JP7001988B2 - 複合容器 - Google Patents
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Description
該プラスチック製部材は、容器本体の外側に密着して設けられるものであるが、接着はされていないため、使用後は、容器本体から剥離することができ、プラスチック製部材及び容器本体をそれぞれ再利用することができる。
容器本体からのプラスチック製部材の剥離は、刃物を使用し、プラスチック製部材を切り取る方法等が挙げられるが、作業負担が大きかったり、容器本体からプラスチック製部材を完全に剥離することが困難であったりという問題があった。
図1に示すように、複合容器10Aは、内側に位置する容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられるプラスチック製部材40とを備えている。
該複合容器10Aは、図2等に示す、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられるプラスチック製部材40aとを備える複合プリフォーム70をブロー成形することにより作製することができる。
プラスチック製部材40の容器本体10からの分離(剥離)の方法の一例としては、複合容器10Aを粉砕した後、水に浸け、プラスチック製部材40と、容器本体10との比重の差を利用し、プラスチック製部材40を分離回収する方法を挙げることができる。
本発明において、プラスチック製部材40の比重は0.95未満であり、より好ましくは0.94未満である。さらに、容器本体10の比重は1超であり、より好ましくは1.2超である。
このように、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10を再利用することができる。
本発明において、比重は気相置換法により測定することができる。
容器本体10は、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12の下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。なお、本明細書中、「上」及び「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方及び下方のことをいう。
上記した樹脂材料の中でも、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、プリフォーム10aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の着色剤を含んでいても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、これら着色剤を含まず、無色透明であることが好ましい。
プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。また、図1に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。プラスチック製部材40は、単層からなるものであってもよく、多層からなるものであってもよい。
これらの中でも、成形性および粒子強度の観点から、無機系中空粒子が好ましく、無機ガラスにより構成される無機系中空粒子が特に好ましい。
なお、プラスチック製部材40が多層からなる場合、2以上の層が中空粒子を含んでいてもよい。
なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製等)を用いて公知の方法により測定することができる。
この場合、容器本体10を多層としたり、容器本体10の作製にブレンド樹脂材料を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。
このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、MXD-6及びEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)が挙げられる。
この場合、容器本体10を厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性を高めることができる。
このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂等が挙げられる。
図2~4に示すように、本発明の複合プリフォーム70は、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられるプラスチック製部材40aとを備えてなる。
一実施形態において、プリフォーム10aは、図2に示すように、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、後述する容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、容器本体10の首部13、肩部12及び胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
また、図5(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として無底円筒形状からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。
また、図5(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製された、無底円筒形状のものであっても良い。
熱圧着後の余白部80aの形状は特に限定されるものではなく、図6に示されるように任意の形状とすることができる。
プラスチック製部材40aがねじり部80を備えることにより、ブロー成形後の複合容器10Aにおいてプラスチック製部材40に容器本体10の底部30を覆わせることができるだけではなく、容器本体10とプラスチック製部材40との間に気泡が発生してしまうことを防止することができる。さらに、ブロー成形時に加わる力によって、熱圧着した部分が剥がれてしまったり等、破損してしまうことを防止することができる。
本発明の複合容器10Aの製造方法は、
プリフォーム10a及びプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材40aを備える複合プリフォーム70を準備する工程と、
複合プリフォーム70を、ブロー成形金型内においてブロー成形し、プラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられるプラスチック製部材40とを備える複合容器10Aを得る工程と、
を含んでなる。
本発明の方法は、プリフォーム10a及び前記プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材40aを備える複合プリフォーム70を準備する工程を含む。
また、射出成形により2層以上の多層プリフォーム10aを作製することにより、容器本体10を2層以上の多層成形ボトルとすることができる。
例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)を含んでなる層として、3層以上からなるプリフォーム10aを成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性等を有する多層成形ボトルを得ることができる。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂等を用いても良い。
成形方法としては、例えば、深絞り成形、又は樹脂シートをチューブ状に成形し、その端部を融着、又は接着する方法等が挙げられる。
また、多層からなるプラスチック製部材40aは、2以上の樹脂シートを、上記した接着剤を介して積層させた積層樹脂シートを成形することにより得ることができる。
上記樹脂シートは、市販品を用いてもよいし、従来公知の方法により製造することができる。本発明においては、押出成形により製造することが好ましく、押出成形が、Tダイ法又はインフレーション法により行われることが好ましい。
(1)まず樹脂材料51を加熱溶融し、中空粒子等と共に、ダイ52からチューブ状に押し出し、チューブ状パリソン53を形成させ、
(2)次いで、図7(b)に示すように、例えば2分割の金型54によりチューブ状パリソン53を挟み込み、
(3)次いで、図7(c)に示すように、吹き込みノズル55よりチューブ状パリソン53内に空気を吹き込み、チューブ状パリソン53を金型54に合わせて成形し、冷却、型開き、取り出しを順次行うことにより、図7(d)に示すような有底円筒形状のプラスチック製部材40aを得ることができる(ダイレクトブロー成形)。
本方法によれば、金型の設計を変更することにより、得られるプラスチック製部材40aの設計を変更することができ、プリフォーム10aとの密着性の高いプラスチック製部材40aを作製することができる。
まず、上記した樹脂材料等を、押出装置内で加熱溶融し、溶融した樹脂材料を中空粒子等と共にリングダイより連続的に押し出し、冷却することにより、未延伸の押出チューブ1に成形する(図8(a)参照)。なお、多層からなるプラスチック製部材40aは、2種以上の樹脂材料を共押し出しすることにより、作製することができる。
次いで、この未延伸の押出チューブの一端を溶着又は接着することによって、押出チューブの一端を閉鎖する。
さらに、この一端が閉鎖された押出チューブ1を、押出チューブ1の外径よりも大きい内径を有する金型2内に配置する(図8(b)参照)。
次いで、押出チューブ1の他端にブロー装置3を配置(装着)する(図8(c)参照)。このとき、ブロー装置3は、押出チューブ1と、これらの間からエアが漏れないよう密着させることが好ましい。
続いて、押出チューブ1、金型2及びブロー装置3を、この配置のまま加熱炉4に送り込み、加熱炉4の内部で70~150℃に加熱する(図8(d)参照)。加熱炉4としては、その内部を均一な温度にするために、熱風循環式加熱炉を用いても良い。あるいは押出チューブ1、金型2及びブロー装置3を、加熱した液体中を通過させることにより、これらを加熱しても良い。
次に、押出チューブ1、金型2及びブロー装置3を、加熱炉4から取り出し、ブロー装置3から押出チューブ1内にエアを噴出することにより、押出チューブ1の内面を加圧延伸する。これにより、押出チューブ1は、膨張し、金型2の内面形状に沿って拡径される(図8(e)参照)。
その後、ブロー装置3からエアを噴出した状態のまま、押出チューブ1を冷水中で冷却し、押出チューブを金型2から取り出す(図8(f)参照)。これを所望の大きさにカットすることにより熱収縮性のプラスチック製部材40aを得ることができる(図8(g)参照)。
このとき、加熱方法は特に限定されず、赤外線や、温風等を用いて適宜行うことができる。加熱温度は、60℃以上、250℃以下であることが好ましく、80℃以上、150℃以下であることがより好ましい。なお、加熱温度とは加熱時のプラスチック製部材40aの表面温度のことであり、赤外線や、温風等の照射温度のことではない。
熱圧着の方法は、特に限定されず、赤外線や、温風等により加熱された余白部を挟み込む等して、圧着することができるものであれば特に限定されず、例えば、金属製や耐熱性の樹脂製の器具(以下、場合により「圧着器具」という)を利用することができ、それらを組み合わせても良い。
なお、本発明において、プラスチック製部材40aが熱収縮性を有する場合、その長さとは、熱収縮前の長さをいう。また、プリフォーム10aの長さとは、胴部20a及び底部30aの長さの和をいう。
圧着器具は、その表面に加熱機構を有していてもよい。これにより、余白部80aの圧着強度をより高めることができる。圧着器具表面の加熱温度は、例えば、100℃以上、250℃以下とすることが好ましい。また、プラスチック製部材40aの表面の良好な外観維持という観点から、圧着時間は5秒以下であることが好ましい。
本発明の方法が、このような工程を含むことにより、ブロー成形後のプラスチック製部材40の底部形成することができるだけではなく、複合容器10Aが備える容器本体10とプラスチック製部材40との間に気泡が発生してしまうことを防止することができると共に、ブロー成形時に加わる力によって、熱圧着した部分が剥がれてしまったり等、破損してしまうことを防止することができる。
また、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aを保持する保持部及び回転部を含む回転装置等を用いて機械的に行うことができる。
また、これらを組み合わせた方法により行ってもよく、具体的には、熱圧着した部分をペンチ等の器具を用いて挟み、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aを回転部により回転させることによっても、ねじり部80を形成することができる。
具体的には、圧着器具に回転機構を設け、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aを保持部に固定し、圧着器具を回転させることにより行うことができる。また、圧着器具を保持部として利用し、回転部によりプリフォーム10a及びプラスチック製部材40aを回転させることによっても行うことができる。
以下、図10(a)~(d)に基づいて、本発明のブロー成形工程についてより詳しく説明する。
この加熱工程におけるプリフォーム10a及びプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃以上、130℃以下であること好ましく、95℃以上、120℃以下であることがより好ましい。
加熱温度を上記数値範囲とすることにより、プラスチック製部材40aの白化等その表面に欠陥が発生してしまうことを防止しつつ、プラスチック製部材40aの表面に良好な凹凸を形成することができる。
また、この加熱は、赤外線や、温風等を発生する装置を用いて適宜行うことができる。
なお、加熱温度とは加熱時のプラスチック製部材40aの表面温度のことであり、赤外線や、温風等の照射温度のことではない。
ブロー成形金型50内の周辺には、プラスチック製部材40の表面に付与する凹部、凸部を有する立体模様に対応する凸部、凹部が形成されており、このような金型内において、複合プリフォーム70をブロー成形することにより、プラスチック製部材40aの表面に凹部、凸部を有する立体模様が形成される。
また、金型内の凹部、凸部は、切削加工等により形成することができる。
この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10a及びプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
プラスチック製部材40に対し、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法により印刷を行ってもよい。
例えば、インクジェット法を用いる場合、プラスチック製部材40a(40)にUV硬化型インクを塗布し、これにUV照射を行い、硬化することにより印刷層を形成させることができる。この印刷は、プリフォーム10aに嵌め込む前のプラスチック製部材40aに対して施されても良く、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けた状態で施されても良い。さらに、ブロー成形後の複合容器10Aのプラスチック製部材40に印刷が施されても良い。
(複合プリフォーム70を準備する工程)
射出成形機を使用して、図9に示す、長さ105mmのポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム10aを作製した。このプリフォーム10aの重量は、30gであった。
プラスチック製部材40aに含まれる中空粒子の含有量は、5質量%であり、ポリエチレンの含有量は、95質量%であった。
また、プラスチック製部材40aの長さは、95mmであり、その余白部80aは、10mmであった。
上記のようにして得られた複合プリフォーム70を赤外線ヒーターを用いて、110℃まで加熱し、ブロー成形金型に搬送した。
このブロー成形金型内において、複合プリフォーム70をブロー成形し、満注容量が500mLである図1に示される複合容器10Aを得た。
上記のようにして作製した複合容器10Aから刃物を用いて、プラスチック製部材40を剥離した。剥離したプラスチック製部材40及び容器本体10の比重を気相置換法により測定したところ、それぞれ、0.935、1.365であった。
射出成形法により作製した図5(a)に示す、熱収縮性を有しないプラスチック製部材40aを使用した以外は、実施例1と同様にして複合容器10Aを作製した。また、実施例1と同様に、プラスチック製部材40及び容器本体10の比重を測定したところ、0.945、1.365であった。
プラスチック製部材40aの作製において、中空粒子を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして複合容器10Aを作製した。また、実施例1と同様に、プラスチック製部材40及び容器本体10の比重を測定したところ、0.960、1.365であった。
上記実施例及び比較例において作製した複合容器10Aをペットボトル用小型粉砕機を使用して粉砕し、85℃の水中に浸けた。複合容器10Aの破片における、プラスチック製部材40の容器本体10からの剥離の程度を目視により確認し、下記評価基準に従い、評価した。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
A:水に浸けた後、すぐに容器本体10から、プラスチック製部材40の剥離が開始し、最終的に完全に剥離した。
B:水に浸けた後、プラスチック製部材40の剥離が開始するまで時間を要したが、最終的に完全に剥離した。
C:未剥離の部分が見られた。
Claims (5)
- 容器本体と、
前記容器本体の外側に密着して設けられるプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材が、中空粒子を含み、
前記容器本体の比重が1超であり、前記プラスチック製部材の比重が0.95未満であり、
前記中空粒子が無機系中空粒子であり、
前記プラスチック製部材の前記容器本体の底部側の一端の全部または一部が熱圧着されており、
前記容器本体と前記プラスチック部材との間に気泡が発生しないように、熱圧着された前記プラスチック製部材の一端がねじられていることを特徴とする、複合容器。 - 前記中空粒子の平均粒子径が、10μm以上、100μm以下である、請求項1に記載の複合容器。
- 前記プラスチック製部材における前記中空粒子の含有量が、0.1質量%以上、20質量%以下である、請求項1又は2に記載の複合容器。
- 前記プラスチック製部材の厚さが、50μm以上、1000μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合容器。
- 前記プラスチック製部材が、熱収縮性を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合容器。
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