木材チップならびに多くの靭皮および葉繊維を、種々の用途のために意図された種々の物理的特性の解繊繊維へと変換するために、機械的、熱機械的、半化学-熱機械的または完全化学的方法が一般に使用される。一片の木材チップは、多くの繊維の凝集体から構成されており、それは、次に、一緒に結合し、かつヘミセルロースおよび外部リグニンラメラによって包囲されたセルロースの基本フィブリルのいくつか層から構成されている[A.P.Shchniewind in Concise Encyclopedia of Wood & Wood-Based Materials,Pergamon,Oxford,p.63(1989)]。天然セルロースの超微細構造において、基本フィブリルは、横断面において2~4nmおよび長さにおいて100nmの寸法を有する。これらの基本フィブリルは、幅10~30nmのミクロフィブリルへとランダムに凝集しており、それら自体、種々のセル壁層に構造化される、幅100~400nmのマクロフィブリルにグループ化される。異なる分子または基本フィブリルのヒドロキシル基の酸素原子間で生じる水素結合は、セルロース繊維の超分子構造の基礎である。ヘミセルロースおよび微量のリグニンは、セルロースの整列鎖の周囲でミクロフィブリルアセンブリに含まれる。木材中の繊維の平均寸法は、0.5mm<長さ<5mmであり、かつ10μm<幅<45μmであり、約50~110の平均アスペクト比をもたらす。一般に、硬材繊維(ポプラ、カバノキ、カエデ、ユーカリ)はより短く、より薄く、かつより堅く、他方、軟材繊維(トウヒ、モミ、マツ)は、長く、厚く、かつより柔軟性がある。木材繊維は、多くの植物および種の天然繊維より短い。
MDF(中間密度ファイバーボード)および他の木材ファイバーボード製品などのファイバーボード製品の製造において一般に使用される木材繊維は、機械繊維の最も安価なグレードであると考えられる。それらは、加圧高濃度ディスクリファイナー(HCR)上で、湿潤させた木材チップから製造される。低エネルギーが適用されるため、それらは個別の繊維に完全に繊維化せず、したがって、水スラリーから製品まで乾燥させた場合、十分自己結合しない、堅質の束状構造である。したがって、それらは、容易に、分離したか、または分散した乾燥繊維束で製造される可能性がある。MDFボード製品の製造において、加圧された高濃度移動繊維束は、樹脂の早期架橋が生じることなく、高レベルの湿分を除去するための穏やかなチューブまたはフラッシュ乾燥が続くリファイナーの出口ブローラインにおいて、一般に、尿素ホルムアルデヒドなどの熱硬化性樹脂の溶液と一緒にブラストされる。次いで、樹脂注入木材繊維は、不織厚マットへと形成され、続いて、高温(細孔260℃)での高加圧が行われ、最終のMDFボードが形成される。国際公開第2006/001717号パンフレットおよび国際公開第2011/002314号パンフレットは、空気または蒸気によって運搬された移動木材繊維上に、熱硬化性樹脂、熱可塑性ポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む溶液を適用するために、MDFブローラインシステムを使用する方法を教示する。乾燥固結化材料は、熱可塑性複合材料での次の適用のために、ダイスドペレットへと変換される。乾燥植物繊維およびサーモメカニカル木材繊維は、木材ポリマー複合材料、熱可塑性複合材料または熱硬化性複合材料を製造するために、そして改善された加工、均一性および強化性能のために首尾よく使用されているが、それらはポリマーまたは樹脂の、良好な分散性、相容性および接着性または反応を必要とする。例えば、米国特許出願公開第20090314442号明細書、米国特許第3943079号明細書および米国特許第4414267号明細書、ならびにそれらの中で引用された多くの参照文献は、リグノセルロース繊維で充てんされた熱可塑性複合材料の強度を改善する方法を記載している。
サーモメカニカルおよび半ケミ-サーモメカニカル木材パルプ繊維(TMP、CTMP)とは異なり、クラフト繊維、スルフィット繊維およびマーケットフラッフ繊維を含む、より高度なセルロース繊維は、ケミカルパルプ化および漂白プロセスの間にそれらのリグニンが除去され、未変化の繊維フラクションを有し、かつ一般に8%未満の繊維性微細物を含んでいる。漂白されたか、半漂白されたか、または漂白されていない、これらの木材ベースの繊維は、印刷紙、板紙、ペーパーティッシュおよびタオル、サックおよびバッグペーパー、特殊紙、繊維成形または熱成形繊維製品ならびにセメントおよび石膏製品の製造のための持続可能な繊維の最大供給源である。それらは、ろ過および吸収剤の用途のために望ましい不織マットの製造のために、水分散または乾燥状態の個別化された形態でも使用される。これらの繊維のスラリーがフラッシュ乾燥されてフレーク状になるか、またはペーパーシートに形成される場合、それらは、周知の製紙パルプ化装置を使用して、個別化された繊維へと水中に再び容易に分散可能である。これらのパルプ繊維におけるヘミセルロースの含有量は、十分結合したペーパーシートを製造するための重要な基準であり、かつそれらを乾燥した個別化繊維に製造するための困難の主要原因である。
乾燥ロール、シートまたはベイル型のメカニカルおよびケミカルパルプ繊維は、一般に、乾燥解繊または離解デバイスを使用して、分離または個別化される。米国特許第4252279号明細書は、シートまたはベイルの形態のパルプ繊維を、生理用ナプキンもしくは紙おむつまたは他の用途のために有用な不織マットを製造するための個別化繊維へと変換することが意図される種々の解繊または離解デバイスが記載される。例えば、シートまたはロールは、ハンマーミルフラッファー上での加工の前に特定の寸法に切断されるのに対して、スウェーデンの会社MoDo Mekan ABによって製造される解繊デバイスは、パルプ束と一緒に作用し、そしてスウェーデンの会社Kamas Industri ABによって製造されるKamasB-フラッファーデバイスは、ブロックのメカニカルフレーク乾燥パルプからフラッフを製造する。次いで、フラッフ繊維は、気流中に供給され、そしてそこから、移動ベルトまたは穿孔ドラムまで供給されることが可能であり、そしてそこで、それらはランダム配向されたエアリードウェブ(不織構造)が形成する。
これらのデバイスによって製造された繊維は、常に、ニットまたはノジュールと呼ばれることのある、いくつらのレベルの繊維の凝集または結節を含有する。それらは、解繊プロセス後に望ましくない副産物として残留する繊維凝集塊であって、そして容易に目で、および光学顕微鏡で観察することができる。おむつの改善された吸収性のために、フラッフ繊維は高度に個別化される必要があり、かつ結節および微細物を可能な限り少なく含み、水を吸収するために良好な親和性を有し、かつ好ましくは、繊維は、架橋、ねじれ、および/またはカールした形態にある。いくつかの他の開示された特許は、繊維状マットの液体飽和繊維ネットワークの液体捕捉の容易さ、吸収速度、強度および回復力を増加させるためのフラッフ繊維の製造のための方法を記載する(米国特許第6910285B2号明細書、米国特許第4252279A号明細書、米国特許第8845757B2号明細書)。例えば、カナダ国特許第993618号明細書(Estes、1976)は、改善された強度およびより嵩高いパッドを提供するために、有意なよじれおよびインターロックを有する個別繊維から低密度フラッフパッドを製造するための方法を記載する。Estes特許の方法に従って、湿潤パルプは乾燥段階の間に個別繊維に分離される。この方法は、繊維を分離するために、エアジェットまたはスチームジェットを使用する流体ジェット乾燥装置を使用する。繊維は、ジェット乾燥機から排出されると、穿孔スクリーン上に配置される。Estes特許の方法によって製造される繊維は、高いノット含有量を有する。
HartlerおよびTeder(Paper Technology 4(4):T129,1963)は、何年も前に、二本ロールプレス(TRP)上で前もって脱水されたパルプの小片またはフレークへの機械的シュレッダリングおよびフラッフィングが、効率的なフラッシュ乾燥のために非常に重要であることを示した。彼らは、より小さい片へと十分にフラッフされたパルプは、フラッシュ乾燥機における最低熱消費を示すため、パルプを急速に乾燥させるために、小片は高表面積のものであることを見出した。これは、加熱乾燥空気および湿潤パルプ小片の間の最良の可能な熱伝達を保証することによって、フラッシュ乾燥マーケットパルプ、すなわち、半漂白および漂白半サーモメカニカル(BCTMP)またはいくつかの漂白硬材クラフトパルプ(BHWK)を強化するために今日使用される一般的な実施である。フラッシュ乾燥マーケットパルプは、80~90%固体の乾燥状態において供給され、かつ製紙のための特異繊維に容易に水中分散可能である。HartlerおよびTederによって記載されるように、高濃度パルプの前シュレッダリングおよびフラッフィング技術と、それに続くフラッシュ乾燥は、高濃度漂白軟材クラフト繊維(BSWK)を処理するために意図されない。マーケットパルプ製造の技術において、フラッシュ乾燥による湿潤ケミカルパルプ繊維の乾燥は、製紙間の繊維の角化および結合能力の損失を引き起こすであろうことは知られている[Paper Technology and Industry, Vol 26(1),1985]。
高度水和セルロース繊維、外部フィブリル化セルロース繊維およびセルロースナノフィラメントなどのディスクリファイナーにおいて製造された高度に精製されたセルロース繊維は、薄シートまたは特殊紙(すなわち、グラシンおよびグリースプルーフシート、ラベル、ミクロフィルター)の製造のため、印刷用紙、高度充てん紙および板紙製品、セメントおよび石膏製品の強化のため、ならびにいくつかのバリア特性を達成するために有用な繊維状材料として多くの特許において開示されている。今日、我々が知っているところでは、木材または植物繊維から機械的に加工されたフィブリル化繊維、すなわち、カナダ国特許2824191A1号明細書の機械的精製方法によって製造された外部フィブリル化繊維、ミクロフィブリル化セルロースおよびセルロースナノフィラメントは、水中、または非水性媒体もしくは組成物中で容易に分散可能である前分散半乾燥または乾燥材料として工業的に利用可能ではない。さらに、それらが利用可能になり、次いで、それらが実質的に結節を含まない必要がある場合、および連続的工業的用途のために、それらは、取扱い、供給、および用途組成物への正確な供与が容易になる必要がある。乾燥時に十分絡み合いおよび自己結合する能力を有さない、MDFボード製品または低強度硬材パルプ繊維を製造するために使用される硬質ファイバーバンドルの場合、あるいはそれらの乾燥厚シートが、機械的に分散して個別化繊維になり、次いで、不織メートにエアレイドされる目的で製造される高自由度の軟材マーケットパルプまたはフラッフパルプの場合、それは適合し得ない。我々は、米国特許第4252279号明細書に記載されるものなどの通常の解繊または離解デバイスが、高度に精製された繊維の半乾燥および乾燥パルプまたはシートを個別化繊維状材料へと分離するために適切ではないことを発見した。それらは、より高いカールまたはねじれなどの、いくつかの所望の物理的特性をフラッフパルプに付与するように設計されていない。さらに、それらは、同時に湿分を蒸発させながら、繊維を化学薬品と混合するために、またはそれらを他の添加剤もしくは繊維性材料もしくは機能性添加剤で漂白するためにも設計されていない。
高濃度、高エネルギーディスク精製技術(HCR)は、高密度および強度ペーパーシート、すなわち、超カレンダー処理グレードを製造するために十分適切である高度フィブリル化軟材サーモメカニカルパルプ(TMP)繊維を首尾よく製造するために使用される最も古い方法である。高濃度とは、本明細書中、一般に20%より高く、かつ利用したリファイナーの種類およびサイズ次第である、放出濃度を意味する。小型の二重ディスクリファイナーは、より低い範囲の高濃度で作動するが、大型の近代的リファイナーでは、放出濃度が60%を超えることが可能である。TMPの高濃度精製段階は常に急速であり、次に、より均一であり、かつ強い紙を製造するために繊維を直線化することによって潜在性を除去するための潜伏チェスト中の熱水による希釈が行われる。高濃度ディスク精製技術は、40年以上前に、軟材クラフト繊維の外部および内部フィブリル化を作成することによって、サッククラフト紙などの強い紙を作る効率的な手段であることを示された(米国特許第3382140号明細書、米国特許第3445329号明細書)。HCR中の繊維間の応力の高い転移のため、いくつらかの微小圧縮が付与されて、したがって、カールし、かつよじれた繊維が作成される。そのような繊維から紙を製造することによって、低い形成性、高い嵩、高空隙率および低引張強度特性性質がもたらされるであろう。高引張エネルギー吸収を有するサック紙を製造するために、HCR段階は、繊維の分散および直線化するため、したがって、シートの形成、密度および強度を改善するための手段として直接低濃度リファイナー段階にインラインで後に続かなければならない。十分分散され、かつ直線化された外部フィブリル化繊維は、高い表面積および増加した撓性のため、紙において互いに結合する大きい傾向を有する。直線化繊維上の露出フィブリルは、紙の付与された高引張特性の理由であると考えられる。
外部フィブリル化繊維(米国特許第3382140号明細書、米国特許第3445329号明細書)またはセルロースナノフィラメント(カナダ国特許第2824191A号明細書)を製造するためなどの、高エネルギーレベルで特に利用される場合の高濃度ディスクリファイナーに関連する2つの主要な問題は、繊維または結節の絡み合い、およびセルロースの角化である。湿潤パルプは、リファイナーのプレート間のタイトな間隙において高度に圧縮され、そしてそれらの機能の間にパルプ繊維上で消費されたかなりの量のエネルギーのため、それらは種々のサイズの結節へと絡み合う傾向がある。角化を引き起こす繊維の脱水作用も、特に水分子が繊維のヒドロキシル基への結合のために利用可能でなくなる場合、熱の増加のため同時に生じる可能性がある。さらに、リファイナー中のパルプ繊維脱水は、パルプ濃度および温度の関数であり、かつこれらは、リファイナー中の滞留時間(すなわち、リファイナーでの通過回数)が増加する場合、増加するであろう。高エネルギーレベルにおける軟材クラフト繊維の高濃度精製は、新型繊維として識別されて、かつて「ほつれた繊維(frayed fiber)」と呼ばれている(Yuhe Chen and Mousa M.Nazhad:Journal of Engineered Fibers and Fabrics Volume 5,Issue 3-2010)。「ほつれた繊維」は、特にパルプが長期間貯蔵されるか、または室温であっても乾燥される場合、通常の離解技術を使用して水中に分散することが非常に困難となる可能性がある、パルプ中の高濃度繊維性集合体または結節から構成される。さらに、外部フィブリルは、老化および乾燥後に繊維表面に突出して残らない。貯蔵容器またはフラッシュ乾燥機などの、HCRにおけるその製造後の高濃度パルプの熱条件は、したがって、常に角化を促進するであろう。これは、水中での低い再分散度、低い結合、ならびに永続的な結節およびカールの形成可能性などの、繊維特性における劇的な変化をもたらすであろう。HCRにおいて形成された繊維性結節および角化は、製紙、または非水ベースの用途におけるフィブリル化繊維の強化可能性を妨害するおそれがある。
角化は、水保持値(WRV)[Tappi試験法:UM 256]として表される(水和するための)水を吸収する繊維の減少能力の基準である。セルロース角化は、繊維の隣接フィブリルのヒドロキシル基間の多数の水素結合の形成による、標準的なpHにおける水中の繊維膨潤の減少および繊維性空隙の閉鎖によって主に引き起こされる[Paperi Ja Puu,90(2):110-115(1998)]。実際に、繊維性空隙は、幅1nm~5nmの範囲の界面、細孔およびチャネルである。この空隙系は、内部活性表面を決定し、そして繊維の膨潤特性において重要な役割を果たす。単繊維の横断面積が、膨潤から乾燥状態までの乾燥において約20%減少し、そして長さおよび軸収縮率は、数パーセントのみ程度であると記載されている[Paper products physics and technology,Monica Ek,et al.,Eds.de Gruyter,2009,page 79]。従来の研究によって、乾燥させたフィブリルが、古紙または乾燥マーケットパルプを使用する次の製紙プロセスの間の繊維結合のために利用不可能となることが実証されている(Paper Technology and Industry February 1985,Vol.26,No.1,p38-41)。
したがって、新たに製造された高濃度精製セルロース繊維が、室温であっても、老化されない、または乾燥されないことが非常に重要である。これは、なぜなら、脱水によって繊維が高密度の塊状固体材料へと変換し、水性スラリー中への再分散が、高せん断混合においてさえも非常に困難となり、かつ紙、ティッシュまたはボード製品に関する強化可能性が高度に減少する可能性があるためである。独国特許第1185402号明細書は、上昇したフィブリルが落下するか、または繊維上にはり付いて、集合塊状材料が形成する前に、放出されたパルプを新しい水中で急速混合することによってディスクリファイナー上で加工された高濃度軟材クラフト繊維の貯蔵(または老化)時の強度損失を避けるための方法を開示する。したがって、急速希釈されたパルプは、紙へのさらなる加工が有意な強度損失を有する前に、その後濃厚化され、貯蔵される。この独国特許の方法は、濃厚化操作における最終的に非常に低い脱水のため、カナダ国特許第2824191A号明細書の方法によって製造されたそれらの高エネルギー繊維性材料のためには実際的ではないであろう。さらに、フィブリル化セルロースの脱水が改善される場合であっても、いずれかの形成された高固体含有量パルプまたはウェブは、なお半乾燥または乾燥した個別繊維に分離することが非常に困難であろう。
いずれの繊維またはそれらのフィブリル化繊維の効率的な使用のための3つの重要な工業的必要条件は、水性、非水性または疎水性組成物のいずれにもかかわらず、組成物の成分との良好な相容性、分散、結合および相互作用である。完全分散繊維は、スラリー、半乾燥または乾燥形態において、全ての繊維およびそれらの付加された、または遊離のフィブリルが完全にそれらの最も近い近隣の繊維から分離され、そして最終材料に絡み合いまたは結節がない場合に生じるであろう。繊維性材料は、水中および水ベースのポリマーまたは水性組成物中で分散可能であるが、これまでのところ、疎水性媒体中でのそれらの用途は、主にそれらの分散性および相溶性の低さのために困難であった。これらの問題のため、疎水性熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性樹脂と組み合わせた場合、それらは複合製品中で最終的に凝集および相分離に導く可能性がある。そのような凝集は、応力集中部分の役割を果たすため、複合材料の強度特性に望ましくない影響をもたらす、有害な影響を与えるであろう。これらの問題は、多くの工業部門において、リグノセルロース繊維およびそれらのフィブリル化繊維の集積のため、重大な障害であった。次のパラグラフにおいて、我々は、半乾燥および乾燥形態での分散および分散可能な繊維性材料を製造するための問題または限界を知るであろう。
上記の情報は、高濃度で貯蔵時またはパルプフレークもしくはシートへと乾燥時に強い繊維間結合を形成する可能性のある、いずれの湿潤またはスラリーパルプ繊維、特に、高濃度フィブリル化軟材繊維も、以前に議論された解繊または離解デバイスを使用して、個別半乾燥および乾燥フィブリル化繊維へと機械的に分離することが困難であろうことを明示する。フィブリル化繊維性材料が、前分散半乾燥または乾燥形態で製造および供給可能であり、かつ水性、非水性および疎水性組成物と分散可能および相溶化能となるように化学的に調整可能である場合、それらは、種々の工業的部門において、多くの付加価値用途を有するであろう。例えば、それらは、セメント、不織メートおよびポリマー複合材料ならびにより多くの用途において一般に使用される個別化されたショートカット合成繊維およびそれらのフィブリル化繊維に対する費用競争的代替となることが可能である。種々の工業部門のために望ましい種々の長さおよび幅ならびに形態で利用可能であるショートカット合成繊維の例は、有機ポリマー、再生セルロースおよびガラス繊維からの全てのものを含む。有機合成繊維またはフィラメントは、アクリルまたはポリアクリロニトリル、アラミド、炭素、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、そして最も一般的にナイロンおよびポリプロピレンであることが可能である。フィブリル化された形態で製造されたこれらの合成繊維のいくつかは、フィブリル化木材繊維よりも数倍費用がかかる。合成繊維のこれらのフィブリル化された形態は、マイクロファイバーシートを製造するため、または不織繊維マット、セメントまたは複合材料マトリックスの強化のために使用されるために優れた好機を見出すフィブリル状構造またはネットワークである。フィブリル化ポリプロピレン繊維は、一般に、温度収縮率強化および耐衝撃性のために使用される。
合成繊維およびそれらのフィブリル化繊維は、水スラリーから乾燥させた場合、自己結合に対して低い親和性を有し、したがって、それらの繊維またはフィブリルのアスペクト比が、繊維性の絡み合いおよび結節の形成が最小であるレベルにあることを条件として、スラリー、半乾燥または乾燥形態のいずれかにおいて、個別の繊維に分散可能である。したがって、フィブリル化天然繊維が、水性組成物において容易に分散可能である、前分散半乾燥または乾燥形態で供給可能であり、かつそれらの初期の強化可能性の損失がない場合、それらは多くの紙および板紙シートの強度、嵩高いティッシュおよびタオルシートの強度、吸収剤およびろ過マットおよびワイプシートなどのウェットレイド不織製品、強化セメントおよび石膏製品の強度および空隙率を最適化するための非常に高度な繊維供給源となる可能性があるか、あるいは強度を高め、かつ空隙率を最適化するための手段として強度の低いマーケットパルプに集積化されることが可能である。疎水性組成物と相溶性になり、かつ計測が単純化された分散可能な乾燥繊維およびそれらのフィブリル化繊維は、熱可塑性ポリマー(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルおよび多くの生分解性熱可塑性物質)中の強化繊維として、またはシート成形コンパウンド(SMC)およびバルク成形コンパウンド(BMC)などの熱硬化性複合材料、ならびに多くの繊維強化複合材製品を製造するために使用可能である。
有機合成の繊維に対する天然繊維の1つの利点は、それらの表面上に反応基またはポリマー鎖を導入するため、そしてそれらを疎水性または親水性にさせるものなどの表面活性剤でそれらを処理するために、それらが繊維内または繊維間架橋を形成するために、水性媒体中でより容易に化学的に変性可能であるということである。そのような化学的変性はハンマーミルで容易に離解するため、および/またはより高い吸収性を付与するようにマーケットクラフトフラッフ繊維シートを製造するために使用されている(米国特許第6910285B2号明細書、米国特許第8845757B2号明細書)。化学的変性は、繊維を分散状態にさせ、かつ疎水性ポリマー、ゴムまたは熱硬化性樹脂のマトリックスと十分接着させ、したがって、強い複合材製品が製造可能である。取扱いの容易さのために30~50%固体の湿潤パルプとしてEngineered Fibers Technology,LLCによって供給されるアクリルおよびリオセル(再生セルロース)などの分散可能なフィブリル化合成繊維の商業的に入手可能なグレードとは異なり、木材または植物非再生セルロース繊維は、現在、前分散半乾燥または乾燥材料としてフィブリル化形態で供給されておらず、かつ乾燥形態で、および水性または疎水性のスラリーまたは高濃度組成物で容易に分散する能力を有する。
現在、特に低、中間または高エネルギーレベルにおいて高濃度リファイナーにおいて加工されたものから、それらの高濃度パルプ、乾燥パルプまたは乾燥シートから直接、半乾燥または乾燥形態での前分散フィブリル化セルロース繊維の製造を阻止する重大な課題が存在する。高CSFレベルの通常の繊維とは異なり、リファイナーのアウトプットの高濃度フィブリル化繊維は低CSF値を有し、かつ塊状の形態であり、かつ多くの絡み合った繊維または結節を含有する。「CSFは、TAPPI Standard T 227 M-94(Canadian Standard Method)に基づいて決定されるカナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness)を表す」。これらの条件下で、乾燥マーケットパルプシートまたはベイルを個別化するために一般に使用される上記の解繊デバイスを使用して、それらが別個の半乾燥フィブリル化繊維へとほぐれることは困難であろう。空気乾燥、フラッシュ乾燥またはシリンダー乾燥によって水分が蒸発する場合、湿潤フィブリル化繊維は最終的に強く自己結合し、そしてフィブリルが繊維上で乾燥するため、一般的な解繊デバイスを使用して、それらが個別化されたフィブリル化繊維へと分離する機会は実際的ではないであろう。上記の解繊デバイスの機械的作用によって、またはハンマーミルとディスクリファイナーとの開示された組合せ(米国特許第3596840号明細書)を使用して、上昇したフィブリル要素を有する個別化されたフィブリル化繊維を有する繊維状材料を分離または前分散するために、これらの形態のフィブリル化繊維を変換する試みは、繊維性材料の不可逆的損傷なしには不可能である。
文献は、繊維角化に及ぼす乾燥およびフィブリルの乾燥の悪影響を減少する手段としての多くの化学薬品を記載しており、かつ他の化学薬品が、個別化された架橋フラッフクラフト繊維を製造するための手段として開示されている(米国特許第3224926号明細書)。マーケットフラッフパルプと関連するいくつかの特許は、繊維を分離するため、結節のレベルを最小化するため、およびエアレイドマットの液体吸収性を改善するために必要とされる機械的エネルギーを減少するための手段として、化学的前処理法の使用を開示する。フラッフパルプ製造のために、脱結合化学薬品を、一般にウェブの脱水および乾燥の前にパルプ繊維の希釈スラリーに添加するか、またはハンマーミルステップの前に、それを含浸させることによって、乾燥シートに直接適用する。脂肪酸四級アミンなどのカチオン性界面活性剤は、セルロース繊維のための脱結合剤として推薦される(Svensk Papperstidning,Kolmodin et al,No.12,pgs.73-78,1981および米国特許第4144122号明細書)。シート製造の前に繊維上で吸着されたカチオン性界面活性剤は、米国特許第4144122号明細書および米国特許第4432833号に記載されるものなど、繊維の親水性を損なうことなく(吸水度を維持して)脱結合を達成することができるか、あるいは米国特許第4432833号明細書、米国特許第4425186号明細書および米国特許第5776308号明細書に記載されるものなど、繊維の増加した疎水性(水分湿潤性の減少)を引き起こすことができる。可塑剤および潤滑油(グリセリン、トリアセチン、炭酸プロピレン、1,4-シクロヘキサンジメタノール、鉱油)によるシート処理は、ハンマーミル上での繊維のより良好な個別化のための有用な手段として開示されている。他の化学薬品も、柔軟性、湿潤性、吸収性または疎水性、反応性または水分再分散性を改善するために天然繊維に導入されている。
例えば、水分散可能な乾燥ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を製造する化学薬品処理法が米国特許第4481076号明細書に開示された。次いで、MFCスラリーは噴霧乾燥され、小フレークまたは凝集体になる。水再分散可能な乾燥MFC凝集体をもたらす有用な添加剤は、中でも、ポリヒドロキシ化合物であり、これには特に、炭水化物または炭水化物関連化合物、例えば、糖、でんぷん、オリゴ糖および多糖、ならびにそれらの誘導体が含まれる。MFC凝集体の水再分散を強化するために使用される化学薬品の量は、MFCの半分程度の量から、MFCの2倍程度の量まで多様であった。MFCの表面積が、通常のセルロース繊維(マーケットフラッフクラフトパルプなど)のものよりも非常に大きいため、化学薬品のこのような高い供与量レートがおそらく必要とされた。また、噴霧乾燥時の角化の問題は、通常のセルロース繊維よりもMFCに関して、より重大である。一般に、HCRで製造されるMFC材料とは異なり、低濃度レベルにおいてホモジナイザーで製造されるものは、本質的に低いアスペクト比であり、かつ絡み合いまたは結節を含まない。米国特許第4481076号明細書において製造されたMFC乾燥凝集体は、水中に再分散可能であるが、分離された乾燥フィブリルへのそれらの分散の可能性、または疎水性媒体中で分散可能となる能力を有することについての記載はなかった。
特に高濃度ディスクリファイナーによって製造されたフィブリル化繊維のものから、前分散乾燥フィブリル化繊維を製造するための方法が開発される場合、ポリマー複合材製品の製造におけるそれらの完全性能を達成するために、それらは疎水性にされなければならず、かつ/または理想的な相溶性、分散性、および疎水性ポリマーもしくは樹脂のマトリックスとの接着性に必須の反応性官能基を有さなければならない。これらの特徴がない場合、それらがそのような疎水性マトリックス中で導入される場合、それらは効率的に分散または結合しないが、その代わりに、マトリックス中で個別の凝集体を形成し、それは最終複合材料の強度および耐水性にほとんど付加価値をもたらさないであろう。これらの課題のため、十分に開発されたパルプ繊維(TMP、CTMP、SWK、HWK、植物繊維)またはそれらのフィブリル化繊維(MFC、CNF)を添加することによる、複合材料の理論的に予測される優れた強化可能性は、なお、それらの完全性能可能性に到達しておらず、そして結果として、それらはプラスチック複合材工業においてわずかに普及しているのみとなっている。
本明細書に記載の方法の第1の目的は、半乾燥木材または植物ベースの繊維、フィブリル化繊維、セルロースフィラメントおよび繊維のブレンドを十分に開放したか、または前分散された形態で製造することの困難を克服することである。それらは、高レベルの分離された繊維を含有し、かつ低繊維性の絡み合いまたは結節を緩めた。これらの前分散繊維は、水スラリー中に容易に分散可能であるべきである。第2の目的は、前分散操作およびその後の水分蒸発または乾燥段階の間の角化および自己結合を防ぐことである。第3の目的は、水ベース組成物中または疎水性化合物中での半乾燥および乾燥材料としてのそれらの効率的な適用のために望ましく調整された機能性を有する開放繊維を製造することである。したがって、本明細書に記載の技術の目的を達成することの目的は、好ましくは、既存の装置および化学薬品を使用して、同時様式で、前分散または分散可能な繊維性材料の所望の特徴を達成するために必要とされる方法および製造プロセスを開発することである。首尾よく開発された技術は、費用効率的であり、そして安全かつ環境上好ましい化学薬品を使用するべきである。重要な基準は、この目的が、繊維性材料の構造特徴を分解することなく、すなわち、繊維切断を行うことなく達成されるということである。
本明細書に記載の方法の一態様において、穏やかな非慣例的条件、すなわち、通常より低い比エネルギー条件(kWh/h)下で熱機械的高濃度ディスク精製デバイス(プロセス)を使用することによって達成される。本明細書において使用されるディスクリファイナーは、同時開放し;脱絡み合いし;フィブリル化し;いずれかの化学薬品をインプット繊維中に混合し;種々の繊維をブレンドし、繊維を補助剤とブレンドし;かつ発生した摩擦熱が、湿潤繊維からいくらかの水分を蒸発させる、エネルギー効率の良い方法である、大きく開いたプレート間隙(すなわち、回転ディスク間の間隔)を有するようにも整列される。化学薬品の添加は、いずれの角化、繊維およびフィブリル要素の自己粘着を克服し、かつ変換された前分散繊維状材料に所望の機能性を付与するように意図される。ディスクリファイナーの外側は、高レベルの分離繊維およびいくらかの緩やかに絡み合った繊維状材料または結節を有し、かつ一般的な製紙分散技術を使用して水中に容易に分散可能である開放半乾燥繊維状材料である。開放繊維性材料は、繊維およびそれらの緩やかな繊維の絡み合いを分離するために十分な速度で空気撹拌し、その後、エアレイおよび穏やかな乾燥技術によってそれらを所望の乾燥レベルの圧縮ベイル、不織ウェブ(マットもしくはロール)またはダイスドウェブペレットと形成することによってインラインでさらに加工される。乾燥形態、水および疎水性組成物中で分散可能となる能力を有する前分散半乾燥または乾燥繊維を製造するための本明細書に記載の方法およびプロセスを使用することは、我々の知る限り、以前実行されておらず、そして我々のアプローチと対立し得る従来技術、または公開文献において入手可能な開示された報告はない。
一態様によると、パルプを前分散パルプ繊維性材料に変換する方法であって、20~97重量%の固体含有量の高濃度のパルプを提供すること;処理化学薬品を提供すること;および1回通過あたり50~400kWh/tの比エネルギーにおいて、少なくとも1つのディスクリファイナーを含む多段階リファイナーシステム中でパルプおよび処理化学薬品を分散させることを含み、少なくとも1つのディスクリファイナーが、0.5~3.5mmの間隙を画定するディスクリファイナープレートクリアランスを有し、前分散パルプ繊維性材料が、30~99重量%の固体含有量の製品濃度を有する方法が提供される。
別の態様によると、前分散パルプ繊維性材料が、70~100重量%の個別化繊維であり、かつ繊維表面フィブリル化を含む、本明細書に記載の方法が提供される。
リファイナー中でパルプを分散する間に、比エネルギーによって水が蒸発し、水の少なくともいくらかが処理化学薬品と置き換えられるため、濃度が増加する、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、濃度が、30~60重量%の固体含有量である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、製品濃度が、50~80重量%の固体含有量である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、濃度が、40~70重量%の固体含有量である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、製品濃度が、60~80重量%の固体含有量である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、濃度が、30~50重量%の固体含有量である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、製品濃度が、60~75重量%の固体含有量である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、多段階リファイナーシステム後の比エネルギーの合計が、パルプ繊維材料に適用されるリファイナーシステムでの1回通過あたりの比エネルギーの合計であり、かつ50~2000kWh/tである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、比エネルギーが、1回通過あたり50~100kWh/t未満であり、かつ間隙が、2.5mmより大きく、3.5mmまでである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、比エネルギーが、1回通過あたり100~200kWh/t未満であり、かつ間隙が、2.0mmより大きく、2.5mmまでである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、比エネルギーが、1回通過あたり200~400kWh/tであり、かつ間隙が、1.5mm~2.0mmである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、パルプが、未精製または精製クラフトパルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミ-サーモメカニカルパルプ(CTMP)、セルロースフィラメント(カナダ国特許第2824191A号明細書)、その混合物、または非木材植物繊維および合成繊維との混合物である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、パルプが、0.1~10mmの長さ、0.02~40ミクロンの直径および5~2000の相当平均アスペクト比を有する繊維を含む、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、相当平均アスペクト比が10~500である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、方法が連続プロセスである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、方法が半連続プロセスである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、方法がバッチプロセスである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、処理化学薬品が、単独で、または水と混合されて、精製システム前または中のパルプ繊維および繊維性材料に導入される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、処理化学薬品が、可塑剤、潤滑剤、界面活性剤、固定剤、アルカリおよび酸、セルロース反応性化学薬品、セルロース架橋化学薬品、疎水性試薬、疎水性物質、有機および無機(鉱物)粒子、発泡または充てん剤、吸収性粒子、耐油性試薬、染料、防腐剤、漂白剤、燃焼抑制剤、天然ポリマー、合成ポリマー、多糖、ラテックス、熱硬化性樹脂、クラフトリグニンおよびバイオリファイナリー抽出リグニンおよびその組合せからなる群から選択される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、多段階リファイナーシステムが、3つのディスクリファイナーを含み、かつリファイナー処理化学薬品が、3つのディスクリファイナーのそれぞれの上流に添加される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、3つのディスクリファイナーのそれぞれの上流に添加された処理化学薬品が、同一であるか、または異なる処理化学薬品である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、可塑剤が、ポリヒドロキシ化合物からなる群から選択される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、ポリヒドロキシ化合物が、多官能性アルコールまたはポリオールである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、多官能性アルコールまたはポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、フタラート、シトレート、セバケート、アジパート、ホスフェートおよびその組合せからなる群から選択される鉱油および潤滑油をさらに含む、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、界面活性剤が、Triton(商標)X100(イソ-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)、ナトリウムドデシル(エステル)スルフェート、テトラデシルホスホン酸のジメチルエーテル、ポリエトキシル化オクチルフェノール、グリセロールジエステル(ジグリセリド)、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、リグニンスルホンエステル、脂肪アルコールエトキシレートおよびアルキルフェノールエトキシレートならびにその組合せである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、処理化学薬品が、単独で、または他の化学薬品と組み合わせて使用される、アルキレンカーボネートからなる群から選択される二極性非プロトン性液体である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、他の化学薬品が、トリアセチン、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびジメチロールエチレン尿素の少なくとも1種である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、アルキレンカーボネートが、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸グリセロールおよびその組合せからなる群から選択される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、処理化学薬品が、水溶性親水性直鎖または分枝ポリマーである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、水溶性親水性直鎖または分枝ポリマーが、でんぷん、変性でんぷん、アルギネート、ヘミセルロース、キシラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびその組合せからなる群から選択される多糖である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、処理化学薬品が、サイズ化学薬品溶液または乳濁液、脱結合化学薬品および軟化化学薬品の少なくとも1種である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、サイズ化学薬品が、アルキルケテン二量体(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ロジン、スチレン無水マレイン酸(SMA)、スチレンアクリル酸(SAA)およびポリマーサイズ剤、脂肪酸、Quilon(商標)CおよびQuilon(商標)Hからなる群から選択される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、サイズ化学薬品のアルキルケテン二量体(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ロジン、スチレン無水マレイン酸(SMA)、スチレンアクリル酸(SAA)、ポリマーサイズ剤、脂肪酸、Quilon(商標)CおよびQuilon(商標)H、ならびにBASFから販売されるBasoplastシリーズなどの既知のポリマーサイズ剤が、純粋な化学薬品の溶液として、またはでんぷんもしくは合成ポリマーであらかじめそこに導入されるか、あるいはでんぷんで前もって乳化された状態で導入される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、脱結合化学薬品および軟化化学薬品が、Arquad(商標)2HT-75(ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムクロリド)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリドおよびヘキサメチルジシラザン(HMDS)の少なくとも1種である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、処理化学薬品が、エチルアクリル酸(EAA);DowからのHYPOD-ウォーターボーンポリオレフィン(エチレンコポリマーおよびプロピレンコポリマー)、水ベースのポリウレタン分散体、ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートおよびその組合せからなる群から選択される高分子量ポリマーである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、カップリング剤が、無水マレイン酸、マレイン化ポリマー、シラン、ジルコネート、チタネートおよびその組合せからなる群から選択される、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、シランが、ROが加水分解性の基であり、かつRが、メトキシ、エトキシまたはアセトキシであり、かつXが、有機官能基、アミノ、メタクリルオキシまたはエポキシ基である、(RO)3SiCH2CH2CH2-Xの構造を含む、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、架橋剤が、グリオキサール、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒト、クエン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸およびその組合せからなる群から選択されるいずれかである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、熱硬化性樹脂が、アクリル樹脂(Acrodur(商標)またはAQUASET(商標))、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド、メラミン尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド(ResolまたはNovolac)およびエポキシ樹脂である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、ポリマーが、キトサン、ホモポリマーポリビニルアミン(PVAm)、コポリマーPVAm、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(polyDADMAC)、カチオン性セルロース、カチオン性でんぷん、カチオン性グアーガムおよびその組合せからなる群から選択されるカチオン性または両性ポリマーである、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、漂白化学薬品が、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムの群から選択される還元剤、ならびに過酸化水素、過炭酸塩および過ホウ酸ナトリウムから選択される酸化剤である、本明細書に記載の方法が提供される。
別の態様によると、有機および無機(鉱物)粒子が、炭酸カルシウム、クレー、石膏およびその組合せからなる群から選択される、本明細書に記載の方法が提供される。
本明細書に記載の方法によって製造され、バッチまたはインライン空気撹拌およびエアレイド形成によって圧縮ベイルに、または穏やかな乾燥技術を使用して、エアレイによって所望の乾燥レベルの圧縮不織ウェブもしくはダイスドウェブペレットへとさらに加工される、前分散繊維性材料が提供される。
別の態様によると、ベイル、ウェブまたはウェブペレットの前分散繊維性材料にさらに変換され、かつ水および水性組成物中で、または疎水性組成物中で、機械的作用によって乾燥粒子中に分散可能である、本明細書に記載の材料が提供される。
別の態様によると、疎水性組成物が、熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーの少なくとも1種である、本明細書に記載の材料が提供される。
別の態様によると、本明細書に記載の方法によって製造され、紙、板紙、パッケージ、ティッシュおよびタオル;発泡製品、ファイバーボード製品、熱硬化性および熱可塑性複合材料;セメント、コンクリートおよび石膏製品;ならびに石油流出クリーニング、不織マット、おむつまたは衛生用品の吸収性コアへとさらに加工される、前分散繊維性材料が提供される。
別の態様によると、高濃度パルプを前分散繊維性材料へと変換するための多段階リファイナーシステムであって、0.5~3.5mmの間隙を画定し、かつ1回通過あたり50~400kWh/tの比エネルギーを付与するディスクリファイナープレートクリアランスを含む少なくとも1つのディスクリファイナーを含み、高濃度パルプが、20~97重量%の固体含有量であり、前分散材料が、30~99重量%の固体含有量の製品濃度でリファイナーシステムから出る、リファイナーシステムが提供される。
別の態様によると、比エネルギーが、1回通過あたり50~100kWh/t未満であり、かつ間隙が、2.5mmより大きく、3.5mmまでである、本明細書に記載のリファイナーシステムが提供される。
別の態様によると、比エネルギーが、1回通過あたり100~200kWh/t未満であり、かつ間隙が、2.0mmより大きく、2.5mmまでである、本明細書に記載のリファイナーシステムが提供される。
別の態様によると、比エネルギーが、1回通過あたり200~400kWh/tであり、かつ間隙が、1.5mm~2.0mmである、本明細書に記載のリファイナーシステムが提供される。
他の記載と重複するが、本発明の一態様を以下に示す。
[発明1]
パルプを前分散パルプ繊維性材料に変換する方法であって、
20~97重量%の固体含有量の高濃度のパルプを提供すること;
処理化学薬品を提供すること;および
1回通過あたり50~400kWh/tの比エネルギーにおいて、少なくとも1つのディスクリファイナーを含む多段階リファイナーシステム中で前記パルプおよび前記処理化学薬品を分散させること
を含み、
前記少なくとも1つのディスクリファイナーが、0.5~3.5mmの間隙を画定するディスクリファイナープレートクリアランスを有し、
前記前分散パルプ繊維性材料が、30~99重量%の固体含有量の製品濃度を有する、方法。
[発明2]
前記前分散パルプ繊維性材料が、70~100%の個別化繊維であり、かつ繊維表面フィブリル化を含む、発明1に記載の方法。
[発明3]
前記リファイナー中で前記パルプを分散する間に、前記比エネルギーによって水が蒸発し、水の少なくともいくらかが前記処理化学薬品と置き換えられるため、濃度が増加する、発明1または2に記載の方法。
[発明4]
前記濃度が、30~60重量%の固体含有量である、発明1~3のいずれか一項に記載の方法。
[発明5]
前記製品濃度が、50~80重量%の固体含有量である、発明4に記載の方法。
[発明6]
前記濃度が、40~70重量%の固体含有量である、発明1~3のいずれか一項に記載の方法。
[発明7]
前記製品濃度が、60~80重量%の固体含有量である、発明6に記載の方法。
[発明8]
前記濃度が、30~50重量%の固体含有量である、発明1~5のいずれか一項に記載の方法。
[発明9]
前記製品濃度が、60~75重量%の固体含有量である、発明8に記載の方法。
[発明10]
前記多段階リファイナーシステム後の比エネルギーの合計が、パルプ繊維に適用される前記リファイナーシステムでの1回通過あたりの前記比エネルギーの合計であり、かつ50~2000kWh/tである、発明1および9に記載の方法。
[発明11]
前記比エネルギーが、1回通過あたり50~100kWh/t未満であり、かつ前記間隙が、2.5mmより大きく、3.5mmまでである、発明1~10のいずれか一項に記載の方法。
[発明12]
前記比エネルギーが、1回通過あたり100~200kWh/t未満であり、かつ前記間隙が、2.0mmより大きく、2.5mmまでである、発明1~10のいずれか一項に記載の方法。
[発明13]
前記比エネルギーが、1回通過あたり200~400kWh/tであり、かつ前記間隙が、1.5mm~2.0mmである、発明1~10のいずれか一項に記載の方法。
[発明14]
前記パルプ繊維が、未精製または精製クラフトパルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミ-サーモメカニカルパルプ(CTMP)、セルロースフィラメント、その混合物、または非木材植物繊維および合成繊維との混合物である、発明1~13のいずれか一項に記載の方法。
[発明15]
前記パルプが、0.1~10mmの長さ、0.02~40ミクロンの直径および5~2000の相当平均アスペクト比を有する繊維を含む、発明14に記載の方法。
[発明16]
前記相当平均アスペクト比が10~500である、発明15に記載の方法。
[発明17]
前記方法が連続プロセスである、発明1~16のいずれか一項に記載の方法。
[発明18]
前記方法が半連続プロセスである、発明1~16のいずれか一項に記載の方法。
[発明19]
前記方法がバッチプロセスである、発明1~16のいずれか一項に記載の方法。
[発明20]
前記処理化学薬品が、単独で、または水と混合されて、前記精製システム中のパルプ繊維および繊維性材料に導入される、発明1~19のいずれか一項に記載の方法。
[発明21]
前記処理化学薬品が、可塑剤、潤滑剤、界面活性剤、固定剤、アルカリおよび酸、セルロース反応性機能性化学薬品、セルロース架橋化学薬品、疎水性試薬、疎水性物質、有機および無機(鉱物)粒子、発泡または充てん剤、耐油性試薬、吸収性微粒子、染料、防腐剤、漂白剤、燃焼抑制剤、天然ポリマー、合成ポリマー、ラテックス、熱硬化性樹脂、リグニンおよびその組合せからなる群から選択される、発明1~20のいずれか一項に記載の方法。
[発明22]
前記多段階リファイナーシステムが、3つのディスクリファイナーを含み、かつ前記リファイナー処理化学薬品が、前記3つのディスクリファイナーのそれぞれの上流に添加される、発明1~21のいずれか一項に記載の方法。
[発明23]
前記3つのディスクリファイナーのそれぞれの上流に添加された前記処理化学薬品が、同一であるか、または異なる処理化学薬品である、発明22に記載の方法。
[発明24]
前記可塑剤が、ポリヒドロキシ化合物からなる群から選択される、発明21に記載の方法。
[発明25]
前記ポリヒドロキシ化合物が、多官能性アルコールまたはポリオールである、発明24に記載の方法。
[発明26]
前記多官能性アルコールまたはポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される、発明25に記載の方法。
[発明27]
フタラート、シトレート、セバケート、アジパート、ホスフェートおよびその組合せからなる群から選択される鉱油および潤滑油をさらに含む、発明21に記載の方法。
[発明28]
前記界面活性剤が、Triton(商標)X100(イソ-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)、ナトリウムドデシル(エステル)スルフェート、テトラデシルホスホン酸のジメチルエーテル、ポリエトキシル化オクチルフェノール、グリセロールジエステル(ジグリセリド)、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、リグニンスルホンエステル、脂肪アルコールエトキシレートおよびアルキルフェノールエトキシレートならびにその組合せである、発明21に記載の方法。
[発明29]
前記処理化学薬品が、単独で、または他の化学薬品と組み合わせて使用される、アルキレンカーボネートからなる群から選択される二極性非プロトン性液体である、発明21に記載の方法。
[発明30]
前記他の化学薬品が、トリアセチン、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびジメチロールエチレン尿素の少なくとも1種である、発明29に記載の方法。
[発明31]
前記アルキレンカーボネートが、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸グリセロールおよびその組合せからなる群から選択される、発明29に記載の方法。
[発明32]
前記処理化学薬品が、水溶性親水性直鎖または分枝ポリマーである、発明21に記載の方法。
[発明33]
前記水溶性親水性直鎖または分枝ポリマーが、でんぷん、アルギネート、ヘミセルロース、キシラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびその組合せからなる群から選択される多糖である、発明32に記載の方法。
[発明34]
前記処理化学薬品が、サイズ化学薬品溶液または乳濁液、脱結合化学薬品および軟化化学薬品の少なくとも1種である、発明1~20のいずれか一項に記載の方法。
[発明35]
前記サイズ化学薬品が、アルキルケテン二量体(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ロジン、スチレン無水マレイン酸(SMA)およびスチレンアクリル酸(SAA)、脂肪酸、Quilon(商標)CおよびQuilon(商標)Hからなる群から選択される、発明34に記載の方法。
[発明36]
前記サイズ化学薬品のアルキルケテン二量体(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ロジン、スチレン無水マレイン酸(SMA)、スチレンアクリル酸(SAA)が、純粋な化学薬品の溶液として、またはでんぷんもしくは合成ポリマーで前もって乳化された状態で導入される、発明35に記載の方法。
[発明37]
前記脱結合化学薬品および軟化化学薬品が、Arquad(商標)2HT-75(ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムクロリド)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリドおよびヘキサメチルジシラザン(HMDS)の少なくとも1種である、発明34に記載の方法。
[発明38]
前記処理化学薬品が、エチルアクリル酸(EAA);DowからのHYPOD(商標)ウォーターボーンポリオレフィン(エチレンコポリマーおよびプロピレンコポリマー)、水ベースのポリウレタン分散体、ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートおよびその組合せからなる群から選択される高分子量ポリマーである、発明1~20のいずれか一項に記載の方法。
[発明39]
前記カップリング剤が、無水マレイン酸、マレイン化ポリマー、シラン、ジルコネート、チタネートおよびその組合せからなる群から選択される、発明21に記載の方法。
[発明40]
前記シランが、ROが加水分解性の基であり、かつRが、メトキシ、エトキシまたはアセトキシであり、かつXが、有機官能基、アミノ、メタクリルオキシまたはエポキシ基である、(RO)
3
SiCH
2
CH
2
CH
2
-Xの構造を含む、発明39に記載の方法。
[発明41]
前記架橋剤が、グリオキサール、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒト、クエン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸およびその組合せからなる群から選択されるいずれかである、発明21に記載の方法。
[発明42]
前記熱硬化性樹脂が、アクリル樹脂(Acrodur(商標)またはAQUASET(商標))、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド、メラミン尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド(ResolまたはNovolac)およびエポキシ樹脂である、発明21に記載の方法。
[発明43]
前記ポリマーが、キトサン、ホモポリマーポリビニルアミン(PVAm)、コポリマーPVAm、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(polyDADMAC)、カチオン性セルロース、カチオン性でんぷん、カチオン性グアーガムおよびその組合せからなる群から選択されるカチオン性または両性ポリマーである、発明21に記載の方法。
[発明44]
前記漂白化学薬品が、ヒドロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムの群から選択される還元剤、ならびにアルカリ過酸化水素、過炭酸塩および過ホウ酸ナトリウムから選択される酸化剤である、発明21に記載の方法。
[発明45]
前記有機および無機(鉱物)粒子が、でんぷん、木粉、カーボンブラック、リグニン、炭酸カルシウム、カオリン(チャイナクレー)、タルク、二酸化チタン、シリケート、ケイ酸マグネシウム(タルク)、硫酸カルシウム(石膏)、雲母、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウムおよびその組合せからなる群から選択される、発明21に記載の方法。
[発明46]
前記有機および無機粒子の量が、パルプ繊維の重量に基づき、0.1~80重量%である、発明45に記載の方法。
[発明47]
発明1~46のいずれか一項に記載の方法によって製造され、バッチまたはインライン空気撹拌およびエアレイド形成によって圧縮ベイルに、または穏やかな乾燥技術を使用して、エアレイによって所望の乾燥レベルの圧縮不織ウェブもしくはダイスドウェブペレットへとさらに加工される、前分散繊維性材料。
[発明48]
ベイル、ウェブまたはウェブペレットの前分散繊維性材料にさらに変換され、かつ水および水性組成物中で、または疎水性組成物中で、機械的作用によって乾燥粒子中に分散可能である、発明46に記載の材料。
[発明49]
前記疎水性組成物が、熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーの少なくとも1種である、発明48に記載の材料。
[発明50]
発明1~49のいずれか一項に記載の方法によって製造され、紙、板紙、パッケージ、ティッシュおよびタオル;発泡製品、ファイバーボード製品、熱硬化性および熱可塑性複合材料;セメント、コンクリートおよび石膏製品;ならびに石油流出クリーニング、不織マット、おむつまたは衛生用品の吸収性コアへとさらに加工される、前分散繊維性材料。
[発明51]
高濃度パルプを前分散繊維性材料へと変換するための多段階リファイナーシステムであって、
0.5~3.5mmの間隙を画定し、かつ1回通過あたり50~400kWh/tの比エネルギーを付与するディスクリファイナープレートクリアランス
を含む少なくとも1つのディスクリファイナー
を含み、
前記高濃度パルプが、20~97重量%の固体含有量であり、
前記前分散材料が、30~99重量%の固体含有量の製品濃度で前記リファイナーシステムから出る、リファイナーシステム。
[発明52]
前記比エネルギーが、1回通過あたり50~100kWh/t未満であり、かつ前記間隙が、2.5mmより大きく、3.5mmまでである、発明51に記載のリファイナーシステム。
[発明53]
前記比エネルギーが、1回通過あたり100~200kWh/t未満であり、かつ前記間隙が、2.0mmより大きく、2.5mmまでである、発明51に記載のリファイナーシステム。
[発明54]
前記比エネルギーが、1回通過あたり200~400kWh/tであり、かつ前記間隙が、1.5mm~2.0mmである、発明51に記載のリファイナーシステム。
本明細書は、インプットパルプ繊維を前分散半乾燥または乾燥繊維性材料に変換する方法および変換された前分散繊維性材料に関する。この方法は、インプットパルプの繊維性材料を同時に開放、脱絡み合いおよびフィブリル化させる。また、この方法は、最新のメカニカルディスクリファイナープロセスにおいて、湿分を蒸発させながら、インプット繊維を化学薬品と効率的に混合させる。3つのプロセス変数:1)適用された精製比エネルギー;2)リファイナー間隙開放および3)リファイナーアウトプット濃度のための特別な操作設定点制御標的下でリファイナーを使用する。供給原料パルプの種類および供給原料パルプの濃度次第で、リファイナーのアウトプットは、70~100%の分離繊維を含む、30~99%固体の前分散半乾燥繊維性材料であり、かつ使用される化学薬品処理次第で、通常の離解またはコンパウンディング技術を使用して水中または疎水性媒体中にこの段階で分散する緩やかに絡み合った繊維が残る。前分散半乾燥アウトプットは、繊維をさらに分離し、そして繊維の絡み合いを緩めるために十分な速度での空気撹拌によって、そしてその後、それらを圧縮ベイルに配置するか、あるいは所望の乾燥レベルまで穏やかな乾燥技術を使用して、それらを不織ウェブおよびダイスドウェブペレットへとエアレイすることによって、インラインまたはバッチプロセスにおいてさらに加工される。本明細書に記載の方法による加工のために適切な形態のリファイナーの供給原料パルプの種類は、一般的なリグノセルロースおよびセルロース繊維およびそれらのフィブリル化繊維、いくつかの適用可能な合成繊維、ならびに異なるリグノセルロース繊維およびフィブリル化繊維のブレンド、あるいはリグノセルロース繊維またはフィブリル化繊維と適切な合成繊維および/または有機もしくは無機粒子とのいずれかのブレンドである。化学薬品は、高濃度絡み合い繊維および繊維フィブリルの分離を単純化すること、水分蒸発におけるそれらの自己粘着および角化を防ぐこと、そして乾燥、水性および非水性系におけるそれらの効率的な適用のために望ましい新規機能性をそれらに付与することが意図される。圧縮ベイル、ウェブまたはダイスドウェブペレットの分散可能な半乾燥および乾燥繊維材料は、紙、板紙、パッケージ、ティッシュおよびタオル;発泡製品、ファイバーボード製品、熱硬化性および熱可塑性複合材料;セメント、コンクリートおよび石膏製品;ならびに石油流出クリーニング、おむつまたは衛生用品の吸収性コア、ならびに他の使用における効率的な適用のために適切な特定の機能性を有するように調整される。
製造された繊維性材料は、乾燥、水性および非水系システムまたは組成物および製品に適用可能である。本明細書に記載の方法は、1)ファイバー固体1メートルトンあたり、より低い比エネルギー、および2)従来のディスクリファイナーよりも広いディスクリファイナー間の間隙および3)インプットパルプと比較してより高いアウトプット繊維性材料濃度において作動されるディスクリファイナーによって開始する。本明細書に記載の方法は、パルプおよび紙工業において一般に利用されるディスクリファイナーまたは複数のリファイナーを用いるバッチまたは連続プロセスによって、20~97%固体含有量の範囲を有するパルプ繊維の開放、分離、フィブリル化、化学処理またはブレンドを達成する。ディスクリファイナーは非従来的条件下で利用されて、そして大気において、または加圧条件下で作動される。非従来的条件は、ディスク間の間隙開放をより広い開放を可能にするための設定点標的に制御すること、適用された比エネルギーを、予測および計算された最小比エネルギーのみを適用するための設定点標的に制御すること、ならびに繊維の開放を促進し、そして精製ゾーン内部で化学薬品処理が生じることを促進するために、水分蒸発が進歩的であるが、攻撃的ではないように制御されるように、リファイナー濃度を設定点標的に制御することによって、ディスクリファイナー内部の精製ゾーンの体積を増加することに基づく。選択されたプロセスおよび機能性化学薬品は、リファイナー入口の前、または好ましくは、供給原料パルプの入口において、パルプ繊維との急速均一混合が行われるリファイナー中心に向かって、パルプに供与される。化学薬品は、繊維およびそれらの絡み合いまたは結節の分離を単純化すること、水分蒸発におけるそれらの自己粘着および角化を防ぐこと、そして乾燥、水性および非水性組成物における効率的な分散のために望ましい新規機能性をそれらに付与することが意図される。アウトプットは、30~99重量%固体、好ましくは、50~99重量%固体含有量の、開放また再分散された繊維性材料であり、これは、供給原料パルプの種類および形態次第で、100%分離繊維または実質的に高レベルの分離繊維を含有可能であり、かつ絡み合い繊維および/またはフィブリルは緩められ、これは、この段階で、一般的な製紙離解技術を使用して、水中に容易に分散可能である。前分散アウトプットは、繊維をさらに分離し、そして繊維の絡み合いを緩めるために十分な速度での空気撹拌を使用し、そしてその後、それらを圧縮ベイルへと形成するか、あるいは穏やかな乾燥技術を使用して、所望の乾燥レベルの圧縮不織ウェブまたはダイスドウェブペレットへとエアレイすることによって、好ましくはバッチまたはインラインによってさらに加工される。使用された化学薬品処理および/または機能性添加剤次第で、ベイル、ウェブまたはウェブペレットの繊維は、乾燥形態で、水および水性組成物中で、または熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーなどの疎水性組成物中で分散可能である。「繊維」とは、本明細書中、そのような繊維状材料の長さ対直径比(アスペクト比)が少なくとも5~2000、最も好ましくは、10~500である、非フィブリル化、外部フィブリル化、ミクロフィブリル化またはナノフィラメントフィブリルのいずれのリグノセルロースまたはセルロース繊維を意味する。
本明細書に記載の方法による加工に適切なリファイナーの供給原料パルプ繊維の種類は、一般的なリグノセルロースおよびセルロース繊維、それらのフィブリル化繊維または前カール繊維のいずれかであり、リファイナーメカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミ-サーモメカニカルパルプ、ケミカルパルプ(クラフトおよびスルフィット)、マーケットフラッフパルプなどの一般的な木材ベースのパルプ繊維;大豆外皮、エンドウ豆外皮、トウモロコシ外皮などからの種子外皮パルプ繊維;亜麻、麻、黄麻、ラミー、洋麻などからの靭皮パルプ;マニラ麻、サイザル麻などからの葉パルプ;バガス、トウモロコシ、小麦などからの茎またはわら繊維;竹などからの草繊維;リオセル、アクリル(ポリアクリロニトリルPAN)、アラミド、ポリビニルアルコールPVOH、ポリ乳酸PLA、ポリエチレンPE、ポリプロピレンポリプロペンPP、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートPET)、ナイロン(ポリアミドPA)などの合成ショートカット繊維;異なるリグノセルロース繊維、セルロース繊維およびフィブリル化繊維のブレンド、あるいはリグノセルロース繊維、セルロース繊維またはフィブリル化繊維と、他の適用可能な切断合成繊維および/または有機もしくは無機粒子とのいずれかのブレンドが含まれる。本明細書に記載の方法によって加工されるパルプまたはパルプのブレンドの望ましい繊維長さは、0.1mm~10mmの範囲であり、かつ直径は0.02~40ミクロンであり、平均アスペクト比は5~2000であるが、最も好ましくは、10~500である。繊維絡み合いの形成を避けるために、典型的に100~2000の範囲のアスペクト比の長い植物繊維(麻、サイザル麻、亜麻、洋麻および黄麻)は、いくつかの特別処置がいずれの早期絡み合いも避けるために採られることを条件として、本方法で加工することができる。不織ドライレイドまたはウェットレイドなどのいくつかの特別な用途に関して、植物繊維は、新規のより高性能の前分散繊維性材料を製造するための手段として、木材パルプ繊維とブレンドすることができる。上記のものなどの合成短繊維も、ディスクリファイナー中で高濃度リグノセルロースまたはセルロース繊維またはそれらのフィブリル化繊維とブレンド可能である。これらの短合成繊維は、木材ベースの繊維性材料の脱結合を強化し、したがって、高い割合の木材繊維によって製造された不織マットの加工および特性を改善することにおいて、主要な役割を果たすことができる。パルプ繊維の固体含有量は、20%~85%の範囲であり、最高97%までであることが可能である。
本明細書に記載の方法は、米国特許第3382140号明細書、米国特許第3445329号明細書および独国特許第1185402号明細書に開示される高濃度ディスクリファイナーにおいて製造されるもの、より特に、我々の最近の公開された特許、カナダ国第2824191A1号明細書に開示される、2,000~20,000kWh/t、好ましくは、5,000~20,000kWh/tおよびより好ましくは、5,000~12,000kWh/tで変動する精製エネルギーレベルにおいて製造されるセルロースナノフィラメントと同様の高濃度フィブリル化繊維の分散の問題を解決することが意図される。さらに、本明細書に記載の方法によって加工するために最も好ましいフィブリル化繊維は、30~60%の濃度レベルで、かつ200~2,000kWh/tのエネルギーレベル、そして最も好ましくは、400~1,000kWh/tのエネルギーレベルで二重ディスクリファイナーにおいて製造されたものである。好ましいフィブリル化繊維は、エネルギーレベル200~2,000kWh/tにおいて低濃度~中間濃度ディスクリファイナー(3~20%固体)でも製造可能であり、次いで、30~60%の固体含有量まで二本ロールプレスまたはスクリュープレスにおいて脱水することができる。本方法のプロセスに適切であるフィブリル化繊維は、少なくとも10~1,000のアスペクト比および20nm~500nmの幅の付着および/または脱着または遊離フィブリルを有するパルプである。
この方法は、有機および鉱物特性の補助剤も含有し得る上記の一般のパルプ繊維またはいくつかのパルプ繊維ブレンドのいずれかのオープナーリファイナーへのベルトまたはスクリューコンベヤ供給によって実行することができる。これらのパルプは、二本ロールプレスまたはスクリュープレスにおいて脱水されたものなどの脱水パルプの小片またはフレークの形態で、あるいは前もってシュレッダー処理された非乾燥または乾燥マーケットパルプシートおよびベイルの形態でオープナーリファイナー入口に供給されることができる。これらのパルプ形態は、直接、オープナーリファイナーにおいて水または化学薬品によって含浸され、所望の濃度および化学薬品処理を達成するであろう。高濃度リファイナーにおいてすでに前もって加工された高濃度フィブリル化繊維は、上記パルプと同様の様式でオープナーリファイナーに供給することができるか、あるいは別の高濃度ディスクリファイナーまたは一連のディスクリファイナーからオープナーリファイナーにインラインで供給することができる。再生紙または機械破壊された紙、例えば、印刷紙、ライナーボード紙、サッククラフト紙、壁紙、タオル紙および液体包装紙も、シュレッダー処理され、そしてオープナーリファイナー中でいくらかの水および/または化学薬品によって含浸され、所望の濃度および化学薬品処理を達成することもできる。希釈水および/または化学薬品は、容積式ポンプを通して、ディスクリファイナーセンターにおいてパルプに直接測定される。いくつかの化学薬品との繊維の反応は、穏やかなリファイナー条件下、および/またはその後の所望の温度における乾燥の間に生じることが可能である。リファイナーにおけるパルプの開放は、導入された化学薬品の有無にかかわらす、同一リファイナーに数回通過される(バッチプロセス)か、あるいは連続して配置された他のリファイナーにおいて連続的に加工されることができる。本方法によって製造される前分散繊維の所望の特性次第で、第1の通過繊維開放の間に混合物としてリファイナーにいくつかの化学薬品を導入することが可能であり、かつ/またはバッチリファイナーまたは連続する複数のリファイナーの第1の通過、第2の通過または第3の通過および第4の通過に連続的に導入することが可能である。
これらの例の結果を得るために使用されるリファイナーは、約2.25kg/分のパルプ供給原料速度および1,200rpmの回転速度において作動されるパイロット常圧Bauer400ダブルディスクリファイナーであった。本明細書に記載の方法の目的を達成するために設定された穏やかなリファイナー条件は、ディスク間の広い間隙開放および非常に低いエネルギーレベルの使用に基づく。これらの条件は、繊維を化学添加剤および/または補助剤と混合し、かつ熱力学的熱によって発生した水分を蒸発させながら、繊維の即時の開放およびフィブリル化またはカールを引き起こすために十分であった。ディスクリファイナーへの所与のパルプ濃度供給原料に関して後で説明され得る通り、1回通過の間の水分蒸発のレベルは、本質的に、初期パルプ濃度、プレート間隙開放レベルまたは適用されたエネルギーレベルおよびディスクリファイナーの径次第であろう。これらの穏やかな作動条件は、同時のパルプ繊維の開放およびそれらの結節の脱絡み合いの間にフィブリルおよびそれらの外部フィブリルの切断を防ぐために必要とされる。
我々は、サーモメカニカル繊維、ケミ-サーモメカニカル繊維およびクラフト繊維などの非乾燥パルプまたはフレークまたは乾燥シュレッダー処理シートの形態の一般的な高濃度木材または植物繊維は、全て、広い開放プレート間隙において、および様々なエネルギーレベルにおいて作動されたリファイナーにおいて容易に開放し、前分散分離繊維になり、潜在的に、外部フィブリルで与えられることを見出した。リファイナー中のパルプ濃度、および化学薬品が使用されるか、使用されないかということ次第で、前分散半乾燥アウトプットパルプ中の分離繊維のレベルは、サーモメカニカル、ケミ-サーモメカニカル繊維および硬材ケミカルパルプに関しては95%~100%の範囲であることが可能であり、かつ北部および南部軟材クラフトパルプなどの軟材ケミカルパルプに関しては70~95%であることが可能である。軟材クラフトパルプに関して、リファイナー中のそれらのパルプ濃度が低いと、前分散半乾燥パルプの個別化繊維のレベルも低くなる。残りの非分離繊維は、本質的に、緩やかに絡み合った繊維であり、これは、空気、水または水性組成物中での撹拌によって分散可能である。前分散繊維が完全に乾燥可能である場合、従来の分散手段を使用して、それらは乾燥形態で、または水中で、なお個別化繊維へと分散可能である。リファイナー中での適切な化学薬品処理によって、製造された前分散半乾燥および乾燥繊維は、空気撹拌によって、および熱可塑性ポリマーなどの疎水性媒体において分離繊維へと分散可能である。
我々は、上記と同一の条件下で作動されるオープナーリファイナー中に、高密度束状構造または凝集塊の形態であり、かつ高レベルの絡み合いを含有する、20~45%固体の新たに製造された高エネルギー精製軟材クラフトパルプを通過させることによって、それを60%程度の高い固体含有量の前分散形態に変換可能であることも見出した。このアウトプット前分散半乾燥フィブリル化繊維は、本質的に分散された繊維性材料と、いくつかの機械的せん断によって水中に分散可能であるいくらかの残留する緩やかな絡み合いを含有した。しかしながら、前分散半乾燥繊維の乾燥によって、それらは固体角化ネットワークに変換し、したがって、水中でのそれらの機械混合は、それらの分散のためにより長い時間を必要とし、かつ紙のためのそれらの強化可能性は減少した。しかしながら、適切な化学薬品がオープナーリファイナー中で上記と同一のフィブリル化繊維に導入される場合、半乾燥形態の十分分離された繊維を達成しながら、繊維の前分散および水分の蒸発が可能となった。半乾燥前分散試料は水中に十分分散し、そして実際に結節を有さず、そして角化度は、いずれかの前分散の前の初期試料のものとわずかのみ異なった。化学薬品は、繊維およびフィブリルの自己粘着および絡み合いを防ぐ目的のために使用された。他の選択された化学薬品も、同一条件下で、分散半乾燥および乾燥繊維性材料に新規機能性を付与するために使用された。これらの付加された機能性は、それらが、改善された吸収性、疎水性または接着性などの標的用途における性能を改善するために調整可能であるため、重要性を有する。
上記前分散半乾燥繊維および半乾燥フィブリル化繊維は、空気吸引によって不織マットまたは連続ウェブへとそれらを形成しながら、高エアジェット流または空気撹拌を使用してさらに分離された。半乾燥形態のウェブは、約99%固体までさらに乾燥された。乾燥ウェブ形態の分離繊維は、取扱いがはるかに容易であり、ほこりを含まず、かつ意図された用途への効率的な供与または供給のためにペレットへとさいの目切りにすることが可能である。分離繊維を不織ウェブへと形成することは、周知のエアレイ技術によって達成可能である。エアレイ技術において、本方法によるプロセスのために短いか、または同一径の繊維であることが可能である繊維は、空気流中に供給され、かつそこから、移動ベルトまたは穿孔ドラムへと供給され、そして、ランダムに配向されたウェブが形成される。エアレイ技術は、不織繊維ウェブまたはマットの乾燥製造のための植物を記載する独国特許第1,499,687号明細書から一般に知られている。この植物は、底部の穿孔ベースによって定義される箱の形態のエアレイ形成ヘッドを有する。ベースの上方には、作動間に穿孔ベースを横切って流れに繊維を分配する回転ウィングの列がある。このベースの下方には、形成ワイヤの下に配置された吸込箱での負圧によって穿孔ベースの開放を通して延伸される繊維を収容するために作動の間に終わりなく走る通気性形成ワイヤが配置される。前分散繊維は、本方法によって製造された。半乾燥繊維性ウェブは、圧力ロール間に強固にされる。この段階において、ウェブをペレットへとさいの目状態にするか、またはマットに切断することが可能である。連続ウェブは、乾燥させて、ロール状に形成することも可能である。
以前に記載した通り、高濃度精製パルプを乾燥させることによって、角化が増加し、より永続的な結節およびカールが生じる可能性がある。そのようなパルプは水和し、空気、水中にあまり分散せず、かつそのシートは、低い強度特性を有するであろう。パルプの水残値(WRV)は、本明細書中、それらのアウトプット濃度の増加の関数として、リファイナー中での前分散に対する熱の影響を評価するための手段として使用される。WRVは、水中に浸漬され、次いで、標準実験室ブリティッシュ(British)離解機(T205 om-88)を使用して1.2%濃度で離解させたパルプ試料で測定される。我々は、水分蒸発または乾燥によるパルプのWRVの損失は、加工された繊維の種類およびその鮮度またはその精製度に高く依存することを見出した。例えば、標準ブリティッシュ(British)離解機を使用して、約30%固体の高度に精製された軟材クラフトパルプを水中で離解させる場合、スラリーは高レベルの繊維性結節を含有した。パルプが熱水に浸漬されたか、pHが上昇したか、またはWaring食品ブレンダー中で数分間さらに離解することによって、結節のレベルは有意に減少したことが見出された。同高濃度の高度に精製された軟材クラフトパルプが、本明細書に記載の方法に従って前分散された場合、我々は、リファイナー中の通過回数の増加によって水分蒸発のレベルが増加すると、前分散半乾燥パルプのWRVは低下することを見出した。他方、未精製の軟材クラフトパルプの場合、オープナーリファイナー中の通過回数の増加によって水分蒸発のレベルが増加すると、前分散半乾燥パルプ繊維は、外部フィブリル化したか、またはわずかにカールした。最初は、前分散半乾燥パルプのWRVは増加し、次いで、4回通過後、WRVは低下し始めるが、対照非前分散試料のものより高いままであった。したがって、前分散半乾燥パルプは水中で容易に離解し、そして強いシートを形成し、一方、前分散半乾燥フィブリル化クラフト繊維は、3回通過後、なお水中に十分離解し、そして強いシートを形成するが、前分散通過回数が4回より多くまで増加すると、水中での離解が次第に困難になり、そして形成したシートはより弱く、かついくらかの残留繊維結節を含有した。再び、適切な化学薬品がオープナーリファイナーにおいて繊維またはフィブリル化繊維上に導入される場合、半乾燥パルプを数回前分散させることが可能であり、かつそれらの水分を高濃度まで蒸発させることが可能であるが、それらはなお水中に十分分散し、かつ強いシートを形成する。これは、実施例の項目において実証されるであろう。
本明細書に記載の方法を使用することによって、特定の用途に望ましい特性を達成するために、多くの商業的に利用可能な化学薬品または添加剤を、それらのリファイナー中での前分散の間にパルプ繊維に導入することができる。我々は、リファイナーが、化学薬品とパルプ繊維とのための優れた瞬間的混合機であり、かつ利用可能な熱的条件が、繊維表面および界面におけるそれらの均質な吸着および反応を促進することを見出した。リファイナー中に化学薬品を組み込むこの方法は、ハンマーミルなどの一般的な機械的解繊デバイス使用して個別化された前分散パルプ繊維を製造するための従来からのプロセスで使用されるもの、または新規開示された方法とは異なる。処理薬品としては、限定されないが、可塑剤、潤滑油、界面活性剤、固定剤、架橋剤、疎水性材料、有機および無機(鉱物)粒子、発泡剤、吸収性粒子、充てん剤、染料または着色剤、防腐剤、漂白剤、燃焼抑制剤、ポリマー、ラテックス、熱硬化性樹脂、リグニン、処理物質と、繊維の特定の最終用途特性を発達させるための他の材料の組合せが含まれ得る。好ましい化学薬品は、(1)繊維分離または分散を促進し、そして高濃度フィブリル化繊維ならびに他のパルプ繊維の絡み合いを排除し、繊維の角化および自己粘着および凝集に及ぼす乾燥の影響を防ぐこと;(2)繊維に親水性および疎水性特徴を与え、そして可能であれば繊維またはカール状繊維上に外部フィブリルを発達させること;(3)繊維、ポリマー鎖、樹脂分子、カップリング剤、セルロース反応物剤、界面活性剤、発泡発達剤(foam developer agent)、嵩発達剤(bulk developing agent)、繊維間および繊維内架橋剤、カップリング剤、実質的に抗菌剤の分子に導入すること;(4)繊維表面上にコロイド性微細物を固定すること、または嵩強化剤(bulk enhancing agent)、有機および鉱物粒子または吸着粒子またはポリマー粒子を付加することが意図される。有用な化学薬品または添加剤のいくつかを以下に記載する。
1.化学助剤:パルプ繊維の角化および自己粘着を減少させるために適切な最も有用な化学助剤は、中でも可塑剤または潤滑油である。可塑剤は、エチレン、プロピレン、ジプロピレン、ブチレンおよび低分子量グリコールポリマーおよびそれらの混合物などの多官能性アルコールまたはポリオールとして知られているポリヒドロキシ化合物である。これらの極性プロトン性化合物は、ヒドロキシル基および非極性炭化水素鎖を有し、したがって、親和性を有し、強力な分子間力であるセルロースおよび水との水素結合を形成する。プロトン性化合物は、O-HまたはN-H結合を有する分子として定義される。O-HまたはN-H結合は、プロトン(H+)の供給源として機能することが可能である。ポリヒドロキシ化合物と組み合わせて使用可能である鉱油および多くの潤滑油としては、フタレート、シトレート、セバケート、アジパートおよびホスフェートが含まれ得る。それらの高い沸点およびフラッシュ点温度のため、これらの化学薬品のいくつかは、ディスクリファイナーにおける前分散操作の間に蒸発した水分のいくらかの良好な置換として機能することができる。以前に記載された通り、米国特許第4481076号明細書に開示される、可塑剤としてポリヒドロキシ化合物を含有する水再分散可能な完全乾燥ミクロフィブリル化セルロースは、乾燥分離個別フィブリルまたは疎水性組成物中に分散されたフィブリルの凝集体に分散可能ではない親水性凝集体の形態である。
可塑剤として良好に機能し、かつリファイナー中の前分散繊維上の蒸発した水分のいくつかに対する良好な置換であることが分かった他の化学助剤は、二極性非プロトン性溶媒、例えば、アルキレンカーボネート、すなわち、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸グリセロールおよびそれらのブレンド、またはトリアセチン、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびジメチロールエチレン尿素およびポリオールなどの他の化学薬品とのブレンドである。二極性非プロトン性溶媒は、以下のように定義される:「非プロトン性溶媒は、その上のいずれかに水素を有し得るが、それらにはO-HまたはN-Hが存在せず、したがって、それら自体と水素結合することができない。」アルキレンカーボネートは水と混和性であり、水の捕捉の役割を果たし、かつ比較的安価である。それらは高い誘電率および高い極性を有し、また高い沸点およびフラッシュ点を有する。それらは、エポキシ樹脂中の共反応物溶媒など、多くの工業的用途において一般に使用される。本方法に関して、選択されたアルキレンカーボネートは、単独で、またはポリヒドロキシ化学薬品および他の機能的添加剤と組み合わせて、リファイナー中の高濃度パルプに導入される。基準を満たす他の二極性非プロトン性溶媒としては、DMFおよびDMSOが含まれるが、それらの化学特性のため、これらの有機溶媒は本方法において考慮されない。
湿潤高エネルギー精製クラフトパルプと上記可塑剤および/またはアルキレンカーボネート液をディスクリファイナー中で混合することによって、親水性であり、かつ製紙において一般に使用されるヒドラパルパー(hydrapulper)などにおける一般的な離解方法によって水中で容易に分散可能な前分散半乾燥繊維を製造する能力が提供される。パルプスラリーは、絡み合いまたは結節を含まない高度に分散された繊維を含有する。前分散半乾燥繊維がさらに乾燥されるか、または空気撹拌され、次いで乾燥される場合、それは水中に十分分散可能のままであり、かつパルプスラリーは結節を含まない。実施例によって下記で実証され得るように、可塑剤または潤滑油で以前に処理されたそれらの水分散半乾燥または乾燥繊維の強化可能性は、完成紙または水ベースの組成物に適用され、新たに製造された老化されていないか、または乾燥された繊維と比較して、同等であるか、またはより良好であった。可塑剤および潤滑油は、繊維角化および繊維上のフィブリルの自己粘着に及ぼす乾燥の影響を減少させる可能性を有するが、それらが製紙の間にシートに保持される場合、強化の利益は、繊維結合における影響のため、影響を受ける可能性がある。
2.機能性添加剤:上記の化学助剤は、リファイナー中での再分散および乾燥の間の角化および繊維上のフィブリルの自己粘着を最小化することが可能であるため、選択された機能性添加剤の導入は、繊維に親水性または疎水性特徴を付与するために、あるいは多くの製品の特定の最終用途のために必要とされるカール、嵩、密度、空隙率、発泡、膨張性または結合能力、あるいは抗菌、燃焼抑制特性および鉱物充てん剤を付与するために必要とされる。以下は、機能性添加剤が、単独で、または化学助剤との組合せで使用され得る例の2つのシリーズである。
水溶性多糖ポリマーおよび非水溶性ポリマーまたは粒子:これらは、水溶性親水性直鎖および分枝ポリマーである。多糖の例としては、でんぷん、アルギネート、ヘミセルロース、キシラン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースが含まれる。本明細書に記載の方法に従って、単独で、またはいくつかの化学助剤の存在下で湿潤パルプ繊維に添加する場合、化学薬品は繊維表面上で吸着することが可能である。繊維表面上にこれらの多糖が固定することによって、前分散繊維が水中に容易に分散可能となり、したがって、製紙製品および他の水ベース製品のための高強化添加剤としての使用が見出されるであろう。溶解することなく、大量の水またはヒトの液体を急速に吸収する能力を有する乾燥超吸収性ポリマー(SAP)粒子も、半乾燥繊維の前分散の間に固定可能である。そのような繊維表面上でのSAP粒子の固定によって、吸収性マット中の液体吸収に対するそれらの望ましくない物理的除去および移動を防ぐことが可能である。
分粒、脱結合、軟化および界面活性剤化学薬品:アルキルケテン二量体(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ロジン、スチレン無水マレイン酸(SMA)およびスチレンアクリル酸(SAA);脂肪酸、すなわち、ステアリン酸ナトリウムおよびステアリン酸カルシウム;シラン、クロムと一緒にステアリン酸などの炭化水素疎水性鎖を有するQuilon(商標)CおよびQuilon(商標)Hの溶液などのクロム錯体などの一般的な製紙サイズ乳濁液。サイズ乳濁液は、前分散繊維を疎水性にし、かつそれらの分離を促進する。Quilon、ならびにポリオキソ-アルミニウムステアレートの溶液などのクロム錯体は、繊維性材料の乾燥後に高い表面疎水性を提供することが可能であり、したがって、脱結合剤として機能することが可能であり、かつ乾燥材料のダスティングを最小化することもできる。これらの疎水性繊維性材料は、ろ過媒体、油吸収剤として、そしてプラスチック複合材料において用途が見出されるであろう。
繊維の親水性を有意に変化させない化学薬品脱結合剤または軟化剤は、疎水性アルキル鎖に加えて、エチレンオキシド単位を含む。良好な例は、Arquad(商標)2HT-75(ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムクロリド)であり、これは、親水性を損なうことなくパルプ繊維の結合を防ぐことが見出されている。ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリドなどの他の化学薬品を脱結合および軟化を達成するために使用することも可能である。親水性脱結合繊維は、様々な工業的用途のための良好な吸水性の嵩高いマットを製造するために使用することができる。ヘキサメチルジシラザン(HMDS)は、セルロース繊維に相当し、かつそれらの分散性および疎水性ポリマーとの相溶性を促進する化学薬品の別の例である。最近の研究によって、パルプ繊維のHMDS処理が、乾燥フィブリルおよびミクロフィブリルを上昇させるであろうことが示唆されている(Irving B.Sachs,Wood and Firber Science.20(3).1988,pp.336-343)。
これらの脱結合化学薬品は、好ましくは、繊維性材料の浸潤および分散を促進するために、化学助剤と一緒に湿潤繊維性材料に導入される。本方法の目的のために有用な化学薬品の例は、米国特許第4303471号明細書、米国特許第4432833号明細書、米国特許第4425186号明細書、米国特許第577308号明細書および米国特許第5750492号明細書に十分記載されるものと類似している。本方法の目的に関して、繊維性表面上でのこれらの分子の固定は、リファイナーにおける第1通過前分散の間に急速に達成され、したがって、パルプスラリーの前処理および処理されたパルプの脱水もしくは洗浄、またはパルプシートの前含浸などの複雑な段階が必要とされない。
非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性およびポリマー性の界面活性剤化合物(表面活性剤の略語)は、一般に、2つの液体の間または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる手段として多くの用途で使用される。界面活性剤は、パルプ繊維の湿潤、乳化、発泡、分散および脱結合のために有用である。親水性頭部および疎水性尾部から構成される十分固定された非イオン性界面活性剤は、繊維性材料に疎水性および反応性官能基を付与することができる。1つの特定の非イオン性界面活性剤は、Triton(商標)-X100(イソ-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)であり、これは、エポキシおよびポリエステル樹脂との繊維の相溶性を改善することができる。Triton(商標)-X100は、フェノールおよびリグニンなどの増強剤の存在下で繊維表面上に固定するように親和性を有する。本方法のための他の有用な界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(エステル)、テトラデシルホスホン酸のジメチルエーテル、ポリエトキシル化オクチルフェノール、グリセロールジエステル(ジグリセリド)、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、リグニンスルホネート、脂肪アルコールエトキシレートおよびアルキルフェノールエトキシレートである。
本方法のプロセスによって繊維表面上に固定可能である別の反応性分子は、塩化ベンゾイルである。そのフェノール基は、熱硬化性複合材料を製造するために使用されたポリエステル樹脂上に存在するベンゼン環およびメチル基と相互作用することが可能である。これによって、繊維性材料およびポリエステル樹脂との相溶性が付与され、そしてまた繊維親水性を減少するであろう。
使用された機能性添加剤の化学的性質次第で、前分散繊維は、完成紙または他の水ベース組成物の製紙において容易に再分散する可能性を有するか、あるいはポリオレフィンポリマーによる押出成形コンパウンディングの間の良好な相溶性および混合を有するであろう。しかしながら、熱可塑性複合材料に関して、化学助剤、脱結合剤またはサイズ剤の供与は、最終複合材製品の引張強度の損失を避けるために、低く維持されなければならない。これは、乾燥前分散繊維表面上の固定された低分子量可塑剤、疎水性脱結合剤およびサイズ剤が、押出成形コンパウンディングおよび射出成形の間に良好な分散を促進し、耐水性を改善するが、繊維およびマトリックスの間の接着を減少させるからである。
3.他の機能性添加剤:相溶性、接着、架橋、疎水性を達成するため、または新規繊維配合物を製造するために、リファイナーでの前分散操作間に、他の種類の機能性添加剤をパルプに導入することができる。選択された添加剤は、化学助剤と一緒に導入することができる。選択された機能性添加剤は、リファイナー中および最終乾燥段階の間に繊維性材料を固定および/またはそれと反応するように良好な親和性を有すべきであり、以下に記載されるものが挙げられる:
コポリマー水分散体:そのような高分子量アニオン性コポリマーとしては、エチルアクリル酸(EAA);DowからのHYPOD-ウォーターボーンポリオレフィン(エチレンコポリマーおよびプロピレンコポリマー)、水ベースのポリウレタン分散体、すなわち、BASFおよびDOW Chemicalから供給されるもの、ならびに多くのラテックス、例えば、スチレンブチレンゴム(SBR)が含まれ、これらは全て、ディスクリファイナー中で繊維表面上に吸着またはコーティング可能である。コポリマー分散体は、疎水性を付与することが可能であり、かつ乾燥繊維に対するポリマーカップリング剤の役割を果たすことが可能であり、したがって、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレートアジペートテレフタレート(PBAT、Ecoflex)、PLA/PBATブレンド(Ecovio)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの従来からの熱可塑性ポリマー、ゴムおよび多くの他の商品熱可塑性物質との良好な相溶性、コンパウンディングおよび追加的な強化を可能にする。
カップリング剤および架橋剤:この目標を達成する化学薬品は、多くの無水マレイン酸またはマレイン化ポリマー、シラン、ジルコネートおよびチタネートである。シラン分子は、同一分子中に、無機および有機の2種の反応性を含む。シランの典型的な一般分子構造は、ROが、メトキシ、エトキシまたはアセトキシなどの加水分解性の基であり、かつXが、アミノ、メタクリルオキシまたはエポキシなどの有機官能基である、(RO)3SiCH2CH2CH2-Xである。したがって、繊維表面に付加する単一シランカップリング剤分子は、複合材料の繊維およびポリマーマトリックスの間の界面において、これらの2つの非類似材料を結合または連結するために作用することができる。
多官能性酸および多官能性アミンなどの化学剤も、表面機能性および繊維内架橋または繊維間架橋を発達させるために湿潤パルプ繊維と集積化されることが可能である。多くの従来特許は、弾力性および吸収能力を与える手段として、加熱下でセルロースを処理するために使用される多くの架橋剤、すなわち、グリオキサール、アルデヒド、ホルムアルデヒト、クエン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸を十分記載している(米国特許第5049235号明細書、米国特許第6165919号明細書、米国特許第6264791号明細書、米国特許第7195695号明細書、米国特許第8475631号明細書)。内部架橋前分散繊維または繊維性材料は、おむつおよび他の衛生学的液体吸収性製品において使用される不織マットでの用途のために使用されている。
ディスクリファイナーまたはFrotapulper(商標)などにおける、軟材クラフトパルプの高濃度前精製または前機械せん断および圧縮は、(適切な化学剤の存在下における前分散による)本明細書に記載の方法と組み合わせて、疎水性のカール状繊維を製造するために最適化されることが可能である。そのような前分散繊維は、改善された弾力性の嵩および吸収剤特性を示すための手段として、吸収性マットの製造において超吸収性ポリマーとの組合せのために非常に望ましくなることが可能である。おむつの製造において、粒子粉末、顆粒または繊維の形態で提供される超吸収性ポリマーは、高い液体吸収性を達成するために必要な前分散繊維マット全体で分散される。架橋されたカール状繊維は、超吸収性ポリマー粒子によって、極性液体、すなわち、水の吸収性または獲得および保留の間に弾力性ネットワークを達成することを可能にするであろう。
熱硬化性樹脂:本明細書に記載の方法に関して最も好ましい熱硬化性樹脂の例は、BASFによって供給されるアクリル樹脂(Acrodur(商標)シリーズ)およびDow Chemicalによって供給されるAQUASET(商標)および一般的な水性樹脂、すなわち、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒト、フェノールホルムアルデヒト、メラミン尿素ホルムアルデヒドおよびエポキシなどの水ベース樹脂または乳濁液であり、これらは、本明細書に記載の方法のリファイナーでの前分散操作の間に繊維性材料上に含浸させることが可能である。
リファイナー中の混合パルプに注入される化学助剤および水ベースの樹脂次第で、製造される前分散含浸繊維は、熱可塑性ポリマーとのコンパウンディングにおいて利用可能であるか、あるいはBMC(バルク成形コンパウンド)およびSMC(シート成形コンパウンド)またはMDFおよびHDFなどの木材複合材料、ならびに多くの複合材製品において一般に使用されるポリエステル樹脂マトリックスに基づく熱硬化性複合材料の製造において使用可能である。
4.カチオン性ポリマー剤固定剤:いくつかの使用に関して、わずかなアニオン性微細物、およびマーケットパルプの溶解したコロイド物質は製紙において望ましくない。リファイナー中での前分散操作の間の低分子量から高分子量の選択されたカチオン性または両性試薬またはポリマー、すなわち、ミョウバン、キトサン、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリエチレンイミン(PEI)、polydadmac、カチオン性セルロースおよびカチオン性でんぷんの注入によって、繊維表面上での微細材料の中和および固定が可能となる。これらの添加剤は、繊維内および繊維間でイオン性架橋を形成することも可能であり、高弾力性、嵩および空隙率ならびに改善された強度および吸収性を有する繊維ネットワークが形成される。固定を達成するため、かつ繊維に疎水性を与えるために、カチオン性金属錯体も使用することができる。我々は、固定およびイオン架橋によって、前分散繊維材料のダスティング性を減少することが可能であることを見出した。
本方法によると、リファイナー中でのそれらの前分散の間に、パルプは、材料の重量に基づき0.1~40%の、他の添加剤または補助剤と組み合わせた選択された化学薬品によって含浸されるか、それと混合されるか、またはブレンドされる。化学薬品の好ましい量は、0.1~20重量%の範囲であり得る。化学薬品のより好ましい量は、0.1~10重量%の範囲であり得る。リファイナー中のパルプは、第1の通過開放の間、またはリファイナー中の第2の通過もしくは第3の通過前分散の間のその後の添加によって一緒に注入された上記選択された化学薬品の1種、2種またはいくつかの存在下で前分散される。選択された化学薬品は、半乾燥または乾燥繊維材料の一部として残るように意図され、それらの使用前に洗浄、抽出または材料蒸発は必要とされない。
以前に記載された通り、リグノセルロースパルプ繊維またはそれらのフィブリル化繊維は、以前に記載された適切な長さおよびアスペクト比のいずれかの植物または種子繊維および/または合成繊維とブレンド可能である。これらの寸法は、前分散の間に望ましくない絡み合いの形成を避けるために必要である。リファイナー中でリグノセルロースパルプ繊維またはそれらのフィブリル化繊維と一緒にブレンドされ得る植物または種子繊維および/または合成繊維の割合は、1~99%で変動可能である。下記に記載され得る通り、それらは、1、2もしくは複数のベルトまたはスクリューコンベヤフィーダーなどの異なる供給ラインからリファイナーに導入されることができる。
以下のプロセスの記載は、空気拡散、それらを所望の乾燥レベルの圧縮ベイル、ウェブまたはダイスドウェブペレットに乾燥および形成することによる、前分散半乾燥繊維材料およびそれらのさらなる分散を製造するために利用可能である。前分散されるパルプが、中間濃度または低濃度繊維スラリーから製造される場合、それは、好ましくは、約30~60%固体まで濃度を上昇させるために、スクリュープレス、ベルトプレス、連続遠心分離機、バッチ遠心分離機またはダブルロールプレスなどのデバイスで最初に脱水されて、次いで、ディスクリファイナー中での通常の供給および前分散操作を可能にするために、シュレッダー処理によって小片またはフレークへと変換されなければならない。同様に、パルプが、乾燥マーケットパルプシートまたはベイルから製造される場合、それは、最初に10~30cm2径の小片にシュレッダー処理され、次いで、水および/または化学薬品が導入され、かつ粘度が所望の加工レベルに制御されるリファイナーにスクリューコンベヤを通して供給されなければならない。好ましくは、リファイナー中の最初の開放通過の間のパルプ濃度の好ましい範囲は20~97%であり、そして好ましい対応するアウトプット前分散材料は30~99%の範囲の固体含有量を有する。
アウトプット前分散半乾燥繊維は、圧縮ベイル、ウェブまたはダイスドウェブペレットへとそれを形成しながら、空気撹拌および穏やかな乾燥によってさらに分散可能である。このプロセスによると、リファイナーのアウトプット前分散材料は、外部ファンによって発生した高速気流と急速に混合されて、次いで、導管を通ってサイクロンに送達される。サイクロンは移送ポンプに連結し、そこで、移動繊維がサイクロンから吸引および粉砕されて、ベイルまたはウェブが形成される。外部ファン、サイクロンならびに入口および出口サイクロンの導管は、繊維を分離し、かつ繊維の絡み合いを緩めるために十分な気流速度を提供する径である。サイクロン中の空気の温度は、加熱器からファンを通して熱気を送ることによって、100℃未満、好ましくは、70~80℃の望ましいレベルに調整されることが可能である。半乾燥分離繊維は、導管を通ってベイル中にそれらを推進させることによって、サイクロンから回収されるか、または減圧ボックス上で移動するスクリーンを通って吸引によって吸い上げによってウェブへと形成される。減圧ボックス下のいずれのスクリーンから脱走した微細物も、導管を通ってサイクロンに戻される。移動形成されたウェブは、2本のロールの間で穏やかに圧縮され、次いで、必要であれば、化学薬品と繊維との反応を完了するために必要とされる適切な温度においてさらに乾燥される。我々は、半乾燥形態で空気分散された繊維に保持することによって、取扱いのために必要ないくらかの機械的強度を有し、かつ実際的にほこりがない状態で圧縮されたウェブを得ることが可能であることを見出した。
特に前分散半乾燥繊維性材料がベイルの形態で回収されることが意図される場合、他の乾燥技術を本方法と集積化することが可能である。本方法によって製造された前分散半乾燥繊維状材料の乾燥のために、コンベヤ乾燥機、スクリューコンベヤ乾燥機および従来のフラッシュ乾燥技術を使用することが可能であるが、都合のよい技術は、この方法の連続プロセスにおいて連結可能である、Superheated Steam Dryer(SHSD)または同等の乾燥セットアップであることが可能であろう。過熱乾燥機は、閉鎖ループ空気輸送型である。蒸気圧が一定に保持され、かつより多くのエネルギーが加えられる場合、その温度上昇および飽和水蒸気は過熱蒸気(SHS)になる。前分散半乾燥繊維は、タイトな圧力ロータリーバルブ、プラグスクリューまたは類似物を使用することによって加圧された過熱輸送蒸気の流れの中への空気撹拌後に直接供給されることが可能である。輸送蒸気は、管状熱交換器を介して、加熱媒体によって間接的に過熱される。通常、乾燥システム中の滞留時間は5~60秒である。閉鎖加圧蒸気システムを使用して、ほこり粒子または揮発性化合物が大気に排気されないか、またはいずれの可視の蒸気プルームも生じない。必要であれば、化学薬品と繊維との反応からの可能な揮発物は、生成した蒸気の凝縮によって回収される凝縮物において容易に取扱いまたは処理可能である。
この方法の重要な要素は、水中または水性組成物中で、あるいは高速空気撹拌環境において混合することによって、この段階において容易に分散可能である前分散半乾燥繊維材料を製造することである。そのような前分散半乾燥繊維状材料は、バッチ単一リファイナーを使用するリファイナー中で、または一連のリファイナーを使用する連続プロセスにおける繰り返し通過の間に、エネルギーを最小レベルまで低下させることによって、そしてプレート間隙を広く開放することによって、高濃度ディスク精製プロセスにおいて首尾よく製造される。これらの特定の条件によって、繊維を開放、脱絡み合いおよび外部フィブリル化しながら、またはすでにフィブリル化された繊維を分離しながら、パルプを化学薬品または他の添加剤と適切に同時ブレンドすることが可能となる。前分散半乾燥繊維は、所望の乾燥レベルまで空気乾燥によってインラインで迅速にさらに分散され、そして圧縮ベイル、ウェブまたはダイスドウェブペレットへと形成される。リファイナー中でパルプが適切な化学薬品および/または添加剤とブレンドされる場合、前分散半乾燥および乾燥繊維性材料は両方とも十分分散可能となり、かつ実質的に水中または水性組成物中での撹拌時に繊維の絡み合いを含まない。さらに、他の適切な化学薬品および/または添加剤によって、乾燥繊維性材料は疎水性媒体中で分散可能となり、そして最終組成物は、繊維の絡み合いを含まない。化学助剤の不在下で、生成した熱は、角化、繊維上へのフィブリルの乾燥、繊維およびフィブリル収縮およびカール形成を引き起こす可能性がある。しかしながら、繊維中でのこれらの物理的変化は、上記の適切な化学助剤の添加によって実質的に最小化または排除される。化学助剤は、ここで、前分散段階間の水分蒸発時の繊維およびフィブリルの自己粘着を防ぐ役割を有し、そして貯蔵および乾燥時のそれらの角化を防ぐために前分散繊維の一部に残るであろう。
本明細書に記載の方法は、種々のパルプ繊維の前分散のために十分適切であり、特に高い比エネルギーレベルにおいて高濃度ディスクリファイナーによって製造されたフィブリル化繊維を、70~100%の個別化繊維を含有し、かつ残りは用途組成物中で分散可能である緩やかな繊維の絡み合いである前分散半乾燥繊維状材料へと変換することが可能である。いずれのクラフトの高濃度パルプ、亜硫酸塩、ソーダまたはアルカリ性調製プロセスも本方法による加工のために適切である。適切な高濃度パルプは、MDF TMP繊維束、ならびにより解繊された未漂白または漂白サーモメカニカルパルプ(TMP)およびケミ-サーモメカニカルパルプ(CTMP)など、機械的パルプ化加工からも得ることができる。アバカなどの1~6mmの長さの植物繊維も前分散可能である。亜麻、洋麻、大麻、黄麻、サイザル麻、綿または類似材料を含む他の前切断植物繊維も前分散可能である。木材ベースの繊維と同様に、植物繊維も、本方法に従って実際に前分散半乾燥繊維状材料へと変換するための高濃度フィブリル化繊維を提供するために精製され得、かつその後使用され得る。合成短繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アラミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、レーヨン、リオセル、ガラス、炭素など)も、上記リグノセルロース繊維またはそれらのフィブリル化繊維と一緒にリファイナー中で前分散可能である。高い融解温度の合成短繊維がより好ましい。
図1は、パルプ繊維の供給1;開放混合、フィブリル化、分離および脱絡み合いならびに繊維への化学薬品の添加によるパルプ繊維の加工2;ならびに半乾燥繊維のさらなる空気撹拌、およびベイルでのそれらの回収、または圧縮ウェブおよびダイスドウェブペレットへの変換4のステップによる、本明細書に記載の実施形態による前分散または分散可能な繊維性材料の製造のためのプロセス100を例示する。リファイナーの供給1は、本明細書に記載の方法による加工に適切な形態のいずれかのパルプ種である。パルプ種は、一般的なリグノセルロースおよびセルロース繊維ならびにそれらのフィブリル化繊維、いくつかの適用可能な合成繊維、ならびに異なるリグノセルロース繊維およびフィブリル化繊維のブレンド、またはリグノセルロース繊維またはフィブリル化繊維と適切な合成繊維のいずれかのブレンドのいずれでもよい。高濃度パルプ繊維の1種またはブレンドは、ディスクリファイナーまたは複数のリファイナーのバッチまたは連続プロセスを使用して、それらの開放、希釈または化学処理、前分散、フィブリル化および湿分蒸発2を達成するための同時様式で加工される。アウトプット前分散半乾燥繊維状材料3は、この段階において、一般的な離解技術を使用して、水中または水性組成物中で離解可能である。前分散半乾燥繊維状材料3は、穏やかにさらに乾燥されて、そしてベイルの形態で、またはスーパーサックで供給4可能である。開放段階において適切な化学薬品が使用される場合、前分散繊維3は、疎水性組成物中で分散可能である。繊維および緩められた絡み合いをさらに分離するために十分な速度で、空気撹拌4技術を使用して、バッチまたはインラインで、前分散半乾燥繊維3アウトプットをさらに加工して、その後、所望の乾燥レベルの圧縮不織ベイル、ウェブまたはダイスドウェブペレットにするための穏やかな乾燥技術を使用して、それらをベイルへと形成するか、またはそれらをウェブもしくはダイスドウェブペレットへとエアレイドする。使用された化学処理および/または機能添加剤次第で、ウェブまたはウェブペレット5は、機械的(ミリング)6作用によって、水または水性組成物中で、あるいは熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーなどの疎水性組成物中で分散可能である。ミリング6後、乾燥流動可能粒子7への機械的作用によって、完全な繊維分離および/または径減少が可能である。
本方法の実施は、3つのプロセス1、2および4の主成分または主要ブロック次第である。プロセスのレイアウトを以下に記載する。
図2は、木材繊維、植物繊維およびそれらのフィブリル化繊維または合成繊維、あるいは異なる繊維の組合せであることが可能である、種々の由来の繊維をブレンドするためのプロセス200のレイアウトを示す。したがって、繊維は、均等に分布されたブレンドとなる。これは、いずれの前分散および/または前分散の間の化学処理の前の重要なステップである。供給原料繊維23、24および25は、いずれの形態であることも可能であり、かつリファイナー中で20%固体程度の低さおよび97%固体程度の高さまで前希釈または希釈されることが可能である。リファイナーのアウトプット繊維の濃度は、リファイナーに直接導入される希釈液体流を使用して、前もって決定された設定点に制御される。望ましい希釈液体は水28であるが、非常に低揮発性の有機化合物(VOC)および高い沸騰温度の他の極性液体も単独で、または水と組み合わせて使用可能である。
図2に例示するように、異なる密度を有する異なる繊維を混ぜる場合、それぞれのコンベヤ22、23および26の供給速度は、それぞれ、設定点を強要するように、そして適切な密度の所望のブレンドを正確に制御するように設定される。
図2のレイアウト:木材および非木材からの繊維/パルプのこの混合において、10のプロセスブロックがある。ブロック21は、リファイナー中への繊維またはパルプである。回転/分(RPM)のコンベヤの速度(ブロック22)は、所望の最終ブレンドを達成するための設定点標的に制御される。同記載は、ブロック23、24、25および26に当てはまる。ブロック27は、リファイナーの小穴における化学薬品添加である。また、ブロック28の位置において、リファイナーブローライン濃度を設定標的に制御するための希釈液体が添加される。ブロック29は、大気または加圧リファイナーであることが可能である、サーモメカニカルディスクリファイナーである。ブロック210は、ブローラインパルプであるか、または均一ブレンド繊維製品である。
図3は、バッチ多数回通過プロセス300を示す。
図3のレイアウト:この図中に6ブロックがある。ブロック31は、加工される1つのパルプまたはパルプ繊維のブレンドを含有するタンクである。パルプは、1回通過または数回通過で加工可能である。リファイナーのアウトプットパルプは、別の通過を受けるために、次の段階に送られるか、あるいは後方に戻される。したがって、望ましい特性が達成されるまで、1回または数回のパスが実行可能である。最終加工された繊維は、今や、すぐに使用できるか、または次の段階に移動されてもよく、そこで、空気撹拌加工および形成によってベイル、ウェブまたはダイスドウェブペレットに変換される。処理のために使用される選択された化学薬品が非水ベースである場合には希釈が実行されないこともあるという事実のために、必要とされる場合は、希釈液体(ブロック32)がリファイナーの小穴において添加される。化学薬品、ブロック33も、リファイナーの小穴において添加される。n回通過の間のリファイナー供給原料、ブロック34。ブロック35は、大気または加圧リファイナーであることが可能である、高濃度サーモメカニカルディスクリファイナーである。均一ブレンドされた繊維製品のアウトプット製品はブロック36である。
図4は、連続多数回通過プロセス400である。
プロセス400のレイアウトは図4に例示される。この図中に少なくとも11のプロセスブロックがある(3つのプロセス段階が使用される場合)が、図4は、3つより多くの段階、すなわち、n段階(401、402、・・・40n)を表す。ブロック41は、段階401のリファイナー44への供給原料パルプである。ブロック42は、設定点標的に従って、リファイナーのアウトプット濃度を制御するための水添加である。ブロック43において、第1の化学薬品がリファイナー42の小穴において添加される。第2の化学薬品および水は、それぞれ、段階402において、ブロック45および46においてリファイナー47に添加され、そしてその後のいずれのn番目の段階においても、水および化学薬品が、リファイナー410のそれぞれのブロック48および49において添加される。全ての化学薬品は、化学添加の隔離された連続に従って、リファイナー44、47および410の前において添加される。アウトプット繊維製品411がリファイナー410から出る。
高濃度精製は、通常、高エネルギーの適用と組み合わせられ、かつそれは、外部および内部フィブリル化機構による繊維の発達を目標としており、それによって、有意に低い繊維切断における繊維表面積の有意な増加およびパルプ密度の増加が得られる。高濃度精製の目的が繊維を発達させることである場合、適用された比エネルギーは、1回通過あたり800kWh/tより高く、かつリファイナープレートの間の空間、間隙は減少し、プレート保護の設定アラームに従って、リファイナープレート間で非常に狭いか、または0.5mm間隙程度のタイトさである。これによって、精製ゾーン体積の減少がもたらされるであろう。リファイナーから出るパルプは、主に圧搾された絡み合い繊維の束状構造である。これは、図5および図6において例示される。
本明細書に開示されるこのアプローチは、所与のパルプの多数回通過精製に基づく。それぞれの精製通過は、20%~97%の範囲の高濃度である。1回通過あたりの適用された比エネルギーは低く、かつそれは1回通路あたり50kWh/t~300kWh/tのみの範囲である。これらの条件下で、間隙開放は非常に広い(低エネルギー条件)。それは、使用される工業用リファイナーの種類およびその容量、パルプの密度およびプレート条件次第で、1.2mm~3.5mmの範囲であることが可能である。小型リファイナーの主に非常に低い容量に関して、間隙開放は0.5mm~1.2mmの範囲であろう。低い製造に関して、それらの通常製造のための間隙開放は、0.1mm程度の低さであることが可能であり、繊維発達のために有意なエネルギーを適用可能にする。例えば、高容量の大型リファイナーが高濃度および低い適用された比エネルギーの条件下で使用される場合、精製ゾーン体積は消費される。これによって、大きい空間が可能となり、そこで、パルプ束状構造または凝集体は、分離されたか、または前分散された繊維および緩められた絡み合いへと裁断され、そして同時に添加された化学薬品は、リファイナーでの滞留時間と等しい数秒でほとんどの繊維表面に到達するであろう。繊維上での化学薬品の完全な均質混合は、図7に見ることができる。図7Aは、リファイナーへの軟材BCTMPフレークの供給である。図7Bは、十分に前分散された半乾燥繊維のアウトプットを示す。パルプフレークの1つの開放段階の間に導入された化学薬品によって、それらの色は薄緑色に変化している。図7Cは、図7Bの乾燥空気分散パルプを示す。この乾燥パルプは絡み合いまたは残留結節を有さない。
本明細書に記載の方法において、高濃度リファイナーは、広い開放間隙で作動され、したがって、適用されるエネルギーは、本明細書に示されるように、主に繊維を分離するか、またはそれらを脱絡み合いさせて、同時に水を蒸発させるように前もって算出される。そのような条件において、リファイナー中で繊維上に生じたせん断は、未精製繊維の外部フィブリル化を引き起こし、そして以前に高度に精製された繊維のフィブリルを解放するか、または引き上げることを補助する。
この新規加工法の利点は、新規特性、すなわち、外部フィブリル化およびカール形成によって、パルプ繊維の初期特性の有意な変化またはそれらの意図的な変化が生じることなく、ディスクリファイナー中での開放/前分散が実行可能であるということである。そのような操作において、パルプの高濃度、高濃エネルギー精製の通常の操作と異なり、回転ディスク間の間隙は広く開放している。間隙は、一定の製造速度において適用された比エネルギーに逆比例する。また、繊維長さは、明確にプレート間隙と関連する。これは、高エネルギーを適用することは、間隙を閉鎖するという結果をもたらすであろうことを意味し、そしてそれを閉鎖することは、高い繊維発達および繊維短縮をもたらすであろう。本明細書の場合の開放間隙は、主に繊維開放および分散、またはフィブリル化繊維のフィブリルの解放を促進し、かつ最小の繊維短縮または繊維短縮のないいくらかの外部フィブリル化を生じる。実施例2および3において、我々は、リファイナーにおけるその前分散前および後の高いろ水度の漂白軟材パルプ繊維(BSWK)を示す。リファイナーから出るパルプは、その繊維が前分散されており、これは、図10に示す写真に例示されている。図10から、アウトプットパルプの体積増加を明らかに見ることができる。高濃度精製の通常の操作において、パルプの嵩体積は、その密度の増加のために減少する。図11の顕微鏡法イメージ(図10の同一試料)。前分散において、初期パルプの繊維長さが保存され、そしてそれは、いくつかの外部フィブリル化のために付加されたフィブリルを表す、ごく小さい雲状物に包囲されていることを見ることができる。
我々は、カナダ国特許第2824191A号明細書の方法に従って製造された高エネルギー(高度に精製された)セルロースナノフィラメントおよび低エネルギーレベルで製造された他のフィブリル化繊維によって、穏やかなリファイナー操作条件下でのそれらの前分散および水分蒸発が、2~3回通過後でさえも同時に達成可能であることを見出した。水がゆっくりと蒸発するため、リファイナー内部の繊維は最小応力を受ける。水分蒸発時に繊維およびそのフィブリル間に残る空隙が、リファイナー中でパルプに注入された化学助剤の一部によって置き換えられる場合、繊維角化、収縮および自己粘着に対する影響は防がれた。この環境は、前分散操作の間の反応性化学薬品または添加剤とパルプ繊維との完全な混合も提供する。我々は、製造された前分散半乾燥繊維は、前分散アウトプット繊維が、高速空気流中で撹拌される場合、この段階によって繊維から圧縮ベイル、マットまたはダイスドペレットへのさらなる穏やかな乾燥および形成が可能となるため、さらに改善され得ることも見出した。ダイスドペレットは、圧縮マットの特別な切断によって製造される。
最小レベルのエネルギーの適用によって、それを前分散しながら、パルプの濃度を増加させる機構は、K.Milesによる論文「Predicting the performance of a chip refiner.A constitutive approach」,J.Pulp Paper Sci.,19(6):J268-J274,1993において最初に開発されたサーモメカニカルディスクリファイナーのブローライン濃度を予測する次の短い式に基づく。
式中、αは、α≒2258kJ.kg
-1に概算される、リファイナー入口における潜熱であり、prodは、T/Dのパルプ製造速度であり、mldは、MWのモーター負荷であり、希釈は、所望の化学処理による所与の濃度における液体化学薬品を含むl/mの全ての添加された希釈の合計であり、かつCiは、リファイナーに入るパルプ濃度である。
この方程式についての重要な事実は、希釈=水および/または化学薬品溶液ということである。この方程式は、所与の濃度での所与のパルプに関して、それが、その水分を蒸発させることによって、そして新規パルプ湿分を生じ、かつそれらの選択された化学薬品の沸点が、水沸騰温度と比較して非常に高いため決して乾燥しない適切な液体化学薬品でそれを置き換えることによって、同一濃度において残るように処理することができることを示す。
C
iに対して、方程式(2)中のC
0の導関数を求めることによって、
が導かれる。
この最後の方程式は、入口濃度が増加する場合、ブローライン濃度がほぼ指数関数的に増加するであろうことを示す。次に例証されるように、これは、1段階あたり最小エネルギーで、同一リファイナーを通して、または連続配置された多数のリファイナーを通しての同一パルプの多数回通過を通して達成されることができる。その最小値に設定された供給原料内希釈に関しては、プラッギングを防ぐために十分である。最小量の添加された水は、dil
minによって示され、そして精製の目的がただパルプからの水分の蒸発をもたらし得るブローライン濃度を増加することである場合、所与の製造速度に関する比エネルギーにおける条件は、
であろう。
これは、それぞれの通過後のブローライン濃度の増加のために必要とされる最小エネルギーspe
minにおける次の条件を導くであろう。
ここで、kWh/Tの比エネルギーは、
によって示される。
広い開放プレート間隙において最小エネルギーを適用することの利益は、高濃度塊状パルプを分散して、その繊維を分散、脱絡み合いまたは緩めることである。繊維表面上の化学助剤は、水分蒸発の間に繊維およびそれらのフィブリルが崩壊して、そして互いにはり付くことをさらに防ぐであろう。これは、一定製造速度において間隙が比エネルギー(spe)に逆比例するため、低エネルギーにおいてリファイナー間隙がより広いという事実のために達成される。より広いプレート間隙における非常に短い滞留時間を考慮すると、特に非常に高濃度レベルにおいて、リファイナー内での繊維切断または繊維燃焼の危険はない。上記の通り、間隙開放は繊維長さと明確に関連する。
本方法によると、3つのサーモメカニカルリファイナー変数;間隙開放、アウトプットブローライン濃度および比エネルギーは、図8で例示される三次元モデルを構成する。これらの3つのパラメーターが、例えば、繊維の従来の高濃度高エネルギー精製において、繊維の発達のために設定されるか、または前分散半乾燥個別化繊維の製造のために設定可能であることがわかる。後者は、半乾燥繊維の前分散および個別化、ならびに多数の特定の応用のために調整された物理的および/または化学的特性を有するそれらの発達をさらに改善するために、繊維を化学薬品と適切にブレンドするために設定されることが可能である。
高濃度大気サーモメカニカルリファイナーにおいて、繊維表面が互いにすれ合う場合、消散した摩擦エネルギーは熱に変換され(熱力学的エネルギー)、そしてパルプ温度は、数秒で室温から100℃程度の高さの温度またはそれより高い温度まで上昇することが可能である。繊維容積中に拡散した熱は、繊維内の水分を蒸気に変換し、そして最終的に急速に蒸発する。TMPまたはSWK繊維の従来の高濃度、高エネルギー精製において、リファイナー内および放出後のパルプ濃度を、30%固体などの供給原料インレットパルプ固体のものと同等のレベルで維持するために水希釈を使用する。以前に記載された通り、水希釈がない場合、生成した摩擦熱は急速にパルプ脱水を引き起こし、そしてその濃度は特定のレベルまで増加するであろう。30~60%固体の初期パルプ、すなわち、TMPまたはBCTMPから約70%での非常に高濃度の前分散繊維を達成することの実施は可能であり、かつ本方法の目的のために望ましくなる可能性がある。しかしながら、20~45%、好ましくは、30~40%の出発濃度のSWKの加工から約70%の非常に高濃度の前分散繊維を達成することの実施は、いくつかのリファイナーが必要とされ得るため、本方法の目的のためにあまり望ましくない。さらに、クラフト繊維の角化およびカール形成ならびに微細物またはほこりの潜在的な発生が生じる可能性がある。なお、いくつかの用途に関して、疎水性の架橋した前分散カール状またはツイスト状繊維を製造することが望ましく、かつこれは、カールおよびミクロ圧縮を与えるために高濃度で以前精製された所望の化学薬品パルプの存在下での加工によって達成可能である。カール状繊維を生成することについては、プラグスクリューフィーダー、スクリュープレス、FROTAPULPER(商標)、高濃度ポンプおよび混合機、ならびに二軸スクリュー押出機などのデバイスによって付随的に生成されたものとして文献に報告されている(Jessica C.Sjoberg and Hans Hoglund,Nordic Pulp and Paper Research Journal Vol 22 no.1/2007)。したがって、付与されたカールおよびミクロ圧縮は、減少した強度をパルプ繊維にもたらすが、増加した嵩、引裂および伸張も提供するであろう。
さらに、他の用途に関して、化学助剤を使用することによって、前分散操作の間に繊維角化を防ぐこと、およびカール形成を減少することが可能である。これらは、パルプ繊維から蒸発される水の予想量のいくらかが非蒸発化学薬品によって、および/または表面活性剤の使用によって置き換えられる場合に達成される。効率的にさせるために、選択された化学薬品の分子は湿潤しているか、または繊維のヒドロキシル基と相互作用するべきである。いくつかの実際的な理由のため、選択された化学薬品は、好ましくは、前分散操作の前の段階においてパルプとブレンド可能であるが、最良の選択は、瞬時かつ均質な混合が生じるリファイナーに化学薬品を直接注入することである。好ましい化学薬品は、湿潤、吸収および/またはパルプ繊維と結合する能力を有し、かつリファイナー中で発生した摩擦熱下で温度的に安定であるべきである。上記のように、前分散操作の間、リファイナー中で、最終繊維材料の特定の用途のために調整された新規機能性を生成するために、より多くの化学薬品または添加剤を湿潤パルプ繊維とブレンド可能である。
以下の一連の実施例では、本方法によって加工された繊維性材料を例示することによって、本方法の適用を説明する。
実施例1:繊維性材料を前分散および分離および脱絡み合いさせながら、濃度を増加させるリファイナー法を例示するために、例として3種類の湿潤高濃度パルプを使用した。この実験は、常圧Bauer400ダブルディスクリファイナー上で実行された。29%固体を有するCSF621mLの乾燥マーケットクラフトパルプ繊維を常圧ディスクリファイナー中に数回通過させた。ここで、それぞれの通過に対して、パルプ繊維に一定の比エネルギーを適用し、そしてゼロ水希釈水をリファイナーに添加した(CSFは、TAPPI Standard T 227 M-94(Canadian Standard Method)に基づいて決定されるカナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness)を表す)。同一種類の実験を2つの高エネルギーレベルまで上記常圧リファイナーにおいて前精製された漂白軟材クラフトであった:8,221kWh/tで精製され、かつ33.7%固体のHRC1および12,000kWh/tで精製され、かつ31.9%固体のHCR2。両パルプのCSF値は約0mLであった。図9は、同常圧リファイナーにおいて前分散通過の回数を増加させることによって引き起こされる試料の測定された濃度に対する予測されたリファイナーアウトプット濃度を示す。3種のパルプのアウトプットパルプ濃度が、モデル化によって予測される通り、通過回数の増加によって増加したことを見ることができる。3種のパルプのそれぞれに関して、前分散(低エネルギーおよび開放間隙の存在下における数回の通過)は、1つのリファイナーを使用してバッチ操作として実行された。連続操作において、2、3またはそれより多くのリファイナーを連続して配置して、同前分散を実行することが可能である。
実施例2:図10の写真は、実施例1の漂白軟材クラフトパルプ(621mL CSF)に相当する。写真Aは、初期の湿潤パルプ(29%固体)に相当し、写真Bは、本方法の特定の条件下でのリファイナー4回通過におけるその前分散後(半乾燥パルプ)に相当し、そして写真Cは、92%濃度までの写真Bの試料の空気乾燥後に相当する。この実施例は、オープナーリファイナー中を通過した湿潤クラフトパルプが、前分散半乾燥および乾燥パルプに変化し、そこで繊維は主に分離されるが、小量の絡み合い繊維も含有することを明らかに実証する。前分散パルプ中の絡み合い繊維または結節のレベルは、パルプ初期またはインプット%固体(重量による)および最終アウトプット濃度、ならびにそれぞれの通過前分散の間に使用されるエネルギーのレベル次第である。例えば、60%~85%の範囲の%固体を有する軟材クラフトパルプインプットは、最低エネルギーレベルにおいて1~2回通過によってさえも、最小結節レベルにおいて高レベルの分離された繊維を有する前分散繊維に容易に変化する傾向があるであろう。しかしながら、20%~60%の範囲の濃度を有する軟材クラフトパルプをリファイナー前分散することでは、繊維のカール形成および緩い絡み合いの可能性を有するより多くの外部フィブリル化繊維へとそれを変化させる傾向があるであろう。したがって、この濃度範囲に関して、そして前分散軟材クラフトパルプの最終用途必要条件次第で、高濃度範囲のクラフトパルプと比較して、わずかにより高いエネルギーレベルにおいて繊維を分離するため、および絡み合いを排除するために、2~4回の通過が必要とされ得る。前分散軟材クラフト繊維は、半乾燥または乾燥形態であると考えることができるか、あるいはいくつかの用途における適切な使用のために、すなわち、吸収性不織マットの製造、紙およびティッシュ製品、熱可塑性複合材料および熱硬化性複合材料の強化のために、所望の濃度までの形態であると考えられる。
実施例3:図11の顕微鏡法イメージは、リファイナー中での前分散前および後の実施例2の漂白軟材クラフトパルプからのものである。試料を1.2%固体まで脱イオン水と混合し、次いで、10分間、ブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた。イメージAは、初期湿潤パルプ(29%固体)に相当し、イメージBおよびCは、本方法の特定の条件下でのリファイナー1回通過(33%固体)および3回通過(39%固体)におけるそれらの前分散後に相当する。この実施例は、リファイナー中の通過回数を増加させると、アウトプット前分散半乾燥繊維は、水中に容易に分散可能となり、かつ繊維の絡み合いがなくなることを明らかに実証する。図12は、図11の同試料のBaeur McNett(B-M)繊維フラクション(T233 cm82)を示す。この繊維フラクション法に関しての詳細は、Journal of Pulp and Paper Science(VOL.27 NO.12 December 2001)に見ることができる。明らかに、繊維の前分散、水分蒸発ならびにいくらかの外部フィブリル化およびカール形成を達成しながら(B、C)、B-M重量フラクションの長繊維は、対照試料のものとはわずかに異なっていた。これはおそらく、繊維の最小切断の組合せのためである。これは、いくつかの濃度において、最小比エネルギーにおける前分散が、顕微鏡法イメージCで示されるように、主繊維の長さを切断することなく、いくつかの外部フィブリル化を達成するための効率的な手段であることを意味する。
実施例4:以下の表1は、リファイナー中での数回通過(それぞれの通過で280kWh/tを使用した)前および後の実施例2の漂白軟材クラフトパルプの試料から製造されたシートの水残値(WRV)[Useful Method UM 256(2011)]および物理的特性を示す。それぞれの試料を1.2%固体まで脱イオン水と混合し、次いで、10分間、ブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた。シートはブリティッシュシート機械(British Sheet Machine)(T205 om-88)上で製造した。濃度がP1からP3まで通過回数とともに増加すると、前分散パルプのろ水度の緩やかな減少およびWRVの緩やかな増加の類似の傾向があった。次いで、濃度がさらに増加すると、P4からP5およびP6まで、ろ水度が増加し始め、そしてWRVは減少し始めた。他の特性の全て、引張強度、嵩および空隙率は、ろ水度および水残値の変化と十分関連する傾向がある。これは、最小比エネルギーレベルおよび広い開放間隙において高濃度精製技術を最適化することによって、効率的な様式で、繊維の長さを有意に変化させることなく、外部フィブリル化形態の前分散半乾燥繊維を製造することが可能になり、したがって、嵩を有意に損なうことなく、高い引張強度および引張エネルギー吸収を有するシートが達成されることを意味する。
実施例5:以下の表2は、リファイナー中での前分散の3回通過前および後の漂白軟材マーケットクラフトパルプの試料から製造されたシートの濃度、ろ水度、WRVおよび物理的特性を示す。この実施例は、パルプが別の供給源由来であること、およびその開始が39%固体であり、かつ前分散のためのリファイナー中でのそれぞれの通過のために使用された平均エネルギーが120kWh/tであったことを除いて、実施例4と同様である。パルプ試料を1.2%固体まで脱イオン水と混合し、次いで、10分間、ブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた。対照試料と比較して、前分散試料の離解は、P1、P2およびP3に関して優れていた。濃度がP1からP3まで通過回数とともに増加すると、ろ水度の緩やかな初期減少があった。次いで、前分散パルプの濃度がさらに増加すると、P2およびP3に関して、ろ水度がわずかに増加し、そしてWRVは減少した。P3が、Waring(商標)ブレンダー(Waring(商標)Pro MX1000R,120VAC 13 amp.モーター,最大無負荷速度30,000rpmまで)中で1分間さらに離解された場合、より良好な繊維水和および分散のために特性が改善した。引張強度、嵩および空隙率などの他の特性の全ては、ろ水度および水残値の変化と十分関連する傾向がある。離解された前分散半乾燥試料P0対照パルプならびにP1、P2およびP3のBaeur McNett繊維フラクションを図13に示す。これらの結果は、実施例4で報告されたものと非常に類似する。
実施例6:図14は、MDFサーモメカニカル繊維を乾燥させるために一般に使用されるパイロットフラッシュ乾燥機において1回通過後の最終前分散繊維材料濃度における初期パルプ%固体の影響を示す。漂白軟材クラフト紙パルプ(BSWK)の初期パルプ試料P0、P2およびP3は、実施例5の表2のものと同一である。このフラッシュ乾燥機の操作加熱温度(40kg/時間OD繊維の製造速度)は、通常、約90℃~120℃であり、そして出口繊維温度は約90℃である。乾燥菅中の繊維の1回通過のための滞留時間は、約2.5秒である。しかしながら、1回通過のための他の湿分標的は、加熱温度を調整することによって達成することができる。これらの実験に関して、120℃および160℃の2セットの操作温度を使用した。試験データは、より高い濃度へのディスクリファイナー中でのBSKW繊維の前前分散が、それを迅速に乾燥させるための効率的な方法であることを明らかに示す。この結果は、高濃度へのパルプ繊維の前分散のために使用されるエネルギーのレベルが、1回通過においてフラッシュ乾燥機中でパルプを乾燥させるために使用されるより少ないエネルギーによって埋め合わせられるであろうことも意味する。
160℃におけるそれらの乾燥1回通過の前および後のパルプ試料(P0、P2およびP3)を1.2%固体まで脱イオン水と混合し、次いで、5分間、ブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた。次いで、パルプスラリーを使用して、60g/m2のシートを製造した。表3でのシート特性は、対照試料と比較して、濃度が1回通過フラッシュ乾燥によって増加すると、ろ水度に置けるわずかな低下があったことを示す。フラッシュ乾燥において、対照半乾燥試料と比較して、強度特性におけるいくらかの損失および嵩の増加があった。強度特性の高い損失は、より多くの半乾燥試料に関して測定された。この結果は、フィブリル化繊維の乾燥が、繊維角化のため、紙強度に対して有害である可能性があることを示唆する。実施例5の表2の結果に基づいて、表3に見られるフラッシュ乾燥における強度特性の損失は、水中での離解の間により多くのせん断を適用することによって、取り戻すことができる。
実施例7:以下の表4は、リファイナー中での前分散の5回通過前および後の漂白軟材マーケットクラフトパルプの試料から製造されたシートの濃度、ろ水度および物理的特性を示す。この実施例は、クラフトパルプが別の供給源由来であることと、その開始濃度の50%において前分散されたことを除いて、実施例4および5と同様である。リファイナーでのそれぞれの通過のために使用された平均エネルギーは、80~90kWh/tの範囲であった。クラフトの乾燥ラップシートを4~20cm2小片に最初にシュレッダー処理し、次いで、リファイナー中に導入し、そして約50%固体を達成するために、測定された量の希釈水を第1の開放通過において使用した。リファイナーの通過回数が増加すると、アウトプット試料の固体含有量が増加した。前分散半乾燥パルプは、ほとんど分離した繊維を含有し、そして絡み合い繊維の数は、通過回数が増加すると減少した。これらのパルプ試料を1.2%固体まで脱イオン水と混合し、次いで、10分間、ブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた。試料0Pは、初期のシュレッダー処理されたクラフトシート小片に相当し、そして試料1P~5Pは、本方法の特定の条件下でのリファイナー1~5回通過における0Pの前分散後である。全ての試料は水中で十分離解し、そして絡み合いはなかった。濃度が1Pから5Pまで通過回数とともに増加すると、ろ水度のわずかな減少があったが、3P後はろ水度はわずかに増加する傾向があった。水分散試料を使用して、ハンドシートを製造した。結合強度、引張強度、引裂抵抗、空隙率などのシート特性の全ては、リファイナー上でのパルプ発達および水分蒸発によって引き起こされるシートの嵩の変化と十分関連する傾向がある。水離解試料0P~5PのBaeur-McNett値の変化は、パルプのインプット濃度が29および39%であった実施例4および5のものとはわずかに異なった。本実施例において、インプット濃度は50%であった。
実施例8:図15の写真は、(A)精製パルプHCR1の前精製高濃度軟材クラフトパルプ(8,221kWh/t)および(B)空気乾燥させた後の試料を示す。この実施例は、リファイナー中でのいずれの前分散も行わない単純な空気乾燥による水分蒸発において、パルプは高密度固体塊状材料に変化し(B)、そこで繊維は崩壊し、そして互いに自己粘着して、したがって、標準離解機を使用して水中に離解することが非常に困難であることを明らかに実証する。しかしながら、それらは、それらを熱水に含浸させることによって、および/またはアルカリ性までpHを増加させることによって、および高せん断混合機または低濃度から中間濃度リファイナーを使用することによって離解が可能であるが、パルプスラリーはなお絡み合い繊維を含有し得る。非乾燥試料(A)は、標準ブリティッシュ(British)実験室離解機(T205sp-95)を使用して水中に離解可能であるが、パルプスラリーはなお絡み合い繊維を含有するであろう。高せん断混合機または低濃度リファイナーを使用することなどの、いくつかの追加エネルギーは、したがって、大結節のいくつかを分解し、そして意図された用途における完全性能を達成するために必要である。
実施例9:BSWKパルプは、(A)1,844kWh/t、(B)5,522kWh/tおよび(C)11,056kWh/tの全エネルギーレベルまでHCR複数回通過において精製された。アウトプット試料の同等固体含有量は、29%、30%および27%であった。3つの試料のそれぞれをいくつかの48g試料に分割し、そして室温(RT)で最大4日の異なる老化期間で密閉プラスチックバッグ中に貯蔵した。老化試料の固体含有量は、密閉ビニールバッグ中に新しい試料を入れるため、一定に維持された。所望の老化期間後、試料を標準ブリティッシュ(British)離解機において離解させた(1.2% Cs、10分)。離解されたパルプを使用して、同一条件下でハンドシートを製造した。図16は、それらの貯蔵期間の水分蒸発を避けるために車両が取られたにもかかわらず、試料が経時的に老化すると、シートの引張強度が、ほぼ直線的に減少したことを示す。4日間の老化後の引張の損失は、精製エネルギーレベルとはほぼ無関係に、25~30%の範囲であった。リファイナーからのそれらのアウトプットの直後(15分未満の期間)の他の試料も標準ブリティッシュ(British)離解機において離解させた(1.2% Cs、10分)。試料を2部に分割し、1つはハンドシートを製造するためにすぐに使用され、そして他は、20%固体まで濃厚化し、次いで、密閉プラスチックバッグ中で58日間老化させた。この期間の後、パルプを再び離解させ(1.2%Cs、10分)、そしてハンドシートを製造するために使用した。急速離解試料および濃厚化され、かつ老化されたそれらの離解試料の引張強度は、実際には同一値を有した。したがって、高濃度、高エネルギー精製クラフトパルプの即時離解は、離解されたパルプが低濃度で維持されるか、いずれかの濃度まで濃厚化されるか、またはシートに製造される限り、老化の悪影響を排除することができる。この現象は、高濃度精製サーモメカニカルTMPを製造する場合に実施される周知の潜伏除去に類似している。精製TMPの迅速希釈および潜伏チェストにおける混合は、紙の強度を上げるために繊維を直線化するためにすでに必要とされている。これらの結果は、いずれかのエネルギーレベルまで精製された高濃度軟材クラフトパルプが、老化された場合、その強化可能性の有意な値を損失するであろうことを示唆する。この強化値は、低濃度リファイナーなどにおいて、一定期間で高せん断下でのさらなる分散によって回復させることができる。
実施例9:本実施例は実施例8の継続である。RTにおいて密閉プラスチックバッグ中でHCR試料の14日間老化後(A 1,844kWh/t、B 5,522kWh/tおよびC 11,056kWh/t)、それらの初期濃度(29%、30%、27%)の変化が生じずに、それらをそれぞれ50%および90%固体含有量まで空気乾燥させた。空気乾燥させた試料を、次いで、標準ブリティッシュ(British)離解機において離解させ(1.2% Cs、10分)、そして試験のためにハンドシートを製造した。空気乾燥試料の影響は、パルプおよびシート特性の実質的な変化をもたらした。非常に固体材料へと変化したパルプ繊維は、標準離解条件下で水中に十分に分散させることが非常に困難であり、その結果として、シートはより弱く、かつ嵩高くなった(表5)。離解させた空気乾燥試料のスラリーは、特に高エネルギー精製試料BおよびCに関して、多数の絡み合い繊維凝集体を有する。3つのエネルギーレベル試料の引張強度の変化を図17に例示する。湿分損失のない14日間の試料の老化によって引張強度の減少が引き起こされたが、50%および90%濃度までそれらを空気乾燥した場合、引張強度における喪失はより深刻であった。損失はより高等なエネルギー洗練された試料Cのためにいっそう劇的であった。例えば、空気乾燥がAの試料を取る、Bと90%の固体へのCが15分のパルプ老化のみの後に34%、47%と(彼・それ)らの最初の引張接着強さと対照をなすことは測定した72%(彼・それ)らの引張強度に減少を引き起こした。次の例で見せられるように、この悪影響は、大いに精製されたパルプを乾かすことについて、乾燥したパルプのあるいはそれが選択された化学薬品支援を使うのを妨げることによってのせん断混合が(彼・それ)らの乾燥の前に最初のパルプに導入したずぶ濡れの、そして高い熱い水を混ぜることによって、解決されることができる。
実施例10:図18の写真は、それが32%の濃度でパイロット規模リファイナーから放出される場合、および本明細書に記載の方法の特定の条件下で同一リファイナー3回通過においてそれを前分散させた後、および前分散試料の空気乾燥後の高エネルギー精製軟材クラフトHCR1(8,221kWh/t)を示す。写真Aは、最初の放出湿潤試料に相当し、写真Bは、ディスクリファイナー中で前分散された半乾燥試料を表し、そして写真Cは、写真Bの前分散試料の空気乾燥後のものである。この実施例は、リファイナー中での前分散の間の水分蒸発において、高エネルギーパルプは半乾燥材料に変化し、そこで繊維はほぼ脱絡み合いし、そして互いに分離することを明らかに実証する。
実施例11:図19の光学顕微鏡法イメージは、それがパイロット規模ディスクリファイナーから放出される場合、および本方法の特定の条件下で同一リファイナーで異なる回数通過においてそれを前分散させた後の高エネルギー精製パルプHCR1(8,221kWh/t)に相当する。イメージの撮影前に、試料(P0~P5)を1.2%濃度まで脱イオン水と最初に混合し、次いで、10分間、ブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた。試料を0.05%濃度までさらに希釈し、そしてガラスプレート上で乾燥させた後、顕微鏡イメージを撮影した。イメージP0は、いずれの前分散の前の最初の湿潤高エネルギー試料に相当し、イメージP1~P5は、前分散通過1~5の数に相当する。この実施例は、前分散の間の水分蒸発において、通過回数が1から4まで増加すると、水中でのパルプ離解は改善するが、P4の後、イメージP5から見られるように、離解試料はいくらかの繊維状ネットワークを示し始めることを明らかに実証する。
実施例12:図20の光学顕微鏡法イメージは、それがパイロット規模ディスクリファイナーから放出され、次いで水離解される場合の高エネルギーパルプ試料HCR1(8,221kWh/t)、およびリファイナー中での6回通過前分散と、それに次ぐ水離解の後の半乾燥試料に相当する。イメージAおよびBが、それぞれ、いずれの前分散の前およびリファイナー中での6回通過前分散後の初期試料に相当するのに対して、Cは、Waringブレンダー(Waring Pro MX1000R,120VAC 13 ampモーター,最大無負荷速度30,000rpmまで)中で5分間のさらなる水離解後のP6に相当する。離解されたB(P6)試料は、繊維性要素のネットワークを示す。しかしながら、(Waringブレンダー中で5分間混合することによって)B(P6)試料を離解させるための追加のせん断を適用することによって、ネットワーク繊維性要素は分離し、そしてイメージCに見られるように直線化した。図21は、標準Baeur-McNett法(T233 cm82)によって決定される試料A、BおよびCの異なる繊維径フラクションの重量パーセントを示す。この方法は、ここで、リファイナー中での前分散の前および後に加工された試料を比較する効率的な方法として使用される。6回通過前分散後、濃度は有意に増加するため、そしていくらかのセルロース角化およびネットワーク繊維要素の形成のため、微細物フラクションの量は低下し、そして通常、個別化長繊維または繊維凝集体に相当する大きいフラクションが増加した。しかしながら、水離解間にいくらかの追加的せん断を適用すると、これらのネットワーク繊維要素は消滅し、そして図21で見ることができるように、微細物の量は増加した。この微細物フラクションは、リファイナー中での数回の前分散通過の間のいくらかのフィブリル化および放出された微細物のため、P0試料のものよりもわずかに高い。これは、熱水中に材料を含浸させ、次いで、低濃度リファイナーにおけるようないくらかのせん断を適用することによって、前分散された角化繊維は離解可能であることを意味する。
実施例13:表6は、実施例12に相当する前分散の前および後の試料のシートの固体含有量、WRVおよび物理的特性を示す。シートは、パルプ試料を1.2%固体まで脱イオン水と混合し、次いで、10分間、ブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた後、そして2および5分間、Waring(商標)ブレンダー中での試料P6のさらなる離解の後、パルプ試料を使用して、ブリティッシュシート機械(British Sheet Machine)(T205 om-88)上で製造した。前分散における濃度の増加は、パルプ特性に2つの同時の対立する影響を有した:塊状パルプの絡み合い繊維の開放および緩み、ならびに角化の増加。P0からP4へ濃度が増加すると、パルプのWRVがゆっくり減少し、次いで、濃度が急激に増加するP5およびP6において、繊維角化のため、WRVは急激に減少した。強度特性の減少は、WRVの減少と十分に関連し、そしてP6試料のシートは、対照試料P0より数倍弱かった。同一傾向は、シートの嵩および光散乱係数でも測定された。嵩および光散乱係数の増加は、水離解された前分散繊維から製造されたシートが脱結合することを示唆する。しかしながら、この試料P6がWaring(商標)ブレンダー中で2および5分間さらに離解される場合(P6b)、WRV、引張強度、嵩および光散乱係数の値は全てほとんどP0のそれらの値に類似していた。ネットワーク繊維要素は、いくつかの製品において、紙のための嵩を付与することなどの利益を有することが可能であり、かつ吸収剤およびろ過製品のための多孔性繊維構造を形成することが可能である。
次の実施例から見ることができるように、リファイナー中での前分散において水分蒸発の間に生じたフィブリル化繊維のWRVにおける否定的な結果は、水中でのパルプ離解の間のいくらかの追加的せん断エネルギーを使用することによって回復可能であるか、あるいは下記に示されるように、前分散操作の前の化学薬品による湿潤パルプの処理によって防ぐことが可能である。
実施例14:本明細書に記載の方法の重要な要素は、湿潤塊状高度精製パルプが、個別化繊維およびそれらのフィブリルが水分蒸発の間に崩壊せず、または互いに接着せず、かつセルロース角化が実質的に防がれる方法でディスクリファイナー中で前分散されるという事実に存在する。これは、リファイナー上での前分散のないA(P0)、P0を空気乾燥させたB、およびP0を20%炭酸プロピレンで処理し、次いで空気乾燥させたCの高度フィブリル化繊維HCR1(8,221kWh/t)によって図22に示される。全ての試料を1.2%固体まで脱イオン水と最初に混合し、次いで、10分間、ブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた。顕微鏡法イメージは、湿潤P0試料の空気乾燥後(イメージB)、繊維要素が互いに接着する傾向があることを明らかに示す。しかしながら、同一湿潤P0試料を20%炭酸プロピレンPCで処理した場合(C)、繊維要素の接着は観測されず、かつ製品は明らかにいずれの乾燥前の初期試料P0(A)と類似である。類似結果は、ポリヒドロキシ化合物、すなわち、グリセリン、エチレングリコールによっても得られた。これは、追加的エネルギーが、効率的に半乾燥前分散繊維を理解させるために必要とされ得ないことを意味する。化学助剤による高度フィブリル化繊維の処理は、リファイナー中での前分散および水分蒸発、ならびに高度固体へのさらなる乾燥の間の繊維の角化および互いへの自己粘着を防ぐために有用である。
実施例15:化学助剤によって処理された高エネルギー精製パルプHCR1(8,221kWh/t)の乾燥が繊維の径分布に及ぼす影響を調査した。結果を図23に示す。試料には、P0湿潤、P0-実験室前分散および空気乾燥、P0-実験室前分散およびオーブン乾燥、P0-20%炭酸プロピレン、次いで20%グリセリンによる処理、次いで、実験室前分散および空気乾燥が含まれる。全ての試料を1.2%固体まで脱イオン水と最初に混合し、次いで、30,000回転でブリティッシュ標準規格離解機(British Standard Disintegrator)[TAPPI T-205 & T-218]で離解させた。Baeur-McNett結果は、P0の空気乾燥またはオーブン乾燥後、微細物フラクションP200は減少し、そして通常それより長い繊維に相当するフラクション留分(P14およびR14/P24)は増加したことを明らかに示す。しかしながら、同一湿潤P0試料を20%炭酸プロピレンPCまたは20%グリセリンで最初に処理した場合、繊維フラクションは、対照非乾燥P0試料といくらか類似していた。加えて、化学薬品処理は、図23のイメージにおいて見られるように、対照湿潤P0試料中に存在したより微細なフィブリル要素の放出を補助することがわかった。
実施例16:実施例14の離解パルプ試料から製造されたシートの強度特性を表7に示す。明らかに、これらの結果は、空気またはオーブン中での湿潤試料P0の乾燥において、引張強度特性の劇的な低下、ならびに嵩および光散乱係数の実質的な増加が示されることを明示する。しかしながら、P0試料が最初に炭酸プロピレン(PC)またはグリセリン、他のポリヒドロキシ化合物(結果は本明細書中に示されない)で処理された場合、全て非乾燥対照P0試料のものとわずかに異なるWRV、引張強度特性、嵩および光散乱係数から見られるように、乾燥による特性の変化は実質的に減少した。例えば、いずれの化学薬品処理を行わずに試料を乾燥すると、引張強度における損失は約70%であったが、化学薬品前処理後、それは20%のみであった。この20%の強度損失は、再パルプ化の間のいくらかのわずかな追加的せん断によって容易に回復可能である。すでに上記で記載された多くの他の化学助剤、ならびにそれらの混合物またはでんぷん、カルボキシメチルセルロース、アニオン性ラテックスおよびアニオン性ポリアクリルアミドなどとのそれらの混合物によってパルプが再処理された場合にも優れた結果が得られた。また我々は、湿潤パルプ繊維の処理化学を調整することによって、それを半乾燥繊維へと前分散することが可能となり、次いで、製紙または他の非紙用途のためのその強度可能性を損なうことなくそれを乾燥させることが可能となることも見出した。高い嵩および高い光散乱係数値を有する材料は、嵩および不透明性を改善するため、あるいはティッシュ製品またはろ過および吸収性マットを製造するための紙における用途を見出すことができる。
実施例17:CSF625mLおよび30%固体含有量の漂白軟材クラフトパルプ(BSWK)を、Quilon C、クロム錯体溶液の不在下(試料A)および存在下(試料B)で混合ユニット中でブレンドした。Quilonは、濃緑色のカチオン性疎水性試薬であり、希釈され、次いで、パルプとブレンドされる。両パルプ試料は、前分散され、約90%まで空気乾燥され、次いで、105℃の空気強制オーブン中で10分間さらに加熱された。処理された試料Bは疎水性であり、そして機械的作用によって分離繊維へと分散する。両乾燥試料を、水中に含浸させ、次いで、ブリティッシュ(British)標準離解機中で離解させた。顕微鏡分析のため、およびハンドシートを製造するために、パルプスラリーを使用した。図24は、2つの試料の光学顕微鏡法イメージを示す。未処理試料のイメージAは、分散した繊維および微粒子、すなわち、微細物を示すのに対して、イメージBは、十分分散した繊維を示すが、粒子はほとんど存在しない。さらなる分析によって、そのカチオン性のため、Quilon Cが繊維表面上の微粒子または微細物の付加を促進したことが明らかにされた。試料Bから製造されたシートは、試料Aのものよりはるかに弱かった。類似の傾向結果は、Arquad 2HT-75などの以前に記載されたカチオン性界面活性剤によって得られた。そのような処理された繊維は、おむつまたは複合材料で使用される吸収性マット用に有用となることが可能である。
実施例18:実施例17の実験を、二本ロールプレスから回収された、50%の固体含有量を有する軟材漂白ケミ-サーモメカニカルパルプ(BCTMP)において繰り返した。このパルプは、10% Quilon C、クロム錯体溶液を添加して、および添加せずに常圧ディスクリファイナー中で1回通過前分散させた。Quilonは希釈され、次いでリファイナー中のパルプに測定された。両試料に関して、1回通過フラッフィングのために使用されるエネルギーは100kWh/tであった。Quilon Cとパルプ繊維との混合は、処理されたパルプの色が均一に薄緑色に変化するように、非常に均一であった。両前分散試料を、105℃に設定された空気強制オーブン中で10分間乾燥させた。両パルプの繊維は完全に分離し、そして結節はなかった。Quilon処理されたパルプ試料は、疎水性であったが、撹拌によって水中で分散した。パルプをそれぞれ50℃の水中で1.2%濃度まで希釈し、次いで、10分間(30,000回転)標準ブリティッシュ(British)離解機中で離解させ、そしてそれを使用してハンドシートを製造した。Quilonはパルプのろ水度を増加させ、そしてその水ろ液濁り度を減少させ、そして製造されたハンドシートは122°の接触角で疎水性であり、かつ高い嵩および低い強度を有する(図25)。Quilon Cで処理された乾燥繊維は、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどの熱可塑性ポリマー中で相溶性および分散可能であることがわかった。
実施例19:本方法の要素は、高濃度、高エネルギー精製BSWK繊維の良好な水分散を達成する。この実施例において、リファイナーのアウトプット塊状高度精製パルプ(13,541kWh/t)を種々のアニオン性ポリマー、樹脂または界面活性剤、すなわち、カルボキシメチルセルロース、ラテックス、界面活性剤、エチルアクリル酸(EAA)、でんぷん、アルギネートと混合し、次いで水中で離解させた。図25の結果は、対照試料(A)、ならびにアニオン性ラテックス(BASFからのAcronal(商標)504s)(B)およびカルボキシメチルセルロース(C)で処理された試料の顕微鏡法イメージを示す。全て同一条件下で離解された。処理された試料(B)および(C)は、絡み合いが残らない非常に高度に分散した繊維を製造したのに対して、未処理試料は、その繊維がなお凝集し、かつ絡み合いを含有する。これは、追加的混合エネルギーが、処理された半乾燥前分散繊維を効率的に離解させるために必要とされないことを意味する。十分に水分散した処理された繊維は、はるかにより高い強度特性を有する均一シートを製造した。
実施例20:分散は、乾燥または半乾燥パルプに関して重要な問題である。これは顕微鏡法イメージによって以前に強調された。本明細書に記載の方法によって製造されるパルプに関して、この態様に対処するために、我々はMTS & Femproからの結節試験を考慮する。この方法は、2分間のみの時間で、3グラムのパルプを3つの流れ、不合格、合格および良好に空気強制スクリーニングすることからなる。不合格は、メッシュ#16(1.18mm開放)によって保持されるパルプの部分である。不合格は、さらに再分散される必要がある結節であると思われる。メッシュ#16スクリーンを通過するパルプは、合格および良好の組合せである。スクリーンメッシュ#30(0.60mm開放)を使用して、良好から合格を分離する。
次の実施例において、我々は3つのパルプ試料を調査した。
試料1:我々の新規方法によってさらに加工されなかった、高濃度、高エネルギー半乾燥パルプ。
試料2:化学助剤混合物、20%炭酸プロピレン(PC)の存在下で我々の新規方法によって加工された高濃度、高エネルギー半乾燥パルプ。
上記試料の一部分を半乾燥として分析し、そして他の部分は、100℃に設定された熱空気強制オーブン中で4時間乾燥後に分析された。新規試料は、以下の通りである。
試料3:試料1完全乾燥パルプ
試料4:試料2完全乾燥パルプ
結節試験の結果を表9に示す。PCで処理されたパルプは、半乾燥であっても、乾燥であっても、結節数に関して、はるかに優れた品質を有することが見られる。より重要であることに、いずれの処理も行わなかった完全乾燥パルプは、最高数の結節数を有する。実際に、それらの結節は、水中に離解するためには高いせん断力を必要とするが、不可逆的な損傷なしで乾燥形態にそれらを分離することは不可能であろう。しかしながら、オーブン(極限条件)中で乾燥させた場合、本方法に従って製造された処理パルプは、より少ない結節を有する。それらの結節は、試験時間を延長した場合、有意にそれらの数を減少することが可能であろう。処理された試料の結節は、従来のパルプ化技術を使用して水中に分散可能である。
本方法は、水分を蒸発させながら、単一または多数パルプ繊維の漂白および開放、ならびに化学薬品によるそれらのフィブリル化および処理を同時様式で達成する手段を提供する。それは、化学薬品とパルプ繊維との効率的な混合機として、それらの前分散およびフィブリル化のために、ならびに熱力学的乾燥機として従来の熱機械的リファイナーを使用することに基づく。この方法は、高濃度、高エネルギーディスクリファイナーによって製造されたいずれかの形態の高濃度リグノセルロース繊維およびそれらのフィブリル化繊維、ならびに他の合成繊維および異なる繊維のブレンドを加工するために使用することができる。この方法は、小レベルの総エネルギーが、本明細書に記載の方法による繊維開放、前分散、フィブリル化および化学処理のために使用される様式で、多数のリファイナーを使用する高濃度、高エネルギー精製操作と集積化することが可能である。リファイナー中で、またはリファイナー段階の前に、個別化繊維およびフィブリルが互いの上に崩壊することを防ぐため、または絡み合い繊維が所望の組成物中で容易に分散可能にするために、特定の薬品または添加剤による繊維処理を実行することが可能である。本方法による高エネルギー湿潤パルプの前分散は、貯蔵または輸送時のパルプ老化を防ぐ。本方法は、本明細書に示される実験データによって作用することが示される。この精製ステップは、次のパラグラフにおいて特定される条件下で最小エネルギーを適用しながら、繊維の同時ブレンド、開放、前分散、フィブリル化およびそれらと化学薬品との混合、ならびに水分散を可能にする特定のパラメーターを使用する。
通常のサーモメカニカルパルプ精製プロセスにおいて、脱水を最小化するために水希釈が使用され、そして適用されたエネルギーは、リグノセルロース繊維束状構造の木材チップを脱繊維化させて、それらを良好な品質の個別化繊維へと分離することを目的とする。以前に説明された通り、通常の高濃度パルプ精製において、エネルギーは、リファイナープレート間隙を閉鎖することによって繊維に適用される。我々のケースでは、前分散リファイナーのパラメーターは、リファイナープレート間隙が広く開放されるため、低エネルギーレベルで高濃度繊維性材料が前分散されながら、水が添加されないか、単純にその希釈が、リファイナー中に導入された化学薬品によって置き換えられるようなものである。湿潤パルプ繊維のアウトプット(ブローライン)濃度およびその容積密度は増加し、そして得られた繊維性材料は、体積が増加した前分散形態である。これらの条件下で、化学助剤が繊維に残りながら、リファイナーは繊維性材料から急速に水分を蒸発させる。これらは、数秒のみであるリファイナー内部の繊維性材料の滞留時間にもかかわらず、達成することが可能であった。したがって、この機構は急速であり、かつ非常に効率的である。化学薬品は、リファイナー中の繊維性材料とブレンドするか、含浸固定するか、または反応するであろう。前分散材料の適用の間に、化学助剤は水ベースの適用のために水分と接触して溶解するか、または繊維性材料に付加したまま残り、そしてそれらを多くの水ベースの組成物および疎水性組成物の成分と相溶性にさせる。
前分散半乾燥繊維は、繊維をさらに分離し、そして繊維の絡み合いを緩めるために十分な速度での空気撹拌を使用し、そしてその後、それらを圧縮ベイルへと形成するか、あるいは穏やかな乾燥技術を使用して、所望の乾燥レベルの圧縮不織ウェブまたはダイスドウェブペレットへとエアレイすることによって、バッチまたはインラインによってさらに加工することができる。使用された化学薬品処理および/または機能性添加剤次第で、ベイル、ウェブまたはウェブペレットの繊維は、乾燥粒子中で、水および水性組成物中で、または熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーなどの疎水性組成物中で分散可能である。