JP6895079B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。
非水電解液二次電池はその普及に伴い、さらなる高性能化が望まれている。非水電解液二次電池の性能を向上させるために、非水電解液の支持塩として、リチウムテトラフェニルボレートなどの無極性アニオン塩を使用することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特表2008−535182号公報
本発明者の検討によれば、非水電解液二次電池の高出力化にあたっては、ヘプタン等の誘電率が非常に低い無極性溶媒を非水電解液に用いることでLiイオンの脱溶媒和エネルギーを低くすることにより、内部抵抗を減少させることが考えられる。しかしながら、無極性溶媒は、Li塩のような極性溶質を溶解させる能力が低い。そこで、特許文献1に開示されているような無極性アニオン塩をLi塩として用いることが考えられる。しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、単に無極性溶媒と無極性アニオン塩とを用いたのでは、繰り返し充放電した際に内部抵抗が高くなり、サイクル特性が低いという問題があることを見出した。
そこで本発明は、充放電サイクルを繰り返しても内部抵抗が低く抑えられた非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
ここに開示される非水電解液二次電池は、正極と、負極と、非水電解液と、を含む。前記非水電解液は、カーボネート系溶媒と、無極性溶媒と、添加溶媒と、無極性アニオン塩および有機イミド塩の混合塩とを、含有する。前記カーボネート系溶媒は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:1:1の体積比で含む。前記無極性溶媒は、n−ヘプタンまたはトルエンを含む。前記添加溶媒は、アセトンを含む。前記無極性アニオン塩は、リチウムテトラフェニルボレートを含む。前記有機イミド塩は、リチウムビス(フルオロスルホニウム)イミドを含む。前記非水電解液中の、前記無極性溶媒、前記添加溶媒、および前記混合塩の合計含有割合は、30モル%以下である。前記無極性溶媒と、前記添加溶媒と、前記無極性アニオン塩と、前記有機イミド塩の含有比は、25モル%:25モル%:25モル%:25モル%である。
このような構成によれば、非水電解液に誘電率が非常に低い無極性溶媒を添加することにより、脱溶媒和エネルギーを低くすることができ、内部抵抗を低くすることができる。さらに、n−ヘプタンまたはトルエンを用いることにより、非水電解液の耐電圧が高くなる。加えて、結合エネルギーの低い塩であるLiFSIだけでなく、無極性アニオンの塩であるリチウムテトラフェニルボレートを用い、かつ、両性溶媒であるアセトンを用いることによって、Liイオンを電離しやすくすることができる。よって、このような構成によれば、充放電サイクルを繰り返しても内部抵抗が低く抑えられた非水電解液二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の内部構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 実験Aにおける、充放電サイクル後の内部抵抗(DC−IR)と、非水電解液中の、無極性溶媒、添加溶媒、および塩の添加量(合計含有割合)との関係を示すグラフである。 実験Bにおける、充放電サイクル後の内部抵抗(DC−IR)と、非水電解液中の、無極性溶媒、添加溶媒、および塩の添加量(合計含有割合)との関係を示すグラフである。 実験Cにおける、充放電サイクル後の内部抵抗(DC−IR)と、非水電解液中の、無極性溶媒、添加溶媒、および塩の添加量(合計含有割合)との関係を示すグラフである。 実験Dにおける、充放電サイクル後の内部抵抗(DC−IR)と、非水電解液中の、無極性溶媒、添加溶媒、および塩の添加量(合計含有割合)との関係を示すグラフである。 実験Aの系の非水電解液と従来の系の非水電解液のイオン導電率の比較結果を示すグラフである。 実験Bの系の非水電解液と従来の系の非水電解液のイオン導電率の比較結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない非水電解液二次電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、いわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。
また、「非水電解液二次電池」とは、非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持電解質を含む非水電解液)を備えた電池をいう。
以下、扁平形状の捲回電極体と扁平形状の電池ケースとを有する扁平角型のリチウムイオン二次電池を例にして、本発明について詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に記載されたものに限定することを意図したものではない。
図1に示すリチウムイオン二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と非水電解液(図示せず)とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型電池である。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。また、電池ケース30には、非水電解液を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
捲回電極体20は、図1および図2に示すように、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された正極シート50と、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成された負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。なお、捲回電極体20の捲回軸方向(即ち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の両端から外方にはみ出すように形成された正極活物質層非形成部分52a(即ち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)と負極活物質層非形成部分62a(即ち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)には、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極シート50および負極シート60には、従来のリチウムイオン二次電池に用いられているものと同様のものを特に制限なく使用することができる。典型的な一態様を以下に示す。
正極シート50を構成する正極集電体52としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。正極活物質層54に含まれる正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO等)等が挙げられる。正極活物質層54は、活物質以外の成分、例えば導電材やバインダ等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。
負極シート60を構成する負極集電体62としては、例えば銅箔等が挙げられる。負極活物質層64に含まれる負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
本実施形態においては、非水電解液は、カーボネート系溶媒と、無極性溶媒と、添加溶媒と、無極性アニオン塩および有機イミド塩の混合塩とを、含有する。
上記カーボネート系溶媒は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:1:1の体積比で含む。なお、当該体積比には、有効数字1桁の範囲内で含まれていればよい。
上記無極性溶媒は、n−ヘプタンまたはトルエンを含む。無極性溶媒は、誘電率が非常に低いため、脱溶媒和エネルギーが小さい溶媒である。n−ヘプタンおよびトルエンは、電位窓が高いため高耐久性(高い耐電圧)を有する。また、非水電解液がn−ヘプタンおよびトルエンを含有することによって、粘度を低くすることができ、これによりイオン導電性が高くなる。上記無極性溶媒は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内でその他の無極性溶媒を含有していてもよい。その他の無極性溶媒の例としては、n−ヘキサン、n−オクタン、ベンゼン等が挙げられる。
上記添加溶媒は、アセトンを含む。添加溶媒は、無極性溶媒と極性溶媒とを相溶させる溶媒であり、また塩を高解離度で溶解させる成分であり、イオン導電率の向上にも寄与する。上記添加溶媒は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内でアセトン以外の添加溶媒を含有していてもよい。アセトン以外の添加溶媒の例としては、β−ジケトン類(例、アセチルアセトン、テノイルフルオロアセトン、ジベンゾイルメタン等)、ジアミン類(例、テトラメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン等)、ピペリジン、クラウンエーテル(例、12−クラウン−4等)などのキレート剤として機能する溶媒や、メチル−tert−ブチルエーテル、トリエチルアミン、ピリジン、1,4−ジオキサン、イソプロピルエーテル、エチレングリコールなどの両性溶媒が挙げられる。
上記無極性アニオン塩は、リチウムテトラフェニルボレートを含む。無極性アニオン塩の無極性アニオンは、上記無極性溶媒に溶解する。
上記有機イミド塩は、リチウムビス(フルオロスルホニウム)イミド(LiFSI)を含む。LiFSIは、結合エネルギーの低い塩であり、よって解離する能力が高くイオン導電性が高い。上記有機イミド塩は、本発明の範囲を著しく損なわない範囲内で、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムトリフラート等の結合エネルギーの低い塩を含有していてもよい。
上記非水電解液中の、上記無極性溶媒、上記添加溶媒、および上記混合塩の合計含有割合が30モル%以下である。これらの合計含有量が30モル%を超えると、上記添加溶媒が電気分解することによってサイクル特性に悪影響を及ぼし得る。この合計含有割合は、10モル%以上27モル以下が好ましく、15モル%以上25モル%以下がより好ましい。
上記非水電解液中の上記カーボネート系溶媒の含有割合は70モル%以上である。
上記無極性溶媒、上記添加溶媒、および上記無極性アニオン塩は、非水電解液に溶解するために、等モル含有される。また、導電性確保の観点から、混合塩において、無極性アニオン塩と有機イミド塩とは、等モル含有される。そこで、上記無極性溶媒と、上記添加溶媒と、上記無極性アニオン塩と、上記有機イミド塩の含有比は、25モル%:25モル%:25モル%:25モル%である。なお、当該含有比には、有効数字2桁の範囲内で含まれていればよい。
なお、非水電解液は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した成分以外の成分、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;増粘剤;等の各種添加剤をさらに含有していてもよい。
後述の実施例の結果が示すように、本発明者の検討により、反応抵抗においては、Liイオンの周囲の脱溶媒和が律速過程になっていることがわかった。以上のように、非水電解液に誘電率が非常に低い無極性溶媒を添加することにより、脱溶媒和エネルギーを低くすることができ、そしてこれにより脱溶媒和を迅速に起こすことができ、内部抵抗を低くすることができる。さらに、n−ヘプタンまたはトルエンを用いることにより、非水電解液の耐電圧が高くなる。一方で、無極性溶媒は、Li塩のような極性溶質を溶解する能力に乏しい。そこで、結合エネルギーの低い塩であるLiFSIだけでなく、無極性アニオンの塩であるリチウムテトラフェニルボレートを用い、かつ、両性溶媒であるアセトンを用いることによって、Liイオンを容易に電離させることができる。よって、このような構成によれば、充放電サイクルを繰り返しても内部抵抗が低く抑えられた、非水電解液二次電池であるリチウムイオン二次電池100が提供される。この非水電解液二次電池であるリチウムイオン二次電池100は、充放電サイクルを繰り返しても内部抵抗が低く抑えられているため、出力が高い。
以上のようにして構成されるリチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
なお、一例として扁平形状の捲回電極体20を備える角形のリチウムイオン二次電池100について説明した。しかしながら、ここに開示される非水電解液二次電池は、積層型電極体を備えるリチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、ここに開示される非水電解液二次電池は、円筒形リチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、ここに開示される非水電解液二次電池は、リチウムイオン二次電池以外の非水電解液二次電池として構成することもできる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実験A>
正極活物質として粒子径5μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、導電材とを混合し、分散媒を加えてスラリーを作製した。このスラリーをアルミ箔上に目付10mg/cmで塗工し、真空乾燥して活物質層を形成した後、電極面積25cmにカットして正極を得た。
負極活物質として粒子径10μmの天然黒鉛に分散剤を加えてスラリーを作製した。このスラリーを銅箔上に目付8mg/cmで塗工し、真空乾燥して活物質層を形成した後、電極面積25cmにカットして負極を得た。
セパレータとして、空隙率約48%のポリエチレンシートを用意した。
正極の活物質層と負極の活物質層とが対向し、かつ正極と負極とが絶縁されるように、正極、セパレータ、および負極を積層して電極体を得た。
得られた電極体をラミネートフィルムに固定した後、非水電解液を注入し、封止した。
その後、50℃、1Cでの充放電を5回繰り返して活性化を行って、評価用リチウムイオン二次電池を得た。
非水電解液としては、カーボネート系溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを1:1:1の体積比で含む混合溶媒を、無極性溶媒としてn−ヘプタンを、添加溶媒としてアセトンを、無極性アニオン塩としてリチウムテトラフェニルボレート(LiBPh)を、有機イミド塩として、リチウムビス(フルオロスルホニウム)イミド(LiFSI)を含有するものを用いた。この非水電解液において、無極性溶媒と、添加溶媒と、無極性アニオン塩と、有機イミド塩の含有比は、25モル%:25モル%:25モル%:25モル%とした。非水電解液中の、無極性溶媒、添加溶媒、および混合塩の添加量(合計含有割合)は、0モル%、5モル%、10モル%、15モル%、20モル%、25モル%、または30モル%とした。
得られたリチウムイオン二次電池について所定の充放電レートで充放電を行い、充放電1サイクル後、10サイクル後、および100サイクル後について内部抵抗(DC−IR)を測定した。内部抵抗は、25℃でSOC60%の充電状態とした後、10℃の環境下に置いて10Cで放電を行い、放電10秒後の電圧降下から算出した。
結果を図3に示す。
<実験B>
無極性溶媒としてn−ヘプタンの代わりにトルエンを用いた以外は実験Aと同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
この評価用リチウムイオン二次電池について、実験Aと同様の方法で、充放電1サイクル後、10サイクル後、および100サイクル後について内部抵抗を測定した。
結果を図4に示す。
<実験C>
無極性溶媒としてn−ヘプタンの代わりにトルエンを用い、混合塩ではなくLiBPhのみを用いた以外は実験Aと同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
この評価用リチウムイオン二次電池について、実験Aと同様の方法で、充放電1サイクル後、10サイクル後、および100サイクル後について内部抵抗を測定した。
結果を図5に示す。
<実験D>
無極性溶媒としてn−ヘプタンの代わりにトルエンを用い、混合塩ではなくLiFSIのみを用いた以外は実験Aと同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製した。なお、実験Dでは、無極性アニオン塩が使用されていないため、非水電解液において相分離が見られた。
この評価用リチウムイオン二次電池について、実験Aと同様の方法で、充放電1サイクル後、10サイクル後、および100サイクル後について内部抵抗を測定した。
結果を図6に示す。
実験Aおよび実験Bが、本実施形態に係る非水電解液二次電池に該当する電池の実験例(ただし、非水電解液中の、無極性溶媒、添加溶媒、および混合塩の添加量(合計含有割合)が、0モル%であるものを除く)である。図3および図4と、図5および図6との比較より、実験A〜実験Dのすべてにおいて、サイクル数の増加に伴い耐久性の悪化(内部抵抗の増加)が見られるが、実験Aおよび実験Bは、実験Cおよび実験Dに比べて、耐久性の悪化(内部抵抗の増加)の程度が顕著に小さい。このことより、本実施形態に係る非水電解液二次電池では、充放電サイクルを繰り返しても内部抵抗が低く抑えられていることがわかる。
特に実験Aでは、非水電解液中の、無極性溶媒、添加溶媒、および混合塩の添加量が20モル%において内部抵抗が最小値となっており、このとき、出力では従来と比べて約4.2%増加する。
特に実験Bでは、非水電解液中の、無極性溶媒、添加溶媒、および混合塩の添加量が25モル%において内部抵抗が最小値となっており、このとき、出力では従来と比べて約2.1%増加する。
また、従来の系の非水電解液として、ECとDMCとEMCとを1:1:1の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてLiPFを含有させたものを作製し、イオン導電率を測定した。また、実験Aの系の非水電解液、および実験Bの系の非水電解液についてもイオン導電率を測定した。実験Aの系の非水電解液と従来の系の非水電解液のイオン導電率の比較結果を図7に、実験Bの系の非水電解液と従来の系の非水電解液のイオン導電率の比較結果を図8に示す。
また、実験Aの系の非水電解液および実験Bの系の非水電解液について、脱溶媒和エネルギーを求めた。
図7の結果より、無極性溶媒としてn−ヘプタンを用いた実験Aの系では、従来の系(非水溶媒としてEC:DMC:EMC=1:1:1を含有、支持塩としてLiPFを含有)と比べて4.5倍ほど高いイオン導電率を示した。一方、図8の結果より、無極性溶媒としてトルエンを用いた実験Bの系では、従来の系と比べて2倍ほど低いイオン導電率を示した。
これに対し、脱溶媒和エネルギーについては、実験Aの系では、従来の系と比べて、0.482倍に抑えられており、実験Bの系でも、従来の系と比べて0.5倍程度に抑えられていた。
イオン導電率は、内部抵抗(DC−IR)と相関があると考えられるが、実験Aの系と実験Bとの系とで傾向に違いがあり、脱溶媒和エネルギーに関しては、実験Aの系と実験Bの系とで同じ傾向が見られた。よって、反応抵抗においては、Li周囲での脱溶媒和が律速過程となっており、誘電率が非常に低い無極性溶媒を用いることによって、脱溶媒和エネルギーを低くすることができることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
100 リチウムイオン二次電池

Claims (1)

  1. 正極と、負極と、非水電解液と、を含む非水電解液二次電池であって、
    前記非水電解液は、カーボネート系溶媒と、無極性溶媒と、添加溶媒と、無極性アニオン塩および有機イミド塩の混合塩とを、含有し、
    前記カーボネート系溶媒は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:1:1の体積比で含み、
    前記無極性溶媒は、n−ヘプタンまたはトルエンを含み、
    前記添加溶媒は、アセトンを含み、
    前記無極性アニオン塩は、リチウムテトラフェニルボレートを含み、
    前記有機イミド塩は、リチウムビス(フルオロスルホニウム)イミドを含み、
    前記非水電解液中の、前記無極性溶媒、前記添加溶媒、および前記混合塩の合計含有割合が、5モル%以上30モル%以下であり、
    前記無極性溶媒と、前記添加溶媒と、前記無極性アニオン塩と、前記有機イミド塩の含有比が、25モル%:25モル%:25モル%:25モル%
    であることを特徴とする非水電解液二次電池。
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