上記の本発明のチップにおいて、前記筒状部は、中空の円筒形状を有することが好ましい。これにより、筒状部の形状を簡単化することができるので、製造が容易で、低コストのチップを提供できる。
前記筒状部の先端に、外向きに突出した突起が設けられていてもよい。これにより、オスコネクタの清掃性が向上し、また、オスコネクタの隙間に対する筒状部の挿入作業性が向上する。
前記突起は、前記筒状部の周方向に連続する環状の突起であってもよい。これにより、筒状部の強度が向上するので、オスコネクタの隙間に対する筒状部の挿入作業性が更に向上する。
上記の本発明のチップは、前記筒状部が設けられた把持部を更に備えてもよい。この場合、前記把持部は、前記筒状部より大きな外径を有することが好ましい。これにより、作業者は、チップの把持部をしっかりと把持することができるので、オスコネクタの清掃作業性が向上する。
上記の本発明のチップは、前記筒状部が設けられた把持部を更に備えてもよい。この場合、前記把持部に平坦な把持面が設けられていることが好ましい。これにより、作業者は、チップの把持面を摘まんでオスコネクタを清掃できるので、オスコネクタの清掃作業性が向上する。また、チップを摘まむべき位置が特定されるので、作業者の指が筒状部に触れる可能性が低下し、筒状部の清潔性を維持しやすい。
上記の本発明のチップは、前記筒状部を取り囲むカバー筒を更に備えてもよい。この場合、前記カバー筒は、前記筒状部と前記カバー筒との間に、オスコネクタの前記外筒を挿入することができるように構成されていることが好ましい。これにより、オスコネクタの清掃時に、液状物が外界に漏出して患者の衣服を汚すなどの事態が生じる可能性が低減する。また、カバー筒の内周面でオスコネクタの外筒の外周面を清掃することができる。
前記筒状部を前記オス部材と前記外筒との間の隙間に挿入したときに液状物が流れる流路が前記筒状部と前記オスコネクタとの間に形成されるように、前記筒状部に流路形成構造が設けられていてもよい。これにより、筒状部がより多くの液状物を吸収することができるようになるので、オスコネクタの清掃時に、液状物がオスコネクタの外筒からあふれ出て、外筒の外周面が液状物で汚れたり、患者の衣服を汚したりする事態が生じる可能性が低減する。流路形成構造は、筒状部の外周面及び内周面のいずれに設けられていてもよい。流路形成構造を筒状部の外周面に設けた場合には、オスコネクタの隙間内に残留している、細菌を含むかも知れない液状物が、オス部材を通って患者の体内に流入するリスクを低減することもできる。
前記流路形成構造は、前記筒状部の外周面又は内周面に設けられた溝であり得る。これにより、流路形成構造の構成を簡単化することができるので、流路形成構造を備えたチップの製造が容易になり、チップを低コスト化することができる。
前記筒状部の外周面に、前記雌ネジと螺合する螺合構造が設けられていてもよい。これにより、オスコネクタの雌ネジの清掃性が向上する。また、オスコネクタの清掃時に、外筒からあふれ出る液状物を減少させることができる。
前記螺合構造は、前記筒状部を1回以上周回する螺旋状の雄ネジであってもよい。これにより、螺合構造の長さが長くなるので、螺合構造により多くの液状物を吸収させることができる。
あるいは、前記螺合構造は、前記筒状部の中心軸に対して180度未満の角度の範囲内に設けられた突起であってもよい。このような突起は、オスコネクタの雌ネジに対する摺動抵抗が小さいので、オスコネクタの清掃を行うときの作業者の負担を軽減するのに有利である。このような突起は、螺旋に沿って延びた螺状突起と、ドーム状に突出した単なる突起の両方を含む。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。以下に示す実施形態に、他の1以上の実施形態を組み合わせることができる。以下に示す図において、同一の部材又は要素には同一の符号が付してあり、それらについての重複する説明を省略する。
[実施形態1]
本発明の実施形態1の拭き取りチップ(以下、単に「チップ」という)は、ISO80369-3に準拠したオスコネクタのオス部材と外筒との間の隙間に挿入可能な筒状部を備える。以下に実施形態1のチップの好適な具体例を示す。
(実施形態1-1)
図1Aは、本発明の実施形態1-1に係るチップ110の上方から見た斜視図、図1Bはチップ110の下方から見た斜視図、図1Cはチップ110の側面図、図1Dはチップ110の断面図である。チップ110は、貫通孔が長手方向に貫通する中空の円筒形状を有している。チップ110の内径及び外径は、チップ110の長手方向において一定である。チップ110は、その全体が吸水性を有する材料で構成されている。
図2Aは、チップ110の使用直前の状態を示す斜視図、図2Bはその断面図である。
チップ110は、オスコネクタ950を清掃するために使用することができる。オスコネクタ950は、図18A及び図18Bに示したオスコネクタ910と同様にISO80369-3に準拠している。図2A及び図2Bにおいて、図18A及び図18Bに示したオスコネクタ910の構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付してあり、それらについての説明を省略する。オスコネクタ950は、オス部材911とは反対側端に接続部951を備える。接続部951は、オス部材911に形成された流路917と連通し、その内周面はオス部材911と同軸の円筒面である。図示を省略するが、接続部951内に、柔軟性を有するチューブが挿入され固定される。チューブは、患者に留置されたカテーテル(経鼻カテーテル、PEGカテーテルなど)でありうる。あるいは、チューブは、当該カテーテルに接続されたチューブであってもよい。作業者がオスコネクタ950を保持しやすいように、一対の把持突起953が接続部951を挟んでいる。オスコネクタ950は例示に過ぎず、特にISO80369-3で規定されていない部分の形状は任意に変更しうる。例えば把持突起953の形状を変更してもよく、あるいは、把持突起953を省略してもよい。チューブがオスコネクタ950の接続部951内に挿入されるのではなく、接続部951が、チューブ内に挿入することができるように構成されていてもよい。
経腸栄養法を行う場合、患者側コネクタであるオスコネクタ950に、図19A及び図19Bに示したメスコネクタ(容器側コネクタ)920を接続して、これらを介して患者に液状物(経腸栄養剤)を投与する。その後、メスコネクタ920をオスコネクタ950から分離する。上述したように、分離後のオスコネクタ950のオス部材911と外筒913との間の隙間916内には液状物が残留していることがある。チップ110は、この液状物を拭き取るために使用される。図2A及び図2Bに示すように、チップ110の一端の円筒形状を有する筒状部111を、オスコネクタ950に対向させ、オス部材911と外筒913との間の隙間916に挿入する。オス部材911は、筒状部111の内腔112に挿入される。
図3Aは、チップ110の筒状部111をオスコネクタ950の隙間916内に挿入した状態を示した斜視図、図3Bはその断面図である。図3Bに示されているように、好ましくは筒状部111の先端がオスコネクタ950の底板914に当接するまで、筒状部111をオスコネクタ950に挿入する。チップ110の筒状部111は吸水性を有するので、オスコネクタ950の隙間916内に残留した液状物は、筒状部111に触れると筒状部111に吸い込まれる。その後、チップ110をオスコネクタ950から引き抜く。液状物は、筒状部111内に保持された状態で、筒状部111とともにオスコネクタ950から除去される。筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿抜することにより、筒状部111が、オスコネクタ950のオス部材911の外周面、外筒913の内周面、及び底板914上を摺動し、これらに付着した液状物を拭き取ることができる。液状物に含まれる固形物も、液状物とともに筒状部111によって拭き取られ除去される。筒状部111をオスコネクタ950に挿入した状態でチップ110をオスコネクタ950に対して回転(例えば、回転方向を交互に反転させて回転)させると、液状物の拭き取り効果が向上する。
このように、本実施形態のチップ110は、その一端に、中空円筒形状を有する筒状部111を備える。筒状部111は、オスコネクタ950のオス部材911と外筒913との間の隙間916に挿入可能であり、オス部材911は筒状部111の内腔112内に挿入可能である。筒状部111は吸水性を有している。このため、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入すれば、当該隙間916内に残留した液状物は筒状部111に吸収される。筒状部111をオスコネクタ950に対して挿抜することにより、液状物はこれに含まれる固形物とともに拭き取られる。従って、経腸栄養法を行った後にチップ110を用いてオスコネクタ950を清掃することにより、オスコネクタ950の隙間916内を常に清浄な状態に維持することができる。
筒状部111は、中空の円筒形状を有する。このような筒状部111は、形状が簡単であるので、製造が容易である。このため、オスコネクタ950の清掃に特化した清掃能力の高い筒状部111を備えたチップ110を低コストで提供することができる。
筒状部111の外径は、筒状部111をオスコネクタ950の外筒913内に挿入することができるように設定される。また、筒状部111の内径は、筒状部111内にオスコネクタ950のオス部材911を挿入することができるように設定される。その一方で、筒状部111の外周面が外筒913に設けられた雌ネジ915のネジ山から離間したり、筒状部111の内周面がオス部材911の外周面912から離間したりすると、雌ネジ915やオス部材911に付着した液状物の拭き取り効果が低下する可能性がある。従って、筒状部111の外径は、雌ネジ915の内径とほぼ同じかこれよりわずかに大きく設定しうる。また、筒状部111の内径は、オス部材911の外周面912の最大外径とほぼ同じかこれよりわずかに小さく設定しうる。これにより、オスコネクタ950の隙間916に対する筒状部111の挿入作業性を確保しながら、外筒913の内周面及びオス部材911の外周面に付着した液状物の良好な拭き取り効果が得られる。
筒状部111が隙間916内の液状物を吸収するのにある程度の時間を要することがある。このため、オスコネクタ950の隙間916に筒状部111を素早く挿入すると、隙間916内の液状物が、筒状部111に吸収されるより前に、当該隙間916からあふれ出る事態が起こりうる。外筒913の内周面には雌ネジ915が形成されている。従って、隙間916内の液状物の多くは、雌ネジ915のネジ溝を通って筒状部111と外筒913との間を上昇して外筒913から外界にあふれ出る。このため、筒状部111とオス部材911との間を通って上昇する液状物は相対的に少ない。従って、液状物がオス部材911の流路917内に流入する可能性が低い。オスコネクタ950の衛生状態が悪く、隙間916内に細菌が繁殖している場合には、筒状部111を隙間916内に挿入したときに隙間916からあふれ出る液状物が細菌を含んでいる可能性がある。しかしながら、筒状部111を挿入することによって隙間916内の液状物があふれ出るようなことがあったとしても、あふれ出た液状物がオス部材911の流路917内に流入する可能性は低いから、細菌が患者の体内に侵入するリスクは低い。なお、仮に筒状部111とオス部材911との間を通って液状物があふれ出たとしても、そのような液状物の多くは、筒状部111の内周面に付着し、筒状部111に吸収される。
チップ110は、対称な両端を有している。従って、筒状部111とは反対側の筒状部111’を上記と同様にオスコネクタ950に挿入してオスコネクタ950を清掃することができる。例えば、最初に一方の筒状部111をオスコネクタ950に挿入して液状物の大部分を拭き取り、その後、他方の筒状部111’をオスコネクタ950に挿入して残留するわずかな液状物をきれいに拭き取ることができる。
筒状部111は、吸水性を有する任意の材料からなる。例えば、発泡体や不織布などの毛細管現象を利用して吸水することができる吸水材を用いることができる。このような吸水材は、液状物内に含まれる固形物をその組織内の隙間に取り込むことができるので、液状物の拭き取り能が高い。吸水材の材料としては、例えば、ウレタン、PVA(ポリビニルアルコール)、シリコーン、ポリスチレン、EVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。筒状部111は、公知の高吸水性ポリマーを含んでいてもよい。
筒状部111は、オスコネクタ950の隙間916内に、特に好ましくは底板914に到達するまで深く、挿入することができる程度の強度を有することが好ましい。但し、筒状部111は、雌ネジ915のネジ山や、オス部材911のオステーパ面912の外径の変化に応じて適宜変形できる程度の弾性(ゴム弾性)又は柔軟性を有していることが好ましい。筒状部111が硬質材料からなると、筒状部111をオスコネクタ950に対して挿抜するときにオスコネクタ950の表面に微細な傷を付けてしまう可能性がある。傷は菌が繁殖する可能性を増大させる。筒状部111の硬度は、オスコネクタ950の硬度と同じかこれより低いことが好ましい。
本実施形態では、筒状部111を含むチップ110の全体が、同一の材料で一部品として一体的に製造されている。チップ110の製造方法は、制限はないが、例えばプレス成型、トランスファー成型などの方法を用いうる。
(実施形態1-2)
図4Aは、本発明の実施形態1-2に係るチップ120の上方から見た斜視図、図4Bはその下方から見た斜視図、図4Cはその側面図、図4Dはその断面図である。チップ120は、中空円筒形状を有する外筒部125と、外筒部125内の中実円筒形状の封止部126との2つの部分で構成されている。
外筒部125は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料で構成されている。封止部126は外筒部125より短い。封止部126は、その一端が、外筒部125の一端と一致するように外筒部125内に挿入されている。チップ120のうち、封止部126が挿入されている部分は、把持部123である。外筒部125のうち封止部126が挿入されていない部分は、筒状部111である。
本実施形態のチップ120の使用方法は、実施形態1-1のチップ110と同様である。即ち、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入して、オスコネクタ950を拭き取り清掃する。
作業者は、筒状部111をオスコネクタ950に挿抜するときに、把持部123を把持することができる。把持部123は中実であるので、高強度である。このため、把持部123を作業者が強く把持しても、把持部123が縮径するように変形しにくい。従って、本実施形態1-2のチップ120は、オスコネクタ950の清掃作業性の向上に有利である。
封止部126の材料は任意である。例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いうる。把持部123の強度を向上させるために、外筒部125より高強度且つ硬質の材料を用いることが好ましい。もちろん、封止部126が、外筒部125と同じ吸水性を有する材料で構成されていてもよい。
チップ120の製造方法は、任意である。例えば、外筒部125及び封止部126をそれぞれ別個に製造し、その後、外筒部125内に封止部126を挿入して両者を一体化させてもよい。あるいは、外筒部125及び封止部126のうちの一方を製造した後、これに二色成形法により他方を一体化させてもよい。
本実施形態では、外筒部125と封止部126とが別個の部材であるが、後述する実施形態1-3と同様に、外筒部125と封止部126とを、吸水性を有する同一の材料を用いて一部品として一体的に製造することもできる。
本実施形態1-2において、外筒部125の長手方向の中央部分にのみ封止部126を配置して、外筒部125の両端に、オスコネクタ950に挿入な可能な筒状部111を設けてもよい。
本実施形態1-2は、上記を除いて実施形態1-1と同じである。実施形態1-1の説明は本実施形態1-2にも適用されうる。
上述した本実施形態1-2の把持部123を、他の任意の実施形態に適用することができる。
(実施形態1-3)
図5Aは、本発明の実施形態1-3に係るチップ130の上方から見た斜視図、図5Bはその下方から見た斜視図、図5Cはその側面図、図5Dはその断面図である。
チップ130は、一端に筒状部111を備え、他端に把持部133を備える。把持部133は、中実の略円筒形状を有し、実施形態1-2の把持部123と同様に機能する。チップ130は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料からなり、全体が一部品として一体的に製造されている。
中空円筒形状を有する筒状部111の先端の端縁に沿って、リブ(突起)132が半径方向に沿って外向きに突出している。リブ132は、筒状部111の周方向に連続する環状の突起である。
本実施形態のチップ130の使用方法は、実施形態1-1のチップ110と同様である。即ち、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入して、オスコネクタ950を拭き取り清掃する。
筒状部111の先端に設けられたリブ132は以下の効果を奏する。
第1に、オスコネクタ950の雌ネジ915の清掃性が向上する。筒状部111がオスコネクタ950の隙間916に挿抜されるとき、リブ132は雌ネジ915の谷内に入り込む。これにより、リブ132は、雌ネジ915の谷の底に付着した液状物に触れてこれを吸収する。
第2に、オスコネクタ950の底板914の清掃性が向上する。リブ132が筒状部111の先端に設けられているので、筒状部111の先端での厚み(半径方向に沿った筒状部111の寸法)がリブ132の分だけ増大する。このため、筒状部111の先端を底板914に当接させたとき、筒状部111と底板914との接触面積が拡大する。従って、筒状部111は、底板914を、より広い面積にわたって直接拭き取ることができる。
第3に、オスコネクタ950に対する筒状部111の挿入作業性が向上する。筒状部111の先端にリブ132が設けられているので、筒状部111の強度が向上する。このため、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入するときに、筒状部111が屈曲などの変形をしにくくなる。従って、筒状部111の先端を、オスコネクタ950の隙間916に、オスコネクタ950の底板914に到達するまで容易に挿入することができる。
リブ132での筒状部111の外径は、オスコネクタ950の隙間916に対する挿入作業性と、オスコネクタ950に付着した液状物の拭き取り性とを考慮して設定される。
リブ132は、筒状部111の全周にわたって連続している必要はなく、周方向に分断された突起であってもよい。周方向に分断された複数の突起は、オスコネクタ950の雌ネジ915の谷に容易に入り込みやすいので、雌ネジ915内の液状物の拭き取り性の向上に有利である。一方、上記の例のようにリブ132が環状の突起であることは、筒状部111の強度の向上に有利である。
本実施形態1-3は、上記を除いて実施形態1-1と同じである。実施形態1-1の説明は本実施形態1-3にも同様に適用されうる。
本実施形態1-3で説明した突起(リブ)を、他の任意の実施形態のチップの筒状部に適用することができる。
(実施形態1-4)
図6Aは、本発明の実施形態1-4に係るチップ140の上方から見た斜視図、図6Bはその下方から見た斜視図、図6Cはその側面図、図6Dはその断面図である。
チップ140は、一端に筒状部111を備え、他端に把持部143を備える。把持部143は、実施形態1-3の把持部133と同様に、中実の略円筒形状を有し、筒状部111と同軸である。但し、実施形態1-3と異なり、把持部143は、筒状部111よりも大きな外径を有する。チップ140は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料からなり、全体が一部品として一体的に製造されている。
本実施形態のチップ140の使用方法は、実施形態1-1のチップ110と同様である。即ち、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入して、オスコネクタ950を拭き取り清掃する。
作業者は、把持部143を把持して、筒状部111をオスコネクタ950に挿抜することができる。把持部143は、筒状部111より大きな外径を有する。このため、作業者は、把持部143をしっかりと把持することができ、また、チップ140に力を加えやすい。これは、オスコネクタ950の清掃作業性の向上に有利である。
把持部143は、中実である必要はなく、例えば、中空の円筒形状を有していてもよい。
本実施形態1-4は、上記を除いて実施形態1-1と同じである。実施形態1-1の説明は本実施形態1-4にも同様に適用されうる。
本実施形態1-4で説明した拡径した把持部を、他の任意の実施形態のチップの把持部に適用することができる。
[実施形態2]
本発明の実施形態2のチップは、筒状部を取り囲むカバー筒を更に備える。以下に実施形態2のチップの好適な具体例を示す。
(実施形態2-1)
図7Aは、本発明の実施形態2-1に係るチップ210の上方から見た斜視図、図7Bはその下方から見た斜視図、図7Cはその側面図、図7Dはその断面図である。
チップ210は、一端に筒状部111とカバー筒211を備え、他端に把持部213を備える。カバー筒211は、筒状部111と同軸に配された円筒形状を有している。カバー筒211は、筒状部111から半径方向に離間し、筒状部111を取り囲んでいる。把持部213は、筒状部111及びカバー筒211と同軸の中実の略円筒形状を有する。把持部213は、カバー筒211より大きな外径を有している。但し、本発明はこれに限定されず、例えば把持部213の外径は、カバー筒211の外径と同じであってもよく、これより小さくてもよい。チップ210は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料からなり、全体が一部品として一体的に製造されている。
本実施形態のチップ210の使用方法は、実施形態1-1のチップ110と同様である。即ち、図8に示すように、チップ210をオスコネクタ950に対向させる。そして、チップ210の筒状部111を、オスコネクタ950のオス部材911と外筒913との間の隙間916に挿入する。
図9Aは、チップ210の使用時を示した斜視図、図9Bはその断面図である。チップ210の筒状部111が、オスコネクタ950の隙間916内に挿入されている。オスコネクタ950の外筒913は、チップ210の筒状部111とカバー筒211との間に挿入されている。実施形態1-1の場合と同様に、筒状部111で、オスコネクタ950の隙間916内に残留する液状物を拭き取ることができる。
実施形態1-1で説明したように、オスコネクタ950の隙間916に筒状部111を素早く挿入したとき、隙間916内の液状物が、雌ネジ915のネジ溝を通って隙間916からあふれ出ることがある。図9Bに示されているように、筒状部111を隙間916に挿入したとき、外筒913はカバー筒211内に収納される。従って、隙間916からあふれ出た液状物の多くは、カバー筒211内にとどまる。カバー筒211内にとどめられた液状物は、筒状部111の外周面又はカバー筒211の内周面に付着しこれらに吸収される。隙間916からあふれ出た液状物の一部は、カバー筒211と外筒913との間を通って外界に向かって流れるかも知れない。この液状物は、カバー筒211の内周面に吸収される。これらの結果、オスコネクタ950の清掃時に、液状物が外界に漏出して患者の衣服を汚すなどの問題が生じにくい。更に、カバー筒211の内周面でオスコネクタ950の外筒913の外周面を清掃することができる。
カバー筒211の内径は、任意に設定しうる。一実施形態では、カバー筒211内にオスコネクタ950の外筒913を容易に収納することができるように、カバー筒211の内径は外筒913の外径と同じかこれよりわずかに大きく設定してもよい。別の実施形態では、隙間916からあふれ出た液状物をカバー筒211の内周面で確実に吸収することができるように、カバー筒211の内径は外筒913の外径よりわずかに小さく設定してもよい。この場合、カバー筒211を変形可能な軟質材料で構成することにより、カバー筒211内に外筒913を挿入することは可能である。更に別の実施形態では、カバー筒211の内径は外筒913の外径と同じに設定してもよい。
本実施形態では、カバー筒211の内周面は滑らかな円筒面であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、カバー筒211の内周面に、凸部又は凹部が形成されていてもよい。これにより、カバー筒211の内周面の有効面積が拡大するので、カバー筒211の液状物に対する吸収能が向上する。凸部又は凹部は、限定されないが、例えば、上下方向(筒状部111が挿抜される方向)と平行に延びたリブ状の突起及び/又は溝で構成することができる。
本実施形態では、カバー筒211は、吸水性を有する材料で構成されているが、吸水性を有しない材料で構成されていてもよい。カバー筒211が吸水性を有していなくても、隙間916からあふれ出た液状物はカバー筒211内にとどめられ、筒状部111の外周面に吸収される。
把持部213は、筒状部111より大きな外径を有するので、実施形態1-4の把持部143と同様に、チップ210の把持性の向上に有利である。実施形態1-4で説明したように、把持部213も、中実である必要はなく、例えば、中空の円筒形状を有していてもよい。
本実施形態2-1は、上記を除いて実施形態1-1と同じである。実施形態1-1の説明は本実施形態2-1にも同様に適用されうる。
本実施形態2-1で説明したカバー筒を、他の任意の実施形態のチップに適用することができる。
(実施形態2-2)
図10Aは、本発明の実施形態2-2に係るチップ220の上方から見た斜視図、図10Bはその下方から見た斜視図、図10Cはその断面図、図10Dはその下面図である。
チップ220は、実施形態2-1のチップ210と概略同じである。但し、チップ220は、筒状部111の外周面に、上下方向(筒状部111が挿抜される方向)と平行な複数の溝221が設けられている点で、チップ210と異なる。チップ220は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料からなり、全体が一部品として一体的に製造されている。
本実施形態のチップ220の使用方法は、実施形態2-1のチップ210と同様である。即ち、図11に示すように、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入して、オスコネクタ950を拭き取り清掃する。
溝221の作用を説明する。
実施形態1-1で説明したように、オスコネクタ950の隙間916に筒状部111を挿入したとき、隙間916内の液状物が、雌ネジ915のネジ溝を通って隙間916からあふれ出ることがある。しかしながら、隙間916内へ筒状部111を瞬時に挿入した場合や、隙間916内に残留している液状物の量が多い場合には、全ての液状物が雌ネジ915のネジ溝を通ることができず、筒状部111とオス部材911との間を通って上昇する液状物が相対的に多くなる。その結果、細菌を含むかも知れない液状物がオス部材911の流路917内に流入するリスクが高くなる。
本実施形態2-2では、筒状部111の外周面に溝221が設けられている。このため、図11から容易に理解できるように、筒状部111を隙間916に挿入したとき、筒状部111と外筒913との間に、液状物が流れる流路として、雌ネジ915のネジ溝に加えて溝221が確保される。従って、上記のような場合であっても、多くの液状物は、筒状部111と外筒913との間を上昇して外筒913から外界にあふれ出る。その結果、筒状部111とオス部材911との間を通って上昇する液状物はより少なくなり、液状物がオス部材911の流路917内に流入する可能性が更に低減できる。よって、溝221は、液状物とともに細菌が患者の体内に侵入するというリスクを更に低減するのに有利である。
また、溝221は、筒状部111の外周面の有効面積を拡大させる。このため、液状物が筒状部111と外筒913との間を上昇する過程で、より多くの液状物が筒状部111に吸収される。従って、外筒913からあふれ出る液状物の量が少なくなる。これは、オスコネクタ950の外筒913の外周面が液状物で汚れたり、液状物が外界に漏出して患者の衣服を汚したりする事態が生じるのを防止するのに有利である。
更に、チップ220は、カバー筒211を備える。このため、実施形態2-1と同様に、オスコネクタ950の清掃時に、液状物が外界に漏出して患者の衣服を汚すなどの問題が生じにくい。また、カバー筒211の内周面でオスコネクタ950の外筒913の外周面を清掃することができる。
本実施形態では、筒状部111の外周面に溝が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。オスコネクタ950の隙間916に筒状部111を挿入したときに隙間916内の液状物が流れる流路が筒状部111とオスコネクタ950との間に形成されるような構造(流路形成構造)が、筒状部111に設けられていればよい。流路形成構造は、制限はなく、任意の凸部又は凹部でありうる。例えば、流路形成構造は、上下方向(筒状部111が挿抜される方向)と平行な複数のリブ(突起)であってもよい。あるいは、交互に設けられた溝とリブであってもよい。溝及びリブは、上下方向と平行である必要はなく、例えば上下方向に対して傾斜していてもよい。
上述した流路形成構造が、筒状部111の外周面に加えて、または、これに代えて、筒状部111の内周面に形成されていてもよい。この場合、オスコネクタ950の隙間916に筒状部111を挿入したとき、隙間916内の液状物は、筒状部111とオス部材911との間の流路形成構造を通って上昇しうる。このため、筒状部111と外筒913との間を通って上昇する液状物の量が減少する。また、流路形成構造は、筒状部111の内周面の有効面積を拡大させるので、より多くの液状物が筒状部111に吸収される。これらの結果、筒状部111と外筒913との間を上昇して外筒913からあふれ出る液状物の量が少なくなる。筒状部111の内周面に形成される流路形成構造を構成する流路の断面積や長さ等を適切に設定することにより、当該流路形成構造を通ってオス部材911の流路917内に流入する液状物を少なくすることが可能である。
本実施形態2-2は、上記を除いて実施形態2-1と同じである。実施形態2-1の説明は本実施形態2-2にも同様に適用されうる。
本実施形態2-2で説明した流路形成構造を、他の任意の実施形態のチップに適用することができる。流路形成構造は、カバー筒を備えないチップにも適用することができる。
(実施形態2-3)
図12Aは、本発明の実施形態2-3に係るチップ230の上方から見た斜視図、図12Bはその下方から見た斜視図、図12Cはその側面図、図12Dはその断面図である。
図12Dに最もよく示されているように、チップ230は、実施形態2-1のチップ210(図7A~図7D参照)が有していた把持部213に相当する部分が実質的に存在しない。チップ230は、ドーム状に膨らんだ天板233を備え、その下面に筒状部111及びカバー筒211が設けられている。チップ230は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料からなり、全体が一部品として一体的に製造されている。
本実施形態のチップ230の使用方法は、実施形態2-1のチップ210と同様である。即ち、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入して、オスコネクタ950を拭き取り清掃する。
チップ230は、把持部210(図7A~図7D参照)を備えない。作業者は、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿抜するとき、カバー筒211の外周面を把持することができる。カバー筒211を直径方向に把持することにより、カバー筒211が直径方向にわずかに縮径するように変形する。筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入した状態でカバー筒211を把持すれば、カバー筒211の内周面はオスコネクタ950の外筒913の外周面に押し付けられる。これは、外筒913の外周面の清掃性の向上に有利である。
本実施形態から理解できるように、カバー筒211を備える場合には、把持部213(図7A~図7D参照)を省略、またはその上下方向寸法を小さくしても、オスコネクタ950の清掃作業に実質的な支障は生じない。むしろ、チップを小型化することが可能である。
本実施形態2-3のチップ230に、実施形態2-2で説明した、筒状部111とオスコネクタ950との間に液状物が流れる流路が形成されるように筒状部111の外周面又は内周面に流路形成構造(例えば凸部又は凹部)を設けてもよい。
本実施形態2-3は、上記を除いて実施形態2-1と同じである。実施形態2-1の説明は本実施形態2-3にも同様に適用されうる。
[実施形態3]
本発明の実施形態3のチップは、筒状部の外周面に、オスコネクタ950の雌ネジ915と螺合する螺合構造が設けられている。以下に実施形態3のチップの好適な具体例を示す。
(実施形態3-1)
図13Aは、本発明の実施形態3-1に係るチップ310の上方から見た斜視図、図13Bはその下方から見た斜視図、図13Cはその側面図、図13Dはその断面図である。
チップ310は、一端に筒状部111を備え、他端に把持部313を備える。
筒状部111の外周面には、雄ネジ(螺合構造)312が設けられている。雄ネジ312は、筒状部111の外周面を1回以上周回する螺旋状の突起である。雄ネジ312は、オスコネクタ950の雌ネジ915と螺合可能である。
把持部313は中空の円筒形状を有し、その外径は雄ネジ312のネジ山径と略同じである。但し、把持部313の形状はこれに限定されない。例えば、把持部313の外径は、雄ネジ312のネジ山径より大きくても小さくてもよい。把持部313が、雄ネジ312のネジ山径より小さな外径を有することは、チップ310の全体を一部品として一体的に製造する場合に金型抜け性の向上に有利となりうる。実施形態1-2の把持部123と同様に、把持部313内に封止部が挿入されていてもよく、実施形態1-3の把持部133や実施形態1-4の把持部143のように、把持部313が中実の略円筒形状を有していてもよい。
チップ310は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料からなり、全体が一部品として一体的に製造されている。
本実施形態のチップ310の使用方法は、実施形態1-1のチップ110と同様である。即ち、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入して、オスコネクタ950を拭き取り清掃する。
但し、実施形態1-1と異なり、本実施形態3-1では、筒状部111を隙間916に挿入するためには、雄ネジ312をオスコネクタ950の雌ネジ915に螺合させなければならない。即ち、図14に示すように、チップ310をオスコネクタ950に対向させ、オスコネクタ950に対してチップ310を回転させながら、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916内に螺入する。
図15Aは、筒状部111がオスコネクタ950の隙間916に最も深く螺入した状態を示す斜視図、図15Bはその断面図である。チップ310の筒状部111が、オスコネクタ950のオス部材911と外筒913との間の隙間916内に挿入されている。筒状部111の雄ネジ312と外筒913の雌ネジ915とが螺合している。チップ310をオスコネクタ950から分離するときには、上記とは逆方向にチップ310をオスコネクタ950に対して回転させて、雄ネジ312と雌ネジ915との螺合を解除する必要がある。
筒状部111及び雄ネジ312は吸水性を有するので、筒状部111をオスコネクタ950に挿抜することによって隙間916内に残留した液状物を筒状部111及び雄ネジ312で拭き取ることができる。
雄ネジ312の効果を説明する。
第1に、オスコネクタ950の雌ネジ915の清掃性が向上する。筒状部111をオスコネクタ950に挿抜する際には、雄ネジ312のネジ山が雌ネジ915のネジ溝に嵌入しながら摺動する。このため雌ネジ915のネジ溝内に残留する液状物は雄ネジ312のネジ山に接触しやすい。従って、雌ネジ915の谷の底に付着した液状物をも確実に拭き取ることができる。
第2に、オスコネクタ950の清掃時に外筒913からあふれ出る液状物を減少させる。筒状部111に雄ネジ312が設けられていない場合、実施形態1-1で説明したように筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入したとき、隙間916内の液状物が雌ネジ915のネジ溝を通って筒状部111と外筒913との間を上昇して外筒913から外界にあふれ出る事態が起こりうる。これに対して、本実施形態3-1では、液状物が流れる流路となる雌ネジ915のネジ溝を、雄ネジ312のネジ山が嵌入することによって塞ぐ。このため、液状物は行き場を失い、筒状部111に吸収される液状物の量が増大する。この結果、外筒913からあふれ出る液状物が減少する。また、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入するためには、チップ310をオスコネクタ950に対して回転させる必要がある。このため、雄ネジ312が設けられていない筒状部111を隙間916に挿入する実施形態1,2に比べて、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入するためにより長い時間を要する。従って、筒状部111に吸収される液状物の量が増大する。この結果、外筒913からあふれ出る液状物が減少する。
本実施形態3-1は、上記を除いて実施形態1-1と同じである。実施形態1-1の説明は本実施形態3-1にも同様に適用されうる。
本実施形態3-1で説明した雄ネジ(螺合構造)を、他の任意の実施形態のチップの筒状部に適用することができる。
(実施形態3-2)
図16Aは、本発明の実施形態3-2に係るチップ320の上方から見た斜視図、図16Bはその下方から見た斜視図、図16Cはその側面図、図16Dはその断面図、図16Eはその下面図である。
本実施形態3-2は、以下の点で実施形態3-1と異なる。第1に、筒状部111の外周面に設けられた螺合構造が、実施形態3-1では筒状部111を周方向に1回以上周回する螺旋状の雄ネジ312であったのに対して、本実施形態3-2では、中心軸320aに対して180度未満の角度の範囲内で延びた2つの螺状突起(螺合構造)322である。第2に、把持部323は、実施形態1-3の把持部133と同様に、中実の略円筒形状を有する。但し、把持部323の外周面の一部が切り取られ、把持部323上に中心軸320aと略平行な2つの平面(把持面)324が形成されている。2つの把持面324は互いに平行である。把持面324と、これより筒状部111側の円筒面との間に、両者の外寸法差に起因して、チップ320の長手方向に対して略垂直な段差面325が形成されている。なお、段差面325は本実施形態に限定されず、例えば、筒状部111に近づくにしたがって中心軸320aから離れるように傾斜していてもよい。段差面325は、正確な平面である必要はなく、例えば円筒面状の凹曲面又は凸曲面であってもよい。
チップ320は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料からなり、全体が一部品として一体的に製造されている。
本実施形態のチップ320の使用方法は、実施形態3-1のチップ310と同様である。即ち、筒状部111をオスコネクタ950の隙間916に挿入して、オスコネクタ950を拭き取り清掃する。
実施形態3-1の雄ネジ312と同様に、螺状突起322はオスコネクタ950の雌ネジ915と螺合する。このため、螺状突起322は、実施形態3-1の雄ネジ312と同様の効果を奏する。
但し、本実施形態の螺状突起322は筒状部111を周回しておらず、その長さは、実施形態3-1の雄ネジ312より短い。このため、雌ネジ915に対する摺動抵抗は、実施形態3-1の雄ネジ312より、本実施形態3-2の螺状突起322の方が小さい。従って、実施形態3-1に比べて、より小さな回転力をチップ320に加えるだけで、筒状部111をオスコネクタ950に対して挿抜することができる。このように、本実施形態の螺状突起322は、オスコネクタ950の清掃を行うときの作業者の負担を軽減するのに有利である。
また、把持部323上に平坦な把持面324が設けられているので、作業者は、この把持面324を摘まんでチップ320に回転力を加えやすい。更に、作業者は、筒状部111をオスコネクタ950に挿入するときに、把持面324に隣接する段差面325にオスコネクタ950に向かう力を加えやすい。このため、把持面324及び段差面325も、オスコネクタ950の清掃を行うときの作業者の負担を軽減するのに有利である。また、作業者は自然と把持面324でチップ320を把持し、しかも、把持面324を把持した指が筒状部111側に移動するのを段差面325が阻止するので、把持面324及び段差面325は、作業者の指が触れることによって筒状部111の清潔性が低下するのを防止するのに有利である。
把持部323上に設けられる把持面324の数は2つである必要はなく、1つ又は3つ以上であってもよい。把持面324を3つ以上設ける場合には、把持面324が正多角柱面を形成するようにチップの中心軸に対して等角度間隔で配置することが好ましい。
把持面324は、本実施形態のような把持部323の円筒面の一部を取り除くことにより形成された平面に限定されない。例えば、把持面が、把持部323の円筒面に接する平面で構成されてもよい。この場合、把持面に隣接する段差面325は形成されない。
把持部323の外径は、筒状部111の外径と同じである必要はなく、これより大きくても、小さくてもよい。
本実施形態3-2は、上記を除いて実施形態3-1と同じである。実施形態3-1の説明は本実施形態3-2にも同様に適用されうる。
本実施形態3-2で説明した螺状突起(螺合構造)、把持面、及び段差面のうちの少なくとも一つを、他の任意の実施形態のチップに適用することができる。
(実施形態3-3)
図17Aは、本発明の実施形態3-3に係るチップ330の上方から見た斜視図、図17Bはその下方から見た斜視図、図17Cはその側面図、図17Dはその断面図、図17Eはその下面図である。
本実施形態3-3は、筒状部111の外周面に設けられた螺合構造が、中心軸330aに対して90度未満の角度の範囲内で延びた4つの螺状突起(螺合構造)332である点で、中心軸に対して90度以上180度未満の角度の範囲内で延びた2つの螺状突起322である実施形態3-2と異なる。チップ330は、実施形態1-1で説明した吸水性を有する材料からなり、全体が一部品として一体的に製造されている。
本実施形態のチップ330の使用方法は、実施形態3-2のチップ320と同様である。本実施形態の螺状突起332は筒状部111を周回しておらず、その長さは、実施形態3-1の雄ネジ312より短い。このため、雌ネジ915に対する摺動抵抗は、実施形態3-1の雄ネジ312より、本実施形態3-3の螺状突起332の方が小さい。従って、実施形態3-2と同様に、オスコネクタ950の清掃を行うときの作業者の負担を軽減することができる。
筒状部111に、実施形態3-2では2つの螺状突起322が設けられ、本実施形態3-3では4つの螺状突起332が設けられているが、螺状突起の数はこれらに限定されず任意である。好ましくは、2以上の螺状突起が、チップの中心軸に対して等角度間隔で設けられる。1つの螺状突起がチップの中心軸に対して延びる角度も任意に設定しうる。螺状突起の前記角度の上限は、制限はないが、180度未満、更には120度未満、特に90度未満であることが好ましい。螺状突起の前記角度の下限は、制限はないが、10度以上、更には30度以上、特に45度以上であることが好ましい。一般に、螺状突起の前記角度が小さくなると、螺状突起が吸収する液状物の量は低下する。
筒状部111の外周面に設けられる螺合構造は、オスコネクタ950の雌ネジ915と螺合することができれば、実施形態3-1の雄ネジ312や、実施形態3-2,3-3の螺旋に沿って延びた螺状突起322,332に限定されない。例えば、筒状部111の外周面からドーム状に突出した単なる突起であってもよい。この場合、突起の数は任意であるが、好ましくは2以上の突起が、チップの中心軸に対して等角度間隔で設けられる。
本実施形態3-3は、上記を除いて実施形態3-2と同じである。実施形態3-2の説明は本実施形態3-3にも同様に適用されうる。
本実施形態3-3で説明した螺状突起又は突起(螺合構造)を、他の任意の実施形態のチップの筒状部に適用することができる。
上記の実施形態1~3は、例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
上記の実施形態では、筒状部以外のチップの部分も吸水性を有する材料で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、オスコネクタ950の隙間916に挿入される筒状部のみが吸水性を有する材料で構成され、それ以外のチップの部分は任意の材料(例えば、吸水性を有しない材料、高強度の材料等)で構成されていてもよい。
筒状部111の外径及び内径は、オスコネクタ960の隙間916に挿入できる限りにおいて任意に設定し得る。例えば、筒状部111の外径が雌ネジ915の内径より小さくてもよく、また、筒状部111の内径がオス部材911の外周面912の最大外径より大きくてもよい。筒状部111を隙間916に挿入したとき、筒状部111と雌ネジ915との間、及び/又は、筒状部111とオス部材911との間に、半径方向に隙間があっても、筒状部111をオスコネクタ950に対して偏芯させるなどすれば、外筒913の内周面及びオス部材911の外周面に付着した液状物を筒状部111で容易に拭き取ることができる。
上記の実施形態では、筒状部の内周面は円筒面であったが、筒状部内に挿入されるオス部材911の外周面(オステーパ面)912に嵌合するようなメステーパ面(例えば、メスコネクタ920のメステーパ面922と同じメステーパ面)であってもよい。
上記の実施形態では、筒状部は中空の円筒形状を有していたが、当該円筒形状に、スリット(狭幅の切り込み)や孔が形成されていてもよい。スリットや孔は、筒状部の有効面積が拡大することによる吸水性の向上、隙間916内の液状物が外筒913外へ流れる流路の確保、または、液状物及びこれに含まれる固形物の拭き取り効果の向上、などに有利となり得る。スリットは、例えば、筒状部の先端(下端)から上方に向かって所定長さで形成することができる。孔は、筒状部を貫通する貫通孔、及び、筒状部を貫通しない非貫通孔(即ち、単なる凹部)のいずれであってもよい。孔は、半径方向に沿って、または、チップの長手方向に沿って、または、チップの中心軸に対して螺旋状に、筒状部内で延びていてもよい。例えば、チップの長手方向に沿った孔が、筒状部の先端から把持部にまで延びていてもよく、更には、チップを貫通していてもよい。孔の形状は、円形、楕円形、スロット状など任意である。
筒状部111が設けられた把持部の構成は、上記の実施形態に限定されず、任意である。把持部の外周面の形状は、円筒面に限定されず、例えば任意の多角柱面(三角柱面、四角柱面、六角柱面、八角柱面など)であってもよい。把持部の外周面に、平面又は凹面(凹部を含む)が設けられていてもよく、ドーム状(半球状)又はリブ状等の突起や、凸部と凹部とからなる凹凸が設けられていてもよい。把持部の材料、硬度、外寸法、チップの長手方向に沿った長さなども、任意である。把持部が、筒状部111とは異なる材料で構成されてもよい。
筒状部111の清潔性を保つため、作業者が筒状部111に不必要に触れることがないような構成がチップに設けられていてもよい。この構成としては、制限はないが、例えば、把持部と筒状部111との境界に沿って線を付けたり、把持部を筒状部111とは異なる色に着色したりする等の、視覚を通じて作業者に把持部を認識させるものであってもよく、あるいは、把持部と筒状部111との間に半径方向に突出した凸部(例えば周方向に連続した環状の突起)又は凹部(例えば周方向に連続した環状の溝)を設けたり、把持部と筒状部111との間に段差が形成されるように把持部の外寸法を筒状部111より小さくしたり、把持部に把持面324(図16A参照)や凹凸形状を設けたりする等の、作業者の指が筒状部111に触れにくくするような構造若しくは触覚を通じて作業者に把持部を認識させるような構造であってもよい。
上記の実施形態では、清掃の対象であるオスコネクタが、患者に挿入されたカテーテルの上流側端に設けられていた。但し、オスコネクタはこれに限定されず、例えば当該カテーテルと容器に接続されたチューブとを繋ぐチューブ(延長チューブ)の上流側端に設けられたオスコネクタであってもよい。
本発明のチップは、オスコネクタを清掃するたびに捨てられる使い捨てタイプであってもよいし、オスコネクタを清掃した後、水などで洗浄し乾燥させることでオスコネクタの清掃に繰り返し使用される繰り返し使用タイプであってもよい。