まず、最初に測定原理について説明する。
図1は、円筒状の部品の表面で反射された反射光により形成される光学像がスクリーン上に拡大して投射される状態を示す図である。図2は、図1に図示された部品上の照射領域を示す図である。
被検査体である部品150は、中心軸Oを有する断面形状が円の部材である。すなわち、部品150は、円柱状または円筒状の部材である。図1は、部品150を軸方向に対して直交する面で切断した図である。部品150は、Y軸上に頂点Aを有する。なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は、それぞれ、図示の通りとする。Y方向とZ方向は直交しており、X方向はY方向およびZ方向と直交している。Y軸は、部品150の中心軸Oと頂点Aを結ぶ直線上に位置している。
部品150には、幅(X方向の長さ)W×厚さ(Y方向の長さ)t1の帯状の照射光151が照射される。照射光151の厚さt1は、部品150の半径Rより小さい。照射光151の光軸151aは、XZ面と平行である。照射光151は、Y方向における部品150の頂点Aの上方から部品150の外周表面150aの照明入射点Bまでの厚さt1の範囲に照射されている。つまり、照射光151は、部品150の頂点Aに対し接点となる光線を含んでいる。この光線は、照射光151の光軸151aとほぼ平行である。従って、照射光151は、部品150の頂点Aに対する接線方向から照射されている。照射光151の光軸151aは、Y方向において、部品150の頂点Aと照明入射点Bとの間の、部品150の外周表面150aの点Pに位置している。
部品150の照射光151に照射される側の反対側には、部品150の中心軸Oから離間した位置に円筒状のスクリーン152が配置されている。スクリーン152は、円筒状であり、その中心軸がX軸と平行に配置されている。すなわち、スクリーン152は、その外周表面152aが円筒面であり、外周表面152aの中心軸がX軸と平行に配置されている。
照射光151の一部は、部品150の外周表面150aの円弧部ABに照射される。また、照射光151の、部品150の頂点Aより上方の残りの一部は、基準光として部品150の外周表面150aを通過して直接、スクリーン152に照射され基準像を形成する。頂点Aに接する光線がスクリーン152に投射される点を基準位置S0とすると、部品150の頂点Aとスクリーン152上に投射された基準位置S0とは、Y方向において同一の高さとなるように部品150の高さ方向位置は調整されている。スクリーン152上の点S0を、基準位置として定義する。従って、基準位置S0より下方の照射光151は、すべて、部品150の外周表面150aの円弧部ABに、幅Wの帯状に照射される。図2には、部品150の外周表面150aの円弧部ABに照射される照射領域153に斜線のハッチングを施してある。なお、照射光151は、不図示の照射光源からシリンドリカルレンズ160を介して部品150およびスクリーン152に向けて照射される。
図1において、部品150の点PのY軸に対する角度をθとする。部品150の点Pを特定位置と定義する。上述したように、照射光151の光軸151aの位置は特定位置Pに一致している。特定位置Pにおける照射光151の入射角と反射角は共にu1である。
特定位置Pで反射した光線はスクリーン152の外周表面152a上の点S1に到達する。特定位置Pからの反射光の仰角をφ1とすれば、スクリーン152上における基準位置S0から点S1までの高さh1は、部品150の中心軸Oから点S1までのZ方向の距離L1を含む式(1)によって求めることができる。
h1=tan(φ1)・(L1+R・sinθ)-R(1-cosθ)…(1)
ここで、φ1=180-2・u1、またu1=90-θである。従って、φ1=2θである。なお、スクリーン152に直接照射される照射光151の厚さt2は、t1/2-R(1-cosθ)となる。
また、特定位置Pから微小角度だけ移動した円弧部AB上の点Qにおいては、照射光151の入射角と反射角は共にu2であり、点Qで反射した光線はスクリーン152上の点S2に到達する。点Qからの反射光の仰角をφ2とすれば、スクリーン152の外周表面152a上における基準位置S0から点S2までの高さh2は、部品150の中心軸Oから点S2までのZ方向の距離L2を含む式(2)によって求めることができる。
h2=tan(φ2)・(L2+R・sin(θ+α))-R(1-cos(θ+α))……(2)
ここで、φ2=180-2・u2、またu2=90-(θ+α)である。従って、φ2=2(θ+α)である。なお、αは、円弧部PQに対する中心角である。
同様に、部品150の外周上の照明入射点Bで反射した光線はスクリーン152上の点S3に到達する。従って、円弧部AB上に照射された照射光は、スクリーン152上の点S0~S3の範囲に投射される。本発明では、いわゆる魔鏡原理を利用し、部品150の外周表面150aの凹凸部をスクリーン152上に投射される反射光の陰影として顕在化する。
詳細は実施形態として後述するが、式(1)により算出される、部品150の特定位置Pの反射光がスクリーン152上に投射される点S1の基準位置S0からの高さh1は、半径Rが11mmの場合、5.39mmであり、半径Rが14mmの場合で5.30mmである。つまり、半径Rが11mmと14mmとの場合のh1の差は、0.09mmに過ぎない。この値は、スクリーン152の外周表面152a上でのラインセンサカメラ(図7のラインセンサカメラ107参照)の1画素の画素寸法c(例えば、55μm程度)より小さい。
なお、部品150又はスクリーン152は、部品150の半径の大きさに応じてスクリーンの基準位置S0と部品150の頂点Aとが一致するよう高さが調整される。
次に、部品150上の微小領域(円弧部PQ)の拡大倍率を算出する。円弧部PQをdと置けば、スクリーン152の外周表面152a上での周方向の拡大倍率Mは式(3)で得られる。
M=(h2-h1)/d ……(3)
換言すれば、円弧部PQのdが、h2-h1=Hに拡大される。
h1とh2は、それぞれ、式(1)、式(2)から求められる。特定位置Pに対して照射光151の入射角が90°に近い程欠陥検出感度が高くなる。このため、θを概ね5°以下の条件で検査すると仮定すれば、式(1)の第2項であるR(1-cosθ)≒0として扱うことができる。さらに、L1>>Rとして考えれば、(L1+R・sin(θ+α))≒Lと近似できる。従って、式(3)は式(4)に簡略化して解釈可能である。
M=L1(tan(φ2)-tan(φ1))/d ……(4)
上述の通り、φ1=2θ、φ2=2(θ+α)である。また、α=360・d/2πRである。従って、微小領域として取り扱う円弧部PQ、即ちdの寸法が一定であれば、θまたはLの増大に伴い拡大倍率Mが大きくなる。すなわち、Lが一定の条件下では、部品150上の本発明に係る第1実施形態(欠陥がある場合には欠陥を含む光学像)がスクリーン152に投射されたとき、スクリーン152上の高さ(Y方向の位置)によって拡大倍率が異なる。
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態を説明する。
第1実施形態では、円筒形状の外周面を有する部品を、その表面のうちの円筒形状の外周面を測定し検査しつつ製造する。このような部品としては、例えば、緩衝器のピストンロッドや、内燃機関のピストンピン、あるいは、ロータリポンプ、油圧シリンダ、ブレーキ装置等のピストン等がある。ここでは、一例として、図3に示す緩衝器201の一部品であるピストンロッド100を測定し検査しつつ製造する場合を例にとり説明する。
緩衝器201は、有底筒状のシリンダ202と、シリンダ202内に一端側が挿入され他端側がシリンダ202の不図示の開口部から外部に延出するピストンロッド100と、シリンダ202の開口部側を覆うようにシリンダ202に取り付けられるカバー204とを有している。カバー204は、シリンダ202の開口部側に取り付けられてシリンダ202とピストンロッド100との間をシールする不図示のシール部材を覆っている。また、緩衝器201は、ピストンロッド100のシリンダ202内の端部にナット206により固定されるピストン207を有している。ピストン207は、シリンダ202内を2室に区画する。ピストン207は、ピストンロッド100と一体に移動してシリンダ202内を摺動する。緩衝器201は、ピストンロッド100のシリンダ202に対する軸方向移動によってピストン207の流路に生じる2室間の作動流体の移動を抑制して減衰力を発生させる。
緩衝器201は、シリンダ202の外側に取り付けられるスプリングシート210、メインブラケット211、ハーネスブラケット212およびホースブラケット213を有している。スプリングシート210は車両のバネ上部分との間にスプリングを保持する。メインブラケット211は、緩衝器201を車両のバネ下部分に連結する。ハーネスブラケット212はハーネスを支持する。ホースブラケット213はホースを支持する。緩衝器201は、スプリングシート210で支持する不図示のスプリングと共にサスペンションストラットアセンブリとして自動車の車体に組み込まれる。ピストンロッド100は、シリンダ202に対する軸方向移動時に、その外周面において不図示のシール部材の内周面に摺接する。
ピストンロッド100は、その表面に数μmの凹凸が存在すると、シール部材を傷めることがあり、緩衝器201のオイル漏れの原因となる。ピストンロッド100は、その真円度、円筒度はマイクロメートルオーダーで管理されており、表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.05μm以下である。ピストンロッド100はS25C等の低炭素鋼を素材とした円筒部品である。ピストンロッド100は、焼入れと成形工程経た後、表面処理を施してその表面を平坦に仕上げてから組立工程に投入される。被検査対象であるピストンロッド100は、例えば、直径22mm程度、全長250mm程度に形成されている。
ピストンロッド100には、両端に、機械的な取り合いのための接続部100a、100bが形成されている。ピストンロッド100は、接続部100a,100b間にある主軸部100cの外周表面100dがシール部材に摺接する。この主軸部100cの外周表面100dが検査対象となる。両端の接続部100a,100bは検査対象外となる。接続部100aは車両のバネ上部分に連結され、接続部100bにはピストン207がナット206により取り付けられる。
ピストンロッド100は、切削加工工程、熱処理工程を、この順に経た後、図4に示すように、粗研磨工程SP1、中研磨工程SP2、超仕上研磨工程SP3、ウエット洗浄工程SP4、エッチング処理工程SP5、クロムメッキ工程SP6、バフ研磨工程SP7、表面検査工程SP8を、この順に経て製造される。主軸部100cの外周表面100dについては、粗研磨工程SP1、中研磨工程SP2、超仕上研磨工程SP3、ウエット洗浄工程SP4、エッチング処理工程SP5、クロムメッキ工程SP6、バフ研磨工程SP7、表面検査工程SP8をすべて行う。バフ研磨工程SP7は、主軸部100cの外周表面100dを鏡面状、言い換えれば光沢状にする鏡面加工工程である。さらに言い換えれば、バフ研磨工程SP7は、主軸部100cの外周表面100dを鏡面処理する加工工程である。表面検査工程SP8は、鏡面状の外周表面100dを有するピストンロッド100の外周表面100dを検査する検査工程である。
表面検査工程SP8においては、図5に示すように、粗研磨工程SP1~バフ研磨工程SP7からなる加工工程の終了後に、ピストンロッド100を搬出する加工終了後搬出工程SP8-1を行い、図6に示す検査装置230に搬入する検査装置搬入工程SP8-2を行う。また。表面検査工程SP8においては、検査装置230が、測定装置250を用いて、ピストンロッド100の主軸部100cの外周表面100dを被測定面として、この外周表面100dを撮像し測定することによりピストンロッド100を検査する撮像・検査工程SP8-3を行い、画像処理によりピストンロッド100の外周表面100dの欠陥を検出する欠陥検出工程SP8-4を行う。主軸部100cは、被測定面である外周表面100dが円筒面となっている。よって、被測定面が外側に向け凸の凸状である。
図7,図8に示すように、測定対象部品であるピストンロッド100の外周表面100dを測定する測定装置250は、光ビームをスリット状に広げるレーザスリット光源255と、シリンドリカルレンズ106、ピストンロッド100を回転させるローラ101a,101b、ラインセンサカメラ107(光学センサ)およびスクリーン102を備えている。ローラ101a,101bは、いずれも、外周表面が円筒面である。ローラ101a,101bは、外周表面の円筒形の中心軸線を平行に配置して、これら中心軸線を中心に回転可能に支持されている。
ピストンロッド100は、図4に示すバフ研磨工程S7の後、図5に示す加工終了後搬出工程SP8-1で搬出され、図6に示す搬送装置260で搬送されて、図5に示す検査装置搬入工程SP8-2において、検査装置230に搬入される。検査装置230に搬入されたピストンロッド100は、測定装置250のローラ101aおよびローラ101bに跨って搭載される。
図9,図10に示すように、ローラ101aとローラ101bは、同径である。ローラ101aとローラ101bは、軸心を水平なX軸に平行にした状態で、高さ方向であるY方向において同一の高さ位置に、X軸に直交する水平なZ方向に離間して配置されている。ピストンロッド100は、ローラ101aとローラ101bとの境界部の中心線上に軸心が配置されるように、ローラ101aおよびローラ101bの上に搭載されている。
図7,図9に示すように、ローラ101aは、ローラ駆動モータ103に連結されている。ローラ101bは、軸心に対し、フリーに回転可能となっている。ローラ駆動モータ103を回転駆動することで、ローラ101aが回転し、ピストンロッド100およびローラ101bが回転する。つまり、ローラ駆動モータ103の回転を制御することで、ピストンロッド100を任意の速度で回転制御可能な構成となっている。ローラ駆動モータ103およびローラ101a,101bが、検査対象部品であるピストンロッド100を回転させてその外周表面100dを移動させる移動部270となっている。なお、図示はしないが、ローラ101aおよびローラ101bを含む移動部270は、移動ステージに装着されており、一体的に上下方向(Y方向)に移動可能とされている。
レーザスリット光源255は、図9,図10に示すように、ピストンロッド100にレーザ光(照射光)を照射する可干渉光源であるレーザ発振器104とパウエルレンズ105とで構成されている。レーザ発振器104は、例えば、波長670nm、直径2mmのレーザビーム、すなわちコヒーレントな光ビーム(「照射光」ということもある)10を出力する。レーザ発振器104の出力は、例えば、100mW程度である。レーザ発振器104から出力された光ビーム10は、パウエルレンズ105でXZ平面のみ、すなわち水平面のみ扇形に広げられる。パウエルレンズ105は、丸みを帯びた稜線を有する円柱レンズである。パウエルレンズ105は、レーザラインジェネレータレンズとも称される。パウエルレンズ105は、例えば、レーザ発振器104からの直径2mmの光ビーム10を全角30°に伸長する。
なお、レーザ発振器104はシングルモードレーザであり、出力ビームの強度分布はガウシアン分布で、1/e2径を以ってビーム径と称する。すなわち、ビーム径は、ピーク強度値から1/e2(13.6%)に落ちた時の強度での幅としている。
シリンドリカルレンズ106は、図9に示すように、XZ平面のみ曲率を有している。シリンドリカルレンズ106は、水平方向に凸レンズの作用を有し、垂直方向には、レンズの作用を有していない。シリンドリカルレンズ106は、レーザ発振器104から出射された光行ビーム10を、シリンドリカルレンズ106により所定の幅(X方向の長さ)W×所定の厚さ(Y方向の長さすなわち高さ)t1のスリット状の光ビーム10に成形する。一例を示せば、焦点距離400mmのシリンドリカルレンズ106を用い、パウエルレンズ105とシリンドリカルレンズ106との間隔を概ね400mmに調節することで、幅W=200mm、厚さt1=2mmの光ビーム10に成形される。シリンドリカルレンズ106で成形された光ビーム10は、ピストンロッド100の外周表面100dに、スリット状、言い換えれば帯状に照射される。シリンドリカルレンズ106で成形された光ビーム10は、ピストンロッド100の中心軸線と平行に広がってピストンロッド100の凸状の外周表面100dに、この外周表面100dの頂点の接線方向に照射される。
レーザ発振器104、パウエルレンズ105およびシリンドリカルレンズ106が、光ビーム10を所定の幅W×所定の厚さt1のスリット状に形成してピストンロッド100の被測定面である外周表面100dに向け出射する照射部290を構成している。移動部270は、この照射部290から照射された光ビーム10と被測定面であるピストンロッド100の外周表面100dとを相対的に移動させる。
図9には、シリンドリカルレンズ106を介してピストンロッド100の外周表面100dに照射される照射光10の照射領域110を斜めのハッチングで示している。照射光10は、ピストンロッド100の被測定面である外周表面100dで反射されてスクリーン102に投射される。ピストンロッド100の凸状の湾曲面である外周表面100dで反射される反射光は、この外周表面100dで拡大されてスクリーン102に投射されて、スクリーン102で図7、図8に示す光学像280となる。すなわち、照射部290からの光ビーム10をピストンロッド100の凸状の外周表面100dの頂点の接線方向に沿って照射して、凸状の外周表面100dで反射した反射光をスクリーン102に投射して光学像280を形成する。光学像280は、X方向が幅方向となる。この光学像280は、スクリーン102の回転時の外周表面102aの移動方向であるY方向に対して直交するX軸方向に直線状に延び、その全体がスクリーン102の外周表面102aに投影される。
スクリーン102は、Z方向におけるピストンロッド100のレーザスリット光源255側とは反対側に、ピストンロッド100とは離間して配置されている。スクリーン102は、ピストンロッド100の外周表面100dで反射された反射光が投射されることにより、この反射光から光学像280を形成する。測定装置250は、図7に示すように、スクリーン102と、スクリーン102を駆動するスクリーン駆動モータ300(駆動源)とを有している。
スクリーン102は、図7,図8に示すように、円筒状である。言い換えれば、外周表面102aが円筒面となっている。スクリーン102は、外周表面102aの円筒形の中心軸線がX軸に平行に配置されている。スクリーン102は、この中心軸線を中心に回転するように支持されている。スクリーン102は、その円筒状の外周表面102aが、拡散反射表面としての塗装されたランバート散乱体99(拡散反射体)で構成されている。このランバート散乱体の反射表面99は、例えば、硫酸バリウムのコーティングまたは発砲樹脂加工されたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)である。
スクリーン駆動モータ300は、スクリーン102をスクリーン102の中心軸線を中心に回転させる。スクリーン駆動モータ300が、スクリーン102を回転させることによって、スクリーン102に対しX方向およびY方向の一定位置に投影される光学像280に対し、スクリーン102の外周表面102aを移動させる。言い換えれば、スクリーン駆動モータ300は、スクリーン102における光学像280が形成される部分を、X方向は一定のまま、Y方向に移動させる。
スクリーン102に拡大して投射された反射光で形成された光学像280は、TVカメラレンズ108を介してラインセンサカメラ107で撮像され、観察される。ラインセンサカメラ107は、スクリーン102に形成された光学像280をX軸に平行な直線形状に撮像し、ローラ駆動モータ103の駆動と同期して撮像する。TVカメラレンズ108とラインセンサカメラ107とは、同軸に配置され、図10に示すように、レーザ発振器104、パウエルレンズ105、シリンドリカルレンズ106が直線状に配列された光学面に対し、仰角βの角度に配置されている。本実施形態では、ラインセンサカメラ107の仰角βを30°に設定した。
このように、ラインセンサカメラ107とレーザ発振器104からの光学面との配置をスクリーン102上の撮像ターゲットS1に対して迎角を持たせることにより、ピストンロッド100の反射光をスクリーン102上で正面から受けることになる。
なお、スクリーン102には拡散反射表面としての塗装されたランバート散乱体を塗装しているが、これはラインセンサカメラ107がピストンロッド100の反射光をスクリーン102上で正面から受けない場合であっても撮像を可能にするためである。ピストンロッド100の反射光を正面から受ける場合は、特にスクリーン102を拡散反射表面としなくても撮像が可能である。
ここで、一般的な平滑でない表面にレーザ光が入射すると、一部は表面で正反射するが、残りのレーザ光は拡散反射される。よって、スクリーン102の外周表面102aを一般的な平滑でない表面とすると、ラインセンサカメラ107の撮像角度によって、輝度が変化する。ランバート散乱体99での反射、すなわちランバート反射においては、入射角度にかかわらず、出射光は全ての方向に均一に反射される。よって、光ビーム10の反射面であるスクリーン102の外周表面102aの見た目の明るさ(輝度)は、ラインセンサカメラ107がどの方向から撮像しても一定になる。
図11は、被検査部品であるピストンロッド100の外周表面100dに照射光を照射した状態における光学像280を説明するための拡大図である。図11を用いて、スクリーン102上におけるラインセンサカメラ107の視野とピストンロッド100の外周表面100dからの反射光との位置関係について説明する。
本実施形態では、ピストンロッド100の外周表面100d上の特定位置Pへの照明入射角u1を87°に設定する。従って、図11におけるθは3°である。ピストンロッド100を搭載した移動部270のローラ101a,101bは、上述した通り、不図示の移動ステージにより上下方向に移動可能とされている。予め決められた検査レシピに基づいて、移動ステージによりピストンロッド100を上下方向に移動させて、厚さt1の光ビーム10の光軸10aの高さにピストンロッド100の最上部の頂点A(一側縁)の高さを正確に一致させる。この状態から、光ビーム10の光軸10aが特定位置Pに一致するように、ピストンロッド100をY方向に上昇させる。ピストンロッド100の移動量、換言すれば、特定位置Pから頂点AまでのY方向の高さをδとすると、図11において、δ=R(1-cosθ)である。ピストンロッド100の径は22mmであり、従って、半径R=11mm、またθ=3°であるから、δ=0.015mmとなる。
ここで、ピストンロッド100に照射されずにスクリーン102に、直接、照射される照射光10の厚さt2は、t1/2-δで求まる。t1=2mmであることからt2=0.985mmとなる。厚さt1の光ビーム10の最下面の光線がピストンロッド100の外周表面100dに照射される照明入射点Bに対するY軸からの角度をvとすると、cos(v)=(R-(t1/2+δ))/Rである。この関係式から、角度vは、24.8°となる。
ピストンロッド100の中心軸Oからスクリーン102上の点S3までの間隔L3を50mmとすれば、照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時の高さh3は、式(1)のL1を、ピストンロッド100の中心軸Oから点S3までのZ方向の距離L3に置き換え、φ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=63.16mmとなる。また、θ=3°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102上の点S1に到達した時、式(1)によって、ピストンロッド100の中心軸Oからスクリーン102上の点S1までの間隔L1を60mmとすれば、h1=6.3mmと求められる。S1におけるピストンロッド100の外周表面100dの周方向の拡大倍率Mを式(3)で算出すると、M=10.02である。
図12は、スクリーン102上における光学像280の観察位置をレーザ発振器104側から観た正面図である。
スクリーン102の寸法は、例えば、半径215mm×幅480mmである。ピストンロッド100の外周表面100dで反射した光束は、2点鎖線で示す幅W=200mm×高さh3=63.16mmの投射領域12に投射される。この投射領域12に光学像280が形成される。但し、この投射領域12には、ピストンロッド100に照射されない照射光10の基準光により形成される基準像としての直接照明範囲11が含まれている。つまり、厚さt1の光ビーム10のうち、ピストンロッド100の頂点Aより上方の一部の領域の厚さt2の光束は、ピストンロッド100の凸状の外周表面100d上を通過してスクリーン102の直接照明範囲11に直接投射される基準光となり、直接照明範囲11に基準像を形成する。ラインセンサカメラ107の視野位置109は、スクリーン102上の基準光の下端位置である点S0を基準位置としてh1の高さに合わせる。本実施形態では、h1=6.3mmである。表面検査工程SP8においては、この基準光により特定される光学像280の検査箇所の、ラインセンサカメラ107により検出される反射光強度分布像に基づきピストンロッド100の外周表面100dの表面状態を検査する。
ラインセンサカメラ107は4096画素で、1画素の素子寸法cは5.5μmの正方形状である。これをTVカメラレンズ108で10倍に拡大してスクリーン102と共役関係に配置している。スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の1画素の素子寸法cは55μmである。これらの条件からラインセンサカメラ107の視野長Cは225mmとなり、反射光の投射領域の幅W=200mmを包含する。
ローラ駆動モータ103を回転駆動してピストンロッド100を1回転させ、ピストンロッド100の周方向の全範囲を観察する検査時間について述べる。スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の1画素の素子寸法をc、ラインレートをfと定めたとき、ピストンロッド100の半径R、スクリーン102上における拡大倍率Mから、ピストンロッド100の外周表面100dの周方向の全範囲の検査を行うための回転の角速度Nの最大値は式(5)によって得ることができる。
N≦c・f/(2πR・M) ……(5)
ここで、c=0.055mm、f=5kHz、R=11mm、M=10倍の場合、N≦0.39rpsとなる。この逆数をとれば、試料1本当りの検査時間が約2.56sec/本となる。
上記は、ピストンロッド100の半径Rを11mmとして説明したが、これ以外の径のピストンロッド100についても同一の方法で検査可能である。例えば、R=14mmの試料について、被検査面である外周表面100dへの照明入射角が87°となる条件で検査する場合を以下に述べる。
図11においてδ=R(1-cosθ)である。特定位置Pの位置θ=3°は同一となるが、R=14mmであるから、δ=0.019mmとなる。ここで、ピストンロッド100に照射されずにスクリーン102に直接照射される照射光10の厚さt2は、t1/2-δで求まる。t1=2mmであることからt2=0.981mmとなる。また、ピストンロッド100の外周の照明入射点Bの角度vについては、cos(v)=(R-(t1/2+δ))/Rの関係式から、22.0°となる。ピストンロッド100の回転の中心軸Oからスクリーン102上の点S3までの間隔L3は50mmである。照明入射点Bで反射した光線はスクリーン102上の点S3に到達した時、式(1)のφ1をvに置き換えるによって求めることができ、h3=52.33mmとなる。同様に、θ=3°であることから、特定位置Pで反射した光線はスクリーン102の外周表面102a上の点S1に到達した時、ピストンロッド100の回転の中心軸Oからスクリーン102の外周表面102a上の点S1までの間隔L1は5.31mmである。式(1)によってh1=5.1mmと求められる。S1におけるピストンロッド100の外周表面100dの拡大倍率Mを式(3)で算出すると、M=10.26である。
図12において、ピストンロッド100の外周表面100dで反射した光束は、2点鎖線で示す幅W=200mm×高さh3=52.33mmの投射領域12に投射される。ラインセンサカメラ107の視野位置109はスクリーン102上の点S0を基準としてh1の高さに合わせる。ピストンロッド100の半径R=14mmの場合、h1=5.10mmとなる。半径R=11mmのピストンロッド100ではh1=5.06mmである。
スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の画素寸法cは0.055mmである。従って、半径Rが異なる上記2例のピストンロッド100におけるh1の差(0.04mm)は、スクリーン102上でのラインセンサカメラ107の画素寸法cよりも小さい。それ故、ラインセンサカメラ107の視野位置109の変更は不要である。つまり、ピストンロッド100の半径R=11mmとR=14mmとの表面欠陥検査は、ピストンロッド100の特定位置Pの設定位置(設定高さ)を変えることなく、継続して行うことができる。なお、ラインセンサカメラ107の画素寸法cや観察するピストンロッド100の状態によっても異なるが、通常、h1の差が、スクリーン102上における1画素の画素寸法c以内であれば、ピストンロッド100の特定位置Pの設定位置(設定高さ)を変更する必要はないものと判断される。
ローラ駆動モータ103を駆動してピストンロッド100を1回転させ、ピストンロッド100の周方向の全範囲を観察する検査時間について述べる。ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを5kHzとすれば、c=0.055mm、R=14mm、M=10.26倍であるから、式(5)よりN≦0.30rpsとなる。この逆数をとればピストンロッド100の1本当りの検査時間は、約3.33sec/本となる。ピストンロッド100の半径R=11mmの場合、検査時間は約2.57sec/本であり、ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを一定として検査を行う場合、ピストンロッド100の径に応じて検査時間が変動する。但し、実用上、両者はほぼ同一と見なせる。ピストンロッド100の径が拡大した一方で検査時間がほぼ同一となる理由は、スクリーン102上におけるピストンロッド100表面の拡大倍率Mの差が原因である。R=11mmの場合は拡大倍率M=10.26倍であるのに対し、R=14mmの場合はM=10.34倍と倍率が小さくなる。
スクリーン102上のラインセンサカメラ107の画素寸法cは0.055mmであるから、スクリーン102に投射された光学像280を、スクリーン102を介してピストンロッド100の周方向をc/Mの空間分解能で観察することに相当する。ピストンロッド100の径によって周方向の観察分解能が異なり、ラインセンサカメラ107で得られる光学像280の画素寸法cは、R=11mの場合は4.22μm、R=14mmの場合は5.36μmである。
ピストンロッド100の外周表面100dの周方向の全範囲を観察するに要する検査時間は、ピストンロッド100の半径R=11mmの場合は、約3.33sec/本、半径R=14mmの場合は、約2.57sec/本である。しかし、ピストンロッド100の半径R=11mmおよびR=14mmの場合に、両者の検査時間が同一となるように他の条件を設定することもできる。
以下に、その設定条件について述べる。ここでは、検査時間3sec/本とする場合として例示する。
ピストンロッド100が半径R=11mmの場合、検査時間を3sec/本で終了するためには、式(5)においてスキャンレートfを未知数として求めれば良い。検査時間3sec/本の逆数が角速度に相当するため、N=1/3として代入すると、スキャンレートf=4.19kHzとなる。また、ピストンロッド100が半径R=14mmの場合、式(5)においてN=1/3として代入すると、スキャンレートf=5.33kHzとなる。従って、ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを、ピストンロッド100が半径R=11mmの場合には、4.19kHzとし、ピストンロッド100が半径R=14mmの場合には、5.33kHzとすれば、どちらの場合も、ピストンロッド100の周方向の全範囲の検査を3sec/本で終了することができる。この様に、ラインセンサカメラ107のスキャンレートfを変更することで、異径のピストンロッド100の表面欠陥検査を同一のタクトで行うことができる。
撮像・検査工程SP8-3においては、測定装置250が、移動部270のローラ101a,101b上のピストンロッド100の外周表面100dに、照射部290によって斜方向から光ビーム10を照射し、外周表面100dで反射した反射光をスクリーン102の外周表面102aに投影して光学像280を形成する像形工程と、像形工程でスクリーン102の外周表面102aに形成された光学像280をラインセンサカメラ107により撮像する撮像工程と、を含んでいる。これら像形工程と撮像工程とを並行して実行してピストンロッド100の外周表面100dを測定する。
撮像・検査工程SP8-3において、像形工程と撮像工程とを並行して実行する際に、測定装置250は、移動部270のローラ駆動モータ103でローラ101a,101bを回転させることよりピストンロッド100を回転させて、照射部290から照射された光ビーム10とピストンロッド100の外周表面100dとを相対的に移動させることにより外周表面100dを走査して、外周表面100dの周方向の全範囲を測定する。すなわち、図8に示すように、ピストンロッド100が回転することによって、図13に示すように、ラインセンサカメラ107が所定のスキャン間隔pでピストンロッド100の外周表面100dを周方向に順次測定することにより、外周表面100dを周方向の全範囲にわたって測定する。
また、撮像・検査工程SP8-3において、測定装置250は、ローラ101a,101bを回転させることと並行して、スクリーン駆動モータ300により円筒状のスクリーン102を一方向に連続して一定速度で回転させる。その結果、スクリーン102の外周表面102aは、一方向に連続して移動する。すなわち、光学像280をスクリーン102に形成してラインセンサカメラ107により撮像する際に、スクリーン駆動モータ300は、スクリーン102の外周表面102aを一方向に連続して移動させる。これにより、スクリーン102は、一定位置に投影される光学像280に対し、その外周表面102aにおける光学像280を映し出す部分が、一方向に連続してずれていく。
なお、スクリーン102は回転軸がX方向に延びる円筒状であり、スクリーン102の光学像280は、X方向が幅方向となる。このため、スクリーン駆動モータ300は、スクリーン102を光学像280の幅方向位置によらず一定の速度で連続して移動させる。言い換えれば、スクリーン駆動モータ300は、スクリーン102を光学像280の全幅において一定の速度で連続して移動させる。よって、撮像工程は、スクリーン102を、光学像280の幅方向位置によらず一定の速度で一方向に連続して移動させた状態で実行される。スクリーン102は、光学像280を映し出す部分が、光学像280の幅方向に対し直交する方向に移動する。
撮像・検査工程SP8-3においては、検査装置230が、測定装置250を用いて、ピストンロッド100の外周表面100dを被測定面として、この外周表面102dを測定することによりピストンロッド100を検査する。外周表面102dは円筒面である。
撮像・検査工程SP8-3においては、図14に示すように、光ビーム10をピストンロッド100の外周表面100dに斜め方向から照射し、外周表面100dで反射した反射光をスクリーン102に投射して光学像280を形成し、光学像280を光学センサであるラインセンサカメラ107により撮像する。そして、スクリーン102上に投射された光学像280の反射光強度分布像から、ピストンロッド100の外周表面100dの凹凸状態を判定する。例えば、図14に示すような外周表面100dの凹状の欠陥400を検出する。
図15(a)に示すように、ピストンロッド100の外周表面100dに凹凸がない場合、スクリーン102の光学像280に明暗は生じることがない。また、図15(b)に示すように、外周表面100dに凸状の欠陥401がある場合、凸状の欠陥401の端縁部での反射光は明るくなり、凸状の欠陥401の中間部での反射光は暗くなる。また、図15(c)に示すように、外周表面100dに凹状の欠陥400がある場合、凹状の欠陥400の端縁部での反射光は暗くなり、凹状の欠陥400の中間部での反射光は明るくなる。このような反射光強度分布像からピストンロッド100の外周表面100dの凹凸状態を判定する。
図16に、バフ剥がれからなる凹状の欠陥400を含むピストンロッド100をラインセンサカメラ107により撮像した反射光強度分布像を示す。また、図17に、このピストンロッド100のバフ剥がれからなる凹状の欠陥400を含む顕微鏡像を示す。さらに、図18に、粒状突起からなる凸状の欠陥401を含むピストンロッド100をラインセンサカメラ107により撮像した反射光強度分布像を示す。また、図19に、このピストンロッド100の粒状突起からなる凸状の欠陥401を含む顕微鏡像を示す。
ここで、照射光源がレーザ光源の場合、スクリーンでレーザスペックルが生じ、ラインセンサカメラ107により撮像した画像データに、スペックルノイズが含まれてしまう。
スペックルノイズは、レーザ光のようなコヒーレント光をスクリーンに投影すると、スクリーン表面の凹凸の反射光と投射光とが重なって干渉し、増幅することにより生じる。スペックルノイズは、ラインセンサカメラ107等の光学センサにより撮像すると画像に輝点あるいは黒点として観察される。スペックルノイズを除去するために、上記した特許文献1の装置では、スクリーンを振動させている。特許文献2の装置では、スクリーンを揺動させている。
スクリーンを揺動させた場合の画像データに含まれるスペックルノイズは、図20に示すように、周期的な波形状のノイズパターンとなり、画像処理による除去が困難となる。
これに対して、第1実施形態のようにスクリーン102を一方向に連続して移動させた状態でラインセンサカメラ107による撮像を実行すると、スペックルノイズの画像処理による除去が容易となる。すなわち、スクリーン102を一方向に連続して移動させる際に、スクリーン102を光学像280の幅方向位置によらず一定の速度で連続して移動させると、画像データに含まれるスペックルノイズは、図21に示すように、縦筋状のノイズパターンとなり、画像処理による除去が一層容易となる。
撮像・検査工程SP8-3の後、画像処理による欠陥検出工程SP8-4を行う。この画像処理としては、図22に示すように、まず、ラインセンサカメラ107により撮像した画像データを入力画像とする(ステップSPa1)。次に、入力画像を2次元FFT処理を行って画像データから周波数領域データに変換し振幅スペクトルを抽出したFFT画像を得る(ステップSPa2)。この振幅スペクトル上では低周波数成分が中心に集中し、中心から離れるにしたがって高周波数成分となる。
次に、この振幅スペクトルをハイパスフィルタによって高周波数成分を残し、低周波数成分を除去するハイパスフィルタ処理を行う(ステップSPa3)。その結果、低周波数成分の背景情報がなくなり、高周波数成分の輪郭だけが強調された結果が得られる。その後、FFT画像を2次元逆FFT処理(2次元逆フーリエ変換処理)を行って、周波数領域データから画像データ、すなわち2次元画像に戻す(ステップSPa4)。これにより、入力画像の輪郭だけが残る画像が得られる。上記のハイパスフィルタを使用することにより回転するスクリーンの縦筋状のノイズパターンを除去することができる。
例えば、入力画像が、図23に示すように、凹状の欠陥400を有し縦筋状のノイズを有している場合に、2次元FFT処理、ハイパスフィルタ処理および2次元逆FFT処理を行うと、図24に示すように、周期的な縦筋ノイズの濃淡情報が失われ、欠陥400の輪郭が強調されたハイパスフィルタ画像を得ることができる。
次に、平滑フィルタでデジタルノイズを低減する平滑処理を行う(ステップSPa5)。すると、図24に示すハイパスフィルタ画像から、図25に示すように、デジタルノイズが低減された平滑画像が得られる。次に、あらかじめ求めた画素(ピクセル)の基準輝度情報とデジタルノイズが低減された平滑画像から得られる各画素の輝度と比較して、基準輝度と各画素の輝度の差を濃淡値とする画像(輝度差分画像)を構成する(ステップSPa6)。図26は、図25に示す平滑画像の輝度差分画像である。
次に、輝度差分画像から設定した輝度差以上の画素を抽出する2値化処理を行うことによって欠陥を抽出する(ステップSPa7)。図27は、図26に示す高輝度抽出画像から欠陥を抽出した2値化画像である。次に、所定のラベリング画素面積を基準として、欠陥判定を行い、欠陥判定画像を生成する(ステップSPa8)。例えば、ラベリング画素面積が10画素以上であると欠陥と判定する。図28は、図27の2値化画像の欠陥を抽出した欠陥判定画像である。
検査装置230は、図6に示す信号処理部231が、図4に示す上記した表面検査工程SP8の、図5に示す撮像・検査工程SP8-3および欠陥検出工程SP8-4でのラインセンサカメラ107の撮像結果および画像処理結果に基づきピストンロッド100の適否を判断する評価工程SP9を行う。すなわち、検出した欠陥の数と欠陥の大きさとからピストンロッド100が良品であるか不良品であるかを判定する。例えば、欠陥の数が所定数以上であれば不良品と判定し、欠陥の数がこの所定数未満であっても欠陥の大きさが所定値よりも大きい致命的欠陥があれば不良品と判定し、これら以外を良品と判定する。
搬送装置260は、信号処理部231で制御される分岐部265を有している。搬送装置260は、検査装置230で良品と判定されたピストンロッド100を分岐部265で良品ライン261に搬送し良品ライン261を介して組み立てラインに搬出する良品搬送工程SP10と、不良品と判定されたピストンロッド100を分岐部265で不良品ライン262に搬出する不良品搬送工程SP11とを含む搬送工程を行う。すなわち、搬送装置260は、評価工程での評価結果に応じて部品であるピストンロッド100を搬送工程において異なる場所に搬送する。
上述したように、照射光源がレーザ光源の場合、スクリーンでレーザスペックルが生じ、光学センサにより撮像した画像データに、スペックルノイズが含まれてしまう。これを除去するために、上記した特許文献1の装置では、スクリーンを振動させており、特許文献2の装置では、スクリーンを揺動させているが、例えばスクリーンを揺動させた場合の画像データのスペックルノイズは、図20に示すように、波形状のノイズパターンとなり、画像処理による除去が困難となってしまう。また、スクリーンを振動させたり、揺動させたりすると、そのために振動が生じ、この振動が測定に影響を及ぼしてしまう可能性がある。
これに対して、以上に述べた第1実施形態によれば、主に下記の効果を奏する。
(1)光ビーム10を被測定面であるピストンロッド100の外周表面100dに照射し、この外周表面100dで反射した反射光をスクリーン102に投射して光学像280を形成し、この光学像280を光学センサであるラインセンサカメラ107により撮像する際に、スクリーン102を一方向に連続して移動させた状態でラインセンサカメラ107による撮像を実行する。これにより、スペックルノイズの画像処理による除去が容易となって、スペックルノイズによる影響を軽減することが可能となる。このようにスペックルノイズの影響を軽減することにより、ピストンロッド100の外周表面100dの測定精度が向上する。
(2)スクリーン102を一方向に連続して移動させるため、スクリーン102を振動させたり、揺動させたりする場合と比べて、振動が生じ難く、振動が測定に影響を及ぼしてしまう可能性を低減することができる。
(3)スクリーン102を一方向に連続して移動させた状態でラインセンサカメラ107による撮像を実行する際に、スクリーン102を光学像280の幅方向位置によらず一定の速度で連続して移動させる。これにより、ノイズパターンが、図21に示すように縦筋状となり、スペックルノイズの画像処理による除去が一層容易となる。したがって、ピストンロッド100の外周表面100dの測定精度が一層向上する。
(4)スクリーン102を、円筒状に形成し、連続的に回転させることで、スクリーン102の外周表面102aの移動が安定し測定精度が向上する。これにより、スペックルノイズの画像処理による除去が一層容易となる。したがって、ピストンロッド100の外周表面100dの測定精度が一層向上する。
(5)光ビーム10が、被測定面であるピストンロッド100の外周表面100dにスリット状に照射され、この光ビーム10とピストンロッド100の外周表面100dとを相対移動させることにより外周表面100dを走査する。このため、被測定面が曲面である上記のようなピストンロッド100の外周表面100dであっても測定ができる。
(6)スクリーン102に投射した光学像280を撮像する光学センサとして、ラインセンサカメラ107を用いて、光学像280を直線形状に撮像する。このため、測定のタクトタイムを短縮することができる。
(7)スクリーン102を一方向に連続して移動させることで、スクリーン102に投射した光学像280を撮像する光学センサとしてラインセンサカメラ107を用いた場合、同じ焦点深度で撮像できる。
(8)スクリーン102の円筒状の外周表面102aがランバート散乱体99で構成されている。このため、外周表面102aを均質にでき、光学像280が安定する。このため、ピストンロッド100の外周表面100dの測定精度が一層向上する。
(9)被測定面であるピストンロッド100の外周表面100dが凸状であり、光ビーム10が所定の幅および所定の厚さのスリット状をなし、光ビーム10を凸状のピストンロッド100の外周表面100dに沿って照射して、凸状のピストンロッド100の外周表面100dで反射した反射光をスクリーン102に投射して光学像280を形成する。凸状のピストンロッド100の外周表面100dにより光ビーム10の反射光が拡大されてスクリーン102に投射されるため、ピストンロッド100の外周表面100dの表面測定精度が一層向上する。
(10)光ビーム10の一部を凸状の被測定面であるピストンロッド100の外周表面100d上を通過させてスクリーン102に直接投射して基準光とし、基準光により特定される光学像280の測定箇所の反射光強度分布に基づきピストンロッド100の外周表面100dの表面状態を検査する。よって、測定箇所の位置を正確に特定できるため、ピストンロッド100の外周表面100dの測定精度が一層向上する。
(11)加工工程によって、ピストンロッド100の外周表面100dを鏡面処理する。検査工程によって、光ビーム10をピストンロッド100の外周表面100dに照射し、この外周表面100dで反射した反射光をスクリーン102に投射して形成した光学像280を光学センサであるラインセンサカメラ107により撮像する。評価工程によって、検査工程での撮像結果に基づき部品の適否を判断する。搬送工程によって、評価工程での評価結果に応じてピストンロッド100を異なる場所に搬送する。このようにして、被測定面としての外周表面100dを有するピストンロッド100を製造する。このようにピストンロッド100を製造する際に、検査工程での検査精度が、上記のように一層向上するため、ピストンロッド100の良品と不良品との仕分けの精度が一層向上する。
(12)像形工程によって、光ビーム10を鏡面状のピストンロッド100の外周表面100dに照射し、この外周表面100dで反射した反射光をスクリーン102に投射して形成した光学像280を形成し、撮像工程によって、スクリーン102を光学像280の幅方向位置によらず一定の速度で一方向に連続して移動させた状態でスクリーン102に形成された光学像280を光学センサであるラインセンサカメラ107により撮像する。
このようにピストンロッド100を検査する。その際に、検査精度が、上記のように一層向上するため、より正確にピストンロッド100の外周表面100dを検査することができる。
(13)測定装置260は、照射部290が、光ビーム10をスリット状に形成して部品の被測定面であるピストンロッド100の外周表面100dに向け出射する。移動部270が、照射部290から照射された光ビーム10とピストンロッド100の外周表面100dとを相対的に移動させる。スクリーン駆動モータ300が、ピストンロッド100の外周表面100dで反射した反射光が投射されて光学像280を形成するスクリーン102を回転させる。光学センサであるラインセンサカメラ107が光学像280を撮像する。スクリーン駆動モータ300が、スクリーン102を一方向に連続して移動させる。このため、スペックルノイズの画像処理による除去が容易となって、スペックルノイズによる影響を軽減することが可能となる。このようにスペックルノイズの影響を軽減することにより、ピストンロッド100の外周表面100dの測定精度が向上する。
ここで、第1実施形態においては、凸状のピストンロッド100の外周表面100dを被測定面として走査測定する場合を例にとり説明したが、ラインセンサカメラ107を用いるため、被測定面として種々の面を走査測定することが可能である。例えば、図29に示す変形例のように、被測定面が平面310からなる部品311の平面310を、スライド移動機構を含む移動部312によって同一平面内でスライドさせながら、平面310で反射した反射光をスクリーン102に投射して光学像315を形成し、光学像315をラインセンサカメラ107により撮像するようにしても良い。このときも、ラインセンサカメラ107は、移動部312と同期して撮像する。
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態を主に図30,図31に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、測定装置250Aが、一定厚さの帯状であって無端の輪に形成されたスクリーン102Aを有している。そして、第2実施形態の測定装置250Aは、このスクリーン102Aが、2つの回転ローラ320,321に巻回されている。2つの回転ローラ320,321は、いずれも、外周表面が円筒面であり、外周表面の円筒形の中心軸線を中心に回転可能に支持されている。これらの回転ローラ320,321は、中心軸線をX軸に平行に配置しており、互いに、X方向の位置を合わせている。ここで、スクリーン102Aが巻回される回転ローラは少なくとも2つあれば良く、3つ以上としても良い。その場合も、すべての回転ローラが中心軸線を平行にする。
第2実施形態の測定装置250Aは、これら回転ローラ320,321のY方向の間位置に、平坦な押圧面330を有するテンショナ331が設けられている。テンショナ331は、長手方向に直交する面での断面が略台形状となる板状部材である。テンショナ331は、平坦な押圧面330と、これと平行な平坦な背面332と、これらを繋ぐ一対の接続面333,334とを有している。
押圧面330は、長手方向に直交する長さが背面332よりも短く、長手方向に直交する方向の中央位置を背面332と合わせている。一方の接続面333は、押圧面330の長手方向に直交する方向の一端縁部と、背面332の長手方向に直交する方向の一端縁部とを結んでいる。他方の接続面334は、押圧面330の長手方向に直交する方向の他端縁部と、背面332の長手方向に直交する方向の他端縁部とを結んでいる。一対の接続面333,334は、いずれも、円筒面の一部の形状であり、テンショナ331の外側に向けて凸状となるように湾曲している。
テンショナ331は、押圧面330が、2つの回転ローラ320,321の中心軸線を含む面、すなわちXY面と平行に配置されて、Y方向において2つの回転ローラ320,321間の中間位置に配置されている。テンショナ331は、この押圧面330で、輪状のスクリーン102Aを輪の内側から外側に向けて押圧する。これにより、スクリーン102Aに、テンショナ331の押圧面330に倣って平面となる被投射面102Aaを形成する。被投射面102Aaは、XY面に平行に広がっている。
そして、2つの回転ローラ320,321のうちの一方を不図示のスクリーン駆動モータで駆動する。すると、回転ローラ320,321のこの一方で駆動されてスクリーン102Aおよび他方の回転ローラが回転する。これにより、スクリーン102Aは、被投射面102Aaを形成する部分がY方向に連続的に移動する。言い換えれば、スクリーン102Aは、一定位置に投影される光学像280Aに対し、その被投射面102Aaにおける光学像280Aを映し出す部分が、一方向に連続してずれていく。
第1実施形態と同様の照射部290が、光ビーム10を所定の幅W×所定の厚さt1のスリット状に形成して、第1実施形態と同様の移動部270によって回転させられるピストンロッド100の被測定面である外周表面100dに向け出射すると、スクリーン102Aは、ピストンロッド100の外周表面100dでの反射光を平坦な被投射面102Aaに投射して光学像280Aを形成し、この光学像280Aを、第1実施形態と同様のラインセンサカメラ107により撮像する。この光学像280Aは、第1実施形態と同様、スクリーン102Aの被投射面102Aaを形成する部分の移動方向であるY方向に対して直交するX方向に直線状に延び、全体がスクリーン102Aの被投射面102Aaに投影される。ラインセンサカメラ107は、第1実施形態と同様、スクリーン102Aの被投射面102Aaに形成された光学像280AをX軸に平行な直線形状に撮像する。
第2実施形態においても、光学センサであるラインセンサカメラ107による撮像を、スクリーン102Aを一方向に連続して移動させた状態で実行する。ラインセンサカメラ107による撮像を、スクリーン102Aを光学像280Aの幅方向位置によらず一定の速度で連続して移動させて実行する。スクリーン102Aは、光学像280Aを映し出す部分が、光学像280Aの幅方向に対し直交する方向に移動する。
第2実施形態によれば、スクリーン102Aが、帯状であって無端の輪に形成されて2つの回転ローラ320,321に巻回されているため、被投射面102Aaを平坦にすることができる。このようにすれば、光学像280Aがゆがみにくいため、ピストンロッド100の外周面100dの測定精度が一層向上する。
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態を主に図32に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態においては、測定装置250Bが、図32に示すように、一定厚さの帯状であって無端の輪に形成されたスクリーン102Bを有している。そして、第3実施形態の測定装置250Bは、このスクリーン102Bが、2つの回転ローラ350,351に巻回されている。2つの回転ローラ350,351は、いずれも、外周表面が円筒面であり、外周表面の円筒形の中心軸線を中心に回転可能に支持されている。これらの回転ローラ350,351は、中心軸線をY軸に平行に配置しており、互いに、Y方向の位置を合わせ、Z方向の位置を合わせている。ここで、スクリーン102Bが巻回される回転ローラは少なくとも2つあれば良く、3つ以上としても良い。その場合も、すべての回転ローラが中心軸線を平行にする。
第3実施形態の測定装置250Bは、スクリーン102Bにおけるこれら回転ローラ350,351の間に平面な被投射面102Baを形成する。被投射面120Baは、XY面に平行に広がっている。
そして、2つの回転ローラ350,351のうちの一方を不図示のスクリーン駆動モータで駆動する。すると、回転ローラ350,351のうちのこの一方で駆動されてスクリーン102Bおよび他方の回転ローラが回転する。これにより、スクリーン102Bは、被投射面102Baを形成する部分がX方向に連続的に移動する。言い換えれば、スクリーン102Bは、一定位置に投影される光学像280Bに対し、その被投射面102Baにおける光学像280Bを映し出す部分が、一方向に連続してずれていく。
第1実施形態と同様の照射部290が、光ビーム10を所定の幅W×所定の厚さt1のスリット状に形成して、第1実施形態と同様の移動部270によって回転させられるピストンロッド100の被測定面である外周表面100dに向け出射する。そうすると、スクリーン102Bは、ピストンロッド100の外周表面100dでの反射光を平坦な被投射面102Baに投射して光学像280Bを形成する。この光学像280Bを、第1実施形態と同様のラインセンサカメラ107により撮像する。この光学像280Bは、スクリーン102Bの被投射面102Baを形成する部分の移動方向に対して沿う方向、すなわちX方向に直線状に延び、ラインセンサカメラ107は、第1実施形態と同様、スクリーン102Bに形成された光学像280BをX軸に平行な直線形状に撮像する。
第3実施形態においても、光学センサであるラインセンサカメラ107による撮像を、スクリーン102Bを一方向に連続して移動させた状態で実行する。ラインセンサカメラ107による撮像を、スクリーン102Bを光学像280Bの幅方向位置によらず一定の速度で連続して移動させて実行する。スクリーン102Bは、光学像280Bを映し出す部分が、光学像280Bの幅方向に移動する。
第3実施形態によれば、スクリーン102Bが、帯状であって無端の輪に形成されて2つの回転ローラ350,351に巻回されているため、被投射面102Baを平坦にすることができる。このようにすれば、光学像280Bがゆがみにくいため、ピストンロッド101の外周表面101aの測定精度が一層向上する。
以上に述べた実施形態の第1の態様は、コヒーレントな光ビームを被測定面に照射し、前記被測定面で反射した反射光をスクリーンに投射して光学像を形成し、前記光学像を光学センサにより撮像する表面測定方法であって、前記光学センサによる撮像を、前記スクリーンを一方向に連続して移動させた状態で実行する。これにより、スペックルノイズの影響を軽減することができ、測定精度が向上する。
第2の態様は、第1の態様において、前記スクリーンを前記光学像の幅方向位置によらず一定の速度で連続して移動させる。このように、光学像の幅方向位置によらずスクリーンの移動速度が一定になることでノイズパターンが縦筋状となり測定精度が向上する。
第3の態様は、第2の態様において、前記スクリーンは、円筒状に形成され、連続的に回転させられる。これにより、スクリーンの表面移動が安定し検査精度が向上する。
第4の態様は、第3の態様において、前記光ビームは、スリット状に前記被測定面に照射され、前記被測定面と前記光ビームとを相対移動させることにより前記被測定面を走査する。これにより、被測定面が曲面であっても測定ができる。
第5の態様は、第4の態様において、前記光学センサは、ラインセンサであり、前記光学像を線形状に撮像する。これにより、測定のタクトタイムを短縮できる。
第6の態様は、第3の態様において、前記スクリーンは、円筒状の外周表面が拡散反射体で構成されている。これにより、スクリーンの表面を均質にでき、光学像が安定するため測定精度が向上する。
第7の態様は、第2の態様において、前記スクリーンは、帯状であって無端の輪に形成されて少なくとも2つの回転ローラに巻回され、前記回転ローラを回転駆動することにより前記スクリーンを一方向に連続して移動させる。これにより、スクリーンの被投射面が平坦になり光学像がゆがみにくいため、測定精度を向上できる。
第8の態様は、第2の態様において、前記被測定面は凸状であり、前記光ビームは所定の幅および所定の厚さのスリット状をなし、前記光ビームを凸状の前記被測定面に沿って照射して、凸状の前記被測定面で反射した反射光を前記スクリーンに投射して前記光学像を形成する。これにより、凸面である被測定面によって光ビームの反射光が拡大されるため、表面測定精度が向上する。
第9の態様は、第8の態様において、前記光ビームの一部を凸状の前記被測定面上を通過させて前記スクリーンに直接投射して基準光とし、前記基準光により特定される前記光学像の測定箇所の反射光強度分布に基づき前記被測定面の表面状態を検査する。これにより、測定箇所の位置を特定でき測定精度が向上する。
第10の態様は、被測定面を有する部品の製造方法であって、前記被測定面を鏡面処理する加工工程と、コヒーレントな光ビームを前記被測定面に照射し、前記被測定面で反射した反射光をスクリーンに投射して形成した光学像を光学センサにより撮像する検査工程と、前記検査工程での撮像結果に基づき部品の適否を判断する評価工程と、前記評価工程での評価結果に応じて部品を異なる場所に搬送する搬送工程と、を含み、前記検査工程を、前記スクリーンを一方向に連続して移動させた状態で実行する。これにより、検査工程でのスペックルノイズの影響を軽減することができ、検査精度を向上できる。
第11の態様は、第10の態様において、前記スクリーンを前記光学像の幅方向位置によらず一定の速度で連続して移動させる。このように、光学像の幅方向位置によらずスクリーンの移動速度が一定になることでノイズパターンが縦筋状となり検査精度が向上する。
第12の態様は、第11の態様において、前記スクリーンは、円筒状に形成され、連続的に回転させられる。これにより、スクリーンの表面移動が安定し検査精度が向上する。
第13の態様は、第12の態様において、前記被測定面は凸状であり、前記光ビームは所定の幅および所定の厚さのスリット状をなし、前記光ビームを凸状の前記被測定面に沿って照射して、凸状の前記被測定面で反射した反射光を前記スクリーンに投射して前記光学像を形成する。これにより、凸面である被測定面により光ビームの反射光が拡大されるため、検査精度が向上する。
第14の態様は、第13の態様において、前記光ビームの一部を凸状の前記被測定面上を通過させて前記スクリーンに直接投射して基準光とし、前記基準光により特定される前記光学像の測定箇所の反射光強度分布に基づき前記被測定面の表面状態を検査する。これにより、測定箇所の位置が特定でき検査精度が向上する。
第15の態様は、第11の態様において、前記スクリーンは、帯状であって無端の輪に形成されて少なくとも2つの回転ローラに巻回され、前記回転ローラを回転駆動することにより前記スクリーンを一方向に連続して移動させる。これにより、スクリーンの被投射面が平坦になり光学像がゆがみにくいため、検査精度が向上する。
第16の態様は、鏡面状の被測定面を有する部品の検査方法であって、コヒーレントな光ビームを前記被測定面に照射し、前記被測定面で反射した反射光をスクリーンに投射して光学像を形成する像形工程と、前記スクリーンに形成された前記光学像を光学センサにより撮像する撮像工程と、を含み、前記撮像工程を、前記スクリーンを前記光学像の幅方向位置によらず一定の速度で一方向に連続して移動させた状態で実行する。これにより、撮像工程でのスペックルノイズの影響を軽減することができ、検査精度を向上できる。
第17の態様は、第16の態様において、前記スクリーンは、円筒状に形成され、連続的に回転させられる。これにより、スクリーンの表面移動が安定し検査精度が向上する。
第18の態様は、第17の態様において、前記被測定面は凸状であり、前記光ビームは所定の幅および所定の厚さのスリット状をなし、前記光ビームを凸状の前記被測定面に沿って照射して、凸状の前記被測定面で反射した反射光を前記スクリーンに投射して前記光学像を形成する。これにより、凸面からなる被測定面によって光ビームの反射光が拡大され、検査精度が向上する。
第19の態様は、第16の態様において、前記スクリーンは、帯状であって無端の輪に形成されて少なくとも2つの回転ローラに巻回され、前記回転ローラを回転駆動することにより前記スクリーンを一方向に連続して移動させる。これにより、スクリーンの被投射面が平坦になり光学像がゆがみにくいため、検査精度を向上できる。
第20の態様は、部品の被測定面を測定する測定装置であって、コヒーレントな光ビームをスリット状に形成して前記部品の被測定面に向け出射する照射部と、前記照射部から照射された前記光ビームと前記部品の被測定面とを相対的に移動させる移動部と、前記部品の被測定面で反射した反射光が投射されて光学像を形成するスクリーンと、前記光学像を撮像する光学センサと、前記スクリーンを一方向に連続して移動させる駆動源と、を備える。これにより、スペックルノイズの影響を軽減することができ、測定精度が向上する。