JP7069619B2 - 化粧材、及び該化粧材のための型 - Google Patents
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Description
しかしながら近年においては、さらなる意匠表現の多様化の要望があり、これらの要望に対して新たな質感を与えるような表現を提供する必要がある。
また、上記化粧材用成形型によれば、このような特有の構造を容易に形成することが可能となる。
図1からわかるように化粧材10は、正六角形の領域である単位領域13が平面視で2次元的にxy方向に配列されている。わかりやすさのため、図1には1つの単位領域13について太線で縁取りをして表した。
尚、此処で言う単位領域とは、繰り返し単位、即ち、平面(xy平面)内に於いて、並進対称性を有する方向(3対の対辺と直交する方向)に隣接して繰り返し配列することにより平面を隙間無く被覆することが可能な単位となる領域を意味する。
本形態の化粧材10では繰り返し単位としての単位領域13が配列され、この単位領域13の中に、それぞれの凹凸模様を具備する個別領域14~個別領域23が形成される例である。ただし本発明は、このような繰り返し単位としての単位領域がなく、全体に個別領域が複数形成されたものであってもよい。そして本形態では2種類の領域が存在するため、わかり易さのために「単位領域」及び「個別領域」と呼んで区別するが、これらを総称して「領域」として表現することもできる。
図3(a)~図3(c)からわかるように、化粧材10は、基材11及び該基材11の一方の面に積層された凹凸層12を有して構成されている。この凹凸層12が上記単位領域13及び個別領域14~個別領域23の形状を形成している。
この凸線条部14aは図3(a)に表れる断面において高さH14a、幅W14aの長方形とされている。凸線条部14aはこの断面を有して、その稜線が配列方向とは異なる方向(例えば配列方向に直交する方向)に延びるように構成されている。凸線条部14aが延びる長さは個別領域14の輪郭形状により決まる。
同様に凹線条部14bは図3(a)に表れる断面において深さD14b、及び幅W14bの長方形とされている。凹線条部14bはこの断面を有して配列方向とは異なる方向(例えば配列方向に直交する方向、凸線条部14aに平行)に延びるように構成されている。凹線条部14bが延びる長さは個別領域14の輪郭形状により決まる。
従って凸線条部14a及び凹線条部14bのピッチP14はW14aとW14bとの和により得ることができる。
ここで凸線条部の幅はその高さ方向中央における幅を凸線条部の幅とする。同様に凹線条部の幅はその深さ方向中央における幅を凹線条部の幅とする。
凸線条部15aは図3(b)に表れる断面において高さH15a、及び幅W15aの長方形とされている。凸線条部15aはこの断面を有してその稜線が配列方向とは異なる方向(例えば配列方向に直交する方向)で、かつ、個別領域14の凸線条部14aが延びる方向とは異なる方向に延びるように構成されている。凸線条部15aが延びる長さは個別領域15の輪郭形状により決まる。
凹線条部15bは図3(b)に表れる断面において深さD15b、及び幅W15bの長方形とされている。凹線条部15bはこの断面を有して配列方向とは異なる方向(例えば配列方向に直交する方向、凸線条部15aに平行)に延びるように構成されている。凹線条部15bが延びる長さは個別領域15の輪郭形状により決まる。
従って凸線状部15a及び凹線条部15bのピッチP15はW15aとW15bとの和により得ることができる。
凸線条部16aは図3(c)に表れる断面において高さH16a、及び幅W16aの長方形とされている。凸線条部16aはこの断面を有してその稜線が配列方向とは異なる方向(例えば配列方向に直交する方向)で、かつ、個別領域14の凸線条部14aが延びる方向とは異なる方向に延びるように構成されている。凸線条部16aが延びる長さは個別領域16の輪郭形状により決まる。
凹線条部16bは図3(c)に表れる断面において深さD16b、及び幅W16bの長方形とされている。凹線条部16bはこの断面を有して配列方向とは異なる方向(例えば配列方向に直交する方向、凸線条部16aに平行)に延びるように構成されている。凹線条部16bが延びる長さは個別領域16の輪郭形状により決まる。
従って凸線状部16a及び凹線条部16bのピッチP16はW16aとW16bとの和により得ることができる。
これらにより、凹凸層12でこれまでとは異なる特有の質感を表現することができる。
ここで、このように凸線条部における高さを領域間で異なるものとする際には、次のようにしてもよい。すなわち、凸線条部の幅をWa、凹線条部の幅をWbとしてWa/Wbをデューティー比としたとき、凸線条部の高さHによらずデューティー比Wa/Wbが同じ、又は、凸線条部の高さHが高いものほどデューティー比Wa/Wbが小さくなるように構成することができる。これにより従来に対してさらに異なる質感の表現をすることができる。
以下に説明する製造方法には、原稿画像を作製する工程、版下画像を作製する工程、版を作製する工程、及び凹凸層を形成する工程を含んでいる。
これで、デジタルデータとして原稿画像が得られる。
該凹凸模樣は、閉領域からなる各個別領域14~23、14~23、14~23、…が相互に隣接して連結することで平面を区画して被覆した個別領域の集合体を有する。
ここで、このような凹凸模様は、図1に対応する図4に示したように(見易さのため一部を太線であらわしている。)、各領域の輪郭形状のみからなり万線状の凸線条部及び凹線条部を具備しない画像である網状領域12’に対して、各個別領域に相当する領域内14~23、14~23、…内に万線状の凸線条部14a、15a、16a・・・及び凹線条部14b、15b、16b、…を交互に配列してなるものと考える。
そして具体的には凹凸模様の製造工程は以下の手順(1)~(5)からなる。
以下の画像作成工程(1)-1~(1)-3を、アドビシステムズ社製のグラフィックデザイン描画ソフトウエア「Illustrator」を用い、TIFF形式で8bitの画像濃淡階調(256階調)で2540dpiの解像度の画像データ(網状領域、万線、及び両者の合成画像)を作成した。
先ず、図1の凹凸模様の平面視画像から、万線画像を除いた図4に示した画像に相当する網状領域12’の画像を作成した。
描画ソフトウエア「Illustrator」を用い、各個別領域14、15、…、22、23に嵌め込むべき万線状の凸線条部及び凹線条部14a及び14b、15a及び15b、…、22a及び22b、23a及び23bの形状(以下、万線形状ともいう。)に対応するデジタルの濃淡画像データを以下の諸元で作成した。表1に例を示す。
尚、該濃淡画像は、後述の金属ロール表面の一座標毎に画像濃度を対応させたものである。
描画ソフトウエア「Illustrator」を用い、以上で得られた網状領域内の各個別領域内に以上で得られた各個別領域用の万線形状を嵌め込み、図1の凹凸模様に対応する濃淡画像データを得た。この濃淡画像データを凹凸模様画像データともいう。
上記工程(1)と並行して、図5に示したようなエンボス版彫刻用の金属ロール30を準備した。金属ロール30は、軸方向両端部に回転駆動軸(shaft)31を有する中空の鉄製の円筒の表面に銅層をメッキ形成したものである。砥石で金属ロール30の表面を研磨して粗面化し、彫刻用レーザ光の鏡面反射による彫刻効率の低下を防止する処理をした。
図5に模式的に示したように、レーザ光直接彫刻機を用い、工程(2)で用意した金属ロール30の表面を工程(1)で作成した凹凸模様画像データに基づき彫刻する。これによりその表面に図1のような化粧材表面の凹凸模様と同一平面視形状で且つ逆凹凸(化粧材の凸に対応する部分がエンボス版面上では凹となる関係)の凹凸形状を形成した。
従ってエンボス版における凹凸模様が備えるべき形状は、上記した化粧材における凹凸模様の凹凸関係が反転した態様であり、反転した形態を考慮して、同様に考えることができる。
その際に、例えば、凹凸模様画像データ上で版深50μmに対応する画像濃度の位置座標においては、合計10回の走査のうち、最初の5回分のみレーザ光を照射(ON)し、残り5回分についてはレーザ光は非照射(OFF)となるよう制御する。
かかるレーザ光の走査を完了させ、金属ロール30の表面に所望の凹凸形状を形成した。
彫刻液を洗浄した後、電解研磨を行い、金属ロール30の表面に付着した金属の残渣を除去した。
工程(4)の後、該金属ロール表面にメッキにより厚さ10μmのクロム層を形成した。
基材としてポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを用いる。この基材を加熱軟化させ、その表面にエンボス版を押圧して該樹脂シート表面にエンボス版表面の凹凸模樣を賦形する。そして樹脂シートを冷却して固化させて樹脂シート上の凹凸模様を固定する。その後に凹凸模様が賦形された樹脂シートをエンボス版から離型する。
ここで、各種エンボス加工法について、さらに説明すると例えば次の(A)~(E)のような方法がある。
(B)エンボス版を押圧する時の熱圧で表面シートとなる樹脂シート(基材)とベースシートとする樹脂シート(第2の基材)とを熱融着することにより、エンボス加工とラミネートとを同時に行うダブリングエンボス法によりエンボス加工する。
(C)表面シートとする樹脂シート(基材)を、Tダイから溶融押出しをし、冷却ローラを兼ねるシリンダ状のエンボス版上に接触させて表面シートの成膜と同時にエンボス加工する。このとき、さらに表面シートの裏面側に挿入したベースシートとする樹脂シート(第2の基材)を熱融着させてダブリングエンボスを成膜と同時に行う。
(D)特開昭57-87318号公報、特開平7-32476号公報等に開示の如く、シリンダ状のエンボス版の表面に電離放射線硬化性樹脂の未硬化液状物を塗工する。さらにその上に、樹脂シート等からなるベースシートを重ねた状態で電離放射線を照射して未硬化液状物を硬化させて硬化物とする。その際、ベースシートと接着させた後、エンボス版から離型して、ベースシートと該ベースシート上の硬化物とからなる基材とすることで、基材にエンボス加工する。
(E)チタン紙等の紙にメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の未硬化物を含浸した含浸紙を、コア紙、木材合板上に載置して、これら基材から熱プレス成形にて熱硬化性樹脂化粧材を作製する。そのとき、含浸紙表面側にエンボス版を挿入することによって、熱硬化性樹脂を含浸硬化させて化粧材とする際にその表面に熱プレスと同時にエンボス加工する。
11 基材
12 凹凸層
13 単位領域(領域)
14~23 個別領域(領域)
14a、15a、16a 凸線条部
14b、15b、16b 凹線条部
Claims (8)
- 表面に凹凸模様が形成されてなる化粧材であって、
前記凹凸模様は、万線状の凸線条部及び凹線条部が交互に配列した形態であり、
前記凸線条部の高さ、幅、及び延びる向きの少なくとも1つが異なる領域が複数具備され、
前記凸線条部の前記高さが異なる複数の領域が含まれ、
前記凸線条部の幅をW a 、前記凹線条部の幅をW b としてW a /W b をデューティー比としたとき、前記凸線条部の高さHによらず前記デューティー比が一定である関係を有する複数の前記領域が含まれる、
化粧材。 - 表面に凹凸模様が形成されてなる化粧材であって、
前記凹凸模様は、万線状の凸線条部及び凹線条部が交互に配列した形態であり、
前記凸線条部の高さ、幅、及び延びる向きの少なくとも1つが異なる領域が複数具備され、
前記凸線条部の前記高さが異なる複数の領域が含まれ、
前記凸線条部の幅をWa、前記凹線条部の幅をWbとしてWa/Wbをデューティー比としたとき、前記凸線条部の高さHが高いほど前記デューティー比が小さくなる関係を有する複数の前記領域が含まれる、
化粧材。 - 前記凸線条部の幅が30μm未満である、請求項1又は2に記載の化粧材。
- 前記凸線条部の幅をWa、前記凸線条部の高さをHとしたとき、H/Waが1より大きい、請求項1乃至3のいずれかに記載の化粧材。
- 表面に凹凸模様が形成されてなる化粧材の前記凹凸模様を形成する型であって、
前記型の表面には、前記化粧材の前記凹凸模様に対応する形状の凹凸模様が形成されており、
前記型に形成された前記凹凸模様は、万線状の凸線条部及び凹線条部が交互に配列した形態であり、
前記凹線条部の深さ、幅、及び延びる向きの少なくとも1つが異なる領域が複数具備され、
前記凹線条部の前記深さが異なる複数の領域が含まれ、
前記型における前記凹線条部の幅をW a 、前記凸線条部の幅をW b としてW a /W b をデューティー比としたとき、前記凹線条部の深さHによらず前記デューティー比が一定である関係を有する複数の前記領域が含まれる、
化粧材用成形型。 - 表面に凹凸模様が形成されてなる化粧材の前記凹凸模様を形成する型であって、
前記型の表面には、前記化粧材の前記凹凸模様に対応する形状の凹凸模様が形成されており、
前記型に形成された前記凹凸模様は、万線状の凸線条部及び凹線条部が交互に配列した形態であり、
前記凹線条部の深さ、幅、及び延びる向きの少なくとも1つが異なる領域が複数具備され、
前記凹線条部の前記深さが異なる複数の領域が含まれ、
前記型の前記凹線条部の幅をWa、前記凸線条部の幅をWbとしてWa/Wbをデューティー比としたとき、前記凹線条部の深さHが深いほど前記デューティー比が小さくなる関係を有する複数の前記領域が含まれる、
化粧材用成形型。 - 前記型の前記凹線条部の幅が30μm未満である、請求項5又は6に記載の化粧材用成形型。
- 前記型の前記凹線条部の幅をWa、前記凹線条部の深さをHとしたとき、H/Waが1より大きい、請求項5乃至7のいずれかに記載の化粧材用成形型。
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