[第1実施形態]
本発明の画像表示部材の第1実施形態である有機エレクトロルミネセンス表示装置を、図1を参照して説明する。以降、有機エレクトロルミネセンス表示装置は、単に「有機EL表示装置」と略称する。図1において、有機EL表示装置1では、表側が、ユーザの視認側であり、また、厚み方向他方側である。裏側は、表側の反対側であり、厚み方向一方側の一例である。
図1に示すように、有機EL表示装置1は、面方向に延びる。面方向は、表裏方向に直交する。有機EL表示装置1は、例えば、平板形状を有する。有機EL表示装置1は、表面21と、裏面22とを有する。表面21と裏面22とは、いずれも、平坦である。表面21は、ユーザに視認可能な面である。有機EL表示装置1は、例えば、中間部24を中心にして折り曲げ可能である。中間部24は、2つの辺23の間に位置する。2つの辺23は、面方向に間隔を隔てて対向する。
有機EL表示装置1は、ウインドウ部材2と、衝撃吸収部材3と、有機ELパネル部材4と、保護部材5とを裏側に向かって順に備える。一方、本実施形態では、有機EL表示装置1は、偏光子を備えない。偏光子は、通常、ウインドウ部材2と、有機ELパネル部材4との間に配置される。第1実施形態の有機EL表示装置1は、偏光子に代えて、衝撃吸収部材3を備える。有機EL表示装置1は、好ましくは、ウインドウ部材2と、衝撃吸収部材3と、有機ELパネル部材4と、保護部材5とのみを備える。
ウインドウ部材2は、有機EL表示装置1における表面21を形成する。ウインドウ部材2は、面方向に延びる。ウインドウ部材2は、例えば、ハードコート層6(仮想線参照)と、ウインドウフィルム7とを、裏側に向かって順に備える。または、ウインドウ部材2は、ウインドウフィルム7のみを備える。
ウインドウフィルム7の材料が樹脂であれば、ハードコート層6がウインドウ部材2に備えられることが好ましい。ハードコート層6は、有機EL表示装置1の表面21における、摺擦に起因する損傷を抑制する保護部材である。ハードコート層6は、例えば、硬化性組成物の硬化体、または、熱可塑性組成物の成形体からなる。ハードコート層6の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、7μm以上であり、また、例えば、30μm以下である。ハードコート層6は、例えば、特開2020-064236号公報に記載される。他方、ウインドウフィルム7の材料がガラスであれば、ハードコート層6がウインドウ部材2に備えられない。
ウインドウ部材2がハードコート層6を備える場合には、ウインドウフィルム7は、ハードコート層6の裏面に配置されている。具体的には、ウインドウフィルム7は、ハードコート層6の裏面の全部に接触している。ウインドウ部材2がハードコート層6を備えない場合には、ウインドウフィルム7は、有機EL表示装置1の表面21を形成する。ウインドウフィルム7の材料としては、例えば、樹脂、および、ガラスが挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ウインドウフィルム7の厚みは、例えば、1μm以上であり、また、例えば、100μm以下である。ウインドウフィルム7は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、「CPI」(KOLON社製)、G-LEAF(日本電気ガラス社製)が挙げられる。ウインドウフィルム7は、例えば、特開2020-064236号公報に記載される。
ウインドウ部材2の全光線透過率は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。ウインドウ部材2の全光線透過率の上限は、特に限定されない。ウインドウ部材2の全光線透過率の上限は、例えば、100%である。ウインドウ部材2の全光線透過率は、JIS K 7375-2008に基づいて測定される。以降の他の部材の全光線透過率も、上記と同様にして測定される。
衝撃吸収部材3は、面方向に延びる。衝撃吸収部材3は、ウインドウ部材2の裏面に配置されている。具体的には、衝撃吸収部材3は、ウインドウ部材2の裏面の全部に接触している。衝撃吸収部材3は、従来の有機EL表示装置が備える偏光子と同一位置に配置されている。衝撃吸収部材3は、第1粘着層8と、基材9と、第2粘着層10とを、裏側に向かって順に備える。第1実施形態では、衝撃吸収部材3は、好ましくは、第1粘着層8と、基材9と、第2粘着層10とのみを備える。
第1粘着層8は、面方向に延びる。第1実施形態では、第1粘着層8は、単数である。第1粘着層8は、衝撃吸収部材3の表面を形成する。第1粘着層8は、ウインドウフィルム7の裏面に配置されている。具体的には、第1粘着層8は、ウインドウフィルム7の裏面の全部に接触している。第1粘着層8の材料および物性の詳細は、後述する。
基材9は、面方向に延びる。第1実施形態では、基材9は、単数である。基材9は、シート形状を有する。基材9は、第1粘着層8の裏面に配置されている。具体的には、基材9は、第1粘着層8の裏面の全部に接触している。基材9の材料および物性の詳細は、後述する。
第2粘着層10は、面方向に延びる。第2粘着層10は、単数である。第2粘着層10は、衝撃吸収部材3の裏面を形成する。第2粘着層10は、基材9の裏面に配置されている。具体的には、第2粘着層10は、基材9の裏面の全部に接触している。第2粘着層10の材料および物性の詳細は、後述する。
衝撃吸収部材3の厚みは、特に限定されない。衝撃吸収部材3の厚みは、例えば、40μm以上、好ましくは、70μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下、より好ましくは、100μm以下である。衝撃吸収部材3の厚みが上記した上限以下であれば、単位厚み当たりのペン衝撃吸収率を高くし易い。
この衝撃吸収部材3は、60%以上の全光線透過率と、0.27%/μm以上の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率と、0.10%/μm以上の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率とを有する。
衝撃吸収部材3の全光線透過率が60%未満であれば、視認性が低下する。衝撃吸収部材3の全光線透過率は、好ましくは、65%以上、より好ましくは、70%以上、さらに好ましくは、80%以上、とりわけ好ましくは、85%以上、最も好ましくは、90%以上である。衝撃吸収部材3の全光線透過率の上限は、特に限定されない。衝撃吸収部材3の全光線透過率の上限は、例えば、100%、また、99%である。なお、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体の全光線透過率が60%以上であれば、ウインドウ部材2の全光線透過率が60%以上であると言える。他の下限値についても、下限値60%であるときと同様に定義できる。
衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、0.27%/μm以上である。
対して、衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が0.27%/μm未満であれば、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性が低い。そのため、ボール90(図7参照)に対する効率のよい衝撃吸収効果が得られない。衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、好ましくは、0.30%/μm以上、より好ましくは、0.32%/μm以上、さらに好ましくは、0.34%/μm以上である。
衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、衝撃吸収部材3のボール衝撃吸収率を、衝撃吸収部材3の厚みで割った値である。図2Aに示すように、衝撃吸収部材3のボール衝撃吸収率は、重さ10g、直径13mmのステンレス製ボール90を20cmの高さから衝撃吸収部材3に落下させて求められる。
衝撃吸収部材3のボール衝撃吸収率は、特に限定されない。衝撃吸収部材3のボール衝撃吸収率は、例えば、20%以上、好ましくは、25%以上、より好ましくは、30%以上、さらに好ましくは、40%以上、とりわけ好ましくは、50%以上である。衝撃吸収部材3のボール衝撃吸収率の上限は、特に限定されない。衝撃吸収部材3のボール衝撃吸収率の上限は、例えば、90%、また、85%である。
衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上である。
対して、衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率が0.10%/μm未満であれば、単位厚み当たりのペンに対する耐衝撃性が低い。そのため、ペン(図8参照)に対する効率のよい衝撃吸収効果が得られない。衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、好ましくは、0.11%/μm以上、より好ましくは、0.12%/μm以上、さらに好ましくは、0.13%/μm以上、さらには、0.14%/μm以上、0.15%/μm以上、0.17%/μm以上、0.19%/μm以上、0.20%/μm以上、0.22%/μm以上が好適である。
衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率を、衝撃吸収部材3の厚みで割った値である。図3Aに示すように、衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率は、重さ7g、先端部のボール96の直径が0.7mmのペン95を20cmの高さから衝撃吸収部材3に落下させて求められる。
衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率は、特に限定されない。衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率は、例えば、5%以上、好ましくは、6%以上、より好ましくは、7%以上、さらに好ましくは、8%以上、とりわけ好ましくは、9%以上であり、さらには、10%以上、11%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上が好適である。衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率の上限は、特に限定されない。衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率の上限は、例えば、85%、また、80%である。
図1に示す有機ELパネル部材4は、パネル部材の一例である。有機ELパネル部材4は、面方向に延びる。有機ELパネル部材4は、衝撃吸収部材3の裏面に配置されている。有機ELパネル部材4は、衝撃吸収部材3の裏面の全部に接触している。具体的には、有機ELパネル部材4は、第2粘着層10に接触している。有機ELパネル部材4は、薄膜封止層11と、パネル本体12とを含む。
薄膜封止層11は、TFE(Thin Film Encapsulation)と称呼される。薄膜封止層11は、面方向に延びる。薄膜封止層11は、有機ELパネル部材4の表面を形成する。薄膜封止層11は、第2粘着層10の裏面に配置される。具体的には、薄膜封止層11は、第2粘着層10の裏面の全部に接触している。薄膜封止層11は、硬度が高い一方、靱性が低い。薄膜封止層11の材料は、特に限定されない。具体的には、薄膜封止層11の材料としては、例えば、無機化合物、および、樹脂が挙げられる。無機化合物としては、例えば、窒化シリコン、酸窒化シリコン、窒化炭素、および、酸化アルミニウムが挙げられる。
パネル本体12は、面方向に延びる。パネル本体12の表面は、薄膜封止層11に被覆される。パネル本体12は、有機ELパネル部材4の裏面を形成する。パネル本体12は、図示しないが、基板と、2つの電極と、2つの電極に挟まれる有機EL層とを含む。
有機ELパネル部材4の厚みは、例えば、40μm以下、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、20μm以下であり、また、例えば、10μm以上である。
保護部材5は、面方向に延びる。保護部材5は、有機ELパネル部材4の裏面に配置されている。具体的には、保護部材5は、有機ELパネル部材4の裏面の全部に接触している。保護部材5は、有機ELパネル部材4を裏側から保護する。保護部材5は、有機EL表示装置1の裏面22を形成する。保護部材5は、表側粘着層13と、保護基材14とを裏側に向かって順に備える。また、保護部材5は、保護基材14の裏側において、例えば、仮想線で示すように、裏側粘着層15と、金属板16とを順に備えてもよい。この場合には、保護部材5は、表側粘着層13と、保護基材14と、裏側粘着層15と、金属板16とを裏側に向かって順に備える。
表側粘着層13は、パネル本体12の裏面に配置されている。具体的には、表側粘着層13は、パネル本体12の裏面の全部に接触している。また、表側粘着層13は、保護部材5における表面を形成する。表側粘着層13の材料は、特に限定されない。表側粘着層13は、後述する第1粘着層8と同一の材料からなっていてもよい。表側粘着層13の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、40μm以下である。
保護基材14は、表側粘着層13の裏面に配置されている。具体的には、保護基材14は、保護基材14の裏面の全部に接触している。保護基材14の材料は、特に限定されない。保護基材14は、基材9と同一の材料からなっていてもよい。保護基材14の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、250μm以下、好ましくは、100μm以下である。
保護部材5が裏側粘着層15と金属板16とを備える場合には、裏側粘着層15は、保護基材14の裏面に配置されている。具体的には、裏側粘着層15は、保護基材14の裏面の全部に接触している。裏側粘着層15は、後述する第1粘着層8と同一の材料からなっていてもよい。裏側粘着層15の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
金属板16は、面方向に延びる。金属板16は、有機EL表示装置1の裏面22を形成する。金属板16は、裏側粘着層15の裏面に配置されている。具体的には、金属板16は、裏側粘着層15の裏面の全部に接触している。金属板16の材料としては、例えば、金属が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、鋼、42アロイ、ステンレス、および、マグネシウム合金が挙げられる。金属として、好ましくは、ステンレスが挙げられる。金属板16の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上、より好ましくは、70μm以上であり、また、例えば、200μm以下である。
保護部材5の厚みは、例えば、20μm以上、好ましくは、25μm以上であり、また、例えば、1,000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
図4Aおよび図4Bに示すように、ウインドウ部材2が外側に向くように有機EL表示装置1を折り曲げる試験において、ウインドウ部材2の上記した表面21の間隔が8mmとなるように200,000回折り曲げても、有機ELパネル部材4が、好ましくは、損傷しない。
上記した回数の折り曲げによって有機ELパネル部材4が損傷しなければ、この有機EL表示装置1は、折り曲げ後における薄膜封止層11の破損を抑制できる。
好ましくは、ウインドウ部材2が外側に向くように有機EL表示装置1を折り曲げる試験において、ウインドウ部材2の表面21の間隔が6mmとなるように200,000回折り曲げても、パネル部材が損傷しない。そのため、この有機EL表示装置1は、折り曲げ後における薄膜封止層11の破損を抑制できる。
[衝撃吸収部材3の詳細]
以下、衝撃吸収部材3の弾性率、材料および厚みを説明する。
[弾性率]
第2粘着層10と第1粘着層8とのそれぞれのせん断貯蔵弾性率G’は、特に限定されない。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、好ましくは、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’と同一または高い。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、より好ましくは、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高い。第1粘着層8および第2粘着層10のそれぞれのせん断貯蔵弾性率G’は、粘弾性測定装置を用いて測定される。昇温速度は、5℃/分であり、周波数は、1Hzである。詳細は、後の実施例で記載する。なお、第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’と同一であれば、図12に示す太線上に実施例がプロットされる。第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’より高ければ、図12に示す太線より左側斜め上方のエリアに実施例がプロットされる。
第2粘着層10と第1粘着層8とのそれぞれのせん断貯蔵弾性率G’が上記の好ましい関係を満足すれば、この有機EL表示装置1は、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性により一層優れ、単位厚み当たりのペンに対する耐衝撃性により一層優れる。さらには、有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性により一層優れる。
より具体的には、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’から、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、例えば、0.03MPa以上、好ましくは、0.06MPa以上である。上記した値の上限は、限定されない。上記した値の上限は、例えば、0.15MPaである。上記した値が上記した下限以上であれば、有機EL表示装置1は、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性により一層優れる。なお、上記の値が0.06MPa以上である領域は、図12に示す細い実線上と、その実線より左側斜め上方のエリアとを含む。
第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、例えば、0.15MPa以下、好ましくは、0.10MPa以下、より好ましくは、0.05MPa以下である。第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の下限は、限定されない。第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の下限は、例えば、0.01MPaである。第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’が上記した上限以下であれば、有機EL表示装置1は、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性に優れ、単位厚み当たりのペンに対する耐衝撃性に優れる。また、有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性に優れる。第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’が上記した下限以上であれば、衝撃吸収部材3を確実に保形できる。
第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、例えば、0.05MPa以上、好ましくは、0.10MPa以上である。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の上限は、限定されない。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の上限は、0.15MPaである。第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が上記した下限以上であれば、有機EL表示装置1は、単位厚み当たりの耐衝撃性に優れ、単位厚み当たりのペンに対する耐衝撃性に優れる。また、有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性に優れる。第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が上記した上限以下であれば、衝撃吸収部材3が外力を十分に吸収できる。
第1粘着層8および第2粘着層10のそれぞれの全光線透過率は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。第1粘着層8および第2粘着層10のそれぞれの全光線透過率の上限は、特に限定されない。第1粘着層8および第2粘着層10のそれぞれの全光線透過率の上限は、例えば、100%である。
基材9の25℃における引張弾性率Eは、例えば、0.1GPa以上、好ましくは、1GPa以上、さらに好ましくは、2GPa以上である。基材9の引張弾性率Eが上記した下限以上であれば、有機EL表示装置1のボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性とに優れる。さらに、有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性とに優れる。
基材9の引張弾性率Eは、例えば、15GPa以下、好ましくは、5GPa以下、より好ましくは、1GPa以下である。基材9の引張弾性率Eが上記した上限以下であれば、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性に優れる。
基材9の引張弾性率Eは、引張試験機を用いて測定される。基材9の引張弾性率Eの測定の詳細は、後の実施例で記載する。
基材9の全光線透過率は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。基材9の全光線透過率の上限は、例えば、100%である。
[材料]
第1粘着層8および第2粘着層10は、上記した物性を満足できる材料からなる。材料としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤、および、ポリエーテル系粘着剤が挙げられる。好ましくは、アクリル系粘着剤が挙げられる。
アクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル系ベースポリマーの架橋体が挙げられる。アクリル系ベースポリマーは、モノマー成分を重合して得られる。モノマー成分は、例えば、炭素数1から24のアルキル部分を有する(メタ)アクリレートを主成分として含む。(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。
上記した(メタ)アクリレートの定義および用法は、以下同様である。アルキル部分は、直鎖状または分岐鎖状を有する。(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、および、テトラコシル(メタ)アクリレートが挙げられる。好ましくは、比較的硬い第2粘着層10を調製する観点から、炭素数1から4のアルキル部分を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。好ましくは、比較的軟らかい第1粘着層8を調製する観点から、炭素数6から24のアルキル部分を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。モノマー成分における(メタ)アクリレートの割合は、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上であり、また、例えば、100質量%以下、好ましくは、99.5質量%以下である。
モノマー成分は、さらに、官能基含有(メタ)アクリレートを任意成分として含む。官能基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、および、アミド基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、および、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。アミド基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、および、ジメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。なお、アミド基含有(メタ)アクリレートは、分子内アミド基含有(メタ)アクリレートを含むことができる。分子内アミド基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドンが挙げられる。モノマー成分における官能基含有(メタ)アクリレートの割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、25質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
モノマー成分を、例えば、連鎖移動剤の存在下で、重合することができる。連鎖移動剤としては、例えば、チオール化合物が挙げられる。チオール化合物としては、例えば、α-チオグリセロールが挙げられる。連鎖移動剤の質量割合は、モノマー成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、また、例えば、10質量部以下である。
架橋体は、アクリル系ベースポリマーに対する架橋剤の配合およびその反応によって、得られる。架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、シランカップリング剤、過酸化物、および、(メタ)アクリロイル基を複数有する(メタ)アクリレートが挙げられる。イソシアネート架橋剤としては、例えば、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体、および、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ基含有シランカップリング剤が挙げられる。エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。過酸化物としては、例えば、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイドが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を複数有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキサンジオール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、単独使用または併用できる。架橋剤の質量割合は、アクリル系ベースポリマー100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、また、例えば、2質量部以下である。
架橋剤の配合とともに、添加剤をアクリル系ベースポリマーに添加することができる。添加剤としては、オリゴマーが挙げられる。オリゴマーとして、例えば、(メタ)アクリルオリゴマーが挙げられる。(メタ)アクリルオリゴマーの重量平均分子量は、例えば、1、000以上、好ましくは、2,000以上であり、また、例えば、30,000以下、好ましくは、10,000以下である。(メタ)アクリルオリゴマーの重量平均分子量は、GPCによる標準ポリスチレン換算による。(メタ)アクリルオリゴマーは、モノマー成分を重合して得られる。モノマー成分は、上記した炭素数1から24のアルキル部分を有する(メタ)アクリレートと、炭素数1から24の脂環式アルキル(シクロアリファティックアルキル)部分を有する脂環式(メタ)アクリレートとを含む。脂環式アルキル部分としては、例えば、単環式、および、多環式が挙げられる。単環式の脂環式(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、および、シクロオクチル(メタ)アクリレートが挙げられる。多環式の脂環式(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、および、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。モノマー成分における(メタ)アクリレートの割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、45質量%以下である。モノマー成分における脂環式(メタ)アクリレートの割合は、例えば、30質量%以上、好ましくは、55質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
オリゴマーのガラス転移温度は、例えば、20℃以上、好ましくは、50℃以上、より好ましく、80℃以上であり、また、例えば、150℃以下である。オリゴマーのガラス転移温度は、Fox式により算出される。
オリゴマーの質量割合は、アクリル系ベースポリマー100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、また、例えば、1質量部以下である。
基材9の材料は、上記した物性を満足できる材料からなる。基材9の材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂は、単独使用または併用できる。樹脂としては、例えば、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、および、ポリスチレン樹脂が挙げられる。樹脂として、好ましくは、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、セルロース樹脂、および、ポリスチレン樹脂が挙げられる。樹脂として、さらに好ましくは、オレフィン樹脂、および、ポリエステル樹脂が挙げられる。
オレフィン樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、および、シクロオレフィンポリマー(COP)が挙げられる。オレフィン樹脂として、好ましくは、COPが挙げられる。COPは、シクロオレフィンを含むモノマー成分の重合体である。シクロオレフィンとして、例えば、ノルボルネンが挙げられる。
ポリエステル樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、および、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。ポリエステル樹脂は、例えば、軟質ポリエステル樹脂(透明軟質ポリエステル樹脂)を含む。ポリエステル樹脂として、好ましくは、PETが挙げられる。
基材9の材料として、とりわけ好ましくは、COPが挙げられる。COPは、PETに比べて、単位厚み当たりのペン衝撃吸収率を高くできる。
基材9は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、ルミラーシリーズ(PET製基材、東レ社製)、ゼオノアシリーズ(COP製基材、日本ゼオン社製)、および、OKYシリーズ(透明軟質ポリエステル樹脂性基材、ベルポリエステルプロダクツ社製)が挙げられる。
[厚み]
第1粘着層8と基材9と第2粘着層10とのそれぞれの厚みは、特に限定されない。
第1粘着層8および第2粘着層10のそれぞれの厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、40μm以下である。第2粘着層10は、第1粘着層8と同じ厚みでもよく、また、第1粘着層8と異なる厚みでもよい。
基材9の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、75μm以下、より好ましくは、50μm以下、さらに好ましくは、50μm未満、とりわけ好ましくは、45μm以下、最も好ましくは、30μm以下である。
衝撃吸収部材3の厚みに対する基材9の厚みの比率は、例えば、0.10以上、好ましくは、0.20以上であり、また、例えば、0.70以下、好ましくは、0.60以下、より好ましくは、0.40以下、さらに好ましくは、0.35以下である。基材9の厚みの比率が上記した下限以上であれば、耐折り曲げ性に優れる。基材9の厚みの比率が上記した上限以下であれば、単位厚み当たりのペン衝撃吸収率が高い。
[有機EL表示装置1の製造]
有機EL表示装置1は、ウインドウ部材2と、衝撃吸収部材3と、有機ELパネル部材4と、保護部材5とを積層することにより、得られる。
なお、図示しないが、衝撃吸収部材3は、剥離シート付き衝撃吸収部材として準備される。剥離シート付き衝撃吸収部材は、衝撃吸収部材3と、その表面および裏面にそれぞれ積層された剥離シートとを備える。剥離シート付き衝撃吸収部材における剥離シートを衝撃吸収部材3から剥離して、衝撃吸収部材3を準備する。
また、試作品40を用いて有機EL表示装置1を製造する別の製造方法を、図5から図6を参照して説明する。この方法は、図5に示すように、第1工程S1と、第2工程S2と、第3工程S3と、第4工程S4とを順に備える。
第1工程S1では、試作品を試作する。例えば、複数の試作品40を試作する。複数の試作品40のそれぞれは、例えば、互いに、同一の構成、同一の厚み、同一の物性を有する。複数の試作品40は、例えば、第1サンプル61と、第2サンプル62とを含み、さらには、第3サンプル63を含む。試作品40は、疑似サンプルでもある。試作品40は、下記の点を除いて、上記した有機EL表示装置1と同一の構成を有する。試作品40の有機ELパネル部材4では、薄膜封止層11に代えて、ITO層35を備える。ITO層35は、薄膜封止層11に付与されうる歪みに起因する損傷を評価するように構成される。ITO層35は、酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物(ITO)からなる。ITO層35の厚みは、例えば、100nm以下、好ましくは、70nm以下、より好ましくは、50nm以下であり、また、例えば、20nm以上である。ITO層35の厚みを変えることで、ひずみに対する割れをコントロールすることができる。上記したITO層35とパネル本体12とを備える有機ELパネル部材4は、ダミーパネル部材44である。また、試作品40では、例えば、第1粘着層8と第2粘着層10とのそれぞれの25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、同一である。
第2工程S2では、試作品40を評価する。第2工程S2は、図6に示すように、第5工程S5と、第6工程S6と、第7工程S7とを備える。
第5工程S5では、第1サンプル61および第2サンプル62を試作品40から選択する。第1サンプル61および第2サンプル62は、互いに、同一の構成、同一の厚み、同一の物性を有する。併せて、第3サンプル63を、後述する折り曲げ試験に供してもよい。
第6工程S6では、ボール落下試験(図7参照)と、ペン落下試験(図8参照)とを実施する。
図7に示すように、ボール落下試験では、ボール90を第1サンプル61に落下させる。ボール落下試験におけるボール90の重さは、例えば、1g以上、好ましくは、2g以上であり、また、例えば、100g以下、好ましくは、50g以下である。ボール落下試験におけるボール90の直径は、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上であり、また、例えば、100mm以下、好ましくは、50mm以下である。ボールの材質は、限定されず、例えば、金属である。ボール落下試験におけるボール90の落下高さは、例えば、2cm以上、好ましくは、5cm以上であり、また、例えば、200cm以下、好ましくは、100cm以下である。
図8に示すように、ペン落下試験では、ペン(ボールペン)95を第2サンプル62に落下させる。ペン95は、その先端部にボール96を有する。
ペン落下試験におけるペン95の重さは、例えば、0.5g以上、好ましくは、1g以上であり、また、例えば、50g以下、好ましくは、30g以下である。ペン落下試験におけるボール96の直径は、例えば、0.01mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、また、例えば、5mm以下、好ましくは、1mm以下である。ペン落下試験における落下高さは、例えば、2cm以上、好ましくは、5cm以上であり、また、例えば、200cm以下、好ましくは、100cm以下である。
第7工程S7では、第1サンプル61および第2サンプル62に損傷があるか否かを判断する。
そして、第3工程では、第1サンプル61に損傷があると試作品40を評価した場合に、第1粘着層8および第2粘着層10の合計厚みをより厚くするように、製造条件を変更し決定する。また、第3工程では、第2サンプル62に損傷があると試作品40を評価した場合に、基材9の厚みをより厚くするように製造条件を変更し決定する。
第4工程S4では、上記した製造条件に基づいて有機EL表示装置1を製造する。
これによって、有機EL表示装置1を製品として製造する。
なお、第7工程S7において、第1サンプル61および第2サンプル62のいずれにも損傷がないと判断した場合には、上記した第3工程S3を経ず、つまり、製造条件を変更せずに、有機EL表示装置1を製品として製造する。
[有機EL表示装置1の使用]
図4Aに示すように、ユーザが、有機EL表示装置1の表面21の全部を視認するときには、有機EL表示装置1は、開かれている。このとき、表面21は、平坦面である。有機EL表示装置1は、中間部24と、第1部17と、第2部18とを含む。中間部24は、2つの辺23の中間に位置する。2つの辺23は、第1辺23Aと、第2辺23Bとを含む。第1部17は、第1辺23Aを含むエリアである。第2部18は、第2辺23Bを含むエリアである。
図4Bに示すように、有機EL表示装置1を、中間部24を中心にして折り曲げる場合がある。つまり、有機EL表示装置1は、折り曲げられて使用される場合がある。この場合には、中間部24は、折り目を形成する。第1部17の表面21と第2部18の表面21とは、互いに外側に向く。この場合には、第1部17の裏面22と第2部18の裏面22とは、近づいて対向する。
[第1実施形態の作用効果]
そして、この有機EL表示装置1では、衝撃吸収部材3が60%以上の全光線透過率を有する。具体的には、偏光子の代替で有機EL表示装置1に設けられた衝撃吸収部材3の全光線透過率が高い。そのため、有機EL表示装置1は、光学信頼性が高い。特に、第1実施形態の有機EL表示装置1は、偏光子を備えないので、光学信頼性がとりわけ高い。
また、この有機EL表示装置1では、衝撃吸収部材3が0.27%/μm以上の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率を有し、0.10%/μm以上の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率を有する。そのため、有機EL表示装置1は、ボールに対する衝撃、および、ペンによる衝撃に対する耐久性に優れる。従って、有機EL表示装置1は、様々な衝撃に対する耐久性に優れる。
さらに、ウインドウ部材2が外側に向くように有機EL表示装置1を折り曲げる試験において、ウインドウ部材2における2つの表面21の間隔が8mmとなるように200,000回折り曲げても、有機ELパネル部材4が損傷しない。そのため、有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性に優れる。
また、この有機EL表示装置1では、第1粘着層8がウインドウ部材2に粘着する。第2粘着層10が有機ELパネル部材4に粘着する。そのため、ウインドウ部材2が、衝撃吸収部材3を介して、有機ELパネル部材4に粘着する。そして、基材9と、それを挟む第1粘着層8および第2粘着層10とを備える衝撃吸収部材3が、ウインドウ部材2と有機ELパネル部材4とに粘着するので、耐折り曲げ性により一層優れる。
また、この有機EL表示装置1では、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’と同一または高い場合には、この有機EL表示装置1は、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性とに優れる。また、この有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性に優れる。
とりわけ、この有機EL表示装置1では、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高い場合には、この有機EL表示装置1は、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性により一層優れ、さらには、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性により一層優れる。
また、この有機EL表示装置1では、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.01MPa以上であれば、衝撃吸収部材3を確実に保形できる。第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.05MPa以下であれば、有機EL表示装置1は、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性に優れる。
この有機EL表示装置1では、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.10MPa以上であれば、有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性に優れる。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.15MPa以下であれば、衝撃吸収部材3が外力を十分に吸収できる。
また、この有機EL表示装置1では、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’から、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上であれば、有機EL表示装置1は、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性とに優れる。また、この有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性との両方に優れる。
また、この有機EL表示装置1では、基材9が単数であるので、構成が簡易である。
また、この有機EL表示装置1では、衝撃吸収部材3の厚みに対する基材9の厚みの比率が、0.20以上であれば、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性に優れる。衝撃吸収部材3の厚みに対する基材9の厚みの比率が、0.35以下であれば、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高い。
また、この有機EL表示装置1では、基材9の材料が、オレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂であれば、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率、および、単位厚み当たりのペン衝撃吸収率を高くできる。
上記した第1工程S1から第3工程S3を備える製造方法により有機EL表示装置1を製造すれば、試作品40を評価して、製造条件を決定するので、歩留まりを向上できる。
[第2実施形態]
以下の第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第2実施形態は、特記する以外、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
図9に示すように、第2実施形態では、基材9は、複数である。具体的には、基材9は、第1基材25と、第2基材26とを含む。また、衝撃吸収部材3は、中間粘着層19をさらに備える。
第1基材25は、第1粘着層8に接触する。第1基材25は、第1粘着層8の裏面に配置されている。第1基材25は、第2粘着層10に接触しない。
第2基材26は、第1基材25の裏側に間隔を隔てて配置されている。第2基材26は、第2粘着層10に接触する。第2基材26は、第2粘着層10の表面に配置されている。第2基材26は、第1粘着層8に接触しない。
中間粘着層19は、第2実施形態では、単数である。中間粘着層19は、第1基材25と第2基材26との間に介在している。中間粘着層19は、第1基材25と第2基材26とに接触している。具体的には、中間粘着層19は、第1基材25の裏面と、第2基材26の表面とに接触している。
この衝撃吸収部材3は、第1粘着層8と、第1基材25と、中間粘着層19と、第2基材26と、第2粘着層10とを裏側に向かって順に備える。第2実施形態では、衝撃吸収部材3は、好ましくは、第1粘着層8と、第1基材25と、中間粘着層19と、第2基材26と、第2粘着層10とのみを備える。
[中間粘着層19の詳細]
中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、特に限定されない。好ましくは、中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’以上、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’以下である。
中間粘着層19のせん断貯蔵弾性率G’が第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’以上であり、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’以下であれば、有機EL表示装置1は、ボールおよびペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性に優れることが分かる。
より好ましくは、中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高く、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より低い。この場合には、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とをより確実に両立できる。
中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.05MPa以上、より好ましくは、0.05MPa超過であり、また、例えば、0.15MPa以下、好ましくは、0.10MPa以下である。
中間粘着層19のせん断貯蔵弾性率G’が上記した下限を上回り、上記した上限を下回れば、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性と、耐折り曲げ性とに、より一層優れる。
中間粘着層19の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、40μm以下、好ましくは、30μm以下である。
[第1基材25と第2基材26との詳細]
衝撃吸収部材3の厚みに対する、第1基材25と第2基材26との合計厚みの比率は、上記した衝撃吸収部材3の厚みに対する基材9の厚みの比率と同様である。
第1基材25の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、20μm以下である。
第2基材26の厚みは、例えば、5以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
第1基材25は、例えば、第2基材26より厚いまたは薄い。第1基材25は、第2基材26と同一厚みであってもよい。好ましくは、第1基材25は、第2基材26より薄い。
第1基材25が第2基材26より薄ければ、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性がより一層優れる。
第2基材26の厚みに対する第1基材25の厚みの比率は、好ましくは、0.9以下、好ましくは、0.7以下である。また、第2基材26の厚みに対する第1基材25の厚みの比率の下限は、例えば、0.1、また、例えば、0.2である。
他方、第1基材25が第2基材26より厚ければ、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性がより一層優れる。
第2基材26の厚みに対する第1基材25の厚みの比率は、好ましくは、1.1以上、好ましくは、1.4以上である。また、第2基材26の厚みに対する第1基材25の厚みの比率の上限は、例えば、10、また、例えば、5である。
第1基材25と第2基材26とのそれぞれの25℃における引張弾性率Eは、第1実施形態の基材9の25℃における引張弾性率Eと同様である。
[第2実施形態の作用効果]
この有機EL表示装置1では、基材9が、複数である。また、有機EL表示装置1は、複数の基材9の間に配置される中間粘着層19をさらに備える。そのため、用途および目的に応じた様々な衝撃吸収性能を設計し易い。
また、この有機EL表示装置1では、中間粘着層19のせん断貯蔵弾性率G’が第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’以上であり、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’以下であれば、有機EL表示装置1は、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性と、耐折り曲げ性とに優れる。
さらに、この有機EL表示装置1では、中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高く、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より低ければ、有機EL表示装置1は、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを確実に両立できる。
具体的には、この有機EL表示装置1では、中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.05MPa超過、0.15MPa以下であればボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを並立できる。
また、この有機EL表示装置1において、第1基材25が、第2基材26より薄ければ、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを確実に両立できる。
一方、この有機EL表示装置1において、第1基材25が、第2基材26より厚ければ、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性に優れる。
[第2実施形態の変形例]
以下の変形例において、上記した第2実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第2実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
この変形例では、図10に示すように、中間粘着層19は、複数である。具体的には、中間粘着層19は、第1中間粘着層27と、第2中間粘着層28とを含む。基材9は、第3基材29をさらに含む。
第1中間粘着層27は、第1基材25に接触する。しかし、第1中間粘着層27は、第2基材26に接触しない。第1中間粘着層27は、第1基材25の裏面に配置されている。
第2中間粘着層28は、第2基材26に接触する。しかし、第2中間粘着層28は、第1基材25に接触しない。第2中間粘着層28は、第2基材26の表面に配置されている。
第3基材29は、第1中間粘着層27と第2中間粘着層28との間に配置されている。第3基材29は、第1中間粘着層27の裏面と、第2中間粘着層28の表面とに接触している。
この衝撃吸収部材3は、第1粘着層8と、第1基材25と、第1中間粘着層27と、第3基材29と、第2中間粘着層28と、第2基材26と、第2粘着層10とを裏側に向かって順に備える。この変形例では、衝撃吸収部材3は、好ましくは、第1基材25と、第1中間粘着層27と、第3基材29と、第2中間粘着層28と、第2基材26と、第2粘着層10とのみを備える。
衝撃吸収部材3の厚みに対する、第1基材25と第2基材26と第3基材29との合計厚みの比率は、上記した衝撃吸収部材3の厚みに対する基材9の厚みの比率と同様である。
第1中間粘着層27と第2中間粘着層28とのそれぞれ25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、第2実施形態の中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’と同様である。
第1実施形態では、図1に示すように、3層からなる衝撃吸収部材3を開示した。第2実施形態では、図9に示すように、5層からなる衝撃吸収部材3を開示した。第2実施形態の変形例では、図10に示すように、7層からなる衝撃吸収部材3を開示した。図示しないが、衝撃吸収部材3が、[2n+1層]からなっていてもよい。変形例では、nは、4以上の正数である。変形例では、衝撃吸収部材3は、[n+1]層の粘着層と、[n]層の基材とからなる。
第1実施形態では、衝撃吸収部材3は、ウインドウ部材2の裏面と、有機ELパネル部材4の表面との両方に接触する。しかし、衝撃吸収部材3は、ウインドウ部材2と有機ELパネル部材4の間に配置されていればよく、例えば、衝撃吸収部材3の裏面と間隔が隔てられ、有機ELパネル部材4の表面と間隔が隔てられもよい。また、衝撃吸収部材3は、上記した裏面および表面とのうち、いずれか一方に接触し、他方と間隔が隔てられてもよい。具体的には、図11に示すように、衝撃吸収部材3は、ウインドウ部材2の裏面と接触し、有機ELパネル部材4と間隔が隔てられる。詳しくは、衝撃吸収部材3は、有機ELパネル部材4と、偏光フィルム50および粘着層51を隔てて配置される。
偏光フィルム50は、第2粘着層10の裏面に接触する。偏光フィルム50は、偏光子を含む。偏光子としては、例えば、親水性フィルムを染色処理および延伸処理されたフィルム、親水性フィルムを脱水処理したフィルム、および、ポリ塩化ビニルフィルムを脱塩酸処理したフィルムが挙げられる。親水性フィルムとしては、例えば、PVAフィルムが挙げられる。偏光子の全光線透過率は、例えば、30%以上、好ましくは、35%以上、より好ましくは、40%以上であり、また、例えば、50%以下である。偏光子の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下である。偏光子は、特開2020-149065号公報、および、特開2019-218513号公報に記載される。偏光フィルム50は、上記した偏光子に接着剤を介して保護フィルムを積層することで形成される。
粘着層51は、偏光フィルム50と有機ELパネル部材4との間に介在する。粘着層51は、偏光フィルム50の裏面と、有機ELパネル部材4の表面とに接触する。粘着層51の材料、厚み、物性等は、第1粘着層8または第2粘着層10と同様である。
図11の変形例の有機EL表示装置1では、ウインドウ部材2と、衝撃吸収部材3と、偏光フィルム50と、粘着層51と、有機ELパネル部材4と、保護部材5とは、裏側に向かって順に配置される。
図1に示す第1実施形態の有機EL表示装置1と、図11の変形例の有機EL表示装置1とを対比すると、第1実施形態の有機EL表示装置1は、偏光フィルム50および粘着層51を備えない。従って、第1実施形態の有機EL表示装置1は、偏光フィルム50における偏光子が上記した低い全光線透過率を有することから、光学信頼性に優れる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
[粘着シートの調製]
粘着シートAから粘着シートDを以下の通り、調製した。
[粘着シートA]
ラウリルアクリレート(LA)43質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)44質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)6質量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)7質量部、および、BASF製「イルガキュア184」0.015質量部を配合し、紫外線を照射して重合し、ベースポリマー組成物(重合率:約10%)を得た。
別途、メタクリル酸ジシクロペンタニル(DCPMA)60質量部、メタクリル酸メチル(MMA)40質量部、α-チオグリセロール3.5質量部、および、トルエン100質量部を混合し、窒素雰囲気下にて70℃で1時間撹拌した。次に、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を投入し、70℃で2時間反応させた後、80℃に昇温して2時間反応させた。その後、反応液を130℃に加熱して、トルエン、連鎖移動剤および未反応モノマーを乾燥除去して、固形状のアクリル系オリゴマーを得た。アクリル系オリゴマーの重量平均分子量は5100であった。ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。
ベースポリマー組成物の固形分100質量部に対して、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.07質量部、アクリル系オリゴマー1質量部、シランカップリング剤(信越化学製「KBM403」)0.3質量部を添加した後、これらを均一に混合して、粘着剤組成物を調製した。
粘着剤組成物を、PETフィルム(三菱ケミカル製「ダイアホイルMRF75」)からなる剥離シートの表面に塗布し、その後、別のPETフィルム(三菱ケミカル製「ダイアホイルMRF75」)からなる剥離シートを塗膜に貼り合わせた。その後、塗膜に紫外線を照射して、厚み50μmの粘着シートAを調製した。
[粘着シートB]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート(BA)99質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1質量部を仕込んだ。これにより、モノマー混合物を調製した。
さらに、モノマー混合物100質量部に対して、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を酢酸エチルと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って7時間重合反応させた。その後、得られた反応液に、酢酸エチルを加えて、固形分濃度30%に調整した、重量平均分子量160万のアクリル系ベースポリマーの溶液を調製した。
アクリル系ベースポリマーの溶液の固形分100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名:タケネートD110N、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート、三井化学社製)0.1質量部、ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT、日本油脂社製)0.3質量部と、シランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学工業社製)0.08質量部とを配合して、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
アクリル系粘着剤組成物を、PETフィルムからなる剥離シートの表面に、ファウンテンコータで均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで2分間乾燥することにより、厚み20μmの粘着シートBを調製した。
[粘着シートC]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート(BA)99質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1質量部を仕込んだ。
さらに、モノマー混合物100質量部に対して、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を酢酸エチルと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って7時間重合反応させた。その後、得られた反応液に、酢酸エチルおよびトルエンの混合溶媒(質量比で、95/5)を加えて、固形分濃度30%に調整したアクリル系ベースポリマーの溶液を調製した。
アクリル系ベースポリマーの溶液の固形分100質量部に対して、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートL)0.15質量部と、シランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学工業社製)0.08質量部を配合して、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
PETフィルムからなる剥離シートの表面に、ファウンテンコータで均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで2分間乾燥することにより、厚み15μmの粘着シートCを調製した。
[粘着シートD]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート(BA)99質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1質量部を仕込んだ。これにより、モノマー混合物を調製した。
さらに、モノマー混合物100質量部に対して、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を酢酸エチルと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って7時間重合反応させた。その後、得られた反応液に、酢酸エチルを加えて、固形分濃度30%に調整した、重量平均分子量160万のアクリル系ベースポリマーの溶液を調製した。
アクリル系ベースポリマーの溶液の固形分100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名:タケネートD110N、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート、三井化学社製)0.1質量部、ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT、日本油脂社製)0.3質量部と、シランカップリング剤(商品名:KBM403、信越化学工業社製)0.08質量部を配合して、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
アクリル系粘着剤組成物を、PETフィルムからなる剥離シートの表面に、ファウンテンコータで均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで2分間乾燥することにより、厚み5μmの粘着シートDを調製した。
[粘着シートのせん断貯蔵弾性率G’]
粘着シートAからCのそれぞれの25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を測定した。
具体的には、剥離シートを剥離し、これを円盤状に外形加工し、パラレルプレートに挟み込み、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、以下の条件の動的粘弾性測定により、粘着シートのせん断貯蔵弾性率G’を求めた。
[測定条件]
モード:ねじり
温度:-40℃から150℃
昇温速度:5℃/分
周波数:1Hz
[基材の準備]
基材Aから基材Dを以下の通り、準備した。
[基材A]
COPからなる基材(商品名「ゼオノア」、日本ゼオン社製)を、基材Aとして準備した。
[基材B]
PETからなる基材(商品名「ルミラーS10」、東レ社製)を、基材Bとして準備した。
[基材C]
透明軟質ポリエステル樹脂からなる基材(商品名「OKY100」、ベルポリエステルプロダクツ社製)を、基材Cとして準備した。
[基材D]
透明ポリイミドからなる基材(製品名「C_50」、KOLON社製)を、基材Dとして準備した。
[基材の引張弾性率E]
基材Aから基材Dのそれぞれの25℃における引張弾性率Eを測定した。
基材Aから基材Dのそれぞれを幅10mm、長さ100mmの矩形形状に外形加工した。基材を引張試験機(島津製作所製 製品名「オートグラフAG-IS」)に設置し、200mm/minで引っ張った時の、ひずみと応力を測定し、ひずみが0.05%~0.25%の範囲における曲線の傾きから、基材の引張弾性率Eを算出した。基材Aから基材Dのそれぞれの25℃における引張弾性率Eは、それぞれ、3GPaと、3.5GPaと、0.13GPaと、7GPaとであった。
[第1実施形態に対応する有機EL表示装置1の疑似サンプルの製造]
実施例1
基材Aからなる基材9の表面と裏面とのそれぞれに、粘着シートAからなる第1粘着層8と、粘着シートCからなる第2粘着層10とのそれぞれを配置した。これにより、第1粘着層8と、基材9と、第2粘着層10とを厚み方向に順に備える衝撃吸収部材3を作製した。つまり、3層からなる衝撃吸収部材3を作製した。
図1に示すように、その後、ウインドウ部材2と、衝撃吸収部材3と、有機ELパネル部材4と、保護部材5とを積層して、有機EL表示装置1の疑似サンプルを製造した。なお、有機ELパネル部材4の表面に、薄膜封止層11の代替として、ITO層35を配置した。ITO層35の厚みは、40nmであった。
ウインドウ部材2は、特開2020-064236号公報の実施例1の硬化性組成物の硬化体からなる厚み10μmのハードコート層6と、「CPI」(KOLON社製)からなる厚み80μmのウインドウフィルム7とを備える。
ダミーパネル部材44におけるパネル本体12として、厚み25μmのポリイミド板(商品名「UPILEX」、宇部興産社製)を準備した。
保護部材5は、粘着シートAと同一材料からなり、厚み15μmの表側粘着層13と、厚み50μmのポリイミド板(商品名「UPILEX」、宇部興産社製)からなる保護基材14とを裏側に向かって順に配置した。
実施例2から実施例10と、実施例27から実施例29と、比較例1から比較例5と、比較例10と、比較例11
実施例1と同様にして、有機EL表示装置1の試作品40(疑似サンプル)を製造した。但し、第1粘着層8、基材9、および/または、第2粘着層10を表1から表3、および、表11の記載の通りに変更した。
[第2実施形態に対応する有機EL表示装置1の製造]
実施例11から実施例23
実施例1と同様に処理して、有機EL表示装置1の試作品40(疑似サンプル)を製造した。但し、図9に示すように、5層からなる衝撃吸収部材3を用いた。また、各層を表4から表8の記載の通りに変更した。具体的には、衝撃吸収部材3は、第1粘着層8と第1基材25と中間粘着層19と第2基材26と第2粘着層10とを順に備える。
[第2実施形態の変形例に対応する有機EL表示装置1の製造]
実施例24から実施例26
実施例1と同様に処理して、有機EL表示装置1の試作品40(疑似サンプル)を製造した。但し、図10に示すように、7層からなる衝撃吸収部材3を用いた。また、各層を表9の記載の通りに変更した。具体的には、衝撃吸収部材3は、第1粘着層8と第1基材25と第1中間粘着層27と第3基材29と第2中間粘着層28と第2基材26と第2粘着層10とを順に備える。
[衝撃吸収部材3が粘着層30のみからなる有機EL表示装置1の製造]
比較例6から比較例9
実施例1と同様に処理して、有機EL表示装置1の試作品40(疑似サンプル)を製造した。但し、図示しないが、1層からなる衝撃吸収部材3を用いた。衝撃吸収部材3は、粘着層30のみからなる。粘着層30を表10の記載の通りに変更した。
[評価]
下記の項目を評価した。それらの結果を表1から表11に記載する。
[衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率]
各実施例および各比較例における衝撃吸収部材3を準備した。次いで、図2Bに示すように、ステンレス板91の表面に設置したPCB社製のセンサー(製品名:480C02)92の表面にウインドウ部材2のみを載せた。この場合、ウインドウフィルム7をセンサー92の表面に接触させた。ウインドウ部材2のハードコート層6の表面に、重さ10g、直径13mmのステンレス製ボールを20cmの高さから垂直落下させた。センサー92に接続したヒオキ社製のハイレコーダ(製品名:MR8870)で、ウインドウ部材2のみ衝撃荷重のピーク値SA1を測定した。
次に、図2Aに示すように、ウインドウ部材2に代えて、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体をセンサー92の表面に載せた。衝撃吸収部材3の裏面をセンサー92の表面に接触させた。ウインドウ部材2のハードコート層6の表面に、上記したボールを20cmの高さから垂直落下させた。上記したハイレコーダで、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体の衝撃荷重のピーク値SB1を測定した。
下記式を用いて、衝撃吸収部材3のボール衝撃吸収率を求めた。
ボール衝撃吸収率(%)={(SA1-SB1)/SA1}×100
続いて、ボール衝撃吸収率を衝撃吸収部材3の厚みで割って、衝撃吸収部材3の単位厚み当りのボール衝撃吸収率を算出した。
[衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率と、衝撃吸収部材3における単位厚み当たりのペン衝撃吸収率]
各実施例および各比較例における衝撃吸収部材3を準備した。次いで、図3Bに示すように、ステンレス板91の表面に設置したPCB社製のセンサー(製品名:480C02)92の表面にウインドウ部材2のみを載せた。この場合、ウインドウフィルム7をセンサー92の表面に接触させた。ウインドウ部材2のハードコート層6の表面に、重さ7g、ボール直径0.7mmのボールペン(ぺんてる株式会社製の油性ボールペン「BK407黒」)を20cmの高さから垂直落下させた。センサー92に接続したヒオキ社製のハイレコーダ(製品名:MR8870)で、ウインドウ部材2のみ衝撃荷重のピーク値SA2を測定した。
次に、図3Aに示すように、ウインドウ部材2に代えて、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体をセンサー92の表面に載せた。衝撃吸収部材3の裏面をセンサー92の表面に接触させた。ウインドウ部材2のハードコート層6の表面に、上記したペンを20cmの高さから垂直落下させた。上記したハイレコーダで、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体の衝撃荷重のピーク値SB2を測定した。
下記式を用いて、衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率を求めた。
ペン衝撃吸収率(%)={(SA2-SB2)/SA2}×100
続いて、ペン衝撃吸収率を衝撃吸収部材3の厚みで割って、衝撃吸収部材3の単位厚み当りのペン衝撃吸収率を算出した。
[有機EL表示装置1の折り曲げ試験]
(1) 表面21間の距離8mmでの折り曲げ試験
有機EL表示装置1(疑似サンプル)を外形加工して第3サンプル63を作製した。図4Aから図4Bで示すように、屈曲および開きを200,000回繰り返す屈曲試験を実施した。具体的には、耐久試験機(型番「DMLHB-FS-C」、YUASA社製)を用いた。ウインドウ部材2において両外側に向く2つの表面21の間隔を8mmとした。屈曲試験前におけるITO層35の抵抗値に対する、屈曲試験後におけるITO層35の抵抗値の比率を、テスターにより測定した。
ITO層35の抵抗値の変化を、薄膜封止層11の損傷の有無として評価した。
○:試験後におけるITO層35の抵抗値に対する、試験後におけるITO層35の抵抗値の比率が、試験前1.1倍未満であった。
×:試験後におけるITO層35の抵抗値に対する、試験後におけるITO層35の抵抗値の比率が、試験前1.1倍以上であった。
(2) 表面21間の距離6mmでの折り曲げ試験
上記(1)で「○」評価の有機EL表示装置1について、間隔が6mmとなるように、上記と同様の折り曲げ試験を実施した。
[衝撃吸収部材3の全光線透過率]
衝撃吸収部材3とウインドウ部材2との積層体を調製した。積層体の全光線透過率をスガ試験機製ヘイズメーターを用いて測定した。測定は、JIS K7105に準じた。
上記結果から、衝撃吸収部材3の全光線透過率を求めた。上記した積層体の全光線透過率が60%以上であれば、衝撃吸収部材3の全光線透過率も60%以上と言える。
いずれかの実施例は、容易に対比するために、複数の表に記載した。実施例1は、表1と表2とに重複して記載した。実施例7は、表2と表11とに重複して記載した。実施例12は、表4と表6とに重複して記載した。実施例13は、表4と表7とに重複して記載した。実施例15は、表5と表6とに重複して記載した。実施例16は、表5と表7とに重複して記載した。
実施例1から実施例6までの第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’と第2粘着層10ののせん断貯蔵弾性率G’とを図12に示す。
[実施例と比較例との検証]
表3、表10、表11から分かるように、比較例1から比較例5と、比較例7と、比較例10と、比較例11とは、いずれも、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が0.27%/μm未満である。比較例1から比較例5と、比較例7と、比較例10と、比較例11とは、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が、不十分である。
表10から分かるように、比較例6から比較例9は、いずれも、単位厚み当たりのペン衝撃吸収率が0.10%/μm未満である。比較例6から比較例9は、ペンに対する単位厚み当たりのペン衝撃吸収率が、不十分である。
比較例7は、折り曲げ時に剥離を生じた。比較例7は、耐折り曲げ性が不十分である。
対して、表1、表2、表4から表9および表11から分かるように、実施例1から実施例29は、いずれも、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が0.27%/μm以上であり、単位厚み当たりのペン衝撃吸収率が0.10%/μm以上である。そのため、有機EL表示装置1は、ボール90に対する衝撃、および、ペン95による衝撃に対する耐久性に優れる。従って、実施例1から実施例29は、様々な衝撃に対する耐久性に優れる。
[各実施例の検証]
表1から分かるように、実施例1から実施例6では、基材9が同一であるが、第1粘着層8および/または第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が変動する。
具体的には、実施例1と、実施例2と、実施例3とは、それぞれ、第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’が、0.03MPa、0.08MPa、0.12MPaである。
実施例1から実施例3のうち、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高い実施例は、実施例1と、実施例2とである。実施例1と実施例2とは、実施例3に比べて、ボールおよびペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性に優れることが分かる。
実施例1から実施例6のうち、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.05MPa以下ある実施例は、実施例1と、実施例4と、実施例5とである。実施例1と実施例4と実施例5とは、実施例2と実施例3と実施例6とに比べて、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性に優れることが分かる。
また、実施例1から実施例6のうち、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.10MPa以上である実施例は、実施例1から実施例3である。実施例1から実施例3は、実施例4から実施例6に比べて、耐折り曲げ性に優れることが分かる。
さらに、実施例1から実施例6のうち、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’から、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である実施例は、実施例1である。実施例1は、実施例2から実施例6に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性とを確実に両立できることが分かる。
表2から分かるように、実施例1と実施例7から実施例9までのうち、衝撃吸収部材3の厚みに対する基材9の厚みの比率が、0.20以上、0.35以下である実施例は、実施例1と実施例8とである。実施例1と実施例8とは、比率が0.35を超過する実施例7に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの衝撃吸収性に優れることが分かる。実施例1と実施例8とは、比率が0.20未満である実施例9に比べて、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性に優れることが分かる。これらの傾向は、基材9が複数である実施例12と実施例13と実施例15から実施例26とでも同様である。
つまり、表6から分かるように、基材9の厚みの上記した比率を有する実施例12と実施例15と実施例18とは、比率が0.35を超過する実施例17に比べて、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高いことが分かる。
表7から分かるように、基材9の厚みの上記した比率を有する実施例13と実施例16と実施例20とは、比率が0.35を超過する実施例19に比べて、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高いことが分かる。
表8から分かるように、基材9の厚みの上記した比率を有する実施例21と実施例22とは、比率が0.35を超過する実施例23に比べて、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高いことが分かる。
また、表9から分かるように、基材9の厚みの上記した比率を有する実施例24と実施例25とは、比率が0.35を超過する実施例26に比べて、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高いことが分かる。
また、表2から分かるように、実施例1と実施例10とは、基材9の材料のみが異なる。基材9の材料がCOPである実施例1は、基材9の材料がPETである実施例10に比べて、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高いことが分かる。
表11から分かるように、実施例7と実施例29と比較例11とは、基材9の材料のみが異なる。基材9の材料がCOPである実施例7と、基材9の材料がポリエステル樹脂である実施例29とは、基材9の材料がポリイミド樹脂である比較例11に比べて、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高いことが分かる。
また、表4から分かるように、実施例11から実施例13のうち、中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高く、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より低い実施例は、実施例11である。実施例11は、実施例12と実施例13とに比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを両立できる。
また、表5から分かるように、実施例14から実施例16のうち、中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高く、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より低い実施例は、実施例14である。実施例14は、実施例15と実施例16とに比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを両立できる。
表4から分かるように、実施例11から実施例13のうち、中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が0.05MPa超過、0.15MPa以下である実施例は、実施例11と実施例13とである。実施例11と実施例13とは、実施例12に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを並立できる。
また、表5から分かるように、実施例14から実施例16のうち、中間粘着層19の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が0.05MPa超過、0.15MPa以下である実施例は、実施例14と実施例16とである。実施例14と実施例16とは、実施例15に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを並立できる。
さらに、表8から分かるように、実施例21と実施例22とのうち、第1基材25が第2基材26より厚い実施例は、実施例22である。実施例22は、実施例21に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを両立できる。
表8から分かるように、実施例21と実施例22とのうち、第1基材25が第2基材26より薄い実施例は、実施例21である。実施例21は、実施例22に比べて、単位厚み当たりのペン衝撃吸収率が高いことが分かる。
表9から分かるように、実施例24と実施例25とのうち、第1基材25が第2基材26より薄い実施例は、実施例25である。実施例25は、実施例24に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、高い耐折り曲げ性とを両立できる。
表11から分かるように、実施例7と、実施例29と、比較例11との基材9の引張弾性率Eは、それぞれ、3GPaと、0.13GPaと、7GPaとである。比較例11の基材9の引張弾性率Eは、7GPaと過度に高い。そのため、実施例1および実施例29は、比較例11に対して、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率に優れる。
さらに、実施例1と、実施例29と、比較例11との基材9の材料は、それぞれ、COPと、ポリエステル樹脂と、ポリイミド樹脂である。基材9の材料がCOPである実施例1、および、基材9の材料がポリエステル樹脂である実施例29は、基材9の材料がポリイミド樹脂である比較例11に対して、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率に優れる。