(第1実施形態)
[全体構成]
以下、第1実施形態について説明する。本実施形態に係る弁装置である三方弁P0は、室外熱交換器と膨張弁との間に配設され、冷房、暖房の切換のために冷凍サイクルの冷媒の流れ方向を切り替える。この三方弁P0は、3つの流体出入口を有する。冷凍サイクルは、車両用空調装置で用いられる冷凍サイクルでもよい。3つの流体出入口は、図1A、図1Bに示すように、第1ポート1、第2ポート2及び第3ポート3である。
図1Aに示すように、三方弁P0に対して非通電の状態において、第2ポート2に低圧冷媒が作用し、高圧冷媒が第1ポート1から第3ポート3に流動する。また、図1Bに示すように、三方弁P0に対して通電された状態において、第3ポート3に高圧冷媒が作用し、低圧冷媒が第1ポート1から第2ポート2に流動する。このように、三方弁P0に対する非通電または通電が切り換わることで、冷媒の流れの方向が切り換わる。
三方弁P0は、図2、図3に示すように、アルミ合金製等の金属製のブロック体100と、ブロック体100に取り付けられたバルブモジュールX0とを有する。ブロック体100の正面には第2ポート2およびネジ孔9が形成され、また、その左上部にはチェック弁蓋22が装着されている。さらに、図3に示すように、ブロック体100の右側面には第1ポート1およびネジ孔9が形成されている。また、図4に示すように、ブロック体100の底面には第3ポート3及びネジ孔9が形成されている。
[ブロック体100]
次に、ブロック体100の内部に形成される弁部Aおよびチェック弁部Cについて説明する。図5は図2のV-V断面図で、ブロック体100の水平断面を示している。図6は図2のVI-VI断面図、図7は図2のVII-VII断面図である。図5、図6、図7のいずれも、三方弁P0に対して非通電の状態を示している。
上記ブロック体100の右側面に第1ポート1、正面に第2ポート2および下面に第3ポート3がそれぞれ形成されており、また、図5に示すように、第1ポート1には第1ポート管路1aが連続して形成されている。また、図7に示すように、第2ポート2には第2ポート管路2aが連続して形成されている。また、図6に示すように、第3ポート3には第3ポート管路3aが連続して形成されている。
[弁部A]
図5に示すように、第1ポート管路1aの端部には、弁部Aが配置されている。弁部Aは、図7に示すように、弁室10と、弁座11と、弁蓋12と、弁体13と、バネ受け凹部14と、バネ16と、ボール弁15と、を備えている。
弁室10は、ブロック体100内に形成された円柱状の空間およびそれを囲むブロック体100の内面を含む。弁座11は、弁室10の底部に形成される。弁蓋12は、弁室10の上方の径大部においてブロック体100に螺合される。弁体13は、弁室10内で上下に摺動可能に配置されているピストン状の部材である。バネ受け凹部14は、弁体13の上部に形成された凹みである。バネ16は、弁蓋12と弁体13の間にある弁背圧室17内に配置される。ボール弁15は、弁体13の下面にカシメ結合されたボール形状の部材である。そして、弁室10の側部には第1ポート管路1aが連結される。
弁体13とボール弁15から成る部材は、弁室10内において変位することで、弁室10を通じた第1ポート1と第2ポート2との間の連通、遮断を切り替えて冷媒の流量を調整する弁体である。
[バルブモジュールX0の構成]
ここで、バルブモジュールX0の構成について、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14を用いて説明する。
図7、図8に示すように、バルブモジュールX0は、マイクロバルブX1、バルブケーシングX2、封止部材X3、2つのOリングX4、X5、2本の電気配線X6、X7を有している。
マイクロバルブX1は、板形状の弁部品であり、主として半導体チップによって構成されている。マイクロバルブX1は、半導体チップ以外の部品を有していてもいなくてもよい。したがって、マイクロバルブX1を小型に構成できる。マイクロバルブX1の厚さ方向の長さは例えば2mmであり、厚さ方向に直交する長手方向の長さは例えば10mmであり、長手方向にも厚さ方向にも直交する短手方向の長さは例えば5mmであるが、これに限定されない。マイクロバルブX1への通電、非通電が切り替わることで、開閉が切り替わる。具体的には、マイクロバルブX1は、通電時に開弁し、非通電時に閉弁する常閉弁である。三方弁P0への通電、非通電とは、このマイクロバルブX1への通電、非通電を意味する。マイクロバルブX1は、パイロット弁として機能する。
電気配線X6、X7は、マイクロバルブX1の表裏にある2つの板面のうち、バルブケーシングX2とは反対側の面から伸びて、封止部材X3、バルブケーシングX2内を通過して、バルブモジュールX0の外部にある電源に接続される。これにより、電気配線X6、X7を通して、電源からマイクロバルブX1に電力が供給される。
バルブケーシングX2は、マイクロバルブX1を収容する樹脂製のケーシングである。バルブケーシングX2は、ポリフェニレンサルファイドを主成分として樹脂成形によって形成されている。バルブケーシングX2は、一方側に底壁を有し、他方側が開放された箱体である。バルブケーシングX2の底壁は、マイクロバルブX1とブロック体100とが直接接しないように、ブロック体100とマイクロバルブX1の間に介在する。そして、この底壁の一方側の面がブロック体100に接触して固定され、他方側の面がマイクロバルブX1の2つの板面のうち一方に接触して固定される。このようになっていることで、マイクロバルブX1とブロック体100の線膨張係数の違いをバルブケーシングX2が吸収できる。これは、バルブケーシングX2の線膨張係数が、マイクロバルブX1の線膨張係数とブロック体100の線膨張係数の間の値となっているからである。
また、バルブケーシングX2の底壁は、マイクロバルブX1に対向する板形状のベース部X20と、マイクロバルブX1から離れる方向に当該ベース部X20から突出する柱形状の第1突出部X21、第2突出部X22を有する。
第1突出部X21、第2突出部X22は、ブロック体100に形成された凹みに嵌め込まれている。第1突出部X21には、マイクロバルブX1側端から第3連通孔8側端まで貫通する第1連通孔XV1が形成されている。冷凍サイクルにおいて三方弁P0の外部から第3ポート2に直接繋がる流路と、第3連通孔8とは、第3ポート2を介して、常に連通する。したがって、第3連通孔8は、外部連通路に対応する。第2突出部X22には、マイクロバルブX1側端からパイロット孔7側端まで貫通する第2連通孔XV2が形成されている。
封止部材X3は、バルブケーシングX2の開放された上記他方側を封止するエポキシ樹脂製の部材である。封止部材X3は、マイクロバルブX1の表裏にある2つの板面のうち、バルブケーシングX2の底壁側とは反対側の板面を、覆う。また、封止部材X3は、電気配線X6、X7を覆うことで、電気配線X6、X7の防水および絶縁を実現する。封止部材X3は樹脂ポッティング等によって形成される。
OリングX4は、第1突出部X21の外周に取り付けられ、ブロック体100と第1突出部X21の間を封止することで、三方弁P0の外部への冷媒の漏出を抑制する。OリングX5は、第2突出部X22の外周に取り付けられ、ブロック体100と第2突出部X22の間を封止することで、三方弁P0の外部への冷媒の漏出を抑制する。
ここで、マイクロバルブX1の構成について更に説明する。マイクロバルブX1は、図9、図10に示すように、いずれも半導体である第1外層X11、中間層X12、第2外層X13を備えたMEMSである。MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemsの略称である。第1外層X11、中間層X12、第2外層X13は、それぞれが同じ外形を有する長方形の板形状の部材であり、第1外層X11、中間層X12、第2外層X13の順に積層されている。すなわち、中間層X12が、第1外層X11と第2外層X13に両側から挟まれている。第1外層X11、中間層X12、第2外層X13のうち、第2外層X13が、バルブケーシングX2の底壁に最も近い側に配置される。後述する第1外層X11、中間層X12、第2外層X13の構造は、化学的エッチング等の半導体製造プロセスによって形成される。
第1外層X11は、表面に非導電性の酸化膜のある導電性の半導体部材である。第1外層X11には、図9に示すように、表裏に貫通する2つの貫通孔X14、X15が形成されている。この貫通孔X14、X15に、それぞれ、電気配線X6、X7のマイクロバルブX1側端が挿入される。
第2外層X13は、表面に非導電性の酸化膜のある導電性の半導体部材である。第2外層X13には、図9、図11、図12に示すように、表裏に貫通する第1冷媒孔X16、第2冷媒孔X17が形成されている。図12に示すように、第1冷媒孔X16はバルブケーシングX2の第1連通孔XV1に連通し、第2冷媒孔X17はバルブケーシングX2の第2連通孔XV2に連通する。第1冷媒孔X16、第2冷媒孔X17の各々の水力直径は、例えば0.1mm以上かつ3mm以下であるが、これに限定されない。
中間層X12は、導電性の半導体部材であり、第1外層X11と第2外層X13に挟まれている。中間層X12は、第1外層X11の酸化膜と第2外層X13の酸化膜に接触するので、第1外層X11と第2外層X13とも電気的に非導通である。図11に示すように、第1固定部X121、第2固定部X122、複数本の第1リブX123、複数本の第2リブX124、スパインX125、アームX126、梁X127、可動部X128を有している。
第1固定部X121は、第1外層X11、第2外層X13に対して固定された部材である。第1固定部X121は、第2固定部X122、第1リブX123、第2リブX124、スパインX125、アームX126、梁X127、可動部X128を同じ1つの冷媒室X19内に囲むように形成されている。冷媒室X19は、第1固定部X121、第1外層X11、第2外層X13によって囲まれた室である。第1固定部X121、第1外層X11、第2外層X13は、全体として基部に対応する。なお、電気配線X6、X7は複数の第1リブX123および複数の第2リブX124の温度を変化させて変位させるための電気配線である。
第1固定部X121の第1外層X11および第2外層X13に対する固定は、冷媒がこの冷媒室X19から第1冷媒孔X16、第2冷媒孔X17以外を通ってマイクロバルブX1から漏出することを抑制するような形態で、行われている。
第2固定部X122は、第1外層X11、第2外層X13に対して固定される。第2固定部X122は、第1固定部X121に取り囲まれると共に、第1固定部X121から離れて配置される。
複数本の第1リブX123、複数本の第2リブX124、スパインX125、アームX126、梁X127、可動部X128は、第1外層X11、第2外層X13に対して固定されておらず、第1外層X11、第2外層X13に対して変位可能である。
スパインX125は、中間層X12の矩形形状の短手方向に伸びる細長い棒形状を有している。スパインX125の長手方向の一端は、梁X127に接続されている。
複数本の第1リブX123は、スパインX125の長手方向に直交する方向におけるスパインX125の一方側に配置される。そして、複数本の第1リブX123は、スパインX125の長手方向に並んでいる。各第1リブX123は、細長い棒形状を有しており、温度に応じて伸縮可能となっている。
各第1リブX123は、その長手方向の一端で第1固定部X121に接続され、他端でスパインX125に接続される。そして、各第1リブX123は、第1固定部X121側からスパインX125側に近付くほど、スパインX125の長手方向の梁X127側に向けてオフセットされるよう、スパインX125に対して斜行している。そして、複数の第1リブX123は、互いに対して平行に伸びている。
複数本の第2リブX124は、スパインX125の長手方向に直交する方向におけるスパインX125の他方側に配置される。そして、複数本の第2リブX124は、スパインX125の長手方向に並んでいる。各第2リブX124は、細長い棒形状を有しており、温度に応じて伸縮可能となっている。
各第2リブX124は、その長手方向の一端で第2固定部X122に接続され、他端でスパインX125に接続される。そして、各第2リブX124は、第2固定部X122側からスパインX125側に近付くほど、スパインX125の長手方向の梁X127側に向けてオフセットされるよう、スパインX125に対して斜行している。そして、複数の第2リブX124は、互いに対して平行に伸びている。
複数本の第1リブX123、複数本の第2リブX124、スパインX125は、全体として、駆動部に対応する。
アームX126は、スパインX125と非直交かつ平行に伸びる細長い棒形状を有している。アームX126の長手方向の一端は梁X127に接続されており、他端は第1固定部X121に接続されている。
梁X127は、スパインX125およびアームX126に対して約90°で交差する方向に伸びる細長い棒形状を有している。梁X127の一端は、可動部X128に接続されている。アームX126と梁X127は、全体として、増幅部に対応する。
アームX126と梁X127の接続位置XP1、スパインX125と梁X127の接続位置XP2、梁X127と可動部X128の接続位置XP3は、梁X127の長手方向に沿って、この順に並んでいる。そして、第1固定部X121とアームX126との接続点をヒンジXP0とすると、中間層X12の板面に平行な面内におけるヒンジXP0から接続位置XP2までの直線距離よりも、ヒンジXP0から接続位置XP3までの直線距離の方が、長い。
可動部X128は、その外形が、梁X127の長手方向に対して概ね90°の方向に伸びる矩形形状を有している。この可動部X128は、冷媒室X19内において梁X127と一体に動くことができる。そして、可動部X128は、そのように動くことで、ある位置にいるときには第1冷媒孔X16と第2冷媒孔X17とを冷媒室X19を介して連通させ、また別の位置にいるときには第1冷媒孔X16と第2冷媒孔X17とを冷媒室X19内において遮断する。可動部X128は、中間層X12の表裏に貫通する貫通孔X120を囲む枠形状となっている。したがって、貫通孔X120も、可動部X128と一体的に移動する。貫通孔X120は、冷媒室X19の一部である。
また、第1固定部X121のうち、複数の第1リブX123と接続する部分の近傍の第1印加点X129には、図9に示した第1外層X11の貫通孔X14を通った電気配線X6のマイクロバルブX1側端が接続される。また、第2固定部X122の第2印加点X130には、図9に示した第1外層X11の貫通孔X15を通った電気配線X7のマイクロバルブX1側端が接続される。
[バルブモジュールX0の作動]
ここで、バルブモジュールX0の作動について説明する。マイクロバルブX1への通電時は、電気配線X6、X7から第1印加点X129、第2印加点X130に電圧が印加される。すると、複数の第1リブX123、複数の第2リブX124を電流が流れる。この電流によって、複数の第1リブX123、複数の第2リブX124が発熱してそれらの温度が上昇する。その結果、複数の第1リブX123、複数の第2リブX124の各々が、その長手方向に膨張する。
このような、温度上昇に伴う熱的な膨張の結果、複数の第1リブX123、複数の第2リブX124は、スパインX125を接続位置XP2側に付勢する。付勢されたスパインX125は、接続位置XP2において、梁X127を押す。このように、接続位置XP2は付勢位置に対応する。その結果、梁X127とアームX126から成る部材は、ヒンジXP0を支点として、接続位置XP2を力点として、一体に姿勢を変える。その結果、梁X127のアームX126とは反対側の端部に接続された可動部X128も、その長手方向の、スパインX125が梁X127を押す側に、移動する。その移動の結果、可動部X128は、図13、図14に示すように、移動方向の先端が第1固定部X121に当接する位置に到達する。以下、可動部X128のこの位置を通電時位置という。
このように、梁X127およびアームX126は、ヒンジXP0を支点とし、接続位置XP2を力点とし、接続位置XP3を作用点とする梃子として機能する。上述の通り、中間層X12の板面に平行な面内におけるヒンジXP0から接続位置XP2までの直線距離よりも、ヒンジXP0から接続位置XP3までの直線距離の方が、長い。したがって、力点である接続位置XP2の移動量よりも、作用点である接続位置XP3の移動量の方が大きくなる。したがって、熱的な膨張による変位量が、梃子によって増幅されて可動部X128に伝わる。
図13、図14に示すように、可動部X128が通電時位置にある場合、貫通孔X120が中間層X12の板面に直交する方向に第1冷媒孔X16、第2冷媒孔X17と重なる。その場合、第1冷媒孔X16と第2冷媒孔X17とが冷媒室X19の一部である貫通孔X120を介して連通する。この結果、第1連通孔XV1と第2連通孔XV2との間で、第1冷媒孔X16、貫通孔X120、第2冷媒孔X17を介した、冷媒の流通が可能となる。つまり、マイクロバルブX1が開弁する。
このときの、マイクロバルブX1における冷媒の流路は、Uターン構造を有している。具体的には、冷媒は、マイクロバルブX1の一方側の面からマイクロバルブX1内に流入し、マイクロバルブX1内を通って、マイクロバルブX1の同じ側の面からマイクロバルブX1外に流出する。そして同様にバルブモジュールX0における冷媒の流路も、Uターン構造を有している。具体的には、冷媒は、バルブモジュールX0の一方側の面からバルブモジュールX0内に流入し、バルブモジュールX0内を通って、バルブモジュールX0の同じ側の面からバルブモジュールX0外に流出する。なお、中間層X12の板面に直交する方向は、第1外層X11、中間層X12、第2外層X13の積層方向である。
また、マイクロバルブX1への非通電時は、電気配線X6、X7から第1印加点X129、第2印加点X130への電圧印加が停止される。すると、複数の第1リブX123、複数の第2リブX124を電流が流れなくなり、複数の第1リブX123、複数の第2リブX124の温度が低下する。その結果、複数の第1リブX123、複数の第2リブX124の各々が、その長手方向に収縮する。
このような、温度低下に伴う熱的な収縮の結果、複数の第1リブX123、複数の第2リブX124は、スパインX125を接続位置XP2とは反対側に付勢する。付勢されたスパインX125は、接続位置XP2において、梁X127を引っ張る。その結果、梁X127とアームX126から成る部材は、ヒンジXP0を支点として、接続位置XP2を力点として、一体に姿勢を変える。その結果、梁X127のアームX126とは反対側の端部に接続された可動部X128も、その長手方向の、スパインX125が梁X127を引っ張る側に、移動する。その移動の結果、可動部X128は、図11、図12に示すように、第1固定部X121に当接しない位置に到達する。以下、可動部X128のこの位置を非通電時位置という。
図11、図12に示すように、可動部X128が非通電時位置にある場合、貫通孔X120は、中間層X12の板面に直交する方向に第1冷媒孔X16と重なるが、当該方向に第2冷媒孔X17とは重ならない。第2冷媒孔X17は、中間層X12の板面に直交する方向に可動部X128と重なる。つまり、第2冷媒孔X17は、可動部X128によって塞がれる。したがってこの場合、第1冷媒孔X16と第2冷媒孔X17とが冷媒室X19内において遮断される。この結果、第1連通孔XV1と第2連通孔XV2との間で、第1冷媒孔X16、第2冷媒孔X17を介した冷媒の流通は阻害される。つまり、マイクロバルブX1が閉弁する。
このように構成されたマイクロバルブX1は、電磁弁と比べて容易に小型化できる。その理由の1つは、マイクロバルブX1が上述の通り半導体チップにより形成されていることである。また、上述の通り、梃子を利用して熱的な膨張による変位量が増幅されることも、そのような梃子を利用しない電磁弁と比べた小型化に寄与する。
また、梃子を利用しているので、熱的な膨張による変位量を可動部X128の移動量より抑えることができる。したがって、可動部X128を駆動するための消費電力も低減することができる。また、電磁弁の駆動時における衝撃音を無くすことができるので、騒音を低減することができる。また、複数本の第1リブX123、複数本の第2リブX124の変位は熱に起因して発生するので、騒音低減効果が高い。
上述のように、マイクロバルブX1もバルブモジュールX0もUターンの構造の冷媒流路を有しているので、ブロック体100の掘り込みを少なくすることができる。つまり、バルブモジュールX0を配置するためにブロック体100に形成された凹みの深さを抑えることができる。その理由は以下の通りである。
例えば、バルブモジュールX0がUターンの構造の冷媒流路を有しておらず、バルブモジュールX0のブロック体100側の面に冷媒入口があり、バルブモジュールX0の反対側の面に冷媒出口があったとする。その場合、バルブモジュールX0の両面に、冷媒流路を形成する必要がある。したがって、バルブモジュールX0の両面の冷媒流路までブロック体100に収容しようとすると、バルブモジュールX0を配置するためにブロック体100に形成しなければならない凹みが深くなってしまう。また、マイクロバルブX1自体が小型であるので、ブロック体100の掘り込みを更に低減することができる。
また、マイクロバルブX1の両面のうち、第1冷媒孔X16、第2冷媒孔X17が形成される面とは反対側の面に電気配線X6、X7を配置した場合、電気配線X6、X7を大気雰囲気により近い側に置くことができる。したがって、電気配線X6、X7への冷媒雰囲気の影響を低減するためのハーメチック等のシール構造が不要となる。その結果、三方弁P0の小型化が実現できる。
また、マイクロバルブX1が軽量であることから、三方弁P0が軽量化される。マイクロバルブX1の消費電力が小さいので、三方弁P0が省電力化される。
[チェック弁部C]
図5に示すように、チェック弁部Cは弁室10の左側面側に水平に形成される。チェック弁部Cは、ブロック体100に穿設されて水平に伸びるチェック弁室20を有している。チェック弁室20の底部(すなわち、図5では上部、図6では左部)には、チェック弁座21が形成される。チェック弁座21の中心孔と弁部Aの弁室10とは、第1連通孔5により連通している。
そして、図5に示すように、チェック弁室20の内部にはピストン状のチェック弁体23が前後方向(すなわち、図5では上下方向)に摺動可能に配置される。チェック弁体23のチェック弁座21側端部(すなわち、図5の上端部、図6では左端部)には、ボール形状のボール弁25がカシメ固定されている。チェック弁体23においてボール弁25側とは反対側には、バネ受け凹部24とチェック弁蓋22とが形成されている。バネ受け凹部24とチェック弁蓋22との間にはバネ26が配置される。該バネ26はボール弁25をチェック弁座21方向に押圧している。なお、チェック弁蓋22は、チェック弁室20の開口部においてブロック体100に螺合されて装着されている。チェック弁蓋22とチェック弁体23との間にはチェック背圧室27が形成されている。また、図6に示すように、チェック背圧室27と第3ポート管路3aとは第2連通孔6により連通されている。
[作用]
上述の通り、ブロック体100内において弁部A、チェック弁部CおよびバルブモジュールX0が立体的に配置されている。したがって、以下の作用の説明においては、図15~図17に加えて、作用の理解を容易にするために、上記各構成を簡単のため平面的に配置し直した図18A、図18B、図19A、図19B、図20A、図20Bによって説明する。なお、図19A、図19B、図20A、図20Bにおいて、高圧の冷媒が存在する領域は濃いハッチングで表され、それよりも低圧の冷媒が存在する領域は薄いハッチングで表される。
図18A、図18Bはその非運転状態の説明図である。図19A、図19Bは、その第1状態、即ち、マイクロバルブX1に非通電で三方弁P0を作動させる状態で、第1ポート1から第3ポート3に高圧冷媒を流す場合の説明図である。図20A、図20Bは、その第2状態、即ち、マイクロバルブX1へ通電して三方弁P0を作動させる状態で、第1ポート1から第2ポート2に低圧冷媒を流す場合の説明図である。
(非運転状態)
図11に示すように、三方弁が非運転状態においては、冷媒の動きはなく、弁部Aはバネ16の弾発力により閉状態となっている。チェック弁部Cもバネ26の弾発力により閉状態となっている。そして、マイクロバルブX1は通電されておらず、マイクロバルブX1は閉弁状態となっている。
(非通電運転・第1ポート1から第3ポート3)
次に、図19A、図19Bに示したように、第1ポート1から第3ポート3に高圧冷媒を流すために、第1ポート1から高圧冷媒が作用したとする。このとき、図19Bおよび図7に示すように、マイクロバルブX1は通電されておらず閉弁状態となっている。したがって、第3連通孔8とパイロット孔7の間は遮断されているので、弁背圧室17の冷媒圧は保持される。そして、弁体13及びボール弁15に対する弁室10の冷媒圧と弁背圧室17の冷媒圧が略等しくなる。また、図19Aに示すように、ボール弁15には、第2ポート管路2a側から低圧冷媒が作用するが、弁体13に対しては、弁背圧室17側からの高圧冷媒圧の方が受圧面積が大きい。したがって、バネ16のバネ圧とあいまってボール弁15は閉状態となっている。
図19A、図5、図6に示すように、弁部Aを通過した高圧冷媒は、第1連通孔5を介してチェック弁部Cのボール弁25に対して下側から(すなわち、図5においては上側から)作用する。即ち、ボール弁25に対して力が開方向に作用する。また、チェック背圧室27内の冷媒は第2連通孔6を介して第3ポート管路3aに流出することになり、従って、背圧が保持できない。したがって、チェック弁部Cは開状態となる。その結果、高圧冷媒は第1ポート1から第3ポート3に流れる。なお、このとき低圧冷媒は第2ポート2に作用しているが、これは必須の構成要件ではない。
(通電運転・第1ポート1から第2ポート2)
次に、第3ポート3に高圧冷媒を作用させ、第1ポート1から第2ポート2に低圧冷媒を流動させる場合について説明する。この場合、マイクロバルブX1は通電されて開弁状態となっている。図20Aに示すように、第1ポート1から弁部Aに低圧冷媒が作用すると、弁室10内は低圧冷媒で満たされる。この時、弁背圧室17に至った低圧冷媒は、図20B、図14の矢印に示すように、パイロット孔7、第2連通孔XV2、第2冷媒孔X17、貫通孔X120、第1冷媒孔X16、第1連通孔XV1、第3連通孔8を通って第2ポート管路2aに流出する。即ち、弁室10内の低圧冷媒は第2ポート管路2aを通って第2ポート2から流出する。
それと共に、ボール弁15が第1ポート管路1aから流れてくる冷媒の動圧を受け、かつ、弁背圧室17が閉空間でないために、弁背圧室17の圧力は第2ポート管路2aの圧力よりも低くなっている。そのため、弁体13の両側の差圧により生じる力がバネ16のバネ力に勝るので、弁室10が開弁する。その結果、弁室10内の低圧冷媒は弁座11から第2ポート管路2aを通って第2ポート2から流出する。
そして、図20Aに示すように、弁室10内の低圧冷媒は、第1連通孔5を通じてボール弁25の下面に至り、ボール弁25を上動させる作用として働く。ところが、第3ポート3から流入した高圧冷媒はチェック弁部Cのチェック弁室20内を満たすことになる。したがって、チェック弁体23及びボール弁25に対するチェック背圧室27からの(すなわち、上から下への)冷媒圧の方が下からの冷媒圧よりも大きいことから、チェック弁部Cは閉状態が保たれることになる。このようにして、第1ポート1から流入した高圧冷媒は第2ポート2に流出することになる。
以上の通り、三方弁P0は、特許文献1に記載の三方弁に比べて、電磁弁ではなくバルブモジュールX0を使用している。したがって、特許文献1に記載の三方弁に比べて、三方弁P0の小型化、静音化が実現する。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。この図21の冷凍サイクルは、車両のフロントシート側とリアシート側にそれぞれ独立に制御可能な空調ユニットを持つ車両用空調装置に使用されるものである。
図21の冷凍サイクルは、圧縮機Q10を備えている。この圧縮機Q10には、動力伝達を断続する不図示の電磁クラッチが装着されている。この電磁クラッチが接続状態になると、図示しない車両エンジンから動力が伝達されて圧縮機Q10は作動し、吸入冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する。凝縮器Q11は、図示しない冷却ファンによる空冷作用を受けて圧縮機Q10からの吐出ガス冷媒を冷却して凝縮させ、この凝縮後の液冷媒は受液器Q12内に流入する。この受液器Q12は、その内部に流入した凝縮冷媒を気液分離して、液冷媒のみを流出させる。
受液器Q12の下流側には、液冷媒を気液2相状態に減圧膨張させる第1、第2の膨張弁Q13、Q14と、この第1、第2の膨張弁Q13、Q14を通過した冷媒を蒸発させる第1、第2の蒸発器Q15、Q16が相互に並列に配設されている。ここで、第1の膨張弁Q13および第1の蒸発器Q15は、車室内前部の計器盤部に配置される前部空調ユニットQ17内に設けられ、車室内のフロントシート側の空調のために使用される。第1の膨張弁Q13は周知のごとく第1の蒸発器Q15の出口冷媒の過熱度を所定値に維持するように弁開度が自動調整される温度式の膨張弁である。第1の膨張弁Q13は、第1の蒸発器Q15の出口冷媒の温度を感知して内部の冷媒圧力が変化する感温筒Q13aを有している。
一方、第2の膨張弁Q14および第2の蒸発器Q16は、車室内後部、例えばワゴンタイプの自動車の天井部に配置される後部空調ユニットQ18内に設けられ、車室内のリアシート側の空調のために使用される。第2の膨張弁Q14は、弁装置である。なお、図示しないが、前部、後部空調ユニットQ17、Q18内に空調用の送風機等が内蔵されていることはもちろんである。第1、第2の蒸発器Q15、Q16の冷媒出口側は合流して圧縮機Q10の吸入側に接続されている。
この第2の膨張弁Q14は、ボックス型膨張弁として構成されており、第2の蒸発器Q16の出口冷媒が流れる低圧冷媒流路Q140およびこの低圧冷媒流路Q140の冷媒温度を感知する後述の感温機構を一体に内蔵している。
このボックス型の第2の膨張弁Q14にバルブモジュールX0が一体に組み付けられている。バルブモジュールX0の構成は、第1実施形態と同じである。バルブモジュールX0に含まれるマイクロバルブX1は、パイロット弁として機能する。
第2の膨張弁Q14は、アルミニウム等の金属で成形された角柱状の弁本体Q141を備えている。弁本体Q141は、ボディに対応する。この弁本体Q141は、図21に示すように、その外周壁の下側寄りの位置に、冷媒流入口Q141aおよび冷媒流出口Q141bを備えている。冷媒流入口Q141aは、受液器Q12からの高圧側液冷媒が流入する。冷媒流出口Q141bは、後述の絞り流路Q144aにて減圧膨張した低圧冷媒を弁本体Q141から流出させる。冷媒流出口Q141bは、第2の蒸発器Q16の冷媒入口Q16aに接続される。冷媒流入口Q141aと冷媒流出口Q141bは、それぞれ第1ポート、第2ポートに対応する。
また、弁本体Q141の上部側の部位において低圧冷媒流路Q140が弁本体Q141の軸直角方向に貫通するように設けられており、そして、この低圧冷媒流路Q140の両端部に、冷媒流入口Q141cと冷媒流出口Q141dが開口している。冷媒流入口Q141cは、第2の蒸発器Q16の冷媒出口Q16bと接続され、第2の蒸発器Q16にて蒸発したガス冷媒が流入する。
この流入ガス冷媒は、さらに、低圧冷媒流路Q140を通って、冷媒流出口Q141dから弁本体Q141外へ流出する。冷媒流出口Q141dは、圧縮機Q10の吸入側に接続される。弁本体Q141の中心部には、段付き内孔Q142が同軸的に形成されており、この段付き内孔Q142は、上記低圧冷媒流路Q140を貫通して、弁本体Q141の中心部を上下方向に延びている。そして、この段付き内孔Q142の下端部に弁座Q143が形成される。この弁座Q143に対向して球形状の弁体Q144が上下動可能に配置されている。この弁座Q143と球形状の弁体Q144との間に、冷媒流入口Q141aからの高圧側液冷媒を減圧膨張させる絞り流路Q144aが、図22に示すように構成される。
この弁体Q144は、収容室Q51内において変位することで、収容室Q51を通じた冷媒流入口Q141aと冷媒流出口Q141bとの間の連通、遮断を切り替えて冷媒の流量を調整する弁体である。
段付き内孔Q142の下側部位には、作動棒Q145が上下方向に移動可能に嵌合している。この作動棒Q145の下端部は球形状の弁体Q144に当接して、球形状の弁体Q144を変位させることができる。また、この作動棒Q145の下側部分に小径部Q145aが形成されている。この小径部Q145aと段付き内孔Q142の内周面との間に、環状の冷媒流路Q145bが形成されている。
弁本体Q141において、段付き内孔Q142から直交する方向に連通孔Q146が形成されている。これにより、環状の冷媒流路Q145bは連通孔Q146の一端に常時連通している。また、連通孔Q146の他端は、バルブモジュールX0の第2連通孔XV2に常時連通している。
また、図21、図23に示すように、弁本体Q141には、冷媒流路Q148が形成されている。この冷媒流路Q148の一方側の端部は、冷媒流出口Q141bに常時連通している。冷媒流路Q148の他方側の端部は、バルブモジュールX0の第1連通孔XV1に常時連通している。冷凍サイクルにおいて第2の膨張弁Q14の外部から冷媒流出口Q141bに直接繋がる流路は、第2の蒸発器Q16の冷媒入口Q16aと冷媒流出口Q141bの間の流路である。この流路と、第3連通孔8とは、第3ポート2を介して、常に連通する。したがって、第3連通孔8は、外部連通路に対応する。
次に、第2の膨張弁Q14の弁体Q144を作動させるための弁体作動機構について説明する。弁体作動機構を構成するダイヤフラム作動器Q30は、上下2つのケーシング部材Q31、Q32と、圧力応動部材であるダイヤフラムQ33とを備えている。ケーシング部材Q31、Q32は、ステンレス系の金属よりなるもので、同じくステンレス系の金属よりなる円板状のダイヤフラムQ33の外周縁部を挟持し、固定している。
ここで、円板状のダイヤフラムQ33は図21の上下方向に弾性変形可能に組み付けられている。ダイヤフラムQ33によりケーシング部材Q31、Q32の内部空間は感温室(すなわち第1圧力室)Q34と均圧室(すなわち第2圧力室)Q35とに仕切られている。上側の感温室Q34内には、所定圧力にて冷凍サイクル循環冷媒と同一の冷媒がキャピラリーチューブQ36により封入されている。なお、下側のケーシング部材Q32の環状開口部Q32aは、弁本体Q141の段付き内孔Q142の上端部に形成された大径開口端部Q142aにネジ止め固定されている。このネジ止め固定部は、ゴム製のOリング(すなわち弾性シール材)Q37にて気密が維持されるように構成されている。
感温棒Q40は、アルミニウム等の熱伝導の良好な金属材料により円柱状に形成されており、そして、蒸発器出口冷媒の温度を感知するために、図21、図22に示すように、蒸発器出口からのガス冷媒が流れる低圧冷媒流路Q140を貫通して配設されている。感温棒Q40の上端部は大径部Q41として構成される。この大径部Q41は均圧室Q35内に配置され、円板状のダイヤフラムQ33の片側の面(すなわち下側面)に当接するようになっている。そのため、感温棒Q40の温度変化は、金属製の薄板からなるダイヤフラムQ33を介して感温室Q34内の冷媒に伝達され、感温室Q34内の冷媒圧力は、低圧冷媒流路Q140を流れる蒸発器出口冷媒の温度に対応した圧力となる。
また、感温棒Q40は弁本体Q141の段付き内孔Q142内に軸方向に摺動可能に嵌合する。これにより、感温棒Q40は、ダイヤフラムQ33の変位を前述した作動棒Q145を介して弁体Q144に伝達する変位伝達部材の役割を兼ねている。このため、感温棒Q40の他端部(すなわち下端部)は、作動棒Q145の一端部(すなわち上端部)に当接している。ここで、段付き内孔Q142の軸方向において、低圧冷媒流路Q140と均圧室Q35との間の部位にはゴム製のOリング(すなわち弾性シール材)Q42が配設されている。このOリングQ42により低圧冷媒流路Q140と均圧室Q35との間の気密が維持されるようになっている。
また、図22に示すように、感温棒Q40の下端部と、段付き内孔Q142の中間段付面Q142bとの間に圧力室Q43が形成されている。また、弁本体Q141には、連通孔Q44が形成されている。連通孔Q44の一端は連通孔Q146に常時連通し、他端は圧力室Q43に常時連通する。
また、感温棒Q40にはその中心部を軸方向に貫通する連通孔Q45が開けてあり、さらに、感温棒Q40の下端部には、溝部Q46が設けられている。このため、感温棒Q40の下端部が作動棒Q145の上端部に当接していても、圧力室Q43は溝部Q46を通して連通孔Q45に常時連通している。
したがって、均圧室Q35には、バルブモジュールX0の第2連通孔XV2と絞り流路Q144aとの間の冷媒圧力が、連通孔Q44、圧力室Q43、溝部Q46、連通孔Q45をこの順に介して、導入される。連通孔Q44、圧力室Q43、溝部Q46、連通孔Q45は、圧力導入流路である。
連通孔Q45には、感温棒Q40の中心部から半径方向に延びる補助連通孔Q45aが接続されており、この補助連通孔Q45aによっても、均圧室Q35に上記冷媒圧力が導入される。
また、段付き内孔Q142の軸方向において、低圧冷媒流路Q140と圧力室Q43との間の部位にはゴム製のOリング(すなわち、弾性シール材)Q47が配設される。このOリングQ47により低圧冷媒流路Q140と圧力室Q43との間の気密が維持されるようになっている。次に、第2の膨張弁Q14の弁体Q144に、所定のバネ力を付与するためのスプリング機構Q50について説明する。弁本体Q141において、段付き内孔Q142の下方側には、スプリング機構Q50の収容室Q51が形成されている。この収容室Q51は、図21に示すように高圧液冷媒が流入する冷媒流入口Q141aに連通している。収容室Q51内の上端部には、ステンレス製の弁体Q144に溶接等の手段で接合された金属製の支持板Q52が配置されている。収容室Q51内には、上述の弁体144も収容されている。したがって、収容室Q51は、弁室でもある。
この支持板Q52にコイルスプリングQ53の一端が当接して支持されている。コイルスプリングQ53の他端は金属製のプラグQ54により支持されている。このプラグQ54は収容室Q51の外部への開口端を閉塞する蓋部材の役割を果たすとともに、弁本体Q141にネジにより脱着可能に固定されている。プラグQ54のネジ止め位置を調整することにより、コイルスプリングQ53の取付荷重を調整して、弁体Q144に作用するバネ力が調整できる。
第2の膨張弁Q14により設定される蒸発器出口冷媒の過熱度は、上記バネ力の調整により調整可能である。また、プラグQ54の先端側の部位には、ゴム製のOリング(すなわち弾性シール材)Q55が配設される。このOリングQ55により収容室Q51と外部との間の気密が維持される。
次に、上記構成に基づく作動を説明する。圧縮機Q10が車両のエンジンから電磁クラッチを介して動力を伝達されて作動すると、圧縮機Q10は第1、第2の蒸発器Q15、Q16の下流側流路の冷媒を吸入、圧縮して、高温高圧のガス冷媒を凝縮器Q11に向けて吐出する。すると、この凝縮器Q11ではガス冷媒が冷却されて凝縮する。
この凝縮後の冷媒は次に受液器Q12内に流入し、冷媒の気液が分離され、液冷媒が受液器Q12から流出して、並列配置された第1、第2の膨張弁Q13、Q14側へ向かう。ここで、車両のリアシート側に乗員が搭乗していない場合は、リアシート側を空調する必要がない。したがって、後部空調ユニットQ18を作動させないよう、マイクロバルブX1が非通電状態とされる。これにより、マイクロバルブX1がって、冷媒流路Q148が閉塞されている。このため、第2の蒸発器Q16の入口側冷媒流路が閉塞され、第2の蒸発器Q16には冷媒が循環しない。
一方、前部空調ユニットQ17側においては、第1の膨張弁Q13にて受液器Q12からの液冷媒が減圧、膨張して、低温低圧の気液2相状態となる。この気液2相冷媒が第1の蒸発器Q15で空調空気から吸熱して蒸発するため、空調空気は冷却され冷風となり、車室内のフロントシート側を空調する。ここで、第1の膨張弁Q13の開度は、周知のごとく感温筒Q13aの感知する蒸発器出口冷媒温度に応じた開度に自動調整され、蒸発器出口冷媒の過熱度を所定値に維持する。
ところで、後部空調ユニットQ18に備えられている第2の膨張弁Q14においては、マイクロバルブX1の閉弁時には、第2の蒸発器Q16に冷媒が循環していない。このため、第2の膨張弁Q14の弁本体Q141内に形成されている低圧冷媒流路Q140の冷媒温度は室温程度の温度まで上昇している。このため、感温室Q34の温度も室温程度になっている。
しかし、本実施形態によると、均圧室Q35に、連通孔Q44、圧力室Q43、溝部Q46、連通孔Q45、補助連通孔Q45aからなる圧力導入流路をこの順に通して、連通孔Q146の冷媒圧力が導入されている。そして、この連通孔Q146は、マイクロバルブX1の閉弁時には、絞り流路Q144a等を介して冷凍サイクルの高圧側に連通して、高圧側圧力になっている。
従って、マイクロバルブX1の閉弁時には、均圧室Q35にサイクル高圧側圧力が作用することになり、かつサイクル高圧側圧力は室温の冷媒飽和圧力より十分高い圧力になっている。そのため、感温室Q34の温度が室温程度まで上昇しても、感温室Q34の圧力より均圧室Q35の圧力の方が十分高くなる。この結果、ダイヤフラム作動器Q30のダイヤフラムQ33は、図22の上方へ弾性変形する。これに伴って、弁体Q144、作動棒Q145、および感温棒Q40がコイルスプリングQ53のバネ力により図22の上方へ変位し、弁体Q144は弁座Q143に着座し、閉弁状態となる。
但し、弁体Q144および弁座Q143とも金属製であるため、弁体Q144は厳密な閉弁状態とはならず、弁体Q144と弁座Q143との間の微小隙間を通して収容室Q51の高圧側圧力が連通孔Q146側へ洩れる。しかし、この弁体Q144と弁座Q143との間の微小隙間は極めて微細な隙間であるので、マイクロバルブX1の閉弁時には、連通孔Q146がほぼ密閉空間の状態となる。この密閉空間内が液冷媒で満たされている場合は、膨張弁周囲の雰囲気温度の上昇により液冷媒が膨張して、密閉空間内の圧力が異常上昇する恐れがある。しかし、連通孔Q146をスプリング機構Q50の収容室Q51に連通させる微小穴Q500が弁本体Q141に設けられているので、液冷媒の膨張による圧力上昇を微小穴Q500を介して収容室Q51側に逃がすことができる。微小穴Q500の抵抗は、絞り流路Q144aに比較して極めて大きい。これにより、連通孔Q146の異常圧力上昇を確実に防止できる。
次に、上記のように第2の膨張弁Q14の弁体Q144が閉弁している状態において、後部空調ユニットQ18を作動させるために、マイクロバルブX1に通電された場合について、説明する。この場合、マイクロバルブX1が開弁する。このとき、第2の膨張弁Q14の弁体Q144が閉弁しているので、マイクロバルブX1の開弁により大流量の冷媒が急激に流れ始めることがない。
つまり、ダイヤフラム作動器Q30の均圧室Q35内の圧力は、マイクロバルブX1の開弁後、前述の圧力導入流路を経て徐々に低圧側圧力まで低下する。これは、圧力導入流路の連通孔Q44が、連通孔Q146、マイクロバルブX1を介して低圧側の冷媒流路Q148に連通しているからである。逆に言えば、冷媒流路Q148が圧力導入流路に圧力を及ぼすからである。したがって、第2の膨張弁Q14の弁体Q144の開度も徐々に増加することになり、その結果、第2の膨張弁Q14を通過する冷媒流量も徐々に増加する。従って、マイクロバルブX1の開弁時に、第2の膨張弁Q14の弁体Q144前後の急激な圧力変動による騒音や、大流量冷媒の急激な流れによる流動音が発生することを効果的に抑制できる。
そして、マイクロバルブX1の開弁後、所定時間が経過すると、ダイヤフラム作動器Q30の均圧室Q35内の圧力は第2の蒸発器Q16の入口側の冷媒圧力(すなわち、蒸発器入口側の低圧圧力)となる。故に以後は、均圧室Q35内に加わる蒸発器入口側の低圧圧力と、感温室Q34内の蒸発器出口冷媒温度に対応した冷媒圧力との差圧と、コイルスプリングQ53のバネ力との釣り合いに応じた位置に、第2の膨張弁Q14の弁体Q144が変位する。
これにより、第2の膨張弁Q14の弁体Q144は、蒸発器出口冷媒が所定の過熱度を維持するように、絞り流路Q144aの開度を調整して冷媒流量を調整する。つまり、第2の膨張弁Q14は、内部均圧式の膨張弁として、冷媒流量の調整を行う。
以上の通り、第2の膨張弁Q14は、特開平11-182983に記載の膨張弁に比べて、電磁弁ではなくバルブモジュールX0を使用している。したがって、特開平11-182983に記載の膨張弁に比べて、第2の膨張弁Q14の小型化、静音化が実現する。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。図24に示す冷凍サイクルの冷媒回路は、圧縮機R1、四方弁R2、室外熱交換器R3、膨張弁R4、室内熱交換器R5、配管R6、R7を備えている。この冷媒回路は、車両用の空調装置の一部として車両に搭載されてもよいし、車両以外の空調装置の一部として用いられてもよい。
圧縮機R1は、配管R7の途中に配置されて、上流側から流入する冷媒を圧縮して下流側に吐出する。室外熱交換器R3は、配管R6の途中に配置されて、配管R6から流入する冷媒と室外の空気とを熱交換させ、熱交換を行った冷媒を配管R6に流出させる熱交換器である。ここで、室外とは、この冷媒回路が車両に搭載されている場合は、車室の外に相当する。
膨張弁R4は、配管R6の途中において、室外熱交換器R3と室内熱交換器R5の間に配置されて、冷媒を減圧膨張させる。室内熱交換器R5は、配管R6の途中に配置されて、配管R6から流入する冷媒と室内の空気とを熱交換させ、熱交換を行った冷媒を配管R6に流出させる熱交換器である。ここで、室内とは、この冷媒回路が車両に搭載されている場合は、車室の中に相当する。室外熱交換器R3、膨張弁R4、室内熱交換器R5は、この順に直列に配置される。
四方弁R2は、配管R6の両端および、配管R7の両端に接続されて、冷媒回路を流れる冷媒の方向を切り替えることで、冷房回路と暖房回路との切り替えを行う弁装置である。四方弁R2は、車室内に配置されてもよい。
四方弁R2は、シリンダーR21、第1ピストンR22、第2ピストンR23、第1連結軸R24、第2連結軸R25、弁体R26、第1高圧導入流路R28、第2高圧導入流路R29、第1低圧導入流路R30、第1バルブモジュールXA、第2バルブモジュールXBを有する。
まず、第1バルブモジュールXA、第2バルブモジュールXBについて説明する。第1バルブモジュールXAの構成と第2バルブモジュールXBの構成は、接続先を除いて、同じである。
具体的には、第1バルブモジュールXA、第2バルブモジュールXBの各々は、図24に示す構成を有している。第1バルブモジュールXAの構成と第2バルブモジュールXBの構成は、接続先を除いて、同じである。以下、第1バルブモジュールXAとしても第2バルブモジュールXBとしても用いられるものとして、バルブモジュールY0について説明する。
[バルブモジュールY0の構成]
ここで、バルブモジュールY0の構成について、図25、図26、図27、図28、図29、図30を用いて説明する。
図25に示すように、バルブモジュールY0は、マイクロバルブY1、バルブケーシングY2、封止部材Y3、3つのOリングY4、Y5a、Y5b、2本の電気配線Y6、Y7、変換プレートY8を有している。
マイクロバルブY1は、板形状の弁部品であり、主として半導体チップによって構成されている。マイクロバルブY1は、半導体チップ以外の部品を有していてもいなくてもよい。したがって、マイクロバルブY1を小型に構成できる。マイクロバルブY1の厚さ方向の長さは例えば2mmであり、厚さ方向に直交する長手方向の長さは例えば10mmであり、長手方向にも厚さ方向にも直交する短手方向の長さは例えば5mmであるが、これに限定されない。マイクロバルブY1への供給電力が変動することで、マイクロバルブY1の流路構成が変化する。マイクロバルブY1は、パイロット弁として機能する。
電気配線Y6、Y7は、マイクロバルブY1の表裏にある2つの板面のうち、バルブケーシングY2とは反対側の面から伸びて、封止部材Y3、バルブケーシングY2内を通過して、バルブモジュールY0の外部にある電源に接続される。これにより、電気配線Y6、Y7を通して、電源からマイクロバルブY1に電力が供給される。
変換プレートY8は、マイクロバルブY1とバルブケーシングY2の間に配置される板形状の部材である。変換プレートY8は、ガラス基板である。変換プレートY8の表裏にある2つの板面の一方側は、マイクロバルブY1に対して接着剤で固定され、他方側はバルブケーシングX2に対して接着剤で固定されている。変換プレートY8には、マイクロバルブY1の後述する3つの冷媒孔とバルブケーシングY2の3つの連通孔とを繋げるための流路Y81、Y82、Y83が形成されている。これら流路Y81、Y82、Y83は、一列に並ぶ上記3つの冷媒孔のピッチと、一列に並ぶ上記3つの連通孔のピッチとの違いを、吸収するための部材である。流路Y81、Y82、Y83は、変換プレートY8の表裏にある2つの板面の一方から他方に貫通している。
バルブケーシングX2は、マイクロバルブY1および変換プレートY8を収容する樹脂製のケーシングである。バルブケーシングX2は、ポリフェニレンサルファイドを主成分として樹脂成形によって形成されている。バルブケーシングY2は、一方側に底壁を有し、他方側が開放された箱体である。バルブケーシングY2の底壁は、マイクロバルブY1および変換プレートY8がシリンダーR21に直接接しないように、シリンダーR21とマイクロバルブY1の間に介在する。そして、この底壁の一方側の面がシリンダーR21に接触して固定され、他方側の面が変換プレートY8に接触して固定される。
このようになっていることで、マイクロバルブY1とシリンダーR21の線膨張係数の違いをバルブケーシングY2が吸収できる。これは、バルブケーシングY2の線膨張係数が、マイクロバルブY1の線膨張係数とシリンダーR21の線膨張係数の間の値となっているからである。なお、変換プレートY8の線膨張係数は、マイクロバルブY1の線膨張係数とバルブケーシングY2の線膨張係数の間の値となっている。
また、バルブケーシングY2の底壁は、マイクロバルブY1に対向する板形状のベース部Y20と、マイクロバルブY1から離れる方向に当該ベース部Y20から突出する柱形状の第1突出部Y21、第2突出部Y22、第3突出部Y23を有する。
第1突出部Y21、第2突出部Y22、第3突出部Y23は、シリンダーR21に形成された凹みに嵌め込まれている。第1突出部Y21には、マイクロバルブY1側端からその反対側端まで貫通する第1連通孔YV1が形成されている。第2突出部Y22には、マイクロバルブY1側端からその反対側端まで貫通する第2連通孔YV2が形成されている。第3突出部Y23には、マイクロバルブY1側端からその反対側端まで貫通する第3連通孔YV3が形成されている。第1連通孔YV1、第2連通孔YV2、第3連通孔YV3は一列に並んでおり、第2連通孔YV2と第3連通孔YV3の間に第1連通孔YV1が位置する。
第1連通孔YV1のマイクロバルブY1側端は、変換プレートY8に形成された流路Y81のバルブケーシングY2側端に連通している。第2連通孔YV2のマイクロバルブY1側端は、変換プレートY8に形成された流路Y82のバルブケーシングY2側端に連通している。第3連通孔YV3のマイクロバルブY1側端は、変換プレートY8に形成された流路Y83のバルブケーシングY2側端に連通している。
封止部材Y3は、バルブケーシングY2の開放された上記他方側を封止するエポキシ樹脂製の部材である。封止部材Y3は、マイクロバルブY1の表裏にある2つの板面のうち、変換プレートY8側とは反対側の板面の全体を覆う。また、封止部材Y3は、変換プレートY8の表裏にある2つの板面のうち、バルブケーシングY2の底壁側とは反対側の板面の一部を覆う。また、封止部材Y3は、電気配線Y6、Y7を覆うことで、電気配線Y6、Y7の防水および絶縁を実現する。封止部材Y3は樹脂ポッティング等によって形成される。
OリングY4は、第1突出部Y21の外周に取り付けられ、シリンダーR21と第1突出部Y21の間を封止することで、四方弁R2の外部かつ冷媒回路の外部への冷媒の漏出を抑制する。OリングY5aは、第2突出部Y22の外周に取り付けられ、シリンダーR21と第2突出部Y22の間を封止することで、四方弁R2の外部かつ冷媒回路の外部への冷媒の漏出を抑制する。OリングY5bは、第3突出部Y23の外周に取り付けられ、シリンダーR21と第3突出部Y23の間を封止することで、四方弁R2の外部かつ冷媒回路の外部への冷媒の漏出を抑制する。
ここで、マイクロバルブY1の構成について更に説明する。マイクロバルブY1は、図26、図27に示すように、いずれも半導体である第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13を備えたMEMSである。MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemsの略称である。第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13は、それぞれが同じ外形を有する長方形の板形状の部材であり、第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の順に積層されている。すなわち、中間層Y12が、第1外層Y11と第2外層Y13に両側から挟まれている。第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13のうち、第2外層Y13が、バルブケーシングY2の底壁に最も近い側に配置される。後述する第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の構造は、化学的エッチング等の半導体製造プロセスによって形成される。
第1外層Y11は、表面に非導電性の酸化膜のある導電性の半導体部材である。第1外層Y11には、図26に示すように、表裏に貫通する2つの貫通孔Y14、Y15が形成されている。この貫通孔Y14、Y15に、それぞれ、電気配線Y6、Y7のマイクロバルブY1側端が挿入される。
第2外層Y13は、表面に非導電性の酸化膜のある導電性の半導体部材である。第2外層Y13には、図26、図28、図29に示すように、表裏に貫通する第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18が形成されている。
図29に示すように、第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18は、それぞれ、変換プレートY8の流路Y81、Y82、Y83に連通する。第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18は、一列に並んでいる。第2冷媒孔Y17と第3冷媒孔Y18の間に第1冷媒孔Y16が配置される。第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18の各々の水力直径は、0.1mm以上かつ3mm以下であるが、これに限定されない。
中間層Y12は、導電性の半導体部材であり、第1外層Y11と第2外層Y13に挟まれている。中間層Y12は、第1外層Y11の酸化膜と第2外層Y13の酸化膜に接触するので、第1外層Y11と第2外層Y13とも電気的に非導通である。中間層Y12は、図28に示すように、第1固定部Y121、第2固定部Y122、複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124、スパインY125、アームY126、梁Y127、可動部Y128を有している。
第1固定部Y121は、第1外層Y11、第2外層Y13に対して固定された部材である。第1固定部Y121は、第2固定部Y122、第1リブY123、第2リブY124、スパインY125、アームY126、梁Y127、可動部Y128を同じ1つの冷媒室Y19内に囲むように形成されている。冷媒室Y19は、第1固定部Y121、第1外層Y11、第2外層Y13によって囲まれた室である。第1固定部Y121、第1外層Y11、第2外層Y13は、全体として基部に対応する。なお、電気配線Y6、Y7は複数の第1リブY123および複数の第2リブY124の温度を変化させて変位させるための電気配線である。
第1固定部Y121の第1外層Y11および第2外層Y13に対する固定は、冷媒がこの冷媒室Y19から第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18以外を通ってマイクロバルブY1から漏出することを抑制するような形態で、行われている。
第2固定部Y122は、第1外層Y11、第2外層Y13に対して固定される。第2固定部Y122は、第1固定部Y121に取り囲まれると共に、第1固定部Y121から離れて配置される。
複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124、スパインY125、アームY126、梁Y127、可動部Y128は、第1外層Y11、第2外層Y13に対して固定されておらず、第1外層Y11、第2外層Y13に対して変位可能である。
スパインY125は、中間層Y12の矩形形状の短手方向に伸びる細長い棒形状を有している。スパインY125の長手方向の一端は、梁Y127に接続されている。
複数本の第1リブY123は、スパインY125の長手方向に直交する方向におけるスパインY125の一方側に配置される。そして、複数本の第1リブY123は、スパインY125の長手方向に並んでいる。各第1リブY123は、細長い棒形状を有しており、温度に応じて伸縮可能となっている。
各第1リブY123は、その長手方向の一端で第1固定部Y121に接続され、他端でスパインY125に接続される。そして、各第1リブY123は、第1固定部Y121側からスパインY125側に近付くほど、スパインY125の長手方向の梁Y127側に向けてオフセットされるよう、スパインY125に対して斜行している。そして、複数の第1リブY123は、互いに対して平行に伸びている。
複数本の第2リブY124は、スパインY125の長手方向に直交する方向におけるスパインY125の他方側に配置される。そして、複数本の第2リブY124は、スパインY125の長手方向に並んでいる。各第2リブY124は、細長い棒形状を有しており、温度に応じて伸縮可能となっている。
各第2リブY124は、その長手方向の一端で第2固定部Y122に接続され、他端でスパインY125に接続される。そして、各第2リブY124は、第2固定部Y122側からスパインY125側に近付くほど、スパインY125の長手方向の梁Y127側に向けてオフセットされるよう、スパインY125に対して斜行している。そして、複数の第2リブY124は、互いに対して平行に伸びている。
複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124、スパインY125は、全体として、駆動部に対応する。
アームY126は、スパインY125と非直交かつ平行に伸びる細長い棒形状を有している。アームY126の長手方向の一端は梁Y127に接続されており、他端は第1固定部Y121に接続されている。
梁Y127は、スパインY125およびアームY126に対して約90°で交差する方向に伸びる細長い棒形状を有している。梁Y127の一端は、可動部Y128に接続されている。アームY126と梁Y127は、全体として、増幅部に対応する。
アームY126と梁Y127の接続位置YP1、スパインY125と梁Y127の接続位置YP2、梁Y127と可動部Y128の接続位置YP3は、梁Y127の長手方向に沿って、この順に並んでいる。そして、第1固定部Y121とアームY126との接続点をヒンジYP0とすると、中間層Y12の板面に平行な面内におけるヒンジYP0から接続位置YP2までの直線距離よりも、ヒンジYP0から接続位置YP3までの直線距離の方が、長い。例えば、前者の直線距離を後者の直線距離で除算した値は、1/5以下であってもよいし、1/10以下であってもよい。
可動部Y128は、その外形が、梁Y127の長手方向に対して概ね90°の方向に伸びる矩形形状を有している。この可動部Y128は、冷媒室Y19内において梁Y127と一体に動くことができる。そして、可動部Y128は、中間層Y12の表裏に貫通する貫通孔Y120を囲む枠形状となっている。したがって、貫通孔Y120も、可動部Y128と一体的に移動する。貫通孔Y120は、冷媒室Y19の一部である。
可動部Y128は、上記のように動くことで、第2冷媒孔Y17の貫通孔Y120に対する開度および、第3冷媒孔Y18の貫通孔Y120に対する開度を変更する。第1冷媒孔Y16は、貫通孔Y120に対して常に全開で連通している。
また、第1固定部Y121のうち、複数の第1リブY123と接続する部分の近傍の第1印加点Y129には、図26に示した第1外層Y11の貫通孔Y14を通った電気配線Y6のマイクロバルブY1側端が接続される。また、第2固定部Y122の第2印加点Y130には、図26に示した第1外層Y11の貫通孔Y15を通った電気配線Y7のマイクロバルブY1側端が接続される。
[バルブモジュールY0の作動]
ここで、バルブモジュールY0の作動について説明する。マイクロバルブY1への通電が開始されると、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130の間に電圧が印加される。すると、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124を電流が流れる。この電流によって、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124が発熱する。その結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124の各々が、その長手方向に膨張する。
このような熱的な膨張の結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124は、スパインY125を接続位置YP2側に付勢する。付勢されたスパインY125は、接続位置YP2において、梁Y127を押す。このように、接続位置YP2は付勢位置に対応する。その結果、梁Y127とアームY126から成る部材は、ヒンジYP0を支点として、接続位置YP2を力点として、一体に姿勢を変える。その結果、梁Y127のアームY126とは反対側の端部に接続された可動部Y128も、その長手方向の、スパインY125が梁Y127を押す側に、移動する。
また、マイクロバルブY1への通電が停止されたときは、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130への電圧印加が停止される。すると、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124を電流が流れなくなり、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124の温度が低下する。その結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124の各々が、その長手方向に収縮する。
このような熱的な収縮の結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124は、スパインY125を接続位置YP2とは反対側に付勢する。付勢されたスパインY125は、接続位置YP2において、梁Y127を引っ張る。その結果、梁Y127とアームY126から成る部材は、ヒンジYP0を支点として、接続位置YP2を力点として、一体に姿勢を変える。その結果、梁Y127のアームY126とは反対側の端部に接続された可動部Y128も、その長手方向の、スパインY125が梁Y127を引っ張る側に、移動する。その移動の結果、可動部Y128は、所定の非通電時位置で停止する。
このようなマイクロバルブY1への通電時、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130を介してマイクロバルブY1に供給される電力が大きいほど、非通電時位置に対する可動部Y128の移動量も大きくなる。これは、マイクロバルブY1に供給される電力が高いほど、第1リブY123、第2リブY124の温度が高くなり、膨張度合いが大きいからである。
例えば電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130へ印加される電圧がPWM制御される場合、デューティ比が大きいほど非通電時に対する可動部Y128の移動量も大きくなる。
図28、図29に示すように、可動部Y128が非通電時位置にある場合、貫通孔Y120は、中間層Y12の板面に直交する方向に第1冷媒孔Y16、第3冷媒孔Y18と重なるが、当該方向に第2冷媒孔Y17とは重ならない。第2冷媒孔Y17は、中間層Y12の板面に直交する方向に可動部Y128と重なる。つまりこのとき、貫通孔Y120に対して第1冷媒孔Y16、第3冷媒孔Y18は全開になり、第2冷媒孔Y17は全閉になる。したがってこの場合、第1冷媒孔Y16が第3冷媒孔Y18に可動部Y128を介して連通し、第2冷媒孔Y17は第1冷媒孔Y16とも第3冷媒孔Y18とも遮断される。この結果、第1連通孔YV1と第3連通孔YV3との間で、流路Y81、第1冷媒孔Y16、貫通孔Y120、第3冷媒孔Y18、流路Y83を介した、冷媒の流通が可能となる。
また、図30、図31に示すように、マイクロバルブY1への通電によって可動部Y128が非通電時位置から最も遠ざかった位置にある場合、そのときの可動部Y128の位置を最大通電時位置という。可動部Y128が最大通電時位置にある場合は、マイクロバルブY1へ供給される電力が制御範囲内の最大となる。例えば、可動部Y128が最大通電時位置にある場合、上述のPWM制御においてデューティ比が制御範囲内の最大値(例えば100%)となる。
可動部Y128が最大通電時位置にある場合、貫通孔Y120は、中間層Y12の板面に直交する方向に第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17と重なるが、当該方向に第3冷媒孔Y18とは重ならない。第3冷媒孔Y18は、中間層Y12の板面に直交する方向に可動部Y128と重なる。つまりこのとき、貫通孔Y120に対して第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17は全開になり、第3冷媒孔Y18は全閉になる。したがってこの場合、第1冷媒孔Y16が第2冷媒孔Y17に可動部Y128を介して連通し、第3冷媒孔Y18は第1冷媒孔Y16とも第2冷媒孔Y17とも遮断される。この結果、第1連通孔YV1と第2連通孔YV2との間で、流路Y81、第1冷媒孔Y16、貫通孔Y120、第2冷媒孔Y17、流路Y83を介した、冷媒の流通が可能となる。
また、マイクロバルブY1に供給される電力を(例えばPWM制御で)調整することで、可動部Y128を、非通電時位置と最大通電時位置の間のどの中間位置にでも、停止させることができる。例えば、最大通電時位置と非通電時位置からも等距離の位置(すなわち、中央位置)で可動部Y128を停止させるには、マイクロバルブY1に供給される電力が、制御範囲内の最大値の半分であればいい。例えば、PWM制御のデューティ比が50%であればいい。
可動部Y128が中間位置に停止している場合、第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18は、いずれも貫通孔Y120に連通している。しかし、第2冷媒孔Y17および第3冷媒孔Y18は、貫通孔Y120に対して全開状態ではなく、100%未満かつ0%よりも大きい開度となっている。可動部Y128が中間位置において最大通電位時位置に近づくほど、貫通孔Y120に対する第3冷媒孔Y18の開度が減少し、第2冷媒孔Y17の開度が増大する。
第2冷媒孔Y17に対して高圧が作用し、第3冷媒孔Y18に対して当該高圧よりも高い低圧が作用する。このとき、可動部Y128が中間位置にあれば、第1冷媒孔Y16からマイクロバルブY1の外部に、当該低圧よりも高く当該高圧よりも低い中間圧が作用する。中間圧の値は、可動部Y128に対する第2冷媒孔Y17の開度と第3冷媒孔Y18の開度によって変動する。
以上のように、梁Y127およびアームY126は、ヒンジYP0を支点とし、接続位置YP2を力点とし、接続位置YP3を作用点とする梃子として機能する。上述の通り、中間層Y12の板面に平行な面内におけるヒンジYP0から接続位置YP2までの直線距離よりも、ヒンジYP0から接続位置YP3までの直線距離の方が、長い。したがって、力点である接続位置YP2の移動量よりも、作用点である接続位置YP3の移動量の方が大きくなる。したがって、熱的な膨張による変位量が、梃子によって増幅されて可動部Y128に伝わる。
また、マイクロバルブY1における冷媒の流路は、Uターン構造を有している。具体的には、冷媒は、マイクロバルブY1の一方側の面からマイクロバルブY1内に流入し、マイクロバルブY1内を通って、マイクロバルブY1の同じ側の面からマイクロバルブY1外に流出する。そして同様にバルブモジュールY0における冷媒の流路も、Uターン構造を有している。具体的には、冷媒は、バルブモジュールY0の一方側の面からバルブモジュールY0内に流入し、バルブモジュールY0内を通って、バルブモジュールY0の同じ側の面からバルブモジュールY0外に流出する。なお、中間層Y12の板面に直交する方向は、第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の積層方向である。
このように構成されたマイクロバルブY1は、電磁弁と比べて容易に小型化できる。その理由の1つは、マイクロバルブY1が上述の通り半導体チップにより形成されていることである。また、上述の通り、梃子を利用して熱的な膨張による変位量が増幅されることも、そのような梃子を利用しない電磁弁と比べた小型化に寄与する。また、複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124の変位は熱に起因して発生するので、騒音低減効果が高い。
また、梃子を利用しているので、熱的な膨張による変位量を可動部Y128の移動量より抑えることができるので、可動部Y128を駆動するための消費電力も低減することができる。また、電磁弁の駆動時における衝撃音を無くすことができるので、騒音を低減することができる。
上述のように、マイクロバルブY1もバルブモジュールY0もUターンの構造の冷媒流路を有しているので、シリンダーR21の掘り込みを少なくすることができる。つまり、バルブモジュールY0を配置するためにシリンダーR21に形成された凹みの深さを抑えることができる。その理由は以下の通りである。
例えば、バルブモジュールY0がUターンの構造の冷媒流路を有しておらず、バルブモジュールY0のシリンダーR21側の面に冷媒入口があり、バルブモジュールY0の反対側の面に冷媒出口があったとする。その場合、バルブモジュールY0の両面に、冷媒流路を形成する必要がある。したがって、バルブモジュールY0の両面の冷媒流路までシリンダーR21に収容しようとすると、バルブモジュールY0を配置するためにシリンダーR21に形成しなければならない凹みが深くなってしまう。また、マイクロバルブY1自体が小型であるので、シリンダーR21の掘り込みを更に低減することができる。
また、マイクロバルブY1の両面のうち、第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17が形成される面とは反対側の面に電気配線Y6、Y7を配置した場合、電気配線Y6、Y7を大気雰囲気により近い側に置くことができる。したがって、電気配線Y6、Y7への冷媒雰囲気の影響を低減するためのハーメチック等のシール構造が不要となる。その結果、四方弁R2の小型化が実現できる。
また、マイクロバルブY1が軽量であることから、四方弁R2が軽量化される。マイクロバルブY1の消費電力が小さいので、四方弁R2が省電力化される。
[四方弁R2のバルブモジュール以外の構成]
シリンダーR21は、内部に弁室RV0が形成された筒形状のケーシングである。シリンダーR21ボディに対応する。この弁室RV0内に、第1ピストンR22、第2ピストンR23、第1連結軸R24、第2連結軸R25、弁体R26が収容される。このシリンダーR21の長手方向(すなわち、図24の左右方向)の一方側端部に第1バルブモジュールXAが固定され、他方側端部に第2バルブモジュールXBが固定される。
シリンダーR21の第1バルブモジュールXA側端部には、3つの流路RA1、RA2、RA3が形成されている。流路RA1は、一端において弁室RV0に連通しており、他端において第1バルブモジュールXAの第1連通孔YV1に連通している。流路RA2は、一端において第1高圧導入流路R28に連通しており、他端において第1バルブモジュールXAの第2連通孔YV2に連通している。流路RA3は、一端において第1低圧導入流路R30に連通しており、他端において第1バルブモジュールXAの第3連通孔YV3に連通している。
シリンダーR21の第2バルブモジュールXB側端部には、3つの流路RB1、RB2、RB3が形成されている。流路RB1は、一端において弁室RV0に連通しており、他端において第2バルブモジュールXBの第1連通孔YV1に連通している。流路RB2は、一端において第2高圧導入流路R29に連通しており、他端において第2バルブモジュールXBの第2連通孔YV2に連通している。流路RB3は、一端において第2低圧導入流路R31に連通しており、他端において第2バルブモジュールXBの第3連通孔YV3に連通している。
また、シリンダーR21の1つの側面(すなわち、図24の上側の面)には、1つの開口RP1が形成され、当該開口RP1には配管R7における圧縮機R1の下流側の端部が接続されている。これにより、配管R7における圧縮機R1の下流側と弁室RV0とが、この開口を介して連通する。
また、シリンダーR21の他の側面(すなわち、図24の下側の面)には、3つの開口が形成される。これら3つの開口は、シリンダーR21の長手方向に一列に並んでいる。これら3つの開口のうち、中央の開口RP2には、配管R7における圧縮機R1の上流側の端部が接続されている。これにより、配管R7における圧縮機R1の上流側と弁室RV0とが、この開口を介して連通する。
これら3つの開口のうち、最も第1バルブモジュールXAに近い側にある開口RP3は、配管R6の室内熱交換器R5側端部に接続されている。これら3つの開口のうち、最も第2バルブモジュールXBに近い側にある開口RP4は、配管R6の室外熱交換器R3側端部に接続されている。これにより、配管R6の両端と弁室RV0とが、この2つの開口を介して連通する。
第1ピストンR22は、弁室RV0を第1圧力室RV1とその他に仕切る可動の壁である。この第1ピストンR22により、弁室RV0において第1圧力室RV1とその他の部分との間の冷媒の漏れが防止されている。第1圧力室RV1は、弁室RV0のうち最も第1バルブモジュールXA側にある部分であり、流路RA1の上記一端に常時連通している。
第2ピストンR23は、弁室RV0を第2圧力室RV2とその他に仕切る可動の壁である。こ第2ピストンR23により、弁室RV0において第2圧力室RV2とその他の部分との間の冷媒の漏れが防止されている。第2圧力室RV2は、弁室RV0のうち最も第2バルブモジュールXB側にある部分であり、流路RB1の上記一端に常時連通している。
第1連結軸R24は、シリンダーR21の長手方向に伸びる棒形状の可動部材である。第1連結軸R24は、当該長手方向の第1バルブモジュールXA側端で第1圧力室RV1に固定され、第2バルブモジュールXB側端で弁体R26に固定される。第2連結軸R25は、シリンダーR21の長手方向に伸びる棒形状の可動部材である。第2連結軸R25は、当該長手方向の第2バルブモジュールXB側端で第2圧力室RV2に固定され、第1バルブモジュールXA側端で弁体R26に固定される。
弁体R26は、弁室RV0を第1連通室RV3とその他に仕切る可動のドーム形状の壁である。この弁体R26により、弁室RV0において第1連通室RV3とその他の部分との間の冷媒の漏れが防止されている。第1連通室RV3は、配管R7における圧縮機R1の上流側の端部に常時連通している。
弁体R26は、弁室RV0内において変位することで、弁室RV0を通じた第1ポートと第2ポートとの間の連通、遮断を切り替えて冷媒の流量を調整する弁体である。開口RP1と開口RP3とがそれぞれ第1ポート、第2ポートに対応する。また、開口RP1と開口RP4とがそれぞれ第1ポート、第2ポートに対応する。また、開口RP3と開口RP2とがそれぞれ第1ポート、第2ポートに対応する。また、開口RP4と開口RP2とがそれぞれ第1ポート、第2ポートに対応する。
弁室RV0のうち、第1圧力室RV1、第2圧力室RV2、第1連通室RV3以外の部分は、第2連通室RV4である。第2連通室RV4は、配管R7における圧縮機R1の下流側の端部に常時連通している。
第1ピストンR22、第2ピストンR23、第1連結軸R24、第2連結軸R25、弁体R26は、弁室RV0内でシリンダーR21の長手方向に一体に移動する。このとき、第1ピストンR22、第2ピストンR23が弁室RV0の内壁に対して摺動する。
弁体R26が図24に示すように第1バルブモジュールXA寄りにシフトしている場合は、配管R6の室内熱交換器R5側端が第1連通室RV3に連通すると共に、配管R6の室外熱交換器R3側端が第2連通室RV4に連通する。したがってこのとき、第1連通室RV3を介して配管R6の室内熱交換器R5側端と配管R7における圧縮機R1の上流側端とが連通する。更にこのとき、第2連通室RV4を介して配管R6の室外熱交換器R3側端と配管R7における圧縮機R1の下流側端とが連通する。
弁体R26が図32に示すように第2バルブモジュールXB寄りにシフトしている場合は、配管R6の室外熱交換器R3側端が第1連通室RV3に連通すると共に、配管R6の室内熱交換器R5側端が第2連通室RV4に連通する。したがってこのとき、第1連通室RV3を介して配管R6の室外熱交換器R3側端と配管R7における圧縮機R1の上流側端とが連通する。更にこのとき、第2連通室RV4を介して配管R6の室内熱交換器R5側端と配管R7における圧縮機R1の下流側端とが連通する。
第1高圧導入流路R28、第2高圧導入流路R29、第1低圧導入流路R30、第2低圧導入流路R31は、シリンダーR21の外部に配置された配管である。第1高圧導入流路R28は、一端が配管R7における圧縮機R1の下流側に連通し、他端が流路RA2に連通する。第2高圧導入流路R29は、一端が配管R7における圧縮機R1の下流側に連通し、他端が流路RB2に連通する。第1低圧導入流路R30は、一端が配管R7における圧縮機R1の上流側に連通し、他端が流路RA3に連通する。第2低圧導入流路R31は、一端が配管R7における圧縮機R1の上流側に連通し、他端が流路RB3に連通する。第1高圧導入流路R28、第2高圧導入流路R29、第1低圧導入流路R30、第2低圧導入流路R31の各々は、四方弁R2の外部にある配管R7に常に連通する。したがって、第1高圧導入流路R28、第2高圧導入流路R29、第1低圧導入流路R30、第2低圧導入流路R31の各々は、外部連通路に対応する。
[作動]
以上のように構成された冷媒回路の作動について説明する。以下の作動では、第1バルブモジュールXA、第2バルブモジュールXBにおいては、電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1にPWM制御で供給電力量が調整される。
まず冷房運転について説明する。この場合、第1バルブモジュールXAのマイクロバルブY1に対しては、第1バルブモジュールXAの電気配線Y6、Y7から電力が供給されない。すなわち、PWM制御のデューティ比が0%となる。そして、第2バルブモジュールXBのマイクロバルブY1に対しては、第2バルブモジュールXBの電気配線Y6、Y7から制御範囲内の最大電力が供給される。すなわち、PWM制御のデューティ比が100%となる。
この場合、第1バルブモジュールXAにおいては、図28、図29に示すように、非通電時位置に停止した状態となる。したがって、第1バルブモジュールXAにおいては、第1冷媒孔Y16が流路RA1と連通し、第2冷媒孔Y17は流路RA2から遮断され、第3冷媒孔Y18は流路RA3と連通する。すると、第1バルブモジュールXAにおいては、配管R7における圧縮機R1の上流側の低圧が、第1低圧導入流路R30、流路RA3、第3連通孔YV3内の冷媒を介して、図29の矢印に示すように、第3冷媒孔Y18に対して作用する。更にこの低圧は、第3冷媒孔Y18、貫通孔Y120、第1冷媒孔Y16、流路RA1内の冷媒を介して第1圧力室RV1に作用される。この結果、第1圧力室RV1の冷媒の圧力は、配管R7における圧縮機R1の上流側の低圧冷媒と同じ圧力になる。
またこの場合、第2バルブモジュールXBにおいては、図30、図31に示すように、最大通電時位置に停止した状態となる。したがって、第2バルブモジュールXBにおいては、第1冷媒孔Y16が流路RB1と連通し、第2冷媒孔Y17は流路RB2と連通し、第3冷媒孔Y18は流路RB3から遮断される。すると、第2バルブモジュールXBにおいては、図31の矢印に示すように、配管R7における圧縮機R1の下流側の高圧は、第2高圧導入流路R29、流路RB2、第2連通孔YV2内の冷媒を介して、第2冷媒孔Y17に対して作用する。更にこの高圧の冷媒は、第2冷媒孔Y17、貫通孔Y120、第1冷媒孔Y16、流路RB1内の冷媒を介して第2圧力室RV2に作用される。この結果、第2圧力室RV2の冷媒の圧力は、配管R7における圧縮機R1の下流側の高圧冷媒と同じ圧力になる。
したがってこの場合、第1ピストンR22にはシリンダーR21の長手方向の第1バルブモジュールXA側から低圧が作用し、第2ピストンR23には当該長手方向の第2バルブモジュールXB側から、当該低圧よりも高い高圧が作用する。この圧力差により、第1ピストンR22、第2ピストンR23、第1連結軸R24、第2連結軸R25、弁体R26は、図24に示すように、一体的に、シリンダーR21の第1バルブモジュールXA方向にシフトする。その結果、上述の通り、第1連通室RV3を介して配管R6の室内熱交換器R5側端と配管R7における圧縮機R1の上流側端とが連通する。更にこのとき、第2連通室RV4を介して配管R6の室外熱交換器R3側端と配管R7における圧縮機R1の下流側端とが連通する。
このような流路構成において、圧縮機R1で圧縮されて吐出された高圧の気相冷媒は、配管R7、第2連通室RV4、配管R6をこの順に通って室外熱交換器R3に流入する。室外熱交換器R3に流入した冷媒は、室外の空気と熱交換して冷却されるとともに凝縮する。室外熱交換器R3で凝縮した冷媒は膨張弁R4で減圧された後に室内熱交換器R5に流入する。室内熱交換器R5に流入した冷媒は、室内の空気と熱交換することで当該空気から熱を奪うとともに蒸発する。室内熱交換器R5で蒸発した低圧の気相冷媒は、配管R6、第1連通室RV3、配管R7をこの順に通って圧縮機R1に吸い込まれる。このような作動により、室内の空気が冷却される。すなわち、冷房運転が実現する。
なお、この冷房運転においては、第1バルブモジュールXAにおいて電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1に電力が供給されてもよい。その場合、第1バルブモジュールXAにおいては、上述の中間位置に停止した状態となる。したがって、第1バルブモジュールXAにおいては、第1冷媒孔Y16が流路RA1と連通し、第2冷媒孔Y17が流路RA2と連通し、第3冷媒孔Y18が流路RA3と連通する。
すると、第1バルブモジュールXAにおいては、配管R7における圧縮機R1の下流側の高圧が第2冷媒孔Y17に対して作用すると共に、配管R7における圧縮機R1の上流側の低圧が第3冷媒孔Y18に対して作用する。その結果、第2冷媒孔Y17に作用する高圧と第3冷媒孔Y18に作用する低圧の間の中間圧が、貫通孔Y120、第1冷媒孔Y16、流路RA1内の冷媒を介して第1圧力室RV1に作用される。したがって、第1圧力室RV1の冷媒の圧力が当該中間圧となる。
この中間圧の大きさは、貫通孔Y120に対する第2冷媒孔Y17の開度を第3冷媒孔Y18の開度で除算した値が大きいほど大きい。この、第1圧力室RV1における中間圧が、第2圧力室RV2における圧力よりも低く、その結果として弁体R26が図24に示した位置にあれば、上述の冷房運転は実現する。
また、この冷房運転においては、第2バルブモジュールXBにおいて電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1に供給される電力は、制御範囲内の最大電力よりも小さくてもよい。その場合、第2バルブモジュールXBにおいては、上述の中間位置に停止した状態となる。したがって、第2バルブモジュールXBにおいては、第1冷媒孔Y16が流路RB1と連通し、第2冷媒孔Y17が流路RB2と連通し、第3冷媒孔Y18が流路RB3と連通する。
すると、第2バルブモジュールXBにおいては、配管R7における圧縮機R1の下流側の高圧が第2冷媒孔Y17に対して作用すると共に、配管R7における圧縮機R1の上流側の低圧が第3冷媒孔Y18に対して作用する。その結果、第2冷媒孔Y17に作用する高圧と第3冷媒孔Y18に作用する低圧の間の中間圧が、貫通孔Y120、第1冷媒孔Y16、流路RB1内の冷媒を介して第2圧力室RV2に作用される。
したがって、第2圧力室RV2の冷媒の圧力が当該中間圧となる。この中間圧の大きさは、貫通孔Y120に対する第2冷媒孔Y17の開度を第3冷媒孔Y18の開度で除算した値が大きいほど大きい。この、第2圧力室RV2における中間圧が、第1圧力室RV1における圧力よりも高く、その結果として弁体R26が図24に示した位置にあれば、上述の冷房運転は実現する。
なお、第1圧力室RV1の圧力が中間圧であり、第2圧力室RV2の圧力も中間圧である場合、前者の中間圧が後者の中間圧よりも低く、その結果として弁体R26が図24に示した位置にあれば、上述の冷房運転が実現する。
次に暖房運転について説明する。この場合、第1バルブモジュールXAのマイクロバルブY1に対しては、第1バルブモジュールXAの電気配線Y6、Y7から制御範囲内の最大電力が供給される。すなわち、PWM制御のデューティ比が100%となる。そして、第2バルブモジュールXBのマイクロバルブY1に対しては、第2バルブモジュールXBの電気配線Y6、Y7から電力が供給されない。すなわち、PWM制御のデューティ比が0%となる。
この場合、第1バルブモジュールXAにおいては、図30、図31に示すように、最大通電時位置に停止した状態となる。したがって、第1バルブモジュールXAにおいては、第1冷媒孔Y16が流路RA1と連通し、第2冷媒孔Y17は流路RA2と連通し、第3冷媒孔Y18は流路RA3から遮断される。すると、第1バルブモジュールXAにおいては、図31の矢印に示すように、配管R7における圧縮機R1の下流側の高圧が、第1高圧導入流路R28、流路RA2、第2連通孔YV2内の冷媒を介して、第2冷媒孔Y17に対して作用する。更にこの高圧の冷媒は、第2冷媒孔Y17、貫通孔Y120、第1冷媒孔Y16、流路RB1内の冷媒を介して、第2圧力室RV2に作用される。この結果、第2圧力室RV2内の冷媒の圧力は、配管R7における圧縮機R1の下流側の高圧冷媒と同じ圧力になる。
またこの場合、第2バルブモジュールXBにおいては、図28、図29に示すように、非通電時位置に停止した状態となる。したがって、第2バルブモジュールXBにおいては、第1冷媒孔Y16が流路RB1と連通し、第2冷媒孔Y17は流路RB2から遮断され、第3冷媒孔Y18は流路RB3と連通する。すると、第2バルブモジュールXBにおいては、配管R7における圧縮機R1の上流側の低圧が、第2低圧導入流路R31、流路RB3、第3連通孔YV3を介して、第3冷媒孔Y18に対して作用する。更にこの低圧は、第3冷媒孔Y18、貫通孔Y120、第1冷媒孔Y16、流路RB1内の冷媒を介して第1圧力室RV1の冷媒に作用される。この結果、第1圧力室RV1の圧力は、配管R7における圧縮機R1の上流側の低圧冷媒と同じ圧力になる。
したがってこの場合、第1ピストンR22にはシリンダーR21の長手方向の第1バルブモジュールXA側から高圧が作用し、第2ピストンR23には当該長手方向の第2バルブモジュールXB側から、当該高圧よりも低い低圧が作用する。この圧力差により、第1ピストンR22、第2ピストンR23、第1連結軸R24、第2連結軸R25、弁体R26は、図32に示すように、一体的に、シリンダーR21の第2バルブモジュールXB方向にシフトする。その結果、上述の通り、第1連通室RV3を介して配管R6の室外熱交換器R3側端と配管R7における圧縮機R1の上流側端とが連通する。更にこのとき、第2連通室RV4を介して配管R6の室内熱交換器R5側端と配管R7における圧縮機R1の下流側端とが連通する。
このような流路構成において、圧縮機R1で圧縮されて吐出された高圧の気相冷媒は、配管R7、第2連通室RV4、配管R6をこの順に通って室内熱交換器R5に流入する。室内熱交換器R5に流入した冷媒は、室内の空気と熱交換することで室内の空気を暖めるとともに凝縮する。室内熱交換器R5で凝縮した冷媒は膨張弁R4で減圧された後に室外熱交換器R3に流入する。室外熱交換器R3に流入した冷媒は、室外の空気と熱交換することで当該空気から熱を奪うとともに蒸発する。室外熱交換器R3で蒸発した低圧の気相冷媒は、配管R6、第1連通室RV3、配管R7をこの順に通って圧縮機R1に吸い込まれる。このような作動により、室内の空気が暖められる。すなわち、暖房運転が実現する。
なお、この暖房運転においては、第1バルブモジュールXAにおいて電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1に供給される電力は、制御範囲内の最大電力よりも小さくてもよい。この場合、第2冷媒孔Y17に作用する高圧と第3冷媒孔Y18に作用する低圧の間の中間圧が、貫通孔Y120、第1冷媒孔Y16、流路RA1内の冷媒を介して第1圧力室RV1に作用される。したがって、第1圧力室RV1の冷媒の圧力が当該中間圧となる。この、第1圧力室RV1における中間圧が、第2圧力室RV2における圧力よりも高く、その結果として弁体R26が図32に示した位置にあれば、上述の暖房運転は実現する。
また、この暖房運転においては、第2バルブモジュールXBにおいて電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1に電力が供給されてもよい。この場合、第2冷媒孔Y17に作用する高圧と第3冷媒孔Y18に作用する低圧の間の中間圧が、貫通孔Y120、第1冷媒孔Y16、流路RB1内の冷媒を介して第2圧力室RV2に作用される。したがって、第2圧力室RV2の冷媒の圧力が当該中間圧となる。この、第2圧力室RV2における中間圧が、第1圧力室RV1における圧力よりも低く、その結果として弁体R26が図32に示した位置にあれば、上述の暖房運転は実現する。
なお、第1圧力室RV1の圧力が中間圧であり、第2圧力室RV2の圧力も中間圧である場合、前者の中間圧が後者の中間圧よりも高く、その結果として弁体R26が図32に示した位置にあれば、上述の暖房運転が実現する。
以上の通り、四方弁R2は、特開平11-2876352に記載の四方弁に比べて、電磁弁ではなくバルブモジュールY0を使用している。したがって、特開平11-2876352に記載の四方弁に比べて、四方弁R2の小型化、静音化が実現する。
(第4実施形態)
次に第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態の冷媒回路に対して、圧縮機R1が四方弁R2と一体に構成されるよう変更されている。このために、第3実施形態の配管R7が廃されている。本実施形態の四方弁R2、室外熱交換器R3、膨張弁R4、室内熱交換器R5、配管R6は、以下で別言しない限り、第3実施形態と同じ構成を有している。
図33に示すように圧縮機R1は、金属材料製のハウジングS11を有している。ハウジングS11内には、冷媒を圧縮するための圧縮機構S15と、圧縮機構S15の駆動源である電動モータS16とが収容されている。
ハウジングS11の開口寄りには、軸支部材S17が固定されている。軸支部材S17の中央部には挿通孔S17hが形成されている。そして、軸支部材S17とハウジングS11とにより電動モータS16が収容されるモータ室S12aが区画されている。ハウジングS11内には、回転軸S18が収容されている。回転軸S18の一端側(すなわち、ハウジングS11の開口側)は、軸支部材S17の挿通孔S17hに挿通されるとともに、ベアリングSB1を介して軸支部材S17に回転可能に支持されている。回転軸S18の他端側はハウジングS11に回転可能に支持されている。
電動モータS16は、回転軸S18と一体的に回転するロータS16aと、ロータS16aを取り囲むように吸入ハウジング構成体S12の内周面に固定されたステータ16bとから構成されている。電動モータS16は、インバータS25から電力供給されることにより、作動する。
圧縮機構S15は、固定スクロールS20および旋回スクロールS21により構成されている。固定スクロールS20は、円板状である固定基板S20aと、固定基板S20aから立設される固定渦巻壁S20bとから構成されている。旋回スクロールS21は、円板状である旋回基板S21aと、旋回基板S21aから固定基板S20aに向かって立設される旋回渦巻壁S21bとから構成されている。
回転軸S18の一端面における回転軸S18の回転軸線SLに対して偏心した位置には、偏心軸S18aが突設されている。偏心軸S18aにはブッシュS18bが外嵌固定されている。ブッシュS18bには、旋回基板S21aがベアリングSB3を介してブッシュS18bに対して相対回転可能に支持されている。
固定渦巻壁S20bと旋回渦巻壁S21bとは互いに噛み合わされている。固定渦巻壁S20bの先端面は旋回基板S21aに接触しているとともに、旋回渦巻壁S21bの先端面は固定基板S20aに接触している。そして、固定基板S20aおよび固定渦巻壁S20bと、旋回基板S21a及び旋回渦巻壁S21bとによって圧縮室S22が区画されている。
旋回基板S21aと軸支部材S17との間には、旋回スクロールS21の時点を阻止する不図示の自転阻止機構が配設されている。固定基板S20aの中央には吐出口20eが形成されている。固定基板S20aには、吐出弁S20vが吐出口S20eを覆うように取り付けられている。この吐出口S20eは、四方弁R2の第2連通室RV4に連通する。なお、本実施形態の四方弁R2のシリンダーR21は、第2連通室RV4の固定スクロールS20側が開いた形状となっている。
また、シリンダーR21および固定スクロールS20には、吸入通路S12hが形成されている。吸入通路S12hは、圧縮室S22の外周側および四方弁R2の第1連通室RV3に常に連通している。また、吸入通路S12hは、第1圧力室RV1、第2圧力室RV2、第2連通室RV4のいずれにも、連通していない。
また、四方弁R2の第1高圧導入流路R28は、本実施形態では、シリンダーR21内に形成されて、一端で第1バルブモジュールXAの第2連通孔YV2に連通し、不図示の流路を経て他端で吐出口S20eに連通する。また、第2高圧導入流路R29は、シリンダーR21内に形成されて、一端で第2バルブモジュールXBの第2連通孔YV2に連通し、不図示の流路を経て他端で吐出口S20eに連通する。したがって、第1高圧導入流路R28および第2高圧導入流路R29には、圧縮機R1によって圧縮された後の、圧縮機R1の下流における、高圧の冷媒が流入および作用する。吐出口S20eは四方弁R2の外部にあるので、第1高圧導入流路R28も第2高圧導入流路R29も、外部連通孔に対応する。なお、上記不図示の流路は、シリンダーR21内および固定基板S20a内に形成されている。
また、第1低圧導入流路R30は、シリンダーR21内に形成されて、一端で第1バルブモジュールXAの第3連通孔YV3に連通し、不図示の流路を経て他端で吸入通路S12hに連通する。また、第2低圧導入流路R31は、シリンダーR21内に形成されて、一端で第2バルブモジュールXBの第3連通孔YV3に連通し、不図示の流路を経て他端で吸入通路S12hに連通する。したがって、第1低圧導入流路R30および第2低圧導入流路R31には、圧縮機R1によって圧縮される前の、圧縮機R1の上流における、低圧の冷媒が流入および作用する。吸入通路S12hは四方弁R2の外部の圧縮機R1内に連通するので、第1低圧導入流路R30も第2低圧導入流路R31も、外部連通孔に対応する。なお、上記不図示の流路は、シリンダーR21内に形成されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。インバータS25から電動モータS16に電力供給が行われると、ロータS16aが回転する。すると、回転軸S18を介して旋回スクロールS21が公転運動する。すると、圧縮機構S15において圧縮動作及び吐出動作が行われて、冷媒が外部冷媒回路を循環する。そして、低圧の冷媒が第1連通室RV3から吸入通路S12hを介して圧縮室S22の外周側へ吸入される。圧縮室S22内の冷媒は、旋回スクロールS21の旋回によって、圧縮されながら吐出口S20eから吐出弁S20vを押し退けて、高圧の冷媒として第2連通室RV4へ吐出される。
冷媒回路の冷房運転および暖房運転における第1バルブモジュールXAのマイクロバルブY1および第2バルブモジュールXBのマイクロバルブY1への通電の仕方および弁体R26の動きは、第3実施形態と同じである。そして、冷房運転および暖房運転における冷媒の流れは、配管R7における圧縮機R1の下流を吐出口S20eと読み替え、配管R7における圧縮機R1の上流を吸入通路S12hと読み替える以外は、第3実施形態と同じである。したがって、本実施形態は、第3実施形態と同等の効果を達成することができる。それに加え、第1バルブモジュールXA、第2バルブモジュールXBと圧縮機R1とが一体に構成されることで、冷凍サイクルを小型化することができる。
本実施形態においても、第3実施形態と同等の効果が発揮される。また、本実施形態では、圧縮機R1と四方弁R2とを一体に構成することができるので、冷凍サイクルを小型化することができる。また、配管R7を廃することができるので、冷凍サイクルを小型化することが容易になる。また、四方弁R2体格が小さくなり、配管も簡素になるため、本実施形態の冷凍サイクルは、ルームエアコンのように、冷暖房のモードを冷媒配管で切り替えるシステムにおいて有用である。特に、特願2018-71871にあるような、冷凍サイクル、送風ファン、ヒータコア、空調ケーシング、内外気切替ドア、エアミックスドアが1つの筐体内に配置された小型の空調ユニットに、本実施形態の冷凍サイクルを適用する場合小型化の効果が大きい。
(第5実施形態)
次に第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態のマイクロバルブX1が、故障検知機能を有するよう変更されている。具体的には、マイクロバルブX1は、第1、第2実施形態と同じ構成に加え、図34、図35に示すように、故障検知部X50を備えている。
故障検知部X50は、中間層X12のアームX126に形成されたブリッジ回路を含む。ブリッジ回路は、図35のように接続された4つのゲージ抵抗を含んでいる。つまり、故障検知部X50は、ダイヤフラムに相当するアームX126の歪みに応じて抵抗が変化するブリッジ回路である。つまり、故障検知部X50は半導体ピエゾ抵抗式の歪みセンサである。故障検知部X50は、電気的絶縁膜を介して、アームX126と導通しないように、アームX126に接続されていてもよい。
このブリッジ回路の対角にある2つの入力端子に配線X51、X52が接続される。そして、配線X51、X52から当該入力端子に、定電流発生用の電圧が印加される。この配線X51、X52は、電気配線X6、X7を介してマイクロバルブX1に印加される電圧(すなわち、マイクロバルブ駆動電圧)から分岐して上記2つの入力端子まで伸びている。
また、このブリッジ回路の別の対角にある2つの出力端子に、配線X53、X54が接続される。そして、アームX126の歪み量に応じたレベルの電圧信号が配線X53、X54から出力される。この電圧信号は、後述する通り、マイクロバルブX1が正常に作動しているか否かを判別するための情報として使用される。配線X53、X54から出力される電圧信号は、マイクロバルブX1の外部にある制御装置X55に入力される。
この制御装置X55は、例えば、車両用空調装置において圧縮機、送風機、エアミックスドア、内外気切替ドア等の作動を制御するエアコンECUであってもよい。あるいは、この制御装置X55は、車両において、車速、燃料残量、電池残量等を表示するメータECUであってもよい。
アームX126の歪み量に応じた電圧信号を制御装置X55が配線X53、X54を介して取得すると、制御装置X55は、当該電圧信号に応じて、マイクロバルブX1の故障の有無を検知する。検知対象の故障としては、例えば、アームX126が折れる故障、可動部X128と第1外層X11または第2外層X13との間に微小な異物が挟まって可動部X128が動かなくなる故障、等がある。
複数本の第1リブX123および複数本の第2リブX124の伸縮に応じて、梁X127および可動部X128が変位する際、アームX126の歪み量が変化する。したがって、アームX126の歪み量に応じた電圧信号から、可動部X128の位置を推定できる。一方、マイクロバルブX1が正常であれば、電気配線X6、X7からマイクロバルブX1への通電量と可動部X128の位置との間にも相関関係がある。この通電量は、マイクロバルブX1を制御するための制御量である。
制御装置X55は、このことを利用して、マイクロバルブX1の故障の有無を検知する。つまり、制御装置X55は、配線X53、X54からの電圧信号から、あらかじめ定められた第1マップに基づいて、可動部X128の位置を算出する。そして、あらかじめ定められた第2マップに基づいて、可動部X128の位置から、正常時において当該位置を実現するために必要な電気配線X6、X7からマイクロバルブX1への供給電力を算出する。これら第1マップ、第2マップは、制御装置X55の不揮発性メモリに記録されている。不揮発性メモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。
そして制御装置X55は、算出された電力と、実際に電気配線X6、X7からマイクロバルブX1へ供給されている電力とを比較する。そして、制御装置X55は、前者の電力と後者の電力の差の絶対値が許容値を超えていれば、マイクロバルブX1が故障していると判定し、許容値を超えていなければ、マイクロバルブX1が正常であると判定する。そして、制御装置X55は、マイクロバルブX1が故障していると判定した場合に、所定の故障報知制御を行う。
制御装置X55は、この故障報知制御においては、車内の人に報知を行う報知装置X56を作動させる。例えば、制御装置X55は、警告ランプを点灯させてもよい。また、制御装置X55は、画像表示装置に、マイクロバルブX1に故障が発生したことを示す画像を表示させてもよい。これによって、車両の乗員は、マイクロバルブX1の故障に気付くことができる。
また、制御装置X55は、この故障報知制御においては、車両内の記憶装置に、マイクロバルブX1に故障が発生したことを示す情報を記録してもよい。この記憶装置は、非遷移的実体的記憶媒体である。これにより、マイクロバルブX1の故障を記録に残すことができる。
また、制御装置X55は、マイクロバルブX1が故障していると判定した場合は、通電停止制御を行う。通電停止制御では、制御装置X55は、電気配線X6、X7からマイクロバルブX1への通電を停止させる。このように、マイクロバルブX1の故障時にマイクロバルブX1への通電を停止することで、マイクロバルブX1の故障時の安全性を高めることができる。
以上のように、故障検知部X50が、マイクロバルブX1が正常に作動しているか否かを判別するための電圧信号を出力することで、制御部は、マイクロバルブX1の故障の有無を容易に判別することができる。
また、この電圧信号は、アームX126の歪み量に応じた信号である。したがって、電気配線X6、X7からマイクロバルブX1への通電量とこの電圧信号との関係に基づいて、マイクロバルブX1の故障の有無を容易に判別することができる。
なお、本実施形態では、ブリッジ回路を構成する抵抗の変化に基づいてマイクロバルブX1が故障しているか否かが判定されている。しかし、他の方法として、静電容量の変化に基づいてマイクロバルブX1が故障しているか否かが判定されてもよい。この場合、ブリッジ回路の代わりに容量成分を形成する複数の電極がアームX126に形成される。アームX126の歪み量と複数の電極間の静電容量の間は相関関係がある。したがって、制御装置は、この複数の電極間の静電容量の変化に基づいて、マイクロバルブX1が故障しているか否かを判定できる。
(第6実施形態)
次に第6実施形態について説明する。本実施形態は、第3、第4実施形態の第1バルブモジュールXA、第2バルブモジュールXBの各々におけるマイクロバルブY1が、故障検知機能を有するよう変更されている。具体的には、マイクロバルブY1は、第3、第4実施形態と同じ構成に加え、図36、図37に示すように、故障検知部Y50を備えている。
故障検知部Y50は、中間層Y12のアームY126に形成されたブリッジ回路を含む。ブリッジ回路は、図37のように接続された4つのゲージ抵抗を含んでいる。つまり、故障検知部Y50は、ダイヤフラムに相当するアームY126の歪みに応じて抵抗が変化するブリッジ回路である。つまり、故障検知部Y50は半導体ピエゾ抵抗式の歪みセンサである。故障検知部Y50は、電気的絶縁膜を介して、アームY126と導通しないように、アームY126に接続されていてもよい。
このブリッジ回路の対角にある2つの入力端子に配線Y51、Y52が接続される。そして、配線Y51、Y52から当該入力端子に、定電流発生用の電圧が印加される。この配線Y51、Y52は、電気配線Y6、Y7を介してマイクロバルブY1に印加される電圧(すなわち、マイクロバルブ駆動電圧)から分岐して上記2つの入力端子まで伸びている。
また、このブリッジ回路の別の対角にある2つの出力端子に、配線Y53、Y54が接続される。そして、アームY126の歪み量に応じた電圧信号が配線Y53、Y54から出力される。この電圧信号は、後述する通り、マイクロバルブY1が正常に作動しているか否かを判別するための情報として使用される。配線Y53、Y54から出力される電圧信号は、マイクロバルブX1の外部にある制御装置Y55に入力される。
この制御装置Y55は、例えば、車両用空調装置において圧縮機、送風機、エアミックスドア、内外気切替ドア等の作動を制御するエアコンECUであってもよい。あるいは、この制御装置Y55は、車両において、車速、燃料残量、電池残量等を表示するメータECUであってもよい。
アームY126の歪み量に応じた電圧信号を制御装置Y55が配線Y53、Y54を介して取得すると、制御装置Y55は、当該電圧信号に応じて、マイクロバルブY1の故障の有無を検知する。検知対象の故障としては、例えば、アームY126が折れる故障、可動部Y128と第1外層Y11または第2外層Y13との間に微小な異物が挟まって可動部Y128が動かなくなる故障、等がある。
複数本の第1リブY123および複数本の第2リブY124の伸縮に応じて、梁Y127および可動部Y128が変位する際、アームY126の歪み量が変化する。したがって、アームY126の歪み量に応じた電圧信号から、可動部Y128の位置を推定できる。一方、マイクロバルブY1が正常であれば、電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1への通電量と可動部Y128の位置との間にも相関関係がある。この通電量は、マイクロバルブY1を制御するための制御量である。
制御装置Y55は、このことを利用して、マイクロバルブY1の故障の有無を検知する。つまり、制御装置Y55は、配線Y53、Y54からの電圧信号から、あらかじめ定められた第1マップに基づいて、可動部Y128の位置を算出する。そして、あらかじめ定められた第2マップに基づいて、可動部Y128の位置から、正常時において当該位置を実現するために必要な電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1への供給電力を算出する。これら第1マップ、第2マップは、制御装置Y55の不揮発性メモリに記録されている。不揮発性メモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。
そして制御装置Y55は、算出された電力と、実際に電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1へ供給されている電力とを比較する。そして、制御装置Y55は、前者の電力と後者の電力の差の絶対値が許容値を超えていれば、マイクロバルブY1が故障していると判定し、許容値を超えていなければ、マイクロバルブY1が正常であると判定する。そして、制御装置Y55は、マイクロバルブY1が故障していると判定した場合に、所定の故障報知制御を行う。
制御装置Y55は、この故障報知制御においては、車内の人に報知を行う報知装置Y56を作動させる。例えば、制御装置Y55は、警告ランプを点灯させてもよい。また、制御装置Y55は、画像表示装置に、マイクロバルブY1に故障が発生したことを示す画像を表示させてもよい。これによって、車両の乗員は、マイクロバルブY1の故障に気付くことができる。
また、制御装置Y55は、この故障報知制御においては、車両内の記憶装置に、マイクロバルブY1に故障が発生したことを示す情報を記録してもよい。この記憶装置は、非遷移的実体的記憶媒体である。これにより、マイクロバルブY1の故障を記録に残すことができる。
また、制御装置Y55は、マイクロバルブY1が故障していると判定した場合は、通電停止制御を行う。通電停止制御では、制御装置Y55は、電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1への通電を停止させる。このように、マイクロバルブY1の故障時にマイクロバルブY1への通電を停止することで、マイクロバルブY1の故障時の安全性を高めることができる。
以上のように、故障検知部Y50が、マイクロバルブY1が正常に作動しているか否かを判別するための電圧信号を出力することで、制御部は、マイクロバルブY1の故障の有無を容易に判別することができる。
また、この電圧信号は、アームY126の歪み量に応じた信号である。したがって、電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1への通電量とこの電圧信号との関係に基づいて、マイクロバルブY1の故障の有無を容易に判別することができる。
なお、本実施形態では、ブリッジ回路を構成する抵抗の変化に基づいてマイクロバルブY1が故障しているか否かが判定されている。しかし、他の方法として、静電容量の変化に基づいてマイクロバルブY1が故障しているか否かが判定されてもよい。この場合、ブリッジ回路の代わりに容量成分を形成する複数の電極がアームY126に形成される。アームY126の歪み量と複数の電極間の静電容量の間は相関関係がある。したがって、制御装置Y55は、この複数の電極間の静電容量の変化に基づいて、マイクロバルブY1が故障しているか否かを判定できる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の湿度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例および均等範囲の変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
上記各実施形態では、複数本の第1リブX123、複数本の第2リブX124、複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124は、通電されることで発熱し、その発熱によって自らの温度が上昇することで膨張する。しかし、これら部材は、温度が変化すると長さが変化する形状記憶材料から構成されていてもよい。
(変形例2)
第5実施形態では、電気配線X6、X7からマイクロバルブX1への通電が停止したとき、マイクロバルブX1は閉弁状態となる。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、電気配線X6、X7からマイクロバルブX1への通電が停止したとき、マイクロバルブX1は開弁状態となってもよい。
(変形例3)
第3、第4実施形態では、バルブモジュールが2個複数用いられているが、3個以上用いられてもよい。
(変形例4)
第2実施形態では、リアシート側の空調に用いられる第2の膨張弁Q14と同じ構造を、フロントシート側の空調に用いられる第1の膨張弁Q13が有していてもよい。
(変形例5)
マイクロバルブX1の形状やサイズは、上記実施形態で示したものに限られない。マイクロバルブX1は、極微小流量制御可能で、かつ、流路内に存在する微小ゴミを詰まらせないような水力直径の第1冷媒孔X16、第2冷媒孔X17を有していればよい。
(変形例6)
マイクロバルブY1の形状やサイズは、上記実施形態で示したものに限られない。マイクロバルブY1は、極微小流量制御可能で、かつ、流路内に存在する微小ゴミを詰まらせないような水力直径の第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18を有していればよい。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷凍サイクルに用いられる弁装置は、第1ポートと、第2ポートと、前記第1ポートから前記第2ポートへ流れる冷媒を流通させる弁室と、が形成されたボディと、前記弁室内において変位することで、前記弁室を通じた前記第1ポートと前記第2ポートとの間の連通、遮断を切り替える弁体と、前記冷凍サイクルにおける当該弁装置の外部の冷媒流路と連通する外部連通路と前記弁室との間の冷媒の流量を調整することで前記弁体を移動させるための圧力を変化させる弁部品と、を備え、前記弁部品は、冷媒が流通する冷媒室、前記冷媒室に連通する第1冷媒孔、および前記冷媒室に連通する第2冷媒孔が形成される基部と、自らの温度が変化すると変位する駆動部と、前記駆動部の温度の変化による変位を増幅する増幅部と、前記増幅部によって増幅された変位が伝達されて前記冷媒室内で動くことで、前記冷媒室を介した前記第1冷媒孔と前記第2冷媒孔との間の冷媒の流量を調整する可動部と、を有し、前記駆動部が温度の変化によって変位したときに、前記駆動部が付勢位置において前記増幅部を付勢することで、前記増幅部がヒンジを支点として変位するとともに、前記増幅部と前記可動部の接続位置で前記増幅部が前記可動部を付勢し、前記ヒンジから前記付勢位置までの距離よりも、前記ヒンジから前記接続位置までの距離の方が長く、前記第1冷媒孔および前記第2冷媒孔のうち一方が前記外部連通路に連通し、他方が前記弁室に連通する。
また、第2の観点によれば。前記基部は、板形状の第1外層と、板形状の第2外層と、前記第1外層と前記第2外層に挟まれる固定部とを有し、前記第1外層に、前記駆動部の温度を変化させるための電気配線を通す孔が形成され、前記第2外層に、前記第1冷媒孔および前記第2冷媒孔が形成されている。
このように、弁部品は、第1冷媒孔と第2冷媒孔が同じ第1外層に形成されたUターン構造を有し、更に、それとは反対側の第2外層に電気配線を通す孔が形成されている。したがって、第1冷媒孔と第2冷媒孔側にある冷媒の流路等と比べて大気雰囲気により近い側に電気配線を置くことができる。したがって、電気配線への冷媒雰囲気の影響を低減するためのハーメチック等のシール構造の必要性が低下する。
また、第3の観点によれば、前記弁部品は第1の弁部品(Y1)であり、前記外部連通路は第1の外部連通路(R28、R30)であり、当該弁装置は、前記冷凍サイクルにおける当該弁装置の外部の冷媒流路と連通する第2の外部連通路(R29、R31)と前記弁室との間の冷媒の流量を調整することで前記弁体を移動させるための圧力を変化させる第2の弁部品(X1、Y1)を備え、前記第2の弁部品は、前記第1の弁部品とは別に、冷媒が流通する冷媒室(Y19)、前記冷媒室に連通する第1冷媒孔(Y16)、および前記冷媒室に連通する第2冷媒孔(Y17)が形成される基部(Y11、Y121、Y13)と、自らの温度が変化すると変位する駆動部(Y123、Y124、Y125)と、前記駆動部の温度の変化による変位を増幅する増幅部(Y126、Y127)と、前記増幅部によって増幅された変位が伝達されて動くことで、前記冷媒室を介した前記第1冷媒孔と前記第2冷媒孔との間の冷媒の流量を調整する可動部(Y128)と、を有し、前記第2の弁部品の前記駆動部が温度の変化によって変位したときに、前記第2の弁部品の前記駆動部が前記第2の弁部品の付勢位置(YP2)において前記第2の弁部品の前記増幅部を付勢することで、前記第2の弁部品の前記増幅部が前記第2の弁部品のヒンジ(YP0)を支点として変位するとともに、前記第2の弁部品の前記増幅部と前記第2の弁部品の前記可動部の接続位置(YP3)で前記第2の弁部品の前記増幅部が前記第2の弁部品の前記可動部を付勢し、前記第2の弁部品の前記ヒンジから前記第2の弁部品の前記付勢位置までの距離よりも、前記第2の弁部品の前記ヒンジから前記第2の弁部品の前記接続位置までの距離の方が長く、前記第2の弁部品の前記第1冷媒孔および前記第2の弁部品の前記第2冷媒孔のうち一方が前記第2の外部連通路に連通し、他方が前記弁室に連通する。このように、第1の弁部品と第2の弁部品が同じ弁体を移動させるために機能してもよい。
また、第4の観点によれば、弁装置は、前記冷凍サイクルを構成する圧縮機と一体に構成される。このように、弁装置と圧縮機とが一体に構成されることで、冷凍サイクルを小型化することができる。
また、第5の観点によれば、前記弁部品は、当該弁部品が正常に作動しているか故障しているかを判別するための信号を出力する故障検知部を備えている。弁部品がこのような信号を出力することで、弁部品の故障の有無を容易に判別できる。
また、第6の観点によれば、前記信号は、前記増幅部の歪み量に応じた信号である。このようになっていることで、この信号と弁部品を制御するための制御量との関係に基づいて、弁装置の故障の有無を判別することができる。
また、第7の観点によれば、前記駆動部は、通電されることで発熱し、前記故障検知部は、前記弁部品が故障している場合に前記弁部品に対する通電を停止する装置に、前記信号を出力する。このように、弁部品の故障時に通電を停止することで、故障時の安全性を高めることができる。
また、第8の観点によれば、前記故障検知部は、前記弁部品が故障している場合に、人に報知を行う報知装置を作動させる装置に、前記信号を出力する。これにより、人は、弁部品の故障を知ることができる。
また、第9の観点によれば、前記弁部品は半導体チップによって構成されている。したがって、弁部品を小型に構成できる。