JP7081330B2 - 複合プリフォーム中間体、複合プリフォーム中間体の製造方法、複合プリフォーム、複合プリフォームの製造方法および複合容器 - Google Patents

Description

本発明は、複合プリフォーム中間体の製造方法、複合プリフォームの製造方法、複合プリフォームおよび複合容器に関する。

近時、内容液を収容するボトルとして、プラスチック製のものが一般化してきており、このようなプラスチックボトルには内容液が収容される。

このような内容液を収容するプラスチックボトルは、金型内にプリフォームを挿入し、二軸延伸ブロー成形することにより製造される。

ところで、従来の２軸延伸ブロー成形法では、例えばＰＥＴやＰＰ等の単層材料、多層材料又はブレンド材料等を含むプリフォームを用いて容器形状に成形している。しかしながら、従来の２軸延伸ブロー成形法においては、単にプリフォームを容器形状に成形するだけであるのが一般的である。このため、容器に対して様々な機能や特性（バリア性や保温性等）を持たせる場合、例えばプリフォームを構成する材料を変更する等、その手段は限定されてしまう。とりわけ、容器の部位（例えば胴部や底部）に応じて、異なる機能や特性を持たせることは難しい。

本出願人は、先の出願（特許文献１）において、容器に対して様々な機能や特性を付与することが可能な、容器本体およびプラスチック製部材を備えてなる複合容器を提案している。

国際公開第２０１４／２０８７４６号

一方、このような複合容器を作製するにあたっては、プリフォームの形状によっては、プラスチック製部材をプリフォームに装着することが難しい場合がある。このような場合、プラスチック製部材のプリフォームへの装着を容易にし、複合プリフォームおよび複合容器の生産性を高めることが求められている。

本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、プリフォームへのプラスチック製部材の装着を容易にし、複合プリフォームおよび複合容器の生産性を高めることが可能な、複合プリフォーム中間体の製造方法、複合プリフォームの製造方法、複合プリフォームおよび複合容器を提供することを目的とする。

本発明は、複合プリフォーム中間体において、フランジ部を含む口部と、前記口部に連結された肩部と、前記肩部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有するプリフォームと、少なくとも円筒状の胴部を有し、前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられるプラスチック製部材とを備え、前記プリフォームの前記フランジ部の外径が、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも小さく、前記プリフォームの前記肩部のうち、少なくとも一部の外径が、前記フランジ部の外径よりも小さく、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分に、前記プリフォームの前記フランジ部の外径よりも小さい内径を有する縮径部が形成されていることを特徴とする複合プリフォーム中間体である。

本発明は、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記底部に対応する部分の内径が、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも大きいことを特徴とする複合プリフォーム中間体である。

本発明は、前記プラスチック製部材のうち、少なくとも前記プリフォームの前記底部に対応する部分は、加熱されることなく収縮していないことを特徴とする複合プリフォーム中間体である。

本発明は、前記プリフォームは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする複合プリフォーム中間体である。

本発明は、複合プリフォーム中間体の製造方法において、プラスチック材料製のプリフォームであって、フランジ部を含む口部と、前記口部に連結された肩部と、前記肩部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有し、前記フランジ部の外径が前記胴部の外径よりも小さく、前記肩部のうち少なくとも一部の外径が前記フランジ部の外径よりも小さいプリフォームを準備する工程と、少なくとも円筒状の胴部を有するプラスチック製部材を準備する工程と、前記プリフォームの外側に前記プラスチック製部材を設ける工程とを備え、前記プリフォームの外側に前記プラスチック製部材を設ける工程において、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分を加熱して収縮させ、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分に、前記プリフォームの前記フランジ部の外径よりも小さい内径を有する縮径部が形成されることを特徴とする複合プリフォーム中間体の製造方法である。

本発明は、前記プラスチック製部材のうち、少なくとも前記プリフォームの前記底部に対応する部分は、加熱されることなく収縮していないことを特徴とする複合プリフォーム中間体の製造方法である。

本発明は、前記プリフォームは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする複合プリフォーム中間体の製造方法である。

本発明は、複合プリフォームにおいて、フランジ部を含む口部と、前記口部に連結された肩部と、前記肩部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有するプリフォームと、少なくとも円筒状の胴部を有し、前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられるプラスチック製部材とを備え、前記プリフォームの前記フランジ部の外径が、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも小さく、前記プリフォームの前記肩部のうち、少なくとも一部の外径が、前記フランジ部の外径よりも小さく、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分に、前記プリフォームの前記フランジ部の外径よりも小さい内径を有する第１縮径部が形成され、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記底部に対応する部分に、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも小さい内径を有する第２縮径部が形成されていることを特徴とする複合プリフォームである。

本発明は、前記プリフォームは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする複合プリフォームである。

本発明は、複合プリフォームの製造方法において、プラスチック材料製のプリフォームであって、フランジ部を含む口部と、前記口部に連結された肩部と、前記肩部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有し、前記フランジ部の外径が前記胴部の外径よりも小さく、前記肩部のうち少なくとも一部の外径が前記フランジ部の外径よりも小さいプリフォームを準備する工程と、少なくとも円筒状の胴部を有するプラスチック製部材を準備する工程と、前記プリフォームの外側にプラスチック製部材を装着する工程とを備え、前記プリフォームの外側にプラスチック製部材を装着する工程は、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分を加熱して収縮させる工程と、収縮した前記プラスチック製部材を押圧し、前記プラスチック製部材を前記フランジ部に当接させる工程と、前記フランジ部に当接した前記プラスチック製部材を加熱して収縮させる工程とを有し、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分を加熱して収縮させる工程において、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分に、前記プリフォームの前記フランジ部の外径よりも小さい内径を有する第１縮径部が形成され、前記フランジ部に当接した前記プラスチック製部材を加熱して収縮させる工程において、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記底部に対応する部分に、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも小さい内径を有する第２縮径部が形成されることを特徴とする複合プリフォームの製造方法である。

本発明は、前記プリフォームは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする複合プリフォームの製造方法である。

本発明は、本発明による複合プリフォームの製造方法により製造されたことを特徴とする複合プリフォームである。

本発明は、本発明による複合プリフォームに対してブロー成形を施すことによって作製されたことを特徴とする複合容器である。

本発明によれば、プリフォームへのプラスチック製部材の装着を容易にし、複合プリフォームおよび複合容器の生産性を高めることができる。

図１は、本発明の一実施の形態による複合容器を示す部分垂直断面図である。 図２は、本発明の一実施の形態による複合容器を示す水平断面図（図１のII－II線断面図）である。 図３は、本発明の一実施の形態による複合プリフォームを示す部分垂直断面図である。 図４（ａ）－（ｃ）は、各種プラスチック製部材を示す斜視図である。 図５は、本発明の一実施の形態によるプリフォームおよびプラスチック製部材を示す正面図である。 図６（ａ）－（ｃ）は、熱圧着した余白部の形状を表す図（図５のVI方向矢視図）である。 図７は、本発明の一実施の形態による複合プリフォーム中間体を示す部分垂直断面図である。 図８（ａ）－（ｄ）は、本発明の一実施の形態による複合プリフォーム中間体および複合プリフォームの製造方法を示す概略図である。 図９（ａ）－（ｂ）は、本発明の一実施の形態による複合プリフォーム中間体および複合プリフォームの製造方法を示す概略図である。 図１０（ａ）－（ｄ）は、本発明の一実施の形態による複合容器の製造方法を示す概略図である。

以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図１乃至図１０は本発明の一実施の形態を示す図である。

（複合容器の構成）
まず、図１及び図２により、本実施の形態による複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器１０Ａを正立させた状態（図１）における上方および下方、並びに図３における紙面の上方および下方のことをいう。

図１及び図２に示す複合容器１０Ａは、後述するように、ブロー成形金型５０を用いてプリフォーム１０ａおよびプラスチック製部材４０ａを含む複合プリフォーム７０（図３参照）に対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム７０のプリフォーム１０ａおよびプラスチック製部材４０ａを膨張させて得られたものである。

このような複合容器１０Ａは、プラスチック材料製の容器本体１０と、容器本体１０の外側に密着して設けられたプラスチック製部材４０とを備えている。

このような容器本体１０は、口部１１と、口部１１下方に設けられた首部１３と、首部１３下方に設けられた肩部１２と、肩部１２下方に設けられた胴部２０と、胴部２０下方に設けられた底部３０とを備えている。

また、プラスチック製部材４０は、容器本体１０の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体１０に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。

次に容器本体１０について詳述する。容器本体１０は、上述したように口部１１と、首部１３と、肩部１２と、胴部２０と、底部３０とを有している。

このうち口部１１は、図示しないキャップに螺着されるねじ部１４と、ねじ部１４下方に設けられたフランジ部１７とを有している。なお、口部１１の形状は、従来公知の形状であっても良い。

首部１３は、フランジ部１７と肩部１２との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部１２は、首部１３と胴部２０との間に位置しており、首部１３側から胴部２０側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。

さらに、胴部２０は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部２０が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部２０が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部２０は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部２０にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。

一方、底部３０は、中央に位置する凹部３１と、この凹部３１周囲に設けられた接地部３２とを有している。なお、底部３０の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状（例えばペタロイド底形状や丸底形状等）を有していても良い。

また胴部２０における容器本体１０の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば０．３ｍｍ以上２ｍｍ以下とすることができる。このように容器本体１０の厚みを０．３ｍｍ以上にすることにより、容器本体１０に耐圧性や耐熱性を付与することができる。さらに、容器本体１０の重量についても、これに限定されるものではないが、２０ｇ以上１０００ｇ以下とすることができる。

このような容器本体１０は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム１０ａ（後述）を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム１０ａ、すなわち容器本体１０の材料としては熱可塑性樹脂、特にＰＥ（ポリエチレン）、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、ＰＥＮ（ポリエチレンナフタレート）、ＰＣ（ポリカーボネート）を使用することが好ましい。容器本体１０の材料としてＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）またはＰＥＮ（ポリエチレンナフタレート）を使用することにより、容器本体１０の耐圧性や耐熱性を向上させることができる。容器本体１０は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体１０の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。

また、容器本体１０は、２層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をＭＸＤ６、ＭＸＤ６＋脂肪酸塩、ＰＧＡ（ポリグリコール酸）、ＥＶＯＨ（エチレンビニルアルコール共重合体）又はＰＥＮ（ポリエチレンナフタレート）等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂（中間層）として３層以上からなるプリフォーム１０ａを成形した後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。

また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス（窒素ガス、アルゴンガス）を混ぜることで、０．５μｍ以上１００μｍ以下の発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体１０を作製しても良い。このような容器本体１０は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体１０全体の遮光性を高めることができる。

このような容器本体１０は、例えば満注容量が１００ｍｌ以上２０００ｍｌ以下のボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体１０は、満注容量が例えば１０Ｌ以上６０Ｌ以下の大型のボトルであっても良い。

次に、プラスチック製部材４０について説明する。プラスチック製部材４０（４０ａ）は後述するようにプリフォーム１０ａの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム１０ａの外側に密着された後、プリフォーム１０ａとともに２軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。このプラスチック製部材４０は、後述するように、筒状のプラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａとともに一体として延伸することにより作製されたものである。

プラスチック製部材４０は、少なくとも円筒状の胴部４１を有し、容器本体１０の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体１０に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材４０は、容器本体１０の外面において薄く引き延ばされて容器本体１０を覆っている。また、図２に示すように、プラスチック製部材４０は、容器本体１０を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。

この場合、プラスチック製部材４０は、容器本体１０のうち、口部１１を除く、首部１３、肩部１２、胴部２０および底部３０を覆うように設けられている。これにより、容器本体１０の首部１３、肩部１２、胴部２０および底部３０に対して所望の機能や特性を付与することができる。

また、プラスチック製部材４０は、容器本体１０のうち口部１１以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材４０は、容器本体１０のうち、口部１１および首部１３を除く、肩部１２、胴部２０および底部３０の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材４０は１つに限らず、複数設けても良い。例えば、２つのプラスチック製部材４０を肩部１２の外面および底部３０の外面にそれぞれ設けても良い。

プラスチック製部材４０は、容器本体１０に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体１０から剥離して除去することができる。具体的には、例えば刃物等を用いてプラスチック製部材４０を切除したり、プラスチック製部材４０に予め図示しない切断線や切欠きを設け、この切断線や切欠きを用いてプラスチック製部材４０を剥離したりすることができる。これにより、プラスチック製部材４０を容器本体１０から分離除去することができる。

また、プラスチック製部材４０の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体１０に取り付けられた状態で例えば５μｍ以上５００μｍ以下程度とすることができる。

このようなプラスチック製部材４０は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の可視光色に着色されていても良い。また、プラスチック製部材４０は、（半）透明であっても良く、不透明であっても良い。この場合、例えばプラスチック製部材４０を可視光色に着色するとともに、容器本体１０を無色透明にしても良い。あるいは、容器本体１０およびプラスチック製部材４０の両方を可視光色に着色しても良い。なお、可視光色に着色されたプラスチック製部材４０を作製する場合、ブロー成形前のプラスチック製部材４０ａを押出成形等により作製する工程で、成形材料に可視光色の顔料を添加しても良い。

（複合プリフォームの構成）
次に、図３乃至図６により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。

図３に示すように、複合プリフォーム７０は、プラスチック材料製のプリフォーム１０ａと、プリフォーム１０ａの外側を取り囲むように設けられた略円筒状のプラスチック製部材４０ａとを備えている。

図３に示すように、プリフォーム１０ａは、口部１１ａと、口部１１ａに連結された首部１３ａと、首部１３ａを介して口部１１ａに連結された肩部１２ａと、肩部１２ａに連結された胴部２０ａと、胴部２０ａに連結された底部３０ａとを備えている。口部１１ａは、上述した容器本体１０の口部１１に対応するものであり、口部１１と略同一の形状を有している。また、口部１１ａは、容器本体１０のねじ部１４に対応するねじ部１４ａと、ねじ部１４ａの下方に設けられ、容器本体１０のフランジ部１７に対応するフランジ部１７ａとを有している。なお、口部１１ａの形状は、従来公知の形状であってもよい。また、首部１３ａは、上述した容器本体１０の首部１３に対応するものであり、略円筒形状を有している。また、肩部１２ａは、上述した容器本体１０の肩部１２に対応するものであり、首部１３ａ側から胴部２０ａ側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。また、胴部２０ａは、上述した容器本体１０の胴部２０に対応するものであり、略円筒形状を有している。さらに、底部３０ａは、上述した容器本体１０の底部３０に対応するものであり、略半球形状を有している。

このようなプリフォーム１０ａにおいて、フランジ部１７ａの外径Ｄ１は、胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さくなっている。この場合、フランジ部１７ａの外径Ｄ１は、例えば３０ｍｍ以上６０ｍｍ以下とすることができ、胴部２０ａの外径Ｄ２は、例えば３０ｍｍ以上６５ｍｍ以下とすることができる。また、プリフォーム１０ａの肩部１２ａのうち、少なくとも一部の外径Ｄ３が、フランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さくなっている。すなわち、首部１３ａ側から胴部２０ａ側に向けて徐々に径が拡大する形状を有する肩部１２ａにおいて、首部１３ａの外径Ｄ４よりも大きく、フランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さい外径Ｄ３を有する領域が形成されている。なお、この場合、首部１３ａの外径Ｄ４は、例えば２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下とすることができる。

プラスチック製部材４０ａは、プリフォーム１０ａの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム１０ａに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材４０ａは、プリフォーム１０ａを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。この場合、プラスチック製部材４０ａの長さは、プリフォーム１０ａの胴部２０ａおよび底部３０ａの長さよりも長くなっている。

この場合、図４（ａ）に示すように、プリフォーム１０ａに装着される前のプラスチック製部材４０ａは、円筒状の胴部４１ａを有し、全体として無底円筒形状のものであっても良い。また、図４（ｂ）に示すように、プラスチック製部材４０ａは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図４（ｂ）に示すように、プラスチック製部材４０ａは、胴部４１ａを有する管形状（無底円筒形状）に構成されていても良い。図４（ａ）および図４（ｂ）に示されるプラスチック製部材４０ａの場合、図５に示すように、プラスチック製部材４０ａが余白部８０ａを有するように構成し、この余白部８０ａを熱圧着しても良い。これにより、図４（ａ）および図４（ｂ）に示される無底円筒形状からなるプラスチック製部材４０ａであっても、有底円筒形状のプラスチック製部材４０ａとすることができる。この場合、プラスチック製部材４０ａの底部４２ａがプリフォーム１０ａの底部３０ａを覆うので、容器本体１０の胴部２０に加え、底部３０に対しても様々な機能や特性を付与することができる。なお、図４（ｃ）に示すように、プラスチック製部材４０ａは、円筒状の胴部４１ａと、胴部４１ａに連結された底部４２ａとを有し、全体として有底円筒形状のものであっても良い。

熱圧着後の余白部８０ａの形状は特に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。

すなわち図６（ａ）に示すように、プラスチック製部材４０ａの端部４０ｂに形成された第１対向面４６ａと第２対向面４６ｂとが、底面方向から見て、胴部２０ａの径方向に沿って略一直線状に圧着されていても良い。また、図６（ｂ）に示すように、プラスチック製部材４０ａの端部４０ｂは、底面方向から見て十字状に圧着されていても良く、図６（ｃ）に示すように、端部４０ｂの圧着部が、底面方向から見て約１２０°ずつ等配となるように配置されていても良い。

また、このようなプラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの肩部１２ａに対応する部分に、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さい内径を有する第１縮径部４７ａが形成されている。すなわち、プラスチック製部材４０ａのうち、胴部２０ａの径方向においてプリフォーム１０ａの肩部１２ａと重なる部分に、第１縮径部４７ａが形成されており、この第１縮径部４７ａのうち、最も大きい径を有する部分の内径ｄ１は、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さくなっている。この第１縮径部４７ａは、プラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａに装着する際に、後述するように、プラスチック製部材４０ａが加熱され、プリフォーム１０ａの肩部１２ａの形状に追従することにより形成されたものである。

また、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの底部３０ａに対応する部分に、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さい内径を有する第２縮径部４８ａが形成されている。すなわち、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの胴部２０ａよりも下方に位置する部分に、第２縮径部４８ａが形成されており、この第２縮径部４８ａのうち、最も大きい径を有する部分の内径ｄ２は、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さくなっている。この第２縮径部４８ａは、プラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａに装着する際に、後述するように、プラスチック製部材４０ａが加熱され、プリフォーム１０ａの底部３０ａの形状に追従することにより形成されたものである。なお、図３に示す例においては、プラスチック製部材４０ａの余白部８０ａが、第２縮径部４８ａに対応する。

また、プラスチック製部材４０ａは、口部１１ａを除く全域を覆うように設けられている。また、プラスチック製部材４０ａは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の可視光色に着色されていても良く、また透明であっても不透明であっても良い。

また、プラスチック製部材４０ａは、プリフォーム１０ａに対して収縮する作用を有する。これにより、ブロー成形後において、容器本体１０と、プラスチック製部材４０との密着性を高くすることができ、これらの間に入り込む空気を少なくすることができる。また、プラスチック製部材４０ａが、プリフォーム１０ａに対して収縮する作用を有することにより、後述する複合プリフォーム中間体７００において、プリフォーム１０ａの肩部１２ａに対応する部分に、縮径部４７ｂを形成することができる。この場合、プラスチック製部材４０ａは、例えば、外的な作用（例えば熱）が加えられた際、プリフォーム１０ａに対して収縮（例えば熱収縮）するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材４０ａは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。

プラスチック製部材４０ａとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ－４－メチルペンテン－１、ポリスチレン、ＡＳ樹脂、ＡＢＳ樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン－１、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン６、ナイロン６，６、ナイロンＭＸＤ６、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Ｕポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうちポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。

またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。さらに、プラスチック製部材４０ａの材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス（窒素ガス、アルゴンガス）を混ぜることで、０．５μｍ以上１００μｍ以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。

またプラスチック製部材４０ａが容器本体１０（プリフォーム１０ａ）と同一の材料からなっていても良い。この場合、複合容器１０Ａのうち、例えば強度を高めたい部分に重点的にプラスチック製部材４０を配置し、当該箇所の強度を選択的に高めることができる。このような材料としては、熱可塑性樹脂、特にＰＥ（ポリエチレン）、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、ＰＥＮ（ポリエチレンナフタレート）、ＰＣ（ポリカーボネート）を挙げることができる。

またプラスチック製部材４０ａは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム１０ａとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器１０Ａのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。このような材料としては、ＰＥ（ポリエチレン）、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＭＸＤ－６（ナイロン）、ＰＧＡ（ポリグリコール酸）、ＥＶＯＨ（エチレンビニルアルコール共重合体）またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。

またプラスチック製部材４０ａは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム１０ａとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器１０Ａの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはＰＥＴやＰＥ、ＰＰに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス（窒素ガス、アルゴンガス）を混ぜることにより作製された、０．５μｍ以上１００μｍ以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。

またプラスチック製部材４０ａは、容器本体１０（プリフォーム１０ａ）を構成するプラスチック材料よりも保冷性の高い材料（熱伝導性の低い材料）からなっていても良い。この場合、容器本体１０そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器１０Ａの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器１０Ａの保冷性が高められる。また、使用者が複合容器１０Ａを把持した際、冷たすぎることにより複合容器１０Ａを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、ＰＥ（ポリエチレン）、ＰＰ（ポリプロピレン）、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、１μｍ以上２００μｍ以下であることが好ましく、５μｍ以上８０μｍ以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置（例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など）を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン－アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル－アクリル樹脂などの（メタ）アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクＨＰ－１０５５、ローペイクＨＰ－９１、ローペイクＯＰ－８４Ｊ、ローペイクウルトラ、ローペイクＳＥ、ローペイクＳＴ（ロームアンドハース（株）製）、ニポールＭＨ－５０５５（日本ゼオン（株）製）、ＳＸ８７８２、ＳＸ８６６（ＪＳＲ（株）製）などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材４０ａに含有される樹脂材料１００質量部に対して、０．０１質量部以上５０質量部以下であることが好ましく、１質量部以上２０質量部以下であることがより好ましい。

またプラスチック製部材４０ａは、容器本体１０（プリフォーム１０ａ）を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体１０の材料を変更することなく、使用者が複合容器１０Ａを把持しやすくすることができる。

次に、上述した複合プリフォーム７０を作製するための複合プリフォーム中間体について説明する。

（複合プリフォーム中間体の構成）
図７に示すように、複合プリフォーム中間体７００は、上述したプリフォーム１０ａと、上述したプラスチック製部材４０ａとを備えている。複合プリフォーム中間体７００のプラスチック製部材４０ａは、プリフォーム１０ａに対して移動又は回転し得る程度にプリフォーム１０ａに取付けられている。この場合、プラスチック製部材４０は、例えば、プリフォーム１０ａのうち、口部１１ａおよび首部１３ａを除く、肩部１２ａ、胴部２０ａおよび底部３０ａの全体を覆うように設けられていても良い。あるいは、図示はしないが、例えば、プラスチック製部材４０は、プリフォーム１０ａのうち、口部１１ａを除く、首部１３ａ、肩部１２ａ、胴部２０ａおよび底部３０ａの全体を覆うように設けられていても良い。

複合プリフォーム中間体７００のプラスチック製部材４０ａは、上述したプラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａの外側に配置し、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの肩部１２ａに対応する部分を加熱して収縮させたものである。このプラスチック製部材４０ａには、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの肩部１２ａに対応する部分に、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さい内径を有する縮径部４７ｂが形成されている。すなわち、プラスチック製部材４０ａのうち、胴部２０ａの径方向においてプリフォーム１０ａの肩部１２ａと重なる部分に、縮径部４７ｂが形成されており、この縮径部４７ｂのうち、最も大きい径を有する部分の内径ｄ３は、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さくなっている。

この縮径部４７ｂは、複合プリフォーム中間体７００から複合プリフォーム７０を作製する際に、プラスチック製部材４０ａのプリフォーム１０ａに対する位置決めを容易にする役割を果たす。すわわち、縮径部４７ｂの内径がフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さくなっているため、プリフォーム１０ａの外側に配置されたプラスチック製部材４０ａを、プリフォーム１０ａの底部３０ａから口部１１ａに向かう方向に押圧することにより、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａのフランジ部１７ａに当接することができるようになっている。これにより、上方へのプラスチック製部材４０ａの移動が抑制され、プラスチック製部材４０ａのプリフォーム１０ａに対する位置決めを行うことができる。

また、縮径部４７ｂは、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａから脱落する不具合を抑制する役割も果たす。すなわち、縮径部４７ｂの内径がフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さくなっているため、プリフォーム１０ａの外側に配置されたプラスチック製部材４０ａが、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａ側から脱落する不具合が抑制される。また、上述したように、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１は、胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さくなっており、この場合、プリフォーム１０ａの外側に配置されたプラスチック製部材４０ａが、プリフォーム１０ａの底部３０ａ側から脱落する不具合も抑制される。このため、複合プリフォーム７０を作製する際に、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａから脱落する不具合を抑制することができ、複合プリフォーム７０および複合容器１０Ａの生産性を高めることができる。

また、プラスチック製部材４０ａのうち、少なくともプリフォーム１０ａの底部３０ａに対応する部分は、加熱されることなく収縮していない。このため、プリフォーム１０ａの余白部８０ａには、プリフォーム１０ａの底部３０ａを露出させる開口４９が形成されている。また、複合プリフォーム中間体７００において、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの底部３０ａに対応する部分の内径ｄ４は、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径Ｄ２よりも大きくなっている。

なお、複合プリフォーム中間体７００において、プラスチック製部材４０ａが無底円筒形状に構成されている例について説明したが、プラスチック製部材４０ａが、有底円筒形状に構成されていても良い。この場合、プラスチック製部材４０ａは、プラスチック製部材４０ａのうちプリフォーム１０ａの底部３０ａに対応する部分が、プリフォーム１０ａの底部３０ａに対して移動又は回転し得る程度に、プリフォーム１０ａに取り付けられる。

次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、複合プリフォーム中間体、複合プリフォームおよび複合容器の製造方法について説明する。

（複合プリフォーム中間体および複合プリフォームの製造方法）
まず、図８（ａ）－（ｄ）および図９（ａ）－（ｂ）により、本実施の形態による複合プリフォーム中間体および複合プリフォームの製造方法について説明する。

まず、図８（ａ）に示すように、プラスチック材料製のプリフォーム１０ａを準備する。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム１０ａを作製する。このプリフォーム１０ａは、フランジ部１７ａを含む口部１１ａと、円筒状の首部１３ａと、上方から下方に向けて径が拡大する肩部１２ａと、円筒状の胴部２０ａと、略半球状の底部３０ａとを有している。また、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１は、胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さくなっており、プリフォーム１０ａの肩部１２ａのうち、少なくとも一部の外径Ｄ３は、フランジ部の外径Ｄ２よりも小さくなっている（図３参照）。

また、図８（ａ）に示すように、プリフォーム１０ａを準備することと並行して、プラスチック製部材４０ａを準備する。この場合、プラスチック製部材４０ａは、少なくとも円筒状の胴部４１ａを有している。例えばプラスチック製部材４０ａは、全体として無底円筒形状からなり、円筒状の胴部４１ａを有している。このプラスチック製部材４０ａは、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径Ｄ２（図３参照）よりも大きい内径を有しているとともに、プリフォーム１０ａに対して収縮する作用をもっている。この場合、プラスチック製部材４０ａは、例えば、熱収縮性をもっていても良い。

さらに、図８（ａ）に示すように、プリフォーム１０ａの外側にプラスチック製部材４０ａを設ける際に使用する補助器具９０を準備する。この補助器具９０は、例えば板状の部材から構成されており、表面９１にプリフォーム１０ａの口部１１ａを収容可能な窪み部９２が形成されている。窪み部９２の深さは、口部１１ａの上端からフランジ部１７ａの下面までの距離と略同一となっており、プリフォーム１０ａの口部１１ａが補助器具９０の窪み部９２内に収容されることにより、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの下面と、補助器具９０の表面９１とが略同一平面上に位置するように構成されている。また、窪み部９２の直径は、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１と略同一になっている。このような補助器具９０を使用することにより、プラスチック製部材４０ａのプリフォーム１０ａに対する位置決めを容易に行うことができる。

すなわち、上述したように、プラスチック製部材４０ａは、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径よりも大きい内径を有している。これにより、プラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａの外側に配置した際に、プラスチック製部材４０ａとプリフォーム１０ａとの間に隙間が生じ、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａに対して移動する可能性がある。また、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１が、胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さくなっている。これにより、プラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａの外側に配置した場合、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａのフランジ部１７ａに当接することもない。このため、プラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａの外側に配置した際に、プラスチック製部材４０ａの位置決めが困難になる場合がある。

これに対して、補助器具９０の窪み部９２内にプリフォーム１０ａの口部１１ａを収容することにより、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの下面と、補助器具９０の表面９１とが略同一平面上に位置するようにすることができる。このため、プリフォーム１０ａの底部３０ａ側から、プラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａの外面に配置した際に、プラスチック製部材４０ａの一端が補助器具９０の表面９１に当接し、プラスチック製部材４０ａのプリフォーム１０ａに対する位置決めを容易に行うことができる。

次に、プリフォーム１０ａの外側にプラスチック製部材４０ａを装着することにより、プリフォーム１０ａと、プリフォーム１０ａの外側に密着されたプラスチック製部材４０ａとを有する複合プリフォーム７０を作製する（図８（ｂ）－（ｄ）、図９（ａ）－（ｂ）参照）。

この際、まず、プリフォーム１０ａの外側にプラスチック製部材４０ａを設けることにより、プリフォーム１０ａと、プリフォーム１０ａの外側に配置されたプラスチック製部材４０ａとを有する複合プリフォーム中間体７００を作製する（図８（ｂ）－（ｄ））。

この場合、まず、図８（ｂ）に示すように、補助器具９０の窪み部９２内にプリフォーム１０ａの口部１１ａを収容する。次に、熱収縮性をもつプラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａの外側に配置する。

次に、図８（ｃ）に示すように、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの肩部１２ａに対応する部分を、加熱装置６０によって加熱して収縮させる。この場合、プラスチック製部材４０ａを５０℃乃至１００℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム１０ａの外面に密着させても良い。このようにして、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの肩部１２ａに対応する部分に、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１（図７参照）よりも小さい内径を有する縮径部４７ｂが形成され、複合プリフォーム中間体７００が得られる。この際、複合プリフォーム中間体７００のプラスチック製部材４０ａは、プリフォーム１０ａに対して移動又は回転し得る状態でプリフォーム１０ａに取り付けられる。また、この場合、複合プリフォーム中間体７００のプラスチック製部材４０は、プリフォーム１０ａのうち、口部１１ａおよび首部１３ａを除く、肩部１２ａ、胴部２０ａおよび底部３０ａの全体を覆うように設けられる。なお、図示はしないが、プラスチック製部材４０が、首部１３ａの少なくとも一部を覆うように設けられても良い。

また、この際、複合プリフォーム中間体７００において、プラスチック製部材４０ａのうち、少なくともプリフォーム１０ａの底部３０ａに対応する部分は、加熱されることなく収縮しない。このため、プラスチック製部材４０ａの余白部８０ａに形成された開口４９は、塞がれない。

このように、複合プリフォーム中間体７００のプラスチック製部材４０ａに、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さい内径を有する縮径部４７ｂを形成することにより、プラスチック製部材４０ａを、フランジ部１７ａの外径Ｄ１が胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さくなっているプリフォーム１０ａに対して装着する際に、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａのフランジ部１７ａ側から脱落する不具合を抑制することができる。また、この場合、プラスチック製部材４０ａが、プリフォーム１０ａの底部３０ａ側から脱落する不具合も抑制される。このため、複合プリフォーム７０を作製する際のプラスチック製部材４０ａの装着工程を容易にすることができ、複合プリフォーム７０および複合容器１０Ａの生産性を高めることができる。

また、予めプリフォーム１０ａの外側にプラスチック製部材４０ａを取り付け、複合プリフォーム中間体７００を作製しておくことにより、複合プリフォーム中間体７００を作製する一連の工程（図８（ａ）－（ｃ））と、複合プリフォーム７０を作製する一連の工程（図８（ｄ）および（図９（ａ）－（ｂ））とを別々の場所（工場等）で実施することが可能になる。

次に、図８（ｄ）に示すように、収縮したプラスチック製部材４０を押圧し、プラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａのフランジ部１７ａに当接させる。この際、複合プリフォーム中間体７００のプラスチック製部材４０ａは、プリフォーム１０ａに対して移動又は回転し得る状態でプリフォーム１０ａに取り付けられている。また、縮径部４７ｂの内径は、フランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さくなっている。このため、プリフォーム１０ａの外側に配置されたプラスチック製部材４０ａを、プリフォーム１０ａの底部３０ａから口部１１ａに向かう方向に押圧することにより、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａのフランジ部１７ａに向かって移動し、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａのフランジ部１７ａに当接する。この結果、プリフォーム１０ａの底部３０ａから口部１１ａに向かう方向へのプラスチック製部材４０ａの移動が、フランジ部１７ａによって抑制される。これにより、プラスチック製部材４０ａのプリフォーム１０ａに対する位置決めが行われる。

次いで、図９（ａ）に示すように、フランジ部１７ａに当接したプラスチック製部材４０ａを、加熱装置６０によって加熱して収縮させる。この場合、プラスチック製部材４０ａを５０℃乃至１００℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム１０ａの外面に密着させても良い。このようにして、図９（ｂ）に示すように、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの肩部１２ａに対応する部分に、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径Ｄ２（図３参照）よりも小さい内径を有する第１縮径部４７ａが形成される。また、プリフォーム１０ａの底部３０ａに対応する部分に、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さい内径を有する第２縮径部４８ａが形成される。

なお、その後、余白部８０ａを熱圧着しても良い。この熱圧着は、赤外線や、温風等により余白部８０ａを加熱した後、図示しない一対の圧着器具によりプラスチック製部材４０ａの上記端部４０ｂを水平方向に挟み込むことにより行うことができる。これにより、プラスチック製部材４０ａの余白部８０ａに形成された開口４９（図８（ｃ）参照）が塞がれ、余白部８０ａを熱圧着することができる。なお、余白部８０ａを熱圧着するために用いられる圧着器具の材質は特に限定されず、金属製や耐熱性の樹脂製のものを使用することができる。余白部８０ａを熱圧着する方法は、上記に限定されず、赤外線や、温風等により加熱された余白部を挟み込む等して、圧着することができるものであれば特に限定されず、例えば、金属製や耐熱性の樹脂製の器具を利用することができ、それらを組み合わせても良い。

このように、予めプリフォーム１０ａの外側にプラスチック製部材４０ａを密着させ、複合プリフォーム７０を作製しておくことにより、複合プリフォーム７０を作製する一連の工程（図８（ａ）－（ｄ）および図９（ａ）－（ｂ））と、複合容器１０Ａをブロー成形により作製する一連の工程（図１０（ａ）－（ｄ））とを別々の場所（工場等）で実施することが可能になる。

（複合容器の製造方法）
次に、図１０（ａ）－（ｄ）により、本実施の形態による複合容器の製造方法について説明する。

まず、例えば図８（ａ）－（ｄ）および図９（ａ）－（ｂ）に示す方法により作製した複合プリフォーム７０を、加熱装置５１によって加熱する（図１０（ａ）参照）。このとき、プリフォーム１０ａおよびプラスチック製部材４０ａは、口部１１ａを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置５１によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム１０ａおよびプラスチック製部材４０ａの加熱温度は、例えば９０℃乃至１３０℃としても良い。

続いて、加熱装置５１によって加熱された複合プリフォーム７０は、ブロー成形金型５０に送られる（図１０（ｂ）参照）。

複合容器１０Ａは、このブロー成形金型５０を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型５０は互いに分割された一対の胴部金型５０ａ、５０ｂと、底部金型５０ｃとからなる（図１０（ｂ）参照）。図１０（ｂ）において、一対の胴部金型５０ａ、５０ｂ間は互いに開いており、底部金型５０ｃは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型５０ａ、５０ｂ間に、複合プリフォーム７０が挿入される。

次に図１０（ｃ）に示すように、底部金型５０ｃが下がったのちに一対の胴部金型５０ａ、５０ｂが閉鎖され、一対の胴部金型５０ａ、５０ｂおよび底部金型５０ｃにより密閉されたブロー成形金型５０が構成される。

次にプリフォーム１０ａ内に空気が圧入され、複合プリフォーム７０に対して二軸延伸ブロー成形が施される。

このことにより、ブロー成形金型５０内でプリフォーム１０ａから容器本体１０が得られる。この間、胴部金型５０ａ、５０ｂは３０℃乃至８０℃まで加熱され、底部金型５０ｃは５℃乃至２５℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型５０内では、複合プリフォーム７０のプリフォーム１０ａおよびプラスチック製部材４０ａが一体として膨張される。これにより、プリフォーム１０ａおよびプラスチック製部材４０ａは、一体となってブロー成形金型５０の内面に対応する形状に賦形される。

このようにして、容器本体１０と、容器本体１０の外面に設けられたプラスチック製部材４０とを備えた複合容器１０Ａが得られる。

次に図１０（ｄ）に示すように、一対の胴部金型５０ａ、５０ｂおよび底部金型５０ｃが互いに離れ、ブロー成形金型５０内から複合容器１０Ａが取出される。

このように、本実施の形態によれば、複合プリフォーム中間体７００において、プラスチック製部材４０ａのうち、プリフォーム１０ａの肩部１２ａに対応する部分に、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さい内径を有する縮径部４７ｂが形成されている。これにより、プリフォーム１０ａの外側に配置されたプラスチック製部材４０ａを、プリフォーム１０ａの底部３０ａから口部１１ａに向かう方向に押圧することにより、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａのフランジ部１７ａに当接することができるようになっている。このため、プリフォーム１０ａの底部３０ａから口部１１ａに向かう方向へのプラスチック製部材４０ａの移動が抑制され、プラスチック製部材４０ａのプリフォーム１０ａに対する位置決めを容易に行うことができる。また、縮径部４７の内径がフランジ部１７ａの外径Ｄ１よりも小さくなっているため、プリフォーム１０ａの外側に配置されたプラスチック製部材４０ａが、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａ側から脱落する不具合が抑制される。また、プリフォーム１０ａのフランジ部１７ａの外径Ｄ１は、胴部２０ａの外径Ｄ２よりも小さくなっており、プリフォーム１０ａの外側に配置されたプラスチック製部材４０ａが、プリフォーム１０ａの底部３０ａ側から脱落する不具合も抑制される。このため、複合プリフォーム７０を作製する際に、プラスチック製部材４０ａがプリフォーム１０ａから脱落する不具合を抑制することができ、プラスチック製部材４０ａの装着工程を容易にすることができる。この結果、複合プリフォーム７０および複合容器１０Ａの生産性を高めることができる。

また、本実施の形態によれば、プリフォーム１０ａは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでいる。これにより、複合容器１０Ａの耐圧性や耐熱性を向上させることができる。

なお、上述した実施の形態において、プリフォーム１０ａの外側にプラスチック製部材４０ａを設ける際に、補助器具９０を使用した例について説明したが、これに限られることはない。例えば、作業者が手作業でプラスチック製部材４０ａをプリフォーム１０ａの外側に設けても良い。

また、上述した実施の形態において、プラスチック製部材４０ａが、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径Ｄ２よりも大きい内径を有している例について説明したが、これに限られることはない。例えば、プラスチック製部材４０ａが、プリフォーム１０ａの胴部２０ａの外径Ｄ２と同一又はわずかに小さい内径を有していても良い。この場合、プリフォーム１０ａの外側にプラスチック製部材４０ａを装着して複合プリフォーム７０を作製する際に、プラスチック製部材４０ａを、プリフォーム１０ａに対して押し込むことにより、プリフォーム１０ａの外面に密着させても良い。

上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。

１０Ａ 複合容器
１０ａ プリフォーム
１１ａ 口部
１２ａ 肩部
１７ａ フランジ部
２０ａ 胴部
３０ａ 底部
４０ａ プラスチック製部材
４１ａ 胴部
４２ａ 底部
４７ａ 第１縮径部
４７ｂ 縮径部
４８ａ 第２縮径部
７０ 複合プリフォーム

Claims (11)

1. 複合プリフォーム中間体において、
   フランジ部を含む口部と、前記口部に連結された肩部と、前記肩部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有するプリフォームと、
   少なくとも円筒状の胴部を有し、前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられるプラスチック製部材とを備え、
   前記プリフォームの前記フランジ部の外径が、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも小さく、
   前記プリフォームの前記肩部の少なくとも一部の外径が、前記フランジ部の外径よりも小さく、
   前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分に、前記プリフォームの前記フランジ部の外径よりも小さい内径を有する縮径部が形成され、
   前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記底部に対応する部分の内径が、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも大きいことを特徴とする複合プリフォーム中間体。
2. 前記プラスチック製部材のうち、少なくとも前記プリフォームの前記底部に対応する部分は、加熱されることなく収縮していないことを特徴とする請求項１に記載の複合プリフォーム中間体。
3. 前記プリフォームは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項１または２に記載の複合プリフォーム中間体。
4. 複合プリフォーム中間体の製造方法において、
   プラスチック材料製のプリフォームであって、フランジ部を含む口部と、前記口部に連結された肩部と、前記肩部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有し、前記フランジ部の外径が前記胴部の外径よりも小さく、前記肩部の少なくとも一部の外径が前記フランジ部の外径よりも小さいプリフォームを準備する工程と、
   少なくとも円筒状の胴部を有するプラスチック製部材を準備する工程と、
   前記プリフォームの外側に前記プラスチック製部材を設ける工程とを備え、
   前記プリフォームの外側に前記プラスチック製部材を設ける工程において、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分を加熱して収縮させ、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分に、前記プリフォームの前記フランジ部の外径よりも小さい内径を有する縮径部が形成されることを特徴とする複合プリフォーム中間体の製造方法。
5. 前記プラスチック製部材のうち、少なくとも前記プリフォームの前記底部に対応する部分は、加熱されることなく収縮していないことを特徴とする請求項４に記載の複合プリフォーム中間体の製造方法。
6. 前記プリフォームは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項４または５に記載の複合プリフォーム中間体の製造方法。
7. 複合プリフォームにおいて、
   フランジ部を含む口部と、前記口部に連結された肩部と、前記肩部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有するプリフォームと、
   少なくとも円筒状の胴部を有し、前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられるプラスチック製部材とを備え、
   前記プリフォームの前記フランジ部の外径が、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも小さく、
   前記プリフォームの前記肩部の少なくとも一部の外径が、前記フランジ部の外径よりも小さく、
   前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分に、前記プリフォームの前記フランジ部の外径よりも小さい内径を有する第１縮径部が形成され、
   前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記底部に対応する部分に、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも小さい内径を有する第２縮径部が形成され、
   前記プラスチック製部材は、前記プリフォームの外面に接着されることなく取付けられていることを特徴とする複合プリフォーム。
8. 前記プリフォームは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項７に記載の複合プリフォーム。
9. 複合プリフォームの製造方法において、
   プラスチック材料製のプリフォームであって、フランジ部を含む口部と、前記口部に連結された肩部と、前記肩部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを有し、前記フランジ部の外径が前記胴部の外径よりも小さく、前記肩部の少なくとも一部の外径が前記フランジ部の外径よりも小さいプリフォームを準備する工程と、
   少なくとも円筒状の胴部を有するプラスチック製部材を準備する工程と、
   前記プリフォームの外側にプラスチック製部材を装着する工程とを備え、
   前記プリフォームの外側にプラスチック製部材を装着する工程は、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分を加熱して収縮させる工程と、収縮した前記プラスチック製部材を押圧し、前記プラスチック製部材を前記フランジ部に当接させる工程と、前記フランジ部に当接した前記プラスチック製部材を加熱して収縮させる工程とを有し、
   前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分を加熱して収縮させる工程において、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記肩部に対応する部分に、前記プリフォームの前記フランジ部の外径よりも小さい内径を有する第１縮径部が形成され、
   前記フランジ部に当接した前記プラスチック製部材を加熱して収縮させる工程において、前記プラスチック製部材のうち、前記プリフォームの前記底部に対応する部分に、前記プリフォームの前記胴部の外径よりも小さい内径を有する第２縮径部が形成されることを特徴とする複合プリフォームの製造方法。
10. 前記プリフォームは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項９に記載の複合プリフォームの製造方法。
11. 請求項７または８に記載の複合プリフォームを準備する工程と、
    前記複合プリフォームに対してブロー成形を施す工程とを備えることを特徴とする複合容器の製造方法。

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