第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図10は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
まず、図1および図2により、本実施の形態による複合容器の製造方法(ブロー成形方法)によって作製される複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図4参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置する容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
次に容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、ペタロイド底と呼ばれる足部33を5本有する形状となっている。
なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばシャンパン底形状やすり鉢状の凹面形状等)であっても良い。
また胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば100μm~350μm程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、例えば容器本体10の内容量が500mlである場合は10g~25gとすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なお容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを射出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10は、例えば満注容量が100ml~2000mlのボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L~60Lの大型のボトルであっても良い。
次にプラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。または、容器本体10のうち、口部11、首部13および底部30の中心部を除く、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。
一方、プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去することができる。具体的には、例えば刃物等を用いてプラスチック製部材40を切除したり、プラスチック製部材40に予め図示しない切断線を設け、この切断線に沿ってプラスチック製部材40を剥離したりすることができる。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができる。
本実施の形態において、プラスチック製部材40は、ガス透過性樹脂層46と、ガス透過性樹脂層46に全体が覆われるように配置されたガスバリア層47とを有している。ガスバリア層47は、プラスチック製部材40の水平方向に沿った断面(図2参照)において、断続的に形成されている。すなわち、図2に示すように、プラスチック製部材40の周方向に沿って、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とが交互に配置されている。
ガスバリア層47は、周方向に沿って複数配置されており、全体として縦縞状に設けられている。各ガスバリア層47は、それぞれプラスチック製部材40の上下方向全域にわたって帯状に形成されている。したがって、プラスチック製部材40の水平断面のどの位置においても、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とが周方向に交互に配置されている。ガスバリア層47は、周方向に沿って例えば3本~24本形成されていても良い。また、周方向において、ガスバリア層47の幅は、ガス透過性樹脂層46の幅よりも大きいことが好ましい。この場合、複合容器10Aのガスバリア性を高めることができる。
図3(a)に示すように、ガスバリア層47が存在しない箇所での垂直断面において、プラスチック製部材40は、ガス透過性樹脂層46のみから構成されている。一方、図3(b)に示すように、ガスバリア層47が存在する箇所での垂直断面において、プラスチック製部材40は、一対のガス透過性樹脂層46と、一対のガス透過性樹脂層46の間に位置するガスバリア層47とから構成される。また、ガスバリア層47と各ガス透過性樹脂層46との間には、それぞれ接着剤層48が設けられている。接着剤層48は、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とを互いに接着するものである。なお、後述するプラスチック製部材40aの作製方法(例えばダイレクトブロー成形法、射出成形法)によっては、接着剤層48を介在させることなく、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とが直接接合されていても良い。
図1において、ガスバリア層47を網掛け状に示している(他の図についても同様)。
しかしながら、実際には、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47との相違が目視によって識別できないようにしても良い。例えば、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とを両方とも無色透明としても良い。
このようなプラスチック製部材40としては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
ガス透過性樹脂層46は、容器本体10内のガス、とりわけ容器本体10に充填された炭酸飲料からの炭酸ガスを外部へ透過させるものである。ガス透過性樹脂層46としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうち低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。
さらに、ガス透過性樹脂層46の材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
ガス透過性樹脂層46は、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
ガス透過性樹脂層46は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保冷性又は保温性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保冷性又は保温性が高められる。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、冷たすぎたり熱すぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1~200μmであることが好ましく、5~80μmであることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。
またガス透過性樹脂層46は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。
一方、ガスバリア層47は、容器本体10内のガス、とりわけ容器本体10に充填された炭酸飲料からの炭酸ガス(CO2)に対するガスバリア性を有する材料からなる。この場合、複合容器10Aのガスバリア性を高め、炭酸ガスが容器本体10内から外部へ抜ける不具合を抑えることができる。ガスバリア層47の材料としては、ガス透過性樹脂層46の材料よりもガスバリア性の良い種々の材料の中から選ぶことができる。例えば、MXD-6(ナイロン)、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
プラスチック製部材40には、予めデザイン又は印字等の印刷が施されていても良い。
この場合、印刷は例えばインクジェット法やグラビア印刷法等の印刷法により、無地のプラスチック製部材40にデザイン又は印字が施されて形成されても良い。この印刷は、プリフォーム10aに取り付けられる前のプラスチック製部材40に対して施されても良く、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40を設けた状態で施されても良い。
また、プラスチック製部材40は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、また透明であっても不透明であっても良い。
またプラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm~500μm程度とすることができる。
次に図4により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図4に示すように、複合プリフォーム70は、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
プリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40aは、首部13に対応する部分13aおよび口部11aを除く、胴部20aおよび底部30aの全体を覆うように設けられていても良い。または、プラスチック製部材40aは、底部30を除く、首部13aおよび胴部20aを覆うように設けられていても良い。
プラスチック製部材40aは、ガス透過性樹脂層46と、ガス透過性樹脂層46に全体が覆われるように配置されたガスバリア層47とを有している。ガスバリア層47は、プラスチック製部材40aの水平方向に沿った断面において、断続的に形成されている。すなわち、プラスチック製部材40aの周方向に沿って、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とが交互に配置されている。ガスバリア層47は、周方向に沿って複数配置されており、全体として縦縞状に設けられている。各ガスバリア層47は、それぞれプラスチック製部材40aの上下方向全域にわたって帯状に形成されている。
ガス透過性樹脂層46およびガスバリア層47の材料としては、上述した材料が用いられる。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
前者の場合、プラスチック製部材40aとしては、例えばダイレクトブロー成形により作製されたダイレクトブローチューブ、シート成形により作製されたシート成形チューブ、押出成形により作製された押出チューブ、射出成形により作製された射出成形チューブ、インフレーション成形により作製されたインフレーション成形チューブ等を用いることができるが、これに限定されるものではなく、上記以外の成形方法を用いても良い。
例えば、プラスチック製部材40aが押出チューブである場合、まずガス透過性樹脂層46用の樹脂材料とガスバリア層47用の樹脂材料とを周方向交互に配列した状態で加熱溶融して押し出すことにより、上記プラスチック製部材40aが得られる。また、プラスチック製部材40aがダイレクトブローチューブである場合、ガス透過性樹脂層46用の樹脂材料とガスバリア層47用の樹脂材料とを周方向交互に配列した状態で加熱溶融して押し出し、チューブ状パリソンを作製し、その後、金型内でチューブ状パリソン内に空気を吹き込み、ブロー成形することにより上記プラスチック製部材40aが得られる。
プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
図4および図5(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対してもバリア性等の様々な機能や特性を付与することができる。このようなプラスチック製部材40aは、例えば上述したブローチューブやシート成形チューブを挙げることができる。
また、図5(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えば上述したブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ、シート成形チューブを用いることができる。
また、図5(c)および図5(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図5(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図5(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
次に図6(a)~(f)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)について説明する。
まず、プリフォーム10aを準備する(図6(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。また、プリフォーム10aとして、従来一般に用いられるプリフォームを用いても良い。
次に、プラスチック製部材40aを準備する。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。プラスチック製部材40のうち少なくとも胴部41は、ガス透過性樹脂層46と、ガス透過性樹脂層46に覆われるように配置されたガスバリア層47とを有している。ガスバリア層47は、胴部41の水平方向に沿った断面において断続的に形成されている。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図6(b)参照)。
この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、後述するように、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図6(a)~(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図6(c)~(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図6(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至160℃としても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図6(d)参照)。
複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図6(d)参照)。図6(d)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
次に図6(e)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10a内にストレッチロッドが挿入され上昇し、続いて空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは20℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至30℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。
次に図6(f)に示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から複合容器10Aが取出される。
続いて、複合容器10Aに内容物として例えば炭酸飲料が充填され、口部11に図示しないキャップが装着される。一定時間が経過した後、複合容器10Aに充填された炭酸飲料からの炭酸ガス(CO2)が徐々に放出され、容器本体10の外部へ抜け出すことが考えられる。
これに対して本実施の形態においては、プラスチック製部材40は、ガス透過性樹脂層46と、ガス透過性樹脂層46に覆われるように配置されたガスバリア層47とを有している。また、ガスバリア層47は、プラスチック製部材40の水平方向に沿った断面において断続的に形成されている。このように、ガスバリア層47によって炭酸ガスに対するガスバリア性が高められているので、容器本体10の外部へ抜けた炭酸ガスの一部は、ガスバリア層47によってブロックされ、ブロックされた炭酸ガスはガス透過性樹脂層46の中を円周方向に進み、ガス透過性樹脂層46からプラスチック製部材40の外部へ抜け出す(図2の矢印G1参照)。このように、炭酸ガスがプラスチック製部材40の外部へ抜け出すまでの距離を長くすることで、炭酸ガスがプラスチック製部材40の外部へ抜けてしまう不具合を抑制することができる。
このように炭酸ガスは、ガスバリア層47を迂回して、ガスバリア層47の周方向に隣接したガス透過性樹脂層46からプラスチック製部材40の外部へ抜け出すので、プラスチック製部材40と容器本体10との間に炭酸ガスが気泡となって滞留するおそれがない。これにより、気泡によってプラスチック製部材40と容器本体10とが互いに剥離してしまう不具合が防止され、プラスチック製部材40と容器本体10との間に隙間が生じることが確実に防止される。
複合容器の製造方法の変形例
次に、図7(a)~(f)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)の変形例について説明する。図7(a)~(f)に示す変形例は、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであり、他の構成は、図6(a)~(f)に示す形態と略同一である。図7(a)~(f)において、図6(a)~(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プリフォーム10aを準備する(図7(a)参照)。次に、プリフォーム10aの外側に、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設ける(図7(b)参照)。この場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、胴部20aおよび底部30aの全域を覆うように装着される。
次に、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、加熱装置51によって加熱される(図7(c)参照)。このとき、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至160℃としても良い。
このように、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する(図7(c)参照)。なお、プラスチック製部材(外側収縮部材)40a自体が収縮性を有する場合、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けた時点(図7(b)参照)でプラスチック製部材(外側収縮部材)40aがプリフォーム10aの外側に密着していても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱されたプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、ブロー成形金型50に送られる(図7(d)参照)。この場合、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aを熱収縮させる加熱と、プリフォーム10aをブロー成形する加熱とを同一工程で実行することができる。
プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図6(a)~(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材(外側収縮部材)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図7(d)~(f)参照)。
次に図8(a)~(g)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)の他の変形例について説明する。図8(a)~(g)に示す変形例は、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもち、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを2段階で加熱するものであり、他の構成は、図6(a)~(f)に示す形態と略同一である。図8(a)~(g)において、図6(a)~(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プリフォーム10aを準備する(図8(a)参照)。次に、プリフォーム10aの外側に、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設ける(図8(b)参照)。
次に、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aは、第1の加熱装置55によって加熱される(図8(c)参照)。このとき、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば50℃乃至100℃としても良い。
プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材(外側収縮部材)40aとを有する複合プリフォーム70が得られる(図8(c)参照)。
このように、第1の加熱装置55を用いて予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(外側収縮部材)40aを加熱密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図8(a)~(c))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図8(d)~(g))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、第2の加熱装置51によって加熱される(図8(d)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、第2の加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(外側収縮部材)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至160℃としても良い。
続いて、第2の加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図8(e)参照)。
複合プリフォーム70は、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図6(a)~(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材(外側収縮部材)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図8(e)~(g)参照)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40は、ガス透過性樹脂層46と、ガス透過性樹脂層46に覆われるように配置されたガスバリア層47とを有し、ガスバリア層47は、プラスチック製部材40の水平方向に沿った断面において断続的に形成されている。これにより、複合容器10Aの炭酸ガスバリア性を高めるとともに、容器本体10とプラスチック製部材40との間に炭酸ガスが滞留する不具合を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させ、容器本体10とプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aを作製する。これにより、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
さらに、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。また、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けているので、プリフォーム10aを成形するための新たな成形設備を準備する必要も生じない。
複合容器の変形例
次に図9および図11により本実施の形態の変形例について説明する。
図9に示す変形例において、ガスバリア層47は、プラスチック製部材40の垂直方向に沿った断面において、断続的に形成されている。すなわち、プラスチック製部材40の軸線方向(上下方向)に沿って、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とが交互に配置されている。ガスバリア層47は、軸線方向に沿って複数配置されており、全体として横縞状に設けられている。
図10に示す変形例において、ガスバリア層47は、プラスチック製部材40の垂直方向および水平方向に沿った断面のそれぞれにおいて、断続的に形成されている。すなわち、プラスチック製部材40の軸線方向および周方向に沿って、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とが交互に配置されている。ガスバリア層47は、プラスチック製部材40の軸線方向に対して斜めに複数配置されており、全体として螺旋縞状に設けられている。
図11に示す変形例において、ガスバリア層47は、プラスチック製部材40の垂直方向および水平方向に沿った断面のそれぞれにおいて、断続的に形成されている。すなわち、プラスチック製部材40の軸線方向および周方向に沿って、ガス透過性樹脂層46とガスバリア層47とが交互に配置されている。各ガスバリア層47は、それぞれ軸線方向に沿って小片状に延びている。複数のガスバリア層47は、プラスチック製部材40の軸線方向および周方向にそれぞれ間隔を空けて配置されている。
図9および図11において、他の構成は、図1乃至図8に示す実施の形態と略同一である。図9および図11に示す変形例において、図1乃至図8に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、複合容器10Aの構成および製造方法、ならびに複合プリフォーム70の構成および製造方法については、図1乃至図8に示す実施の形態と略同様であるので、詳細な説明を省略する。
第2の実施の形態
次に、図12乃至図17を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図12乃至図17は本発明の第2の実施の形態を示す図である。図12乃至図17において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、図12および図13により、本実施の形態による複合容器の概要について説明する。
図12および図13に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図14参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するの容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち内側ラベル部材60は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面かつ内側ラベル部材60の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
プラスチック製部材40は、ガス透過性樹脂層46と、ガス透過性樹脂層46に覆われるように配置されたガスバリア層47とを有している。ガスバリア層47は、プラスチック製部材40の水平方向に沿った断面において、断続的に形成されている。
プラスチック製部材40は、その少なくとも一部が半透明又は透明であることが考えられ、この場合、この半透明又は透明な部分を介して、内側ラベル部材60を外方から視認できる。なお、プラスチック製部材40は、その全体が半透明又は透明であっても良く、あるいは不透明な部分と半透明又は透明な部分(例えば窓部)とを有していても良い。
次に内側ラベル部材60について説明する。内側ラベル部材60(60a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、このプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
内側ラベル部材60は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。この内側ラベル部材60は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。図13に示すように、内側ラベル部材60は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に所望の文字、画像等を付与し、複合容器10Aに対して装飾性をもたせたり、情報を表示させたりすることができる。
内側ラベル部材60は、プラスチック製部材40と同一の領域に設けられていても良く、プラスチック製部材40よりも狭い領域に設けられていても良い。後者の場合、内側ラベル部材60はプラスチック製部材40によって完全に覆われることが好ましい。
また内側ラベル部材60の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば1μm~100μm程度とすることができる。
このほか、容器本体10およびプラスチック製部材40の構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に図14により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図14に示すように、複合プリフォーム70は、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着して設けられた有底円筒状の内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着して設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aの外面に密着されており、プリフォーム10aに対して容易に移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
内側ラベル部材60aには、予めデザイン又は印字が施されていても良い。例えば、図柄や商品名等のほか、内容液の名称、製造者、原材料名等の文字情報が記載されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、プリフォーム10aのうち胴部20aの全部又は一部に内側ラベル部材60aを設け、成形後に容器本体10の胴部20に画像や文字が表示されるようにしても良い。これにより、容器を密栓した後、ラベラーを用いてラベルを付与する工程が不要となるので、製造コストを抑制することができるとともに、歩留まりが低下することを防止することができる。
このような内側ラベル部材60aとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂などの未延伸フィルムを用いることができる。内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)またはプラスチック製部材40aと同一の材料からなっていても良く、異なる材料からなっていても良い。
一方、プラスチック製部材40aは、内側ラベル部材60aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。
このほか、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に図15(a)~(f)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)について説明する。
まず、プリフォーム10aを準備する(図15(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設けるとともに、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを設ける。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図15(b)参照)。この場合、内側ラベル部材60aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部61と、胴部61に連結された底部62とを有している。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図15(c)参照)。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる。複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した第1の実施の形態の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる(図15(d)-(f)参照)。
このほか、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
ブロー成形方法の変形例
図16(a)~(f)および図17(a)~(g)は、それぞれ本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)の変形例を示す図である。図16(a)~(f)および図17(a)~(g)において、図1乃至図15と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図16(a)~(f)に示す変形例は、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60を設けるとともに、内側ラベル部材60の外側に、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けたものであり、他の構成は、図7(a)~(f)に示す形態と略同一である。
図17(a)~(g)に示す変形例は、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60を設けるとともに、内側ラベル部材60の外側に、プラスチック製部材(外側収縮部材)40aを設けたものであり、他の構成は、図8(a)~(g)に示す形態と略同一である。