JP7064551B2 - 熱交換器用伝熱管、および伝熱管とこれを保持する保持部材とを備えてなる熱交換器 - Google Patents

熱交換器用伝熱管、および伝熱管とこれを保持する保持部材とを備えてなる熱交換器 Download PDF

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本発明は、熱交換器用伝熱管、および伝熱管とこれを保持する保持部材とを備えてなる熱交換器に関する。
近年、火力発電により生じる排ガスから廃熱を回収し、その熱を再利用するために熱交換器が用いられている。
熱交換器は、金属等の熱伝導率に優れる材料からなる伝熱管に熱媒を通し、伝熱管外側に水蒸気等の高温ガスを接触させることにより、高温ガスの熱エネルギーを熱媒に移動させて熱交換を行う装置である。高温ガスは伝熱管に接触することにより冷却されるため、ガスが結露点まで冷却されると伝熱管の外側表面にはガスが液化した液滴(例えば水)が付着し、伝熱管を腐食させることがある。そのため、伝熱管やこれを保持する保持部材には、ステンレス等の耐食性金属が使用されている。
近年、火力発電に使用する石炭の種類によっては排ガス中に多くの硫黄成分含まれている場合がある。そのような排ガスを熱交換して冷却する際に伝熱管表面で結露した液滴は硫酸成分を含むことになるため、金属製の伝熱管の外表面は激しく腐食される。このような問題を解決するため、伝熱管および伝熱管を保持する保持部材に、より耐食性の高い金属、例えばハステロイといった耐食性の高い金属が用いることが提案されている(特許文献1等)。
特開2002-364820号公報
しかしながら、排ガスが液化した際の液滴中の硫酸濃度が高い場合、たとえ上記のような耐食性の金属を用いても経時的には伝熱管の腐食は進行するため、一定の周期で腐食した伝熱管を交換する必要があった。そのため、発電所において熱交換器の伝熱管を交換する作業の頻度を低減したいという希求が依然として存在していた。本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた耐腐食性を有する伝熱管、および該伝熱管を備えてなる熱交換器を提供することであり、熱交換器の伝熱管交換頻度をより一層低減することをその目的としている。
すなわち、本発明の一態様によれば、
内部を低温の流体、外部を高温のガスが流れる熱交換器用伝熱管であって、
前記高温のガスが、前記伝熱管に接触する際に、前記高温ガスと前記低温の流体との間で熱交換が行われ、
少なくとも前記伝熱管の、前記高温のガスと接触する部分が、フッ素樹脂により形成された熱交換器用伝熱管が提供される。
本発明の態様においては、前記伝熱管は、フッ素樹脂を被覆した金属管であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記伝熱管が、フッ素樹脂チューブであることが好ましい。
本発明の他の態様によれば、
ガラス繊維織布に前記フッ素樹脂のディスパージョンを含浸させる工程と、
前記乾燥後、前記ガラス繊維織布を乾燥する工程と、
前記乾燥後、前記ガラス繊維織布を焼成(加熱)する工程と、
前記焼成後、前記ガラス繊維織布を冷却し、複合シートを得る工程と、
前記複合シートを芯金に巻き付ける工程と、
前記芯金に巻き付けた複合シートを焼成(加熱)する工程と、を含んでなる熱交換器用伝熱管の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
上記伝熱管と、
腐食性ガスと接触する保持部材であって、前記伝熱管を挿通させ、保持する孔を備えた保持部材と、
を備えた熱交換器であって、
少なくとも前記保持部材の、前記腐食性ガスと接触する部分が、フッ素樹脂により形成された熱交換器が提供される。
本発明の他の態様においては、前記保持部材が、フッ素樹脂を被覆した金属線からなることが好ましい。
上記態様においては、前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン重合体(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ビニリデンフルオライド重合体(PVDF)およびクロロトリフルオロエチレン重合体(PETE)からなる群より選択されることが好ましい。
本発明による伝熱管、およびこの伝熱管を保持する保持部材において、少なくともこれらの腐食性ガスと接触する部分が、フッ素樹脂により形成されていることによって、耐食性およびコスト面が改善される。
本発明による熱交換器の一具体例の斜視図である。 本発明による伝熱管の一具体例の斜視図である。 本発明による熱交換器に用いる保持部材の一具体例の斜視図である。 本発明による熱交換器に用いる保持部材の一具体例の斜視図である。 本発明による熱交換器に用いる保持部材の一具体例の斜視図である。 本発明による熱交換器に用いる保持部材の一具体例の斜視図である。
<熱交換器>
本発明による熱交換器は、少なくとも腐食性ガスと接触する部分がフッ素樹脂により形成された伝熱管と、この伝熱管を挿通させ、保持する孔を備えた保持部材と、を備えてなる。このような本発明による熱交換器の一具体例としては、図1に示す装置を挙げることが出来る。図1に示されるように、伝熱管1は、保持部材2が備える孔3を挿通し、保持される。
<伝熱管>
本発明による伝熱管は、少なくとも腐食性ガスが接触する部分がフッ素樹脂により形成される。このような伝熱管としては、例えば、金属管をフッ素樹脂により被覆したもの、フッ素樹脂と、ガラス繊維と、を含んでなる複合材料により形成させたもの、およびフッ素樹脂チューブなどが挙げられる。以下、これらの態様について説明する。なお、伝熱管は、直状管であっても、曲げ加工を施したU字管であってもよい。
本発明の一態様において、伝熱管は、図2に示すように、その表面にフッ素樹脂による被覆4を備える金属管5である。フッ素樹脂による被覆の厚みは、0.3~1.0mmであることが好ましく、0.3~0.6mmであることがより好ましく、0.4~0.5mmであることがさらに好ましい。フッ素樹脂による被覆の厚みが上記数値範囲内であれば、伝熱管の高い伝熱性能を維持しながら、腐食性の高いガスが伝熱管表面に接触した場合であっても伝熱管内部の金属管が腐食するのを有効に防止することができる。
金属管のフッ素樹脂による被覆は、従来公知の方法を用いて行うことができる。例えば、フッ素樹脂を押出成形することにより、金属管を被覆したり、フッ素樹脂シートを金属管に融着加工することにより被覆を行ったり、フッ素樹脂粉末を粉体静電塗装により金属管表面に吹き付けて付着させ、次いで焼付けを行ったり、あるいはロトライニング法(回転成形法)を行うことによって被覆を行うことができる。
押出成形により被覆を形成する場合、例えば、フッ素樹脂としてテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を金属管表面に溶融押出成形し、金属管の外周に被覆を形成して、伝熱管を得ることができる。
また、例えば、所定幅のフッ素樹脂シートを金属管の表面にシートの一部が重なり合うように巻き付けておき、溶接装置内において焼成(加熱)・加圧することにより、重なりあったシートどうしを融着させることにより、金属管表面にフッ素樹脂が被覆された伝熱管を得ることができる。フッ素樹脂シートとしては、スカイブ加工により製造されたものと切削加工により製造されたものとが存在するが、シート表面の平滑性の観点からは、切削加工により製造されたフッ素樹脂シートを使用することが好ましい。
フッ素樹脂により被覆された金属管の外径は、20~30mmであることが好ましく、22~28mmであることがより好ましく、24~26mmであることがさらに好ましい。また、内径は、18.0~29.4mmであることが好ましく、20.4~27.4mmであることがより好ましく、22.8~25.2mmであることがさらに好ましい。外径および/または内径が上記数値範囲内であれば、伝熱管は、良好な熱伝導率を有する。
金属管の被覆に用いるフッ素樹脂としては、例えば、前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン重合体(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ビニリデンフルオライド重合体(PVDF)およびクロロトリフルオロエチレン重合体(PETE)などが挙げられ、これらの中でもPTFEと同様最高使用温度を有し、且つ連続成形可能という理由からPFAを用いることが好ましい。
本発明の一態様において、伝熱管は、フッ素樹脂と、ガラス繊維と、を含んでなる複合材料により形成されたものである。具体的には、ガラス繊維織布にフッ素樹脂のディスパージョンを含浸させた複合シートにより形成されたものであることが好ましい。なお、本発明において、複合シートとは、ガラス繊維織布にフッ素樹脂ディスパージョンを含浸させたもの、およびガラス繊維織布の片面のみにフッ素樹脂ディスパージョンを含浸させ、他方の面にフッ素樹脂シートを積層させたものを包含する。また、複合シートは、単層シートであっても、積層シートであってもよい。
伝熱管に用いられる複合シートは、例えば、ガラス繊維織布にフッ素樹脂ディスパージョンを含浸させ、乾燥、焼成(加熱)、冷却を行うことにより、またはガラス繊維織布の片面にフッ素樹脂ディスパージョンを含浸させ、乾燥、焼成(加熱)、冷却を行い、次いで、織布の他方の面にフッ素樹脂シートを積層させることにより作製することができる。
ガラス繊維織布としては、目付けが、480~546g/m2の平織りまたは綾織りのものであることが好ましい。また、複合シートの厚みは、0.22~0.26mmであることが好ましく、0.23~0.25mmであることがより好ましく、0.24mmであることが最も好ましい。
フッ素樹脂シートをガラス繊維織布に積層させる場合、フッ素樹脂シートは最外層に配置される。例えば、フッ素樹脂ディスパージョンを含浸したガラス繊維織布の面に、複数枚のガラス繊維織布を積層させた積層シートを作製し、フッ素樹脂シートをこの積層シートの最外層となるように積層する。このフッ素樹脂シートの厚みは、1.5~3mmであることが好ましい。
次いで、得られた単層または多層の複合シートを芯金に巻き付け、中空の管状体を形成させる。複合シートとして、フッ素樹脂シートをガラス繊維織布に積層させたものを用いる場合、フッ素樹脂シートが最外層となるように芯金に巻き付けることが好ましい。
芯金に巻き付けた複合シートを焼成(加熱)、冷却することにより、フッ素樹脂と、ガラス繊維と、を含んでなる複合材料により形成された伝熱管を得ることができる。焼成温度としては、特にこれに限定されるものではないが、320~400℃が好ましく、320~380℃がより好ましい。
得られた伝熱管の厚みは、8~11mmであることが好ましく、9~11mmであることがより好ましく、10mmであることが最も好ましい。複合材料により形成された伝熱管の厚みが上記数値範囲内であれば、伝熱管の高い伝熱性能を維持することができる。
複合材料により形成された伝熱管の外径は、55~65mmであることが好ましく、58~63mmであることがより好ましく、60mmであることが最も好ましい。また、内径は、35~45mmであることが好ましく、38~42mmであることがより好ましく、40mmであることが最も好ましい。外径および/または内径が上記数値範囲内であれば、伝熱管は、良好な強度を有する。
ガラス繊維織布を含浸させるフッ素樹脂、およびフッ素樹脂シートを形成するフッ素樹脂としては、上記したものを用いることができる。上記フッ素樹脂の中でも、耐薬品性が高いという理由からPTFEを用いることが好ましい。
複合シート中のフッ素樹脂の含有量は、59~61質量%であることが好ましく、60質量%であることが最も好ましい。フッ素樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、製品性能を満足する。
本発明の一態様において、伝熱管はフッ素樹脂チューブである。フッ素樹脂チューブの厚みは、0.5~2.0mmであることが好ましく、0.7~1.5mmであることがより好ましく、0.9~1.1mmであることがさらに好ましい。フッ素樹脂チューブの厚みが上記数値範囲内であれば、伝熱管の高い伝熱性能を維持することができる。
このフッ素樹脂チューブは、例えば、以下の方法により得ることができる。
一実施形態において、フッ素樹脂チューブは、平均粒子径が好ましくは200~650μm、より好ましくは400~600μmのPTFEのファインパウダーをペ-スト押出成形し、成形体を得る工程と、成形体を乾燥させる工程と、乾燥させた成形体を焼結(加熱)する工程とを含む方法により得ることが出来る。ペ-スト押出の際、PTFEファインパウダーには、押出助剤を加えることが好ましい。
押出助剤としては、用いるフッ素樹脂粉末の表面を濡らすことができ、容易に乾燥除去することができるものであれば制限はない。例えば、ソルベントナフサ、ホワイトオイル、炭素数6~12の流動パラフィン(例えば、ジャパンエナジー(株)社製、商品名:カクタスノルマルパラフィンN-10)などを用いることができる。しかしながら、押出加工時ひおいては揮発しにくく、押出後は、容易に乾燥除去することができるという観点から、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)およびパーフルオロトリブチルアミンなどのフッ素系溶剤を用いることが好ましい。
押出助剤は、13~22質量%添加することが好ましい。押出助剤の使用量が上記数値範囲内であれば、押出成形性を良好に保つことができる。乾燥温度として、100~250℃が好ましく、130~200℃がより好ましい。焼結温度として、330~450℃が好ましく、360~420℃がより好ましい。また、乾燥工程と焼結工程との間に延伸工程を行っても良い。
一実施形態において、フッ素樹脂チューブは、平均粒子径が好ましくは10~900μm、より好ましくは20~800μmのPTFEモールディングパウダーを、圧縮成形法またはラム押し出し成形法により成形する工程と、オーブンで焼成(加熱)する(例えば330~400℃で1~96時間)ことにより成形体を得る工程と、得られた成形体をスカイブ加工または切削加工することにより、シート状の成形体を得る工程と、シート状の成形体をチューブ状に成形する工程とを含む方法により得ることが出来る。シート状の成形体をチューブ状に成形する方法としては、単にシート状の成形体の端部を接着または融着する方法や、樹脂シートを金属芯に巻き付け、チューブ状に融着加工した後に金属芯を抜き取るという方法を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
ここで平均粒子径とは、平均粒子径は、レーザー回折散乱法による粒度分布測定装置で測定される平均粒子径であり、体積基準により算出した体積平均粒子径である。粒度分布測定装置としては、ベックマン・コールター(株)製のコールターLS230などを使用することができる。また、PTFEモールディングパウダーを成形、焼成(加熱)することにより得られた成形体にドリルなどで穴を開け、これをチューブとして用いることも出来る。
一実施形態において、フッ素樹脂チューブは、PFAまたはFEPなどのフッ素樹脂を加熱溶融する工程と、加熱溶融したフッ素樹脂をチューブ状に押出成形する工程と、を含む方法により得ることが出来る。
一実施形態において、フッ素樹脂チューブは、PFAまたはFEPなどのフッ素樹脂を加熱溶融する工程と、加熱溶融したフッ素樹脂を金属線の外周に被覆させるように押し出す工程と、この金属線を引き抜く工程とを含む方法により得ることが出来る。
一実施形態において、フッ素樹脂チューブは、PFAまたはFEPなどのフッ素樹脂を加熱溶融する工程と、加熱溶融したフッ素樹脂をスクリュー押出しする工程と、フッ素樹脂をヒーターを内蔵した金型で加熱する(例えば、PFAの場合、360~390℃で1~2分)ことにより成形体を得る工程と、得られた成形体をスカイブ加工(切削加工)することにより、シート状の成形体を得る工程と、シート状の成形体をチューブ状に成形する工程とを含む方法により得ることが出来る。また、スカイブ加工または切削加工を施すことなく、成形体にドリルなどで穴を開け、これをチューブとして用いることも出来る。
上記方法以外にも、ロトモールド法等を利用してフッ素樹脂チューブを得ることが出来る。
フッ素樹脂チューブの外径は、ストレートタイプの場合、4~16mmであることが好ましく、6~14mmであることがより好ましく、8~12mmであることがさらに好ましい。また、内径は、2~14mmであることが好ましく、4~12mmであることがより好ましく、6~8mmであることがさらに好ましい。外径および/または内径が上記数値範囲内であれば、圧力損失の影響を受けにくく、伝熱管は良好な耐圧強度を有する。例えば、フッ素樹脂チューブの外径10mm、内径8mmの場合の破壊圧力は常温で2.45MPaであり、200℃の環境下でも0.61MPaであるため、熱伝導率に起因する肉厚の破壊圧力の関係から適宜外径と内径の寸法を選定する。
フッ素樹脂チューブを形成するフッ素樹脂としては、上記したものを用いることができ、上記フッ素樹脂の中でも、耐熱性という理由からPTFEまたはPFAを用いることが好ましい。
<保持部材>
本発明による熱交換器が備える保持部材は、伝熱管を挿通させ、保持する孔を備え、少なくとも腐食性ガスと接触する部分がフッ素樹脂により形成される。このような保持部材としては、例えば、フッ素樹脂により被覆した金属線を用いて作製したもの、フッ素樹脂と、ガラス繊維と、を含んでなる複合材料により作製したものなどが挙げられる。以下、これらの態様について説明する。
本発明の一態様において、保持部材は、フッ素樹脂により被覆された金属線により形成される。フッ素樹脂による被覆の厚みは、0.2~2.0mmであることが好ましく、0.4~1.4mmであることがより好ましく、0.6~0.8mmであることがさらに好ましい。
金属線の形状としては、伝熱管を保持することができる形状であれば特に制限されるものではないが、図3に示すようなフッ素樹脂により被覆された網目状のもの、図4に示すように、網目全体にフッ素樹脂による被覆を施した後、適当な箇所に穴加工を施したもの、図5および6に示すような一端が開放されたものなどを用いることができる。また、孔の形状、大きさなどは、伝熱管の外径に応じ、適宜決定することができる。
金属線の被覆に用いるフッ素樹脂としては、上記したものを用いることができ、上記フッ素樹脂の中でも、耐熱性という理由からPTFEおよびPFAを用いることが好ましい。
本発明の一態様において、保持部材は、フッ素樹脂と、ガラス繊維と、を含んでなる複合材料により形成されたものである。具体的には、ガラス繊維織布にフッ素樹脂のディスパージョンが含浸された複合シートにより形成されたものであることが好ましい。
保持部材に用いられる複合シートは、ガラス繊維織布にフッ素樹脂ディスパージョンを含浸させ、乾燥、焼成(加熱)、冷却を行うことにより、またはガラス繊維織布の片面にフッ素樹脂ディスパージョンを含浸させ、乾燥、焼成(加熱)、冷却を行い、次いで、他方の面にフッ素樹脂シートを積層させることにより作製することができる。ガラス繊維織布としては、目付けが、480~546g/m2の平織りまたは綾織りのものであることが好ましい。また、複合シートの厚みは、0.22~0.26mmであることが好ましく、0.23~0.25mmであることがより好ましく、0.24mmであることが最も好ましい。
次いで、高圧水などにより、得られた単層または多層の複合シート上に、伝熱管を挿通させ、保持する孔を形成させる。孔の形状、大きさなどは、伝熱管の外径に応じ、適宜決定することができる。
孔を備えた複合シートを焼成炉などにより焼成(加熱)、冷却することにより、フッ素樹脂と、ガラス繊維と、を含んでなる複合材料により形成された保持部材を得ることができる。焼成温度としては、特にこれに限定されるものではないが、320~400℃が好ましく、320~380℃がより好ましい。複合材料により形成された保持部材の形状としては、例えば、図1に示すようなものなどが挙げられる。
ガラス繊維織布をディスパージョンさせるフッ素樹脂、およびフッ素樹脂シートを形成するフッ素樹脂としては、上記したものを用いることができる。上記フッ素樹脂の中でも、耐熱製耐薬品性が高いという理由からPTFEを用いることが好ましい。
複合シート中のフッ素樹脂の含有量は、51~55質量%であることが好ましく、53質量%であることが最も好ましい。フッ素樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、製品性能を満足する。
実施例101
金属管(外径25mm、内径23mm、厚さ1.0mm、長さ5m)の外表面に、360℃で加熱溶融したPFA(ダイキン工業社製、商品名:AP-230)を押出被覆し、次いで冷却することにより、厚さ0.4mmの被覆を備えた伝熱管1を得た。
実施例102
ガラス繊維織布として、1040mm×30mm、日東紡社製のWLA18K(商品名)を用意した。このガラス繊維織布にPTFE(旭硝子社製、商品名:AD916)のディスパージョン溶液を用意し、ガラス繊維織布へ塗布し、含浸させた後、150℃で2~3分間乾燥し、次いで、焼成炉により370~400℃で2分間焼成(加熱)し、次いで、冷却することにより、ガラス繊維織布100質量部に対して、PTFE含有量60質量部の複合シートを得た。次いで、この得られた複合シートを外径40mmの芯金に巻き付け、330℃、8時間焼成(加熱)することにより、外径60mm、内径40mm、厚さ10mm、長さ2.25mの伝熱管2を得た。
実施例103
平均粒子径が400~600μmのPTFEファインパウダー(ダイキン工業社製、商品名:F-302)1kgに押出助剤(エクソンモービル社製、商品名:アイソパーE)を13~22質量%となるように添加し、混合し、30℃で24時間放置し、熟成した。
これを予備成形した後、未焼成PTFEチューブを押出した。次いで、このチューブを140℃で乾燥することにより、押出助剤を除去した。さらに、400°で焼成(加熱)し、外径8mm、内径6mm、厚さ1mm、長さ100mの伝熱管3を得た。
比較例101
実施例101において用いた金属管に被覆を施すことなく、伝熱管4とした。
実施例201
網目状の金属線(網目の大きさ:27.0mm×27.0mm)の外表面に、350℃で加熱溶融したPFA(ダイキン社製、商品名:ネオフロンPFAフィルム)で被覆し、次いで冷却した。次いで、さらに、被覆に対し、穴加工を施し、厚さ0.5mmの被覆を備えた保持部材1を得た。
実施例202
ガラス繊維織布として、幅1040mm×長さ30mm、日東紡社製のWLA18K(商品名)を用意した。このガラス繊維織布にPTFE(旭硝子社製、商品名:AD916)のディスパージョン溶液を用意し、ガラス繊維織布へ塗布した後、150℃で2~3分間乾燥し、次いで、焼成炉により370~400℃で2分間焼成(加熱)し、次いで、冷却することにより、PTFE含有量60質量部の複合シート材を得た。次いで、複合シート材を幅1000mm、長さ3000mmに裁断して9枚を重ね合わせ380°で0.1時間加圧プレスによって、加熱および冷却することにより、厚さ2mmの保持部材2を得た。次いで、高圧水により、保持部材上に、63mmの孔を、水平方向に14個、高さ方向に40個、計560個形成させた。
比較例201
実施例201において用いた網目状の金属線に被覆を施すことなく、保持部材3とした。
耐腐食性試験
図1に示すように伝熱管1~4ならびに保持部材1および3を用いて熱交換器を作製した。この熱交換器を表1の条件下、3月間の実用試験を行った。
Figure 0007064551000001
3月間の運転後の伝熱管1~4ならびに保持部材1および3の状態を以下記の評価基準で目視確認した。評価結果を表2に示す。
評価基準
A:表面の腐食がほとんどない
B:表面の腐食が少しある
C:表面の腐食が多くある
D:表面の腐食がひどく、使用不可
Figure 0007064551000002
1:伝熱管
2:保持部材
3:孔
4:フッ素樹脂による被覆
5:金属管

Claims (3)

  1. フッ素樹脂含有複合シートで金属管を被覆した熱交換器用伝熱管を製造する方法であって、
    ガラス繊維織布にフッ素樹脂のディスパージョンを含浸させる工程と、
    前記フッ素樹脂のディスパージョンを含浸させたガラス繊維織布を乾燥する工程と、
    前記乾燥後、前記ガラス繊維織布を焼成する工程と、
    前記焼成後、前記ガラス繊維織布を冷却し、複合シートを得る工程と、
    前記複合シートを金属管の表面に巻き付ける工程と、
    前記複合シートを巻き付けた金属管を焼成する工程と、
    を含んでなることを特徴とする、熱交換器用伝熱管の製造方法。
  2. 前記複合シート中のフッ素樹脂の含有量が59~61質量%である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ガラス繊維織布は、目付けが480~546g/mの平織または綾織の織布である、請求項1または2に記載の方法。
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