JP2005007841A - 耐食性の良好なフッ素樹脂ライニング方法 - Google Patents
耐食性の良好なフッ素樹脂ライニング方法 Download PDFInfo
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Abstract
【目的】水蒸気や塩化水素等の透過性ガスを取扱う設備・装置において、耐食性の良好なフッ素樹脂ライニング方法を提供する。
【構成】化学装置を構成する金属材の表面に、フッ素樹脂コーティング層と、その上のフッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングから構成された被覆であって、前記フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルムとの間に微少な間隙を有することを特徴とするフッ素樹脂ライニング方法である。
【効果】比較的安価で簡便なフッ素樹脂のコーティングを利用して、腐食性物質に対し高い耐食性を示す被覆を提供することができる。本発明のライニング方法は、製造が比較的容易で取扱い易く、維持管理も容易である。
【選択図】 図1
【構成】化学装置を構成する金属材の表面に、フッ素樹脂コーティング層と、その上のフッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングから構成された被覆であって、前記フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルムとの間に微少な間隙を有することを特徴とするフッ素樹脂ライニング方法である。
【効果】比較的安価で簡便なフッ素樹脂のコーティングを利用して、腐食性物質に対し高い耐食性を示す被覆を提供することができる。本発明のライニング方法は、製造が比較的容易で取扱い易く、維持管理も容易である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素樹脂を金属に被覆して耐食性を向上させる化学装置のライニング方法に関する。詳しくは、化学工業、石油化学工業等における塔・槽類、配管、熱交換器、輸送コンテナー、ローリー、ポンプ、バルブ等に施されるフッ素樹脂のライニング方法を改善し、従来に比べ良好な耐食性が得られるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
腐食性物質を扱う設備・装置に対し、耐食性を付与する目的で該設備・装置を構成している金属材の表面に、各種のコーティングあるいはライニング等の処理が一般的に行われている。これらは、ゴムライニングやグラスライニングおよびフッ素樹脂ライニングとしてよく知られている。
【0003】
これらのうちで、フッ素樹脂ライニングは、耐食性が良好で、腐食性の強い物質を扱う設備・装置によく採用されている。フッ素樹脂ライニングには、接着系のコーティング(焼き付けライニング)、接着シートライニングおよび非接着系のルーズシートライニング、金型成形等があり、ライニングを施す設備や装置に必要な耐食性、規模や大きさ、経済性等を考慮し、これらのいずれかの方法が採られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3312956号明細書(第2頁、3欄20〜28行)
【特許文献2】
特公昭63−11147号公報(第1頁、1欄2〜8行)
【0005】
これらの中でフッ素樹脂コーティング処理は、プライマー塗装、静電粉体塗装や回転焼成処理により金属材にフッ素樹脂層を密着させる方法ではあるが、せいぜい0.1〜0.3mm程度の厚さの被覆であるため、軽度の耐食処理として位置づけられる。また、金型成形は、成形金型を用いて押出しや圧縮充填を行うため、溶融時の粘度が比較的低いPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)をはじめとするPTFE(四フッ化エチレン樹脂)以外の側鎖を持つフッ素樹脂を用いて、小径配管、配管用継ぎ手やバルブ、ポンプ類に対して行われている。
【0006】
これに対し、化学設備の中で塔・槽類や大口径配管等にはシートライニングが行われることが多く、接着シートライニングはフッ素樹脂フィルムと金属材との間に、接着性を増すためのグラスクロス層やエポキシ系やゴム系を主体とした接着剤層を介在させている。このため、接着シートライニングでは、物理的強度や耐食性は高いものの比較的高価で製造に手間のかかる被覆法と考えられる。一方、ルーズシートライニングは、フッ素樹脂フィルムと金属材との間に接着処理を施さないため、安価に製造が可能であり、容易にフッ素樹脂の高い耐食性が得られるため、広範に利用されている。
【0007】
一般的に腐食性物質の金属に対する作用は、ガス状態では腐食性が小さく、凝縮し液体となって金属に接触した場合に強い腐食性を示すことが多い。例えば塩化水素は、露点以上の温度では腐食性が小さく、鉄材であっても化学設備・装置の材料として十分な耐性を示すが、露点以下になると激しく反応し腐食される。
【0008】
一方、フッ素樹脂には水蒸気や塩化水素のような低分子物質に対し透過性があり、設備の加熱・冷却の繰り返しや放熱に伴う金属材表面での腐食性物質の凝縮による金属材の腐食が問題となる。通常、これらに対する対策として、樹脂ライニング層を透過した腐食性ガスを放出させるためのベントホールを設けたり、保温を施すことで、金属材表面でのガスの凝縮を低減すること等が行われている。さらに、ベントホール部では、腐食性ガスの凝縮が起き易いことから、ソケットを設け、腐食性ガスを保温部分の外側に逃がすことや、減圧にしてより効果的にガス抜きを行う工夫等が施されている。
【0009】
これらのガスの透過速度としては、密度2.17g/mlのPTFE樹脂について、100℃水蒸気に対しおおよそ25g/100in2/d/(atm/mil)、30℃塩化水素に対しおおよそ0.3g/100in2/d/(atm/mil)が報告されており(「腐食・摩耗と最新のライニング技術」3−9〜3−10ページ、平成14年3月発行、(社)神奈川県高圧ガス協会保安技術情報委員会編集、他)、水蒸気の透過性が高いと言われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
腐食性物質を取扱う場合であっても、設備・装置の保温が適切に行われ、安定に稼働している場合は、ベントホールからの透過ガスの放散が良好に行われ金属材の表面での透過ガスの凝縮はほとんど起きないが、保温が不確実であったりして金属材の表面が腐食性ガスの露点以下になると腐食性物質の凝縮が起こり、腐食が発生する。
【0011】
また、設備の点検や操業上の理由で設備を停止する場合がある。停止した設備は放熱により徐々に冷却し、停止が長時間になると金属材とライニングの間隙に存在する水蒸気と腐食性ガスの露点に達し、これらの物質が凝縮し金属材の腐食が起こる。運転を再開し設備の温度が上昇すると凝縮した腐食性ガスの蒸発が起こり腐食の進行は停止するが、加熱と冷却の繰り返しが頻繁に行われた場合には、致命的な腐食にまで進行することがある。ライニングを施した設備で金属材の腐食が進行する多くの例は、この加熱と冷却の繰り返しによると考えられる。
【0012】
本発明では、これらの水蒸気や塩化水素等の透過性ガスを使用する設備・装置にフッ素樹脂ライニングを施すにあたり、従来の接着シートライニングのように多数の工程を要する被覆を用いることなく、一般の化学設備・装置で多用されているルーズシートライニングを利用し、設備の停止が繰り返される場合であってもより耐食性が高いフッ素樹脂のライニング方法について検討し、本発明を開発した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、化学装置を構成する金属材の表面に、フッ素樹脂コーティング層と、その上のフッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングから構成された被覆であって、前記フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルムとの間に微少な間隙を有することを特徴とする耐食性の良好なフッ素樹脂ライニング方法である。
上記のフッ素樹脂ライニング方法においては、フッ素樹脂コーティング層の厚さは0.05〜0.4mm、フッ素樹脂フィルムの厚さは1.0〜10mmであることが望ましい。
また、本発明で対象とする化学装置とは、配管類、塔あるいは槽であり、本発明のフッ素樹脂ライニングを施すことにより、良好な耐食性を付与することができる。
【0014】
【発明の実施の形態、作用】
前述のように透過性ガスによる腐食の問題は、設備・装置を構成する金属材の表面での透過ガスの凝縮に起因する。このため、設備の保温処理に見られるように、金属材の腐食性を低減するためには、金属材表面で透過ガスの凝縮が起こらないようにすることが重要である。また、樹脂ライニング層を透過する物質は、樹脂を物理的に浸透する物質であり、分子状で透過していると考えられ、腐食性物質はガス状で浸透し露点以下の温度で水と共に凝縮する。
このため、本発明では金属材表面をごく薄いフッ素樹脂のコーティング(被覆)層で覆い、その上にフッ素樹脂のルーズシートライニング施すことで、フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルム(シートライニング)との間に微少な間隙を設け、シートライニングを腐食性ガスが透過し凝縮しても、金属材表面への直接的な接触がないようにとの考えに基づいて本発明を開発した。
【0015】
金属材の表面に形成するフッ素樹脂コーティングとしては、従来から行われるようなプライマー塗装、静電粉体塗装や回転成形等の後、必要により焼成を経て金属材の表面にごく薄く被覆される。このコーティング層の膜厚としては、金属材と凝縮液の接触を遮断する目的からシートライニングより十分薄い0.05〜0.4mm程度でよい。尚、コーティング層におけるピンホールの発生を確実に抑制するためには0.2〜0.4mm程度の膜厚がより好ましい。
【0016】
このフッ素樹脂コーティング層の上に、さらにフッ素樹脂フィルムのライニングを行う。ライニングはルーズシートライニングでよく、用いるフッ素樹脂フィルムの膜厚は、腐食性ガスの透過性を考慮して1.0〜10mmが好ましい。この膜厚は通常のシートライニングにおいて用いられる程度の厚みで十分である。
【0017】
フッ素樹脂コーティング層の上に施すルーズシートライニングは、ベントホールからのガス抜きを確実にするためのわずかな間隙を設けることが好ましいが、ルーズシートライニングであるため特に間隙を考慮しない場合であっても、フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルム(シートライニング)との間に微少な間隙を得ることができる。
このため、前記の微少な間隙が存在するので、装置の内側から外壁に向かう熱移動に抵抗を生じ、通常運転ではベントホールから透過ガスが放出されるが、フッ素樹脂のコーティング層は金属材に近い温度であるため、万一母材が放熱により露点付近の温度になりライニングを透過した腐食性ガスおよび水蒸気がコーティング層の表面で凝縮しても、腐食性物質の液相状態が形成されるので、気体としての金属材表面への腐食性物質の浸透が抑制されるため、耐食性が飛躍的に改善される。
【0018】
特に、運転を停止し設備・装置が冷却された場合であっても、腐食性ガスの凝縮はフッ素樹脂のコーティング層とライニング層の間の間隙で起こり、母材への浸食は発生しにくい。
【0019】
前述のように、フッ素樹脂層の透過は分子サイズで生起し、水分子の透過速度は他の腐食性物質に比べ大きく、腐食性物質が装置内で水分と共存している場合の透過は常に水分子の透過と同時に起きると考えられる。
本発明のフッ素樹脂のライニング方法による設備・装置が用いられる環境は、前述の塩化水素または塩酸の他、フッ化水素またはフッ化水素酸、硫化水素、硝酸等の酸系や水酸化ナトリウム等のアルカリ系、強酸化剤系等の多くの腐食性物質を扱う場合に適している。
【0020】
図1に、金属材の表面に本発明のフッ素樹脂ライニング被覆を行った装置の説明図を示す。
【0021】
次に図面を用いて、本発明の内容を詳述する。金属材1の表面にフッ素樹脂コーティング層2を形成した後、さらにその上にフッ素樹脂フィルムのシートライニング層4を被覆するが、この際に肝心なことはフッ素樹脂コーティング層2とフッ素樹脂フィルム4との間に微少な間隙3を設けるようにすることである。
普通、装置の内側となる腐食環境側Aから、外部環境側Bの方向に腐食性物質が移動しフッ素樹脂フィルム4を透過しても、フッ素樹脂コーティング層2が存在するために、間隙3では直接に腐食性物質が金属材に接触することがなく腐食が防止される。
【0022】
また、通常は装置の運転時には、図示していないベントホールに前記の微少な間隙3が通じており、ベントホールからガス抜きが行われているために、腐食性物質がより少なくなるので、一層の腐食抑制が図られることになる。
【0023】
【実施例】
次に比較例をまず説明し、その後で本発明の実施例を示す。
【比較例】
20%塩酸の蒸留塔(φ500mm×H10m)を、前記蒸留塔の内側に厚さ2mmのフッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングを施した設備で製作し、約140℃で蒸留塔の運転を行った。運転開始から1.5年程度を経過した頃から炭素鋼の母材に腐食が認められるようになり、この蒸留塔は2年で交換することになった。
【0024】
【実施例1】
比較例に示した上記塩酸の蒸留塔設備の代替に際し、金属材の被覆を本発明のフッ素樹脂ライニング方法で行った。フッ素樹脂プライマーを塗布した後、焼付けて厚さ約0.3mmのフッ素樹脂コーティングを施した後、比較例と同様に2mm厚フッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングを施した設備を製作し、運転を再開した。現在3年以上が経過しているが、設備は正常に稼働し、外見からは金属材に腐食の兆候は見られていない。
【0025】
【実施例2】
比較例と同様の20%塩酸蒸留設備(ただし、塔径はφ600mm)を本発明のライニング方法で実施例1と同じに厚さ0.3mmのフッ素樹脂コーティングを施した後、実施例1と同様の厚さ2mmのフッ素樹脂フィルムによるルーズシートライニングを施した設備を製作した。現在、定期点検や若干の設備上の理由による操業停止を経ながら約140℃での運転を続け、6年間以上経過しているが金属材に腐食は見られず、正常に稼働している。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、比較的安価で簡便なフッ素樹脂のコーテイング方法で、塩化水素や塩酸に代表される従来コーティング層を透過して生起する腐食の問題が頻繁であった腐食性物質に対し高い耐食性を示す被覆を提供することができた。
本発明のフッ素樹脂ライニング方法では、フッ素樹脂のコーティング層とライニング層を形成する方法として、これまでの常法が適用できるため、製造は比較的容易で取扱い易く、維持管理についても容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属材表面に本発明のフッ素樹脂ライニング被覆を行った装置の説明図である。
【符号の説明】
1 金属材、 2 フッ素樹脂コーティング層、 3 微少間隙、
4 フッ素樹脂フィルムのシートライニング層、
A 腐食環境側、 B 外部環境側
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素樹脂を金属に被覆して耐食性を向上させる化学装置のライニング方法に関する。詳しくは、化学工業、石油化学工業等における塔・槽類、配管、熱交換器、輸送コンテナー、ローリー、ポンプ、バルブ等に施されるフッ素樹脂のライニング方法を改善し、従来に比べ良好な耐食性が得られるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
腐食性物質を扱う設備・装置に対し、耐食性を付与する目的で該設備・装置を構成している金属材の表面に、各種のコーティングあるいはライニング等の処理が一般的に行われている。これらは、ゴムライニングやグラスライニングおよびフッ素樹脂ライニングとしてよく知られている。
【0003】
これらのうちで、フッ素樹脂ライニングは、耐食性が良好で、腐食性の強い物質を扱う設備・装置によく採用されている。フッ素樹脂ライニングには、接着系のコーティング(焼き付けライニング)、接着シートライニングおよび非接着系のルーズシートライニング、金型成形等があり、ライニングを施す設備や装置に必要な耐食性、規模や大きさ、経済性等を考慮し、これらのいずれかの方法が採られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3312956号明細書(第2頁、3欄20〜28行)
【特許文献2】
特公昭63−11147号公報(第1頁、1欄2〜8行)
【0005】
これらの中でフッ素樹脂コーティング処理は、プライマー塗装、静電粉体塗装や回転焼成処理により金属材にフッ素樹脂層を密着させる方法ではあるが、せいぜい0.1〜0.3mm程度の厚さの被覆であるため、軽度の耐食処理として位置づけられる。また、金型成形は、成形金型を用いて押出しや圧縮充填を行うため、溶融時の粘度が比較的低いPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)をはじめとするPTFE(四フッ化エチレン樹脂)以外の側鎖を持つフッ素樹脂を用いて、小径配管、配管用継ぎ手やバルブ、ポンプ類に対して行われている。
【0006】
これに対し、化学設備の中で塔・槽類や大口径配管等にはシートライニングが行われることが多く、接着シートライニングはフッ素樹脂フィルムと金属材との間に、接着性を増すためのグラスクロス層やエポキシ系やゴム系を主体とした接着剤層を介在させている。このため、接着シートライニングでは、物理的強度や耐食性は高いものの比較的高価で製造に手間のかかる被覆法と考えられる。一方、ルーズシートライニングは、フッ素樹脂フィルムと金属材との間に接着処理を施さないため、安価に製造が可能であり、容易にフッ素樹脂の高い耐食性が得られるため、広範に利用されている。
【0007】
一般的に腐食性物質の金属に対する作用は、ガス状態では腐食性が小さく、凝縮し液体となって金属に接触した場合に強い腐食性を示すことが多い。例えば塩化水素は、露点以上の温度では腐食性が小さく、鉄材であっても化学設備・装置の材料として十分な耐性を示すが、露点以下になると激しく反応し腐食される。
【0008】
一方、フッ素樹脂には水蒸気や塩化水素のような低分子物質に対し透過性があり、設備の加熱・冷却の繰り返しや放熱に伴う金属材表面での腐食性物質の凝縮による金属材の腐食が問題となる。通常、これらに対する対策として、樹脂ライニング層を透過した腐食性ガスを放出させるためのベントホールを設けたり、保温を施すことで、金属材表面でのガスの凝縮を低減すること等が行われている。さらに、ベントホール部では、腐食性ガスの凝縮が起き易いことから、ソケットを設け、腐食性ガスを保温部分の外側に逃がすことや、減圧にしてより効果的にガス抜きを行う工夫等が施されている。
【0009】
これらのガスの透過速度としては、密度2.17g/mlのPTFE樹脂について、100℃水蒸気に対しおおよそ25g/100in2/d/(atm/mil)、30℃塩化水素に対しおおよそ0.3g/100in2/d/(atm/mil)が報告されており(「腐食・摩耗と最新のライニング技術」3−9〜3−10ページ、平成14年3月発行、(社)神奈川県高圧ガス協会保安技術情報委員会編集、他)、水蒸気の透過性が高いと言われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
腐食性物質を取扱う場合であっても、設備・装置の保温が適切に行われ、安定に稼働している場合は、ベントホールからの透過ガスの放散が良好に行われ金属材の表面での透過ガスの凝縮はほとんど起きないが、保温が不確実であったりして金属材の表面が腐食性ガスの露点以下になると腐食性物質の凝縮が起こり、腐食が発生する。
【0011】
また、設備の点検や操業上の理由で設備を停止する場合がある。停止した設備は放熱により徐々に冷却し、停止が長時間になると金属材とライニングの間隙に存在する水蒸気と腐食性ガスの露点に達し、これらの物質が凝縮し金属材の腐食が起こる。運転を再開し設備の温度が上昇すると凝縮した腐食性ガスの蒸発が起こり腐食の進行は停止するが、加熱と冷却の繰り返しが頻繁に行われた場合には、致命的な腐食にまで進行することがある。ライニングを施した設備で金属材の腐食が進行する多くの例は、この加熱と冷却の繰り返しによると考えられる。
【0012】
本発明では、これらの水蒸気や塩化水素等の透過性ガスを使用する設備・装置にフッ素樹脂ライニングを施すにあたり、従来の接着シートライニングのように多数の工程を要する被覆を用いることなく、一般の化学設備・装置で多用されているルーズシートライニングを利用し、設備の停止が繰り返される場合であってもより耐食性が高いフッ素樹脂のライニング方法について検討し、本発明を開発した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、化学装置を構成する金属材の表面に、フッ素樹脂コーティング層と、その上のフッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングから構成された被覆であって、前記フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルムとの間に微少な間隙を有することを特徴とする耐食性の良好なフッ素樹脂ライニング方法である。
上記のフッ素樹脂ライニング方法においては、フッ素樹脂コーティング層の厚さは0.05〜0.4mm、フッ素樹脂フィルムの厚さは1.0〜10mmであることが望ましい。
また、本発明で対象とする化学装置とは、配管類、塔あるいは槽であり、本発明のフッ素樹脂ライニングを施すことにより、良好な耐食性を付与することができる。
【0014】
【発明の実施の形態、作用】
前述のように透過性ガスによる腐食の問題は、設備・装置を構成する金属材の表面での透過ガスの凝縮に起因する。このため、設備の保温処理に見られるように、金属材の腐食性を低減するためには、金属材表面で透過ガスの凝縮が起こらないようにすることが重要である。また、樹脂ライニング層を透過する物質は、樹脂を物理的に浸透する物質であり、分子状で透過していると考えられ、腐食性物質はガス状で浸透し露点以下の温度で水と共に凝縮する。
このため、本発明では金属材表面をごく薄いフッ素樹脂のコーティング(被覆)層で覆い、その上にフッ素樹脂のルーズシートライニング施すことで、フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルム(シートライニング)との間に微少な間隙を設け、シートライニングを腐食性ガスが透過し凝縮しても、金属材表面への直接的な接触がないようにとの考えに基づいて本発明を開発した。
【0015】
金属材の表面に形成するフッ素樹脂コーティングとしては、従来から行われるようなプライマー塗装、静電粉体塗装や回転成形等の後、必要により焼成を経て金属材の表面にごく薄く被覆される。このコーティング層の膜厚としては、金属材と凝縮液の接触を遮断する目的からシートライニングより十分薄い0.05〜0.4mm程度でよい。尚、コーティング層におけるピンホールの発生を確実に抑制するためには0.2〜0.4mm程度の膜厚がより好ましい。
【0016】
このフッ素樹脂コーティング層の上に、さらにフッ素樹脂フィルムのライニングを行う。ライニングはルーズシートライニングでよく、用いるフッ素樹脂フィルムの膜厚は、腐食性ガスの透過性を考慮して1.0〜10mmが好ましい。この膜厚は通常のシートライニングにおいて用いられる程度の厚みで十分である。
【0017】
フッ素樹脂コーティング層の上に施すルーズシートライニングは、ベントホールからのガス抜きを確実にするためのわずかな間隙を設けることが好ましいが、ルーズシートライニングであるため特に間隙を考慮しない場合であっても、フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルム(シートライニング)との間に微少な間隙を得ることができる。
このため、前記の微少な間隙が存在するので、装置の内側から外壁に向かう熱移動に抵抗を生じ、通常運転ではベントホールから透過ガスが放出されるが、フッ素樹脂のコーティング層は金属材に近い温度であるため、万一母材が放熱により露点付近の温度になりライニングを透過した腐食性ガスおよび水蒸気がコーティング層の表面で凝縮しても、腐食性物質の液相状態が形成されるので、気体としての金属材表面への腐食性物質の浸透が抑制されるため、耐食性が飛躍的に改善される。
【0018】
特に、運転を停止し設備・装置が冷却された場合であっても、腐食性ガスの凝縮はフッ素樹脂のコーティング層とライニング層の間の間隙で起こり、母材への浸食は発生しにくい。
【0019】
前述のように、フッ素樹脂層の透過は分子サイズで生起し、水分子の透過速度は他の腐食性物質に比べ大きく、腐食性物質が装置内で水分と共存している場合の透過は常に水分子の透過と同時に起きると考えられる。
本発明のフッ素樹脂のライニング方法による設備・装置が用いられる環境は、前述の塩化水素または塩酸の他、フッ化水素またはフッ化水素酸、硫化水素、硝酸等の酸系や水酸化ナトリウム等のアルカリ系、強酸化剤系等の多くの腐食性物質を扱う場合に適している。
【0020】
図1に、金属材の表面に本発明のフッ素樹脂ライニング被覆を行った装置の説明図を示す。
【0021】
次に図面を用いて、本発明の内容を詳述する。金属材1の表面にフッ素樹脂コーティング層2を形成した後、さらにその上にフッ素樹脂フィルムのシートライニング層4を被覆するが、この際に肝心なことはフッ素樹脂コーティング層2とフッ素樹脂フィルム4との間に微少な間隙3を設けるようにすることである。
普通、装置の内側となる腐食環境側Aから、外部環境側Bの方向に腐食性物質が移動しフッ素樹脂フィルム4を透過しても、フッ素樹脂コーティング層2が存在するために、間隙3では直接に腐食性物質が金属材に接触することがなく腐食が防止される。
【0022】
また、通常は装置の運転時には、図示していないベントホールに前記の微少な間隙3が通じており、ベントホールからガス抜きが行われているために、腐食性物質がより少なくなるので、一層の腐食抑制が図られることになる。
【0023】
【実施例】
次に比較例をまず説明し、その後で本発明の実施例を示す。
【比較例】
20%塩酸の蒸留塔(φ500mm×H10m)を、前記蒸留塔の内側に厚さ2mmのフッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングを施した設備で製作し、約140℃で蒸留塔の運転を行った。運転開始から1.5年程度を経過した頃から炭素鋼の母材に腐食が認められるようになり、この蒸留塔は2年で交換することになった。
【0024】
【実施例1】
比較例に示した上記塩酸の蒸留塔設備の代替に際し、金属材の被覆を本発明のフッ素樹脂ライニング方法で行った。フッ素樹脂プライマーを塗布した後、焼付けて厚さ約0.3mmのフッ素樹脂コーティングを施した後、比較例と同様に2mm厚フッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングを施した設備を製作し、運転を再開した。現在3年以上が経過しているが、設備は正常に稼働し、外見からは金属材に腐食の兆候は見られていない。
【0025】
【実施例2】
比較例と同様の20%塩酸蒸留設備(ただし、塔径はφ600mm)を本発明のライニング方法で実施例1と同じに厚さ0.3mmのフッ素樹脂コーティングを施した後、実施例1と同様の厚さ2mmのフッ素樹脂フィルムによるルーズシートライニングを施した設備を製作した。現在、定期点検や若干の設備上の理由による操業停止を経ながら約140℃での運転を続け、6年間以上経過しているが金属材に腐食は見られず、正常に稼働している。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、比較的安価で簡便なフッ素樹脂のコーテイング方法で、塩化水素や塩酸に代表される従来コーティング層を透過して生起する腐食の問題が頻繁であった腐食性物質に対し高い耐食性を示す被覆を提供することができた。
本発明のフッ素樹脂ライニング方法では、フッ素樹脂のコーティング層とライニング層を形成する方法として、これまでの常法が適用できるため、製造は比較的容易で取扱い易く、維持管理についても容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属材表面に本発明のフッ素樹脂ライニング被覆を行った装置の説明図である。
【符号の説明】
1 金属材、 2 フッ素樹脂コーティング層、 3 微少間隙、
4 フッ素樹脂フィルムのシートライニング層、
A 腐食環境側、 B 外部環境側
Claims (3)
- 化学装置を構成する金属材の表面に、フッ素樹脂コーティング層と、その上のフッ素樹脂フィルムのルーズシートライニングから構成された被覆であって、前記フッ素樹脂コーティング層とフッ素樹脂フィルムとの間に微少な間隙を有することを特徴とする耐食性の良好なフッ素樹脂ライニング方法。
- フッ素樹脂コーティング層の厚さが0.05〜0.4mm、フッ素樹脂フィルムの厚さが1.0〜10mmである請求項1に記載の耐食性の良好なフッ素樹脂ライニング方法。
- 化学装置が、配管類、塔あるいは槽である請求項1または請求項2に記載の耐食性の良好なフッ素樹脂ライニング方法。
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