JP6907717B2 - 複合プリフォームの製造方法および複合容器の製造方法 - Google Patents
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この複合プリフォームが備えるプラスチック製部材は、熱収縮性を有するものであることが、プリフォーム、ひいては容器本体への密着性という観点からは好ましい。しかしながら、熱収縮性を有するプラスチック製部材は、その製造方法上、チューブ状であるため、プリフォーム(容器本体)の底部を完全に覆わせることが難しく、底部の遮光性を高めたり等、様々な機能を複合容器の底部に付与することが困難であった。
さらに、本発明者らは、このねじり工程を含む方法により得られた複合容器は、ねじり工程を含まない熱圧着工程のみを含む方法により得られた複合容器と比べ、ブロー成形に起因する容器本体とプラスチック製部材との間における気泡の発生を効果的に防止することができ、かつブロー成形時に熱圧着部が剥がれてしまったり等の破損が生じてしまうのを防止することができることを見出した。
口部と、口部に連結された胴部と、胴部に連結された底部を備えるプリフォームを準備する工程と、
熱圧着するための余白部を一端に有するチューブ状の熱収縮性プラスチック製部材を準備する工程と、
プリフォームをプラスチック製部材の他端から嵌め込む工程と、
プラスチック製部材を加熱し、プラスチック製部材を熱収縮させる工程と、
プラスチック製部材の余白部を熱圧着する工程と、
熱圧着された余白部をねじり、ねじり部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする。
上記方法により得られた複合プリフォームを加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程と、加熱後の複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、プリフォームおよびプラスチック製部材を一体として膨張させる工程とを含んでなることを特徴とする。
また、この複合プリフォームを用いて得られた複合容器は、ブロー成形により容器本体とプラスチック製部材との間に気泡が入り込んでしまうことを防止することができると共に、熱圧着された余白部がブロー成形により破損してしまうことを防止することができる。
一実施形態において、図1に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた熱収縮性プラスチック製部材40aとを備えている。
図2に示すように、複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
熱収縮性プラスチック製部材40の容器本体10からの分離(剥離)の方法としては、例えば刃物等を用いて熱収縮性プラスチック製部材40を切除したり、熱収縮性プラスチック製部材40に予め切断線を設け、この切断線に沿って熱収縮性プラスチック製部材40を剥離したりすることができる。上記のような方法により、熱収縮性プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることができる。
本発明に係る複合プリフォーム70の製造方法は、
口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aを備えるプリフォーム10aを準備する工程と、
熱圧着するための余白部80aを一端に有するチューブ状の熱収縮性プラスチック製部材40aを準備する工程と、
プリフォーム10aをプラスチック製部材40aの他端から嵌め込む工程と、
プラスチック製部材40aを加熱し、プラスチック製部材40aを熱収縮させる工程と、
プラスチック製部材40aの余白部80aを熱圧着する工程と、
熱圧着された余白部80aをねじり、ねじり部80を形成する工程と、
を含む。
以下、各工程について詳細に説明する。
プリフォーム10aは、図1に示すように、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
樹脂材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、アイオノマーを使用することが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。
また、プリフォーム10aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の着色剤を含んでいても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、これら着色剤を含まず、無色透明であることが好ましい。
例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)を含んでなる層として、3層以上からなるプリフォーム10aを成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性などを有する多層成形ボトルを得ることができる。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂などを用いても良い。
一実施形態において、チューブ状の熱収縮性プラスチック製部材40aは、押出成形工程を含んでなる方法により作製することができる。
より詳細には、まず、後述する樹脂材料等を、押出装置内で加熱溶融し、溶融した樹脂材料等をリングダイより連続的に押し出し、冷却することにより、未延伸の押出チューブ1に成形する(図4(a)参照)。なお、多層からなるプラスチック製部材40aは、2以上の樹脂材料を共押し出しすることにより、作製することができる。
次いで、この未延伸の押出チューブの一端を溶着または接着することによって、押出チューブの一端を閉鎖する。
さらに、この一端が閉鎖された押出チューブ1を、押出チューブ1の外径よりも大きい内径を有する金型2内に配置する(図4(b)参照)。
次いで、押出チューブ1の他端にブロー装置3を配置(装着)する(図4(c)参照)。このとき、ブロー装置3は、押出チューブ1と、これらの間からエアが漏れないよう密着させることが好ましい。
続いて、押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、この配置のまま加熱炉4に送り込み、加熱炉4の内部で70〜150℃に加熱する(図4(d)参照)。加熱炉4としては、その内部を均一な温度にするために、熱風循環式加熱炉を用いても良い。あるいは押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、加熱した液体中を通過させることにより、これらを加熱しても良い。
次に、押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、加熱炉4から取り出し、ブロー装置3から押出チューブ1内にエアを噴出することにより、押出チューブ1の内面を加圧延伸する。これにより、押出チューブ1は、膨張し、金型2の内面形状に沿って拡径される(図4(e)参照)。
その後、ブロー装置3からエアを噴出した状態のまま、押出チューブ1を冷水中で冷却し、押出チューブを金型2から取り出す(図4(f)参照)。これを所望の大きさにカットすることによりチューブ状の熱収縮性プラスチック製部材40aが得られる(図4(g)参照)。
なお、市販されるチューブ状の熱収縮性プラスチック製部材40aを使用してもよい。
なお、熱収縮性プラスチック製部材40aの長さとは、図6に示されるように、熱収縮前であって、余白部80aを含む長さXをいう。また、プリフォーム10aの長さとは、図7に示されるように、首部13aから底部30aまでの長さYをいう。
これらの中でも、複合容器10A製造におけるブロー成形の際に後述する熱圧着した部分等からの破損を防止することができるため、PE、PPおよびポリスチレンが好ましい。
また、樹脂材料は、上記した樹脂を構成する2以上のモノマー単位が重合した共重合体を含んでいても良い。さらに、樹脂材料は上記した樹脂を2種以上を含んでなるものであってよい。
この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。
このような材料としては、PE、PP、MXD−6、PGA、EVOH、PENまたはこれらの材料に脂肪酸塩等の酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
なお、熱収縮性プラスチック製部材40aが多層からなる場合は、ガスバリア性を有する材料からなる層を備えていてもよい。
この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。
このような材料としては、上記した樹脂を2種類以上含んでなる樹脂材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
なお、熱収縮性プラスチック製部材40aが多層からなる場合は、光線バリア性を有する材料からなる層を備えていてもよい。
この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。
このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE、PP、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。
なお、熱収縮性プラスチック製部材40aが多層からなる場合は、保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなる層を備えていてもよい。
また、これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1〜200μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましい。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP−1055、ローペイクHP−91、ローペイクOP−84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH−5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。
中空粒子の含有量としては、熱収縮性プラスチック製部材40aが単層からなる場合、熱収縮性プラスチック製部材40aに含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。また、熱収縮性プラスチック製部材40aが多層からなる場合、中空粒子が含まれる熱収縮性プラスチック製部材40aの層に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる
なお、熱収縮性プラスチック製部材40aが多層からなる場合は、プリフォーム10aを構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなる層を備えていてもよい。この場合、該層は、熱収縮性プラスチック製部材40aの最外の層であることが好ましい。
印刷は、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法により行うことができる。例えば、インクジェット法を用いる場合、熱収縮性プラスチック製部材40a(40)にUV硬化型インクを塗布し、これにUV照射を行い、硬化することにより印刷層を形成させることができる。
この印刷は、プリフォーム10aに嵌め込む前の熱収縮性プラスチック製部材40aに対して施されても良く、プリフォーム10aの外側に熱収縮性プラスチック製部材40aを設けた状態で施されても良い。さらに、ブロー成形後の複合容器10Aの熱収縮性プラスチック製部材40に印刷が施されても良い。
本発明の方法は、図6に示すように、熱収縮性プラスチック製部材40aの余白部80aを設けた側とは反対の側の端からプリフォーム10aを嵌め込む工程を含んでなる。
本発明の方法は、熱収縮性プラスチック製部材40aを加熱し、収縮させる工程を含む。
本発明の方法は、プラスチック製部材40aの余白部80aを熱圧着する工程を含んでなり、これにより、チューブ状のプラスチック製部材40aの底部を形成することができる。
本発明の方法は、熱圧着した余白部80aをねじり、図1に示すねじり部80を形成する工程を含んでなる。
これにより、ブロー成形後の複合容器10Aが備える容器本体10とプラスチック製部材40との間に気泡が発生してしまうことを防止することができると共に、ブロー成形により熱圧着した余白部80aが剥がれてしまったり等、破損してしまうことを防止することができる。
また、余白部80aをねじり、ねじり部80を形成させたプラスチック製部材40aをブロー成形することにより、良好な外観を有する底部を備えるプラスチック製部材40を得ることができる。
また、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを保持する保持部および回転部を含む回転装置等を用いて機械的に行うことができる。
また、これらを組み合わせた方法により行ってもよく、具体的には、余白部80aをペンチなどの器具を用いて挟み、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを回転部により回転させることによってもねじり部80を形成することができる。
具体的には、圧着器具に回転機構を設け、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを保持部に固定し、圧着器具を回転させることにより行うことができる。
また、圧着器具を保持部として利用し、回転部によりプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを回転させることによっても行うことができる。
余白部80aのねじる程度については、特に限定されるものではなく、0.25〜30回転させる程度であってもよく、ねじ切れるまで行ってもよいが、外観をより良好なものにすることができ、かつ熱圧着した部分がブロー成形により破損してしまうことをより効果的に防止することができるため、ねじ切れるまで行うことが好ましい。
本発明に係る複合容器10Aの製造方法は、
上記のようにして製造した複合プリフォーム70を加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程と、
加熱後の複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、プリフォーム10aおよび熱収縮性プラスチック製部材40aを一体として膨張させる工程とを含んでなる。
なお、加熱装置51は温風を発生するものであってもよく、赤外線を照射するものであってもよい。
射出成形機を使用して、図7に示すPET製のプリフォーム10aを作製した。このプリフォーム10aの重量は、23.8gであり、その長さYは、90mmであった。
ポリオレフィン樹脂を溶融し、リング状のダイから押出した。次いで、押出されたチューブ内面を加圧、またはチューブ外面を内面より陰圧とし拡径を行い、図6に示す熱収縮性プラスチック製部材40a作製した。
作製した熱収縮性プラスチック製部材40aの長さXは、100mmであり、余白部80aの長さは、10mmであった。
次いで、手作業により、プリフォーム10aを、熱収縮性プラスチック製部材40aの余白部80aとは反対の端から嵌め込みを行った。
嵌め込み後、赤外線ヒーターを用いて、プリフォーム10aおよび熱収縮性プラスチック製部材40aを100℃まで加熱し、熱収縮性プラスチック製部材40aを熱収縮させた。
次いで、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを図9に示す保持部81に固定し、100℃に加熱した図9に示す回転機構を有する圧着器具82、83を用いて余白部80aを300N/cm2の圧力で挟み込み、熱圧着を行った。さらに、回転機構により、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを、圧着した余白部80aがねじ切れ、ねじり部80が形成されるまで回転させた。
上記のようにして得られた複合プリフォーム70を赤外線ヒーターを用いて、100℃まで加熱し、図8bに表されるブロー成形金型に搬送した。このブロー成形金型内において、複合プリフォーム70をブロー成形し、満注容量が500mLの複合容器10Aを得た。この複合容器10Aにおいて、容器本体10は、その底部までプラスチック製部材40により覆われていた。また、容器本体10とプラスチック製部材40との間に気泡は見られなかった。
Claims (6)
- 口部と、前記口部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部を備えるプリフォームを準備する工程と、
熱圧着するための余白部を一端に有するチューブ状の熱収縮性プラスチック製部材を準備する工程と、
前記プリフォームを前記プラスチック製部材の他端から嵌め込む工程と、
前記プラスチック製部材を加熱し、前記プラスチック製部材を熱収縮させる工程と、
前記プラスチック製部材の余白部を熱圧着する工程と、
前記熱圧着された余白部をねじり、ねじり部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、複合プリフォームの製造方法。 - 前記ねじり部の形成工程が、熱圧着された前記余白部をねじ切るように行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記熱圧着工程および前記ねじり部の形成工程が同時に行われる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記余白部の長さが、3mm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法により得られた複合プリフォームを加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程と、
加熱後の前記複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、プリフォームおよびプラスチック製部材を一体として膨張させる工程とを含んでなることを特徴とする、複合容器の製造方法。 - 複合プリフォームにおいて、
口部と、前記口部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部とを備えるプラスチック材料製のプリフォームと、
前記プリフォームの外側に設けられた筒状の熱収縮性プラスチック製部材と、を備え、
前記熱収縮性プラスチック製部材は、前記底部側の一端に余白部を有し、前記余白部が熱圧着され、
前記余白部にねじり部が形成されていることを特徴とする複合プリフォーム。
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