JP7068340B2 - 感光性樹脂積層体 - Google Patents

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Description

本発明は感光性樹脂積層体に関する。
パソコン、携帯電話等の電子機器には、部品、半導体等を実装するためにプリント配線板等が用いられる。プリント配線板等の製造用レジストとしては、従来、支持フィルム上に感光性樹脂組成物層を積層し、更に該感光性樹脂組成物層上に必要に応じて保護フィルムを積層して成る感光性樹脂積層体、いわゆるドライフィルムフォトレジスト(以下、DFと呼ぶこともある)が用いられている。感光性樹脂組成物層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型のものが一般的である。DFを用いてプリント配線板等を作製するには、例えば、以下の工程を経由する。DFが保護フィルムを有する場合には、まず保護フィルムを剥離する。その後、銅張積層板又はフレキシブル基板等の永久回路作製用基板上にラミネーター等を用いてDFをラミネートし、配線パターンマスクフィルム等を通して露光を行う。次に、必要に応じて支持フィルムを剥離し、現像液により未硬化部分(例えばネガ型では未露光部分)の感光性樹脂組成物層を溶解又は分散除去し、基板上に硬化レジストパターン(以下、単にレジストパターンと呼ぶこともある)を形成させる。
レジストパターン形成後、回路を形成させるプロセスは、大きく2つの方法に分かれる。第一の方法は、レジストパターンによって覆われていない基板面(例えば銅張積層板の銅面)をエッチング除去した後、レジストパターン部分を現像液よりも強いアルカリ水溶液で除去する方法(エッチング法)である。第二の方法は、上記基板面に、銅、半田、ニッケル、スズ等のメッキ処理を行った後、第一の方法と同様にしてレジストパターン部分を除去し、更に、現れた基板面(例えば銅張積層板の銅面)をエッチングする方法(メッキ法)である。エッチングには塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液等が用いられる。近年では、電子機器の小型化及び軽量化に伴い、プリント配線板の微細化及び高密度化が進んでおり、上記のような製造工程において高解像性、良好な線幅再現性等を与える高性能DFが求められている。
特許文献1には、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物からなる層と、を備える感光性エレメントであって、前記支持フィルムのヘイズが0.01~2.0%であり、かつ該支持フィルム中に含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm2以下であり、前記感光性樹脂組成物からなる層が、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有し、かつ、前記感光性樹脂組成物からなる層の厚さが3~30μmである感光性エレメントが記載されており、レジストの欠損を低減することを目的としている。
国際公開第2008/093643号
上記特許文献1は、レジストの欠損を低減するために直径5μm以上の微粒子の数に着目している。しかし本願の発明者が鋭意検討した結果、レジストの形状異常の原因としては、微粒子そのものに加え、支持フィルム内の微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)も考えられることを見出した。特許文献1は、直径5μm以上の微粒子の数には着目しているが、支持フィルム内の微粒子以外の光学異常領域には着目していない。支持フィルム中の光学異常領域が多いと、光の散乱、回折等が起こり、本来光を当てたくない部分に光が当たってしまったり、異物が露光光を遮ってしまい、本来露光光を当てたい場所に露光光が当たらなくなったりといった露光制御不良が生じる。このような露光制御不良が原因で、レジスト突起が発生し、所望のレジストパターン形状を得ることができなくなることがある。特許文献1は、このようなレジスト突起の発生について着目しておらず、レジスト突起を回避可能な感光性樹脂積層体は得られていないのが現状である。
本発明の一態様は、上記の課題を解決し、レジスト突起を回避し、良好なレジストパターン形状を与える感光性樹脂積層体の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた。その結果、一態様において、以下の技術的手段により、係る課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された、感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
前記支持フィルムは微粒子を含み、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が300ppm以下である領域を含む、感光性樹脂積層体。
[2] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が200ppm以下である領域を含む、上記態様1に記載の感光性樹脂積層体。
[3] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が100ppm以下である領域を含む、上記態様1に記載の感光性樹脂積層体。
[4] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が50ppm以下である領域を含む、上記態様1に記載の感光性樹脂積層体。
[5] 前記支持フィルムは、質量基準で、微粒子を10ppm以上で含む、上記態様1~4のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[6] 支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
前記支持フィルムは微粒子を含み、
前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、数平均で1200個以下となる領域を有する感光性樹脂積層体。
[7] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、数平均で1000個以下となる領域を有する、上記態様6に記載の感光性樹脂積層体。
[8] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、900個以下となる領域を有する、上記態様6に記載の感光性樹脂積層体。
[9] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、500個以下となる領域を有する、上記態様6に記載の感光性樹脂積層体。
[10] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、200個以下となる領域を有する、上記態様6に記載の感光性樹脂積層体。
[11] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、500個以下となる領域を有する、上記態様6~10のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[12] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、300個以下となる領域を有する、上記態様11に記載の感光性樹脂積層体。
[13] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、100個以下となる領域を有する、上記態様11に記載の感光性樹脂積層体。
[14] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、50個以下となる領域を有する、上記態様11に記載の感光性樹脂積層体。
[15] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、200個以下となる領域を有する、上記態様6~14のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[16] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、100個以下となる領域を有する、上記態様15に記載の感光性樹脂積層体。
[17] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、50個以下となる領域を有する、上記態様15に記載の感光性樹脂積層体。
[18] 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、10個以下となる領域を有する、上記態様15に記載の感光性樹脂積層体。
[19] 前記微粒子の屈折率と前記支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差が0.2以下である、上記態様1~18のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[20] 前記微粒子の屈折率と前記支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差が0.1以下である、上記態様19に記載の感光性樹脂積層体。
[21] 前記微粒子の屈折率と前記支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差が0.05以下である、上記態様19に記載の感光性樹脂積層体。
[22] 前記微粒子の屈折率と前記支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差が0.02以下である、上記態様19に記載の感光性樹脂積層体。
[23] 前記光学異常領域は空洞を含む、上記態様1~22のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[24] 前記光学異常領域は前記支持フィルムの主領域と配向性が異なる領域を含む、上記態様1~23のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[25] 前記光学異常領域は前記支持フィルムの主領域と結晶性が異なる領域を含む、上記態様1~24のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[26] ライン幅/スペース幅が20/20(μm)以下の配線形成用である、上記態様1~25のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
[27] ライン幅/スペース幅が10/10(μm)未満の配線形成用である、上記態様26に記載の感光性樹脂積層体。
[28] 上記態様1~27のいずれかに記載の感光性樹脂積層体を用いる、プリント配線板におけるレジストパターンの製造方法。
[29] セミアディティブ法による、上記態様28に記載の方法。
[30] 前記レジストパターンのライン幅/スペース幅が10/10(μm)未満である、上記態様28又は29に記載の方法。
[31] 支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された、感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
直接描画露光機を用いてライン幅/スペース幅が8/8(μm)のレジストパターンを基板上に形成した場合に、支持フィルムの感光性樹脂組成物層側の表面に焦点を合わせた際の線幅と、当該表面から厚み方向に400μm基板内側にずらした際の線幅の差が1.8μm以下である、感光性樹脂積層体。
本発明の一態様によれば、レジスト突起を回避し、良好なレジストパターン形状を与える感光性樹脂積層体が提供され得る。
図1は、光学異常領域の合計面積の測定方法について説明する図である。 図2は、微粒子数のレーザー顕微鏡モードによる測定について説明する図である。 図3は、微粒子数の光学顕微鏡モードによる測定ついて説明する図である。
以下、本発明を実施するための例示の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[感光性樹脂積層体]
本実施の形態は、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された、感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体を提供する。本実施の形態は、支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が300ppm以下である。
支持フィルムとしては、露光光源から放射される光を透過する透明な支持フィルムが好ましい。このような支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものも使用可能である。
また、支持フィルムは単層構造であってもよく、複数の組成から形成される樹脂層を積層した多層構造であってもよい。多層構造の場合、帯電防止層があってもよい。2層構造や3層構造のような多層構造の場合、例えば、一方の面Aに微粒子を含有する樹脂層を形成し、もう一方の面Bには、(1)面Aと同じように微粒子を含有、(2)面Aより少量の微粒子を含有、(3)面Aより細かい微粒子を含有、(4)微粒子を含有しない、といった構造をとることができる。(2)、(3)、(4)の構造の場合は、面B側に感光性樹脂組成物層を形成することが好ましい。このとき、面A側に微粒子を含有する樹脂層があると、フィルムの滑り性等の観点から好ましい。
支持フィルムにおいては、落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が、300ppm以下であり、より好ましくは250ppm以下、より好ましくは200ppm以下、より好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下、より好ましくは80ppm以下、より好ましくは70ppm以下、より好ましくは60ppm以下、より好ましくは50ppm以下、より好ましくは40ppm以下、より好ましくは20ppm以下、より好ましくは10ppm以下である。上記合計面積比率が小さい程、遮光、異常な屈折又は回折等が低減されるためレジスト突起の回避において有利である。レジスト突起は(特にセミアディティブ法(SAP)において)配線の欠けをもたらし、配線の規定抵抗値からのずれ、ひいては回路の信頼性低下(すなわち信号(正弦波)の乱れ)の原因となることから、レジスト突起を回避することは回路の良好な信頼性を得る点で有利である。支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率は、1ppm以上であってもよく、5ppm以上、10ppm以上、20ppm以上であってもよい。
本開示の光学異常領域の面積と微粒子の数は、支持フィルムの厚みの中心2μmの領域で観測される光学異常領域の面積と微粒子の数を意味し、支持フィルムが多層構造の場合は、多層構造全体の厚みの中心2μmの領域で測定される光学異常領域の面積と微粒子の数を意味する。
以下、支持フィルムの厚み中心2μmの領域で光学異常領域の面積及び微粒子の数を測定する理由について説明する。
本件発明者が鋭意検討した結果、光の散乱、回折、遮光等の主な要因は光学異常領域であることを見出した。本開示で、光学異常領域とは、支持フィルムの主領域(支持フィルムを構成する樹脂)とは光学物性が異なる領域(具体的には、反射率若しくは屈折率が主領域と異なるか、又は、散乱、回折等の光学的現象が主領域よりも強く生じる領域)である。光学異常領域は、微粒子による遮光部分と、微粒子以外の光学異常領域(例えば、微粒子及び支持フィルムの主領域とは異なる屈折率を有する異常屈折率領域)との両者を含み得る。光学異常領域の例は、支持フィルムの主領域と配向性及び/又は結晶性が異なる領域、空気の領域、空気以外の気体の領域、気体がほぼ存在しない空洞領域等である。例えば、支持フィルムの製造工程において延伸が行われる場合、支持フィルム内に微粒子がある等の理由により、延伸条件が微粒子の付近で他の領域と異なる領域が発生することがある。この領域は配向性及び/又は結晶性が他の領域と異なるため、他の領域と屈折率が異なる。また、支持フィルムの製造工程において、支持フィルム内に微粒子がある等の理由により、空気の領域、空気以外の気体の領域、空洞領域が生じる可能性がある。この領域は他の領域と屈折率が異なる。異常屈折率領域等の光学異常領域は微粒子の近傍に存在することが多いが、必ずしも微粒子の近傍に存在するとは限らない。光学異常領域は周りの主領域と屈折率等が異なるため、光学顕微鏡等で視認した際に光学異常領域と主領域との間で光が散乱、屈折するため、明るく見える等、主領域と異なる見え方をする。光学異常領域(特に異常屈折率領域)の発生原因上、支持フィルムの表面には光学異常領域は発生しにくく、支持フィルムの内部で発生しやすいため、本開示では、支持フィルムの厚み中心2μmの領域で光学異常領域の面積及び微粒子の数を測定する。
光学異常領域を低減する方法としては、微粒子表面の支持フィルム構成材料に対する親和性を向上させる方法(例えば、支持フィルムがPETフィルムである場合、微粒子表面を芳香族系ポリマーでコーティングする方法)、支持フィルムの二軸延伸後に再度フィルムを支持フィルムのガラス転移温度以上の温度で熱圧着処理し、光学異常領域(特に異常屈折率領域)を消失させる方法等が有用である。支持フィルムがPETフィルムである場合、熱圧着処理の温度は、例えば約180~250℃でもよい。
光学異常領域の合計面積の測定方法は下記のとおりである。落射型レーザー顕微鏡(Olympus製OLS-4100)の対物レンズの上部に偏光フィルター(OLS4000-QWP)を挿入する。次にレーザー顕微鏡のステージ上に多孔質吸着板(ユニバーサル技研製65F-HG)及び真空ポンプを用いて30mm×30mmに切断した支持フィルムサンプルを水平に吸引固定する。吸引固定した支持フィルムを、対物レンズ50倍のレーザー光量60(レーザー波長は405nm)にて観測する。この際、支持フィルムの厚み方向の中心2μmの領域を測定領域に定め、測定領域259μm×260μmで測定箇所数200点で計測を行う(したがって、測定領域は合計で0.259mm×0.26mm×200=13.5mm2となる)。
計測された画像内の最大光量のピクセルと最小光量のピクセルとの光量差を4096階調(最大光量の値が4095で、最小光量の値が0になる)に分ける。画像内のピクセルの光量分布をグラフ化したヒストグラム(横軸:光量の階調(最小値0、最大値4095)、縦軸:ピクセルの個数)を作成する。作成したヒストグラムの2つある裾野の値の大きい方の裾野の値から400階調プラスした階調を閾値として、計測された画像を二値化し、閾値よりも光量が大きいピクセルの面積を合計し、その合計面積を光学異常領域の合計面積とする。計測面積に対する光学異常領域の合算面積の比率を算出する。
図1は、光学異常領域の合計面積の測定方法について説明する図である。図1では例示のヒストグラムを示している。ヒストグラムのα、βの点は、計測画面内に光量α(最大光量の値が4095で、最小光量の値が0になるとなるように4096階調で規格化されている)のピクセルがβ個存在していることを示す。ヒストグラムの大きい方の裾野(光量0のところも裾野とカウントするため、2つある裾野の一方は光量0のところとなる。)から400階調プラスした階調を閾値とする。閾値以上の光量を有するピクセル(典型的には、数ピクセル程度と極めて少ない)を閾値で二値化する(すなわち、閾値より低い光量のピクセルを黒、閾値より高い光量のピクセルを白とする)と、黒い計測画面の中に数ピクセル白い点が存在する。この白い点が遮光部分、すなわち、支持フィルム内の微粒子やその他の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)により落射型レーザー顕微鏡のレーザーが反射された部分に対応する。上記測定をOlympus製OLS-4100のレーザー顕微鏡モードによる測定とする。
次に、微粒子の数の測定方法は下記のとおりである。
光学異常領域の合計面積を測定した後、落射型レーザー顕微鏡(Olympus製OLS-4100)を光学顕微鏡モードに切り替える。その後、測定領域259μm×260μmで目視によりレーザー顕微鏡モードで確認された遮光部分の位置(すなわち微粒子の位置)に対応する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数及びその直径を測定する。即ち、レーザー顕微鏡モードで白い点(遮光部分)としてカウントされた箇所を光学顕微鏡モードで目視で観察し、白い点が微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子であったかどうかを確認し、更に、その直径を目視で測定する。
同様の測定を測定箇所数200点で実施し(即ち、0.259mm×0.26mm×200=13.5mm2の面積で実施し)、微粒子の直径毎にその合計数を算出する。微粒子が完全な球体ではない場合は、微粒子の最も長い幅をその微粒子の径とする。
図2は、微粒子数のレーザー顕微鏡モードによる測定について説明する図であり、白い点が遮光部分に該当する。また、図3は、微粒子数の光学顕微鏡モードによる測定について説明する図である。
仮に図2の白点線領域の場所が図3の白点線領域の場所に対応しているとする。この場合、図2の白点線領域に該当する領域に1つの微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子が存在することとなる。これをレーザー顕微鏡モードで観測した白い点(遮光領域)全ての箇所で光学顕微鏡モードにより観測を行い、微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数及びその直径を測定する。レーザー顕微鏡モードで観測した白い点(遮光領域)が微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子ではない場合もある。
支持フィルムが微粒子を全く含まないと、感光性樹脂積層体をロールに巻取る場合に十分な巻取り性を得るのが難しいことから、本実施の形態において、支持フィルムは微粒子を含む。微粒子の含有量は、特に制限はないが、支持フィルムに対して、質量比で、好ましくは5~1,000ppm、より好ましくは10~800ppm、特に好ましくは20~500ppmである。
支持フィルムに含まれる微粒子としては、例えば無機微粒子又は有機微粒子があり、滑剤、添加剤の凝集物、原料に混入している異物、製造工程上混入する異物等がある。微粒子の具体例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ(二酸化ケイ素)、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ(酸化アルミニウム)、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子等が挙げられる。これらは単独であっても、二種以上の組み合わせであってもよい。
微粒子は常法に従って支持フィルムに配合される。遮光部分の合計面積が特定範囲とされた支持フィルムを製造するには、例えば、材料樹脂をフィルター(例えば2.0μm以下の目のフィルター)で濾過する等の方法が挙げられる。フィルターの目を細かくするほど、また、材料樹脂をフィルターに通す回数を多くするほど、材料樹脂中の微粒子の数が少なく、微粒子の大きさが小さくなり遮光部分の合計面積が小さくなる。
レジスト突起の発生を抑制するとの観点から、微粒子の屈折率と支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差は、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.18以下、より好ましくは0.15以下、より好ましくは0.12以下、より好ましくは0.1以下、より好ましくは、0.08以下、より好ましくは0.05以下、より好ましくは0.04以下、より好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下、特に好ましくは0.01以下である。微粒子と支持フィルムとの屈折率差が小さいと光の散乱が低減される傾向がある。本開示で、「支持フィルムの主領域」とは、支持フィルムの光学異常領域以外の領域で支持フィルムの大部分を占める領域を意味する。感光性樹脂積層体用の支持フィルムの屈折率は、典型的には、1.4~1.7程度であることから、微粒子と支持フィルムとの屈折率差を小さくする手段としては、微粒子として、屈折率が同程度のものを用いることが挙げられる。支持フィルムの屈折率は好ましくは1.4~1.7で、より好ましくは1.5~1.7である。
尚、本願明細書における屈折率は波長589nmにおける屈折率を意味する。
支持フィルム内の微粒子の数を減らす方法としては、微粒子を取り除くフィルターを通したフィルム材料を用いて支持フィルムを製造する方法等を例示できる。例えば、直径0.5μm以上の微粒子の数を少なくしたい場合は、直径0.5μm以上の微粒子を取り除くフィルターを使用すればよい。なお、このようなフィルターの使用後に、微粒子を後添加することで、微粒子の数を所望の範囲内まで増加させて微粒子数を調整してもよい。
光学異常領域は光を特に散乱、回折等させる領域であることから、微粒子と微粒子以外の光学異常領域とが近接して存在すると光の散乱が顕著になり好ましくない。従って、微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)の近傍に存在する微粒子数が低減されていることが好ましい。
支持フィルム中の微粒子による遮光の影響を少なくするとの観点から、支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数が、好ましくは1500個以下、好ましくは1200個以下、好ましくは1000個以下、好ましくは900個以下、好ましくは800個以下、好ましくは700個以下、好ましくは600個以下、好ましくは500個以下、好ましくは400個以下、好ましくは300個以下、より好ましくは200個以下、より好ましくは100個以下、更に好ましくは80個以下、更に好ましくは50個以下、更に好ましくは30個以下、特に好ましくは10個以下となる領域を有することが好ましい。この直径0.5μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
好ましい一態様は、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された、感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
支持フィルムは、微粒子を含み、該支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が300ppm以下である領域を含み、かつ、
支持フィルムは、該支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の微粒子のうち、光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、数平均で1200個以下となる領域を有する、感光性樹脂積層体を提供する。
また、上記態様の代替又は上記態様との組合せに係る感光性樹脂積層体においては、直接描画露光機を用いてライン幅/スペース幅が8/8(μm)のレジストパターンを基板上に形成した場合に、支持フィルムの感光性樹脂組成物層側の表面に焦点を合わせた際の線幅と、当該表面から厚み方向に400μm基板内側にずらした際の線幅の差が1.8μm以下である。
なお本開示で、直径が特定値の微粒子とは、直径が当該特定値の一次粒子と、一次粒子の凝集物の直径が当該特定値の一次粒子凝集物とを包含することを意味する。尚、一次粒子が完全なる球体ではない場合は、一次粒子の最も長い幅をその一次粒子の径とする。また、一次粒子凝集物が完全なる球体ではない場合は、一次粒子凝集物の最も長い幅をその一次粒子凝集物の径とする。例えば、直径0.5μm以上の微粒子には、直径が0.5μm以上の一次粒子と、直径0.5μm以下の一次粒子の凝集物で直径が0.5μm以上の一次粒子凝集物が含まれる。
光学異常領域は光学顕微鏡モードで観測した際に、その周囲の主領域と見え方(光の透過、反射)が異なるため、図3のように微粒子が微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接するか否かは光学顕微鏡で目視で観測が可能である。
なお、支持フィルム中で微粒子の数を測定したときに、本実施の形態の特定の態様に規定される微粒子数を有する箇所があれば、感光性樹脂積層体は当該特定の態様に係る感光性樹脂積層体に包含される。すなわち、ある箇所で測定したときには規定の微粒子数を満たさないとしても、別の箇所で測定したときに規定の微粒子数を満たす場合には、その感光性樹脂積層体は当該特定の態様に係る感光性樹脂積層体に包含される。
好ましい態様においては、支持フィルムの総面積のうち好ましくは5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは20%以上、好ましくは30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは約100%(すなわち実質的に全域)が、本実施の形態の特定の態様に規定される特定の光学異常領域、又は特定の微粒子(遮光面積、直径及び微粒子数)を有する領域である。
感光性樹脂積層体のロール巻取り性を良好に得る観点から、支持フィルムは微粒子を含む。また、支持フィルムは、13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数が、好ましくは1個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは5個以上となる領域を有することができる。この直径0.5μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
本実施の形態において、支持フィルムは、13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域と)接する微粒子の数が、好ましくは500個以下、より好ましくは400個以下、より好ましくは300個以下、より好ましくは200個以下、更に好ましくは100個以下、更に好ましくは80個以下、更に好ましくは50個以下、更に好ましくは30個以下、特に好ましくは10個以下となる領域を有することができる。この直径1.0μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
感光性樹脂積層体のロール巻取り性を良好に得る観点から、支持フィルムは微粒子を含む。また、支持フィルムは、13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数が、好ましくは1個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは5個以上となる領域を有することができる。この直径1.0μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
本実施の形態において、支持フィルムは、13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数が、10箇所の数平均で、好ましくは200個以下、より好ましくは180個以下、より好ましくは150個以下、より好ましくは120個以下、更に好ましくは100個以下、更に好ましくは80個以下、更に好ましくは50個以下、更に好ましくは30個以下、特に好ましくは10個以下となる領域を有することができる。この直径2.0μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
感光性樹脂積層体のロール巻取り性を良好に得る観点から、支持フィルムは微粒子を含む。また、支持フィルムは、13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数が、好ましくは1個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは5個以上となる領域を有することができる。この直径2.0μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
本実施の形態はまた、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
支持フィルムは微粒子を含んでおり、
支持フィルムは、13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数が、10箇所の数平均で1500個以下となる領域を有する感光性樹脂積層体を提供する。この光学異常領域と接する微粒子の数は、10箇所の数平均で1200個以下でもよく、1000個以下でもよく、800個以下でもよく、500個以下でもよく、300個以下でもよく、100個以下でもよい。
この感光性樹脂積層体においては、上記13.5mm2の面積に含まれる、微粒子以外の光学異常領域としての異常屈折率領域と接し、且つ、支持フィルムの主領域との屈折率差が、好ましくは0.2以下、好ましくは0.15以下、好ましくは0.10以下、より好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下である直径0.5μm以上の微粒子の数が、1個以上であってもよく、10個以上であってもよく、50個以上であってもよい。
異常屈折率領域と接している微粒子の数は少ない方が好ましいが、支持フィルムの主領域との屈折率差が小さい微粒子であれば光の散乱の不都合が小さい。また、微粒子の存在は感光性樹脂積層体の滑り性の向上という利点を与え、感光性樹脂積層体をロールに巻取る場合の優れた巻取り性に寄与できる。
この直径0.5μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
本実施の形態はまた、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
支持フィルムは微粒子を含んでおり、
支持フィルムは、13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数が、500個以下となる領域を有する感光性樹脂積層体を提供する。この光学異常領域と接する微粒子の数は、400個以下でもよく、300個以下でもよく、250個以下でもよく、200個以下でもよく、150個以下でもよく、100個以下でもよく、80個以下でもよく、50個以下でもよく、30個以下でもよく、10個以下でもよく、5個以下でもよい。
この感光性樹脂積層体においては、上記13.5mm2の面積に含まれる、微粒子以外の光学異常領域としての異常屈折率領域と接し、且つ、支持フィルムの主領域との屈折率差が、好ましくは0.2以下、好ましくは0.15以下、好ましくは0.10以下、より好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下である直径1.0μm以上の微粒子の数が、10箇所の数平均で1個以上であってもよく、5個以上であってもよく、10個以上であってもよい。
この直径1.0μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
本実施の形態はまた、支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
支持フィルムは微粒子を含んでおり、
支持フィルムは、13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の微粒子のうち、支持フィルムの主領域とは異なる光学物性(例えば屈折率)を有する微粒子以外の光学異常領域(例えば異常屈折率領域)と接する微粒子の数が、200個以下となる領域を有する感光性樹脂積層体を提供する。この光学異常領域と接する微粒子の数は、より好ましくは180個以下、より好ましくは150個以下、より好ましくは120個以下、更に好ましくは100個以下、更に好ましくは80個以下、更に好ましくは50個以下、更に好ましくは30個以下、特に好ましくは10個以下であってもよい。
この感光性樹脂積層体においては、上記13.5mm2の面積に含まれる、微粒子以外の光学異常領域としての異常屈折率領域と接し、且つ、支持フィルムの主領域との屈折率差が、好ましくは0.2以下、好ましくは0.15以下、好ましくは0.10以下、より好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下である直径2.0μm以上の微粒子の数が、10箇所の数平均で1個以上であってもよく、5個以上であってもよく、10個以上であってもよい。
この直径2.0μm以上の微粒子の直径については特に上限はないが、10μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4.5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。
支持フィルムは、露光時の光散乱を抑制する観点からヘイズ5%以下のものであることが好ましく、2%以下がより好ましく、1.5%以下が更に好ましく、1.0%以下が特に好ましい。同様の観点から、感光層と接する面の表面粗さRaは30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が特に好ましい。
支持フィルムの厚みは、薄いほど画像形成性及び経済性を向上させるため有利であるが、感光性樹脂積層体の強度を維持するために、10μm~30μmのものが好ましく用いられる。
感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、感光性樹脂組成物層との密着力が持層よりも充分小さく、容易に剥離できることである。例えば、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムが、保護層として好ましく使用されることができる。また、特開昭59-202457号公報に示された剥離性の優れたフィルムを用いることもできる。保護層の膜厚は10μm~100μmが好ましく、10μm~50μmがより好ましい。
ポリエチレンフィルム表面には、フィッシュアイと呼ばれるゲルが存在する場合がある。フィッシュアイを有するポリエチレンフィルムを保護層として用いた場合には、該フィッシュアイが感光性樹脂組成物層に転写されることがある。フィッシュアイが感光性樹脂組成物層に転写されると、ラミネート時に空気を巻き込んで空隙になることがあり、レジストパターンの欠損につながる。フィッシュアイを防ぐ観点から、保護層の材質としては、延伸ポリプロピレンが好ましい。具体例としては王子製紙(株)製 アルファンE-200Aを挙げることができる。
感光性樹脂積層体における感光性樹脂組成物層の厚みは、用途において異なるが、好ましくは1μm~300μm、より好ましくは3μm~100μm、特に好ましくは5μm~60μm、最も好ましくは10μm~30μmである。感光性樹脂組成物層の厚みは、薄いほど解像度が向上し、また厚いほど膜強度が向上する。
次に、感光性樹脂積層体の製造方法について説明する。
支持フィルム及び感光性樹脂組成物層、並びに必要により保護層を順次積層して感光性樹脂積層体を作製する方法としては、既知の方法を採用することができる。例えば、感光性樹脂組成物層に用いる感光性樹脂組成物を、これを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液にし、まず支持フィルム上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布し、次いで乾燥して前記溶剤を除去することにより、支持フィルム上に感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂組成物層を積層することができる。次いで必要により、感光性樹脂組成物層上に保護層をラミネートすることにより、感光性樹脂積層体を作製することができる。
[感光性樹脂組成物]
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性高分子、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含むことが好ましい。感光性樹脂組成物は、該感光性樹脂組成物の全固形分質量基準で、(A)アルカリ可溶性高分子:10質量%~90質量%;(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:5質量%~70質量%;及び(C)光重合開始剤:0.01質量%~20質量%を含むことが好ましい。以下、各成分を順に説明する。
<(A)アルカリ可溶性高分子>
本開示で、(A)アルカリ可溶性高分子は、アルカリ物質に溶け易い高分子を包含する。より具体的には、(A)アルカリ可溶性高分子に含まれるカルボキシル基の量は、酸当量で100~600であり、好ましくは250~450である。酸当量とは、その分子中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量(単位:グラム)を言う。(A)アルカリ可溶性高分子中のカルボキシル基は、感光性樹脂組成物層に、アルカリ水溶液に対する現像性及び剥離性を与えるために必要である。酸当量を100以上にすることは、現像耐性、解像性、及び密着性を向上させる観点から好ましい。そして酸当量を250以上にすることがより好ましい。一方で、酸当量を600以下にすることは、現像性及び剥離性を向上させる観点から好ましい。そして酸当量を450以下にすることがより好ましい。本開示で、酸当量は、電位差滴定装置を用い、0.1mol/LのNaOH水溶液で滴定する電位差滴定法により測定される値である。
(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、5,000~500,000であることが好ましい。重量平均分子量を500,000以下にすることは、解像性及び現像性を向上させる観点から好ましい。重量平均分子量を100,000以下にすることがより好ましく、60,000以下にすることが更に好ましく、50,000以下にすることが特に好ましい。一方で、重量平均分子量を5,000以上にすることは、現像凝集物の性状、並びに感光性樹脂積層体とした場合のエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御する観点から好ましい。重量平均分子量を10,000以上にすることがより好ましく、20,000以上にすることが更に好ましい。エッジフューズ性とは、感光性樹脂積層体としてロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの、感光性樹脂組成物層(すなわち感光性樹脂組成物から成る層)のはみ出し易さの程度をいう。カットチップ性とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度をいう。このチップが感光性樹脂積層体の上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して、不良品の原因となる。(A)アルカリ可溶性高分子の分散度は、1.0~6.0であることが好ましく、1.0~5.0であることがより好ましく、1.0~4.0であることが更に好ましく、1.0~3.0であることが更に好ましい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物は、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制する観点から、(A)アルカリ可溶性高分子として、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含むものであることが好ましい。なお、このような芳香族炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基や、置換又は非置換のアラルキル基が挙げられる。この(A)アルカリ可溶性高分子における芳香族炭化水素基を有する単量体成分の含有割合は、全単量体成分の合計質量を基準として、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、55質量%以上であることが特に好ましく、60質量%以上であることが最も好ましい。上限としては特に限定されないが、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。なお、(A)アルカリ可溶性高分子を複数種類含有する場合における、芳香族炭化水素基を有する単量体成分の含有割合は、重量平均値として求めた。
前記芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、スチレントリマー等)が挙げられる。中でも、アラルキル基を有するモノマー、又はスチレンが好ましい。
アラルキル基としては、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)や、置換又は非置換のベンジル基等が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有するコモノマーとしては、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ベンジル基を有するコモノマーとしては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート等;ベンジル基を有するビニルモノマー、例えば、ビニルベンジルクロライド、ビニルベンジルアルコール等が挙げられる。中でもベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含有する(A)アルカリ可溶性高分子は、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第一の単量体の少なくとも1種及び/又は後述する第二の単量体の少なくとも1種とを重合することにより得られることが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含有しない(A)アルカリ可溶性高分子は、後述する第一の単量体の少なくとも1種を重合することにより得られることが好ましく、第一の単量体の少なくとも1種と後述する第二の単量体の少なくとも1種とを共重合することにより得られることがより好ましい。
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味し、かつ「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
第一の単量体の共重合割合は、全単量体成分の合計質量を基準として、10~50質量%であることが好ましい。該共重合割合を10質量%以上にすることは、良好な現像性を発現させる観点、エッジフューズ性を制御するなどの観点から好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。該共重合割合を50質量%以下にすることは、レジストパターンの高解像性及びスソ形状の観点から、更にはレジストパターンの耐薬品性の観点から好ましく、これらの観点においては、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、27質量%以下が特に好ましい。
第二の単量体は、非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;並びに(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
アラルキル基を有する単量体、及び/又はスチレンを単量体として含有することが、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制する観点から好ましい。例えば、メタクリル酸とベンジルメタクリレートとスチレンを含む共重合体、メタクリル酸とメチルメタクリレートとベンジルメタクリレートとスチレンを含む共重合体等が好ましい。
(A)アルカリ可溶性高分子は、1種単独で使用することができ、或いは2種以上を混合して使用してもよい。2種以上を混合して使用する場合には、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含むアルカリ可溶性高分子を2種類混合使用すること、又は芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含むアルカリ可溶性高分子と、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含まないアルカリ可溶性高分子と、を混合使用することが好ましい。後者の場合、芳香族炭化水素基を有する単量体成分を含むアルカリ可溶性高分子の使用割合は、(A)アルカリ可溶性高分子の全部に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
(A)アルカリ可溶性高分子の合成は、上記で説明された単数又は複数の単量体を、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱攪拌することにより行われることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
(A)アルカリ可溶性高分子のガラス転移温度Tgの重量平均値Tgtotalが、30℃以上135℃以下であることが好ましい。Tgtotalは、後述される実施例に記載の方法により算出される。感光性樹脂組成物において、135℃以下のTgtotalを有する(A)アルカリ可溶性高分子を使用することによって、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制することができる。この観点から、(A)アルカリ可溶性高分子のTgtotalは、120℃以下であることがより好ましく、115℃以下であることが更に好ましく、110℃以下であることがもっと好ましく、105℃以下であることが更に好ましく、110℃以下であることが特に好ましい。また、30℃以上のTgtotalを有する(A)アルカリ可溶性高分子を使用することは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。この観点から、(A)アルカリ可溶性高分子のTgtotalは、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましく、60℃以上であることが特に好ましい。
(A)アルカリ可溶性高分子の、感光性樹脂組成物の全固形分質量に対する割合は、好ましくは10質量%~90質量%の範囲であり、より好ましくは30質量%~70質量%であり、更に好ましくは40質量%~60質量%である。感光性樹脂組成物に対する(A)アルカリ可溶性高分子の割合を90質量%以下にすることは、現像時間を制御する観点から好ましい。一方で、感光性樹脂組成物に対する(A)アルカリ可溶性高分子の割合を10質量%以上にすることは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。
<(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物>
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、硬化性及び(A)アルカリ可溶性高分子との相溶性の観点から、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。(B)化合物中の(メタ)アクリロイル基の数は、1個以上であればよい。
(メタ)アクリロイル基を1個有する(B)化合物としては、例えば、ポリアルキレンオキシドの片方の末端に(メタ)アクリル酸を付加した化合物、又は、ポリアルキレンオキシドの片方の末端に(メタ)アクリル酸を付加し、他方の末端をアルキルエーテル化若しくはアリルエーテル化した化合物、フタル酸系化合物等を挙げることができ、剥離性や硬化膜柔軟性の観点で好ましい。
このような化合物としては、例えば、
ポリエチレングリコールをフェニル基に付加した化合物の(メタ)アクリレートであるフェノキシヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと、平均7モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールと、をノニルフェノールに付加した化合物の(メタ)アクリレートである4-ノルマルノニルフェノキシヘプタエチレングリコールジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、
平均1モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと、平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールと、をノニルフェノールに付加した化合物の(メタ)アクリレートである4-ノルマルノニルフェノキシペンタエチレングリコールモノプロピレングリコール(メタ)アクリレート、
平均8モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4-ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート(例えば東亞合成(株)製、M-114)等が挙げられる。
また、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β'-メタクリロイルオキシエチル-о-フタレートを含むと、上記観点に加えて、感度、解像性、密着性の観点でも好ましい。
分子内に(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物としては、例えば、アルキレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又はエチレンオキシド鎖とプロピレンオキシド鎖とがランダム若しくはブロックで結合したアルキレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物等を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、12モルのエチレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物等のポリエチレングリコ-ル(メタ)アクリレ-ト等の他、
ポリプロピレングリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、ポリブチレングリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト等を挙げることができる。化合物中にエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを含むポリアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、平均12モルのプロピレンオキシドを付加したポリプロピレングリコールの両末端にそれぞれ平均3モルのエチレンオキシドを更に付加したグリコールのジメタクリレート、平均18モルのプロピレンオキシドを付加したポリプロピレングリコールの両末端にそれぞれ平均15モルのエチレンオキシドを更に付加したグリコールのジメタクリレート、FA-023M、FA-024M、FA-027M(製品名、日立化成工業製)等が挙げられる。これらは柔軟性、解像性、密着性等の観点で好ましい。
分子内に(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物の別の例として、ビスフェノールAをアルキレンオキシド変性することにより両末端に(メタ)アクリロイル基を有している化合物が、解像性及び密着性の観点では好ましい。
具体的には下記一般式(I):
Figure 0007068340000001
{式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、AはC24であり、BはC36であり、n1及びn3は各々独立に1~39の整数であり、かつn1+n3は2~40の整数であり、n2及びn4は各々独立に0~29の整数であり、かつn2+n4は0~30の整数であり、-(A-O)-及び-(B-O)-の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。そして、ブロックの場合、-(A-O)-と-(B-O)-とのいずれがビスフェニル基側でもよい。}
で表される化合物を使用することができる。
例えば、ビスフェノ-ルAの両端にそれぞれ平均5モルずつのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコ-ルのジメタクリレ-ト、ビスフェノ-ルAの両端にそれぞれ平均2モルずつのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコ-ルのジメタクリレ-ト、ビスフェノ-ルAの両端にそれぞれ平均1モルずつのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコ-ルのジメタクリレ-トが、解像性、密着性の点で好ましい。
また、上記一般式(I)中の芳香環が、ヘテロ原子及び/又は置換基を有する化合物を用いてもよい。
ヘテロ原子としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられ、そして置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数6~18のアリール基、フェナシル基、アミノ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、炭素数2~20のジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、メルカプト基、炭素数1~10のアルキルメルカプト基、アリール基、水酸基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1~10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1~10のアシル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルコキシカルボニル基、炭素数2~10のアルキルカルボニル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のN-アルキルカルバモイル基若しくは複素環を含む基、又はこれらの置換基で置換されたアリール基等が挙げられる。これらの置換基は縮合環を形成しているか、又はこれらの置換基中の水素原子がハロゲン原子等のヘテロ原子に置換されていてもよい。一般式(I)中の芳香環が複数の置換基を有する場合には、複数の置換基は同一であるか、又は異なっていてよい。
分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物としては、中心骨格として分子内にアルキレンオキシド基を付加させることができる基を3モル以上有し、これにエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基等のアルキレンオキシ基を付加させて得られたアルコールを(メタ)アクリレートとすることにより得られる。この場合、中心骨格になることができる化合物としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、イソシアヌレート環等を挙げることができる。これら化合物としては、トリ(メタ)アクリレート、例えば、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(例えばトリメチロールプロパンに平均21モルのエチレンオキサイドを付加したトリメタクリレート、トリメチロールプロパンに平均30モルのエチレンオキサイドを付加したトリメタクリレートが、柔軟性、密着性、ブリードアウト抑制の観点で好ましい)等;テトラ(メタ)アクリレート、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等;ペンタ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等;ヘキサ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物は解像性、密着性、レジストスソ形状の観点で好ましく、メタクリル基を3個以上有する化合物であるとより好ましい。
テトラ(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールの4つの末端に合計1~40モルのアルキレンオキサイドが付加されているテトラ(メタ)アクリレート等でよい。
ヘキサ(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールの6つの末端に合計1~40モルのエチレンオキサイドが付加されているヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールの6つの末端に合計1~20モルのε-カプロラクトンが付加されているヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記で説明された(メタ)アクリレート化合物は、それぞれ独立に、又は組み合わせて使用されることができる。感光性樹脂組成物は、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物として、その他の化合物も含んでよい。その他の化合物としては、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の感光性樹脂組成物の全固形分質量に対する割合は、好ましくは5質量%~70質量%である。この割合を5質量%以上にすることは、感度、解像性及び密着性の観点から好ましい。この割合を20質量%以上にすることがより好ましく、30質量%以上にすることが更に好ましい。一方で、この割合を70質量%以下にすることは、エッジフューズ及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から好ましい。この割合を50質量%以下にすることがより好ましい。
<(C)光重合開始剤>
(C)光重合開始剤は、光によりモノマーを重合させる化合物である。感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤として本技術分野において一般に知られている化合物を含む。
感光性樹脂組成物中の(C)光重合開始剤の総含有量は、好ましくは0.01~20質量%、より好ましくは0.05質量%~10質量%、さらに好ましくは0.1質量%~7質量%、特に好ましくは0.1質量%~6質量%の範囲内である。(C)光重合開始剤の総含有量は、十分な感度を得るという観点から0.01質量%以上であることが好ましく、レジスト底面まで光を充分に透過させて、良好な高解像性を得るという観点から20質量%以下であることが好ましい。
(C)光重合開始剤としては、キノン類、芳香族ケトン類、アセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾイン又はベンゾインエーテル類、ジアルキルケタール類、チオキサントン類、ジアルキルアミノ安息香酸エステル類、オキシムエステル類、アクリジン類(例えば9-フェニルアクリジン、ビスアクリジニルヘプタン、9-(p-メチルフェニル)アクリジン、9-(m-メチルフェニル)アクリジンが感度、解像性、密着性の点で好ましい)が挙げられ、更にヘキサアリールビイミダゾール、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物(例えば9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセンが感度、解像性、密着性の点で好ましい)、クマリン化合物(例えば7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリンが感度、解像性、密着性の点で好ましい)、N-アリールアミノ酸又はそのエステル化合物(例えばN-フェニルグリシンが感度、解像性、密着性の点で好ましい)、及びハロゲン化合物(例えばトリブロモメチルフェニルスルホン)などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。その他、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルージフェニルーホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキシドを用いてもよい。
芳香族ケトン類としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノンを挙げることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。これらの中でも、密着性の観点から、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。さらに、透過率の観点から、感光性樹脂組成物中の芳香族ケトン類の含有量は、好ましくは0.01質量%~0.5質量%、さらに好ましくは0.02質量%~0.3質量%の範囲内である。
ヘキサアリールビイミダゾールの例としては、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2,2’,5-トリス-(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニルビイミダゾール、2,4-ビス-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリス-(o-クロロフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-ビス-4,5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3-ジフルオロメチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,5-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、及び2,2’-ビス-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール等が挙げられ、これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。高感度、解像性及び密着性の観点から、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物中のヘキサアリールビスイミダゾール化合物の含有量は、感光性樹脂組成物層の剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、好ましくは0.05質量%~7質量%、より好ましくは0.1質量%~6質量%、さらに好ましくは1質量%~5質量%の範囲内である。
感光性樹脂組成物層の剥離特性又は感度、解像性、密着性の観点から、感光性樹脂組成物は、光増感剤としてピラゾリン化合物も含むことが好ましい。
ピラゾリン化合物としては、例えば、1-フェニル-3-(4-tert-ブチル-スチリル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン、1-(4-(ベンゾオキサゾール-2-イル)フェニル)-3-(4-tert-ブチル-スチリル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-オクチル-フェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-イソプロピルスチリル)-5-(4-イソプロピルフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-メトキシスチリル)-5-(4-メトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(3,5-ジメトキシスチリル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(3,4-ジメトキシスチリル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(2,6-ジメトキシスチリル)-5-(2,6-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(2,5-ジメトキシスチリル)-5-(2,5-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(2,3-ジメトキシスチリル)-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(2,4-ジメトキシスチリル)-5-(2,4-ジメトキシフェニル)-ピラゾリン等が上記の観点から好ましく、挙げられる。これらの中でも、1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリンがより好ましい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の光増感剤の含有量は、感光性樹脂組成物層の剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲内である。
<(D)フェノール誘導体>
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は(D)フェノール誘導体を更に含むことが好ましい。(D)フェノール誘導体としては例えば、p-メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-エチルフェニル)メタン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、スチレン化フェノール(例えば川口化学工業(株)製、アンテージSP)、トリベンジルフェノール(例えば川口化学工業(株)製、TBP、ベンジル基を1~3個有するフェノール)、ビフェノール等が挙げられる。(D)フェノール誘導体を含有することは露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制することができる観点で好ましく、同様の観点からヒンダードフェノール又はビフェノールが好ましい。また、同様の観点から、(D)フェノール誘導体はフェノール核を2核以上有していることが好ましい。
(D)フェノール誘導体の、感光性樹脂組成物の全固形分質量に対する割合は、0.001質量%~10質量%であることが好ましい。この割合は、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制することができる観点で0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることが更に好ましく、0.05質量%以上であることがもっと好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。一方で、この割合は、感度低下が少ない点及び解像性の向上の点で、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましく、2質量%以下であることが特に好ましく、1.5質量%以下であることが最も好ましい。
<添加剤>
感光性樹脂組成物は、所望により、染料、可塑剤、酸化防止剤、安定化剤等の添加剤を含んでよい。例えば、特開2013-156369号公報に列挙されている添加剤を使用してよい。
(染料及び着色物質)
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は、所望により、染料(例えばロイコ染料、フルオラン染料等)及び着色物質から成る群より選ばれる少なくとも1種を更に含有してもよい。
着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(例えば、保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(例えば保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)が挙げられる。感光性樹脂組成物中の着色物質の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分質量を100質量%としたとき、0.001質量%~1質量%であることが好ましい。該含有量を0.001質量%以上にすることは、感光性樹脂組成物の取扱い性を向上させるという観点から好ましい。一方で、該含有量を1質量%以下にすることは、感光性樹脂組成物の保存安定性を維持するという観点から好ましい。
感光性樹脂組成物は、染料を含有することにより露光部分が発色するので視認性の点で好ましく、また、検査機等が露光のための位置合わせマーカーを読み取る場合、露光部と未露光部とのコントラストが大きい方が認識し易く有利である。この観点で好ましい染料としては、ロイコ染料及びフルオラン染料が挙げられる。
ロイコ染料としては、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。とりわけ、コントラストが良好となる観点から、ロイコ染料としては、ロイコクリスタルバイオレットを用いることが好ましい。感光性樹脂組成物中のロイコ染料の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分質量に対して0.1質量%~10質量%であることが好ましい。この含有量を0.1質量%以上にすることは、露光部分と未露光部分とのコントラストを良好にする観点から好ましい。この含有量は、0.2質量%以上にすることがより好ましく、0.4質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この含有量を10質量%以下にすることが保存安定性を維持するという観点から好ましい。この含有量は、5質量%以下にすることがより好ましく、2質量%以下にすることが特に好ましい。
また、感光性樹脂組成物中に、ロイコ染料と、(C)光重合開始剤において前述したハロゲン化合物とを組み合わせて用いることは、密着性及びコントラストを最適化する観点から好ましい。ロイコ染料を該ハロゲン化合物と併用する場合には、感光性樹脂組成物中の該ハロゲン化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分質量を100質量%としたとき、0.01質量%~3質量%であることが、感光層における色相の保存安定性を維持するという観点から好ましい。
(その他の添加剤)
感光性樹脂組成物は、熱安定性及び保存安定性を向上させるために、ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類から成る群より選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有してもよい。
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。感光性樹脂組成物の感度を損なわないために、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩が好ましい。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-トリルトリアゾール、ビス(N-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾ-ル類、及びカルボキシベンゾトリアゾ-ル類の合計含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分質量を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%~3質量%であり、より好ましくは0.05質量%~1質量%である。該含有量を0.01質量%以上にすることは、感光性樹脂組成物に保存安定性を付与するという観点から好ましい。一方で、該含有量を3質量%以下にすることは、感度を維持し、染料の脱色を抑える観点から好ましい。
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は、ビスフェノールAのエポキシ化合物類を更に含有してもよい。ビスフェノールAのエポキシ化合物類としては、例えば、ビスフェノールAをポリプロピレングリコールで修飾し末端をエポキシ化した化合物等が挙げられる。
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は、可塑剤を更に含有してもよい。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジエチルフレート等)、o-トルエンスルホン酸アミド、p-トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ-n-プロピル、アセチルクエン酸トリ-n-ブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエ-テル、ポリプロプレンレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。また、アデカノールSDX-1569、アデカノールSDX-1570、アデカノールSDX-1571、アデカノールSDX-479(以上旭電化(株)製)、ニューポールBP-23P、ニューポールBP-3P、ニューポールBP-5P、ニューポールBPE-20T、ニューポールBPE-60、ニューポールBPE-100、ニューポールBPE-180(以上三洋化成(株)製)、ユニオールDB-400、ユニオールDAB-800、ユニオールDA-350F、ユニオールDA-400、ユニオールDA-700 (以上日本油脂(株)製)、BA-P4Uグリコール、BA-P8グリコール(以上日本乳化剤(株)製)等のビスフェノール骨格を有する化合物も挙げられる。
感光性樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分質量に対して、好ましくは1質量%~50質量%であり、より好ましくは1質量%~30質量%である。該含有量を1質量%以上にすることは、現像時間の遅延を抑え、かつ硬化膜に柔軟性を付与するという観点から好ましい。一方で、該含有量を50質量%以下にすることは、硬化不足及びコールドフローを抑えるという観点から好ましい。
[溶剤]
感光性樹脂組成物は、溶剤に溶解させて感光性樹脂組成物調合液の形態で、感光性樹脂積層体の製造に使用できる。溶剤としては、ケトン類、アルコール類等が挙げられる。前記ケトン類は、メチルエチルケトン(MEK)、アセトンに代表される。前記アルコール類は、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールに代表される。溶剤は、感光性樹脂積層体の製造に際して、支持層上に塗布する感光性樹脂組成物調合液の25℃における粘度が、500mPa・s~4,000mPa・sとなるような量で、感光性樹脂組成物に添加されることが好ましい。
<レジストパターンの形成方法>
次に、本実施の形態の感光性樹脂積層体を用いてレジストパターンを製造する方法の一例を説明する。該方法は、感光性樹脂積層体を基板に積層するラミネート工程、該感光性樹脂積層体の感光性樹脂組成物層を露光する露光工程、及び該感光性樹脂組成物層の未露光部を現像除去する現像工程を含むことができる。レジストパターンとしては、例えば、プリント配線板、半導体素子、印刷版、液晶ディスプレイパネル、フレキシブル基板、リードフレーム基板、COF(チップオンフィルム)用基板、半導体パッケージ用基板、液晶用透明電極、液晶用TFT用配線、PDP(プラズマディスプレイパネル)用電極等のパターンが挙げられる。本実施の形態の感光性樹脂積層体は、レジスト突起の良好な回避という利点を有することから、例えば、ライン幅/スペース幅が20/20(μm)以下、又はライン幅/スペース幅が10/10(μm)未満といった高精細の配線形成用に特に有用である。本実施の形態の感光性樹脂積層体が適用できるライン幅/スペース幅(μm)としては、特に制限はないが、例えば15/15(μm)以下、好ましくは10/10(μm)以下、さらに好ましくは9.5/9.5(μm)以下、特に好ましくは9.0/9.0(μm)以下である。ライン幅/スペース幅(μm)の下限値としては特に制限はないが、3/3(μm)以上、4/4(μm)以上、若しくは5/5(μm)以上であってよい。また、本実施の形態の感光性樹脂積層体は、上記利点から特にセミアディティブ法(SAP)による配線形成用に有用である。SAP法は常法で実施でき、例えば絶縁樹脂層と銅層(例えば触媒としてパラジウムを含む無電解銅めっき層)との積層体を用い、既知のめっき法にて配線形成できる。一例として、プリント配線板の製造方法を、下記の通り説明する。
プリント配線板は、以下の各工程を経て製造される。
(1)ラミネート工程
先ず、ラミネート工程において、ラミネーターを用いて基板上に感光性樹脂組成物層を形成する。具体的には、感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂組成物層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。基板の材料としては、例えば、銅、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。
本実施形態では、感光性樹脂組成物層は基板表面の片面だけにラミネートするか、又は必要に応じて両面にラミネートしてもよい。ラミネート時の加熱温度は一般的に40℃~160℃である。また、ラミネート時の加熱圧着を2回以上行うことにより、得られるレジストパターンの基板に対する密着性を向上させることができる。加熱圧着時には、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用するか、又は基板と感光性樹脂組成物層との積層物を数回繰り返してロールに通すことにより圧着してもよい。
(2)露光工程
本工程では、所望の配線パターンを有するマスクフィルムを支持層上に密着させて活性光源を用いて行う露光方法、所望の配線パターンである描画パターンの直接描画による露光方法、又はフォトマスクの像を、レンズを通して投影させることによる露光方法によって、感光性樹脂組成物層を露光する。本実施の形態に係る感光性樹脂組成物の利点は、描画パターンの直接描画による露光方法、又はフォトマスクの像を、レンズを通して投影させる露光方法においてより顕著であり、描画パターンの直接描画による露光方法において特に顕著である。
(3)現像工程
本工程では、露光後、感光性樹脂組成物層上の支持層を剥離し、続いてアルカリ水溶液の現像液を用いて未露光部を現像除去することにより、レジストパターンを基板上に形成する。
アルカリ水溶液としては、Na2CO3又はK2CO3の水溶液を用いる。アルカリ水溶液は、感光性樹脂組成物層の特性に合わせて適宜選択されるが、約0.2質量%~約2質量%の濃度、かつ約20℃~約40℃のNa2CO3水溶液が好ましい。
上記の(1)~(3)の各工程を経てレジストパターンを得ることができる。これらの工程の後、場合により、さらに約100℃~約300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、耐薬品性の更なる向上が可能となる。加熱には、熱風、赤外線、又は遠赤外線の方式の加熱炉を用いることができる。また、この加熱工程は露光工程後に実施しても良い。
(4)エッチング工程又はめっき工程
現像により露出した基板表面(例えば銅張積層板の銅面)をエッチング又はめっきし、導体パターンを製造する。
(5)剥離工程
その後、レジストパターンを、現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離する。剥離用のアルカリ水溶液については、特に制限はないが、約2質量%~約5質量%の濃度、かつ約40~約70℃の温度のNaOH又はKOHの水溶液が好ましい。剥離液に、少量の水溶性溶媒を加えることもできる。
本実施の形態の感光性樹脂積層体は、プリント配線板、フレキシブル基板、リードフレーム基板、COF用基板、半導体パッケージ用基板、液晶用透明電極、液晶用TFT用配線、PDP用電極等におけるレジストパターン又は導体パターンの製造に適した感光性樹脂積層体である。
なお、上述した各種パラメータについては、特に断りのない限り、後述の実施例における測定方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法に準じて測定される。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明する。しかしながら、本実施の形態は、その要旨から逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の物性は以下の方法により測定した。
実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法、並びに得られたサンプルについての評価方法及びその評価結果を示す。
<実施例1~3及び比較例1>
1.感光性樹脂組成物の調製
(A)アルカリ可溶性高分子として、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(重合比20/80(質量比)、酸当量430、重量平均分子量5万)47質量部、
(B)光重合開始剤として、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.1質量部及び2-(o―クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体3質量部、
(C)エチレン性二重結合を有する化合物として、ペンタエリストールの4つの末端に、平均15モルのエチレンオキサイドを付加したテトラアクリレート14質量部、並びに
染料として、ダイアモンドグリーン0.05質量部及びロイコクリスタルバイオレット0.3質量部
を、溶媒に溶解することにより、感光性樹脂組成物を調製した。
2.支持フィルムの作製
実施例1~3及び比較例1の各々の支持フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)を作製した。各支持フィルム中の光学異常領域の合計面積比率は表1に記載の通りである。支持フィルム中の微粒子の数はフィルターの目の細かさ及び支持フィルムを構成する材料をフィルターに通す回数及び微粒子を添加した数で調整した。なお、光学異常領域(反射、散乱等が生じる部分)の面積の調整は、PETフィルムの二軸延伸後に、適宜、再度フィルムを180~250℃の条件で熱圧着処理して微粒子周囲の光学異常領域(すなわち、空洞、又は、配向性若しくは結晶性が異なる領域等)を消失させることで行った。
3.感光性樹脂積層体の製造
ポリエチレンテレフタレート(PET)製の支持フィルム(厚み12μm)の片面に、上記で調製した感光性樹脂組成物をバーコーターで塗布し、95℃の乾燥機中で2.5分間乾燥して感光性樹脂組成物層を形成することにより、感光性樹脂積層体を得た。感光性樹脂組成物層の乾燥厚みは20μmであった。次いで、感光性樹脂組成物層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない側の表面上に、保護層として19μm厚のポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製、GF-818)を貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
<基板整面>
画像性の評価基板として、18μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板をソフトエッチング剤(菱江化学(株)製、CPE-900)で処理して、10質量%H2SO4で基板表面を洗浄した。
<ラミネート>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルム(保護層)を剥がしながら、60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL-700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートした。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
<露光>
直接描画露光機(オーク製作所製FDi-3、主波長405±5nm)により、ストーファー41段ステップタブレット又は所定のダイレクトイメージング(DI)露光用のマスクパターンを用いて、で露光した。露光は、前記ストーファー41段ステップタブレットをマスクとして露光、現像したときの最高残膜段数が14段となる露光量で行った。
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)を剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間に亘ってスプレーし、感光性樹脂組成物層の未露光部分を最小現像時間の2倍の時間で溶解除去した。この際、未露光部分の感光性樹脂組成物層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
<光学異常領域の合計面積の測定>
落射型レーザー顕微鏡(Olympus製OLS-4100)の対物レンズの上部に偏光フィルター(OLS4000-QWP)を挿入した。次にレーザー顕微鏡のステージ上に多孔質吸着板(ユニバーサル技研製65F-HG)及び真空ポンプを用いて30mm×30mmに切断した支持フィルムサンプルを水平に吸引固定した。吸引固定した支持フィルムを、対物レンズ50倍のレーザー光量60(レーザー波長は405nm)にて観測した。この際、支持フィルムの厚み方向の中心2μmの領域を測定領域に定め、測定領域259μm×260μmで測定箇所数200点で計測を行った(したがって、測定領域は合計で0.259mm×0.26mm×200=13.5mm2となる)。
計測された画像内の最大光量のピクセルと最小光量のピクセルとの光量差を4096階調(最大光量の値が4095で、最小光量の値が0になる)に分けた。画像内のピクセルの光量分布をグラフ化したヒストグラム(横軸:光量の階調(最小値0、最大値4095)、縦軸:ピクセルの個数)を作成した。作成したヒストグラムの2つある裾野の値の大きい方の裾野の値から400階調プラスした階調を閾値として、計測された画像を二値化し、閾値よりも光量が大きいピクセルの面積を合計し、その合計面積を光学異常領域の合計面積とする。計測面積に対する光学異常領域部分の合算面積の比率を算出する。
<光学異常領域と接する直径0.5μm以上の微粒子、直径1.0μm以上の微粒子、直径2.0μm以上の微粒子の数>
光学異常領域部分の合計面積を測定した後、落射型レーザー顕微鏡(Olympus製OLS-4100)を光学顕微鏡モードに切り替えた。その後、測定領域259μm×260μmで目視によりレーザー顕微鏡モードで確認された光学異常領域のうち微粒子の位置に対応する光学異常領域と接する微粒子の数及びその直径を測定した。
同様の測定を測定箇所数200点で実施し(即ち、0.259mm×0.26mm×200=13.5mm2の面積で実施し)、微粒子の直径毎にその合計数を算出した。
<レジスト突起の評価>
300mm角の評価用基板全面を、L(ライン)/S(スペース)=8μm/8μmとなるように露光した。このとき、露光時の焦点の位置を、ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に合わせた。次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)を剥離した後、最小現像時間の2倍の現像時間で現像した。そして、レジストパターンを光学顕微鏡によりレジスト表面に焦点を合わせて観察し2um以上のサイズの突起をカウントした。なお観察エリアは3mm角(9mm2)とした。
結果を表1に示す。
<線幅太りの評価>
300mm角の評価用基板全面を、L(ライン)/S(スペース)=8μm/8μmとなるように露光した。このとき、露光時の焦点の位置を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの感光層樹脂側の表面に合わせた。次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)を剥離した後、最小現像時間の2倍の現像時間で現像した。ライン幅を測定し、最も幅が太い部分の線幅(焦点ずれ無し)を測定した。測定は30本のラインを各3mmの範囲について行い、各ラインで最も幅が太い部分の線幅を測定し、その平均値とした。次に、露光時の焦点の位置をポリエチレンテレフタレートフィルムの感光層樹脂側の表面から400μm基板内側にずらした以外は上記と同様の条件で測定を行い、30本のラインについて最も幅が太い部分の線幅を測定し、その平均値を得た。
<実施例4~6及び比較例2>
実施例4~6及び比較例2の各々の支持フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)を作製した。各支持フィルム中の微粒子の数は表2に記載の通りである。支持フィルム中の微粒子の数はフィルターの目の細かさ及び支持フィルムを構成する材料をフィルターに通す回数及び微粒子を添加した数で調整した。
このとき、PETフィルムの二軸延伸後に再度フィルムを180~250℃の条件で熱圧着処理することで、微粒子周囲の光学異常領域(すなわち、空洞、又は、配向性若しくは結晶性が異なる領域等)を消失させた。また、支持フィルムの主領域と微粒子との屈折率差は、微粒子の屈折率を変えることで調整した。
支持フィルムとして上記方法で作製したものを用いた他は実施例1と同様の手順で、感光性樹脂積層体の作製及びレジスト突起の測定を行った。
Figure 0007068340000002
Figure 0007068340000003
表1及び2に示す結果から分かるように、光学異常領域の合計面積が低減されている実施例1~3においては、光学異常領域の合計面積が大きい比較例1と比べてレジスト突起が低減されており、微粒子以外の光学異常領域である異常屈折率領域と接する微粒子の数が低減されている実施例4~6においては、異常屈折率領域と接する微粒子が多い比較例2と比べてレジスト突起が低減されていた。
本発明の感光性樹脂積層体は、支持フィルムの異物に起因するレジストパターン欠点(突起)を回避し、良好なレジストパターン形状を与えることから、プリント配線板、フレキシブル基板、リードフレーム基板、COF(チップオンフィルム)用基板、半導体パッケージ用基板、液晶用透明電極、液晶用TFT用配線、PDP(プラズマディスプレイパネル)用電極等の導体パターンの製造に、好適に利用されることができる。

Claims (30)

  1. 支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された、感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
    前記支持フィルムは微粒子を含み、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が300ppm以下である領域を含み、
    前記光学異常領域は空洞を含む、感光性樹脂積層体。
  2. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が200ppm以下である領域を含む、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
  3. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が100ppm以下である領域を含む、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
  4. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際の光学異常領域の合計面積比率が50ppm以下である領域を含む、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
  5. 前記支持フィルムは、質量基準で、微粒子を10ppm以上で含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
  6. 支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
    前記支持フィルムは微粒子を含み、
    前記支持フィルムは、前記支持フィルムを落射型レーザー顕微鏡で13.5mm2の面積にて観測した際に検出される直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、数平均で1200個以下となる領域を有し、
    前記光学異常領域は空洞を含む、感光性樹脂積層体。
  7. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、数平均で1000個以下となる領域を有する、請求項6に記載の感光性樹脂積層体。
  8. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、900個以下となる領域を有する、請求項6に記載の感光性樹脂積層体。
  9. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、500個以下となる領域を有する、請求項6に記載の感光性樹脂積層体。
  10. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径0.5μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、200個以下となる領域を有する、請求項6に記載の感光性樹脂積層体。
  11. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、500個以下となる領域を有する、請求項6~10のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
  12. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、300個以下となる領域を有する、請求項11に記載の感光性樹脂積層体。
  13. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、100個以下となる領域を有する、請求項11に記載の感光性樹脂積層体。
  14. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径1.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、50個以下となる領域を有する、請求項11に記載の感光性樹脂積層体。
  15. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、200個以下となる領域を有する、請求項6~14のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
  16. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、100個以下となる領域を有する、請求項15に記載の感光性樹脂積層体。
  17. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、50個以下となる領域を有する、請求項15に記載の感光性樹脂積層体。
  18. 前記支持フィルムは、前記支持フィルムの13.5mm2の面積に含まれる直径2.0μm以上の前記微粒子のうち、前記光学異常領域の微粒子以外の領域と接する微粒子の数が、10個以下となる領域を有する、請求項15に記載の感光性樹脂積層体。
  19. 前記微粒子の屈折率と前記支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差が0.2以下である、請求項1~18のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
  20. 前記微粒子の屈折率と前記支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差が0.1以下である、請求項19に記載の感光性樹脂積層体。
  21. 前記微粒子の屈折率と前記支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差が0.05以下である、請求項19に記載の感光性樹脂積層体。
  22. 前記微粒子の屈折率と前記支持フィルムの主領域の屈折率との屈折率差が0.02以下である、請求項19に記載の感光性樹脂積層体。
  23. 前記光学異常領域は前記支持フィルムの主領域と配向性が異なる領域を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
  24. 前記光学異常領域は前記支持フィルムの主領域と結晶性が異なる領域を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
  25. ライン幅/スペース幅が20/20(μm)以下の配線形成用である、請求項1~24のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
  26. ライン幅/スペース幅が10/10(μm)未満の配線形成用である、請求項25に記載の感光性樹脂積層体。
  27. 請求項1~26のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体を用いる、プリント配線板におけるレジストパターンの製造方法。
  28. セミアディティブ法による、請求項27に記載の方法。
  29. 前記レジストパターンのライン幅/スペース幅が10/10(μm)未満である、請求項27又は28に記載の方法。
  30. 請求項1~26のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体であって、
    直接描画露光機を用いてライン幅/スペース幅が8/8(μm)のレジストパターンを基板上に形成した場合に、支持フィルムの感光性樹脂組成物層側の表面に焦点を合わせた際の線幅と、当該表面から厚み方向に400μm基板内側にずらした際の線幅の差が1.8μm以下である、感光性樹脂積層体。
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