JP2021055530A - 化粧材 - Google Patents

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泰宏 秋田
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Abstract

【課題】溝にインキが充填されてなる化粧材において従来とは異なる外観や触感を感じさせることができる化粧材を提供する。【解決手段】溝が延びる方向に対して直交する方向の断面において、溝の一端から溝の最深部に延びる第一傾斜部、及び、溝の他端から溝の最深部に延びる第二傾斜部を有し、溝の一端と溝の他端とを結ぶ線分と、溝の一端と溝の最深部とを結ぶ線分とがなす角をθ1、とし、溝の一端と溝の他端とを結ぶ線分と、溝の他端と溝の最深部とを結ぶ線分とがなす角をθ2、としたとき、θ1がθ2よりも大きい溝を含む。【選択図】図4

Description

本開示は化粧材に関する。
家具、建材、壁面等の表面装飾材として化粧材が広く用いられている。その中で、表面に設けられた凹部(溝)にインキを充填させること(これを「ワイピング」(WIPING)と呼称する。)で所定の質感を表出する化粧材がある。
例えば特許文献1には、エンボス凹部にインキが充填されてなる化粧材において、第一の凹部領域における溝(万線溝)が延びる方向と第二の領域における溝(万線溝)が延びる方向を変え、インキ充填の際のワイピング方向を当該溝が延びる方向に対して任意の角度で行うことが開示されている。これにより、第一の凹部領域と第二凹部領域とでインキの充填量を変えたり、溝が延びる方向において曲線部を有している場合には当該延びる方向の部位によってインキの充填量を変えたりして特有の外観を表現している。
特開平5−131800号公報
本開示は、溝にインキが充填されてなる化粧材において、従来とは異なる外観や触感を感じさせることができる化粧材を提供することを課題とする。
本開示の一つの態様は、溝、及び、該溝内に配置されたインキ部を備える化粧材であって、溝が延びる方向に対して直交する方向の断面において、溝の一端から溝の最深部に延びる第一傾斜部、及び、溝の他端から溝の最深部に延びる第二傾斜部を有し、溝の一端と溝の他端とを結ぶ線分と、溝の一端と溝の最深部とを結ぶ線分とがなす角をθ、とし、溝の一端と溝の他端とを結ぶ線分と、溝の他端と溝の最深部とを結ぶ線分とがなす角をθ、としたとき、θがθよりも大きい溝を含む、化粧材である。
インキ部表面は、上記断面において、該溝の開口している方向に対して凹状に窪んでおり、第一傾斜部におけるインキ部平均厚さが第二傾斜部におけるインキ部平均厚さよりも大きくなるように構成してもよい。
インキ部は、上記断面において、第一傾斜部及び第二傾斜部の少なくとも一方の一部を覆うことなく配置されてもよい。
第一傾斜部及び第二傾斜部の少なくとも一方は、断面において階段状としてもよい。
インキ部は、階段状のうち出隅部の少なくとも1つを覆うことなく配置されてもよい。
溝は平面視において非直線状に延びてもよいし、蛇行してのびてもよい。
本開示の化粧材によれば、溝にインキが充填されてなる化粧材において従来とは異なる外観や触感を感じさせることができる。
図1は、化粧材10の表面の一部を拡大して表した平面図であり、化粧材10の実物の微細なパターン表面を含む写真を掲載するものである。 図2は、模様形成層12の形態を説明するために模式的に表した化粧材10の一部を拡大した斜視図である。 図3は、図2の断面図である。 図4は、溝13の形態を説明する断面図である。 図5は、溝13の他の形態を説明する断面図である。 図6は、溝13の他の形態を説明する断面図である。 図7は、溝13の他の形態を説明する断面図である。 図8は、溝13の他の形態を説明する断面図である。 図9は、溝13の他の形態を説明する断面図である。 図10は、溝13の他の形態を説明する断面図である。 図11は、インキ部14の他の形態を説明する断面図である。 図12は、インキ部14の他の形態を説明する断面図である。 図13は、インキ部14の他の形態を説明する断面図である。 図14は、他の層構成による例を説明する図である。 図15は、他の層構成による例を説明する図である。 図16は、他の層構成による例を説明する図である。 図17は、レーザにより型に凹凸を形成する場面を説明する図である。 図18は、ドクターブレードによるインキの掻きについて説明する図である。
以下、図面を参照しつつ各形態について説明する。本発明はこれら形態に限定されるものではない。なお、実写である図1を除き、以下に示す図面では分かりやすさのため部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さのために説明上不要な部分の図示や繰り返しとなる符号は省略することがある。
図1は1つの形態にかかる化粧材10の一部を拡大し、模様形成層12側から平面視した図(平面図)である。図1及び以降に示す図には必要に応じて便宜のため、方向を表す矢印(x、y、z)、即ち座標系も併せて表記した。ここでxy方向は化粧材10における面内方向、z方向は厚さ方向である。従って図1は化粧材10を模様形成層12側の特にz方向から見た(平面視した)図ということになる。
図1からわかるように、本形態では全体として表面に、杉材板の表面を焼いて適度に炭化させたいわゆる「焼杉」(burned cedar)調の、表面に存在する亀裂状の凹部の外観を与えるように模様形成層12が構成されている。
ただし、本開示において表現すべき態様は焼杉調であることに限らず、杉以外の木材の板表面を焼いて炭化させた焼木板調、目地を有するタイル貼や煉瓦積調、繊維状の凹部を多数有する布目調、皺状の凹部を多数有する皮シボ調等も対象とすることができる。これらの化粧材の態様において、本発明特定のインキ部14を内部に配置した溝13により特定方向に所定長さで延びた凹部を表現する。
例えば、焼杉調の態様の場合は、前記の特定断面内の特定角度θ及びθ、並びに特定のインキ部14を内部に配置した溝13により、溝内において、溝が延びる方向と直交する方向にインキの濃度勾配(あるいは濃度分布)を生じ、これによって亀裂や段差による陰影、更には立体感を再現でき、これによって焼杉等の表面炭化木板表面の亀裂や段差の外観を良好に再現する。その際、溝13の延びる方向(図2においてはY方向)は、印刷層16cの絵柄模様の年輪模様(板目、柾目等)や導管溝木目の延びる方向(樹木の高さ方向)と交差する方向、好ましくは直交する方向に配置する。
タイル貼や煉瓦積調の態様の場合は、前記の特定断面内の特定角度θ及びθ、及び、特定のインキ部14を内部に配置した溝13により、溝内において、溝が延びる方向と直交する方向にインキの濃度勾配(或いは濃度分布)を生じ、これによってタイル貼や煉瓦積の目地部の段差や凹部による陰影、更には立体感を再現でき、これによって目地溝の外観を再現する。
布目調の態様の場合は、前記の特定断面内の特定角度θ及びθ、及び、特定のインキ部14を内部に配置した溝13により、溝内において、溝が延びる方向と直交する方向にインキの濃度勾配(あるいは濃度分布)を生じ、これによって繊維束が絡み合った節、縺(モツ)れ、又は瘤状の凹凸部(これを「ネップ」(nep)とも呼称する)の段差や凹部による陰影、更には立体感を再現でき、これによって繊維集合体の構造(テクスチュア:texture)中の溝状凹部の外観を再現する。
皮シボ調の態様の場合は、前記の特定断面内の特定角度θ及びθ、及び、特定のインキ部14を内部に配置した溝13により、溝内において、溝が延びる方向と直交する方向にインキの濃度勾配(あるいは濃度分布)を生じ、これによって皮革の皺状凹凸部の段差や凹部による陰影、更には立体感を再現でき、これによって皮革表面の皺状凹部の外観を再現する。
図2は、模様形成層12の形態を説明するために模式的に表した、化粧材10の一部を拡大した斜視図である。また、図3には、図2のx方向に平行なIII−IIIに沿った厚さ方向断面図を表した。
図1から図3よりわかるように、本形態で化粧材10は、基材11及び該基材11の一方の面11FS(図2における上側の面であり、座標系で言うとz軸方向+側の面)に具備された模様形成層12を有している。従って本形態では基材11の一方の面が模様形成層12として機能するように構成されている。換言すれば、本形態においては、基材11自体が模様形成層12を兼ねた単層構成となっている。なお、図14に図示した後述の形態のように、基材11と模様形成層12とを別個の独立層とし、両層を積層した2層構成とした形態とする事も可能である。
以下、各構成についてさらに詳しく説明する。
基材11は、模様形成層12を保持するとともに化粧材10に強度を付与し、化粧材10の形状を保持する機能を有するシート状の部材である。基材11の形態としてはフィルム、シート、或いは板の何れでも良い。一般的には、厚さが比較的薄いものから、順次、フィルム、シート、板と呼称されるが、本形態においては、これら基材の厚み形態による差異は本質的な事項では無く重要な事項でも無い。そのため、本明細書中においてはフィルム、シート、及び板の何れかの用語は適宜他の用語に読み換えても本発明の本質も特許請求の範囲の解釈も不変である。
基材11は従来公知の化粧材と同様の機能を有するものであればよいので、その材料は特に限定されない。例えば、基材の材料としては、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、各種のポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいは、ラジカル重合型のアクリレート系やカチオン重合型のエポキシ系等の単量体やプレポリマーで電離放射線(紫外線、電子線等)で硬化する電離放射線硬化性樹脂等が用いられる。なお、基材の材料が樹脂の場合、公知の着色剤で着色しても良い。この他、紙、不織布、金属、木、陶磁器、硝子、セメント、石材等もシート、板、立体物等の形状で、適宜上記樹脂材料と積層させて、使用することもできる。
なお、紙以下に列挙した材料からなる基材の場合、樹脂の基材に比べて溝の形成が難しく、溝形状や加工条件等に制約が有る場合が多い。そのため、これら材料の基材については、その溝形成面側、即ち一方の面11FS側に上記樹脂層を模様形成層12として積層した図14のような2層(積層)構成とすることが好ましい。
基材の厚さには特に制限は無いが、シート状の基材又はフィルム状の基材の場合は、例えば、厚さ20μm以上1000μm以下程度、板状の基材の場合は、例えば、1mm以上20mm以下程度のものが使用される。
模様形成層12は、基材11の一方の面11FSに具備され(基材11が模様形成層12を兼用する場合は、基材11の一方の面11FSの近傍が模様形成層12となる)、化粧材の表面に所望の模様を付与する。本形態では化粧材10に焼杉調の模様を表現するために適する形態とされている。図1から図3よりわかるように、本形態で模様形成層12は、複数の溝13、及び、溝13の内側に配置されたインキ部14を具備している。
溝13は、後述する特徴を備える断面形状を有する溝であり、この溝が図2等の図面においてはy方向に延びている。そして幅(溝の延びる方向と直交するx方向の大きさ)、深さ(基材11の厚み方向でもあり、図2等の図面においてはz方向の大きさ)、溝の壁面の形状等が異なる複数の溝がxy面内に複数具備されることで、所定の外形(本形態では焼杉調の外形)を表出する。
溝13の幅(図3のW)は特に限定されることはないが、200μm以上1000μm以下であることが好ましい。これにより溝として視認され難くしつつも、溝13内に所望の形状のインキ部14を配置することが可能となる。
1つの溝13においてその延びる方向(y方向)で幅Wが一定である必要はなく、幅が変化してもよい。
溝13の深さ(図3のD)も特に限定されることはないが、30μm以上80μm以下であることが好ましい。これにより陰影による模様表現、特に焼杉に代表される表面を焼いて炭化させた木材板表面の亀裂や段差の外観再現の効果を得つつ、溝13内に所望の形態のインキ部14を配置することが可能となる。
また、1つの溝13においてその延びる方向(y方向)で深さDが一定である必要はなく、深さが変化してもよい。
さらに溝13は次の形態を有している。図4には図3のうち1つの溝13に注目して拡大した図を表した。ただし、補助線の見やすさのため、図4及び以降に示す図ではハッチングを省略している。
溝13は、当該断面において、幅方向一方側端部Wから最深部Dに延びる第一傾斜部S、及び、幅方向他方側端部Wから最深部Dに延びる第二傾斜部Sを備えている。
そして、WとWとを結ぶ線分W12、WとDとを結ぶ線分W(本形態ではSに一致する。)、及び、WとDとを結ぶ線分W(本形態ではSに一致する。)を考え、線分W12と線分Wとがなす角をθ、線分W12と線分Wとがなす角をθとしたとき、θがθより大きくなっている。すなわち、第一傾斜部Sと第二傾斜部Sが最深部Dを挟んで対称とならずに異なるように構成されている。
また、以下には他の形態の第一傾斜部S、第二傾斜部S、及び、これらによるθ及びθの出し方について図5から図7を参照しつつ説明する。いずれの図も図4と同じ視点による図である。
図5の形態は、最深部が所定の幅を有している場合である。このような場合には、当該最深部の幅のうち中央を最深部Dとして、線分W及び線分Wを定義すればよい。
図6の形態は、第一傾斜部S及び第二傾斜部Sが曲線状となる場合である。このような場合にも、上記及び図5と同様にして線分W及び線分Wを定義すればよい。この場合は、線分W及び線分Wは、角度θ及びθを求めるのに際して、非直線となっている第一傾斜部S及び第二傾斜部Sを平滑化したもので代表(代替)することに相当する。
図7の形態は、溝13が延びる方向と直交する方向の断面(以下、単に「断面」とも略称する。)において、第一傾斜部S及び第二傾斜部S(以下、単位に「傾斜部S」及び「傾斜部S」とも略称する。)が階段状となる場合である。このような場合にも、角度θ及びθを求めるのに際して、非直線となっている第一傾斜部S及び第二傾斜部Sを平滑化して代表(代替)するものとして、上記と同様にして線分W及び線分Wを定義すればよい。
図7の形態では傾斜部S及び傾斜部Sの両方が、かかる階段状となっているが、何れか片方の傾斜部のみ(例えば、第一傾斜部Sのみ)が階段状を呈し、他方の傾斜部(例えば、第二傾斜部S)が図4又は図6のような断面形状が直線状又は曲線状を呈する形態とすることもできる。溝13の断面形状において、傾斜部S及び傾斜部Sの少なくとも一方が階段状の形状を呈する形態では、特に焼杉に代表される表面を焼いて炭化させた木材板表面の亀裂や段差の微細構造の外観再現の観点で好適である。
図8及び図9には、傾斜面が階段状である他の例を示した。図8は第一傾斜部Sのみが階段状である部位を有し、第二傾斜部Sは階段状である部位を有することなく緩やかな連続曲線状の傾斜により構成されている。
また、図9は第一傾斜部Sの一部及び第二傾斜部Sの一部が階段状であり、他の部分は階段状でない形状の例である。
図10の形態は、1つの溝13においてWとWとで厚さ方向位置(z方向位置)が異なる場合である。この場合もWとWとを結ぶ線分W12、WとDとを結ぶ線分W(本形態ではSに一致する。)、及び、WとDとを結ぶ線分W(本形態ではSに一致する。)を考え、線分W12と線分Wとがなす角をθ、線分W12と線分Wとがなす角をθとしたとき、θがθより大きくなっている。すなわち、第一傾斜部Sと第二傾斜部Sが最深部Dを挟んで対称とならずに異なるように構成されている。
この形態ではWの方がWの位置より高くなっているが、これに限らずWの方がWの位置より低くなるように構成してもよい。
第一傾斜部S及び第二傾斜部Sは上記示した形態例とは異なる形態をとってもよい。また、ある溝13において第一傾斜部Sと第二傾斜部Sとで異なる形態としてもよい。このような形態でも上記と同様にθ及びθを定義する。
ここでθの範囲は特に限定されることはないが、10°以上45°以下が好ましい。θが45°を超えると、後述のワイピング法により溝13内にインキを充填配置してインキ部14を形成する際に、溝13底部のインキが掻き取られて無くなり、溝13への陰影及び化粧材の立体感の外観付与の効果が低減する虞がある。また、θが10°未満であると、インキ部14のインキ量自体が少量となるため、溝13への陰影及び化粧材の立体感の外観付与効果が低減する虞がある。
θの範囲も特に限定されることはないが、5°以上30°以下が好ましい。θが30°を超えると、θ(好ましい範囲では最大45°)とθとの角度差が小さくなり、さらには第一傾斜部Sと第二傾斜部Sとのインキ部14のインキ厚み差が小さくなり、溝13内におけるインキ部14のインキの濃度勾配が小さくなり、その結果、溝13への陰影及び化粧材の立体感の外観付与効果が低減する虞がある。また、θが5°未満であると、インキ部14のインキ量自体が少量となるため、溝13への陰影及び化粧材の立体感の外観付与効果が低減する虞がある。
また、θからθを引いた差(θ−θ)が3°以上35°以下であることが好ましい。特に、(θ−θ)が7°以上であると溝13への陰影及び化粧材の立体感の外観付与効果が顕著になる。また、(θ−θ)が3°未満であると、第一傾斜部Sと第二傾斜部Sとのインキ部14のインキ厚み差が小さくなり、溝13内におけるインキ部14のインキの濃度勾配が小さくなり、その結果、溝13への陰影及び化粧材の立体感の外観付与効果が低減する虞がある。
溝13が延びる方向(y方向)については、第一傾斜部Sの形状、第二傾斜部Sの形状、θ、θ及びθとθとの差は一定である必要はなく、溝13が延びる方向で変化してもよい。従って、θとθとの位置関係が延びる方向で逆転することもあり得る。その際でもその大小関係は同様に考えることができる。
図2から図16に図示の形態では、平面視において、溝13が延びる方向は、厳密ではないがy方向を基調としていることが好ましい。そして当該延びる方向に直交する方向をx方向とすることが好ましい。特に、化粧材10が焼杉の板の意匠外観の再現を目指す態様の場合は、前記の通り、溝13が延びる方向(図2から図16に図示の形態ではy方向)は印刷層16cの絵柄模樣の年輪模様(板目、柾目等)や導管溝木目の延びる方向と交差する方向、好ましくは直交する方向に配置する。かかる溝13の延びる方向の配置によって、焼杉板表面に特有の炭化木材部分の亀裂や段差の意匠外観を良好に再現できる。
これにより、後述の特定ワイピング法で溝13内にインキを充填することで溝13内に配置されているインキ部14の厚さ分布を本開示固有の形態に制御し易くなる。
ただし、この場合でも厳密である必要はなく、溝13が延びる方向がy方向に対してx方向へのある程度傾いたり、非直線状、又は曲線状となったりすることも許容される。
非直線状又は曲線状の例としては、代表的には、以下の(1)又は(2)のものを挙げることができる。なお、化粧材10が焼杉の板の意匠外観の再現を目指す態様の場合は、溝13の平面視形状が以下の(1)又は(2)に代表される非直線状又は曲線状を呈する場合においても、溝13の延びる方向を印刷層16cの絵柄模様の年輪模様や導管溝木目の延びる方向と交差する方向ことが好ましく、より好ましくは直交する方向に配置する。
(1)溝13が特定方向(例えばy方向)に延びると共に、其の延びる方向と直交方向(x方向)に対して蛇行した形状である。例えば、溝13の平面視形状が次の(1−1)から(1−4)であることが挙げられる。
(1−1):y方向に延びx方向に振動する正弦波。具体的には、次の式で表現される。
x=a・sin(b・y+c)+d
(a、b、c、及びdは溝13の平面視形状を決めるための定数。)
(1−2):y方向に延びx方向に振動する矩形波。
(1−3):y方向に延びx方向に振動する階段波。
(1−4):溝13の平面視形状は、上記(1−1)から(1−3)の非直線又は曲線形状と厳密に合致しなくてもよい。溝13の平面視形状は、これら正弦波、矩形波、階段波等の振幅、波長(空間周波数)、及び位相の何れか1つ又は2つ以上を適宜な量だけ変調した曲線としたり、それらの形状を適宜変形、歪曲したりすることもできる。
(2)溝13の平面視形状が、地図、航空写真等から抽出した、崖線、河川流路等の延びる方向と直交方向に蛇行した線から構成したものである。寸法的には、必要に応じた縮尺又は拡大倍率とし、必要に応じて、形状に適宜修整を加えても良い。
また、溝13は延びる方向(例えばy方向)において、該溝13の両端部が化粧材10の外形を形成する外周部(外縁、平面視で四角形の化粧材であればその四辺)にまで達することなく終わってもよく、一方側の端部が化粧材10の外周部に達し、反対側の端部は化粧材10の外周部にまで達することなく溝13が終わっていてもよく、その両方の端部が化粧材10の外周部にまで達していてもよい。
また、隣り合う溝13で、第一傾斜部Sと第二傾斜部Sとが隣り合ってもよいし、第一傾斜部S同士、第二傾斜部S同士が隣り合ってもよい。
次にインキ部14について説明する。図2、図3からわかるように、インキ部14は溝13の溝内に配置されたインキからなる部位である。インキにより、溝13のみの場合に対して、異なる外観や触感を有する化粧材10とすることができる。
インキ部14の形態は例えば次のようにすることができる。1つの例は図4に示したように、当該断面においてインキ部14の表面14fが、第一傾斜部S及び第二傾斜部Sを覆い、端部Wと端部Wとの間のいずれかの部位で最も深くなるように構成される。即ち、インキ部14の表面14fは、当該溝の開口している方向であると共に当該化粧材の観察者の方向(例えば、図2の場合においては、同図のz軸の+方向)に対して、図2に示すように凹表面が凹状となる形態である。
図11は、当該断面においてインキ部14が、第一傾斜部S及び第二傾斜部Sを覆い、端部Wと端部Wとの間で概ね同じz位置を維持して平坦となる形態である。
また、図12は、インキ部14の表面14fが、第一傾斜部S及び第二傾斜部Sの一部を覆うと共に、該溝の開口している方向であると共に当該化粧材の観察者の方向(例えば、図12の場合においては、同図のz軸の+方向)に対して、図12に示したように凹状で、第二傾斜部Sの一部が露出している形態である。
また、図示はしないが、インキ部14が、第一傾斜部Sの一部及び第二傾斜部Sの一部を覆い、第一傾斜部S及び第二傾斜部Sのいずれも一部が露出している形態も考えられる。
また、第一傾斜部S、及び、第二傾斜部Sの少なくとも一方が階段状である場合、例えば図13に示したように、階段状の出隅部13OCにインキ部14が形成されず、出隅部13OCが露出しているような形態も考えられる。
以上のようなインキ部14において、第一傾斜部S側におけるインキ部の厚さを、第二傾斜部S側におけるインキ部の厚さよりも厚くすることができる。より具体的には、第一傾斜部Sにおけるインキ部の平均厚さを、第二傾斜部Sにおけるインキ部の平均厚さよりも厚くする。
その際、第一傾斜部S側におけるインキ部の厚さ(相対的に厚)と第二傾斜部S側におけるインキ部の厚さ(相対的に薄)との差(以下、「インキ厚み差」とも略称する。)は、1μm以上となると、溝13への陰影及び化粧材の立体感の外観付与効果が良好となり好ましい。かかる効果の観点から、特にインキ厚み差は3μm以上とすることがより好ましい。また、インキ厚み差が1μm以下であると、溝13内におけるインキ部14のインキの濃度勾配が小さくなり、その結果、溝13への陰影及び化粧材の立体感の外観付与効果が低減する虞がある。
ここで、「第一傾斜部Sにおけるインキ部の平均厚さ」は、当該断面において、第一傾斜部S上に存在するインキ部の断面積を第一傾斜部Sの長さで除した値とし、「第二傾斜部Sにおけるインキ部の平均厚さ」は、当該断面において、第二傾斜部S上に存在するインキ部の断面積を第二傾斜部Sの長さで除した値とする。
インキ部14の形状は溝13が延びる方向に沿って一定である必要はなく、異なるように変化してもよく、複数の溝13に配置されるインキ部14は、それぞれが異なる形態であってもよい。このようなインキ部14の形状が変化することにより特有の視覚的効果が期待できる。例えば第一傾斜部の傾斜角、第二傾斜部の傾斜角によって溝13内へのインキの充填態様が異なる。より詳しくは例えば、第一傾斜部の傾斜角(θ)と第二傾斜部の傾斜角(θ)との差が溝13へのインキの充填率の変化に影響するため、この傾斜角の差を変化させることで、効果的なグラデーションを形成しやすい。また、W、WとDとの差(高低差)が大きい程に立体感を強調することができ、陰影表現が豊かになる。従って、このような各要素を組み合わせることにより充填されるインキの形態が変化し、多様な表現が可能となる。
インキ部を構成するインキの材料は特に限定されることはなく、公知のものを用いることができる。例えばベヒクルに着色顔料、艶消し顔料、染料等の何れか1種又は2種以上を含有するものを適用できる。ベヒクルは、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂から適宜選択可能である。
以上のような化粧材10によれば、溝13の第一傾斜部S及び第二傾斜部Sの形態、並びにここに配置されるインキ部14の形態が相まって、溝13の幅方向において、インキ部14の厚さが順次変化する、最深部を挟んで幅方向一方側と他方側とで形状が非対称となる、第一傾斜部S側のインキ部14の厚さの方が第二傾斜部S側のインキ部よりも厚くなる傾向にある等により、第一傾斜部S側と第二傾斜部S側とでインキ部14の形態変化が異なるため、反射光の強さや方向が従来とは異なるので視覚的にもこれまでとは異なる効果を有する化粧材10となる。同様に触感もこれまでとは異なるものとなる。
また、W、WとDとの差(高低差)により立体感を演出することができ、陰影表現が豊かになる。
以上説明した化粧材10は、基材11が模様形成層12も兼用しており、基材11自体の表面に溝13、及び、インキ層14が形成された1層構成による例であるが、化粧材の層構成はこれに限定されることはなく、基材11上に、基材11とは別の材料からなる別層としての模様形成層12を積層した積層構成としてもよい。また、これら1層構成又は積層構成の基材11及び模様形成層12に加えて、更に、適宜必要な層が積層されていてもよい。図14から図16に説明のための図を示した。これら図はいずれも図3と同様の視点による図である。
図14は、基材11の一方の面11FS(同図における上方の面)上に、該基材11とは別材料から成る別個の層として用意された模様形成層12が積層された化粧材10aである。なお、この模様形成層12も基材11と同様の材料により構成することもでき、厚さが異なっていてもよい。この場合、例えば基材11を着色隠蔽層、模様形成層12を無色又は着色透明層とすることで、特有の質感を表出することができる。また、化粧材全体の強度を高める観点で、さらに追加の基材(第二の基材)が基材11に積層されていてもよい。
図15は、基材11のうち模様形成層12として機能する同図における上側近傍層の最表面に透明樹脂による保護層15bが積層された化粧材10bである。これにより化粧材の耐候性、耐傷性、及び耐汚性を高めることができる。保護層15bを構成する樹脂は特に限定されることはないが、基材11の説明で挙げた材料のうち透明であるものを用いることができる。
図16は、基材11のうち模様形成層12として機能する同図における上側近傍層とは反対側の面に、即ち同図における下側に印刷層16cが積層された化粧材10cである。この場合に、基材11を無色又は着色透明とすれば印刷の絵柄が化粧材10cの絵柄として表出され、特有の表現となる。
印刷層16cの絵柄模様は、化粧材10が意匠外観の再現を目指す意匠に応じたものを選ぶ。
例えば、化粧材10が木材板表面の木目模様の意匠外観の再現を目指す態様の場合は、印刷層16cの絵柄模様として木目の絵柄模様を採用する。特に、焼杉の板の意匠外観の再現を目指す態様の場合は、溝13及び該溝内に配置されたインキ部14の模様と重ねて見た場合に、焼杉板の意匠外観に近似する木目模様を選定する。その際、必ずしも、天然の焼杉板の木目模様を選ぶ必要はない。例えば、焼杉板以外の木目模様の印刷層16cであっても、化粧材10を見た人が、溝13、インキ部14、及び印刷層16cの木目模様の三者を重ねて観察した状態で、焼杉板の意匠外観を感じることができればよい。
タイル貼や煉瓦積調の意匠外観の再現を目指す態様の場合は、印刷層16cの絵柄模様としてタイル貼や煉瓦積調の絵柄模様を採用する。
布目調の意匠外観の再現を目指す態様の場合は、印刷層16cの絵柄模様として布目調の絵柄模様を採用する。
皮シボ調の意匠外観の再現を目指す態様の場合は、印刷層16cの絵柄模様として皮シボ調の絵柄模様を採用する。
本開示の化粧材10は、上記のような角θ、θ、インキ部平均厚さ等の特徴を有する溝13、及び、該溝内に配置されたインキ部14をからなる構成を含むものである。
ただし、必ずしも化粧材10表面に存在する溝13及びインキ部14の全部が上記特徴を具備する必要はなく、本開示の化粧材10が所望の外観を発現する限りにおいて、化粧材毎に適宜な範囲を選択すれば良い。
化粧材10の表面に存在する各溝13の延びる方向に沿って測った全部の溝13の長さの総合計値ΣLtotalに対する本開示特定の条件(角θ、θ、インキ部平均厚さ等)を満たす溝13の長さの合計値ΣLの比をΣL/ΣLtotalとする。本開示所望の外観発現のためには、ΣL/ΣLtotal≧3/10とすることが好ましく、ΣL/ΣLtotal≧5/10とすることがより好ましい。特に、焼杉板に代表される焼木板表面の炭化した木材の亀裂や段差部分に対応する溝13に限定した場合、則ち、ΣLtotalを焼木板表面の炭化した木材の亀裂や段差部分に対応する溝13の延びる長さの総合計値とし、また、ΣLをLtotal中の本開示特定の条件を満たす溝13の長さの合計値とした場合は、ΣL/ΣLtotal≧7/10とすることが好ましく、ΣL/ΣLtotal≧8/10とすることがより好ましい。
上記の他、第二の基材(さらに第三の基材があってもよい。)、保護層、印刷層を適宜組み合わせて層構成をすることができる。
例えば、第二の基材、印刷層、及び、基材(模様形成層)の順に積層された化粧材、第二の基材、基材(模様形成層)、及び、保護層の順に積層された化粧材、第二の基材、印刷層、基材(模様形成層)、及び、保護層の順に積層された化粧材等を挙げることができる。
次に化粧材10を例に、化粧材の製造方法の例を説明する。ただし、化粧材を製造する方法がこれに限定されることはない。
以下に説明する製造方法には、原稿画像を作製する工程、版下画像を作製する工程、版を作製する工程、模様形成層の溝を形成する工程、及び、インキを充填する工程を含んでいる。
原稿画像を作製する工程では、模様形成層12のうちの溝で表現すべき平面視における模様(焼杉調模様)を取得してこれを原稿画像とする。
版下画像を作製する工程では、基材11の表面に表現すべき平面視における模様を画像濃度(濃淡)として取得してこれを版下画像とする。版下画像はデジタルデータであることが好ましいため、原稿画像がデジタルデータでない場合には原稿画像をスキャナで読み込みAD変換する手法を用いることにより、2次元座標平面(x、y)内に画素が配列してなり、各画素には各々固有の濃度値が対応して成るデジタルデータを得る。また、初めから原稿画像をCAD等を用いてデジタルデータを利用して設計していた場合にはそのデジタルデータを用いることができる。
そして当該デジタルデータに対して濃度から凹凸への変換プログラムによって、模様の階調画像に対応して二値画像としての各領域のパターンを二次元仮想平面上に生成して配置し、デジタルデータとして版下画像を得る。
版を作製する工程では、版下画像に基づいて溝13による平面視形状の模様を表面に有するエンボス版(化粧材用成形型)の作製を行う。具体的には凹凸模様の製造工程は以下の手順(1)から(5)よりなる。
〔(1)濃淡画像データ作成工程〕
アドビシステムズ社製のグラフィックデザイン描画ソフトウエア「Photoshop」(登録商標)を用い、TIFF形式で8bitの画像濃淡階調(256階調)で2540dpiの解像度の濃淡画像データを作成した。この濃淡画像データを凹凸模様画像データともいう。
〔(2)金属ロール準備工程〕
図17に示したようなエンボス版彫刻用の金属ロール20を準備した。金属ロール20は、軸方向両端部に回転駆動軸(shaft)21を有する中空の鉄製の円筒の表面に銅層をメッキ形成したものである。砥石で金属ロール20の表面を研磨して粗面化し、彫刻用レーザ光の鏡面反射による彫刻効率の低下を防止する処理をした。
〔(3)レーザ光彫刻工程〕
図17に模式的に示したように、レーザ光直接彫刻機を用い、工程(2)で用意した金属ロール20の表面を工程(1)で作成した凹凸模様画像データに基づき彫刻する。これによりその表面に化粧材表面の溝13による凹凸模様と同一平面視形状で且つ逆凹凸(化粧材の凸線条に対応する部分がエンボス版面上では凹線条となる関係)の凹凸形状を形成した。
従ってエンボス版における凹凸模様が備えるべき形状は、上記した化粧材における溝13による凹凸模様の凹凸関係が反転した態様であり、同様に考えることができる。
金属ロール20をその回転駆動軸21を介して電動機で駆動し、回転駆動軸21を中心軸として回転する。レーザーヘッド22から出射されるレーザ光Pで金属ロール20の表面を走査する。蒸発した金属が粉体となって金属ロール20の表面に残留又は付着することを防止するため、彫刻液吐出口23から彫刻液Tを金属ロール20の表面のレーザ光照射領域に吹き付けた状態でレーザ光照射を行う。
〔(4)電解研磨工程〕
彫刻液を洗浄した後、電解研磨を行い、金属ロール20の表面に付着した金属の残渣を除去した。
〔(5)クロムメッキ工程〕
工程(4)の後、金属ロール表面にメッキにより厚さ10μmのクロム層を形成した。
以上により模様形成層12の表面に形成された溝13による凹凸模様の凹凸が反転した凹凸形状を表面に備える版(化粧材用成形型、本形態ではエンボス版)を得ることができる。
次に、模様形成層の溝を形成する工程では、作製された版(エンボス版)を用いて、基材11にエンボス加工を行えば溝13が得られる。エンボス加工は、適宜な公知の方法によれば良く、特に制限はない。エンボス加工の代表的な方法は例えば次のようなものである。
基材としてポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを用いる。この基材を加熱軟化させ、その表面にエンボス版を押圧して該樹脂シート表面にエンボス版表面の凹凸模様を賦形する。そして樹脂シートを冷却して固化させて樹脂シート上の凹凸模様を固定する。その後に凹凸模様が賦形された樹脂シートをエンボス版から離型する。
ここで、各種エンボス加工法について、さらに説明すると例えば次の(A)から(E)のような方法がある。
(A)基材となる樹脂シートを加熱軟化させ、エンボス版を押圧して、エンボス加工する。
(B)エンボス版を押圧する時の熱圧で表面シートとなる樹脂シート(基材)とベースシートとする樹脂シート(第2の基材)とを熱融着することにより、エンボス加工とラミネートとを同時に行うダブリングエンボス法によりエンボス加工する。
(C)表面シートとする樹脂シート(基材)を、Tダイから溶融押出しをし、冷却ローラを兼ねるシリンダ状のエンボス版上に接触させて表面シートの成膜と同時にエンボス加工する。このとき、さらに表面シートの裏面側に挿入したベースシートとする樹脂シート(第2の基材)を熱融着させてダブリングエンボスを成膜と同時に行う。
(D)特開昭57−87318号公報、特開平7−32476号公報等に開示の如く、シリンダ状のエンボス版の表面に電離放射線硬化性樹脂の未硬化液状物を塗工する。さらにその上に、樹脂シート等からなるベースシートを重ねた状態で電離放射線を照射して未硬化液状物を硬化させて硬化物とする。その際、該硬化物をベースシートと接着させた後、エンボス版から離型して、ベースシートと該ベースシート上の硬化物とからなる基材とすることで、基材にエンボス加工する。
(E)チタン紙等の紙にメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の未硬化物を含浸した含浸紙を、コア紙、木材合板上等の裏打材上に載置して、これら載置した複数層を熱プレス成形することによって各層を積層一体化して熱硬化性樹脂化粧材を作製する。そのとき、含浸紙表面側にエンボス版を挿入することによって、熱硬化性樹脂を含浸硬化させて化粧材とする際にその表面に熱プレスと同時にエンボス加工する。
なお、(A)から(C)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には熱可塑性樹脂が使用され、(D)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には電離放射線硬化性樹脂が使用され、(E)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には熱硬化性樹脂が使用される。
インキを充填する工程では、基材11の表面に形成された溝13にインキを充填して所望の厚さ分布でインキを溝13内に配置してインキ部14を形成する。これは、基材11のうち溝13が形成された側の面にインキ部14となるべき材料のインキ(未硬化状態)をカーテンフローコート法、ロールコート法等の塗工法により供給し、その上をドクターブレード、スキージー(squeegee)、スポンジローラ等で掻いて溝13外部の余剰インキを除去する(ワイピングする)ことにより行う。溝内へのこのようなインキの充填配置をする方法それ自体は、いわゆる「ワイピング(wiping)」法として公知の方法である。
これにより、余分なインキを除去することができるとともに溝13内にインキを押し込むことができる。そして本形態では、図18に直線矢印で表したように、ドクターブレード30を溝13が延びる方向(y方向)に対して直交する方向(x方向)に移動することで行う。すなわち、溝13が延びる方向であるy方向に対して直交するx方向にドクターブレード30を移動させる。これにより上記したような本開示固有の新規なインキ部14の形状、すなわち、溝13の第一傾斜部S側のインキ部厚さが第二傾斜部S側のインキ部厚さより大きいインキ部の溝内厚さ分布を容易に形成することができる。
そして、適切な方法によりインキを硬化させることにより化粧材10となる。
以上説明した化粧材の用途は特に制限は無いが、例えば、壁、床、天井等の建築物の内装材、建築物の外壁、屋根、門扉、塀、柵等の外装材、扉、窓枠、扉枠等の建具、廻り縁、幅木、手摺等の造作部材の表面材、テレビ受像機、冷蔵庫等の家電製品や複写機等の事務機器の筐体の表面材、箪笥等の家具の表面材、箱、樹脂瓶等の容器の表面材、車両等の内装材又は外装材、船舶の内装材又は外装材等である。
10 化粧材
11 基材
12 模様形成層
13 溝
14 インキ部

Claims (7)

  1. 溝、及び、該溝内に配置されたインキ部を備える化粧材であって、
    前記溝が延びる方向に対して直交する方向の断面において、
    前記溝の一端から前記溝の最深部に延びる第一傾斜部、及び、前記溝の他端から前記溝の最深部に延びる第二傾斜部を有し、
    前記溝の一端と前記溝の他端とを結ぶ線分と、前記溝の一端と前記溝の最深部とを結ぶ線分とがなす角をθ、とし、
    前記溝の一端と前記溝の他端とを結ぶ線分と、前記溝の他端と前記溝の最深部とを結ぶ線分とがなす角をθ、としたとき、
    前記θが前記θよりも大きい溝を含む、化粧材。
  2. 前記インキ部表面は、前記断面において、該溝の開口している方向に対して凹状に窪んでおり、前記第一傾斜部におけるインキ部平均厚さが前記第二傾斜部におけるインキ部平均厚さよりも大きい、請求項1に記載の化粧材。
  3. 前記インキ部は、前記断面において、前記第一傾斜部及び前記第二傾斜部の少なくとも一方の一部を覆うことなく配置されている請求項1又は請求項2のいずれかに記載の化粧材。
  4. 前記第一傾斜部及び前記第二傾斜部の少なくとも一方は、前記断面において階段状である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の化粧材。
  5. 前記インキ部は、前記階段状のうち出隅部の少なくとも1つを覆うことなく配置されている請求項4に記載の化粧材。
  6. 前記溝は、平面視において、非直線状に延びている請求項1から請求項5のいずれかに記載の化粧材。
  7. 前記溝は、平面視において、蛇行して延びている請求項1から請求項5のいずれかに記載の化粧材。
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