JP7073860B2 - 機能性細線付き基材の製造方法、及び、インクと基材のセット - Google Patents

機能性細線付き基材の製造方法、及び、インクと基材のセット Download PDF

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Description

本発明は、機能性細線付き基材の製造方法、及び、インクと基材のセットに関し、より詳しくは、機能性細線の形成に伴う基材の劣化を防止できる機能性細線付き基材の製造方法、及び、インクと基材のセットに関する。
特許文献1、2は、基材上に付与されたインク内部の流動を利用して該インクに含有される機能性材料を該インクの周縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する機能性細線を形成することを提案している。
特開2005-95787号公報 WO2011/051952
しかし、従来の技術には、機能性細線の形成に伴う基材の劣化を防止する観点で、更なる改善の余地が見出された。
そこで本発明の課題は、機能性細線の形成に伴う基材の劣化を防止できる機能性細線付き基材の製造方法、及び、インクと基材のセットを提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.
水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有し、前記機能性材料の濃度が5重量%未満であるインクを用いて、基材上に設けられた下引き層上に線分を形成し、
次いで、前記下引き層上に前記線分として付与された前記インクの内部の流動を利用して該インクに含有される前記機能性材料を該線分の長手方向に沿う両縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する一対の機能性細線を形成する機能性細線付き基材の製造方法であって、
前記下引き層は、少なくとも溶剤ブロック層を有し、
前記溶剤ブロック層は、前記インクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%であることを特徴とする機能性細線付き基材の製造方法。
2.
前記インクは、水より沸点の高い高沸点溶剤を含み、
前記下引き層の表面は、水と前記高沸点溶剤とを80:20の重量比で混合した混合液の該表面に対する25℃における接触角をAとし、前記高沸点溶剤の該表面に対する25℃における接触角をBとした場合に、下記式(a)、(b)及び(c)の全てを満たすことを特徴とする前記1記載の機能性細線付き基材の製造方法。
0.1≦B/A≦2 ・・・(a)
10°≦A≦50° ・・・(b)
5°≦B≦30° ・・・(c)
3.
前記下引き層の表面は、前記溶剤ブロック層によって構成されることを特徴とする前記2記載の機能性細線付き基材の製造方法。
4.
前記下引き層の表面は、前記溶剤ブロック層上に設けられた表面エネルギー調整層によって構成されることを特徴とする前記2記載の機能性細線付き基材の製造方法。
5.
前記基材は、ポリカーボネートであることを特徴とする前記1~4の何れかに記載の機能性細線付き基材の製造方法。
6.
前記溶剤ブロック層は、活性エネルギー線硬化性樹脂によって構成されることを特徴とする前記1~5の何れかに記載の機能性細線付き基材の製造方法。
7.
前記溶剤ブロック層は、疎水変性ポリエステルによって構成されることを特徴とする前記1~5の何れかに記載の機能性細線付き基材の製造方法。
8.
前記表面エネルギー調整層は、疎水変性ポリエステルによって構成されることを特徴とする前記4記載の機能性細線付き基材の製造方法。
9.
インクと下引き層を有する基材とによって構成されるインク及び基材のセットであって、
前記インクは、水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有し、前記機能性材料の濃度が5重量%未満であり、前記基材上に設けられた前記下引き層上に線分を形成し、前記下引き層上に前記線分として付与された前記インクの内部の流動を利用して該インクに含有される前記機能性材料を該線分の長手方向に沿う両縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する一対の機能性細線を形成するためのインクであり、
前記基材は、該基材上に設けられた前記下引き層が少なくとも溶剤ブロック層を有し、前記溶剤ブロック層は、前記インクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%であることを特徴とするインクと基材のセット。
本発明によれば、機能性細線の形成に伴う基材の劣化を防止できる機能性細線付き基材の製造方法、及び、インクと基材のセットを提供することができる。
本発明に係る機能性細線付き基材の製造方法の一例を概念的に説明する図 下引き層が設けられた基材の第1実施形態を説明する図 下引き層が設けられた基材の第2実施形態を説明する図 メッシュパターン形成方法の一例を説明する図 メッシュパターン形成方法の他の例を説明する図
以下に、本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
図1は、本発明に係る機能性細線付き基材の製造方法の一例を概念的に説明する図である。
かかる機能性細線付き基材の製造方法では、まず、図1(a)に示すように、水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有し、機能性材料の濃度が5重量%未満であるインクを用いて、基材1上に設けられた下引き層2上に線分3を形成する。
次いで、図1(b)に示すように、下引き層2上に線分3として付与されたインクの内部の流動を利用して該インクに含有される機能性材料を該線分3の長手方向に沿う両縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する一対の機能性細線4、4を形成する。このような縁部への堆積は、例えばコーヒーステイン現象とも称される。
ここで、下引き層2は、少なくとも溶剤ブロック層21を有し、溶剤ブロック層21は、インクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%である。
かかる機能性細線付き基材の製造方法によれば、機能性細線4の形成に伴う基材1の劣化を防止できる効果が得られる。
インクの内部の流動を利用して該インクに含有される機能性材料を線分3の長手方向に沿う両縁部に堆積させて機能性細線4を形成する場合、機能性材料の濃度が5重量%未満であるインクを用いることによって、機能性材料を両縁部に運ぶ流動が促進される。この流動は、インクが水より沸点の高い高沸点溶剤を含む場合に更に促進される。これにより、線幅の細い機能性細線を形成することができる。
ところが、機能性材料の濃度が5重量%未満であるインクは、機能性材料の濃度が低い分、溶剤の濃度が高くなる傾向にあり、溶剤による基材1へのアタックが生じ易くなる。また、流動の促進に有効な高沸点溶剤は、基材1へのアタックを特に生じ易い。溶剤による基材1へのアタックは、基材1にひびが入ったり、基材1が変形したり、変色したりする原因になり、基材1の劣化を招く。
即ち、インク内部の流動を利用して機能性細線を形成する場合に特有の問題として、基材1の劣化が生じ易くなることが見出された。基材1の劣化は、外観を損なうだけでなく、機能性細線による機能(例えば導電性等)の発揮にも影響を与えうる。
これに対して、上述した特定の溶剤ブロック層21を有する下引き層2を設けることによって、インク中の溶剤による基材1へのアタックが防止され、基材1の劣化が防止される。これにより、機能性細線4による機能も好適に発揮されるようになる。
以下に、機能性細線付き基材の製造方法について詳しく説明する。
〔基材〕
図2は、下引き層2が設けられた基材1の第1実施形態を説明する図である。
本実施形態において、基材1上には下引き層2が設けられている。下引き層2は単層構造であり、溶剤ブロック層21によって構成されている。
基材1としては、例えば透明基材等が挙げられる。透明基材の透明の度合いは特に限定されず、その光透過率が数%~数十%の何れでもよく、その分光透過率もどのようなものでもよい。これら光透過率及び分光透過率は用途、目的に応じて適宜定めることができる。
基材1の材質は格別限定されず、例えば、ガラス、樹脂、その他種々の材料を用いることができる。樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、セルロース系樹脂(ポリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン(シクロオレフィンポリマー;COP)、ポリスチレン、アクリロニトリル-(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。これらの材質を用いれば、基材1に良好な透明性を付与できる。また、特に樹脂を用いることによって、基材1に良好な可撓性を付与することができる。樹脂からなる基材は、延伸されていても、未延伸であってもよい。
上記材質の中でも特にポリカーボネートが好適である。ポリカーボネートを用いることによって、基材1に良好な耐熱性が付与される。これにより、機能性細線付き基材を、耐熱性の要求される用途においても好適に用いることができる。例えば、かかる機能性細線付き基材を、車載用途などのように、高温下に曝され得る位置に設置することは好ましいことである。
ポリカーボネートによって構成される基材1は、コーヒーステイン現象を促進可能なインクに対する耐溶剤性に特に劣ることが本発明者によって見出されているが、溶剤ブロック層21を有する下引き層2を設けることによって、劣化を防止することができる。
基材1の形状は格別限定されず、例えば板状(板材)等とすることができる。板材とする場合、厚さ、大きさ(面積)及び形状は特に限定されず、透明導電膜の用途、目的に応じて適宜定めることができる。板材の厚さは格別限定されず、例えば1μm~10cm程度、更には20μm~300μm程度とすることができる。
基材1は、表面にハードコート層を備えていてもよい。ハードコート層は、例えばアクリル樹脂等によって構成することができる。基材1がハードコート層を有していても、該ハードコート層は溶剤をブロックする機能に劣るため、溶剤ブロック層21を有する下引き層2が必要になる。
下引き層2を構成する溶剤ブロック層21は、後に導電性細線の形成に際して下引き層2上に付与されるインクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%である。これにより、基材1の劣化を確実に防止することができる。
溶剤ブロック層21の膨潤度を測定する際には、まず、100mm×100mmのガラス板の一方の面の全面に、溶剤ブロック層21と材質及び厚みが同一である試験用溶剤ブロック層を形成し、該試験用溶剤ブロック層の重量(浸漬前重量)を測定する。次いで、試験用溶剤ブロック層付きガラス板を溶剤に20℃で12時間浸漬した後、溶剤を拭き取り、試験用溶剤ブロック層の重量(浸漬後重量)を測定する。浸漬前重量及び浸漬後重量は、浸漬前及び浸漬後の試験用溶剤ブロック層付きガラス板の重量から、予め測定しておいたガラス板の重量を引くことによって、それぞれ求めることができる。膨潤度は、測定された浸漬前重量及び浸漬後重量より、下記式によって求めることができる。
膨潤度[%]={(浸漬後重量-浸漬前重量)/浸漬前重量}×100
「全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%」というのは、インクに1種の溶剤が含まれている場合は、該溶剤について測定される膨潤度が0%~2%であることを意味し、インクに複数種の溶剤が含まれている場合は、複数種の溶剤の各々について測定される膨潤度が何れも0%~2%であることを意味する。
インクに含まれる水は、溶剤とは区別され、基材1の劣化を生じにくいが、より確実に基材1の膨潤を防止する観点から、水について測定される膨潤度も0%~2%であることが好ましい。
溶剤ブロック層21の膨潤度は、該溶剤ブロック層21の材質及び厚みの選択により適宜調整することができる。例えば、溶剤ブロック層21の厚みを増すことによって、膨潤度を低下させることができる。
溶剤ブロック層21によって構成される下引き層2の表面は、水と高沸点溶剤とを80:20の重量比で混合した混合液の該表面に対する25℃における接触角をAとし、前記高沸点溶剤の該表面に対する25℃における接触角をBとした場合に、下記式(a)、(b)及び(c)の全てを満たすことが好ましい。
0.1≦B/A≦2 ・・・(a)
10°≦A≦50° ・・・(b)
5°≦B≦30° ・・・(c)
ここで、高沸点溶剤というのは、インクに含有させる、水より沸点の高い溶剤のことである。インクに2種以上の高沸点溶剤を含有させる場合は、上記接触角条件における高沸点溶剤として、インクに含有させるものと同様の2種以上の高沸点溶剤を同様の重量比で配合して用いる。例えば、高沸点溶剤αを15重量%、高沸点溶剤βを10重量%含むインクを用いる場合、上記接触角条件の接触角Aの測定に用いる「水と前記高沸点溶剤とを80:20の重量比で混合した混合液」の組成は、水:高沸点溶剤α:高沸点溶剤β=80:12:8の重量比とし、上記接触角条件の接触角Bの測定に用いる「高沸点溶剤」の組成は、高沸点溶剤α:高沸点溶剤β=60:40の重量比とする。接触角の測定は、20℃において3μLの液滴を滴下し、滴下後1秒後の値を測定値とする。
上記接触角条件を満たすことによって、乾燥初期のインクの下引き層2に対する接触角と、乾燥後期のインクの下引き層2に対する接触角との差が小さくなる。更に、乾燥過程における接触角の値が、機能性材料をインク周縁部に堆積させるのに好適なものになる。そのため、線幅の細い機能性細線を安定に形成することができる。これにより、機能性細線の低視認性(機能性細線が視認されにくい性質)を向上できる。また、機能性細線が導電性細線である場合には、導電性を向上できる。
溶剤ブロック層21を構成する材質は格別限定されないが、樹脂であることが好ましい。樹脂は格別限定されないが、例えば、疎水変性ポリエステル、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。
疎水変性ポリエステルとしては、疎水性を高めるように変性されたポリエステルを用いることができ、例えば、ポリエステルセグメントの末端及び又は側鎖にポリエステルセグメントより疎水性の高いセグメントが結合されたもの等を用いることができる。「疎水性の高いセグメント」は格別限定されないが、例えば、アクリル重合体セグメント、シロキサン重合体セグメント等が挙げられる。アクリル重合体セグメントは、モノマー成分としてアクリル系モノマーに加えてスチレンモノマーを含むアクリル-スチレン重合体セグメントであってもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば赤外線や紫外線等のような活性エネルギー線の照射によって硬化する樹脂を用いることができる。モノマーは格別限定されず、例えばアクリレートモノマー等が挙げられる。アクリレートモノマー等のモノマーは、単官能モノマー、多官能モノマーの何れであってもよく、単官能モノマー及び多官能モノマーを併用することも好ましいことである。
疎水変性ポリエステルや活性エネルギー線硬化性樹脂は、溶剤をブロックする機能に優れるだけでなく、上述した接触角条件を好適に満たすことができる。
即ち、疎水変性ポリエステルは、変性の度合いによって、接触角を所望の範囲に調整することができる。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂は、接触角を所望の範囲に調整するために、表面エネルギーの3成分(分散力成分、極性成分、水素結合性成分)のバランスを調整することが可能である。これらのバランスの調整は、活性エネルギー線硬化性樹脂として使用するモノマーの組み合わせによって適宜行うことができる。例えば、極性成分を持つモノマーや水素結合性成分を持つモノマーを組み合わせればよい。
また、溶剤ブロック層21を構成する材質が樹脂等である場合は、コロナ放電などの表面処理によっても、接触角を所望の範囲にすることができる。
溶剤ブロック層21の厚さは、上述した膨潤度を達成可能なものであれば格別限定されないが、例えば、0.5μm~20μmとすることができる。
以上の説明では、下引き層2が単層構造である場合について主に示したが、これに限定されない。下引き層2は2以上の層によって構成された多層構造であってもよい。下引き層2が多層構造である場合について、以下に説明する。
図3は、下引き層が設けられた基材の第2実施形態を説明する図である。
本実施形態において、基材1上に設けられた下引き層2は多層構造であり、基材1側に配置された溶剤ブロック層21と、該溶剤ブロック層21上に設けられ、表面側(基材1と反対側)に配置された表面エネルギー調整層22とによって構成されている。
本実施形態においては、下引き層2の表面が表面エネルギー調整層22によって構成されるため、該表面エネルギー調整層22によって下引き層2の表面の接触角等を調整することができる。そのため、接触角等の調整のために溶剤ブロック層21の材質選択等が制約されず、溶剤ブロック層21を溶剤のブロックのために最適化することができる。そのため、基材1の劣化をより確実に防止できる。
本実施形態において、溶剤ブロック層21の構成については、第1実施形態についてした説明を援用することができる。
表面エネルギー調整層22によって構成される下引き層2の表面は、水と高沸点溶剤とを80:20の重量比で混合した混合液の該表面に対する25℃における接触角をAとし、前記高沸点溶剤の該表面に対する25℃における接触角をBとした場合に、下記式(a)、(b)及び(c)の全てを満たすことが好ましい。
0.1≦B/A≦2 ・・・(a)
10°≦A≦50° ・・・(b)
5°≦B≦30° ・・・(c)
ここで、高沸点溶剤というのは、インクに含有させる、水より沸点の高い溶剤のことである。インクに2種以上の高沸点溶剤を含有させる場合は、上記接触角条件における高沸点溶剤として、インクに含有させるものと同様の2種以上の高沸点溶剤を同様の重量比で配合して用いる。例えば、高沸点溶剤αを15重量%、高沸点溶剤βを10重量%含むインクを用いる場合、上記接触角条件の接触角Aの測定に用いる「水と前記高沸点溶剤とを80:20の重量比で混合した混合液」の組成は、水:高沸点溶剤α:高沸点溶剤β=80:12:8の重量比とし、上記接触角条件の接触角Bの測定に用いる「高沸点溶剤」の組成は、高沸点溶剤α:高沸点溶剤β=60:40の重量比とする。接触角の測定は、20℃において3μLの液滴を滴下し、滴下後1秒後の値を測定値とする。
表面エネルギー調整層22によって構成される下引き層2の表面が上述した接触角条件を満たすことにより、第1実施形態と同様に、線幅の細い機能性細線を安定に形成することができる。
表面エネルギー調整層22を構成する材質は格別限定されないが、樹脂であることが好ましい。樹脂は格別限定されないが、例えば、疎水変性ポリエステル等であることが好ましい。疎水変性ポリエステルの構成については、第1実施形態についてした説明を援用することができる。
例えば、溶剤ブロック層21として活性エネルギー線硬化性樹脂を用い、表面エネルギー調整層22として疎水変性ポリエステルを用いることによって、基材1の劣化をより確実に防止しながら、線幅の細い機能性細線をより安定に形成することができる。
表面エネルギー調整層22の厚さは格別限定されないが、例えば、0.2μm~5μmとすることができる。
〔機能性細線の形成〕
下引き層2上に機能性細線4を形成する際には印刷法が好適に用いられる。印刷法を用いる場合は、図1を参照して説明したように、機能性材料を含有するインクを印刷法により下引き層2上に付与して線分3を形成し、上述した流動を利用して機能性細線4を形成することができる。
印刷法は格別限定されず、例えば、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等が挙げられ、中でもインクジェット法が好ましい。インクジェット法におけるインクジェットヘッドの液滴吐出方式は格別限定されず、例えばピエゾ方式やサーマル方式等が挙げられる。
機能性細線4の線幅は、線分3の線幅よりも細く、例えば20μm以下、15μm以下、10μm以下、7μm以下、更には5μm以下とすることができる。機能性細線3の線幅の下限は格別限定されないが、例えば1μm以上とすることができる。
一又は複数の機能性細線4によって種々のパターンを形成することができる。このようなパターンとして、例えばストライプパターンやメッシュパターン等が挙げられる。以下に、図4を参照してメッシュパターン形成方法の一例について説明し、次いで、図5を参照してメッシュパターン形成方法の他の例について説明する。
メッシュパターン形成方法の一例においては、まず、図4(a)に示すように、下引き層2上に、所定の間隔で並設された複数の線分(ライン状液体ともいう)3を形成する。
次いで、図4(b)に示すように、ライン状液体3を乾燥させる際にコーヒーステイン現象を利用して、各々のライン状液体3から一対の機能性細線4、4を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、先に形成された複数の機能性細線4と交差するように、所定の間隔で並設された複数のライン状液体3を形成する。
次いで、図4(d)に示すように、ライン状液体3を乾燥させる際にコーヒーステイン現象を利用して、各々のライン状液体3から一対の機能性細線4、4を形成する。以上のようにしてメッシュパターンを形成することができる。
図4の例では、ライン状液体3及び機能性細線4を直線にしているが、これに限定されない。ライン状液体3及び機能性細線4の形状は、例えば波線又は折線(ジグザグ線)等であってもよい。
メッシュパターン形成方法の他の例においては、まず、図5(a)に示すように、下引き層2上に、基材1の長手方向(図中、上下方向)及び幅方向(図中、左右方向)に所定の間隔で並設された、複数の四角形を成すライン状液体3を形成する。
次いで、図5(b)に示すように、ライン状液体3を乾燥させる際にコーヒーステイン現象を利用して、各々のライン状液体3から、一対の機能性細線4、4からなる細線ユニットを形成する。かかる細線ユニットにおいて、機能性細線4、4は、一方(外側の機能性細線4)が他方(内側の機能性細線4)を内部に包含しており、同心状に形成されている。また、機能性細線4、4はそれぞれ、ライン状液体3の両縁(内周縁及び外周縁)の形状に対応して四角形を成している。
次いで、図5(c)に示すように、下引き層2上に、基材1の長手方向及び幅方向に所定の間隔で並設された、複数の四角形を成すライン状液体3を形成する。ここで、複数の四角形を成すライン状液体3は、先に形成された細線ユニットの間に挟まれる位置に形成される。ここでは、四角形を成すライン状液体3は、これに隣接する細線ユニットのうちの外側の機能性細線4と接触するが、内側の機能性細線4とは接触しないように配置されている。
次いで、図5(d)に示すように、ライン状液体3を乾燥させる際にコーヒーステイン現象を利用して、各々のライン状液体3から、一対の機能性細線4、4からなる細線ユニットを更に形成する。
図5(d)に示すパターンにおいて、外側の機能性細線4は、隣接する外側の機能性細線4と互いに接続されている。一方、内側の機能性細線4は、他の内側の機能性細線4、及び、外側の機能性細線4と接続されていない。即ち、内側の機能性細線4は、孤立するように配置されている。
図5(d)に示すパターンを、そのままメッシュパターンとして用いてもよい。また、図5(d)に示すパターンにおける内側の機能性細線4を除去し、外側の機能性細線4からなるメッシュパターン(図5(e))を形成してもよい。
メッシュパターン形成の第二態様によれば、機能性細線4を自由度高く形成できる効果が得られる。特に複数の機能性細線4の配置間隔を、ライン状液体3の線幅に依拠せず自由度高く設定できる効果が得られる。
内側の機能性細線4を除去する方法は格別限定されず、例えば、レーザー光等のようなエネルギー線を照射する方法や、化学的にエッチング処理する方法等を用いることができる。
また、機能性材料として導電性材料を用いる場合は、外側の機能性細線4に電解めっきを施す際に、内側の機能性細線4をめっき液によって除去する方法を用いてもよい。上述したように内側の機能性細線4は孤立するように配置されており、外側の機能性細線4に電解めっきを施すための通電経路から除外することができる。そのため、外側の機能性細線4に電解めっきを施している間(通電している間)に、電解めっきが施されない内側の機能性細線4を、めっき液によって溶解又は分解して除去することができる。
図5の例では、ライン状液体3及び機能性細線4を四角形にしているが、これに限定されない。ライン状液体3及び機能性細線4の形状として、例えば閉じられた幾何学図形が挙げられる。閉じられた幾何学図形としては、例えば三角形、四角形、六角形、八角形等の多角形が挙げられる。また、閉じられた幾何学図形は、例えば円形、楕円形等のように曲線要素を含むことができる。
〔インク〕
次に、印刷法、特に上述したコーヒーステイン現象に好適に用いられるインクについて、詳しく説明する。
インクは、水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有する。
機能性材料は、特定の機能を有する材料であり、これにより透明基材に特定の機能を付与することができる。特定の機能を付与するとは、例えば、導電性材料を用いて透明基材に導電性を付与することや、絶縁性材料を用いて透明基材に絶縁性を付与することをいう。機能性材料は、該機能性材料が付与される透明基材表面を構成する材料とは異なる材料であることが好ましい。機能性材料として、例えば導電性材料、絶縁性材料、半導体材料、光学フィルター材料、誘電体材料等が挙げられる。特に機能性材料は導電性材料または導電性材料前駆体であることが好ましい。導電性材料前駆体は、適宜処理を施すことによって導電性材料に変化させることができる。
インクに含有させる導電性材料は格別限定されず、例えば、導電性微粒子、導電性ポリマー等が挙げられる。
導電性微粒子として、例えば、金属微粒子、カーボン微粒子等が挙げられる。
金属微粒子を構成する金属として、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等が挙げられる。これらの中でも、Au、Ag、Cuが好ましく、Agが特に好ましい。金属微粒子の平均粒子径は、例えば1~100nm、更には3~50nmとすることができる。平均粒子径は、体積平均粒子径であり、マルバーン社製「ゼータサイザ1000HS」により測定することができる。
カーボン微粒子としては、例えば、グラファイト微粒子、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。
導電性ポリマーとしては、格別限定されないが、π共役系導電性高分子を好ましく挙げることができる。π共役系導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン類やポリアニリン類等が挙げられる。π共役系導電性高分子は、例えばポリスチレンスルホン酸等のようなポリアニオンと共に用いてもよい。
インク中の機能性材料の濃度は、5重量%以下とすることができ、更には0.01重量%以上1.0重量%以下とすることができる。これにより、コーヒーステイン現象が促進され、機能性細線を更に細くできる等の効果が得られる。
インクに含有させる溶剤としては、例えば、1,2-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール等のアルコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶剤は、何れも水よりも沸点の高い高沸点溶剤である。
インクを構成する溶剤は、高沸点溶剤のみによって構成されてもよいが、高沸点溶剤を、沸点が水の沸点以下である溶剤と併用してもよい。また、インクを構成する溶剤を、沸点が水の沸点以下である溶剤のみによって構成してもよい。
インク全量に対して、溶剤の含有量は、5wt%~70wt%の範囲であることが好ましい。溶剤のうち高沸点溶剤の含有量は、10wt%~30wt%の範囲であることが好ましい。
インクには界面活性剤等の他の成分を含有させることができる。界面活性剤は格別限定されず、例えばシリコン系界面活性剤等が挙げられる。インク中の界面活性剤の濃度は、例えば1重量%以下とすることができる。
〔インクの乾燥〕
下引き層上に付与されたインク(ライン状液体)の乾燥方法は自然乾燥でも強制乾燥でもよい。強制乾燥に用いる乾燥方法は格別限定されず、例えば、下引き層の表面を所定温度に加温する方法や、下引き層の表面に気流を形成する方法等を単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。気流は、例えばファン等を用いて、送風又は吸引を行うことによって形成することができる。
〔後処理〕
下引き層上に形成された機能性細線に後処理を施すことができる。後処理として、例えば、焼成処理、めっき処理等が挙げられる。焼成処理を施した後、めっき処理を施してもよい。
焼成処理としては、例えば、光照射処理、熱処理等が挙げられる。光照射処理には、例えば、ガンマ線、X線、紫外線、可視光、赤外線(IR)、マイクロ波、電波等を用いることができる。熱処理には、例えば、熱風、加熱ステージ、加熱プレス等を用いることができる。
めっき処理としては、例えば、無電解めっき、電解めっき等が挙げられる。電解めっきでは、機能性材料として導電性材料を用いて、機能性細線に選択的にめっきを施すことができる。機能性細線に複数回のめっき処理を施してもよい。めっき金属を異ならせた複数回のめっき処理を施してもよい。複数回のめっき処理によって、機能性細線上に複数の金属層を積層することができる。
〔その他〕
以上の説明では、基材の一方の面に機能性細線を形成する場合について説明したが、基材の他方の面にも機能性細線を形成することができる。この場合、基材の他方の面にも上述した下引き層を形成することができる。
また、一方の面に機能性細線が形成された基材を2枚用意し、これらを積層してもよい。積層の態様として、以下の3つを例示できる。
第1態様では、一方の基材の他方の面(機能性細線が形成されていない面)に、他方の基材の一方の面(機能性細線が形成された面)を対向させるように積層する。
第2態様では、一方の基材の他方の面(機能性細線が形成されていない面)に、他方の基材の他方の面(機能性細線が形成されていない面)を対向させるように積層する。
第3態様では、一方の基材の一方の面(機能性細線が形成された面)に、他方の基材の一方の面(機能性細線が形成された面)を対向させるように積層する。
第1及び第2態様では、一方の基材の機能性細線間と、他方の基材の機能性細線間との接触を回避することができる。第3態様では、一方の基材の機能性細線間と、他方の基材の機能性細線間とを接触させることができる。第1~第3態様の何れにおいても、基材上に下引き層を形成することができる。
〔インク及び基材のセット〕
インク及び基材のセットは、インクと下引き層を有する基材とによって構成される。
セットを構成するインクは、水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有し、前記機能性材料の濃度が5重量%未満であり、前記基材上に設けられた前記下引き層上に線分を形成し、次いで、前記下引き層上に前記線分として付与された前記インクの内部の流動を利用して該インクに含有される前記機能性材料を該線分の長手方向に沿う両縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する一対の機能性細線を形成するためのインクである。
セットを構成する基材は、該基材上に設けられた前記下引き層が少なくとも溶剤ブロック層を有し、前記溶剤ブロック層は、前記インクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%である。
かかるインク及び基材のセットによれば、機能性細線の形成に伴う基材の劣化を防止できる効果が得られる。
インク及び基材のセットにおけるインク、基材及び下引き層については、機能性細線付き基材の製造方法におけるインク、基材及び下引き層についてした説明が援用される。
〔用途〕
機能性細線付き基材の用途は格別限定されず、例えば、種々の電子機器が備える種々のデバイス等に利用することができる。また、機能性細線付き基材を、光学デバイスに等に利用してもよい。
機能性材料として導電性材料を用いることによって、機能性細線に導電性を付与することができる(以下、導電性が付与された機能性細線を導電性細線ともいう。)。導電性細線によって、例えば、電気配線や透明導電膜を構成することができる。なお、ここでいう「透明」とは、透明導電膜を構成する機能性細線自体が透明であることを意味するものではなく、透明導電膜が全体として(例えば機能性細線が設けられていない領域を介して)光を透過可能であればよい。複数の導電性細線によって構成された一つの透明導電膜を一つの透明電極(面状電極)として用いることもできる。
透明電極は、例えば、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス、フィールドエミッション等の各種方式のディスプレイ用の透明電極として用いることができる。また、透明電極は、例えば、タッチパネル、携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子等の透明電極として用いることができる。特に、透明電極は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等のような電子機器のタッチパネルセンサーに用いることができる。タッチパネルセンサーとして用いる場合は、透明電極を位置検出用電極(X電極及びY電極)として用いることができる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
(実施例1)
1.機能性細線付き基材の作製
(1)基材
基材として、ポリカーボネートによって構成されたフィルム(三菱ガス化学社製「FE-2000」)を用いた。
(2)ポリエステル樹脂Aの調製(合成)
下記組成比からなるポリエステル樹脂aに対して、下記組成比からなるアクリル成分を変性率50%で重合して、疎水性変性(アクリル変性)されたポリエステル樹脂Aを調製した。
〔ポリエステル樹脂a〕
・テレフタル酸(ジカルボン酸成分):30mol%
・イソフタル酸(ジカルボン酸成分):14mol%
・5-スルホイソフタル酸(ジカルボン酸成分):2mol%
・エチレングリコール(グリコール成分):34mol%
・ビスフェノールA(グリコール成分):20mol%
〔アクリル成分〕
・メタクリル酸グリシジル:20mol%
・メタクリル酸メチル:40mol%
・スチレン:10mol%
・アクリル酸ブチル:30mol%
(3)塗布液Aの調製
下記組成で塗布液Aを調整した
・変性ポリエステル樹脂A:10重量%
・オキサゾリン系架橋剤(日本触媒社製 エポクロス WS-700:固形分濃度25重量%):3.2重量%
・残部:水
(4)溶剤ブロック層Aの形成
上記基材に、上記塗布液Aを、湿潤膜厚で30μm(乾燥膜厚で3μm)になるようにワイヤーバーで塗布し、その後100℃で3分乾燥させた後、130℃で30分間アニール処理を行い、溶剤ブロック層Aを形成した。
溶剤ブロック層Aの膨潤度は表1に示すとおりである。
(5)インクの調製
下記組成からなるインクを調製した。
〔インク組成〕
・銀ナノ粒子の水分散液1(銀ナノ粒子:40重量%):1.75重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:20重量%
・純水:残部
ここで、ジエチレングリコールモノブチルエーテルは高沸点溶剤に該当する。
上述した接触角条件は表1に示す通りである。
(6)機能性細線の形成
上記インクを用いて、基材上に設けられた下引き層上に複数の機能性細線からなる機能性細線パターン(メッシュパターン)を形成した。
具体的には、図4の例と同様にして、まず、コニカミノルタ製インクジェットヘッド「512LHX」(標準液滴容量42pL)を取り付けたXYロボット(武蔵エンジニアリング製「SHOTMASTER300」)と、インクジェットコントロールシステム(コニカミノルタ製「IJCS-1」)を用いて、上記インクをノズル列方向間ピッチ282μm、走査方向間ピッチ45μmとなるように、基材1の一方の面上に設けられた下引き層2上に、液滴として順次吐出し、下引き層2上において走査方向に連続的に付与された液滴を合一させることで複数のライン状液体3を形成した(図4(a))。なお、印字しながら基材1を載せたステージを70℃で加熱し、これらライン状液体3を乾燥させる過程で、縁部(長手方向に沿う両縁部)に固形分を堆積させることで、1本のライン状液体3から機能性材料を含む2本の(一対の)機能性細線4、4を形成した(図4(b))。
その後、基材1を90°回転して、先に形成された機能性細線4、4と直交する方向に、上記インクによる複数のライン状液体3を上記と同様の方法で形成した(図4(c))。次いで、これらのライン状液体3を乾燥して、更なる機能性細線4、4を形成した(図4(d))。このようにして、メッシュパターンからなる機能性細線パターンを形成した。
(7)焼成処理
機能性細線パターンが形成された基材を130℃のオーブンに入れ、10分間焼成処理した。
以上のようにして、機能性細線付き基材を作製した。
(実施例2)
実施例1において、溶剤ブロック層Aに代えて下記溶剤ブロック層Bを形成したこと以外は、実施例1と同様にして機能性細線付き基材を作製した。
〔溶剤ブロック層Bの形成〕
単官能アクリレートモノマー、多官能アクリレートモノマー、開始剤を配合して紫外線硬化性塗布液を作製し、実施例1と同様の基材にドライ膜厚で10μmになるように塗布した後、高圧水銀灯で300mJ/cmの照射エネルギーで紫外線を照射して硬化させて、溶剤ブロック層Bを形成した。尚、接触角の調整は、ヒドロキシ基を持つモノマーの量を調整することによって行った。溶剤ブロック層Bの膨潤度は表1に示すとおりである。
(実施例3)
実施例2において、溶剤ブロック層B上に、更に下記表面エネルギー調整層Aを形成したこと以外は、実施例2と同様にして機能性細線付き基材を作製した。ここで、表面エネルギー調整層の形成は、以下の手順により行った。
(1)ポリエステル樹脂Bの調製(合成)
下記組成比からなるポリエステル樹脂bに対して、ポリシロキサンを変性率20%で重合して、疎水性変性(シロキサン変性)されたポリエステル樹脂Bを調製した。
〔ポリエステル樹脂b〕
・テレフタル酸(ジカルボン酸成分):30mol%
・イソフタル酸(ジカルボン酸成分):14mol%
・5-スルホイソフタル酸(ジカルボン酸成分):2mol%
・エチレングリコール(グリコール成分):34mol%
・ビスフェノールA(グリコール成分):20mol%
(2)塗布液の調製
上記ポリエステル樹脂Bを純水にて固形分濃度5重量%に調整して塗布液を調製した。
(3)表面エネルギー調整層の形成
溶剤ブロック層B上に、上記塗布液を、湿潤膜厚で10μm(乾燥膜厚で0.5μm)になるようにワイヤーバーで塗布し、その後100℃で3分乾燥させて、表面エネルギー調整層を形成した。
(実施例4)
実施例2において、基材をポリカーボネートによって構成されたフィルム(三菱ガス化学社製「DF02U」)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして機能性細線付き基材を作製した。ここで、基材は、ポリカーボネートからなる本体の表面にポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)からなるハードコート層を備えている。溶剤ブロック層Bは、このハードコート層上に形成された。
(比較例1)
実施例3において、溶剤ブロック層Bの形成を省略し、基材上に直接、表面エネルギー調整層を形成したこと以外は、実施例3と同様にして、機能性細線付き基材を作製した。
(比較例2)
比較例1において、基材をポリカーボネートによって構成されたフィルム(三菱ガス化学社製「DF02U」)に変更したこと以外は、比較例1と同様にして機能性細線付き基材を作製した。上述したように、この基材は、ポリカーボネートからなる本体の表面にポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)からなるハードコート層を備えている。表面エネルギー調整層は、このハードコート層上に形成された。
2.評価方法
(1)シート抵抗
三菱ケミカルアナリテック社製ロレスタAX MCP-T370を用いて、機能性細線パターンのシート抵抗(Ω/□)を測定した。1×10Ω/□以上はオーバーレンジである。
シート抵抗が小さいことは、基材にひび(断線原因になり得る)等が形成されていないことや、導電性細線が安定に形成されていることを示している。
(2)ヘイズ
ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH7000」)を用いて、機能性細線付き基材のヘイズ値を測定した。なお、ヘイズ値は「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方(JIS K 7136)」に従い、以下の式により算出される。
ヘイズ値(曇り度)=散乱光/全光線透過光×100(%)
ヘイズ値が小さいことは、基材に変色(しみ)等が形成されていないことや、導電性細線の線幅が細くなっていることを示している。
(3)外観
機能性細線付き基材を目視により観察し、下記の評価基準に基づいて外観を評価した。
〔評価基準〕
O:基材に変色(しみ)、ひび、変形等の劣化が生じていない
×:基材に変色(しみ)、ひび、変形の何れかが生じている
以上の結果を表1に示す。
Figure 0007073860000001
※表中、PCはポリカーボネート、HCはハードコート層、PEsはポリエステルを表す。
1:基材
2:下引き層
21:溶剤ブロック層
22:表面エネルギー調整層
3:線分(ライン状液体)
4:導電性細線

Claims (10)

  1. 水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有し、前記機能性材料の濃度が5重量%未満であるインクを用いて、基材上に設けられた下引き層上に線分を形成し、
    次いで、前記下引き層上に前記線分として付与された前記インクの内部の流動を利用して該インクに含有される前記機能性材料を該線分の長手方向に沿う両縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する一対の機能性細線を形成する機能性細線付き基材の製造方法であって、
    前記下引き層は、少なくとも溶剤ブロック層を有し、
    前記溶剤ブロック層は、前記インクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%であり、
    前記インクは、水より沸点の高い高沸点溶剤を含み、
    前記下引き層の表面は、水と前記高沸点溶剤とを80:20の重量比で混合した混合液の該表面に対する25℃における接触角をAとし、前記高沸点溶剤の該表面に対する25℃における接触角をBとした場合に、下記式(a)、(b)及び(c)の全てを満たし、前記溶剤ブロック層上に設けられた表面エネルギー調整層によって構成されることを特徴とする機能性細線付き基材の製造方法。
    0.1≦B/A≦2 ・・・(a)
    10°≦A≦50° ・・・(b)
    5°≦B≦30° ・・・(c)
  2. 前記溶剤ブロック層は、疎水変性ポリエステルによって構成されることを特徴とする請求項1記載の機能性細線付き基材の製造方法。
  3. 前記表面エネルギー調整層は、疎水変性ポリエステルによって構成されることを特徴とする請求項記載の機能性細線付き基材の製造方法。
  4. 水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有し、前記機能性材料の濃度が5重量%未満であるインクを用いて、基材上に設けられた下引き層上に線分を形成し、
    次いで、前記下引き層上に前記線分として付与された前記インクの内部の流動を利用して該インクに含有される前記機能性材料を該線分の長手方向に沿う両縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する一対の機能性細線を形成する機能性細線付き基材の製造方法であって、
    前記下引き層は、少なくとも溶剤ブロック層を有し、
    前記溶剤ブロック層は、前記インクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%であり、活性エネルギー線硬化性樹脂によって構成されることを特徴とする機能性細線付き基材の製造方法。
  5. 前記基材は、ポリカーボネートであることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の機能性細線付き基材の製造方法。
  6. インクと下引き層を有する基材とによって構成されるインクと基材のセットであって、
    前記インクは、水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有し、前記機能性材料の濃度が5重量%未満であり、前記基材上に設けられた前記下引き層上に線分を形成し、前記下引き層上に前記線分として付与された前記インクの内部の流動を利用して該インクに含有される前記機能性材料を該線分の長手方向に沿う両縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する一対の機能性細線を形成するためのインクであり、
    前記基材は、該基材上に設けられた前記下引き層が少なくとも溶剤ブロック層を有し、前記溶剤ブロック層は、前記インクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%であり、
    前記インクは、水より沸点の高い高沸点溶剤を含み、
    前記下引き層の表面は、水と前記高沸点溶剤とを80:20の重量比で混合した混合液の該表面に対する25℃における接触角をAとし、前記高沸点溶剤の該表面に対する25℃における接触角をBとした場合に、下記式(a)、(b)及び(c)の全てを満たし、前記溶剤ブロック層上に設けられた表面エネルギー調整層によって構成されていることを特徴とするインクと基材のセット。
    0.1≦B/A≦2 ・・・(a)
    10°≦A≦50° ・・・(b)
    5°≦B≦30° ・・・(c)
  7. 前記溶剤ブロック層は、疎水変性ポリエステルによって構成されていることを特徴とする請求項6記載のインクと基材のセット。
  8. 前記表面エネルギー調整層は、疎水変性ポリエステルによって構成されていることを特徴とする請求項6記載のインクと基材のセット。
  9. インクと下引き層を有する基材とによって構成されるインクと基材のセットであって、
    前記インクは、水、溶剤及び機能性材料を少なくとも含有し、前記機能性材料の濃度が5重量%未満であり、前記基材上に設けられた前記下引き層上に線分を形成し、前記下引き層上に前記線分として付与された前記インクの内部の流動を利用して該インクに含有される前記機能性材料を該線分の長手方向に沿う両縁部に堆積させて、該インクの付与幅よりも微細な幅を有する一対の機能性細線を形成するためのインクであり、
    前記基材は、該基材上に設けられた前記下引き層が少なくとも溶剤ブロック層を有し、前記溶剤ブロック層は、前記インクに含まれる全ての溶剤に対する膨潤度が0%~2%であり、活性エネルギー線硬化性樹脂によって構成されていることを特徴とするインクと基材のセット
  10. 前記基材は、ポリカーボネートであることを特徴とする請求項6~9の何れかに記載のインクと基材のセット。
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