JP2020139561A - 弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の弁体を備える弁装置において、体格の小型化を図る。【解決手段】弁装置28は、圧力調整室705bが形成されたボデー部70と、第1弁体72と、第2弁体74と、第1弁体72および第2弁体74を所定の弁軸方向DRaに変位させる弁作動部76と、を備える。弁作動部76は、圧力調整室705bの冷媒の圧力に応じて弁軸方向DRaに変位するピストン761、ピストン761の変位を第1弁体72および第2弁体74に伝える作動軸部763、圧力調整室705bの冷媒圧力を変化させる圧力調整部764を含んでいる。圧力調整部705bは、圧力調整室705bにおける冷媒の圧力を変化させるためのマイクロバルブを含んで構成されている。【選択図】図4
Description
本開示は、複数の弁体を備える弁装置に関する。
従来、ヒートポンプ回路における制御バルブの数を減らすために、冷媒が循環するヒートポンプ回路に設けられた複数の制御バルブの一部を統合弁として統合することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、特許文献1に記載の統合弁は、複数の制御バルブを駆動する駆動部が、作動軸部、ステッピングモータ等の電動モータ、電動モータの回転を作動軸部の軸方向の変位に変換する送りネジ機構で構成されており、体格が非常に大型になっている。統合弁の大型化は、搭載性の悪化につながることから好ましくない。
本開示は、複数の弁体を備える弁装置において、体格の小型化を図ることを目的とする。
請求項1に記載の発明は、
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)を含むヒートポンプ回路(101)の一部を構成する弁装置であって、
冷媒が導入される圧力調整室(705b)が形成されたボデー部(70)と、
ボデー部の内側に収容され、ヒートポンプ回路における冷媒の循環経路を第1経路および第2経路に切り替えるための第1弁体(72)と、
ボデー部の内側に収容され、ボデー部に形成された冷媒通路(283、285)の通路開度を全開にする全開状態および冷媒通路の通路開度を全開状態よりも絞る絞り状態に切り替えるための第2弁体(74)と、
第1弁体および第2弁体を所定の弁軸方向(DRa)に変位させることで、循環経路を第1経路にするとともに冷媒通路の通路開度を全開状態にする第1作動状態と、循環経路を第2経路にするとともに冷媒通路の通路開度を絞り状態にする第2作動状態とを切り替える弁作動部(76)と、を備え、
弁作動部は、圧力調整室の冷媒の圧力に応じて弁軸方向に変位するピストン(761)、ピストンの変位を第1弁体および第2弁体に伝える作動軸部(763)、圧力調整室における冷媒の圧力を変化させる圧力調整部(764)を含んでおり、
圧力調整部は、圧力調整室における冷媒の圧力を変化させるための弁部品(Y1)を含んで構成され、
弁部品は、
圧力調整室に導入する冷媒が流通する流体室(Y19)が形成される基部(Y11、Y12、Y13)と、
自らの温度が変化すると変位する駆動部(Y123、Y124、Y125)と、
駆動部の温度の変化による変位を増幅する増幅部(Y126、Y127)と、
増幅部によって増幅された変位が伝達されて動くことで、流体室の圧力を調整する可動部(Y128)と、を有し、
駆動部が温度の変化によって変位したときに、駆動部が付勢位置(YP2)において増幅部を付勢することで、増幅部がヒンジ(YP0)を支点として変位するとともに、増幅部と可動部の接続位置(YP3)で増幅部が可動部を付勢し、
ヒンジから付勢位置までの距離よりも、ヒンジから接続位置までの距離の方が長くなっている。
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)を含むヒートポンプ回路(101)の一部を構成する弁装置であって、
冷媒が導入される圧力調整室(705b)が形成されたボデー部(70)と、
ボデー部の内側に収容され、ヒートポンプ回路における冷媒の循環経路を第1経路および第2経路に切り替えるための第1弁体(72)と、
ボデー部の内側に収容され、ボデー部に形成された冷媒通路(283、285)の通路開度を全開にする全開状態および冷媒通路の通路開度を全開状態よりも絞る絞り状態に切り替えるための第2弁体(74)と、
第1弁体および第2弁体を所定の弁軸方向(DRa)に変位させることで、循環経路を第1経路にするとともに冷媒通路の通路開度を全開状態にする第1作動状態と、循環経路を第2経路にするとともに冷媒通路の通路開度を絞り状態にする第2作動状態とを切り替える弁作動部(76)と、を備え、
弁作動部は、圧力調整室の冷媒の圧力に応じて弁軸方向に変位するピストン(761)、ピストンの変位を第1弁体および第2弁体に伝える作動軸部(763)、圧力調整室における冷媒の圧力を変化させる圧力調整部(764)を含んでおり、
圧力調整部は、圧力調整室における冷媒の圧力を変化させるための弁部品(Y1)を含んで構成され、
弁部品は、
圧力調整室に導入する冷媒が流通する流体室(Y19)が形成される基部(Y11、Y12、Y13)と、
自らの温度が変化すると変位する駆動部(Y123、Y124、Y125)と、
駆動部の温度の変化による変位を増幅する増幅部(Y126、Y127)と、
増幅部によって増幅された変位が伝達されて動くことで、流体室の圧力を調整する可動部(Y128)と、を有し、
駆動部が温度の変化によって変位したときに、駆動部が付勢位置(YP2)において増幅部を付勢することで、増幅部がヒンジ(YP0)を支点として変位するとともに、増幅部と可動部の接続位置(YP3)で増幅部が可動部を付勢し、
ヒンジから付勢位置までの距離よりも、ヒンジから接続位置までの距離の方が長くなっている。
これによると、ヒートポンプ回路における冷媒の循環経路を第1経路と第2経路とに切り替えることと、冷媒通路の通路開度を全開状態と絞り状態とに切り替えることとを、弁作動部の作動によって一度に実現することが可能である。
弁作動部は、第1弁体および第2弁体を弁部品による圧力制御室の圧力調整によって変位させる。この弁部品は、増幅部が梃子として機能し、駆動部の温度変化に応じた変位量が、梃子によって増幅されて可動部伝わる。このように、梃子を利用して熱的な膨張による変位量が増幅される弁部品は、そのような梃子を利用しない電磁弁や電動弁に比べて小型に構成することが可能となる。したがって、本開示によれば、複数の弁体を備える弁装置の小型化を図ることができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。本実施形態では、車室内を空調する空調装置8に本開示の弁装置28を適用した例について説明する。空調装置8は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置10を備えている。
本実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。本実施形態では、車室内を空調する空調装置8に本開示の弁装置28を適用した例について説明する。空調装置8は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置10を備えている。
冷凍サイクル装置10は、冷媒が循環するヒートポンプ回路101を有する。また、冷凍サイクル装置10は、送風空気を冷却して車室内を冷房する冷房モードと、送風空気を加熱して車室内を暖房する暖房モードとに切替可能になっている。
図1では、冷房モード時に冷媒が流れる経路を実線で示し、冷媒が流れない経路を破線で示している。また、図2では、暖房モード時に冷媒が流れる経路を実線で示し、冷媒が流れない経路を破線で示している。なお、本実施形態では、冷房モード時の冷媒の循環経路が第1経路となり、冷房モード時の冷媒の循環経路が第2経路となる。
図1および図2に示す空調装置8は、エンジン68および図示しない走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両に搭載される。そして、冷凍サイクル装置10は、空調装置8において、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を加熱あるいは冷却する機能を果たす。
ヒートポンプ回路101は、冷媒が循環する流体循環回路である。ヒートポンプ回路101は、図1に示す冷房モードの冷媒回路と図2に示す暖房モードの冷媒回路とに切替可能に構成されている。
ヒートポンプ回路101では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)が採用されている。なお、冷媒は、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)や自然冷媒(例えば、二酸化炭素)等が採用されてもよい。
冷凍サイクル装置10は、制御装置50を有する。ヒートポンプ回路101は、圧縮機11、水冷コンデンサ12、室外熱交換器16、気液分離器17、過冷却器19、蒸発器22、弁装置28、温度式膨張弁29、不図示の各種センサ、および高圧配管52等を有している。
圧縮機11は、エンジンルーム内に配置されている。エンジンルームは車室外の一部であり、車両に設けられたエンジンルーム隔壁9によって車室内と隔てられている。圧縮機11は、ヒートポンプ回路101において吸入口111から冷媒を吸入して圧縮し、圧縮して過熱状態にした冷媒を吐出口112から吐出する。圧縮機11は、電動モータの回転数によって冷媒の吐出容量を変更可能な電動圧縮機で構成されている。圧縮機11の電動モータは、後述する制御装置50から出力される制御信号によって制御される。
水冷コンデンサ12は、冷媒が流れる第1熱交換部121と、エンジン冷却水としての不凍液が流れる第2熱交換部122とを備える水冷媒熱交換器である。第1熱交換部121は、圧縮機11の吐出口112と高圧配管52との間に設けられている。高圧配管52は、水冷コンデンサ12の第1熱交換部121と弁装置28の第3入口通路283とをつなぐ配管である。第2熱交換部122は、不凍液が流れる不凍液循環回路64の途中に設けられている。
不凍液循環回路64では不凍液が冷却水ポンプ66によって矢印Wenのように循環させられている。第2熱交換部122は、第2熱交換部122から流出した不凍液がヒータコア62を通ってからエンジン68へ戻るように、ヒータコア62と直列に配置されている。
水冷コンデンサ12は、第1熱交換部121内を流れる冷媒と第2熱交換部122内を流れる不凍液とを熱交換させ、それによりその冷媒の熱で不凍液を加熱すると共に、冷媒を冷却する。
ヒータコア62は、室内空調ユニット30のケーシング31内に形成された温風通路31aに配置されている。ヒータコア62は、内部を流れる不凍液と、温風通路31aにてヒータコア62を通過する送風空気とを熱交換させて当該送風空気を加熱する熱交換器である。従って、水冷コンデンサ12は、圧縮機11から吐出され第1熱交換部121に流入した冷媒が持つ熱を不凍液とヒータコア62とを介して間接的に送風空気へ放熱させる放熱器として機能する。
弁装置28は、複数の弁体が互いに連動して作動する複合制御バルブであり、制御装置50から出力される制御信号によって作動する。具体的に、弁装置28は、冷媒を減圧膨張させる減圧弁として機能する絞り機能部28aと、冷媒の流れを切り替える三方弁として機能する切替機能部28bとを有している。
弁装置28には、冷媒が流入する第1入口通路281、第2入口通路282、および第3入口通路283が設けられている。また、弁装置28には、冷媒が流出する第1出口通路284および第2出口通路285が設けられている。第1入口通路281は、温度式膨張弁29の感温部292を介して蒸発器22に接続されている。また、第2入口通路282は気液分離器17の気相冷媒出口17bに接続され、第3入口通路283は水冷コンデンサ12の第1熱交換部121に接続されている。さらに、第1出口通路284は圧縮機11の吸入口111に接続され、第2出口通路285は室外熱交換器16の冷媒入口161に接続されている。
絞り機能部28aは、第3入口通路283からの冷媒を第2出口通路285へ殆ど絞らずに流す開放状態と、第3入口通路283からの冷媒の流れを上記開放状態よりも絞ってその冷媒を第2出口通路285へ流す絞り状態とに切替可能に構成されている。
また、切替機能部28bは、第1入口通路281を第1出口通路284へ連通させる第1連通状態と、第2入口通路282を第1出口通路284へ連通させる第2連通状態とに択一的に切替可能に構成されている。なお、弁装置28の詳細構成については後述する。
室外熱交換器16は、エンジンルーム内に配置されている。室外熱交換器16は、冷媒入口161と冷媒出口162とを有している。室外熱交換器16の冷媒入口161には、弁装置28の第2出口通路285から流出した冷媒が流入する。室外熱交換器16は、内部を流通する冷媒と、車室外空気である外気とを熱交換させる。室外熱交換器16は、室外熱交換器16に流入する冷媒の温度に応じて吸熱器または放熱器として機能する。室外熱交換器16の機能の切替えは、弁装置28の絞り機能部28aによって行われる。
気液分離器17は、冷媒入口17aと気相冷媒出口17bと液相冷媒出口17cとを有している。気液分離器17の冷媒入口17aには、室外熱交換器16の冷媒出口162から流出した冷媒が流入する。気液分離器17は、冷媒入口17aから流入した冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離する。そして、気液分離器17は、その分離された気相冷媒を気相冷媒出口17bから流出させ、液相冷媒を液相冷媒出口17cから流出させる。
過冷却器19は、冷媒入口191と冷媒出口192とを有し、その冷媒入口191は気液分離器17の液相冷媒出口17cに接続されている。過冷却器19は、気液分離器17の液相冷媒出口17cと温度式膨張弁29との間に設けられている。過冷却器19は、気液分離器17の液相冷媒出口17cから流出した冷媒を過冷却する熱交換器である。この過冷却器19、室外熱交換器16、および気液分離器17は、相互にボルト締結等されることで一体的に構成されている。
温度式膨張弁29は、過冷却器19を通過した冷媒が流入するように、過冷却器19の冷媒出口192に接続されている。温度式膨張弁29は、過冷却器19の冷媒出口192を通過した冷媒を所望の圧力に減圧させるものである。温度式膨張弁29は、過冷却器19と蒸発器22との間に介装された減圧部291と、蒸発器22と弁装置28の第1入口通路281との間に介装された感温部292とを有する温度感応型の機械式膨張弁で構成されている。感温部292は、蒸発器出口側冷媒の温度および圧力に基づきその冷媒の過熱度を検出する。減圧部291は、蒸発器出口側冷媒の温度および圧力に応じて冷媒流れを絞って減圧する。
蒸発器22は、冷媒が流入する冷媒入口221と、冷媒を流出させる冷媒出口222とを有している。蒸発器22は、室内空調ユニット30のケーシング31内のうち、ヒータコア62よりも空気流れ上流側に配置されている。蒸発器22は、冷房モード時に送風空気を冷却する冷却用熱交換器であり、温度式膨張弁29の減圧部291から流出した冷媒をケーシング31内の送風空気と熱交換させて蒸発させる。なお、室内空調ユニット30は蒸発器22よりも空気流れ上流側に送風機を備えており、その送風機によって送風空気が矢印FNのように蒸発器22へと送られる。
室内空調ユニット30は、上記のケーシング31に加えて送風通路切替ドア33を備えている。ケーシング31内には、互いに並列に設けられた温風通路31aと冷風通路31bとが形成されており、温風通路31aにはヒータコア62が配置されている。すなわち、温風通路31aは蒸発器22通過後の送風空気をヒータコア62へ流す空気通路であり、冷風通路31bは、ヒータコア62を迂回させてその送風空気を流す空気通路である。
送風通路切替ドア33は、制御装置50から出力される制御信号によって作動する。送風通路切替ドア33は、冷房モード時に温風通路31aを塞ぐ一方で冷風通路31bを開放する第1ドア位置に位置決めされ、暖房モード時に温風通路31aを開放する一方で冷風通路31bを塞ぐ第2ドア位置に位置決めされる。例えば、図1では送風通路切替ドア33は第1ドア位置に位置決めされており、図2では送風通路切替ドア33は第2ドア位置に位置決めされている。
ケーシング31において、温風通路31aおよび冷風通路31bの空気流れ下流側には、温風通路31aまたは冷風通路31bを通過した送風空気を、空調対象空間である車室内へ吹き出す開口孔が複数設けられている。具体的に、この開口孔としては、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス開口孔、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット開口孔、および車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ開口孔(いずれも図示せず)等がある。それぞれの開口孔には、開口孔を開閉する開閉ドアが設けられている。
次に、空調装置8の電子制御部である制御装置50について説明する。制御装置50は、プロセッサ、メモリ等を含むマイクロコンピュータとその周辺回路で構成されている。制御装置50は、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて、各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。なお、制御装置50のメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
このように構成される空調装置8は、制御装置50による各制御対象機器の制御により、運転モードを冷房モードおよび暖房モードに切替可能になっている。以下、空調装置8の冷房モードおよび暖房モードにおける動作を説明する。
(冷房モード)
制御装置50は、運転モードが冷房モードに設定されると、図3に示すように、絞り機能部28aが開放状態となり、切替機能部28bが第1連通状態となるように弁装置28を制御する。また、制御装置50は、送風通路切替ドア33を、温風通路31aを塞ぐ第1ドア位置に位置決めするとともに、不図示の開閉弁により不凍液循環回路64での不凍液の流れを止める。
制御装置50は、運転モードが冷房モードに設定されると、図3に示すように、絞り機能部28aが開放状態となり、切替機能部28bが第1連通状態となるように弁装置28を制御する。また、制御装置50は、送風通路切替ドア33を、温風通路31aを塞ぐ第1ドア位置に位置決めするとともに、不図示の開閉弁により不凍液循環回路64での不凍液の流れを止める。
冷房モード時には、図1の矢印FLcで示すように冷媒が流れる。すなわち、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒が水冷コンデンサ12の第1熱交換部121に流入する。冷房モード時には、温風通路31aを塞がれるとともに、不凍液循環回路64での不凍液の流れを止められているので、第1熱交換部121内を流れる冷媒は殆ど放熱させられることなく第1熱交換部121を通過する。
第1熱交換部121を通過した冷媒は、弁装置28の絞り機能部28aを通過して室外熱交換器16に流入する。冷房モード時には、絞り機能部28aが開放状態になっているので、絞り機能部28aを通過する際に冷媒は殆ど減圧されない。
室外熱交換器16に流入した冷媒は、外気に放熱された後、気液分離器17に流入して気相例冷媒と液相冷媒とに分離される。冷房モード時には、切替機能部28bが第1連通状態になっているので、気液分離器17内の冷媒は気相冷媒出口17bからは流出せず液相冷媒出口17cから流出する。気液分離器17の液相冷媒出口17cから流出した液相冷媒は、過冷却器19に流入し、外気に放熱される。
過冷却器19を通過した冷媒は、温度式膨張弁29に流入し、低圧冷媒となるまで減圧される。温度式膨張弁29で減圧された冷媒は、蒸発器22に流入し、送風空気から吸熱して蒸発した後、再び圧縮機11で圧縮される。
以上の如く、冷房モード時には、蒸発器22にて送風空気が冷却された後、ヒータコア62にて加熱されることなく、車室内に吹き出される。これにより、車室内の冷房が実現される。
(暖房モード)
制御装置50は、運転モードが暖房モードに設定されると、図3に示すように、絞り機能部28aが絞り状態となり、切替機能部28bが第2連通状態となるように弁装置28を制御する。また、制御装置50は、送風通路切替ドア33を、冷風通路31bを塞ぐ第2ドア位置に位置決めするとともに、不凍液循環回路64内を不凍液が流れるように、不図示の開閉弁を開放する。
制御装置50は、運転モードが暖房モードに設定されると、図3に示すように、絞り機能部28aが絞り状態となり、切替機能部28bが第2連通状態となるように弁装置28を制御する。また、制御装置50は、送風通路切替ドア33を、冷風通路31bを塞ぐ第2ドア位置に位置決めするとともに、不凍液循環回路64内を不凍液が流れるように、不図示の開閉弁を開放する。
暖房モード時には、図2の矢印FLhで示すように冷媒が流れる。すなわち、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒が水冷コンデンサ12の第1熱交換部121に流入し、高圧冷媒が有する熱が不凍液およびヒータコア62を介して送風空気に放熱される。
第1熱交換部121を通過した冷媒は、弁装置28の絞り機能部28aを通過して室外熱交換器16に流入する。暖房モード時には、絞り機能部28aが絞り状態になっているので、絞り機能部28aを通過する際に冷媒が低圧冷媒となるまで減圧される。
室外熱交換器16に流入した冷媒は、外気から吸熱して蒸発した後、気液分離器17に流入して気相冷媒と液相冷媒とに分離される。暖房モード時には、切替機能部28bが第2連通状態になっているので、気液分離器17内の冷媒は液相冷媒出口17cからは流出せず気相冷媒出口17bから流出し、再び圧縮機11で圧縮される。
以上の如く、暖房モード時には、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒を熱源として、間接的に送風空気が加熱された後、車室内に吹き出される。これにより、車室内の冷房が実現される。
[弁装置28の構成]
続いて、弁装置28の詳細について図4および図5を参照して説明する。弁装置28は、ボデー部70、第1弁体72、第2弁体74、弁作動部76、第1付勢部材78、第2付勢部材80、調整ネジ82を備えている。第1弁体72、第2弁体74、第1付勢部材78、および第2付勢部材80はボデー部70内に収容されている。
続いて、弁装置28の詳細について図4および図5を参照して説明する。弁装置28は、ボデー部70、第1弁体72、第2弁体74、弁作動部76、第1付勢部材78、第2付勢部材80、調整ネジ82を備えている。第1弁体72、第2弁体74、第1付勢部材78、および第2付勢部材80はボデー部70内に収容されている。
弁装置28では、一軸心である弁軸心CLvに沿って第1弁体72と第2弁体74とが直列に並んで配置されている。そして、弁装置28では、弁作動部76によって、第1弁体72および第2弁体74が互いに連動して弁軸心CLvの軸方向DRa(以下、弁軸方向DRaとも呼ぶ)に移動させられる。
ボデー部70は、その内部に第1弁座部701、第2弁座部702、第3弁座部703に設けられている。第1弁座部701はその内側に、第1入口通路281に連通した通路連通孔701aを形成している。また、第2弁座部702はその内側に、第2入口通路282に連通した通路連通孔702aを形成している。また、第3弁座部703はその内側に、第2出口通路285に連通した通路連通孔703aを形成している。第1弁座部701は、弁軸方向DRaにおいて第2弁座部702に対し第1弁体72を挟んで対向して配置されている。詳細に言えば、第1弁座部701は第1弁体72に対し、弁軸方向DRaの一方に配置されている。そして、第2弁座部702は第1弁体72に対し、弁軸方向DRaの他方に配置されている。
また、第1出口通路284のうち、第1弁座部701と第2弁座部702とにそれぞれ接続する接続部分は第1弁室284aとして形成されている。その第1弁室284a内には、第1弁体72と第1付勢部材78とが収容されている。
また、第3弁座部703は第2弁体74に対し、弁軸方向DRaの一方に配置されている。第3入口通路283のうち、第3弁座部703にそれぞれ接続する接続部分は第2弁室283aとして形成されている。その第2弁室283a内には、第2弁体74と第2付勢部材80とが収容されている。
第1弁体72は、ヒートポンプ回路101における冷媒の循環経路を第1経路および第2経路に切り替えるための弁体である。第1弁体72は、弁軸方向DRaを厚み方向とする略円盤形状を成しており、切替機能部28bの弁体として設けられている。第1弁体72は、第1弁座部701に対し弁軸方向DRaに押し付けられると、第1入口通路281を塞ぐ。その一方で、第1弁体72は、第2弁座部702に対し弁軸方向DRaに押し付けられることで第2入口通路282を塞ぐ。
このように、第1弁体72は、弁軸方向DRaへ移動させられることで、第1入口通路281を第1出口通路284へ連通させる第1連通状態と、第2入口通路282を第1出口通路284へ連通させる第2連通状態とに択一的に切り替えられる。
第1連通状態は、第2入口通路282を塞ぐ一方で第1入口通路281を第1出口通路284へ連通させる状態である。この第1連通状態では、ヒートポンプ回路101における冷媒の循環経路が図1に示す第1経路となる。また、第2連通状態は、第1入口通路281を塞ぐ一方で第2入口通路282を第1出口通路284へ連通させる状態である。この第2連通状態では、ヒートポンプ回路101における冷媒の循環経路が図2に示す第2経路となる。
第1連通状態では、図4に示すように、第1弁体72が第1弁座部701から離れる一方で第2弁座部702へ押し付けられて当接する。これにより、第1弁体72は、矢印FL1aのように冷媒を第1入口通路281から第1出口通路284へと流す。その一方で、第1弁体72は、矢印FL1bのように第2入口通路282へ流入する冷媒を塞き止める。
また、第2連通状態では、図5に示すように、第1弁体72が第2弁座部702から離れる一方で第1弁座部701へ押し付けられて当接する。これにより、第1弁体72は、矢印FL1cのように冷媒を第2入口通路282から第1出口通路284へと流す。その一方で、第1弁体72は、第1入口通路281へ矢印FL1dのように流入する冷媒を塞き止める。
図4および図5に示すように、第2弁体74は、弁軸方向DRaを厚み方向とする略円盤形状を成しており、絞り機能部28aの弁体として設けられている。第2弁体74は、第1弁体72に対し弁軸方向DRaの他方に配置されている。第2弁体74には、その第2弁体74を弁軸方向DRaに貫通する絞り孔74aが形成されている。その絞り孔74aは細径の孔であり、その絞り孔74aを通る冷媒を絞って減圧させる。
また、第2弁体74の絞り孔74aは、第2弁体74が第3弁座部703に当接した状態で、第3弁座部703の通路連通孔703aへ連通する。具体的には、第3弁座部703側に開口した絞り孔74aの開口端は、弁軸心CLvの径方向において第3弁座部703の内径よりも内側に位置している。
このような構成から、第2弁体74は、弁軸方向DRaへ移動させられることで、開放状態と絞り状態とに切り替えられる。開放状態は、第3入口通路283からの冷媒を第2出口通路285へ殆ど絞らずに流す状態である。また、絞り状態は、第3入口通路283からの冷媒の流れを上記開放状態よりも絞ってその冷媒を第2出口通路285へ流す状態である。
具体的には、開放状態では、図4に示すように、第2弁体74が第3弁座部703から離れ、第3弁座部703の通路連通孔703aを開放して第3入口通路283へ連通させる。これにより、第2弁体74は、冷媒を殆ど減圧せずに矢印FL2aのように第3入口通路283から第2出口通路285へと流す。
また、絞り状態では、図5に示すように、第2弁体74が第3弁座部703に押し付けられて当接し、第3弁座部703の通路連通孔703aを第2弁体74の絞り孔74aを介して第3入口通路283へ連通させる。言い換えれば、第2弁体74の絞り孔74aは絞り状態において、第3入口通路283を第3弁座部703の通路連通孔703aへ連通させる。そして、第2弁体74は絞り状態では、第3入口通路283からの冷媒を絞り孔74aを通過させることで、第3入口通路283からの冷媒の流れを上記開放状態よりも絞る。これにより、矢印FL2b、FL2cのように流れて絞り孔74aを通過する冷媒はその絞り孔74aにて減圧膨張させられる。絞り状態においては、第2弁体74は固定絞りとして機能する。
図4および図5に示すように、第1付勢部材78は、弁軸方向DRaに常時圧縮されている圧縮コイルバネである。第1付勢部材78は、弁軸方向DRaにおいて第1弁体72に対し第1弁座部701側とは反対側に配置されている。この配置により、第1付勢部材78は、第1弁体72を、その第1弁体72に対する弁軸方向DRaの第1弁座部701側すなわち弁軸方向DRaの一方へ付勢する。
第2付勢部材80は、弁軸方向DRaに常時圧縮されている圧縮コイルバネである。第2付勢部材80は、弁軸方向DRaにおいて第2弁体74に対し第3弁座部703側とは反対側に配置されている。この配置により、第2付勢部材80は、第2弁体74を、その第2弁体74に対する弁軸方向DRaの第3弁座部703側すなわち弁軸方向DRaの一方へ付勢する。
また、調整ネジ82は、弁軸心CLvまわりに回動するネジ部材であり、ボデー部70に対して螺合されている。調整ネジ82は、弁軸方向DRaにおいて第2弁体74との間に第2付勢部材80を挟むように配置されている。第2付勢部材80が第2弁体74を付勢する付勢力すなわち第2付勢部材80のバネ力は、ボデー部70に対する調整ネジ82のねじ込み量に応じて増減される。
弁作動部76は、ピストン761、付勢部材762、作動軸部763、冷媒の圧力差を利用してピストン761を駆動する圧力調整部764を有している。弁作動部76は、圧力調整部764によってピストン761を駆動することで、第1弁体72と第2弁体74とを弁軸方向DRaに変位させる。
ピストン761は、弁軸方向DRaを厚み方向とする略円柱形状を成している。ピストン761は、弁軸方向DRaに変位可能な状態でボデー部70に形成されたシリンダ室705に収容されている。ピストン761は、第1弁体72および第2弁体74それぞれと連動して変位するように、第1弁体72および第2弁体74が固定された作動軸部763に対して連結されている。ピストン761は、後述の圧力調整室705bの冷媒の圧力に応じて弁軸方向DRaに変位する。
シリンダ室705は、ボデー部70における第1弁室284aと第2弁室283aとの間に形成された円柱状の空間である。シリンダ室705は、ピストン761によって、基準圧力室705aおよび圧力調整可能な圧力調整室705bに分割されている。
基準圧力室705aには、参照ガスとして基準圧力となる冷媒が封入されている。基準圧力室705aには、例えば、第1出口通路284を通過する低圧冷媒が導入される。基準圧力室705aには、ピストン761を弁軸方向DRaの他方側に向けて付勢する付勢部材762が配置されている。付勢部材762は、弁軸方向DRaに常時圧縮されている圧縮コイルバネである。
ボデー部70のうち圧力調整室705bを形成する側壁部706には、圧力調整部764が設けられている。圧力調整部764は、バルブモジュールY0を含んで構成されている。バルブモジュールY0は、高圧管77を介して圧力調整室705bを第3入口通路283と連通させたり、低圧管79を介して圧力調整室705bを第1出口通路284と連通させたりすることで、圧力調整室705bの圧力を変動させる。圧力調整部764の詳細については後述する。
高圧管77は、一端側が第3入口通路283に接続され、他端側がバルブモジュールY0を設置する側壁部706に接続されている。この高圧管77が接続される第3入口通路283は、水冷コンデンサ12を通過した冷媒が流入する通路である。圧縮機11の吐出口112から水冷コンデンサ12の出口側までには、積極的に冷媒を減圧させるための機器が設けられていない。このため、第3入口通路283を通過する冷媒は、圧縮機11から吐出される冷媒と同等の圧力を有する高圧冷媒となる。したがって、高圧管77と圧力調整室705bとが連通すると、圧力調整室705bの圧力が、圧縮機11から吐出される冷媒と同等の圧力まで上昇する。
また、低圧管79は、一端側が第1出口通路284に接続され、他端側がバルブモジュールY0を設置する側壁部706に接続されている。低圧管79が接続される第1出口通路284は、圧縮機11の吸入口111に冷媒を導出する通路である。このため、第1出口通路284を通過する冷媒は、圧縮機11に吸入される冷媒と同等の圧力となる低圧冷媒となる。したがって、低圧管79と圧力調整室705bとが連通すると、圧力調整室705bの圧力が、圧縮機11に吸入される冷媒と同等の圧力(すなわち、低圧圧力Pl)まで低下する。
ここで、高圧管77および低圧管79は、サイクル内の各種構成機器同士を接続する冷媒配管と異なり小流量の冷媒が流れればよいので、当該冷媒配管よりも流路面積が小さい細管(例えば、キャピラリーチューブ)で構成されている。
作動軸部763は、ピストン761に接続されており、弁軸方向DRaにおけるピストン761の変位を第1弁体72と第2弁体74とに伝達する。具体的には、作動軸部763は、ピストン761よりも弁軸方向DRaの一方側に位置する部位に第1弁体72が固定され、弁軸方向DRaの他方側の端部に第2弁体74が固定されている。なお、作動軸部763は、ボデー部70のうち第1弁室284aとシリンダ室705との間に形成された第1挿通孔70aおよび第2弁室283aとシリンダ室705との間に形成された第2挿通孔70bに挿通されている。
[弁装置28の動作説明]
弁装置28は、弁作動部76によって第1弁体72および第2弁体74が弁軸方向DRaへ移動させることで、図4に示す第1作動状態と図5に示す第2作動状態とに切り替わる。第1作動状態は、第1弁体72を第1連通状態にするとともに第2弁体74を開放状態にする作動状態である。また、第2作動状態は、第1弁体72を第2連通状態にすると共に第2弁体74を絞り状態にする作動状態である。
弁装置28は、弁作動部76によって第1弁体72および第2弁体74が弁軸方向DRaへ移動させることで、図4に示す第1作動状態と図5に示す第2作動状態とに切り替わる。第1作動状態は、第1弁体72を第1連通状態にするとともに第2弁体74を開放状態にする作動状態である。また、第2作動状態は、第1弁体72を第2連通状態にすると共に第2弁体74を絞り状態にする作動状態である。
例えば、弁装置28は、圧力調整部764によって圧力調整室705bの制御圧力Pmが低圧圧力Pl付近まで低下されると、ピストン761が弁軸方向DRaの他方側に向けて変位する。これにより、第1弁体72が第1連通状態になるとともに第2弁体74が開放状態になる。すなわち、弁装置28は、図4に示す第1作動状態に切り替わる。
一方、弁装置28は、圧力調整部764によって圧力調整室705bの制御圧力Pmが高圧圧力Ph付近まで高められると、ピストン761が弁軸方向DRaの一方側に向けて変位する。これにより、第1弁体72が第2連通状態になるとともに第2弁体74が絞り状態になる。すなわち、弁装置28は、図5に示す第2作動状態に切り替わる。
このように、弁装置28は、圧力調整部764によって圧力調整室705bの制御圧力Pmを調整することで、第1作動状態と第2作動状態と択一的に切り替わる構成になっている。
以下、圧力調整部764について、図6を参照して説明する。図6に示すように、ボデー部70のうち圧力調整室705bを形成する側壁部706には、バルブモジュールY0が一体に構成されている。ボデー部70は、マイクロバルブY1の取付対象となる被取付対象物を構成している。
具体的には、側壁部706には、後述するバルブモジュールY0の第1突出部Y21、第2突出部Y22、第3突出部Y23が嵌め合わされる第1凹部707、第2凹部708、第3凹部709が形成されている。第1凹部707、第2凹部708、第3凹部709は、側壁部706を外側から見たときに、第2凹部708、第1凹部707、第3凹部709の順に直線状に並ぶように配置されている。第1凹部707の底部には、第1凹部707と圧力調整室705bとを連通させる貫通孔707aが形成されている。第2凹部708の底部には、第2凹部708と高圧管77とを連通させる連通路708aが形成されている。第3凹部709の底部には、第3凹部709と低圧管79とを連通させる連通路709aが形成されている。
[バルブモジュールY0の構成]
以下、バルブモジュールY0について説明する。図6に示すように、バルブモジュールY0は、マイクロバルブY1、バルブケーシングY2、封止部材Y3、3つのOリングY4、Y5a、Y5b、2本の電気配線Y6、Y7、変換プレートY8を有している。
以下、バルブモジュールY0について説明する。図6に示すように、バルブモジュールY0は、マイクロバルブY1、バルブケーシングY2、封止部材Y3、3つのOリングY4、Y5a、Y5b、2本の電気配線Y6、Y7、変換プレートY8を有している。
マイクロバルブY1は、板形状の弁部品であり、主として半導体チップによって構成されている。マイクロバルブY1は、半導体チップ以外の部品を有していてもいなくてもよい。したがって、マイクロバルブY1を小型に構成できる。マイクロバルブY1の厚さ方向の長さは例えば2mmであり、厚さ方向に直交する長手方向の長さは例えば10mmであり、長手方向にも厚さ方向にも直交する短手方向の長さは例えば5mmであるが、これに限定されない。マイクロバルブY1への供給電力が変動することで、マイクロバルブY1の流路構成が変化する。マイクロバルブY1は、前述の圧力調整室705bの冷媒圧力を変化させるための弁部品である。
電気配線Y6、Y7は、マイクロバルブY1の2つの板面のうち、バルブケーシングY2とは反対側の面から伸びて、封止部材Y3、バルブケーシングY2内を通過して、バルブモジュールY0の外部にある電源に接続される。これにより、電気配線Y6、Y7を通して、電源からマイクロバルブY1に電力が供給される。
変換プレートY8は、マイクロバルブY1とバルブケーシングY2の間に配置される板形状の部材である。変換プレートY8は、ガラス基板である。変換プレートY8の2つの板面の一方側は、マイクロバルブY1に対して接着剤で固定され、他方側はバルブケーシングY2に対して接着剤で固定されている。変換プレートY8には、マイクロバルブY1の後述する3つの冷媒孔とバルブケーシングY2の3つの連通孔とを繋げるための流路Y81、Y82、Y83が形成されている。これら流路Y81、Y82、Y83は、一列に並ぶ上記3つの冷媒孔のピッチと一列に並ぶ上記3つの連通孔のピッチの違いを吸収するための部材である。流路Y81、Y82、Y83は、変換プレートY8の2つの板面の一方から他方に貫通している。
バルブケーシングY2は、マイクロバルブY1および変換プレートY8を収容する樹脂製のケーシングである。バルブケーシングY2は、ポリフェニレンサルファイドを主成分として樹脂成形によって形成されている。バルブケーシングY2は、線膨張係数が、マイクロバルブY1の線膨張係数とボデー部70の線膨張係数の間の値となるように構成されている。なお、バルブケーシングY2は、マイクロバルブY1をボデー部70に対して取り付けるための部品取付部を構成している。
バルブケーシングY2は、一方側に底壁を有し、他方側が開放された箱体である。バルブケーシングY2の底壁は、マイクロバルブY1がボデー部70に直接接しないように、ボデー部70とマイクロバルブY1の間に介在する。そして、この底壁の一方側の面がボデー部70に接触して固定され、他方側の面が変換プレートY8に接触して固定される。このようになっていることで、マイクロバルブY1とボデー部70の線膨張係数の違いをバルブケーシングY2が吸収できる。これは、バルブケーシングY2の線膨張係数が、マイクロバルブY1の線膨張係数とボデー部70の線膨張係数の間の値となっているからである。なお、変換プレートY8の線膨張係数は、マイクロバルブY1の線膨張係数とバルブケーシングY2の線膨張係数の間の値となっている。
また、バルブケーシングY2の底壁は、マイクロバルブY1に対向する板形状のベース部Y20と、マイクロバルブY1から離れる方向に当該ベース部Y20から突出する柱形状の第1突出部Y21、第2突出部Y22、第3突出部Y23を有する。
第1突出部Y21、第2突出部Y22、第3突出部Y23は、側壁部706の下面に形成された第1凹部707、第2凹部708、第3凹部709に嵌め込まれている。第1突出部Y21には、マイクロバルブY1側端からその反対側端まで貫通する第1連通孔YV1が形成されている。第2突出部Y22には、マイクロバルブY1側端からその反対側端まで貫通する第2連通孔YV2が形成されている。第3突出部Y23には、マイクロバルブY1側端からその反対側端まで貫通する第3連通孔YV3が形成されている。第1連通孔YV1、第2連通孔YV2、第3連通孔YV3は一列に並んでおり、第2連通孔YV2と第3連通孔YV3の間に第1連通孔YV1が位置する。
第1連通孔YV1のマイクロバルブY1側端は、変換プレートY8に形成された流路Y81のバルブケーシングY2側端に連通している。第2連通孔YV2のマイクロバルブY1側端は、変換プレートY8に形成された流路Y82のバルブケーシングY2側端に連通している。第3連通孔YV3のマイクロバルブY1側端は、変換プレートY8に形成された流路Y83のバルブケーシングY2側端に連通している。
封止部材Y3は、バルブケーシングY2の開放された上記他方側を封止するエポキシ樹脂製の部材である。封止部材Y3は、マイクロバルブY1の2つの板面のうち、変換プレートY8側とは反対側の板面の全体を覆う。また、封止部材Y3は、変換プレートY8の2つの板面のうち、バルブケーシングY2の底壁側とは反対側の板面の一部を覆う。また、封止部材Y3は、電気配線Y6、Y7を覆うことで、電気配線Y6、Y7の防水および絶縁を実現する。封止部材Y3は樹脂ポッティング等によって形成される。
OリングY4は、第1突出部Y21の外周に取り付けられ、側壁部706と第1突出部Y21の間を封止することで、弁装置28の外部かつ冷媒回路の外部への冷媒の漏出を抑制する。OリングY5aは、第2突出部Y22の外周に取り付けられ、側壁部706と第2突出部Y22の間を封止することで、弁装置28の外部かつ冷媒回路の外部への冷媒の漏出を抑制する。OリングY5bは、第3突出部Y23の外周に取り付けられ、側壁部706と第3突出部Y23の間を封止することで、弁装置28の外部かつ冷媒回路の外部への冷媒の漏出を抑制する。
[マイクロバルブY1の構成]
ここで、マイクロバルブY1の構成について更に説明する。マイクロバルブY1は、図7、図8に示すように、いずれも半導体である第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13を備えたMEMSである。MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemsの略称である。第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13は、それぞれが同じ外形を有する長方形の板形状の部材であり、第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の順に積層されている。第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13のうち、第2外層Y13が、バルブケーシングY2の底壁に最も近い側に配置される。後述する第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の構造は、化学的エッチング等の半導体製造プロセスによって形成される。
ここで、マイクロバルブY1の構成について更に説明する。マイクロバルブY1は、図7、図8に示すように、いずれも半導体である第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13を備えたMEMSである。MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemsの略称である。第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13は、それぞれが同じ外形を有する長方形の板形状の部材であり、第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の順に積層されている。第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13のうち、第2外層Y13が、バルブケーシングY2の底壁に最も近い側に配置される。後述する第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の構造は、化学的エッチング等の半導体製造プロセスによって形成される。
第1外層Y11は、表面に非導電性の酸化膜のある導電性の半導体部材である。第1外層Y11には、図7に示すように、表裏に貫通する2つの貫通孔Y14、Y15が形成されている。この貫通孔Y14、Y15に、それぞれ、電気配線Y6、Y7のマイクロバルブY1側端が挿入される。
第2外層Y13は、表面に非導電性の酸化膜のある導電性の半導体部材である。第2外層Y13には、図7、図9、図10に示すように、表裏に貫通する第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18が形成されている。第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18の各々の水力直径は、例えば0.1mm以上かつ3mm以下であるが、これに限定されない。第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18は、それぞれ、第1流体孔、第2流体孔、第3流体孔に対応する。
図10に示すように、第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18は、それぞれ、変換プレートY8の流路Y81、Y82、Y83に連通する。第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18は、一列に並んでいる。第2冷媒孔Y17と第3冷媒孔Y18の間に第1冷媒孔Y16が配置される。
中間層Y12は、導電性の半導体部材であり、第1外層Y11と第2外層Y13に挟まれている。中間層Y12は、第1外層Y11の酸化膜と第2外層Y13の酸化膜に接触するので、第1外層Y11と第2外層Y13とも電気的に非導通である。中間層Y12は、図9に示すように、第1固定部Y121、第2固定部Y122、複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124、スパインY125、アームY126、梁Y127、可動部Y128を有している。
第1固定部Y121は、第1外層Y11、第2外層Y13に対して固定された部材である。第1固定部Y121は、第2固定部Y122、第1リブY123、第2リブY124、スパインY125、アームY126、梁Y127、可動部Y128を同じ1つの流体室Y19内に囲むように形成されている。流体室Y19は、第1固定部Y121、第1外層Y11、第2外層Y13によって囲まれた室である。流体室Y19は、圧力調整室705bに導入する冷媒が流通する。第1固定部Y121、第1外層Y11、第2外層Y13は、全体として基部に対応する。なお、電気配線Y6、Y7は複数の第1リブY123および複数の第2リブY124の温度を変化させて変位させるための電気配線である。
第1固定部Y121の第1外層Y11および第2外層Y13に対する固定は、冷媒が流体室Y19から第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18以外を通ってマイクロバルブY1から漏出することを抑制するような形態で、行われている。
第2固定部Y122は、第1外層Y11、第2外層Y13に対して固定される。第2固定部Y122は、第1固定部Y121に取り囲まれると共に、第1固定部Y121から離れて配置される。
複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124、スパインY125、アームY126、梁Y127、可動部Y128は、第1外層Y11、第2外層Y13に対して固定されておらず、第1外層Y11、第2外層Y13に対して変位可能である。
スパインY125は、中間層Y12の矩形形状の短手方向に伸びる細長い棒形状を有している。スパインY125の長手方向の一端は、梁Y127に接続されている。
複数本の第1リブY123は、スパインY125の長手方向に直交する方向におけるスパインY125の一方側に配置される。そして、複数本の第1リブY123は、スパインY125の長手方向に並んでいる。各第1リブY123は、細長い棒形状を有しており、温度に応じて伸縮可能となっている。
各第1リブY123は、その長手方向の一端で第1固定部Y121に接続され、他端でスパインY125に接続される。そして、各第1リブY123は、第1固定部Y121側からスパインY125側に近付くほど、スパインY125の長手方向の梁Y127側に向けてオフセットされるよう、スパインY125に対して斜行している。そして、複数の第1リブY123は、互いに対して平行に伸びている。
複数本の第2リブY124は、スパインY125の長手方向に直交する方向におけるスパインY125の他方側に配置される。そして、複数本の第2リブY124は、スパインY125の長手方向に並んでいる。各第2リブY124は、細長い棒形状を有しており、温度に応じて伸縮可能となっている。
各第2リブY124は、その長手方向の一端で第2固定部Y122に接続され、他端でスパインY125に接続される。そして、各第2リブY124は、第2固定部Y122側からスパインY125側に近付くほど、スパインY125の長手方向の梁Y127側に向けてオフセットされるよう、スパインY125に対して斜行している。そして、複数の第2リブY124は、互いに対して平行に伸びている。
複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124、スパインY125は、全体として、駆動部に対応する。
アームY126は、スパインY125と非直交かつ平行に伸びる細長い棒形状を有している。アームY126の長手方向の一端は梁Y127に接続されており、他端は第1固定部Y121に接続されている。
梁Y127は、スパインY125およびアームY126に対して約90°で交差する方向に伸びる細長い棒形状を有している。梁Y127の一端は、可動部Y128に接続されている。アームY126と梁Y127は、全体として、増幅部に対応する。
アームY126と梁Y127の接続位置YP1、スパインY125と梁Y127の接続位置YP2、梁Y127と可動部Y128の接続位置YP3は、梁Y127の長手方向に沿って、この順に並んでいる。そして、第1固定部Y121とアームY126との接続点をヒンジYP0とすると、中間層Y12の板面に平行な面内におけるヒンジYP0から接続位置YP2までの直線距離よりも、ヒンジYP0から接続位置YP3までの直線距離の方が、長い。例えば、前者の直線距離を後者の直線距離で除算した値は、1/5以下であってもよいし、1/10以下であってもよい。
可動部Y128は、流体室Y19の圧力を調整するものである。可動部Y128は、その外形が、梁Y127の長手方向に対して概ね90°の方向に伸びる矩形形状を有している。この可動部Y128は、流体室Y19内において梁Y127と一体に動くことができる。そして、可動部Y128は、中間層Y12の表裏に貫通する貫通孔Y120を囲む枠形状となっている。したがって、貫通孔Y120も、可動部Y128と一体的に移動する。貫通孔Y120は、流体室Y19の一部である。
可動部Y128は、上記のように動くことで、第2冷媒孔Y17の貫通孔Y120に対する開度および、第3冷媒孔Y18の貫通孔Y120に対する開度を変更する。第1冷媒孔Y16は、貫通孔Y120に対して常に全開で連通している。
また、第1固定部Y121のうち、複数の第1リブY123と接続する部分の近傍の第1印加点Y129には、図7に示した第1外層Y11の貫通孔Y14を通った電気配線Y6のマイクロバルブY1側端が接続される。また、第2固定部Y122の第2印加点Y130には、図7に示した第1外層Y11の貫通孔Y15を通った電気配線Y7のマイクロバルブY1側端が接続される。
[バルブモジュールY0の作動]
ここで、バルブモジュールY0の作動について説明する。マイクロバルブY1への通電が開始されると、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130の間に電圧が印加される。すると、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124を電流が流れる。この電流によって、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124が発熱する。その結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124の各々が、その長手方向に膨張する。
ここで、バルブモジュールY0の作動について説明する。マイクロバルブY1への通電が開始されると、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130の間に電圧が印加される。すると、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124を電流が流れる。この電流によって、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124が発熱する。その結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124の各々が、その長手方向に膨張する。
このような熱的な膨張の結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124は、スパインY125を接続位置YP2側に付勢する。付勢されたスパインY125は、接続位置YP2において、梁Y127を押す。このように、接続位置YP2は付勢位置に対応する。
そして、梁Y127とアームY126から成る部材は、ヒンジYP0を支点として、接続位置YP2を力点として、一体に姿勢を変える。その結果、梁Y127のアームY126とは反対側の端部に接続された可動部Y128も、その長手方向の、スパインY125が梁Y127を押す側に、移動する。
また、マイクロバルブY1への通電が停止されたときは、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130への電圧印加が停止される。すると、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124を電流が流れなくなり、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124の温度が低下する。その結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124の各々が、その長手方向に収縮する。
このような熱的な収縮の結果、複数の第1リブY123、複数の第2リブY124は、スパインY125を接続位置YP2とは反対側に付勢する。付勢されたスパインY125は、接続位置YP2において、梁Y127を引っ張る。その結果、梁Y127とアームY126から成る部材は、ヒンジYP0を支点として、接続位置YP2を力点として、一体に姿勢を変える。その結果、梁Y127のアームY126とは反対側の端部に接続された可動部Y128も、その長手方向の、スパインY125が梁Y127を引っ張る側に、移動する。その移動の結果、可動部Y128は、所定の非通電時位置で停止する。
このようなマイクロバルブY1への通電時、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130を介してマイクロバルブY1に供給される電力が大きいほど、非通電時位置に対する可動部Y128の移動量も大きくなる。これは、マイクロバルブY1に供給される電力が高いほど、第1リブY123、第2リブY124の温度が高くなり、膨張度合いが大きいからである。
例えば電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130へ印加される電圧がPWM制御される場合、デューティ比が大きいほど非通電時に対する可動部Y128の移動量も大きくなる。
図9、図10に示すように、可動部Y128が非通電時位置にある場合、貫通孔Y120は、中間層Y12の板面に直交する方向に第1冷媒孔Y16、第3冷媒孔Y18と重なるが、当該方向に第2冷媒孔Y17とは重ならない。第2冷媒孔Y17は、中間層Y12の板面に直交する方向に可動部Y128と重なる。つまりこのとき、貫通孔Y120に対して第1冷媒孔Y16、第3冷媒孔Y18は全開になり、第2冷媒孔Y17は全閉になる。したがってこの場合、第1冷媒孔Y16が第3冷媒孔Y18に可動部Y128を介して連通し、第2冷媒孔Y17は第1冷媒孔Y16とも第3冷媒孔Y18とも遮断される。この結果、第1連通孔YV1と第3連通孔YV3との間で、流路Y81、第1冷媒孔Y16、貫通孔Y120、第3冷媒孔Y18、流路Y83を介した、冷媒の流通が可能となる。
また、図11、図12に示すように、マイクロバルブY1への通電によって可動部Y128が非通電時位置から最も遠ざかった位置にある場合、そのときの可動部Y128の位置を最大通電時位置という。可動部Y128が最大通電時位置にある場合は、マイクロバルブY1へ供給される電力が制御範囲内の最大となる。例えば、可動部Y128が最大通電時位置にある場合、上述のPWM制御においてデューティ比が制御範囲内の最大値(例えば100%)となる。
可動部Y128が最大通電時位置にある場合、貫通孔Y120は、中間層Y12の板面に直交する方向に第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17と重なるが、当該方向に第3冷媒孔Y18とは重ならない。第3冷媒孔Y18は、中間層Y12の板面に直交する方向に可動部Y128と重なる。つまりこのとき、貫通孔Y120に対して第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17は全開になり、第3冷媒孔Y18は全閉になる。したがってこの場合、第1冷媒孔Y16が第2冷媒孔Y17に可動部Y128を介して連通し、第3冷媒孔Y18は第1冷媒孔Y16とも第2冷媒孔Y17とも遮断される。この結果、第1連通孔YV1と第2連通孔YV2との間で、流路Y81、第1冷媒孔Y16、貫通孔Y120、第2冷媒孔Y17、流路Y83を介した、冷媒の流通が可能となる。
以上の如く、マイクロバルブY1は、梁Y127およびアームY126が、ヒンジYP0を支点とし、接続位置YP2を力点とし、接続位置YP3を作用点とする梃子として機能する。上述の通り、中間層Y12の板面に平行な面内におけるヒンジYP0から接続位置YP2までの直線距離よりも、ヒンジYP0から接続位置YP3までの直線距離の方が、長い。したがって、力点である接続位置YP2の移動量よりも、作用点である接続位置YP3の移動量の方が大きくなる。したがって、熱的な膨張による変位量が、梃子によって増幅されて可動部Y128に伝わる。
また、マイクロバルブY1における冷媒の流路は、Uターン構造を有している。具体的には、冷媒は、マイクロバルブY1の一方側の面からマイクロバルブY1内に流入し、マイクロバルブY1内を通って、マイクロバルブY1の同じ側の面からマイクロバルブY1外に流出する。そして同様にバルブモジュールY0における冷媒の流路も、Uターン構造を有している。具体的には、冷媒は、バルブモジュールY0の一方側の面からバルブモジュールY0内に流入し、バルブモジュールY0内を通って、バルブモジュールY0の同じ側の面からバルブモジュールY0外に流出する。なお、中間層Y12の板面に直交する方向は、第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の積層方向である。
ここで、バルブモジュールY0は、第1冷媒孔Y16が、第1連通孔YV1、第1凹部707の貫通孔707aを介して圧力調整室705bに連通している。また、第2冷媒孔Y17が、第2連通孔YV2、第2凹部708の連通路708aを介して高圧管77に連通している。そして、第3冷媒孔Y18が、第3連通孔YV3、第3凹部709の連通路709aを介して低圧管79に連通している。
このため、例えば、マイクロバルブY1の可動部Y128が非通電時位置にある場合、第1冷媒孔Y16と第3冷媒孔Y18とが連通し、圧力調整室705bが低圧管79を介して、第1出口通路284に連通する。これにより、圧力調整室705bの圧力(すなわち、制御圧力Pm)が第1出口通路284と同等の低圧圧力Plに低下する。すなわち、弁装置28は、図13に示すように、マイクロバルブY1への通電が停止されると、制御圧力Pmが低圧圧力Plに変化する。これにより、ピストン761が弁軸方向DRaの他方側に向けて変位することで、第1弁体72が第1連通状態になるとともに第2弁体74が開放状態になる。すなわち、弁装置28は、図4に示す第1作動状態に切り替わる。
一方、マイクロバルブY1への通電によって、可動部Y128が最大通電時位置にある場合、第1冷媒孔Y16と第2冷媒孔Y17が連通し、圧力調整室705bが高圧管77を介して第3入口通路283に連通する。これにより、圧力調整室705bの圧力(すなわち、制御圧力Pm)が第3入口通路283と同等の高圧圧力Phとなる。すなわち、弁装置28は、図13に示すように、マイクロバルブY1へ通電されると、制御圧力Pmが高圧圧力Phに変化する。これにより、ピストン761が弁軸方向DRaの一方側に向けて変位することで、第1弁体72が第2連通状態になるとともに第2弁体74が絞り状態になる。すなわち、弁装置28は、図5に示す第2作動状態に切り替わる。
以上説明した弁装置28は、ヒートポンプ回路101における冷媒の循環経路を第1経路と第2経路とに切り替えることと、冷媒通路の通路開度を全開状態と絞り状態とに切り替えることとを、弁作動部76の作動によって一度に実現することが可能である。
弁作動部76は、第1弁体72および第2弁体74をマイクロバルブY1による圧力調整室705bの圧力調整によって変位させる構成になっているので、電磁弁や電動弁よりも小型に構成することができる。その理由の1つは、マイクロバルブY1が上述の通り半導体チップにより形成されているということである。また、上述の通り、梃子を利用して熱的な膨張による変位量が増幅されることも、そのような梃子を利用しない電磁弁や電動弁と比べて小型に構成することが可能となる。
具体的には、マイクロバルブY1は、可動部Y128によって第2冷媒孔Y17および第3冷媒孔Y18を開閉して圧力調整室705bの圧力を変化させる構成になっている。これによれば、マイクロバルブY1による圧力調整室705bの圧力調整によって、第1弁体72および第2弁体74それぞれを変位させることができる。
また、マイクロバルブY1は、梃子を利用しており、熱的な膨張による変位量を可動部Y128の移動量より抑えることができるので、可動部Y128を駆動するための消費電力も低減することができる。また、電磁弁の駆動時における衝撃音を無くすことができるので、騒音を低減することができる。また、複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124の変位は熱に起因して発生するので、騒音低減効果が高い。
また、マイクロバルブY1における冷媒の流路は、Uターン構造を有している。具体的には、冷媒は、マイクロバルブY1の一方側の面からマイクロバルブY1内に流入し、マイクロバルブY1内を通って、マイクロバルブY1の同じ側の面からマイクロバルブY1外に流出する。そして同様にバルブモジュールY0における冷媒の流路も、Uターン構造を有している。具体的には、冷媒は、バルブモジュールY0の一方側の面からバルブモジュールY0内に流入し、バルブモジュールY0内を通って、バルブモジュールY0の同じ側の面からバルブモジュールY0外に流出する。なお、中間層Y12の板面に直交する方向は、第1外層Y11、中間層Y12、第2外層Y13の積層方向である。
このように、マイクロバルブY1およびバルブモジュールY0がUターンの構造の冷媒流路を有していれば、ボデー部70の掘り込みを少なくすることができる。つまり、バルブモジュールY0を配置するためにボデー部70に形成された凹みの深さを抑えることができる。その理由は以下の通りである。
例えば、バルブモジュールY0がUターンの構造の冷媒流路を有しておらず、バルブモジュールY0の側壁部706側の面に冷媒入口があり、バルブモジュールY0の反対側の面に冷媒出口があったとする。その場合、バルブモジュールY0の両面に、冷媒流路を形成する必要がある。したがって、バルブモジュールY0の両面の冷媒流路までボデー部70に収容しようとすると、バルブモジュールY0を配置するためにボデー部70に形成しなければならない凹みが深くなってしまう。また、マイクロバルブY1自体が小型であるので、ボデー部70の掘り込みを更に低減することができる。
また、マイクロバルブY1の両面のうち、第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17が形成される面とは反対側の面に電気配線Y6、Y7を配置した場合、電気配線Y6、Y7を大気雰囲気により近い側に置くことができる。したがって、したがって、電気配線Y6、Y7への冷媒雰囲気の影響を低減するためのハーメチック等のシール構造が不要となる。その結果、弁装置28の小型化が実現できる。
また、マイクロバルブY1が軽量であることから、弁装置28が軽量化される。マイクロバルブY1の消費電力が小さいので、弁装置28が省電力化される。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図14、図15を参照して説明する。本実施形態では、第2弁体74に対して絞り孔74aが形成されていない点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
次に、第2実施形態について、図14、図15を参照して説明する。本実施形態では、第2弁体74に対して絞り孔74aが形成されていない点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図14に示すように、側壁部706は、第2弁体74に対して絞り孔74aが設けられていない。このため、第2弁体74が第3弁座部703に押し付けられて当接すると、第3入口通路283と第2出口通路285との連通が遮断される。
また、本実施形態の第2弁体74は、絞り状態において、第2弁体74が第3弁座部703との間に微小な隙間Cが形成されるように構成されている。これにより、絞り状態では、第3弁座部703の通路連通孔703aが第2弁体74と第3弁座部703との間の微小な隙間Cを介して第3入口通路283へ連通する。そして、第2弁体74は絞り状態では、第3入口通路283からの冷媒を、隙間Cを通過させることで、第3入口通路283からの冷媒の流れを開放状態よりも絞る。
ここで、圧力調整部764のマイクロバルブY1は、通電時に、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130を介してマイクロバルブY1に供給される電力が大きいほど、非通電時位置に対する可動部Y128の移動量も大きくなる。これは、マイクロバルブY1に供給される電力が高いほど、第1リブY123、第2リブY124の温度が高くなり、膨張度合いが大きいからである。例えば、電気配線Y6、Y7から第1印加点Y129、第2印加点Y130へ印加される電圧がPWM制御される場合、デューティ比が大きいほど非通電時に対する可動部Y128の移動量も大きくなる。
このため、マイクロバルブY1に供給される電力を、例えばPWM制御で調整することで、可動部Y128を、非通電時位置と最大通電時位置の間のどの中間位置にでも、停止させることができる。例えば、最大通電時位置と非通電時位置からも等距離の位置(すなわち、中央位置)で可動部Y128を停止させるには、マイクロバルブY1に供給される電力が、制御範囲内の最大値の半分であればいい。例えば、PWM制御のデューティ比が50%であればいい。
可動部Y128が中間位置に停止している場合、第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18は、いずれも貫通孔Y120に連通している。しかし、第2冷媒孔Y17および第3冷媒孔Y18は、貫通孔Y120に対して全開状態ではなく、100%未満かつ0%よりも大きい開度となっている。可動部Y128が中間位置において最大通電位時位置に近づくほど、貫通孔Y120に対する第3冷媒孔Y18の開度が減少し、第2冷媒孔Y17の開度が増大する。
これらを加味して、本実施形態の制御装置50は、マイクロバルブY1に印加される電圧をPWM制御によって変更し、制御圧力Pmを中間圧力に変化させることで、第2弁体74と第3弁座部703との隙間Cの大きさを変化させる。
制御装置50は、例えば、図15に示すように、マイクロバルブY1に対するPWM制御のデューティ比を大きくして制御圧力Pmを高圧圧力Phに近づける。これにより、第2弁体74と第3弁座部703との隙間Cが小さくなる。また、制御装置50、例えば、マイクロバルブY1に対するPWM制御のデューティ比を小さくして制御圧力Pmを小さくする。これにより、第2弁体74と第3弁座部703との隙間Cが大きくなる。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。弁装置28がマイクロバルブY1を含んで構成されることで得られる作用効果に関しては、第1実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態の弁装置28は、制御装置50がマイクロバルブY1に供給される電力を変化させることで、第2弁体74と第3弁座部703との間の隙間Cの大きさを微調整可能になっている。これによると、第2弁体74と第3弁座部703との隙間Cの大きさを変更することで、暖房モード時における冷媒流量を負荷条件等に応じた適量に調整できる。
但し、第2弁体74と第3弁座部703との間の隙間Cが大きくなると、第1弁体72が第1弁座部701から離れ、暖房モード時に第1弁体72と第1弁座部701との間での冷媒漏れが生じてしまう。このため、第2弁体74と第3弁座部703との間での隙間Cの調整範囲は、暖房モード時に第1弁体72と第1弁座部701との間での冷媒の漏れ量の許容量に応じて設定する等の対策を施すことが望ましい。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態のマイクロバルブY1が、故障検知機能を有するよう変更されている。具体的には、マイクロバルブY1は、第5実施形態と同じ構成に加え、図16、図17に示すように、故障検知部Y50を備えている。
次に第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態のマイクロバルブY1が、故障検知機能を有するよう変更されている。具体的には、マイクロバルブY1は、第5実施形態と同じ構成に加え、図16、図17に示すように、故障検知部Y50を備えている。
故障検知部Y50は、中間層Y12のアームY126に形成されたブリッジ回路を含む。ブリッジ回路は、図17のように接続された4つのゲージ抵抗を含んでいる。つまり、故障検知部Y50は、ダイヤフラムに相当するアームY126の歪みに応じて抵抗が変化するブリッジ回路である。つまり、故障検知部Y50は半導体ピエゾ抵抗式の歪みセンサである。故障検知部Y50は、電気的絶縁膜を介して、アームY126と導通しないように、アームY126に接続されていてもよい。
このブリッジ回路の対角にある2つの入力端子に配線Y51、Y52が接続される。そして、配線Y51、Y52から当該入力端子に、定電流発生用の電圧が印加される。この配線Y51、Y52は、電気配線Y6、Y7を介してマイクロバルブY1に印加される電圧(すなわち、マイクロバルブ駆動電圧)から分岐して上記2つの入力端子まで伸びている。
また、このブリッジ回路の別の対角にある2つの出力端子に、配線Y53、Y54が接続される。そして、アームY126の歪み量に応じた電圧信号が配線Y53、Y54から出力される。この電圧信号は、後述する通り、マイクロバルブY1が正常に作動しているか否かを判別するための情報として使用される。配線Y53、Y54から出力される電圧信号は、マイクロバルブY1の外部にある外部制御装置Y55に入力される。
この外部制御装置Y55は、例えば、空調装置1の制御装置50であってもよい。あるいは、この外部制御装置Y55は、車両において、車速、燃料残量、電池残量等を表示するメータECUであってもよい。
アームY126の歪み量に応じた電圧信号を外部制御装置Y55が配線Y53、Y54を介して取得すると、外部制御装置Y55は、当該電圧信号に応じて、マイクロバルブY1の故障の有無を検知する。検知対象の故障としては、例えば、アームY126が折れる故障、可動部Y128と第1外層Y11または第2外層Y13との間に微小な異物が挟まって可動部Y128が動かなくなる故障、等がある。
複数本の第1リブY123および複数本の第2リブY124の伸縮に応じて、梁Y127および可動部Y128が変位する際、アームY126の歪み量が変化する。したがって、アームY126の歪み量に応じた電圧信号から、可動部Y128の位置を推定できる。一方、マイクロバルブY1が正常であれば、電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1への通電量と可動部Y128の位置との間にも相関関係がある。この通電量は、マイクロバルブY1を制御するための制御量である。
外部制御装置Y55は、このことを利用して、マイクロバルブY1の故障の有無を検知する。つまり、外部制御装置Y55は、配線Y53、Y54からの電圧信号から、あらかじめ定められた第1マップに基づいて、可動部Y128の位置を算出する。そして、あらかじめ定められた第2マップに基づいて、可動部Y128の位置から、正常時において当該位置を実現するために必要な電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1への供給電力を算出する。これら第1マップ、第2マップは、外部制御装置Y55の不揮発性メモリに記録されている。不揮発性メモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。第1マップにおける電圧信号のレベルと位置との対応関係は、あらかじめ実験等によって定められてもよい。また、第2マップにおける位置と供給電力との対応関係も、あらかじめ実験等によって定められてもよい。
そして外部制御装置Y55は、算出された電力と、実際に電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1へ供給されている電力とを比較する。そして、外部制御装置Y55は、前者の電力と後者の電力の差の絶対値が許容値を超えていれば、マイクロバルブY1が故障していると判定し、許容値を超えていなければ、マイクロバルブY1が正常であると判定する。そして、外部制御装置Y55は、マイクロバルブY1が故障していると判定した場合に、所定の故障報知制御を行う。
外部制御装置Y55は、この故障報知制御においては、車内の人に報知を行う報知装置Y56を作動させる。例えば、外部制御装置Y55は、警告ランプを点灯させてもよい。また、外部制御装置Y55は、画像表示装置に、マイクロバルブY1に故障が発生したことを示す画像を表示させてもよい。これによって、車両の乗員は、マイクロバルブY1の故障に気付くことができる。
また、外部制御装置Y55は、この故障報知制御においては、車両内の記憶装置に、マイクロバルブY1に故障が発生したことを示す情報を記録してもよい。この記憶装置は、非遷移的実体的記憶媒体である。これにより、マイクロバルブY1の故障を記録に残すことができる。
また、外部制御装置Y55は、マイクロバルブY1が故障していると判定した場合は、通電停止制御を行う。通電停止制御では、外部制御装置Y55は、電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1への通電を停止させる。このように、マイクロバルブY1の故障時にマイクロバルブY1への通電を停止することで、マイクロバルブY1の故障時の安全性を高めることができる。
以上のように、故障検知部Y50が、マイクロバルブY1が正常に作動しているか否かを判別するための電圧信号を出力することで、外部制御装置Y55は、マイクロバルブY1の故障の有無を容易に判別することができる。
また、この電圧信号は、アームY126の歪み量に応じた信号である。したがって、電気配線Y6、Y7からマイクロバルブY1への通電量とこの電圧信号との関係に基づいて、マイクロバルブY1の故障の有無を容易に判別することができる。
なお、本実施形態では、ブリッジ回路を構成する抵抗の変化に基づいてマイクロバルブY1が故障しているか否かが判定されている。しかし、他の方法として、静電容量の変化に基づいてマイクロバルブY1が故障しているか否かが判定されてもよい。この場合、ブリッジ回路の代わりに容量成分を形成する複数の電極がアームY126に形成される。アームY126の歪み量と複数の電極間の静電容量の間は相関関係がある。したがって、外部制御装置Y55は、この複数の電極間の静電容量の変化に基づいて、マイクロバルブY1が故障しているか否かを判定できる。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、ボデー部70における第1弁室284aと第2弁室283aとの間に形成されたものを例示したが、これに限定されない。弁装置28は、例えば、シリンダ室705が第1弁室284aの上方側に形成されていたり、第2弁室283aの下方側に形成されていたりしてもよい。
上述の実施形態のマイクロバルブY1は常閉弁ではなく、常開弁として構成されていてもよい。
上述の実施形態の如く、弁装置28は、マイクロバルブY1とボデー部70との間にバルブケーシングY2を介在させることが望ましいが、これに限らない。弁装置28は、例えば、マイクロバルブY1とボデー部70とがバルブケーシングY2を介さずに互いに接するように構成されていてもよい。また、バルブケーシングY2は樹脂に限らない。さらに、バルブケーシングY2とボデー部70との間に線膨張係数の違いを吸収できる追加部材が介在されていてもよい。
上述の実施形態では、複数本の第1リブY123、複数本の第2リブY124が通電されることで発熱し、その発熱によって自らの温度が上昇することで膨張する。しかし、これら部材は、温度が変化すると長さが変化する形状記憶材料から構成されていてもよい。
上述の実施形態では、本開示の弁装置28が、ヒートポンプ回路101を含む空調装置1に適用されるものを例示したが、これに限定されない。弁装置28は、空調装置1以外の機器に用いられるヒートポンプ回路101にも適用可能である。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。例えば、マイクロバルブY1の形状やサイズは、上記の実施形態で示したものに限られない。マイクロバルブY1は、極微小流量制御可能で、かつ、流路内に存在する微少ゴミを詰まらせないような水力直径の第1冷媒孔Y16、第2冷媒孔Y17、第3冷媒孔Y18を有していればよい。
上述の実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の湿度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、弁装置は、ボデー部と、第1弁体と、第2弁体と、弁作動部と、を備える。弁作動部は、圧力調整室の冷媒の圧力に応じて弁軸方向に変位するピストン、ピストンの変位を第1弁体および第2弁体に伝える作動軸部、圧力調整室における冷媒の圧力を変化させる圧力調整部を含んでいる。圧力調整部は、圧力調整室における冷媒の圧力を変化させるための弁部品を含んでいる。弁部品は、冷媒が流通する流体室が形成される基部と、温度変化により変位する駆動部と、駆動部の温度変化による変位を増幅する増幅部と、増幅部によって増幅された変位が伝達されて動くことで流体室の冷媒圧力を調整する可動部と、を有する。そして、増幅部が、ヒンジを支点とし、増幅部が駆動部に付勢される付勢位置を力点とし、増幅部と可動部との接続位置を作用点とする梃子として機能するように構成されている。
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、弁装置は、ボデー部と、第1弁体と、第2弁体と、弁作動部と、を備える。弁作動部は、圧力調整室の冷媒の圧力に応じて弁軸方向に変位するピストン、ピストンの変位を第1弁体および第2弁体に伝える作動軸部、圧力調整室における冷媒の圧力を変化させる圧力調整部を含んでいる。圧力調整部は、圧力調整室における冷媒の圧力を変化させるための弁部品を含んでいる。弁部品は、冷媒が流通する流体室が形成される基部と、温度変化により変位する駆動部と、駆動部の温度変化による変位を増幅する増幅部と、増幅部によって増幅された変位が伝達されて動くことで流体室の冷媒圧力を調整する可動部と、を有する。そして、増幅部が、ヒンジを支点とし、増幅部が駆動部に付勢される付勢位置を力点とし、増幅部と可動部との接続位置を作用点とする梃子として機能するように構成されている。
第2の観点によれば、基部には、流体室と圧力調整室とを連通させる第1流体孔、流体室に高圧冷媒を流すための第2流体孔、流体室に低圧冷媒を流すための第3流体孔が形成されている。弁部品は、可動部によって第2流体孔および第3流体孔を開閉することで、圧力調整室の圧力を変化させる構成になっている。
これにより、弁部品によって圧力制御室への高圧冷媒および低圧冷媒の導入状態を調整して、圧力制御室の圧力を調整することができる。なお、高圧冷媒は、圧縮機から吐出された冷媒と同等の圧力となる冷媒である。また、低圧冷媒は、圧縮機に吸入される冷媒と同等の圧力となる冷媒である。
第3の観点によれば、圧力調整部は、弁部品の取付対象となる被取付対象物に対して弁部品を取り付けるための部品取付部を含んでいる。部品取付部は、弁部品と被取付対象物とが直接接しないように部品取付部と弁部品との間に介在されている。これによれば、被取付対象物と弁部品との間に部品取付部が介在させる構成とすれば、部品取付部が緩衝材として機能することで、弁部品を保護することができる。
第4の観点によれば、部品取付部は、部品取付部の線膨張係数が、弁部品の線膨張係数と被取付対象物の線膨張係数との間に値となるように構成されている。これによると、被取付対象物の温度変化による熱歪が生じたとしても、被取付対象物の温度変化による熱歪の応力が部品取付部で吸収されるので、弁部品を保護することができる。
第5の観点によれば、弁部品は、当該弁部品が正常に作動しているか故障しているかを判別するための信号を出力する故障検知部を備えている。弁部品がこのような信号を出力することで、弁部品の故障の有無を容易に判別できる。
第6の観点によれば、弁部品が出力する信号は、増幅部の歪み量に応じた信号である。このようになっていることで、この信号と弁部品を制御するための制御量との関係に基づいて、弁装置の故障の有無を判別することができる。
第7の観点によれば、駆動部は、通電されることで発熱し、故障検知部は、弁部品が故障している場合に弁部品に対する通電を停止する装置に、信号を出力する。このように、弁部品の故障時に通電を停止することで、故障時の安全性を高めることができる。
第8の観点によれば、故障検知部は、弁部品が故障している場合に、人に報知を行う報知装置を作動させる装置に、信号を出力する。これにより、人は、弁部品の故障を知ることができる。
第9の観点によれば、弁部品は、半導体チップによって構成されている。これによれば、弁部品を小型に構成できる。
28 弁装置
72 第1弁体
74 第2弁体
76 弁作動部
764 圧力調整部
Y1 マイクロバルブ(弁部品)
Y11、Y121、Y13 基部
Y123、Y124、Y125 駆動部
Y126、Y127 増幅部
Y128 可動部
72 第1弁体
74 第2弁体
76 弁作動部
764 圧力調整部
Y1 マイクロバルブ(弁部品)
Y11、Y121、Y13 基部
Y123、Y124、Y125 駆動部
Y126、Y127 増幅部
Y128 可動部
Claims (9)
- 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)を含むヒートポンプ回路(101)の一部を構成する弁装置であって、
冷媒が導入される圧力調整室(705b)が形成されたボデー部(70)と、
前記ボデー部の内側に収容され、前記ヒートポンプ回路における冷媒の循環経路を第1経路および第2経路に切り替えるための第1弁体(72)と、
前記ボデー部の内側に収容され、前記ボデー部に形成された冷媒通路(283、285)の通路開度を全開にする全開状態および前記冷媒通路の通路開度を前記全開状態よりも絞る絞り状態に切り替えるための第2弁体(74)と、
前記第1弁体および前記第2弁体を所定の弁軸方向(DRa)に変位させることで、前記循環経路を前記第1経路にするとともに前記冷媒通路の通路開度を前記全開状態にする第1作動状態と、前記循環経路を前記第2経路にするとともに前記冷媒通路の通路開度を前記絞り状態にする第2作動状態とを切り替える弁作動部(76)と、を備え、
前記弁作動部は、前記圧力調整室の冷媒の圧力に応じて前記弁軸方向に変位するピストン(761)、前記ピストンの変位を前記第1弁体および前記第2弁体に伝える作動軸部(763)、前記圧力調整室における冷媒の圧力を変化させる圧力調整部(764)を含んでおり、
前記圧力調整部は、前記圧力調整室における冷媒の圧力を変化させるための弁部品(Y1)を含んで構成され、
前記弁部品は、
前記圧力調整室に導入する冷媒が流通する流体室(Y19)が形成される基部(Y11、Y12、Y13)と、
自らの温度が変化すると変位する駆動部(Y123、Y124、Y125)と、
前記駆動部の温度の変化による変位を増幅する増幅部(Y126、Y127)と、
前記増幅部によって増幅された変位が伝達されて動くことで、前記流体室の圧力を調整する可動部(Y128)と、を有し、
前記駆動部が温度の変化によって変位したときに、前記駆動部が付勢位置(YP2)において前記増幅部を付勢することで、前記増幅部がヒンジ(YP0)を支点として変位するとともに、前記増幅部と前記可動部の接続位置(YP3)で前記増幅部が前記可動部を付勢し、
前記ヒンジから前記付勢位置までの距離よりも、前記ヒンジから前記接続位置までの距離の方が長くなっている、弁装置。 - 前記圧縮機から吐出された冷媒と同等の圧力となる冷媒を高圧冷媒とし、前記圧縮機に吸入される冷媒と同等の圧力となる冷媒を低圧冷媒としたとき、
前記基部には、前記流体室と前記圧力調整室とを連通させる第1流体孔(Y16)、前記流体室に前記高圧冷媒を流すための第2流体孔(Y17)、前記流体室に前記低圧冷媒を流すための第3流体孔(Y18)が形成されており、
前記弁部品は、前記可動部によって前記第2流体孔および前記第3流体孔を開閉することで、前記圧力調整室の圧力を変化させる構成になっている、請求項1に記載の弁装置。 - 前記圧力調整部は、前記弁部品の取付対象となる被取付対象物(70)に対して前記弁部品を取り付けるための部品取付部(Y3)を含んでおり、
前記部品取付部は、前記弁部品と前記被取付対象物とが直接接しないように前記部品取付部と前記弁部品との間に介在されている、請求項1または2に記載の弁装置。 - 前記部品取付部は、前記部品取付部の線膨張係数が、前記弁部品の線膨張係数と前記被取付対象物の線膨張係数との間に値となるように構成されている、請求項3に記載の弁装置。
- 前記弁部品は、当該弁部品が正常に作動しているか故障しているかを判別するための信号を出力する故障検知部(Y50)を備えている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の弁装置。
- 前記信号は、前記増幅部の歪み量に応じた信号である、請求項5に記載の弁装置。
- 前記駆動部は、通電されることで発熱し、
前記故障検知部は、前記弁部品が故障している場合に前記弁部品に対する通電を停止する装置(Y55)に、前記信号を出力する、請求項5または6に記載の弁装置。 - 前記故障検知部は、前記弁部品が故障している場合に、人に報知を行う報知装置(Y56)を作動させる装置(Y55)に、前記信号を出力する、請求項5または6に記載の弁装置。
- 前記弁部品は、半導体チップによって構成されている、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の弁装置。
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