JP7079782B2 - 電荷注入層およびその製造方法、ならびに有機光電子素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
[2] (前記含フッ素重合体の含有量):(前記半導体材料の含有量)で表される体積比が70:30~5:95である、[1]に記載の電荷注入層。
[3] ドーパントを含む、[1]または[2]に記載の電荷注入層。
[4] 前記含フッ素重合体の含有割合が、前記含フッ素重合体と前記半導体材料と前記ドーパントとの合計に対して、30~70体積%である、[3]に記載の電荷注入層。
[5] 前記ドーパントの含有割合が、前記半導体材料の全物質量100モル部に対して、10~200モル部である、[3]または[4]に記載の電荷注入層。
[6] 前記電荷注入層は物理蒸着層である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の電荷注入層。
[7] 前記含フッ素重合体の波長域450nm~800nmにおける屈折率が1.5以下である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の電荷注入層。
[8] 前記含フッ素重合体の1×10-3Pa以下の真空度において300℃における蒸発速度が0.01g/m2sec以上である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の電荷注入層。
[9] 前記含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環を有さず、フルオロオレフィンに由来する単位を有する重合体、または主鎖に脂肪族環構造を有する重合体である[1]~[8]のいずれか1項に記載の電荷注入層。
[10] 前記含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環構造を有するペルフルオロ重合体である[1]~[9]のいずれか1項に記載の電荷注入層。
[11] 前記含フッ素重合体の重量平均分子量が、1,500~50,000である[1]~[10]のいずれか1項に記載の電荷注入層。
[12] 陽極と、前記陽極に対向して設けられた陰極と、前記陽極と陰極の間に設けられた発光層と、前記陽極の前記発光層側に設けられた正孔注入層を備え、
前記正孔注入層は、[1]~[11]のいずれか一項に記載の電荷注入層である有機光電子素子。
[13] 前記発光層と前記正孔注入層の間に正孔輸送層を備え、前記正孔注入層の厚さと前記正孔輸送層の厚さの比が1:2~30:1である、[12]に記載の有機光電子素子。
[14] 陽極と、前記陽極に対向して設けられた陰極と、前記陽極と陰極の間に設けられた発光層と、前記陰極の前記発光層側に設けられた電子注入層を備え、
前記電子注入層は、[1]~[11]のいずれか一項に記載の電荷注入層である有機光電子素子。
[15] 前記発光層と前記電子注入層の間に電子輸送層を備え、前記電子注入層の厚さと前記電子輸送層の厚さの比が1:2~30:1である、[14]に記載の有機光電子素子。
[16] 前記ペルフルオロ重合体が、ポリペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)である、[12]~[15]のいずれか一項に記載の有機光電子素子。
[17] 前記ポリペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)の固有粘度が、0.01~0.14dl/gである、[16]に記載の有機光電子素子。
[18] [1]~[11]のいずれか一項に記載の電荷注入層の製造方法であって、
陽極または陰極上に、前記含フッ素重合体と前記半導体材料とを共蒸着させる工程を含む、電荷注入層の製造方法。
[19] [1]~[11]のいずれか一項に記載の電荷注入層の製造方法であって、
陽極または陰極上に、前記含フッ素重合体と前記半導体材料とを含む液状組成物を塗布する工程を含む、電荷注入層の製造方法。
[20] [12]~[17]に記載の有機光電子素子の製造方法であって、[18]または[19]に記載の方法によって前記電荷注入層を形成する工程を含む、有機光電子素子の製造方法。
本発明の電荷注入層の製造方法によれば、前記の優れた電荷注入層を歩留り良く製造できる。
本発明の有機光電子素子は、前記の電荷注入層を電極に接する位置に備えている。この構成により、本発明の有機光電子素子は高い光取り出し効率を発揮する。
本発明の有機光電子素子の製造方法によれば、前記の優れた有機光電子素子を歩留り良く製造できる。
本発明の電荷注入層は、含フッ素重合体および半導体材料を含み、波長域450nm~800nmにおける屈折率が1.60以下である。
本発明における「波長域450nm~800nmにおける屈折率」とは、前記波長域450nm~800nmにおける全ての波長にわたって屈折率が1.60以下であることを意味する。
以下、本発明の電荷注入層の材料を説明する。
本発明の電荷注入層に含まれる含フッ素重合体は、フッ素原子を含む重合体である。なお、本発明においては、オリゴマーも重合体に含める。すなわち、含フッ素重合体はオリゴマーであってもよい。
含フッ素重合体は、電荷注入層および電荷輸送層等の層の形成速度、層の強度と表面粗さの観点から、含フッ素重合体の熱分解が起こる温度以下において実用化するのに十分な蒸発速度もしくは飽和蒸気圧を有することが好ましい。一般的な含フッ素重合体であるPTFEの熱分解開始温度が約400℃、テフロン(登録商標)AFの熱分解開始温度が350℃である。本実施形態に係る含フッ素重合体の300℃における蒸発速度は、0.01g/m2sec以上が好ましく、0.02g/m2sec以上がより好ましい。また、飽和蒸気圧は、0.001Pa以上であることが好ましく、0.002Pa以上がより好ましい。この観点から含フッ素重合体は、分子間相互作用が小さいと考えられるペルフルオロ重合体が好ましい。また結晶性が低いといわれる主鎖に脂肪族環構造を有する重合体がさらに好ましい。ここで主鎖に脂肪族環構造を有するとは、含フッ素重合体が繰り返し単位中に脂肪族環構造(芳香族性を示さない環構造)を有し、かつ、該脂肪族環を構成する炭素原子の1個以上が主鎖を構成することを意味する。
本明細書中、飽和蒸気圧(単位:Pa)は、真空示差熱天秤(アドバンス理工社製:VPE-9000)により測定される値である。
よってMwが1,500~50,000の範囲であれば、含フッ素重合体の主鎖が開裂を起こすことなく、十分な強度と平滑な表面を有する層が形成できる。
「多分散度」とは、数平均分子量(以下、「Mn」で表す。)に対するMwの割合、すなわち、Mw/Mnをいう。形成される層における品質の安定性の観点から、含フッ素重合体の多分散度(分子量分布)(Mw/Mn)は小さい方が好ましく、2以下が好ましい。なお多分散度の理論的な下限値は1である。多分散度の小さい含フッ素重合体を得る方法として、リビングラジカル重合等の制御重合を行う方法、サイズ排除クロマトグラフィを用いた分子量分画精製法、昇華精製による分子量分画精製法が挙げられる。これらの方法のうち、層の形成に蒸着法を適用した場合の蒸着レートの安定性を考慮し、昇華精製を行うことが好ましい。
本明細書中、MwおよびMnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
含フッ素重合体のガラス転移点(Tg)は高い方が、得られる素子の信頼性が高くなることから好ましい。具体的にはガラス転移点が、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、350℃が好ましく、300℃がより好ましい。
本明細書中、固有粘度[η](単位:dl/g)は、測定温度30℃でアサヒクリン(登録商標)AC2000(旭硝子社製)を溶媒として、ウベローデ型粘度計(柴田科学社製:粘度計ウベローデ)により測定される値である。
有機半導体材料の屈折率は、一般的に1.7~1.8程度である。このような一般的な有機半導体材料に対して、屈折率が1.5以下の含フッ素重合体を混合すれば、得られる電荷注入層、電荷輸送層等の屈折率を低下させることができる。電荷注入層、電荷輸送層の屈折率が低下して、電荷注入層、電荷輸送層に隣接する電極、ガラス基板等(ソーダガラスおよび石英ガラスの屈折率は可視光領域でそれぞれ約1.51~1.53、約1.46~1.47である。)の屈折率に近づけば、電荷注入層または電荷輸送層と、電極またはガラス基板との界面で生じる全反射を回避することができ、光取り出し効率が向上する。
重合体(1):主鎖に脂肪族環を有さず、フルオロオレフィンに由来する単位(以下、「フルオロオレフィン単位」とも記す。)を有する含フッ素重合体、
重合体(2):主鎖に脂肪族環を有する含フッ素重合体。
重合体(1)は、フルオロオレフィンの単独重合体であってもよく、フルオロオレフィンと、フルオロオレフィンと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
例示したうちで、電荷注入層および電荷輸送層の屈折率を低下させやすいことから、炭素原子に結合しているすべての水素原子がフッ素に置換されたテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。
重合体(1)が共重合体である場合、フルオロオレフィンに由来する単位の割合は、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
重合体(1)としては、以下の含フッ素重合体が挙げられる。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体((旭硝子社製:Fluon(登録商標)PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EPA)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(旭硝子社製:Fluon(登録商標)ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、ポリビニルフルオリド(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等。
例示したうちで、電荷注入層および電荷輸送層の屈折率を低下させやすいことから、炭素原子に結合しているすべての水素原子または塩素原子がフッ素に置換されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EPA)が好ましい。
重合体(1)は、公知の方法を用いて製造できる。
重合体(1)としては、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
重合体(2)は、主鎖に脂肪族環を有する含フッ素重合体である。
「主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体」とは、含フッ素重合体が脂肪族環構造を有する単位を有し、かつ、該脂肪族環を構成する炭素原子の1個以上が主鎖を構成する炭素原子であることを意味する。脂肪族環は酸素原子等のヘテロ原子を有する環であってもよい。
重合体の「主鎖」とは、重合性二重結合を有するモノエンの重合体においては重合性二重結合を構成した2つの炭素原子に由来する炭素原子の連鎖をいい、環化重合しうるジエンの環化重合体においては2つの重合性二重結合を構成した4つの炭素原子に由来する炭素原子の連鎖をいう。モノエンと環化重合しうるジエンとの共重合体においては、該モノエンの上記2つの炭素原子と該ジエンの上記4つの炭素原子とから主鎖が構成される。
したがって、脂肪族環を有するモノエンの重合体の場合は、脂肪族環の環骨格を構成する1つの炭素原子または環骨格を構成する隣接した2つの炭素原子が重合性二重結合を構成する炭素原子である構造のモノエンの重合体である。環化重合しうるジエンの環化重合体の場合は、後述のように、2つの二重結合を構成する4つの炭素原子のうちの2~4つが脂肪族環を構成する炭素原子となる。
脂肪族環は置換基を有していてもよく、有さなくてもよい。「置換基を有していてもよい」とは、該脂肪族環の環骨格を構成する原子に置換基が結合してもよいことを意味する。
重合体(2)中の脂肪族環としては、電荷注入層および電荷輸送層の屈折率を低下させやすいことから、ペルフルオロ脂肪族環(置換基を含め、炭素原子に結合した水素原子のすべてがフッ素原子に置換されている脂肪族環)が好ましい。
重合体(21):含フッ素環状モノエンに由来する単位を有する含フッ素重合体、
重合体(22):環化重合しうる含フッ素ジエン(以下、単に「含フッ素ジエン」ともいう。)の環化重合により形成される単位を有する含フッ素重合体。
「含フッ素環状モノエン」とは、脂肪族環を構成する炭素原子間に重合性二重結合を1個有する含フッ素単量体、または、脂肪族環を構成する炭素原子と脂肪族環外の炭素原子との間に重合性二重結合を1個有する含フッ素単量体である。
含フッ素環状モノエンとしては、下記の化合物(1)または化合物(2)が好ましい。
X1、X2、X3、X4、Y1およびY2におけるペルフルオロアルコキシ基としては、前記ペルフルオロアルキル基に酸素原子(-O-)が結合したものが挙げられ、トリフルオロメトキシ基が特に好ましい。
X2は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、または炭素数1~4のペルフルオロアルコキシ基であることが好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメトキシ基であることが特に好ましい。
X3およびX4は、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数1~4のペルフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であることが特に好ましい。
X3およびX4は相互に結合して環を形成してもよい。前記環の環骨格を構成する原子の数は、4~7個が好ましく、5~6個が特に好ましい。
化合物(1)の好ましい具体例として、化合物(1-1)~(1-5)が挙げられる。
化合物(2)の好ましい具体例として、化合物(2-1),(2-2)が挙げられる。
ただし、重合体(21)中の全単位に対する含フッ素環状モノエンに由来する単位の割合は、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、100モル%がさらに好ましい。
含フッ素環状モノエンと共重合可能な他の単量体としては、たとえば、含フッ素ジエン、側鎖に反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
含フッ素ジエンとしては、後述する重合体(22)の説明で挙げるものと同様のものが挙げられる。側鎖に反応性官能基を有する単量体としては、重合性二重結合および反応性官能基を有する単量体が挙げられる。重合性二重結合としては、CF2=CF-、CF2=CH-、CH2=CF-、CFH=CF-、CFH=CH-、CF2=C-、CF=CF-等が挙げられる。反応性官能基としては、後述する重合体(22)の説明で挙げるものと同様のものが挙げられる。
含フッ素環状モノエンと含フッ素ジエンとの共重合により得られる重合体は重合体(21)とする。
「含フッ素ジエン」とは、2個の重合性二重結合およびフッ素原子を有する環化重合しうる含フッ素単量体である。重合性二重結合としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。含フッ素ジエンとしては、下記化合物(3)が好ましい。
CF2=CF-Q-CF=CF2 ・・・(3)。
式(3)中、Qは、エーテル性酸素原子を含んでいてもよく、フッ素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~5、好ましくは1~3の、分岐を有してもよいペルフルオロアルキレン基である。該フッ素以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Qは、エーテル性酸素原子を含むペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。その場合、前記ペルフルオロアルキレン基におけるエーテル性酸素原子は、前記ペルフルオロアルキレン基の一方の末端に存在していてもよく、前記ペルフルオロアルキレン基の両末端に存在していてもよく、前記ペルフルオロアルキレン基の炭素原子間に存在していてもよい。環化重合性の点から、前記ペルフルオロアルキレン基の一方の末端にエーテル性酸素原子が存在していることが好ましい。
CF2=CFOCF2CF=CF2、
CF2=CFOCF(CF3)CF=CF2、
CF2=CFOCF2CF2CF=CF2、
CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2、
CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2、
CF2=CFOCFClCF2CF=CF2、
CF2=CFOCCl2CF2CF=CF2、
CF2=CFOCF2OCF=CF2、
CF2=CFOC(CF3)2OCF=CF2、
CF2=CFOCF2CF(OCF3)CF=CF2、
CF2=CFCF2CF=CF2、
CF2=CFCF2CF2CF=CF2、
CF2=CFCF2OCF2CF=CF2。
含フッ素ジエンと共重合可能な他の単量体としては、たとえば、側鎖に反応性官能基を有する単量体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。
なお、以下、ペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)を「BVE」という。
pは、10~800の整数が好ましく、10~500の整数が特に好ましい。
重合体(2)の具体例としては、BVE環化重合体(旭硝子社製:サイトップ(登録商標))、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(4-メトキシ-1,3-ジオキソール)共重合体(ソルベイ社製:ハイフロン(登録商標)AD)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)共重合体(Dupont社製:テフロン(登録商標)AF)、 ペルフルオロ(4-メチル-2-メチレン-1,3-ジオキソラン)重合体(MMD重合体)が好ましい。
本発明の電荷注入層が含む半導体材料は、有機半導体でもよく、無機半導体でもよいが、屈折率の制御が容易であり、含フッ素重合体との混合が容易である観点から、有機半導体であることが好ましい。
本発明の電荷注入層が含む半導体材料は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
前記無機半導体材料としては、たとえば、MoO3、WOx(xは任意の正数)で表される酸化タングステン等の金属酸化物が挙げられる。MoO3は、陽極側から正孔の注入を受けて輸送する正孔注入材料として好適である。
前記有機半導体材料は、半導体的な電気特性を示す有機化合物材料である。有機半導体材料は、陽極から正孔の注入を受けて輸送する正孔注入材料と、陰極から電子の注入を受けて輸送する電子注入材料とに分類できる。本発明にはどちらも好適に用いられるが、正孔注入材料が特に好適に用いられる。
本発明の電荷注入層は、例えば、含フッ素重合体と半導体材料の混合物に公知のドライコート法およびウェットコート法を適用することによって、製造することができる。
各成分の蒸着速度を適宜調整することにより、形成する電荷注入層に含まれる各成分の含有比率を調整することができる。
本態様によれば、各材料成分が均一に混合され易いため、屈折率が充分に低く、均一な材料組成を有する本発明の電荷注入層を歩留り良く製造できる。
基板として、酸化インジウムスズ(ITO)が成膜されたガラス基板を用いる。その基板を中性洗剤、アセトン、イソプロパノールを用いて順次超音波洗浄する。その後、イソプロパノール中で煮沸洗浄して、オゾン処理装置に導入してITO膜表面の不要な不純物を除去する。
この基板を真空蒸着機内に置き、圧力10-4Pa以下に真空引きした上で、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などの含フッ素重合体と、HAT-CNなどの有機半導体材料、もしくはMoO3などの無機半導体材料を真空蒸着機内で抵抗加熱し、共蒸着を行うことで電荷注入層をそれぞれの基板上に作製する。全ての材料の合計の蒸着速度は2.0Å/sが好ましい。
これらのウェットコート法を用いて、電荷注入層を形成する液状組成物を所望の基材上に塗布し、乾燥、硬化することによって電荷注入層を形成することができる。
前記液状組成物に希釈溶媒等の揮発成分が含まれる場合、さらに前記揮発成分を蒸発させる工程を有することが好ましい。
前記液状組成物に含まれる各成分の含有割合を適宜調整することにより、形成する電荷注入層に含まれる各成分の含有比率を調整することができる。
本態様によれば、各材料成分が均一に混合され易いため、屈折率が充分に低く、均一な材料組成を有する本発明の電荷注入層を歩留り良く製造できる。
基板として、酸化インジウムスズ(ITO)が成膜されたガラス基板を用いる。その基板を中性洗剤、アセトン、イソプロパノールを用いて順次超音波洗浄する。その後、イソプロパノール中で煮沸洗浄して、オゾン処理装置に導入してITO膜表面の不要な不純物を除去する。
スチレンアクリル樹脂を水とメタノールの混合液(1:1、v/v)に10wt%の濃度で加える。銅フタロシアニン(CuPc)などの半導体材料とポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの含フッ素重合体をスチレンアクリル樹脂に対してそれぞれ10wt%の濃度で加え、4時間超音波処理機で分散する。上述の基板をスピンコーターに導入し、基板上にこの超音波処理分散液を垂らして、スピンコートする。得られた塗布基板を200℃、10分間ホットプレート上でベークして、塗布膜を形成した基板を得る。
したがって、本発明の電荷注入層は、物理蒸着法によって成膜された物理蒸着層であることが好ましい。
本発明の電荷注入層は、特に有機電界発光素子(有機EL素子)に好適である。有機電界発光素子は、トップエミッション型であってもよく、ボトムエミッション型であってもよい。これらの有機電界発光素子は、たとえば、有機ELディスプレイ、有機EL照明等の有機ELデバイスに実装することができる。
本発明の電荷注入層は、主材料の有機半導体に加えてドーパントとして無機化合物を含んでいてもよく、主材料の有機半導体に加えてドーパントとして別の有機化合物(ただし、含フッ素重合体を除く。)を含んでいてもよいし、主材料の無機半導体に加えてドーパントとして有機化合物(ただし、含フッ素重合体を除く。)を含んでいてもよいし、主材料の無機半導体に加えてドーパントとして別の無機半導体を含んでいてもよい。
前記含フッ素重合体の含有割合は、前記含フッ素重合体と前記半導体材料と前記ドーパントとの合計に対して、30~70体積%が好ましく、35~65体積%がより好ましい。含フッ素重合体の含有割合が30体積%以上であると、電荷注入層の屈折率が低下しやすくなる。含フッ素重合体の含有割合が70体積%以下であると、電荷注入層の基本的性能としての導電性が維持されやすい。
本発明の電界発光素子は、たとえば以下の方法で作製する。
陽極1上に前記作製方法により正孔注入層2を作製し、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6、および陰極7を順次積層して図1に示した積層構造10を作製する。作製した有機ELデバイスの陰極と陽極に電圧をかけると素子が駆動して発光する。低屈折率の正孔注入層を用いると陽極のプラズモン吸収を抑制できるため、光取出し効率が高くなり、高い発光特性が得られる。
本発明の有機光電子素子は、陽極と、発光層と、陰極とを備え、陽極に接する正孔注入層、および陰極に接する電子注入層のうち少なくとも一方を備える。また、陽極に接する正孔注入層、および陰極に接する電子注入層のうち少なくとも一方として、本発明の電荷注入層を備える。
また、発光層と正孔注入層の間に正孔輸送層を備える場合、正孔注入層の厚さと正孔輸送層の厚さの比は特に制限されないが、光取出し効率向上の観点から、1:20~100:1が好ましく、1:10~50:1がより好ましく、1:2~30:1がさらに好ましい。
本発明の有機光電子素子は、ボトムエミッション型でも、トップエミッション型でもよい。
エネルギー準位が高いとは、真空準位により近いことを意味し、エネルギー準位が低いとは、真空準位から遠いことを意味する。
正孔輸送層の材料としては、たとえば、α-NPD、PDA、TAPC、TPD、m-MTDATA等が挙げられるが、これらに限定されない。
これら正孔輸送層の材料は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。正孔輸送層は、正孔注入層と共通する材料を含んでいてもよい。また、上記正孔輸送層の形成材料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発光層は、電子輸送層または電子注入層の機能を兼ね備えていてもよい。
発光層の材料としては、蛍光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料、りん光材料等、公知のものを採用することができる。たとえば、発光層14の形成材料としては、(E)-2-(2-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)-6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン)マロノニトリル(DCM)、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-ジュロリジル-9-エニル-4H-ピラン(DCM2)、Rubrene、Coumarin6、Ir(ppy)3、(ppy)2Ir(acac)等の発光ドーパント材料、4,4‘-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル(CBP)、3,3'-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)-1,1'-ビフェニル(mCBP)等のりん光ホスト材料、ADN、Alq3等の蛍光ホスト材料、ポリフェニレンビニレン(PPV)、MEH-PPV等のポリマー材料が挙げられるが、これらに限定されない。発光層14の形成材料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、所望の発光波長に応じて適宜選択される。発光層14の屈折率は、波長域450nm~800nmにおいて1.65~1.90であり、たとえば波長600nmにおいて1.70~1.80である。
電子輸送層の材料としては、たとえば、下記のAlq3、PBD、TAZ、BND、OXD-7、2,2’,2''-(1,3,5-ベンジントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンズイミダゾール)(TPBi)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)、t-Bu-PBD、シロール誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。電子輸送層は、電子注入層または発光層と共通する材料を含んでいてもよい。
前記電荷注入層は、前述した本発明の電荷注入層であり、前記含フッ素重合体および前記半導体材料を含み、前記電荷注入層の波長域450nm~800nmにおける屈折率が1.60以下である。
前記反射電極は、陽極であってもよく、陰極であってもよい。
前記反射電極の材料としては、たとえば、Ag、AlまたはAlNd等のAl合金等が挙げられる。
前記反射電極は、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムドープ酸化錫)やIZO(Indium Zinc Oxide:インジウムドープ酸化亜鉛)等の導電性金属酸化物を形成材料とする層と、AgやAl等の金属材料を形成材料とする反射層との積層構造を有していてもよい。
前記電荷注入層は、前述した本発明の電荷注入層であり、前記含フッ素重合体および前記半導体材料を含み、前記電荷注入層の波長域450nm~800nmにおける屈折率が1.60以下である。
前記透明電極は、陽極であってもよく、陰極であってもよいが、光取出し効率を容易に高める観点から陽極であることが好ましい。
前記透明電極としては、たとえば、ガラス基板の表面にITO等の透明導電層が形成されたITOコートガラス基板が挙げられる。
前記の好適な屈折率の各層を配置することにより、図1に例示した有機光電子素子からの光取出し効率を20~30%程度に高めることが容易となる。
以上説明したように、本発明の電荷注入層は、含フッ素重合体および半導体材料を含み、波長域450nm~800nmにおける屈折率が1.60以下である。この構成を有する本発明の電荷注入層は、半導体材料のみからなる一元系の電荷注入層の屈折率より低い屈折率を有することができる。この結果、有機光電子素子の光取り出し効率が向上する。
以下、本発明の実施方法を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されない。
JIS K 7142に準拠して測定した。
含フッ素重合体の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。まず、分子量既知のPMMA標準試料を、GPCを用いて測定し、ピークトップの溶出時間と分子量から、較正曲線を作成した。ついで、含フッ素重合体を測定し、較正曲線からMwとMnを求めた。移動相溶媒には1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)ペンタン/ヘキサフルオロイソプロピルアルコール(体積比で85/15)の混合溶媒を用いた。
含フッ素重合体の固有粘度[η]を測定温度30℃でアサヒクリン(登録商標)AC2000(旭硝子社製)を溶媒として、ウベローデ型粘度計(柴田科学社製:粘度計ウベローデ)により測定した。
真空示差熱天秤(アドバンス理工社製:VPE-9000)を用いて300℃における蒸発速度および飽和蒸気圧を測定した。
含フッ素重合体50mgを内径7mmのセルに仕込み、1×10-3Paの真空度にて、毎分2℃で昇温し、300℃における蒸発速度g/m2・秒を測定した。飽和蒸気圧の算出には蒸発速度と前記GPC測定でもとめたMwを用いた。
多入射角分光エリプソメトリー(ジェー・エー・ウーラム社製:M-2000U)を用いて、シリコン基板上の膜に対して、光の入射角を45~75度の範囲で5度ずつ変えて測定を行った。それぞれの角度において、波長450~800nmの範囲で約1.6nmおきにエリプソメトリーパラメータであるΨとΔを測定した。前記の測定データを用い、有機半導体の誘電関数をCauchyモデルによりフィッティング解析を行い、各波長の光に対する電荷注入層の屈折率と消衰係数を得た。
ソースメータ(Keithley社製:Keithley(登録商標)2401)により、ITO(酸化インジウムスズ)側を陽極、アルミニウム側を陰極として電圧を印加しながら、電圧毎に導電性評価用素子に流れる電流を測定した。
BVE:ペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)
1H-PFH:1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサン
IPP:ジイソプロピルペルオキシジカーボネート
BVEの30g、1H-PFHの30g、メタノールの0.5gおよびIPPの0.44gを、内容積50mlのガラス製反応器に入れた。系内を高純度窒素ガスにて置換した後、40℃で24時間重合を行った。得られた溶液を、666Pa(絶対圧)、50℃の条件で脱溶媒を行い、含フッ素重合体の28gを得た。得られた含フッ素重合体の固有粘度[η]は、0.04dl/gであった。
次いで、得られた含フッ素重合体を特開平11-152310号公報の段落[0040]に記載の方法により、フッ素ガスにより不安定末端基を-CF3基に置換し、含フッ素重合体Aを得た。
得られた含フッ素重合体Aの波長600nmの光に対する屈折率は1.34、固有粘度[η]は、0.04dl/gであった。含フッ素重合体AのMwは9,000、Mnは6,000、Mw/Mnは1.5、300℃における飽和蒸気圧は0.002Pa、300℃における蒸発速度0.08g/m2secであった。
≪光学計算による効果の検証≫
電荷注入層(正孔注入層2)が含フッ素重合体を含むことで低屈折率となることで、光取出し効率が向上する効果を検証するため、Setfos4.6(サイバーネット社製)を用いてシミュレーションした。
≪トップエミッション型有機EL素子における光学計算≫
実施例1~3では、正孔注入層2として、低屈折率正孔注入層(波長550nmにおける屈折率が1.56である正孔注入層)を用いた。実施例1~3の膜厚をそれぞれ10nm、35nm、60nmとした。
一方、比較例1~3では、正孔注入層2として、HAT-CN正孔注入層(波長550nmにおける屈折率が1.79である正孔注入層)を用いた。比較例1~3の膜厚をそれぞれ10nm、35nm、60nmとした。
正孔注入層2の膜厚が10nm、35nm、60nmの3条件において、電子輸送層5の膜厚を50nm~250nmの範囲で30nm間隔で掃引し、正孔輸送層3の膜厚を10nm~300nmの範囲で30nm間隔で掃引し、正孔輸送層13の薄膜側(1次共振)と厚膜側(2次共振)において光取出し効率が最大となる条件を算出した。解析の結果を、表1および図2および図3に示す。
≪ボトムエミッション型有機EL素子における光学計算≫
基板としてガラス(厚み1mm)、陽極1としてITO(厚み100nm)、正孔注入層2として下記のもの、正孔輸送層3としてα-NPD(厚み30nm)、発光層4としてIr(ppy)3(発光ゲスト)とCBP(厚み30nm)(発光ホスト)、電子輸送層5としてTPBi、電子注入層6としてLiF(厚み0.8nm)、および陰極7としてAl(厚み100nm)を順次積層し、図1に示した積層構造1を有するボトムエミッション型有機EL素子にて光学計算を実施した。
実施例4~6では、実施例1~3と同じ設定を用い、低屈折率正孔注入層(波長550nmにおける屈折率が1.56である正孔注入層)を正孔注入層2とした。実施例4~6の膜厚をそれぞれ10nm、35nm、60nmとした。
一方、比較例4~6では、比較例1~3と同じ設定を用いて、HAT-CN正孔注入層(波長550nmにおける屈折率が1.79である正孔注入層)を正孔注入層2とした。比較例4~6の膜厚をそれぞれ10nm、35nm、60nmとした。
正孔注入層2の膜厚が10nm、35nm、60nmの3条件において、電子輸送層5の膜厚と、正孔輸送層3の膜厚を10nm~100nmの範囲で5nm間隔で掃引し、光取出し効率が最大となる条件を算出した。解析の結果を、表2および図4に示す。
≪導電性評価用素子の作製≫
評価用の有機EL素子を作製するための基板として、2mm幅の帯状にITO(酸化インジウムスズ)が成膜されたガラス基板を用いた。その基板を中性洗剤、アセトン、イソプロピルアルコールを用いて超音波洗浄し、さらにイソプロピルアルコール中で煮沸洗浄した上で、オゾン処理によりITO膜表面の付着物を除去した。この基板を真空蒸着機内に置き、圧力10-4Pa以下に真空引きした上で、HAT-CNと含フッ素重合体Aを、HAT-CNと含フッ素重合体Aの体積比が50:50となるように、真空蒸着機内で抵抗加熱し、共蒸着を行うことで、正孔注入層として基板上に10nm成膜した。2つの材料の合計の蒸着速度は0.2nm/sとした。その後、α-NPDを真空蒸着機内で抵抗加熱し、蒸着速度0.1nm/sで正孔輸送層を100nm積層した。さらに、アルミニウムを抵抗加熱で2mm幅の帯状に蒸着し、導電性評価用素子を得た。2mm幅のITOと2mm幅のアルミニウムが交差した2mm×2mmが素子面積となる。
[比較例7]
含フッ素重合体Aを用いないで、HAT-CNのみを正孔注入層として基板上に10nm蒸着した以外は実施例7と同様にして、電荷注入層および導電性評価用素子を作製した。
≪屈折率測定用素子の作製≫
約2cm角程度にカットしたシリコン基板を、それぞれ中性洗剤、アセトン、イソプロパノールを用いて超音波洗浄し、さらにイソプロパノール中で煮沸洗浄した上で、オゾン処理により基板表面の付着物を除去した。この基板をそれぞれ真空蒸着機内に置き、圧力10-4Pa以下に真空引きした上で、HAT-CNと含フッ素重合体Aとを、体積比率が50:50になるように、真空蒸着機内で抵抗加熱し、共蒸着を行うことで厚み約100nmの正孔注入層を基板上に作製した。得られた正孔注入層の波長600nmの光に対する屈折率は1.55であった。
[比較例8]
含フッ素重合体Aを用いないで、HAT-CNのみを基板上に100nm蒸着した以外は実施例8と同様にして、電荷注入層および導電性評価用素子を作製した。得られた正孔注入層の波長600nmの光に対する屈折率は1.78であった。
なお、2017年08月24日に出願された日本特許出願2017-161640号の明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
2 正孔注入層
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 電子注入層
7 陰極
10 有機光電子素子
Claims (16)
- 正孔注入層であって、
前記正孔注入層は、含フッ素重合体および半導体材料を含み、
前記正孔注入層の波長域450nm~800nmにおける屈折率が、1.60以下であり、
前記含フッ素重合体の1×10-3Pa以下の真空度において300℃における蒸発速度が、0.01g/m2sec以上であり、
前記含フッ素重合体のガラス転移点が、60℃以上であり、
前記含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環を有さず、フルオロオレフィンに由来する単位を有する含フッ素重合体、または、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体であり、
前記主鎖に脂肪族環を有さず、フルオロオレフィンに由来する単位を有する含フッ素重合体が、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニルフルオリド、ポリクロロトリフルオロエチレン、および、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、正孔注入層。 - (前記含フッ素重合体の含有量):(前記半導体材料の含有量)で表される体積比が70:30~5:95である、請求項1に記載の正孔注入層。
- ドーパントを含む、請求項1または2に記載の正孔注入層。
- 前記含フッ素重合体の含有割合が、前記含フッ素重合体と前記半導体材料と前記ドーパントとの合計に対して、30~70体積%である、請求項3に記載の正孔注入層。
- 前記ドーパントの含有割合が、前記半導体材料の全物質量100モル部に対して、10~200モル部である、請求項3または4に記載の正孔注入層。
- 前記正孔注入層は物理蒸着層である、請求項1~5のいずれか一項に記載の正孔注入層。
- 前記含フッ素重合体の波長域450nm~800nmにおける屈折率が1.5以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の正孔注入層。
- 前記含フッ素重合体が、主鎖に脂肪族環構造を有するペルフルオロ重合体である請求項1~7のいずれか1項に記載の正孔注入層。
- 前記ペルフルオロ重合体が、ポリペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)である、請求項8に記載の正孔注入層。
- 前記ポリペルフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)の固有粘度が、0.01~0.14dl/gである、請求項9に記載の正孔注入層。
- 前記含フッ素重合体の重量平均分子量が、1,500~50,000である請求項1~10のいずれか1項に記載の正孔注入層。
- 陽極と、前記陽極に対向して設けられた陰極と、前記陽極と陰極の間に設けられた発光層と、前記陽極の前記発光層側に設けられた正孔注入層を備え、
前記正孔注入層は、請求項1~11のいずれか一項に記載の正孔注入層である有機光電子素子。 - 前記発光層と前記正孔注入層の間に正孔輸送層を備え、前記正孔注入層の厚さと前記正孔輸送層の厚さの比が1:2~30:1である、請求項12に記載の有機光電子素子。
- 請求項1~11のいずれか一項に記載の正孔注入層の製造方法であって、
陽極上に、前記含フッ素重合体と前記半導体材料とを共蒸着させる工程を含む、正孔注入層の製造方法。 - 請求項1~11のいずれか一項に記載の正孔注入層の製造方法であって、
陽極上に、前記含フッ素重合体と前記半導体材料とを含む液状組成物を塗布する工程を含む、正孔注入層の製造方法。 - 請求項12または13に記載の有機光電子素子の製造方法であって、
請求項14または15に記載の方法によって前記正孔注入層を形成する工程を含む、有機光電子素子の製造方法。
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