JP7071072B2 - 光硬化性樹脂組成物、該組成物から形成される硬化被膜およびその製造方法、ならびに、被膜付き基材およびその製造方法 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物、該組成物から形成される硬化被膜およびその製造方法、ならびに、被膜付き基材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物、該組成物から形成される硬化被膜およびその製造方法、ならびに、被膜付き基材およびその製造方法に関する。
従来より、液晶ディスプレイやタッチパネルなどの画面の最表層には、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるプラスチックフィルム基材の片面または両面に傷付き防止や汚れ防止、反射防止といった機能性保護膜(ハードコート)が設けられ使用されている。この保護膜は、例えば、光硬化性樹脂組成物(コーティング剤)を塗装し、硬化させることで形成される。このような機能性を有する塗装フィルムは、製造後にフィルムをロール状に巻き取って保存する場合がある。このようにロール状に巻き取る際に、塗装被膜表面が平滑であると、塗装後の巻き取りの際に塗装面と基材あるいは塗装面同士の接触面積が大きくなりすぎてしまい、摩擦抵抗が大きく滑り性(易滑性)が悪くなってしまう。そのため、容易に巻き取りが出来ないという問題や巻き取った状態において塗装面同士が貼り付いてしまう(ブロッキング)といった問題が生じることがある。
そこで、ブロッキングを抑制するための手法としては、例えば、溶解性パラメーター(SP値)および分子量の異なる樹脂、特定のケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有し、かつ活性水素を含む反応性基を含む化合物を組み合わせることで相分離を発生させて被膜表面に凹凸を形成する手法(特許文献1)や、エネルギー線硬化性樹脂に疎水性シリカゾルを組み合わせる手法(特許文献2)、また、バインダー樹脂に易滑剤としてシリカ微粒子を添加し、更にフッ素系レベリング剤を組み合わせる手法(特許文献3)や、多官能(メタ)アクリル化合物にフィラーとしてチタン酸バリウム及び/又は酸化ジルコニウムを使用し、更にフッ素系界面活性剤と(メタ)アクリルポリマーを添加する手法(特許文献4)などが知られている。
特開2015-34193号公報 特開2015-96297号公報 特開2012-252275号公報 国際公開第2015/098449号
本発明者は、機能性保護膜について、ブロッキングの抑制とともに両立すべき性能が求められていることに着目した。以下、その着目に至った経緯の一具体例を挙げる。
近年においては、塗装され、硬化された被膜面上に、さらに塗装や印刷、スパッタや蒸着、粘着剤塗布といった後加工(リコート)が施され、様々な材料が積層されることがある。そこで、硬化被膜は、易滑性およびブロッキング抑制に加えて、後加工されて形成される被膜とのリコート性が良好であることが求められていることを本発明者は知見した。しかも、ブロッキング抑制、リコート性に加え、ハードコートを設ける対象がプラスチックフィルム基材となることが有り得ることに鑑みて高い透明性も確保する必要があることを本発明者は知見した。
なお、従来技術であるところの特許文献1~4においてはいずれもブロッキング抑制にしか着目していない。
本発明は、塗装面と基材あるいは塗装面同士の易滑性およびブロッキング抑制が良好であり、かつ、高い透明性を確保できるうえ、高い濡れ指数を有するため、リコート性が良好な硬化被膜を得る技術およびその関連技術を提供することを目的とする。
本発明者は、上記新たな知見に基づき、上記課題(すなわちブロッキング抑制、リコート性、透明性の両立)について鋭意検討した。その結果、以下の態様を新たに創出した。
本発明の第1の態様によれば、
3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)と、
重量平均分子量(Mw)が1万以上のフッ素系化合物(B)と、
平均一次粒子径が20~90nmである無機微粒子(C)と、
光重合開始剤(D)と、
を含有する光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
前記3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、アルキレンオキサイド基を有する第1の態様に記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
前記3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、該光重合性不飽和基1個に対して1個以上のエチレンオキサイド変性部位を有するエチレンオキサイド変性化合物である第1または第2の態様に記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
前記3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種である第1~第3の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第5の態様によれば、
前記フッ素系化合物(B)が、ポリエーテル基または水酸基から選ばれる少なくとも1つの親水性基を有する第1~第4の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第6の態様によれば、
前記フッ素系化合物(B)が、さらに光重合性不飽和基を有する第1~第5の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第7の態様によれば、
前記無機微粒子(C)が親水性シリカである第1~第6の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第8の態様によれば、
さらに、光重合性不飽和基を有する樹脂成分(E)(前記(メタ)アクリレートモノマー(A)を除く。)を含有する第1~第7の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第9の態様によれば、
ハードコート用途に使用される第1~第8の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の第10の態様によれば、
第1~第9の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜が提供される。
本発明の第11の態様によれば、
JIS K6768に準拠して測定した前記硬化被膜の表面濡れ指数が40mN/m以上である第10の態様に記載の硬化被膜が提供される。
本発明の第12の態様によれば、
前記硬化被膜に対する純水の水滴の水接触角が70°以下である第10または第11の態様に記載の硬化被膜が提供される。
本発明の第13の態様によれば、
JIS K7136に準拠して測定した前記硬化被膜のヘイズが1%未満である第10~第12の態様のいずれかに記載の硬化被膜が提供される。
本発明の第14の態様によれば、
第10~第13の態様のいずれかに記載の硬化被膜を基材上に備える被膜付き基材が提供される。
本発明の第15の態様によれば、
第1~第9の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を光照射により硬化させる硬化工程を有する硬化被膜の製造方法が提供される。
本発明の第16の態様によれば、
第1~第9の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗装する塗装工程と、
前記塗装工程の後、光照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を有する被膜付き基材の製造方法が提供される。
本発明によれば、塗装面と基材あるいは塗装面同士の易滑性およびブロッキング抑制効果が良好であり、かつ、高い透明性を確保できるうえ、高い濡れ指数を有するため、リコート性が良好な硬化被膜を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本明細書における「~」は所定の値以上かつ所定の値以下のことを指す。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、光重合性不飽和基とは、光により重合反応に関与する不飽和基を意味する。また、「光」は活性光線又は放射線を意味し、例えば可視光線や紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを含むものを意味する。
また、本明細書において、「リコート性」とは濡れ指数、水接触角(親水性)、インキ試験(親油性)を総合的に考慮したときの層間密着性を指すものとする。本明細書における濡れ指数、水接触角(親水性)、インキ試験(親油性)の関係であるが、基本的には、濡れ指数の値が高いほど、接触するものが水性であろうが油性であろうが、層間密着性は良好となる。その上で、水接触角(親水性)とインキ試験(親油性)との両方が良好な結果であれば、どのような物質をリコートしようとも問題無く適用可能となる。
<光硬化性樹脂組成物>
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物は、主に以下のものが含有(配合)されてなる。
・3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)
・重量平均分子量が1万以上のフッ素系化合物(B)
・平均一次粒子径が20~90nmである無機微粒子(C)
・光重合開始剤(D)
以下、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を構成する各成分について述べる。
<(メタ)アクリレートモノマー(A)>
(メタ)アクリレートモノマー(A)(以降、成分(A)と称する。)は、3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマーである。官能基数が3官能以上であるため、本発明の組成物から形成される硬化被膜の硬度および耐擦傷性が優れている。
成分(A)は、光硬化性樹脂組成物を塗料として使用する際に主にバインダーとしての役割を果たすものである。3官能のモノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。4官能のモノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。5官能のモノマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられ、6官能のモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
成分(A)は、更に硬化被膜の濡れ指数を向上させる観点から、アルキレンオキサイド基を有するモノマーが好ましく、特に該光重合性不飽和基1個に対して1個以上のエチレンオキサイド(EO)変性部位を有するエチレンオキサイド変性化合物であることが好ましい。エチレンオキサイド変性化合物としては、例えば、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。EO付加数としては、該光重合性不飽和基1個に対して1個以上8個未満であることが好ましく、硬化被膜の濡れ指数と硬化性、硬度の観点から1個以上4個未満であることがより好ましい。
成分(A)としては、官能基数が4官能以上であり、かつ、EO変性部位を有するエチレンオキサイド変性化合物が、硬化被膜の濡れ指数、硬度、易滑性が優れているため、特に好ましい。
成分(A)の含有量は、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して、5~90重量部が好ましく、10~70重量部がより好ましい。
<フッ素系化合物(B)>
フッ素系化合物(B)(以降、成分(B)と称する。)は、重量平均分子量(Mw)が1万以上のフッ素系化合物である。上記フッ素系化合物である成分(B)は、光硬化性樹脂組成物の表面張力を均一化し、塗装された膜を平坦にする機能を有するものであり、本実施形態においてはバインダー樹脂(成分(A)や後述する成分(E))とは異なるものである。成分(B)としては例えばレベリング剤と呼ばれるものを使用することができる。以降、成分(B)をレベリング剤とも称する。そのようなレベリング剤においてフッ素を含有する化合物を主成分(構成成分の過半数、好ましくは80重量%以上)とするもののことをフッ素系レベリング剤とも称する。
なお、本実施形態においては、成分(B)は、バインダー樹脂(成分(A)や後述する成分(E))とは完全に相溶するわけではない。よって、硬化被膜を形成したときに成分(B)はバインダー樹脂との相互作用により、硬化被膜の上層部(基材と反対側の表面付近)に偏在する。この結果、成分(B)を含有することで、硬化被膜の濡れ指数、レベリング性、易滑性、ブロッキング抑制に優れた被膜を形成することができる。
また、成分(B)は、親水性基としてポリエーテル基または水酸基を有するものが、より硬化被膜の濡れ指数が向上するため好ましい。ポリエーテル(ポリオキシアルキレン)基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基が挙げられ、中でもポリオキシエチレン基がより好ましい。具体的には、
パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルケニルカルボン酸塩、パーフルオロアルケニルスルホン酸塩、パーフルオロアルケニルリン酸エステル、パーフルオロアルケニルベタイン等のパーフルオロアルケニル基を主鎖又は側鎖に有するフッ素系レベリング剤;
パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルベタイン等のパーフルオロアルキル基を主鎖又は側鎖に有するフッ素系レベリング剤等が挙げられる。
成分(B)は、硬化被膜と後加工され形成される被膜とのリコート性の観点から、更に光重合性不飽和基を有することがより好ましい。光重合性不飽和基としては、特に限定されず、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基等が挙げられ、バインダー樹脂(成分(A)や後述する成分(E))との反応性の観点からは(メタ)アクリロイル基が好ましい。
成分(B)の重量平均分子量Mwの上限は、硬化被膜の濡れ指数、レベリング性、易滑性、ブロッキング抑制効果を発現させるためのバインダー樹脂との適度な不相溶性が得られるという観点から10万以下が好ましく、4万以下がより好ましい。Mwが1万以上ならば、成分(B)とバインダー樹脂との不相溶性を適度に発揮でき、成分(B)が硬化被膜表面へ適度に偏在するため、易滑性およびブロッキング抑制の効果が適切に発揮される。さらに、本発明の硬化被膜と後加工され形成される被膜とのリコート性も適切に発揮される。
市販品としては、例えば、「フタージェント602A」、「フタージェント650AC」、「フタージェント681A」、「フタージェント684A」(いずれも株式会社ネオス製)等が挙げられる。これら成分(B)の含有量は、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して、0.1~5重量部が好ましく、0.2~3重量部がより好ましい。
<無機微粒子(C)>
無機微粒子(C)(以降、成分(C)と称する。)は、硬化被膜の表面に微小な凹凸を形成するものである。成分(C)の平均一次粒子径は、硬化被膜の透明性の維持と易滑性およびブロッキング抑制の観点から、20~90nmである。平均一次粒子径が20nm以上であれば、硬化被膜表面の凹凸の高さを十分に確保でき、易滑性およびブロッキング抑制効果を適切に得られる。一方、平均一次粒子径が90nm以下であれば、硬化被膜の透明性を十分に確保でき、視認性を十分に確保することができる。
なお、平均一次粒子径は、硬化被膜を走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて観測した際の微粒子の直径の平均値として算出することが出来る。
成分(C)の例としては、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、チタン等の酸化物微粒子を用いることが出来る。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。成分(C)としては、硬化被膜の易滑性およびブロッキング抑制、硬度の観点からケイ素の酸化物であるシリカが好ましい。さらに、濡れ指数の向上の観点から、シリカ表面がシランやシリコーンなどによる疎水化の表面処理がされていない親水性シリカであることがより好ましい。
市販品としては、「MEK-ST-L」、「MEK-ST-ZL」、「IPA-ST-L」、「IPA-ST-ZL」(いずれも日産化学工業株式会社製)、「SIRMIBK30WT%-H24」、「SIRPA15WT%-H10」、「SIRPA15WT%-H10」、「SIRPGM30WT%-E80」(いずれもCIKナノテック株式会社製)等が挙げられる。
成分(C)の含有量は、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して3~30重量部が好ましく、5~20重量部がより好ましい。
<光重合開始剤(D)>
光重合開始剤(D)(以降、成分(D)と称する。)は、光照射によりラジカル又はカチオンを発生して、光重合性不飽和基を有する成分(A)および任意に用いる後述のその他の樹脂成分(E)を硬化させるものである。成分(D)は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾイン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール(別名、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4-フェノキシ-2,2-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-2-ヒドロキシ-1-プロパノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等が挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4’-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
成分(D)の含有量は、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、3~6重量部がより好ましい。
<光重合性不飽和基を有する樹脂成分(E)>
上記成分に加え、成分(A)を除く、光重合性不飽和基を有する樹脂成分(E)(以降、成分(E)と称する。)を含有しても構わない。成分(E)は、硬化被膜の硬化性や強度などを向上させるとともに、基材密着性にも寄与する。
成分(E)としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の光重合性不飽和基を有するモノマーを重合して得られる樹脂が挙げられ、好ましくはウレタン(メタ)アクリレート樹脂である。なお、成分(E)の光重合性不飽和基の官能基数は特に制限は無いが、硬化被膜の硬度、強度、基材密着性の観点から、一分子中において好ましくは2個以上であり、より好ましくは3個以上である。
ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、「アートレジンUN-3320HA」、「アートレジンUN-3320HC」、「アートレジンUN-3320HS」、「アートレジンUN-901T」(いずれも根上工業株式会社製)、「EXCELATE RUA-003VE」、「EXCELATE RUA-071」、「EXCELATE RUA-071MG」、「EXCELATE RUA-071SP」、「EXCELATE RUA-076MG」、「EXCELATE RUA-050」、「EXCELATE RUA-054」(いずれも亜細亜工業株式会社製)、「MIRAMER PU610」、「MIRAMER PU6140」、「MIRAMER PU6510」、「MIRAMER MU9500H」、「MIRAMER MU9800」(いずれも美源スペシャリティケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
また、エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、「EBECRYL 600」、「EBECRYL 3500」、「EBECRYL 3603」、「EBECRYL 3700」(いずれもダイセル・オルネクス株式会社製)、「ユニディック V-5500」、「ユニディック V-5502」、「ユニディック V-5508」(いずれもDIC株式会社製)、「MIRAMER PE210」、「MIRAMER EA2280」(いずれも美源スペシャリティケミカルズ株式会社製)などが挙げられ、ポリエステル(メタ)アクリレートの市販品としては、「アロニックス M-6100」、「アロニックス M-6200」、「アロニックス M-6250」、「アロニックス M-6500」、「アロニックス M-7100」、「アロニックス M-7300K」、「アロニックス M-8030」、「アロニックス M-8060」、「アロニックス M-8100」、「アロニックス M-8530」、「アロニックス M-8560」、「アロニックス M-9050」(いずれも東亞合成株式会社製)、「EBECRYL 450」、「EBECRYL 800」、「EBECRYL 810」、「EBECRYL 811」、「EBECRYL 812」、「EBECRYL 1830」、「EBECRYL 846」、「EBECRYL 852」、「EBECRYL 853」、「EBECRYL 870」(いずれもダイセル・オルネクス社製)、「CN2270」、「CN2271」、「CN2273」、「CN2274」(いずれもサートマー社製)などが挙げられる。成分(E)の含有量は、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して0~90重量部が好ましく、5~70重量部がより好ましい。成分(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<その他成分>
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、有機溶剤、重合禁止剤、非反応性希釈剤、消泡剤、沈降防止剤、レベリング剤(成分(B)を除く)、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。有機溶剤としては、従来公知のものを使用でき、具体的には、芳香族炭化水素類(例:キシレン、トルエン等)、ケトン類(例:メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(例:酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等)、アルコール類(イソプロピルアルコール、ブタノール等)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル等)等の各種有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
<被膜付き基材の製造方法>
本実施形態の硬化被膜は、上記の光硬化性樹脂組成物を用いた上で、主に以下の工程により作製される。
・上記の光硬化性樹脂組成物を準備する準備工程
・上記の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗装する塗装工程
・塗装工程の後、光照射により光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程
なお、上記各工程の具体的な手法としては、公知の方法を適宜利用しても構わない。例えば、光硬化性樹脂組成物を準備する際には、先に述べた各成分(A)~(E)を、一度にあるいは任意の順序で撹拌容器に添加し、公知の撹拌・混合手段で各成分を混合して、溶剤中に分散または溶解させればよい。撹拌・混合手段としては、ハイスピードディスパー、サンドグラインドミル、バスケットミル、ボールミル、三本ロール、ロスミキサー、プラネタリーミキサー等が挙げられる。
また、光硬化性樹脂組成物を塗装する基材としては、特に限定されないが、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリルニトリル、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等のフィルム、シートが挙げられる。
塗装工程においては、光硬化性樹脂組成物の種類や組成、基材の種類などに応じて適宜変更することができる。例えば、スプレーコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法などが挙げられる。
上記の塗装工程において、基材の一方の面上に光硬化性樹脂組成物を塗装して被膜を形成する。このときの被膜の厚さ(光硬化性樹脂組成物の塗装厚)は、特に限定されないが、硬化被膜の強度の観点から、例えば、後述の硬化工程後の硬化被膜の厚さが少なくとも1μm以上、好ましくは3μm以上となるように調整する。一方、硬化被膜の厚さの上限値は、特に限定されないが、塗装作業性の観点から、例えば100μm以下、好ましくは30μm以下となるように、被膜の厚さを調整するとよい。
硬化工程においては、塗装工程後の基材に対して光を照射し、基材上の被膜を硬化させ、硬化被膜を形成する。光の種類、照射手法等々については特に限定はないが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格などの面から、紫外線照射が好ましく、例えば高圧水銀ランプにより被膜に対して紫外線を照射するという手法を採用しても構わない。紫外線で硬化させる方法としては、200~500nmの波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、100~3,000mJ/cmほど照射する方法などが挙げられる。
なお、必要に応じ、上記の各工程以外の工程(例えば乾燥工程や洗浄工程等)を行っても構わない。例えば、塗装工程と光照射工程との間に、光硬化性樹脂組成物を乾燥させる乾燥工程を設けてもよい。乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥または加熱乾燥、さらにはこれらの乾燥方法を組み合わせる方法などが挙げられる。
なお、上記の硬化被膜は、基材の片面もしくは両面のどちらに形成されても良い。また、基材と本発明の硬化被膜の間に他の層が形成されても良い。
本発明の硬化被膜は必要に応じて、塗装や印刷、スパッタや蒸着、粘着剤塗布等の後加工を施すことができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物から形成された硬化被膜は、適度な硬度を示すため、ハードコート用として適している。
本発明の硬化被膜を備えた被膜付き基材は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの画像表示装置向けの機能性保護膜(ハードコート)として使用することができる。
上記の各工程を経て作製された本発明の硬化被膜は、優れた易滑性およびブロッキング抑制効果を有しており、さらに、高い濡れ指数、低い水接触角も有している。濡れ指数は、JIS K6768に準拠して測定された値であり、本発明の硬化被膜の濡れ指数は40mN/mであるのが好ましい。
この濡れ指数については、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
また、水接触角は、実施例に記載の方法で測定することができるが、被膜表面に純水を滴下した際、着滴から10秒後の接触角が70°以下であるのが好ましい。
また、本発明の硬化被膜は透明性に優れており、JIS K7136に準拠して測定した前記硬化被膜のヘイズが1%未満であるのが好ましい。
<本実施形態に係る効果>
本実施形態における光硬化性樹脂組成物を採用することにより、塗装面と基材あるいは塗装面同士の易滑性およびブロッキング抑制効果が良好であり、かつ、高い透明性を確保できるうえ、高い濡れ指数を有するため、リコート性が良好な硬化被膜を得ることができる。しかもこれらの効果は、基材表面に形成された1層の硬化被膜によりもたらすことが可能となる。更に言うと、1層の硬化被膜によって上記の効果がもたらされるようにすべく、上記のような光硬化性樹脂組成物が本発明者により創出されたのである。なお、上記の効果は1層の硬化被膜によってもたらされるものの、基材に対して上記の硬化被膜を複数層設けることを排除するものではなく、複数層設けても構わない。
次に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
<<光硬化性樹脂(塗料)組成物の調製>>
[実施例1]
以下、実施例1における光硬化性樹脂(塗料)組成物の調製について説明する。以降に記載の製品名に関するメーカーおよびその内容については後掲の表1に記載する。各実施例および各比較例にて使用された成分および配合比、そして後述の評価方法により得られた評価結果をまとめたものを後掲の表2に記載する。
実施例1においては、有機溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)47.0重量部に、成分(A)としてA-DPH-6Eを30.0重量部、成分(B)としてフタージェント602Aを1.0重量部、成分(C)としてSIRPGM30WT%-E80を10.0重量部、成分(D)としてOmnirad184を2.0重量部、成分(E)としてMIRAMER MU9500Hを10.0重量部加え、全体を100重量部とし、均一になるまで撹拌し、光硬化性樹脂組成物を調整した。
Figure 0007071072000001
Figure 0007071072000002
なお、表1~2において比較例にて使用する成分(B’)、成分(C’)は、本実施形態の冒頭<光硬化性樹脂組成物>にて挙げた成分(B)、成分(C)の規定を満たさないものである。
[実施例2~10、比較例1~7]
実施例1で使用された成分および配合を表2に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
<<被膜付き基材の作製>>
次に、上記で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて被膜付き基材を作製した。
東レ株式会社製のPETフィルム「U-48」(縦200mm×横150mm×厚み125μm)に、バーコーターによって、上記で調製したそれぞれの光硬化性樹脂組成物を乾燥膜厚が約5μmとなるように塗膜の厚さを調整して塗装した。つづいて、80℃の熱風乾燥器中に60秒入れて溶剤を揮発させたあと、高圧水銀ランプにて紫外線を照射することで(照射量:300mJ/cm)、塗膜を硬化させ、硬化被膜を形成し、被膜付き基材を作成した。
<<評価方法>>
次に、実施例1~10および比較例1~7の光硬化性樹脂組成物から得られた被膜付き基材に対し、以下の性能評価(1)~(9)を行った。
(1)易滑性
得られた硬化被膜付きフィルムを2枚用意し、塗装面同士を重ね合わせ、指で擦りあわせた際の滑り具合を確認した。下記評価基準に基づき評価を行った。
◎:抵抗が少なく滑らかに滑る状態
○:やや抵抗はあるが滑る状態
×:抵抗が高く滑らない状態
(2)ブロッキング抑制効果
得られた硬化被膜付きフィルムを2枚用意し、塗装面同士を重ね合わせ、上に1kg/cmの荷重をかけて40℃×24時間放置した。その後、重ねあわせた基材を引き剥がし、その状態を目視で確認した。貼り付きがないものを合格とした。
(3)基材密着性
JIS K 5600-5-6に記載されている碁盤目試験の方法に準じて、光硬化性樹脂組成物の硬化被膜上にカッターで1mm幅、100マスの傷を入れ碁盤目を付けた試験片を作製した。セロテープ(登録商標)(商品名、ニチバン株式会社製)を試験片に貼り付けた後、このセロテープ(登録商標)を速やかに、碁盤目に対して45度斜め上方方向に引っ張って剥離させ、残った碁盤目の被膜数を数え、この数を基材密着性の指標とした。
(4)鉛筆硬度
JIS K 5600に準拠して荷重750gで鉛筆硬度試験を行い、光硬化性樹脂組成物の硬化被膜の鉛筆硬度を測定し、評価した。本実施例では、鉛筆硬度がF以上であれば、十分な硬度を有していると評価し合格とした。
(5)ヘイズ(HZ)
JIS K7136に準拠して光硬化性樹脂組成物の硬化被膜付きフィルムのヘイズ(HZ)を測定し、評価した。本実施例では、ヘイズが1%未満であれば、透明性に優れているものと評価した。なお、ヘイズは、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH4000」)を用いて測定した。
(6)全光線透過率(TT)
JIS K7361-1に準拠して光硬化性樹脂組成物の硬化被膜付きフィルムの全光線透過率(TT)を測定し、評価した。本実施例では、全光線透過率が90%以上であれば、透過率が高いものと評価した。なお、全光線透過率は、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH4000」)を用いて測定した。
(7)濡れ指数
JIS K6768に準拠して硬化被膜上に、綿棒を使用してぬれ張力試験用混合液(和光純薬工業株式会社製)を6cm以上の面積に速やかに塗り広げ、2秒後の液膜の状態を確認した。2秒後でも塗布されたときの状態を保っている混合液の表面張力を硬化被膜の濡れ指数として評価した。
(8)水接触角(°)(親水性)
硬化被膜上に純水1μlを滴下し、着滴してから10秒後の接触角を、接触角計(協和界面科学株式会社製、「DropMaster DM500」)にて測定した。接触角が70°以下となるものを合格とした。
(9)インキ試験(親油性)
硬化被膜上に、油性マジック(寺西化学工業株式会社製、「マジックインキNo.500 M500-T1 黒」)で線を引いた際にハジキが無く、かつ5分後に不織布(旭化成株式会社製、「BEMCOT M-1」)で拭いた際に除去が出来ないものを合格とした。
なお、本明細書においては、成分(B)または(B’)に関し、以下の条件を満たすものについて“親水性”と称し、以下の条件を満たさないものを“疎水性”と称する。
『有機溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)47重量部に、成分(A)としてA-DPH-6Eを30重量部、成分(B)または(B’)を1重量部、成分(C)としてSIRPGM30WT%-E80を10重量部、成分(D)としてOmnirad184を2重量部、成分(E)としてMIRAMER MU9500Hを10重量部加え、全体を100重量部とし、均一になるまで撹拌し、光硬化性樹脂組成物を調整し、上記<<被膜付き基材の作製>>の手法にて被膜付き基材を作製し、上記(8)水接触角の評価方法にて70°以下となる成分(B)または(B’)』
同様に、本明細書においては、成分(C)または(C’)に関し、以下の条件を満たすものについて“親水性”と称し、以下の条件を満たさないものを“疎水性”と称する。
『有機溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)47重量部に、成分(A)としてA-DPH-6Eを30重量部、成分(B)としてフタージェント602Aを1重量部、成分(C)を使用する場合は10重量部((C‘)を使用する場合は20重量部)、成分(D)としてOmnirad184を2重量部、成分(E)としてMIRAMER MU9500Hを10重量部加え、全体を100重量部とし、均一になるまで撹拌し、光硬化性樹脂組成物を調整し、上記<<被膜付き基材の作製>>の手法にて被膜付き基材を作製し、上記(8)水接触角の評価方法にて70°以下となる成分(C)または(C’)』
ちなみに上記表1の成分(B)、(B’)、(C)、(C’)における親水性、疎水性は、上記手法により決定している。
<<評価結果>>
実施例1~10、比較例1~7について、それぞれの評価結果を上記表2に示している。
実施例1~10では、塗装面と基材あるいは塗装面同士の易滑性およびブロッキング抑制効果が良好であり、かつ、高い透明性(低ヘイズ値)を確保できるうえ、高い濡れ指数を有するためリコート性が良好な硬化被膜を得ることができた。その上、基材密着性、硬度においても良好な結果が得られた。また、水接触角を調べた結果、いずれの実施例も70°以下であり、仮に水性物質をリコートしたとしても問題無く適用可能である。
比較例1では、一見、良好な結果に見える。しかしながら、成分(A)を使用した実施例7に比べ、成分(A)の代わりに成分(E)を使用した比較例1は、上記の(9)インキ試験(親油性)での試験結果は良好であったが、濡れ指数が50mN/mから36mN/mへと大幅に低下して好適な濡れ指数40mN/mを下回っており、水接触角も好適な70°を上回っている。この結果より、成分(A)の有意性が確認された。
比較例2では、本実施形態の冒頭<光硬化性樹脂組成物>にて挙げた成分(B)の規定を満たさない(重量平均分子量が小さい)成分(B’)を用いた結果、易滑性やブロッキング抑制効果に加えリコート性も不良であった。
比較例3では、本実施形態の冒頭<光硬化性樹脂組成物>にて挙げた成分(B)の規定を満たさない(重量平均分子量が小さい)成分(B’)を用いた結果、リコート性が不良であった。
しかも、水接触角を調べた結果、比較例3は70°を大きく超えて103°であり、硬化被膜は疎水性を示していた。
比較例4では、本実施形態の冒頭<光硬化性樹脂組成物>にて挙げた成分(B)に対応する物質を使用しなかった結果、易滑性やブロッキング抑制効果が不良であった。
比較例5では、本実施形態の冒頭<光硬化性樹脂組成物>にて挙げた成分(C)の規定を満たさない(平均一次粒子径が下限値未満である)成分(C’)を用いた結果、易滑性やブロッキング抑制効果が不良であった。
比較例6では、本実施形態の冒頭<光硬化性樹脂組成物>にて挙げた成分(C)の規定を満たさない(平均一次粒子径が上限値を超えている)成分(C’)を用いた結果、ヘイズ値が1.6%(各実施例の約2倍)であり、透明性を確保することができなかった。
比較例7では、本実施形態の冒頭<光硬化性樹脂組成物>にて挙げた成分(C)に対応する物質を使用しなかった結果、易滑性やブロッキング抑制効果が不良であった。

Claims (14)

  1. 4官能以上の光重合性不飽和基およびアルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)と、
    ポリエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する、重量平均分子量(Mw)が1万以上且つ10万以下のフッ素系化合物(B)と、
    平均一次粒子径が20~90nmである無機微粒子(C)と、
    光重合開始剤(D)と、
    を含有し、
    前記(B)の含有量が、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して0.2~3重量部であり、
    前記(C)の含有量が、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して5~20重量部である光硬化性樹脂組成物。
  2. 前記4官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、該光重合性不飽和基1個に対して1個以上のエチレンオキサイド変性部位を有するエチレンオキサイド変性化合物である請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記4官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記無機微粒子(C)が親水性シリカである請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(C)の含有量が、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して3~30重量部である請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. さらに、光重合性不飽和基を有する樹脂成分(E)(前記(メタ)アクリレートモノマー(A)を除く。)を含有する請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. ハードコート用途に使用される請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜。
  9. JIS K6768に準拠して測定した前記硬化被膜の表面濡れ指数が40mN/m以上である請求項に記載の硬化被膜。
  10. 前記硬化被膜に対する純水の水滴の水接触角が70°以下である請求項またはに記載の硬化被膜。
  11. JIS K7136に準拠して測定した前記硬化被膜のヘイズが1%未満である請求項10のいずれか一項に記載の硬化被膜。
  12. 請求項11のいずれか一項に記載の硬化被膜を基材上に備える被膜付き基材。
  13. 請求項1~いずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を光照射により硬化させる硬化工程を有する硬化被膜の製造方法。
  14. 請求項1~いずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗装する塗装工程と、
    前記塗装工程の後、光照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
    を有する被膜付き基材の製造方法。
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