一方、このようなボトルを作製するにあたっては、ボトルにおける外観をより良好にし、意匠性を向上させ、消費者にとってより魅力のある外観を提案することが求められている。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1乃至図17は本発明の一実施の形態を示す図である。
(絵柄付ボトルの構成)
まず、図1乃至図3により、本実施の形態による絵柄付ボトルの概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ絵柄付ボトル100を正立させた状態(図1及び図3)における上方および下方のことをいう。また、本明細書中、「絵柄」とは、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合をいう。
図1乃至図3に示す絵柄付ボトル100は、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよび保護部材110aを含む絵柄付プリフォーム700(図4及び図5参照)に対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより、絵柄付プリフォーム700のプリフォーム10aおよび保護部材110aを膨張させて得られたものである。
このような絵柄付ボトル100は、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられた保護部材110とを備えており、容器本体10にボトル絵柄D1(図3参照)が形成されている。
このような容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、保護部材110は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。この保護部材110は、容器本体10に形成されたボトル絵柄D1を保護する役割を果たす。
次に容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
また胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm以上250μm以下程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g以上20g以下とすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム10a、すなわち容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良い。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを成形した後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10は、例えば満注容量が100ml以上2000ml以下のボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L以上60L以下の大型のボトルであっても良い。
次に、ボトル絵柄D1について説明する。このボトル絵柄D1は、後述するように、絵柄付プリフォーム700(図4及び図5参照)に対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより絵柄付プリフォーム700を膨張させた際に、絵柄付プリフォーム700のプリフォーム10aに印刷された後述するプリフォーム絵柄d1(図5参照)が延伸して作成されたものである。図3に示す例においては、ボトル絵柄D1は、絵柄付ボトル100の軸線方向(上下方向)に沿って、容器本体10の胴部20に設けられた文字「abc」と、絵柄付ボトル100の円周方向に沿って、容器本体10の肩部12に設けられた文字「ABC」とによって構成されている。
このようなボトル絵柄D1は、容器本体10のフランジ部17の下端部から底部30の接地部32までの長さをLとした場合、フランジ部17の下端部から1/3L以内の範囲内に設けられていても良い。フランジ部17の下端部から1/3L以内の範囲内には、一般的に容器本体10の肩部12が存在し、この肩部12は、従来のプラスチックボトルにおいては、容器の周囲に付与されたラベルが設けられていない領域となる。本実施の形態のように、従来ラベルが設けられていない領域にボトル絵柄D1を形成することにより、絵柄付ボトル100における外観をより良好にし、意匠性を向上させることができる。
また、このようなボトル絵柄D1は、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30の全域に設けられていても良く、この場合、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30に対して所望の意匠性を付与することができる。
なお、ここでは、ボトル絵柄D1が、絵柄付ボトル100の軸線方向に沿って設けられた文字「abc」と、絵柄付ボトル100の円周方向に沿って設けられた文字「ABC」とによって構成されている例について説明したが、これに限られることはなく、ボトル絵柄D1は任意に変更することができる。
次に、保護部材110について説明する。保護部材110(110a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。この保護部材110は、後述するように、筒状の保護部材110aをプリフォーム10aとともに一体として延伸することにより作製されたものである。
保護部材110は、少なくとも円筒状の胴部111を有し、容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。この保護部材110は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、保護部材110は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、保護部材110は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30に形成されたボトル絵柄D1を保護することができる。
また、保護部材110は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、保護部材110は、容器本体のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、保護部材110は1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つの保護部材110を肩部12の外面および底部30の外面にそれぞれ設けても良い。なお、ボトル絵柄D1を保護するために、保護部材110は、少なくともボトル絵柄D1を覆う領域に設けられている。
保護部材110は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去することができる。具体的には、例えば刃物等を用いて保護部材110を切除したり、保護部材110に予め図示しない切断線や切欠きを設け、この切断線や切欠きを用いて保護部材110を剥離したりすることができる。これにより、保護部材110を容器本体10から分離除去することができる。
また、保護部材110の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm以上500μm以下程度とすることができる。また、このような保護部材110のうち、ボトル絵柄D1を覆う領域の厚みは、5μm以上500μm以下とすることができる。保護部材110のうち、ボトル絵柄D1を覆う領域の厚みを5μm以上とすることにより、保護部材110がボトル絵柄D1を効果的に保護することができる。また、保護部材110のうち、ボトル絵柄D1を覆う領域の厚みを100μm以下とすることにより、ボトル絵柄D1の視認性が低下することを抑制することができる。
このような保護部材110は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の可視光色に着色されていても良い。また、このような保護部材110は、保護部材110のうち、少なくともボトル絵柄D1を覆う領域が透明又は半透明である。これにより、容器本体10に形成されたボトル絵柄D1を視認することができるようになっている。この場合、例えば保護部材110を可視光色に着色するとともに、容器本体10を無色透明にしても良い。あるいは、容器本体10および保護部材110の両方を可視光色に着色しても良い。なお、可視光色に着色された保護部材110を作製する場合、ブロー成形前の保護部材110aを押出成形等により作製する工程で、成形材料に可視光色の顔料を添加しても良い。また、保護部材110は、その全体が半透明又は透明であっても良く、あるいは不透明な部分と半透明又は透明な部分とを有していても良い。
(絵柄付プリフォームの構成)
次に、図4乃至図8により、本実施の形態による絵柄付プリフォームの構成について説明する。
図4及び図5に示すように、絵柄付プリフォーム700は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられた略円筒状の保護部材110aとを備えており、プリフォーム10aにプリフォーム絵柄d1(図5参照)が形成されている。
図4及び図5に示すように、プリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、口部11aは、容器本体10のねじ部14に対応するねじ部14aと、ねじ部14aの下方に設けられ、容器本体10のフランジ部17に対応するフランジ部17aとを有している。なお、口部11aの形状は、従来公知の形状であってもよい。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
この場合、プリフォーム10aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の可視光色に着色されていても良く、また透明であっても不透明であっても良い。
次に、プリフォーム絵柄d1について説明する。このプリフォーム絵柄d1は、後述するように、平面絵柄d5(図16(b)参照)をプリフォーム10aに印刷したものである。図5に示す例においては、プリフォーム10aの軸線方向(上下方向)に沿って胴部20aに設けられた文字「abc」と、プリフォーム10aの円周方向に沿って胴部20aに設けられた文字「ABC」とによって構成されている。
このようなプリフォーム絵柄d1は、プリフォーム10aのフランジ部17aの下端部から底部30aの下端部までの長さをLaとした場合、フランジ部17aの下端部から1/2La以内の範囲内に設けられていても良い。フランジ部17aの下端部から1/2La以内の範囲内は、一般的に容器本体10の肩部12が存在する領域に対応する。ここで、容器本体10の肩部12は、胴部20よりも径が小さくなっており、プリフォーム10aの円周方向への延伸倍率が小さくなる部分となる。このため、当該部分に形成されたプリフォーム絵柄d1については、後述する補正係数を求め易くすることができ、容器本体10において、当該部分に対応する部分に形成されるボトル絵柄D1の形状精度を高くすることができる。
このようなプリフォーム絵柄d1は、プリフォーム10aの胴部20aおよび底部30aの全域に設けられていても良い。
図5に示すように、プリフォーム絵柄d1は、図3に示すボトル絵柄D1と比較した際に、歪んだ絵柄となっている。このように、絵柄付プリフォーム700のプリフォーム絵柄d1を歪んだ絵柄にすることにより、絵柄付ボトル100を作製した際に、ボトル絵柄D1の形状を歪みのない形状に整えることができる。すなわち、絵柄付プリフォーム700にブロー成形を施し、絵柄付ボトル100を作製する際、プリフォーム10aの胴部20aおよび底部30aにおいて延伸倍率が異なる領域が発生する。とりわけ、プリフォーム10aの胴部20aのうち、容器本体10の肩部12および胴部20に対応する領域においては、プリフォーム10aの延伸倍率の違いが大きくなる。これにより、絵柄付プリフォーム700において印刷された絵柄の形状を歪みのない形状に整えた場合であっても、絵柄付ボトル100を作製した際に当該絵柄が歪んでしまう場合がある。これに対して予め絵柄付プリフォーム700のプリフォーム絵柄d1を歪んだ絵柄にすることにより、絵柄付ボトル100を作製した際に、ボトル絵柄D1の形状を歪みのない形状に整えることができる。このようなプリフォーム絵柄d1は、ボトル絵柄D1に後述する補正係数を適用することにより作成される。
また、このようなプリフォーム絵柄d1は、平面絵柄d5に基づいて、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法や、熱転写により、デザイン又は印字が施されて形成されたものである。例えばインクジェット法を用いる場合、プリフォーム絵柄d1は、プリフォーム10aに対してUV硬化型インクを塗布し、これにUV照射を行い、硬化させることにより形成することができる。プリフォーム絵柄d1をプリフォーム10aに印刷するためのインクは、300%以上の延伸性を有していることが好ましい。これにより、プリフォーム絵柄d1が延伸されて形成されるボトル絵柄D1を明確に表示させることができる。
このように、プリフォーム10aにプリフォーム絵柄d1を形成することにより、容器本体10の胴部20に減圧吸収パネル等の凹凸や意匠性をもつ模様等の凹凸が付与されていた場合であっても、当該凹凸の形状にボトル絵柄D1を追従させることができる。このため、意匠性を向上させることができる。
次に、保護部材110aについて説明する。保護部材110aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。保護部材110aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。この保護部材110aは、プリフォーム10aに形成されたプリフォーム絵柄d1を保護する役割を果たす。
図6(a)に示すように、保護部材110aは、円筒状の胴部111aと、胴部111aに連結された底部112aとを有し、全体として有底円筒形状のものであっても良い。この場合、保護部材110aの底部112aがプリフォーム10aの底部30aを覆うので、容器本体10の胴部20に加え、底部30に形成されたボトル絵柄D1を保護することができる。また、図6(b)に示すように、保護部材110aは、円筒状の胴部111aを有し、全体として無底円筒形状のものであっても良い。また、図6(c)に示すように、保護部材110aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図6(c)に示すように、保護部材110aは、胴部111aを有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良い。図6(b)および図6(c)に示される保護部材110aの場合、図7に示すように、保護部材110aが余白部180aを有するように構成し、この余白部180aを熱圧着しても良い。これにより、図6(b)および図6(c)に示される無底円筒形状からなる保護部材110aであっても、有底円筒形状の保護部材110aとすることができる。
熱圧着後の余白部180aの形状は特に限定されるものではなく、図8(a)-(c)に示されるように任意の形状とすることができる。
すなわち、図8(a)に示すように、保護部材110aの端部140bに形成された第1対向面146aと第2対向面146bとが、底面方向から見て、プリフォーム10aの胴部20aの径方向に沿って略一直線状に圧着されていても良い。また、図8(b)に示すように、保護部材110aの端部140bは、底面方向から見て十字状に圧着されていても良く、図8(c)に示すように、端部140bの圧着部が、底面方向から見て約120°ずつ等配となるように配置されていても良い。
この場合、保護部材110aは、口部11aを除く全域を覆うように設けられているが、これに限らず、プリフォーム10aのうち、口部11aを除く一部の領域に設けられていても良い。なお、プリフォーム絵柄d1を保護するために、保護部材110aは、少なくともプリフォーム絵柄d1を覆う領域に設けられている。また、保護部材110aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の可視光色に着色されていても良い。また、このような保護部材110aは、保護部材110aのうち、少なくともプリフォーム絵柄d1を覆う領域が透明又は半透明である。これにより、絵柄付プリフォーム700に対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより、絵柄付ボトル100を作製した際に、容器本体10に形成されたボトル絵柄D1を視認することができるようになっている。なお、保護部材110aは、その全体が半透明又は透明であっても良く、あるいは不透明な部分と半透明又は透明な部分とを有していても良い。
また、これに限定されるものではないが、保護部材110aのうち、プリフォーム絵柄d1を覆う領域の厚みは、プリフォーム10aに取り付けられた状態で、例えば50μm以上500μm以下とすることができる。保護部材110aのうち、プリフォーム絵柄d1を覆う領域の厚みを50μm以上とすることにより、保護部材110aがプリフォーム絵柄d1を効果的に保護することができる。また、保護部材110aのうち、プリフォーム絵柄d1を覆う領域の厚みを500μm以下とすることにより、ブロー成形時に保護部材110aを十分に引き延ばすことができ、絵柄付ボトル100において、保護部材110が容器本体10に形成されたボトル絵柄D1を確実に保護することができる。
また、保護部材110aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用を有するものであっても良く、収縮する作用を有しないものであっても良い。ブロー成形後において、容器本体10と、保護部材110との密着性が高く、これらの間に入り込む空気が少ないという理由から、保護部材110aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用を有するものであることが好ましい。保護部材110aが収縮する作用を有する場合、保護部材110aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、保護部材110aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
保護部材110aとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンMXD6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうちポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。なお、絵柄付ボトル100を例えば、飲料以外の用途に使用する場合、保護部材110aは、ポリ塩化ビニルを含んでいても良い。これにより、容器本体10やボトル絵柄D1に用いられるインクの耐候劣化を抑制することができる。
またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。さらに、保護部材110aの材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
また保護部材110aが容器本体10(プリフォーム10a)と同一の材料からなっていても良い。この場合、絵柄付ボトル100のうち、例えば強度を高めたい部分に重点的に保護部材110を配置し、当該箇所の強度を選択的に高めることができる。このような材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を挙げることができる。
また保護部材110aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、絵柄付ボトル100のガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD-6(ナイロン)、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
また保護部材110aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、絵柄付ボトル100の光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
また保護部材110aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が絵柄付ボトル100の表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、絵柄付ボトル100の保冷性が高められる。また、使用者が絵柄付ボトル100を把持した際、冷たすぎることにより絵柄付ボトル100を持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、保護部材110aに含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
また保護部材110aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が絵柄付ボトル100を把持しやすくすることができる。
次に、上述した絵柄付プリフォーム700に形成されるプリフォーム絵柄d1を作成するための基準ボトルおよび基準プリフォームについて説明する。
(基準ボトルの構成)
まず、基準ボトルについて説明する。
図9に示すように、基準ボトル101は、上述した容器本体10と、上述した保護部材110とを備えており、容器本体10に、複数の基準点Pをもった基準ボトルパターンD2が形成されている。
基準ボトルパターンD2は、後述するように、基準プリフォーム701(図10A参照)に対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより基準プリフォーム701を膨張させた際に、基準プリフォーム701のプリフォーム10aに形成された後述する基準プリフォームパターンd2(図10A参照)が延伸して作成されたものである。この基準ボトルパターンD2は、基準プリフォームパターンd2と比較した際に、歪んだパターンとなっている。これは、基準プリフォーム701にブロー成形を施し、基準ボトル101を作製した際に、プリフォーム10aの胴部20aおよび底部30aにおいて延伸倍率が異なる領域が発生し、基準プリフォームパターンd2が歪むためである。このため、基準ボトルパターンD2と基準プリフォームパターンd2とを比較することにより、プリフォーム10aの胴部20aおよび底部30aにおける延伸倍率の差を求めることができる。
(基準プリフォームの構成)
次に、基準プリフォーム701について説明する。
図10Aに示すように、基準プリフォーム701は、上述したプリフォーム10aと、上述した保護部材110aとを備えており、プリフォーム10aに、複数の基準点Pをもった基準プリフォームパターンd2が形成されている。ここで、基準プリフォーム701のプリフォーム10aは、絵柄付プリフォーム700のプリフォーム10aと同一であることが好ましく、基準プリフォーム701のプリフォーム10aは、絵柄付プリフォーム700のプリフォーム10aと同一の形状を有するとともに、同一の材料を含んでいることが好ましい。この場合、基準プリフォーム701から基準ボトル101が作製される際のプリフォーム10aの延伸倍率と、絵柄付プリフォーム700から絵柄付ボトル100が作製される際のプリフォーム10aの延伸倍率とを同様にすることができる。これにより、後述する補正係数の信頼性を向上させることができ、ボトル絵柄D1の形状精度を向上させることができる。
基準プリフォームパターンd2は、複数の基準点Pをもった平面基準パターンd3(図10B参照)をプリフォーム10aに印刷することにより形成されたものである。図10Bに示す例においては、平面基準パターンd3は、略正方格子状のパターンとなっている。この場合、平面基準パターンd3は、直線および点のうち少なくとも一方を含む幾何学模様から構成されており、本実施の形態においては、直線および点から構成された同一形状の格子が規則的に複数配置されている。このようなパターンの場合、平面基準パターンd3をプリフォーム10aに印刷することにより形成される基準プリフォームパターンd2を、図10Aに示すように、直線および点のうち少なくとも一方を含む幾何学模様から構成することができる。これにより、基準プリフォームパターンd2から形成される基準ボトルパターンD2を直線および点のうち少なくとも一方を含む幾何学模様から構成することができ、基準ボトルパターンD2の検出精度を高めることができる。このため、後述する補正係数を精度良く求めることができ、ボトル絵柄D1の形状精度を向上させることができる。
このような平面基準パターンd3は、上述したように複数の基準点Pをもっており、各基準点Pの座標値の集合からなるデータは、図示しない画像処理装置に予め記録されている。
また、基準プリフォームパターンd2および平面基準パターンd3が、このような略正方格子状のパターンである場合、基準点Pは例えば格子の各交点、すなわち、各正方形の四頂点とすることができる。基準プリフォームパターンd2および平面基準パターンd3が正方格子状のパターンである場合、平面基準パターンd3において、パターンの正方形の一辺は、例えば0.5mm以上2.0mm以下とすることができる。また、パターンの正方形の一辺を1mm以上とすることにより、後述する補正係数を求める処理を短縮することができる。また、パターンの正方形の一辺を1mm以下とすることにより、プリフォーム10aの胴部20aおよび底部30aにおける延伸倍率の差をより正確に求めることができ、ボトル絵柄D1に歪みが発生することを抑制できる。また、上述した基準ボトル101において、容器本体10の胴部20に減圧吸収パネルなどの凹凸や意匠性をもつ模様等の凹凸が付与される場合、当該凹凸内に少なくとも1点以上の基準点Pが存在するようにパターンの正方形の一辺を調整することが好ましい。これにより、当該凹凸の形状に対してボトル絵柄D1を精度よく追従させることができる。なお、ここでは、正方格子状の基準プリフォームパターンd2および平面基準パターンd3を用いた例を示すが、複数の基準点Pをもったパターンであれば、基準プリフォームパターンd2および平面基準パターンd3のパターンは特に限定されない。このようなパターンとして、例えば、チェス盤状のパターン(市松模様)であっても良く、基準点Pのみからなるパターンを使用しても良い。また、図10Aおよび図10Bに示す例においては、基準プリフォームパターンd2および平面基準パターンd3のパターンが、直線および点のうち少なくとも一方を含む幾何学模様から構成されている例について説明したが、これに限られない。例えば、基準プリフォームパターンd2および平面基準パターンd3が、曲線および点のうち少なくとも一方を含む幾何学模様から構成されていても良い。この場合においても、基準プリフォームパターンd2から作成される基準ボトルパターンD2を曲線および点のうち少なくとも一方を含む幾何学模様から構成することができ、基準ボトルパターンD2において、曲線および点から構成された図形が規則的に複数配置されることにより、基準ボトルパターンD2の検出精度を高めることができる。また、幾何学模様を構成する図形が規則的に複数配置される場合、各々の図形が同一形状ではなく、異なる形状を有していても良い。
なお、この場合、図10Cに示すように、基準プリフォーム701の基準プリフォームパターンd2を平面SA上に投影した基準プリフォーム投影パターンd4は、平面基準パターンd3と略同一のパターンから構成され、直線および点のうち少なくとも一方を含む幾何学模様から構成されている。
このような基準プリフォームパターンd2は、平面基準パターンd3に基づいて、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法や、熱転写により、デザイン又は印字等が施されて形成されたものである。基準プリフォームパターンd2をプリフォーム10aに印刷するためのインクは、プリフォーム絵柄d1に用いられるインクと同様のものを使用することができる。
なお、基準プリフォームパターンd2は、保護部材110aに形成されていても良い。この場合、上述した基準ボトル101の基準ボトルパターンD2は、保護部材110に形成される。
ここで、保護部材110aに基準プリフォームパターンd2が印刷されている場合、保護部材110aをプリフォーム10aに装着する前に、平面基準パターンd3を保護部材110aに印刷し、予め保護部材110aに基準プリフォームパターンd2を形成することができる。この場合、例えば、円筒状の胴部を有する保護部材110aを折り畳んだ状態で平面基準パターンd3を保護部材110aに印刷することができる。このため、曲面ではなく平面に印刷を施すことができ、基準プリフォームパターンd2の形成工程を容易にすることができる。
また、上述したように、プリフォーム10aおよび保護部材110aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の可視光色に着色されていても良く、また透明であっても不透明であっても良いため、基準プリフォームパターンd2は、プリフォーム10aまたは保護部材110aの色とのコントラストが大きい色を選択することが好ましい。これにより、基準プリフォーム701にブロー成形を施し、基準ボトル101を作製した際に、基準プリフォームパターンd2から形成される基準ボトルパターンD2の検出精度を高めることができ、後述する補正係数を精度良く求めることができる。このため、ボトル絵柄D1の形状精度を向上させることができる。さらに、基準プリフォームパターンd2は、赤色で印刷されていることが好ましい。ここで、後述するように、基準プリフォーム701をブロー成形して基準ボトル101を作製する際、基準プリフォーム701を、加熱装置(図12A(e)参照)によって加熱した後、ブロー成形金型(図12B(a)参照)に送る。この場合、加熱装置において近赤外線ヒーターを使用する場合がある。このような場合、基準プリフォームパターンd2が、赤色で印刷されていることにより、近赤外線ヒーターによる影響を受けにくくすることができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、プリフォーム絵柄の作成方法並びに絵柄付プリフォームおよび絵柄付ボトルの製造方法について説明する。
(プリフォーム絵柄の作成方法)
まず、図11、図12A(a)-(e)、図12B(a)-(c)、図13(a)-(c)、図14(a)-(b)、図15(a)-(c)および図16(a)-(b)により、本実施の形態によるプリフォーム絵柄の作成方法について説明する。
まず、プリフォーム10aに基準プリフォームパターンd2を形成するための、複数の基準点Pをもった平面基準パターンd3を作成する(図11の符合S1、図12A(a)参照)。この平面基準パターンd3は、例えば正方格子状のパターンとすることができ、基準点Pは格子の各交点とすることができる。なお、この際、平面基準パターンd3の複数の基準点Pの各座標値の集合からなるデータは、図示しない画像処理装置に記録される。
次に、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図11の符号S2)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製する(図12A(b)参照)。このプリフォーム10aは、口部11aと、円筒状の胴部20aと、略半球状の底部30aとを有している。なお、プリフォーム10aは、平面基準パターンd3を作成することと並行して準備するようにしても良い。次に、このプリフォーム10aに平面基準パターンd3を印刷する(図11の符号S3、図12A(c)参照)。
また、プリフォーム10aを準備することと並行して、保護部材110aを準備する(図11の符号S4)。この場合、保護部材110aは、少なくとも円筒状の胴部111aを有している。例えば保護部材110aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部111aと、胴部111aに連結された底部112aとを有している。
なお、基準プリフォームパターンd2は、この保護部材110aに形成されても良い。保護部材110aに基準プリフォームパターンd2が形成される場合、保護部材110aをプリフォーム10aに装着する前に、平面基準パターンd3をプリフォーム10aに印刷し、予め保護部材110aに基準プリフォームパターンd2を形成しても良い。この場合、例えば、円筒状の胴部を有する保護部材110aを折り畳んだ状態で平面基準パターンd3を保護部材110aに印刷することができる。このため、曲面ではなく平面に印刷を施すことができ、基準プリフォームパターンd2の形成工程を容易にすることができる。
次に、プリフォーム10aの外側に保護部材110aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された保護部材110aとを有する基準プリフォーム701を作製する(図11の符号S5、図12A(d)参照)。
この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつ保護部材110aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、後述するように、熱収縮性をもつ保護部材110aをプリフォーム10aの外面に設け、この保護部材110aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
次に、基準プリフォーム701をブロー成形して、複数の基準点Pをもった基準ボトルパターンD2が形成された容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられた保護部材110とを有する基準ボトル101を作製する(図11の符号S6)。この際、プリフォーム10aおよび保護部材110aを、加熱装置51によって加熱する(図12A(e)参照)。このとき、プリフォーム10aおよび保護部材110aは、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよび保護部材110aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱された基準プリフォーム701は、ブロー成形金型50に送られる(図12B(a)参照)。
基準ボトル101は、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図12B(a)参照)。図12B(a)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、基準プリフォーム701が挿入される。
次に図12B(b)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。
次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、基準プリフォーム701に対して二軸延伸ブロー成形が施される。
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、基準プリフォーム701のプリフォーム10aおよび保護部材110aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよび保護部材110aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。この際、プリフォーム10aが膨張し、基準プリフォーム701の基準プリフォームパターンd2が延伸する。このようにして、基準プリフォームパターンd2が延伸した基準ボトルパターンD2が形成された基準ボトル101が得られる。なお、この際、プリフォーム10aの胴部20aまたは底部30aにおいて、延伸倍率が異なる領域が発生する。このため、基準ボトルパターンD2は、基準プリフォームパターンd2を歪めたような形状のパターンとなる(図3及び図5参照)。
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた保護部材110とを備えた基準ボトル101が得られる。
次に図12B(c)に示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から基準ボトル101が取出される。
次いで、基準ボトル101の基準ボトルパターンD2を投影面上に投影し、投影された基準ボトル投影パターンD3を得る(図11の符号S7)。この場合、まず、図13(a)に示すように、投影面Sを準備する。この投影面Sは、例えば基準ボトル101の軸線方向(上下方向)に平行な平面とすることができる。次に、図13(b)に示すように、この投影面Sに基準ボトルパターンD2を投影する。これにより、図13(c)に示すように、基準プリフォームパターンd2が歪められた基準ボトル投影パターンD3が得られる。このような基準ボトル投影パターンD3は、例えばカメラにより撮影された基準ボトル101の正面画像であっても良い。
次に、基準ボトル101の基準ボトル投影パターンD3と、平面基準パターンd3とから、基準ボトル投影パターンD3を平面基準パターンd3へ変換する補正係数を求める(図11の符号S8)。この際、補正係数は、複数の基準点Pの変位量に基づいて決定される。この場合、まず、例えば図14(a)に示すように、図示しない画像処理装置において、基準ボトル投影パターンD3の各基準点Pの位置が検出される。例えば、図14(a)に示す例においては、基準点P1、P2、P3、P4の位置が、座標値(x1、y1)、(x2、y2)、(x3、y3)、(x4、y4)として検出される。この画像処理装置には、予め、図14(b)に示すような平面基準パターンd3の各基準点Pの座標値の集合からなるデータ(例えば、基準点P11、P12、P13、P14の座標値(x11、y11)、(x12、y12)、(x13、y13)、(x14、y14))が記録されており、基準ボトル投影パターンD3の各基準点Pの座標値の集合からなるデータについても同様に画像処理装置に記録される。ここで、図14(a)に示す点P1、P2、P3、P4は、図14(b)の点P11、P12、P13、P14にそれぞれ対応する。次に、画像処理装置は、基準ボトル投影パターンD3の各基準点P1、P2、P3、P4の座標値と、平面基準パターンd3の対応する各基準点P11、P12、P13、P14の座標値とから、各基準点Pの対応関係を求める。これにより、各基準点Pにおける、基準ボトル投影パターンD3を平面基準パターンd3へ変換する補正係数が求められる。
この際、ボトル絵柄D1の形状精度を向上させるために、基準点P1、P2、P3、P4によって囲まれた領域内の任意の点Pxについての補正係数を求めても良い。絵柄は、着色された点の集合体と考えることができるため、基準ボトル投影パターンD3上の点が平面基準パターンd3上において、どの位置に対応するかが判明すれば、絵柄付プリフォーム700に対してブロー成形を施した際に、歪みのないボトル絵柄D1を形成することが可能なプリフォーム絵柄d1を得ることができる。点Pxについては、例えば以下のようにして、基準点P11、P12、P13、P14によって囲まれる領域内の対応する点P1xを求めても良い。
まず、図15(a)に示すように、基準点P1、P2、P3、P4を結び、四角形P1P2P3P4を作成する。次に、直線P1P2の延長線と直線P3P4の延長線との交点Aと、点Pxとを直線で結び、点Pxが、この直線の四角形P1P2P3P4内の部分を分割する比m:nを求める。また、直線P1P4の延長線と直線P2P3の延長線との交点Bと、点Pxとを直線で結び、点Pxが、この直線の四角形P1P2P3P4内の部分を分割する比q:rを求める。一方、図15(b)に示すように、基準点P11、P12、P13、P14によって作成される四角形P11P12P13P14においては、辺P11P12および辺P13P14をそれぞれm:nに分割する二点CDを結ぶ直線と、辺P11P14および辺P12P13をそれぞれq:rに分割する二点EFを結ぶ直線と、を引き、これらの直線の交点を点P1xとすることができる。なお、四角形P1P2P3P4の対辺(例えば辺P1P4及び辺P2P3)が平行な場合、交点Bを求めることができなくなるが、この場合は、図15(c)に示すように、点Pxを通り、辺P1P4および辺P2P3に平行な直線を考えることができる。この際、交点Aおよび交点Bの両方を求めることができない場合においても、同様の方法により補正係数を求めることができる。このような各基準点Pにおける対応関係を用いて、任意の点においても補正係数を求めることができる。
次いで、基準ボトル投影パターンD3上に、ボトル絵柄D1を作成する(図11の符号S9)。この際、ボトル絵柄D1は、図示しない画像処理装置において、基準ボトル投影パターンD3を含むレイヤーとは異なるレイヤーに作成されることが好ましい。これにより、基準ボトル投影パターンD3が含まれていないボトル絵柄D1を作成することができる。この場合、例えば図16(a)に示す例においては、基準ボトル101の軸線方向に沿って、歪みのない文字「abc」が設けられ、基準ボトル101の円周方向に沿って、歪みのない文字「ABC」が設けられる。
次に、ボトル絵柄D1に基づいて、補正係数を用いて平面絵柄d5を得る(図11の符号S10)。この場合、補正係数を用いて、ボトル絵柄D1の点のうち、基準ボトル投影パターンD3の各基準点Pに対応する点の座標値が、平面基準パターンd3の対応する基準点Pの座標値となるように、ボトル絵柄D1を平面絵柄d5へ変換する。このようにして、投影面S上に作成されたボトル絵柄D1が、補正係数を用いて補正され、図16(b)に示すように、点の集合体であるボトル絵柄D1に対応する平面絵柄d5が得られる。この場合、基準プリフォーム701の軸線方向に沿って、歪んだ文字「abc」が設けられ、基準プリフォーム701の円周方向に沿って、歪んだ文字「ABC」が設けられる。
次に、平面絵柄d5をプリフォーム10aに印刷することにより、プリフォーム絵柄d1を得る(図11の符号S11)。このようにして、プリフォーム絵柄d1が作成される。
(絵柄付プリフォームおよび絵柄付ボトルの製造方法)
次に、図17により、本実施の形態による絵柄付プリフォームおよび絵柄付ボトルの製造方法について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図17の符号S11)。次に、このプリフォーム10aに上述したプリフォーム絵柄d1の作成方法によって、プリフォーム10aにプリフォーム絵柄d1を形成する(図17の符号S12)。この場合、プリフォーム絵柄d1は、例えばインクジェット法等の印刷法によりプリフォーム10aに印刷される。
また、プリフォーム10aを準備することと並行して、保護部材110aを準備する(図17の符号S13)。
次に、プリフォーム10aの外側に保護部材110aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された保護部材110aとを有する絵柄付プリフォーム700を作製する(図17の符号S14)。
ここで、本実施の形態による絵柄付プリフォーム700は、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられる保護部材110aを備えている。これにより、プリフォーム10aに形成されたプリフォーム絵柄d1を保護部材110aによって保護することができ、プリフォーム絵柄d1に用いられたインクが剥がれるなどの不具合を抑制することができる。このため、絵柄付プリフォーム700に対して二軸延伸ブロー成形が施されることにより作製される絵柄付ボトル100に形成されるボトル絵柄D1の意匠性が低下することを抑制することができ、絵柄付ボトル100の外観を良好にすることができる。
なお、このように予めプリフォーム10aにプリフォーム絵柄d1を形成し、絵柄付プリフォーム700を作製しておくことにより、絵柄付プリフォーム700を作製する一連の工程(図11乃至図17の符号S11、S12、S13、S14)と、絵柄付ボトル100をブロー成形により作製する一連の工程(図17の符号S15、S16)とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次いで、絵柄付プリフォーム700を、加熱装置51(図12A(e)参照)によって加熱した後、ブロー成形金型50(図12B(a)参照)に送る(図17の符号S15)。
次に、絵柄付プリフォーム700内に空気が圧入され、絵柄付プリフォーム700に対して二軸延伸ブロー成形が施される(図17の符号S16)。このようにして、絵柄付ボトル100が得られる。
ここで、絵柄付プリフォーム700に対して二軸延伸ブロー成形が施され、絵柄付ボトル100が作製される際、絵柄付プリフォーム700のプリフォーム10aは、基準プリフォーム701に対して二軸延伸ブロー成形が施され、基準ボトル101が作製される際と同様の延伸倍率によって膨張する。このため、絵柄付プリフォーム700に形成された、歪んだ文字から構成されたプリフォーム絵柄d1は、歪みが補正され、絵柄付ボトル100に、歪みのない文字から構成されたボトル絵柄D1が形成される。
また、本実施の形態による絵柄付ボトル100は、容器本体10の外側に密着して設けられる保護部材110を備えている。これにより、絵柄付ボトル100の出荷時や、小売店に搬送されまたは自動販売機に投入されて、消費者に販売されるまでの間、容器本体10に形成されたボトル絵柄D1を保護部材110によって保護することができ、絵柄付ボトル100の外観を良好に保つことができる。
このように、本実施の形態によれば、プリフォーム10aにプリフォーム絵柄d1が形成され、絵柄付プリフォーム700が、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられる保護部材110aを備えている。これにより、プリフォーム10aに形成されたプリフォーム絵柄d1を保護部材110aによって保護することができ、プリフォーム絵柄d1に用いられたインクが剥がれるなどの不具合を抑制することができる。このため、絵柄付ボトル100に形成されるボトル絵柄D1の意匠性が低下することを抑制することができ、絵柄付ボトル100の外観を良好にすることができる。
また、本実施の形態によれば、容器本体10にボトル絵柄D1が形成され、絵柄付ボトル100が、容器本体10の外側に密着して設けられる保護部材110を備えている。これにより、容器本体10に形成されたボトル絵柄D1を保護部材110によって保護することができ、絵柄付ボトル100の外観を良好に保つことができる。
また、本実施の形態によれば、基準ボトル101の基準ボトル投影パターンD3と、平面基準パターンd3とから、基準ボトル投影パターンD3を平面基準パターンd3へ変換する補正係数を求め、基準ボトル投影パターンD3上にボトル絵柄D1を作成し、ボトル絵柄D1に基づいて、補正係数を用いて平面絵柄d5を得ている。そして、平面絵柄d5をプリフォーム10aに印刷することにより、プリフォーム絵柄d1を得ている。これにより、保護部材110aに印刷を施した場合においても、歪みのない絵柄を絵柄付ボトル100に設けることができる。このため、絵柄付ボトル100の外観を良好にし、意匠性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、補正係数を求める工程において、補正係数は、複数の基準点Pの変位量に基づいて決定される。これにより、補正係数を容易に求めることができる。
さらに、本実施の形態によれば、プリフォーム10aにプリフォーム絵柄d1が形成されている。これにより、容器本体10の胴部に減圧吸収パネル等の凹凸や意匠性をもつ模様等の凹凸が付与される場合であっても、当該凹凸の形状にボトル絵柄D1を追従させることができる。また、プリフォーム10aにプリフォーム絵柄d1が形成されているため、容器の周囲にラベル等の包装資材を付与する必要がなく、包装資材を削減でき、かつ、包装資材を付与するための包装機械が不要になるとともに、当該包装機械を設置する工数を削減できる。さらに、平面絵柄d5をプリフォーム10aに印刷することによりプリフォーム10aにプリフォーム絵柄d1を形成する際、一般的な印刷機をそのまま用いることができるので、プリフォーム絵柄d1を形成するための新たな印刷機を準備する必要が生じない。
なお、上述した実施の形態において、絵柄付ボトル100にプリフォーム絵柄d1から作成されたボトル絵柄D1のみが形成されている例について説明したが、これに限られることはない。すなわち、絵柄付ボトル100にプリフォーム絵柄d1から作成されたボトル絵柄D1以外の絵柄が形成されていても良い。この場合、絵柄付ボトル100を作製した後に、例えばインクジェット法等の印刷法により追加の絵柄を形成しても良く、例えばシールやラベル等により、追加の絵柄を形成しても良い。これにより、例えば、絵柄付ボトル100を販売する地域や言語の異なる国毎に、記載する表示を変更することが容易になる。
また、本実施の形態において、投影面Sが平面である例について説明したが、これに限られることはない。例えば、投影面Sは円筒面であっても良い。この場合、まず、図18(a)に示すように、平面状の投影面Saを準備する。次に、図18(b)に示すように、この投影面Saに基準ボトルパターンD2を投影する。この際、基準ボトル101を回転させながら、投影面Saに基準ボトルパターンD2を投影する。この場合、例えばカメラにより、基準ボトル101が1°回転するごとに基準ボトル101の正面画像を撮影する。このようにして、図18(c)に示すように、基準ボトル101のうち、容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応する部分が投影された仮想円筒面(投影面)を得ることができる。次いで、図18(d)に示すように、円筒面の投影面Sに投影された基準ボトル投影パターンD3を平面上に展開し、図14及び図15に示す方法により、補正係数を求める。この場合、基準ボトル101のうち、容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応する部分に対する基準ボトル投影パターンD3を得ることができるため、ボトル絵柄D1の形状精度を向上させることができる。なお、絵柄付ボトル100の底部30にボトル絵柄D1を形成する場合には、絵柄付ボトル100の軸線方向に垂直な平面を投影面とし、当該投影面に基準ボトルパターンD2を投影するようにしても良い。この場合においても、図14及び図15に示す方法により、補正係数を求めることができ、補正されたプリフォーム絵柄d1を得ることができる。
また、本実施の形態において、基準ボトル101が保護部材110を備え、基準プリフォーム701が保護部材110aを備えている例について説明したが、これに限られず、基準ボトル101および基準プリフォーム701が、それぞれ保護部材110および保護部材110aを備えていなくても良い。
さらに、プリフォーム絵柄d1を作成する際に、例えば基準ボトル投影パターンD3における四角形P1P2P3P4に対応する、平面基準パターンd3における四角形P11P12P13P14の延伸倍率を求めて、プリフォーム絵柄d1の色の濃淡を調整しても良い。上述したように、絵柄付プリフォーム700から絵柄付ボトル100を作製する際に、プリフォーム10aの胴部20aおよび底部30aにおいて延伸倍率が異なる領域が発生する。ここで、延伸倍率が大きい領域においては、プリフォーム絵柄d1がより広範囲に延伸し、プリフォーム絵柄d1の色が薄くなる。このため、延伸倍率が大きい領域と延伸倍率が小さい領域との間で色の濃淡に差が生じ、意匠性が低下する場合がある。これに対して、延伸倍率を求めてプリフォーム絵柄d1の色の濃淡を調整することにより、延伸倍率が大きい領域においてはプリフォーム絵柄d1の色を濃くし、延伸倍率が大きい領域と延伸倍率が小さい領域との間において色の濃淡に差が生じることを抑制し、意匠性が低下することを抑制することができる。なお、この際、延伸倍率が小さい領域のプリフォーム絵柄d1の色を薄くしても良い。この場合においても、延伸倍率が大きい領域と延伸倍率が小さい領域との間において色の濃淡に差が生じることを抑制することができる。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。