JP7079413B2 - 二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
このような構成によれば、プレスによって扁平形状の捲回電極体を作製した際に、扁平形状の捲回電極体のR部において層間の隙間が生じても、後の工程で温度変化サイクルを付与することによってセパレータを収縮させ、この収縮力を利用して層間の隙間を減少させることができる。すなわち、このような構成によれば、扁平形状の捲回電極体のR部における層間の隙間が減少した、二次電池の製造方法が提供される。
当該捲回工程では、まず正極シート50と負極シート60とセパレータシート70とを準備する。これらは、公知方法に従い作製して準備することができる。
正極シート50を構成する正極集電体52としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。
正極活物質層54は、正極活物質を含有する。正極活物質層54に含まれる正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNiO2、LiCoO2、LiFeO2、LiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO4等)等が挙げられる。
正極活物質層54は、活物質以外の成分、例えば導電材やバインダ等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。
負極シート60を構成する負極集電体62としては、例えば銅箔等が挙げられる。
負極活物質層64は、負極活物質を含有する。負極活物質層64に含まれる負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料;チタン酸リチウム(Li4Ti5O12:LTO);Si;Sn等を使用し得る。
負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
具体的には、正極シート50と、負極シート60とを、これらの間にセパレータシート70が介在するように重ね合わせる。このとき、図1に示すように、正極シート50の正極活物質層非形成部分52aと負極シート60の負極活物質層非形成部分62aとが、セパレータシート70の幅方向の端部から、それぞれ反対方向にはみ出すように重ね合わせる。
プレス工程を行うことにより、図2に示すような断面形状の、2つのR部24a,24bと、扁平部22とを有する、扁平形状の捲回電極体20を作製することができる。
(なお、図2の線Wは、捲回電極体20の断面の輪郭において、曲線の始点と終点とを結ぶ線である。)
まず、図3に示すような開口部を有する電池ケース30の本体と、非水電解液の注入口を有する電池ケース30の蓋体とを用意する。当該開口部は、捲回電極体20を挿入可能な寸法を有する。蓋体は、電池ケース30の本体の開口部を塞ぐ寸法を有する。また、蓋体には、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36と、非水電解液を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。電池ケース30には、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
非水電解液は従来のリチウムイオン二次電池と同様のものを使用可能であり、典型的には有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩を含有させたものを用いることができる。非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(FDMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が例示される。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4等のリチウム塩(好ましくはLiPF6)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
なお、上記非水電解液は、例えば、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上述のように、正極シート50、負極シート60、およびセパレータシート70の積層体を捲回した後、上記プレス工程によりプレスすると、扁平形状の捲回電極体20のR部24a,24bにおいて、捲回電極体20の層間の一部に隙間が生じうる。隙間が生じると、正極シート50と負極シート60との間の距離(すなわち、極間距離)が大きくなるため、これに起因して電池抵抗が上昇する。
そこで、本工程で、リチウムイオン二次電池組立体100に温度変化サイクルを付与することによって、セパレータシート70を不可逆的に収縮させ、このときの収縮力によって生じた隙間を減少させる。
温度変化サイクルの付与方法としては、公知の恒温槽等を使用して、リチウムイオン二次電池組立体100を低温下に置いた後高温下に置く方法などが挙げられる。
例えば、セパレータシート70がポリオレフィン製である場合には、低温としては、-65℃以上-45℃以下の範囲内の温度が好適であり、高温としては、65℃以上80℃以下の範囲内の温度が好適である。
低温下および高温下に置く時間としては、特に制限はないが、例えば1時間以上24時間以下、好ましくは3時間以上10時間以下、より好ましくは4時間以上8時間以下である。
付与する温度変化サイクルの回数としては、本発明の効果が得られる限り特に制限はないが、回数が多過ぎると抵抗低減効果が小さくなる。そのため、好ましくは1~5回であり、より好ましくは1~3回であり、最も好ましくは1回である。
正極活物質粉末としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、LNCM:AB:PVdF=87:10:3の質量比でN-メチルピロリドン(NMP)と混合し、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状のアルミニウム箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、ロールプレスすることにより、正極シートを作製した。
負極活物質として、天然黒鉛系炭素材料(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比でイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状の銅箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、ロールプレスすることにより、負極シートを作製した。
セパレータシートとして、PP/PE/PPの三層構造の多孔質ポリオレフィンシートを2枚用意した。
上記作製した正極シートと負極シートと用意した2枚のセパレータシートとを重ね合わせて積層体を作製した。次いで、捲回機を用いてこの積層体を捲回した後、プレス処理を行って扁平形状に成形した。これにより、扁平形状の捲回電極体を得た。
電池ケースの蓋体に端子類を取り付けた。端子類と捲回電極体の電極とを溶接して電気的に接続し、これを、注液口を有する電池ケース本体に収容した。
電池ケースの蓋体とケース本体とを溶接により封止した。続いて、電池ケースの注液口から非水電解液を注入し、当該注液口を気密に封止した。なお、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
このようにして得られたリチウムイオン二次電池組立体に、活性化処理を行った。具体的には、リチウムイオン二次電池組立体を0.3Cの電流値で4.10Vまで定電流充電した後、0.3Cの電流値で3.00Vまで定電流放電した。この充放電を3回繰り返した。
以上のようにして、評価用リチウムイオン二次電池組立体を作製した。
25℃の温度環境下で、SOC56%に調整した各評価用リチウイオンム二次電池組立体を、60Aのレートで10秒間放電し、そのときの放電カーブより抵抗値を求めた。
活性化した評価用リチウムイオン二次電池組立体に、-45℃の低温下に6時間および65℃の高温下に6時間置く温度変化サイクルを1回または2回付与した。これにより得られたリチウムイオン二次電池を解体し、セパレータを取り出して寸法を測定し、永久歪の指標として収縮率(%)を求めた。結果を図4に示す。
図4の結果が示すように、温度変化サイクルの付与によってセパレータが収縮し、また温度変化サイクルの付与回数が増加するにつれて、セパレータの収縮率が大きくなることが確認できた。
その結果、低温については-45℃~-65℃の温度範囲において電池抵抗が低下することが確認でき、高温については65℃~80℃の温度範囲において電池抵抗が低下することが確認できた。
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
100 リチウムイオン二次電池(リチウムイオン二次電池組立体)
Claims (1)
- 正極と、負極と、ポリオレフィン製のセパレータとの積層体を捲回する工程と、
前記捲回した積層体をプレスして、扁平形状の捲回電極体を作製する工程と、
前記捲回電極体と、非水電解液とが電池ケースに収容された電池組立体を作製する工程と、
前記電池組立体に、-65℃以上-45℃以下の温度下に1時間以上24時間以下置いた後65℃以上80℃以下の温度下に1時間以上24時間以下置く温度変化サイクルを1~5回付与して前記セパレータを不可逆的に収縮させる工程と、
を包含する、二次電池の製造方法。
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