれも車幅方向に延設される。
フロントサイドメンバ10は、車両前端のフロントバンパリーンフォース(図示せず)からダッシュパネル75を経て車室のフロアまで、車長方向に延設される骨格部材である。フロントサイドメンバ10は、フロアの車幅方向両側に一対設けられる。一対のフロントサイドメンバ10,10は、フロアにおいて、当該一対のフロントサイドメンバ10,10よりも車幅方向外側に設けられ車長方向に延設される、一対のロッカ71,71と平行に延設される。
図6に例示されるように、フロントサイドメンバ10は、フロアパネル70の上面に配置されるフロントサイドメンバアッパ11と、フロアパネル70の下面に配置されるフロントサイドメンバロア12を備える。フロントサイドメンバアッパ11及びフロントサイドメンバロア12は、ともに背面視がハット形状であって、互いの開口端が重ね合わせられるように設置される。さらに互いのハット形状の鍔に当たるフランジ11A,12A同士を、フロアパネル70とともに溶接等により接合させる。これによりフロントサイドメンバ10は閉断面構造となる。
また、フロントサイドメンバロア12の底壁には、その厚さ方向(車高方向)に貫通された開口12Bが形成される。さらにフロントサイドメンバロア12の底壁上には、開口12Bの開口中心と同軸にウェルドナット13が設けられる。後述するように、このウェルドナット13にボルト14が螺入されることで、バッテリパック50がフロントサイドメンバ10に吊り下げ支持される。
図1、図2を参照して、一対のフロントサイドメンバ10,10は一対のリアサイドメンバ20,20に接続される。リアサイドメンバ20はその前端がフロントサイドメンバ10の後端に接続され、さらに図示しないリアバンパリーンフォースまで、車長方向に延設される。なお、リアサイドメンバ20の後端とリアバンパリーンフォースとの間に、衝撃吸収部材であるクラッシュボックス(図示せず)を設けてもよい。
図3を参照して、リアサイドメンバ20は、車長方向前方にキックアップ部21を備える。キックアップ部21は、上方かつ後方に、カーブを描くようにして湾曲される。キックアップ部21の後方には車長方向に延設される直線部22が接続される。このようにリアサイドメンバ20が上方に湾曲される(キックアップされる)ことで、リアサイドメンバ20の直線部22の下方に、リアサスペンションメンバ40及び車軸(図示せず)を配置する空間が確保される。
また図2を参照して、キックアップ部21では後方かつ上方に湾曲されるのみならず、車幅方向内側にも湾曲させられる。これにより、リアサイドメンバ20の車幅方向外側に後輪(図示せず)が配置される空間が確保される。
リアサイドメンバ20は、背面視がハット形状であって、開口端が上方を向くようにして配置される。当該開口端がリアフロアパネル(図示せず)にて覆われることで、閉断面構造が構成される。
センターフロアクロスメンバ74は、フロントサイドメンバ10とリアサイドメンバ20との境界部分に設けられる。センターフロアクロスメンバ74は、一対のロッカ71,71の間を繋ぐように掛け渡され、車両の側面衝突時(側突時)の衝突荷重を受け止める。
またセンターフロアクロスメンバ74は、図2に例示するように、バッテリパック50の前面に対向するように設けられる。したがってセンターフロアクロスメンバ74は、例えば車両の後突時にバッテリパック50への前方移動を食い止める機能も有している。
リアクロスメンバ30は、一対のリアサイドメンバ20,20間を繋ぐようにして車幅方向に亘って掛け渡される。リアクロスメンバ30は、一対のリアサイドメンバ20,20の、キックアップ部21から後方部分同士を繋ぐ。例えばキックアップ部21の湾曲の終端付近に、リアクロスメンバ30が設けられる。
図3に例示されるように、リアクロスメンバ30は、上部部材であるリアクロスメンバアッパ31と、下部部材であるリアクロスメンバロア32を備える。リアクロスメンバアッパ31及びリアクロスメンバロア32は、ともに側面視がハット形状であって、互いの開口端が重ね合わせられるように設置される。さらに互いのハット形状の鍔に当たるフランジ31A,32A同士を溶接等により接合させる。これによりリアクロスメンバ30は閉断面構造となる。
また、リアクロスメンバロア32の底壁32Cには、その厚さ方向(車高方向)に貫通されたメンバ側締結孔32Bが形成される。さらにリアクロスメンバロア32の底壁32C上には、メンバ側締結孔32Bの開口中心と同軸にウェルドナット(溶接ナット)等のナット33が設けられる。後述するように、メンバ側締結孔32B及びブラケット60の上部締結孔61にボルト34が挿入され、さらにナット33に当該ボルト34が螺入されることで、ブラケット60がリアクロスメンバ30に締結される。
図1を参照し、上述した骨格部材には、種々の部品が組み付けられる。例えばバッテリパック50は一対のフロントサイドメンバ10,10及びリアクロスメンバ30に吊り下げ支持される。またリアサスペンションメンバ40は、バッテリパック50の車長方向後方に配置され、リアサイドメンバ20に吊り下げ支持される。
リアサスペンションメンバ40は、後輪の懸架機構であるサスペンション機構(図示せず)を支持する支持部材であり、例えばリアサイドメンバ20等の骨格部材と同等の剛性を備える。
リアサスペンションメンバ40は略井桁形状であって、車幅方向に延設されるフロントクロス41と、当該フロントクロス41の後方に、車幅方向に延設されるリアクロス42を備える。さらにフロントクロス41及びリアクロス42の車幅方向両端を繋ぐ様にして、一対のサイドレール43,43が車長方向に延設される。
フロントクロス41、リアクロス42、及びサイドレール43,43による矩形形状の四隅から、リアサイドメンバ20に締結されるためのボデーマウントが延設される。具体的にはフロントクロス41の車幅方向両端とサイドレール43,43の前端とが交わる箇所からフロントボデーマウント44,44が延設される。またリアクロス42の車幅方向両端とサイドレール43,43の後端とが交わる箇所からリアボデーマウント45,45が延設される。
リアボデーマウント45,45は、車両後方かつ車幅方向外側に延設される。リアボデーマウント45,45の先端(後端)は、リアサイドメンバ20,20の下方に位置合わせされ、図示しない締結手段によって締結される。
フロントボデーマウント44,44は車両前方かつ車幅方向外側に延設される。フロントボデーマウント44,44の先端(前端)は、図7、図8に示すように、リアサイドメンバ20,20の、リアクロスメンバ30との交差点に設けられた締結部35,35と位置合わせされ、締結部材36,36により締結される。
また図7に例示されているように、リアサイドメンバ20,20の、フロントボデーマウント44,44との締結部35,35は、リアクロスメンバ30と横一線、つまりRW軸方向で一直線上に配置される。したがって、ブラケット60,60をリアクロスメンバ30に締結し、リアサスペンションメンバ40をリアサイドメンバ20,20に締結させると、図3、図8に例示するように、バッテリパック50の後端とリアサスペンションメンバ40のフロントクロス41の前面とが近接する位置関係となる。
図1を参照して、バッテリパック50はフロア下に搭載される。下記にて説明するように、バッテリパック50は、一対のフロントサイドメンバ10,10に吊り下げ支持される。さらにバッテリパック50は、リアクロスメンバ30を介して、一対のリアサイドメンバ20,20にも吊り下げ支持される。
バッテリパック50は上面視でフロアのほぼ全面に亘るような大きさとなるように構成される。具体的には、バッテリパック50の車長方向は、車室の前壁であるダッシュパネル75から、後部座席下のリアクロスメンバ30まで延在する。またバッテリパック50の車幅方向寸法は、一対のフロントサイドメンバ10,10間の車幅方向間隔よりも僅かに短いサイズに形成される。
図5には、バッテリパック50の分解斜視図が例示される。バッテリパック50は、ケース51(ケースカバー51A及びケーストレイ51B)、バッテリスタック54、パック内クロス55、及びパック外クロス56を備える。
バッテリスタック54はケース51内に複数個収容される。一つのバッテリスタック54に、複数のバッテリセル(図示せず)が積層される。バッテリセルは、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、及び全固体電池等から構成される。
ケース51は複数のバッテリスタック54を収容する筐体であって、上部部材であるケースカバー51A及び下部部材であるケーストレイ51Bを備える。ケースカバー51A及びケーストレイ51Bはともにアルミパネル等の金属薄板材から構成される。
ケーストレイ51Bの底板内面(上面)には、複数のパック内クロス55が車長方向に沿って設けられる。パック内クロス55はバッテリパック50を保護する骨格部材であって、ケーストレイ51Bの底板両端に亘って車幅方向に延設される。
ケーストレイ51Bの底板外面(下面)には、パック外クロス56が設けられる。パック外クロス56は、パック内クロス55とともにバッテリパック50を保護する骨格部材であって、バッテリパック50外に設けられ、車幅方向に延設される。また、車両の側面衝突(側突)時に、バッテリパック50の側方からアクセスする障害物(バリア)を、バッテリパック50の手前で受け止めるために、パック外クロス56の車幅方向両端は、ケース51の車幅方向両端よりも外側に張り出されるように形成される。
また、図7を参照して、車幅方向に延設される複数のパック外クロス56を繋ぐようにして、パック外メンバ57が車長方向に延設される。さらに車長方向最後端のパック外クロス56には、ケース51の後端よりも後方に突出する延長部材であるエクステンション58が設けられる。つまりエクステンション58の後端壁58Aがバッテリパック50の後端となる。図示されているように、エクステンション58にはブラケット60が締結される。
図6を参照して、パック外クロス56の車幅方向両端には車高方向に貫通する開口52が設けられる。この開口52にボルト14が挿入される。当該ボルト14はカラー15及びフロントサイドメンバロア12の開口12Bにも挿入される。さらにボルト14は、フロントサイドメンバロア12に設けられたウェルドナット13に螺入される。これにより、パック外クロス56がフロントサイドメンバ10に締結される。
図3には、車長方向に沿って三つのパック外クロス56A,56B,56Cが図示される。これらのパック外クロス56A,56B,56Cのうち、フロントサイドメンバ10の直下に設けられたパック外クロス56Aのみがボルト締結される。パック外クロス56Aから後方については、ブラケット60を介してバッテリパック50がリアクロスメンバ30に吊り下げ支持される。つまり、バッテリパック50は、リアサイドメンバ20のキックアップ部21から後方部分に対して、ブラケット60のみによって吊り下げ支持される。
後述するように、車両の後突時には、キックアップ部21から後方部分が上方に湾曲する。このような湾曲部分とバッテリパック50との支持をブラケット60のみによって行うことで、キックアップ部21から後方部分の後突時の湾曲に伴うバッテリパック50の引き上げを、ブラケット60の破断のみにより回避可能となる。
図9に、ブラケット60の単体斜視図を例示する。ブラケット60はバッテリパック50の後端であるエクステンション58とリアクロスメンバロア32とを繋ぐ締結部材である。ブラケット60は、エクステンション58とリアクロスメンバロア32との離間距離に応じて、略車高方向に延設される。
ブラケット60は、一対の上部フランジ62,62、下部フランジ63、及び両者を繋ぐ連結部64を備える。上部フランジ62はリアクロスメンバロア32の底壁32C(図7参照)に当接する。そのため、上部フランジ62はリアクロスメンバロア32の底壁32Cに沿った形状であって、連結部64の延設方向(垂直方向)に対して略直角(水平方向)に延設される。
上部フランジ62には、車高方向に貫通する上部締結孔61が設けられる。上部締結孔61には、リアクロスメンバロア32と上部フランジ62とを締結させるための締結部材であるボルト34が挿入される。
例えば図3に例示されるように、上部フランジ62の上部締結孔61とリアクロスメンバロア32のメンバ側締結孔32Bとが位置合わせされ、両孔にボルト34が挿入される。さらにボルト34がリアクロスメンバロア32の底壁32C上に設けられたナット33に螺入される。これにより、上部フランジ62とリアクロスメンバロア32とが締結される。
上部フランジ62の、車長方向(FR軸方向)前端と後端とを補強するために、連結部64は、下部フランジ63から直線状に延設され一対の上部フランジ62,62の後端に接続する一対の垂直部64A,64Aを備える。また連結部64は、一対の垂直部64A,64Aの間であって、垂直部64Aに対して上部フランジ62の前端側に傾斜する傾斜部64Bを備える。また傾斜部64Bに、補強用のビード64Cを設けてもよい。
下部フランジ63は、バッテリパック50の下方かつ後端に設けられたエクステンション58の後端壁58A(図7参照)に当接される。下部フランジ63には、車長方向に貫通する下部締結孔65が設けられる。下部締結孔65には、下部フランジ63とエクステンション58(バッテリパック50の後端)とを締結させるための締結部材であるボルト76が挿入される。
図3に例示されるように、下部フランジ63の下部締結孔65とエクステンション58のパック側締結孔59とが位置合わせされ、両孔にボルト76が挿入される。さらにボルト76が下部フランジ63上のナット77に螺入されることで、下部フランジ63とバッテリパック50とが締結される。なお、ボルト76をウェルドボルトとして、予めパック側締結孔59に挿入させた状態で当該ボルト76を溶接させてもよい。
上部フランジ62がリアクロスメンバロア32と締結され、また下部フランジ63がバッテリパック50と締結されることで、バッテリパック50はブラケット60及びリアクロスメンバ30を介して、リアサイドメンバ20に吊り下げ支持される。
なお、図3では、バッテリパック50のエクステンション58にパック側締結孔59を設け、リアクロスメンバロア32にメンバ側締結孔32Bを設けた例が示されているが、この形態に限らない。例えば図4に例示されるように、エクステンション58の後端壁にボルト76を溶接し、これに下部フランジ63の下部締結孔65を挿入させてもよい。同様にして、リアクロスメンバロア32の底壁32Cの下面にボルト34を溶接し、これに上部フランジ62の上部締結孔61を挿入させてもよい。
図9に戻り、下部フランジ63は脆弱部66を備える。脆弱部66は、下部フランジ63の部位のうち、相対的に耐荷重性の低い(破断し易い)箇所を指す。脆弱部66は、下部フランジ63の端縁67と下部締結孔65との間に形成される。例えば端縁67の一部を切り欠いた切欠き68を設けることで脆弱部66が形成される。
脆弱部66は、ブラケット60の立設状態、すなわちリアクロスメンバロア32及びエクステンション58にブラケット60を締結させたときに、例えば下部締結孔65から下方に設けられる。後述するように、車両の後突時には、ブラケット60に上方向の引張り荷重が入力され、その応力として、下部フランジ63の、下部締結孔65より下方には、ボルト76から下方向の荷重が入力される。荷重の入力経路上に、脆弱部66を設けることで、後突時における脆弱部66の破断(下部締結孔65の開放)が遅滞なく行われる。
<後突時の挙動>
図10、図11を参照し、本実施形態に係る車両下部構造の、車両後突時における挙動について説明する。車両の後突時には、骨格部材であるリアサイドメンバ20に衝撃荷重が入力される。このとき、リアサイドメンバ20のキックアップ部21から後方は、キックアップ部21の湾曲構造に起因して、その湾曲がより曲げられるように上方に変形させられる。
図10、図11を参照し、本実施形態に係る車両下部構造の、車両後突時における挙動について説明する。車両の後突時には、骨格部材であるリアサイドメンバ20に衝撃荷重が入力される。このとき、リアサイドメンバ20のキックアップ部21から後方は、キックアップ部21の湾曲構造に起因して、その湾曲がより曲げられるように上方に変形させられる。
キックアップ部21から後方部分の湾曲が進行することで、当該部分に吊り下げ支持されている部材同士が近接する。具体的にはバッテリパック50の後端とリアサスペンションメンバ40の前端とが近接する。
さらにキックアップ部21から後方部分が上方に変形することで、当該部分に吊り下げ支持されている部材が引き上げられる。ここで、バッテリパック50は、ブラケット60によって(リアクロスメンバ30を介して)リアサイドメンバ20に吊り下げ支持されているのに加えて、パック外クロス56を介してフロントサイドメンバ10にも吊り下げ支持されている。したがって、バッテリパック50の後方はキックアップ部21の湾曲に伴って上方に付勢されるのに対して、バッテリパック50の前方はその車高位置を維持しようとする。
これに伴い、バッテリパック50の後端と(上昇する)リアクロスメンバ30とに締結されたブラケット60には、上方への引張荷重が入力される。この引張荷重に対して、ブラケット60の下部締結孔65に挿入されたボルト76にせん断応力が生じて、ブラケット60の下部フランジ63の、下部締結孔65から下方部分に、下方向の荷重が入力される。
上記荷重が入力される、下部締結孔65から下方部分には脆弱部66が形成されていることから、図11に例示するように、荷重の入力に伴って下部締結孔65と下部フランジ63の端縁67とが連通するように脆弱部66が破断する。その結果、ボルト76からブラケット60が上方に抜け、ブラケット60とバッテリパック50との締結が解消される。
ブラケット60とバッテリパック50との締結が解消されることで、バッテリパック50の引き上げが行われずに済む。一方、リアサイドメンバ20に引き続き吊り下げ支持されたリアサスペンションメンバ40は上方かつ前方に変位させられる。このとき、リアサスペンションメンバ40とバッテリパック50とが上下方向に(車高方向に)ずれた位置関係となる。したがって、リアサスペンションメンバ40が前方に変位しても、バッテリパック50の上方を通過する(すれ違う)ようになり、バッテリパック50とリアサスペンションメンバ40との接触が回避可能となる。
<ブラケットの別例>
図1~図11にて例示されたブラケット60には、下部フランジ63に脆弱部66が設けられていたが、この形態に限らない。要するに後突時にブラケット60に対して車高方向に引張荷重が入力されたときに締結孔が破断されればよいのであるから、例えば図12に示すように、上部フランジ62の上部締結孔61から上部フランジ62の端縁67までの間に切欠き68を設けて、脆弱部66としてもよい。また、上部フランジ62と下部フランジ63の両方に脆弱部66を設ける代わりに、両フランジの少なくとも一方の、締結孔からフランジの端縁までの間に、脆弱部66が設けられていればよい。
図1~図11にて例示されたブラケット60には、下部フランジ63に脆弱部66が設けられていたが、この形態に限らない。要するに後突時にブラケット60に対して車高方向に引張荷重が入力されたときに締結孔が破断されればよいのであるから、例えば図12に示すように、上部フランジ62の上部締結孔61から上部フランジ62の端縁67までの間に切欠き68を設けて、脆弱部66としてもよい。また、上部フランジ62と下部フランジ63の両方に脆弱部66を設ける代わりに、両フランジの少なくとも一方の、締結孔からフランジの端縁までの間に、脆弱部66が設けられていればよい。
ここで、上述したように、下部フランジ63の下部締結孔65の下方に脆弱部66を設けた場合、後突時に生じる荷重の入力経路上に脆弱部66が設けられるので、後突発生時に応答性よく脆弱部66が破断するというメリットがある。
また、図9、図12では、フランジの端縁を切り欠くことで脆弱部66を形成していたが、この形態に限らない。例えば図13に例示するように、締結部材であるボルトが挿入される締結穴(下部締結孔65)とは別に、脆弱部としてダミー孔69を設けて、脆弱部66を形成してもよい。切欠き68と同様に、ダミー孔69は上部締結孔61から上部フランジ62の端縁67までの間、及び、下部締結孔65から下部フランジ63の端縁67までの間の少なくとも一方に設けられていればよい。
10 フロントサイドメンバ、20 リアサイドメンバ、21 キックアップ部、22 直線部、30 リアクロスメンバ、31 リアクロスメンバアッパ、32 リアクロスメンバロア、32B メンバ側締結孔、32C 底壁、33 ナット、34,76 ボルト(締結部材)、40 リアサスペンションメンバ、50 バッテリパック、51 ケース、59 パック側締結孔、60 ブラケット、61 上部締結孔、62 上部フランジ、63 下部フランジ、64 連結部、64A 垂直部、64B 傾斜部、64C ビード、65 下部締結孔、66 脆弱部、67 端縁、68 切欠き、69 ダミー孔。
Claims (3)
- フロアの車幅方向両側に設けられ、車長方向に延設される一対のフロントサイドメンバと、
一対の前記フロントサイドメンバの後端に前端が接続され、上方かつ後方に湾曲するキックアップ部を有する一対のリアサイドメンバと、
一対の前記リアサイドメンバの、前記キックアップ部から後方部分同士を繋ぐようにして車幅方向に延設されるリアクロスメンバと、
フロア下に搭載されるとともに、一対の前記フロントサイドメンバと、前記リアクロスメンバを介して一対の前記リアサイドメンバとに吊り下げ支持されるバッテリパックと、
後輪を懸架するサスペンション機構を支持する支持部材であって、一対の前記リアサイドメンバに吊り下げ支持されるリアサスペンションメンバと、
を備える車両下部構造であって、
前記リアサスペンションメンバは、
車幅方向に延設されるフロントクロスと、
前記フロントクロスの車幅方向両端から車両前方かつ車幅方向外側に延設され、その前端が一対の前記リアサイドメンバに締結される一対のフロントボデーマウントと、
を備え、
一対の前記リアサイドメンバの、一対の前記フロントボデーマウントとの締結部と、前記リアクロスメンバとは、車幅方向軸上で直線状に配置され、
前記バッテリパックの後端に当接されるとともに、当該バッテリパックの後端に締結されるための締結部材が挿入される下部締結孔が形成された下部フランジと、前記リアクロスメンバに当接されるとともに、当該リアクロスメンバに締結されるための締結部材が挿入される上部締結孔が形成された上部フランジとを有するブラケットを備え、
前記ブラケットの、前記上部締結孔から前記上部フランジの端縁までの間、及び、前記下部締結孔から前記下部フランジの端縁までの間の少なくとも一方に脆弱部が形成された、
車両下部構造。 - 請求項1に記載の車両下部構造であって、
前記下部フランジの前記脆弱部は、前記下部締結孔から下方に設けられる、車両下部構造。 - 請求項1または2に記載の車両下部構造であって、
前記バッテリパックは、一対の前記リアサイドメンバの前記キックアップ部から後方部分に対して、前記ブラケットのみによって吊り下げ支持される、
車両下部構造。
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