JP7071072B2 - 光硬化性樹脂組成物、該組成物から形成される硬化被膜およびその製造方法、ならびに、被膜付き基材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
近年においては、塗装され、硬化された被膜面上に、さらに塗装や印刷、スパッタや蒸着、粘着剤塗布といった後加工(リコート)が施され、様々な材料が積層されることがある。そこで、硬化被膜は、易滑性およびブロッキング抑制に加えて、後加工されて形成される被膜とのリコート性が良好であることが求められていることを本発明者は知見した。しかも、ブロッキング抑制、リコート性に加え、ハードコートを設ける対象がプラスチックフィルム基材となることが有り得ることに鑑みて高い透明性も確保する必要があることを本発明者は知見した。
なお、従来技術であるところの特許文献1~4においてはいずれもブロッキング抑制にしか着目していない。
3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)と、
重量平均分子量(Mw)が1万以上のフッ素系化合物(B)と、
平均一次粒子径が20~90nmである無機微粒子(C)と、
光重合開始剤(D)と、
を含有する光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、アルキレンオキサイド基を有する第1の態様に記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、該光重合性不飽和基1個に対して1個以上のエチレンオキサイド変性部位を有するエチレンオキサイド変性化合物である第1または第2の態様に記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種である第1~第3の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記フッ素系化合物(B)が、ポリエーテル基または水酸基から選ばれる少なくとも1つの親水性基を有する第1~第4の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記フッ素系化合物(B)が、さらに光重合性不飽和基を有する第1~第5の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記無機微粒子(C)が親水性シリカである第1~第6の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
さらに、光重合性不飽和基を有する樹脂成分(E)(前記(メタ)アクリレートモノマー(A)を除く。)を含有する第1~第7の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
ハードコート用途に使用される第1~第8の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物が提供される。
第1~第9の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜が提供される。
JIS K6768に準拠して測定した前記硬化被膜の表面濡れ指数が40mN/m以上である第10の態様に記載の硬化被膜が提供される。
前記硬化被膜に対する純水の水滴の水接触角が70°以下である第10または第11の態様に記載の硬化被膜が提供される。
JIS K7136に準拠して測定した前記硬化被膜のヘイズが1%未満である第10~第12の態様のいずれかに記載の硬化被膜が提供される。
第10~第13の態様のいずれかに記載の硬化被膜を基材上に備える被膜付き基材が提供される。
第1~第9の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を光照射により硬化させる硬化工程を有する硬化被膜の製造方法が提供される。
第1~第9の態様のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗装する塗装工程と、
前記塗装工程の後、光照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を有する被膜付き基材の製造方法が提供される。
本明細書における「~」は所定の値以上かつ所定の値以下のことを指す。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、光重合性不飽和基とは、光により重合反応に関与する不飽和基を意味する。また、「光」は活性光線又は放射線を意味し、例えば可視光線や紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを含むものを意味する。
また、本明細書において、「リコート性」とは濡れ指数、水接触角(親水性)、インキ試験(親油性)を総合的に考慮したときの層間密着性を指すものとする。本明細書における濡れ指数、水接触角(親水性)、インキ試験(親油性)の関係であるが、基本的には、濡れ指数の値が高いほど、接触するものが水性であろうが油性であろうが、層間密着性は良好となる。その上で、水接触角(親水性)とインキ試験(親油性)との両方が良好な結果であれば、どのような物質をリコートしようとも問題無く適用可能となる。
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物は、主に以下のものが含有(配合)されてなる。
・3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)
・重量平均分子量が1万以上のフッ素系化合物(B)
・平均一次粒子径が20~90nmである無機微粒子(C)
・光重合開始剤(D)
以下、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を構成する各成分について述べる。
(メタ)アクリレートモノマー(A)(以降、成分(A)と称する。)は、3官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマーである。官能基数が3官能以上であるため、本発明の組成物から形成される硬化被膜の硬度および耐擦傷性が優れている。
フッ素系化合物(B)(以降、成分(B)と称する。)は、重量平均分子量(Mw)が1万以上のフッ素系化合物である。上記フッ素系化合物である成分(B)は、光硬化性樹脂組成物の表面張力を均一化し、塗装された膜を平坦にする機能を有するものであり、本実施形態においてはバインダー樹脂(成分(A)や後述する成分(E))とは異なるものである。成分(B)としては例えばレベリング剤と呼ばれるものを使用することができる。以降、成分(B)をレベリング剤とも称する。そのようなレベリング剤においてフッ素を含有する化合物を主成分(構成成分の過半数、好ましくは80重量%以上)とするもののことをフッ素系レベリング剤とも称する。
なお、本実施形態においては、成分(B)は、バインダー樹脂(成分(A)や後述する成分(E))とは完全に相溶するわけではない。よって、硬化被膜を形成したときに成分(B)はバインダー樹脂との相互作用により、硬化被膜の上層部(基材と反対側の表面付近)に偏在する。この結果、成分(B)を含有することで、硬化被膜の濡れ指数、レベリング性、易滑性、ブロッキング抑制に優れた被膜を形成することができる。
パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルケニルカルボン酸塩、パーフルオロアルケニルスルホン酸塩、パーフルオロアルケニルリン酸エステル、パーフルオロアルケニルベタイン等のパーフルオロアルケニル基を主鎖又は側鎖に有するフッ素系レベリング剤;
パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルベタイン等のパーフルオロアルキル基を主鎖又は側鎖に有するフッ素系レベリング剤等が挙げられる。
市販品としては、例えば、「フタージェント602A」、「フタージェント650AC」、「フタージェント681A」、「フタージェント684A」(いずれも株式会社ネオス製)等が挙げられる。これら成分(B)の含有量は、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して、0.1~5重量部が好ましく、0.2~3重量部がより好ましい。
無機微粒子(C)(以降、成分(C)と称する。)は、硬化被膜の表面に微小な凹凸を形成するものである。成分(C)の平均一次粒子径は、硬化被膜の透明性の維持と易滑性およびブロッキング抑制の観点から、20~90nmである。平均一次粒子径が20nm以上であれば、硬化被膜表面の凹凸の高さを十分に確保でき、易滑性およびブロッキング抑制効果を適切に得られる。一方、平均一次粒子径が90nm以下であれば、硬化被膜の透明性を十分に確保でき、視認性を十分に確保することができる。
なお、平均一次粒子径は、硬化被膜を走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて観測した際の微粒子の直径の平均値として算出することが出来る。
光重合開始剤(D)(以降、成分(D)と称する。)は、光照射によりラジカル又はカチオンを発生して、光重合性不飽和基を有する成分(A)および任意に用いる後述のその他の樹脂成分(E)を硬化させるものである。成分(D)は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾイン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。
上記成分に加え、成分(A)を除く、光重合性不飽和基を有する樹脂成分(E)(以降、成分(E)と称する。)を含有しても構わない。成分(E)は、硬化被膜の硬化性や強度などを向上させるとともに、基材密着性にも寄与する。
また、エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、「EBECRYL 600」、「EBECRYL 3500」、「EBECRYL 3603」、「EBECRYL 3700」(いずれもダイセル・オルネクス株式会社製)、「ユニディック V-5500」、「ユニディック V-5502」、「ユニディック V-5508」(いずれもDIC株式会社製)、「MIRAMER PE210」、「MIRAMER EA2280」(いずれも美源スペシャリティケミカルズ株式会社製)などが挙げられ、ポリエステル(メタ)アクリレートの市販品としては、「アロニックス M-6100」、「アロニックス M-6200」、「アロニックス M-6250」、「アロニックス M-6500」、「アロニックス M-7100」、「アロニックス M-7300K」、「アロニックス M-8030」、「アロニックス M-8060」、「アロニックス M-8100」、「アロニックス M-8530」、「アロニックス M-8560」、「アロニックス M-9050」(いずれも東亞合成株式会社製)、「EBECRYL 450」、「EBECRYL 800」、「EBECRYL 810」、「EBECRYL 811」、「EBECRYL 812」、「EBECRYL 1830」、「EBECRYL 846」、「EBECRYL 852」、「EBECRYL 853」、「EBECRYL 870」(いずれもダイセル・オルネクス社製)、「CN2270」、「CN2271」、「CN2273」、「CN2274」(いずれもサートマー社製)などが挙げられる。成分(E)の含有量は、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して0~90重量部が好ましく、5~70重量部がより好ましい。成分(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、有機溶剤、重合禁止剤、非反応性希釈剤、消泡剤、沈降防止剤、レベリング剤(成分(B)を除く)、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。有機溶剤としては、従来公知のものを使用でき、具体的には、芳香族炭化水素類(例:キシレン、トルエン等)、ケトン類(例:メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(例:酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等)、アルコール類(イソプロピルアルコール、ブタノール等)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル等)等の各種有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本実施形態の硬化被膜は、上記の光硬化性樹脂組成物を用いた上で、主に以下の工程により作製される。
・上記の光硬化性樹脂組成物を準備する準備工程
・上記の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗装する塗装工程
・塗装工程の後、光照射により光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程
本発明の硬化被膜は必要に応じて、塗装や印刷、スパッタや蒸着、粘着剤塗布等の後加工を施すことができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物から形成された硬化被膜は、適度な硬度を示すため、ハードコート用として適している。
本発明の硬化被膜を備えた被膜付き基材は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの画像表示装置向けの機能性保護膜(ハードコート)として使用することができる。
上記の各工程を経て作製された本発明の硬化被膜は、優れた易滑性およびブロッキング抑制効果を有しており、さらに、高い濡れ指数、低い水接触角も有している。濡れ指数は、JIS K6768に準拠して測定された値であり、本発明の硬化被膜の濡れ指数は40mN/mであるのが好ましい。
この濡れ指数については、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
また、水接触角は、実施例に記載の方法で測定することができるが、被膜表面に純水を滴下した際、着滴から10秒後の接触角が70°以下であるのが好ましい。
また、本発明の硬化被膜は透明性に優れており、JIS K7136に準拠して測定した前記硬化被膜のヘイズが1%未満であるのが好ましい。
本実施形態における光硬化性樹脂組成物を採用することにより、塗装面と基材あるいは塗装面同士の易滑性およびブロッキング抑制効果が良好であり、かつ、高い透明性を確保できるうえ、高い濡れ指数を有するため、リコート性が良好な硬化被膜を得ることができる。しかもこれらの効果は、基材表面に形成された1層の硬化被膜によりもたらすことが可能となる。更に言うと、1層の硬化被膜によって上記の効果がもたらされるようにすべく、上記のような光硬化性樹脂組成物が本発明者により創出されたのである。なお、上記の効果は1層の硬化被膜によってもたらされるものの、基材に対して上記の硬化被膜を複数層設けることを排除するものではなく、複数層設けても構わない。
[実施例1]
以下、実施例1における光硬化性樹脂(塗料)組成物の調製について説明する。以降に記載の製品名に関するメーカーおよびその内容については後掲の表1に記載する。各実施例および各比較例にて使用された成分および配合比、そして後述の評価方法により得られた評価結果をまとめたものを後掲の表2に記載する。
実施例1で使用された成分および配合を表2に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
次に、上記で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて被膜付き基材を作製した。
東レ株式会社製のPETフィルム「U-48」(縦200mm×横150mm×厚み125μm)に、バーコーターによって、上記で調製したそれぞれの光硬化性樹脂組成物を乾燥膜厚が約5μmとなるように塗膜の厚さを調整して塗装した。つづいて、80℃の熱風乾燥器中に60秒入れて溶剤を揮発させたあと、高圧水銀ランプにて紫外線を照射することで(照射量:300mJ/cm2)、塗膜を硬化させ、硬化被膜を形成し、被膜付き基材を作成した。
次に、実施例1~10および比較例1~7の光硬化性樹脂組成物から得られた被膜付き基材に対し、以下の性能評価(1)~(9)を行った。
得られた硬化被膜付きフィルムを2枚用意し、塗装面同士を重ね合わせ、指で擦りあわせた際の滑り具合を確認した。下記評価基準に基づき評価を行った。
◎:抵抗が少なく滑らかに滑る状態
○:やや抵抗はあるが滑る状態
×:抵抗が高く滑らない状態
得られた硬化被膜付きフィルムを2枚用意し、塗装面同士を重ね合わせ、上に1kg/cm2の荷重をかけて40℃×24時間放置した。その後、重ねあわせた基材を引き剥がし、その状態を目視で確認した。貼り付きがないものを合格とした。
JIS K 5600-5-6に記載されている碁盤目試験の方法に準じて、光硬化性樹脂組成物の硬化被膜上にカッターで1mm幅、100マスの傷を入れ碁盤目を付けた試験片を作製した。セロテープ(登録商標)(商品名、ニチバン株式会社製)を試験片に貼り付けた後、このセロテープ(登録商標)を速やかに、碁盤目に対して45度斜め上方方向に引っ張って剥離させ、残った碁盤目の被膜数を数え、この数を基材密着性の指標とした。
JIS K 5600に準拠して荷重750gで鉛筆硬度試験を行い、光硬化性樹脂組成物の硬化被膜の鉛筆硬度を測定し、評価した。本実施例では、鉛筆硬度がF以上であれば、十分な硬度を有していると評価し合格とした。
JIS K7136に準拠して光硬化性樹脂組成物の硬化被膜付きフィルムのヘイズ(HZ)を測定し、評価した。本実施例では、ヘイズが1%未満であれば、透明性に優れているものと評価した。なお、ヘイズは、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH4000」)を用いて測定した。
JIS K7361-1に準拠して光硬化性樹脂組成物の硬化被膜付きフィルムの全光線透過率(TT)を測定し、評価した。本実施例では、全光線透過率が90%以上であれば、透過率が高いものと評価した。なお、全光線透過率は、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH4000」)を用いて測定した。
JIS K6768に準拠して硬化被膜上に、綿棒を使用してぬれ張力試験用混合液(和光純薬工業株式会社製)を6cm2以上の面積に速やかに塗り広げ、2秒後の液膜の状態を確認した。2秒後でも塗布されたときの状態を保っている混合液の表面張力を硬化被膜の濡れ指数として評価した。
硬化被膜上に純水1μlを滴下し、着滴してから10秒後の接触角を、接触角計(協和界面科学株式会社製、「DropMaster DM500」)にて測定した。接触角が70°以下となるものを合格とした。
硬化被膜上に、油性マジック(寺西化学工業株式会社製、「マジックインキNo.500 M500-T1 黒」)で線を引いた際にハジキが無く、かつ5分後に不織布(旭化成株式会社製、「BEMCOT M-1」)で拭いた際に除去が出来ないものを合格とした。
『有機溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)47重量部に、成分(A)としてA-DPH-6Eを30重量部、成分(B)または(B’)を1重量部、成分(C)としてSIRPGM30WT%-E80を10重量部、成分(D)としてOmnirad184を2重量部、成分(E)としてMIRAMER MU9500Hを10重量部加え、全体を100重量部とし、均一になるまで撹拌し、光硬化性樹脂組成物を調整し、上記<<被膜付き基材の作製>>の手法にて被膜付き基材を作製し、上記(8)水接触角の評価方法にて70°以下となる成分(B)または(B’)』
同様に、本明細書においては、成分(C)または(C’)に関し、以下の条件を満たすものについて“親水性”と称し、以下の条件を満たさないものを“疎水性”と称する。
『有機溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)47重量部に、成分(A)としてA-DPH-6Eを30重量部、成分(B)としてフタージェント602Aを1重量部、成分(C)を使用する場合は10重量部((C‘)を使用する場合は20重量部)、成分(D)としてOmnirad184を2重量部、成分(E)としてMIRAMER MU9500Hを10重量部加え、全体を100重量部とし、均一になるまで撹拌し、光硬化性樹脂組成物を調整し、上記<<被膜付き基材の作製>>の手法にて被膜付き基材を作製し、上記(8)水接触角の評価方法にて70°以下となる成分(C)または(C’)』
ちなみに上記表1の成分(B)、(B’)、(C)、(C’)における親水性、疎水性は、上記手法により決定している。
実施例1~10、比較例1~7について、それぞれの評価結果を上記表2に示している。
しかも、水接触角を調べた結果、比較例3は70°を大きく超えて103°であり、硬化被膜は疎水性を示していた。
Claims (14)
- 4官能以上の光重合性不飽和基およびアルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)と、
ポリエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する、重量平均分子量(Mw)が1万以上且つ10万以下のフッ素系化合物(B)と、
平均一次粒子径が20~90nmである無機微粒子(C)と、
光重合開始剤(D)と、
を含有し、
前記(B)の含有量が、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して0.2~3重量部であり、
前記(C)の含有量が、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して5~20重量部である光硬化性樹脂組成物。 - 前記4官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、該光重合性不飽和基1個に対して1個以上のエチレンオキサイド変性部位を有するエチレンオキサイド変性化合物である請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記4官能以上の光重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー(A)が、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記無機微粒子(C)が親水性シリカである請求項1~3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記(C)の含有量が、光硬化性樹脂組成物(固形分)100重量部に対して3~30重量部である請求項1~4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- さらに、光重合性不飽和基を有する樹脂成分(E)(前記(メタ)アクリレートモノマー(A)を除く。)を含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- ハードコート用途に使用される請求項1~6のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物から形成される硬化被膜。
- JIS K6768に準拠して測定した前記硬化被膜の表面濡れ指数が40mN/m以上である請求項8に記載の硬化被膜。
- 前記硬化被膜に対する純水の水滴の水接触角が70°以下である請求項8または9に記載の硬化被膜。
- JIS K7136に準拠して測定した前記硬化被膜のヘイズが1%未満である請求項8~10のいずれか一項に記載の硬化被膜。
- 請求項8~11のいずれか一項に記載の硬化被膜を基材上に備える被膜付き基材。
- 請求項1~7いずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を光照射により硬化させる硬化工程を有する硬化被膜の製造方法。
- 請求項1~7いずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗装する塗装工程と、
前記塗装工程の後、光照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を有する被膜付き基材の製造方法。
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